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遺留分問題はないのであるとしておかなければ あるいは遺留分問題は相続人間等の独 自の問題としておかなければ 信託業務を受託する場合に支障が出るというのが本音では ないかと筆者は穿った考えをしています その証拠に 信託の研修説明会の際には遺留分 問題はありませんと断言される方も多いように思えます この

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Academic year: 2021

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1 No82(2017・5)

相続・資産税の世界

相続対策の専門家

堀光博税理士事務所

改正相続法における民法・税法間の問題点等 ②

~家族信託における遺留分、及び価額弁償、そして長期居住権の問題~

はじめに

当事務所のHPの「家族信託の世界」(妹尾哲也先生執筆)の最新号に関連して、私的な交流を させていただいている弁護士の野村朗先生から個人信託と改正相続法に関する税務との接点について の質問がありました。この質問に関しての野村先生のご意見や考え等をベースに今回のコラムのテーマとし ました。また、本稿については野村先生の推敲をいただいています。 相続法の(民法典の内の相続編の事を言います。)改正は、今年の秋ごろに改正案が纏められ、パ ブリックコメントを経て来年の通常国会で成立、施行される模様です。改正相続法に関係する税法の取扱 いは相続法の改正内容も、これに対応する相続税法の対応も確定していませんので、野村先生のご意 見をいただきながら、そして家族信託に関しては筆者の独自の考えをしていることをお断りしておきます。

Ⅰ 受益者連続型信託における遺留分の問題

個人信託の受益権に関する遺留分に関しては、相反する考え方があります。 1.個人信託(家族信託)では遺留分問題は存在しないという考え 受益者連続型信託の受益権(第一次受益権者=委託者とします。)を例にとり、信託法第 91 条を解釈すると、 「第一次受益権者が死亡した場合は、その受益権は消滅する。そして、信託契約に従って 第二次受益権者以降の受益者は、新たに受益権を得する。したがって、直前の受益権者よ り相続または遺贈によりにより承継取得したのではなく原始取得であり遺産の取得ではな い。よって、民法上は遺留分額の算定基礎額には算入されない。第三次受益権者も第二次 受益権者の相続の際には、民法上、信託受益権は遺留分額算定基礎額には算入されないの である。以後、後順位の受益者も同様であるという考えです。 信託受益権は民法上の遺産には当たらないので、遺留分の算定基礎額には算入されない という考え方は、家族信託を業として行っておられる方の考え方です。おそらく、将来に おいて、家族信託における遺留分問題の争いが発生した際に、「家族信託を推進した時点で は、一般的には遺留分問題は存在していなかった。」として、相続後の相続人間等の遺留分 問題には関わりたくないというお気持ちがあるのではないかと筆者は勝手に解釈していま す。

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2

固有財産

信託財産

遺留分問題はないのであるとしておかなければ、あるいは遺留分問題は相続人間等の独 自の問題としておかなければ、信託業務を受託する場合に支障が出るというのが本音では ないかと筆者は穿った考えをしています。その証拠に、信託の研修説明会の際には遺留分 問題はありませんと断言される方も多いように思えます。 この考えを主張される方の法的根拠の再確認 信託法 第 91 条 (受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の 定めのある信託の特例) 受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を 取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。) のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が 当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益 権が消滅するまでの間、その効力を有する。 法務省は法文作成に当たって慎重を期されたのか、条文では「原始取得」という文言 は使ってはいません。 本項の考え方を支持される方は、もう一度信託の基本構造と言いますか本質を思い出し ていただきたいと思います。 個人信託の本質・趣旨は、 1.自己の財産を信託財産と固有財産とに分別(管理)すること 2.信託財産を管理・運営・処分する権限を受託者に付与し、その財産から生じる 収益を受益者に分配し、かつ信託終了時や信託財産から除外する際には元本受 益者に所有権を帰属させること そして、税法は個人信託を利用して課税回避が行われないように、信託財産は受益 者が所有するとみなして所得税・贈与税・相続税・法人税等を課税する規定を設け ています。

信託の本質は、自分の財産を「固有財産」と「信託財産」に分けることである

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3 相続税法では、信託受益権の第二次以降の受益者は原始取得という考え方を貫かれ ますと、実質的に遺産の性格をもつ信託受益権には課税できません。したがって、相続税 法では信託受益権を相続財産であるというみなし規定を置いて、相続税を課税することに しています。この規定はみなし規定であったとしても創設規程ではなく、これは強い確認 規定であると筆者は解釈しています。保険会社が第三者のためにする生命保険金を遺産と みなす規定とは異なった、委託者の財産そのものの承継の問題ですから、当然に遺留分の 算定額の基礎に算入されなければなりません。 民法では贈与について次のように規定しています。 第 549 条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手 方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

委託者が信託財産として分別した財産の受益者が委託者以外の者であれば、当

然に民法 549 条の贈与( =無償或いは低額による利益の移転 )に該当します。し

たがって、利益の移転が無いようにするためには、第一次受益者は贈与税が課税

されないように委託者が第一次受益者となるようにします。単に自己の財産を固

有財産と信託財産とに分別管理するだけのことでしかありません。

2 第二次受益者以降の受益者は、信託契約により委託者から受益権を取得するという 考え 第二次受益者以降の受益者は委託者の信託契約による信託設定により、受益権を取得 するので第二次受益者以降の受益者は、その取得原因は委託者から相続または遺贈によ り受益権を取得することになります。決して原始取得ではありません。 家族信託の場合は、委託者の財産の内から、相当多額な財産を信託財産に組み入れる ことが多いので、遺留分問題を全く考慮せずに、現在流行している家族信託で遺留分問 題はないと断言して家族信託を推進している方は、依頼者に対して無責任ではないかと 思われます。 信託法が改正施行されて 10 年程度しか経過していませんので、家族信託におけるこの 遺留分問題が裁判で判断されたという事案は未だないようです。もし、信託受益権が遺 留分額の算定基礎額に算入されないのであれば、家族信託を利用して民法上の遺留分制 度を潜脱することができます。 民法の基本原則である第 1 条③では、

法律

「私権の乱用は、これを許さない」 これは民法の基本原則です。先順位の受益者が死亡すれば、受益権は消滅し、次順位 の受益者は受益権を原始取得するので相続又遺贈で取得するわけではないので民法の遺 留分問題は発生しないという主張は、受益権は信託契約による信託設定によって取得で

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4 きるのであるということを敢えて無視しているとしか思えません。 原始取得の言葉の意味は次のように解釈されています。 ① 原始取得とは、取得した権利の根拠がその権利を前に有していた者の権利にあるので はなく、その取得によって原始的(原初的)に成立する場合の権利取得。原始的取得 ともいう。原始取得は新しい所有権の発生を意味する。 (ウイキペディア) 原始取得とは、ある権利を他人の権利に基づかずに取得すること。無主物先占・遺失 物拾得・時効取得・公用徴収などの類。 → 『三省堂 大辞林』 第1の考え方を主張する人は、先順位受益者の死亡により受益権は滅し、次順位の受益 者は原始取得すると主張しますが、信託受益権は委託者の所有する信託財産を信託契約に よって指定された受益者の順位に従って受益権が承継されるという事実を忘れている。取 得した権利の根拠は、その権利を前に有していた者の権利を信託契約で信託財産にしたも のである。これは将に委託者の私有財産権が契約(信託契約)によって承継されるので承継取 得ということになります。 したがって、第二次受益者以降は相続又は遺贈によって取得 したものになります。 第一の考え方を主張する方は信託法の条文の文面だけに惑わされているのではないかと 考えます。 私見ですが、今後信託受益権の承継について裁判が提起されることになると思われます。 裁判では遺留分制度の潜脱が可能とならないように遺留分の算定基礎額に算入すべきであ るという法的解釈の判断が出るものと信じています。 なぜなら、社会秩序の観点、権利の乱用の観点、平等性の観点から、信託受益権は民法 上の遺産ではないという一部の方の主張はまかり通らないと思料しています。 3.第三受益者以降の者への遺留分減殺請求の時期 筆者は、信託受益権は相続における遺留分額算定額の基礎に算入されるという考えです。 ところで、誰が誰に対して、何時までに遺留分減殺請求をしなければならなのでしょうか。 信託受益権を付与したのは委託者であり、今はもうこの世にはいない委託者による信託契 約によって信託受益権を取得します。 事例として、信託財産は事業用不動産、自社株式、居住用不動産とします。遺産額の多く の割合を占めており、明らかに他の共同相続人の遺留分を侵している状態です。信託受益者 は信託受益権の全部を取得する予定です。 (父が委託者兼第一次受益者、母が第二次受益者、長男が第三次受益者とします。) 父死亡時に際しては、遺留分減殺請求は遺留分を侵されたことを知った時から 1 年以内 に減殺請求をしないと時効により請求権が消滅します。当然に遺留分権者は委託者死亡後 1 年以内に第二次受益者である母に対して、内容証明郵便で遺留分の減殺請求をしました。 次に第二次受益者の母死亡後に、第三次受益者の長男に対して再度遺留分減殺請求をすれ 何処からとなく、誰かに信 託受益権が運ばれてくる?

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5 ばよいのでしょうか。解釈によりますと既に父死亡時に長男も遺留分を侵すことが確定し ているのであるので父の相続の際に母と長男に対して同時に遺留分の減殺請求をすべきで あるというものです。母の死亡時に長男に対する遺留分請求したとしても時機を失すとい う解釈があります。裁判による法的判断は未だ出てはいませんが、長男に対する遺留分減 殺の請求の時効の進行を中断ないし停止しておくという意味で必要ではないかということ です。 ただし、信託法第 89 条に規定する受益者を指定し、又はこれを変更する権利を有する者 (受益者指定権者)が指定されている信託契約の場合は、第三受益者にとっては、父の相 続の際には必ずしも確定はしていないという解釈もできますが、いずれにしても、未だ裁 判による法的判断がありませんので今、今後の家族信託についての裁判の結果待ちといっ たところです。

Ⅱ 配偶者の長期居住権について

1.居住用建物が配偶者への信託財産に含まれていた場合の遺留分問題 第一次受益権者から第二次受益権者に承継された居住用不動産の受益権評価額は、「建物 所有権=長期居住権+その余の権利」になりそうですので、税務上も法定評価額としてそ の通りの評価額にならざるを得ません。相続税法上の評価額=民法上の評価額となるよう に調整されるはずです。相続税等の財産評価においてその敷地の評価が減額されるのかど うかは、今のところは不明です。 ご承知のとおり、民法改正後において遺留分減殺請求では遺産の返還よりも価額弁償の 方が原則になるとすると、第一次相続の際に、第二次受益者に価額弁償する金銭等が無く 第三次受益権者が価額弁償した場合に、第三次受益権者が第二次受益者に価額の弁済遡及 をしなければ税務上は第二次受益権者に対する贈与が発生することになります。 現に、遺留分減殺請求の訴訟上の和解で遺留分権者に対して遺留分額以上の価額弁償を 受けた者に対して贈与税が課税されたという裁決もあります。 いずれにしても信託法が改正され 10 年しか経過していませんので、特に家族信託に潜在的 に存在する各種の問題解決には法律が追いついてはいませんし、紛争事案に関する法的解 釈の判断も出ていません。したがって、家族信託を進めていく方としては、リスク回避の ために信託関係者に対しては遺留分問題を事前に解決しておく必要があるのではないでし ょうか。「家族信託は万能です。信託財産は遺留分の対象外です。」と言って家族信託を勧 めるのは、家族信託を勧める方の倫理上の問題ではないでしょうか。 また筆者は家族信託を推進する方は、家族信託関係者に対して遺留分問題に関するリス クを事前に文書で明らかにして、説明責任を果たしたという証拠を残しておく必要がある ものと考えています。

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6 2. 配偶者の長期居住権の税務上の問題 この件は、民法改正に関するこのコラムの最初に取り上げました。 当初に提案された長期居住権の評価計算式の 長期居住権の評価額=建物賃借権の評価額+(建物の賃料相当額+中間利息額) は明らかに二重評価となっています。 平成 28 年秋のパブコメの結果、評価方式が再考されたようです。相続に関するものです から実務上、相続税申告にも使えるような国税庁の評価算式の考え方が採用されるものと 考えています。そうでなければ相続に関して実務上混乱が生じます。 長期居住権の問題点として、補足説明では、 建物所有権=長期居住権+その余の権利 としていますので、長期居住権評価額が建物所有権の評価額(=建物固定資産税額評価額) を超えることはないとしています。したがって、その敷地の評価額を控除するほどの過大 な評価額にはならないようにされるはずです。 民法上の長期居住権の評価額=税務上の長期居住権の評価額となるものと思われます。 長期居住権は生存配偶者が死亡した場合には消滅することになっていますので、第二次 相続の際には、建物の所有者には長期居住権の評価額は 0 円となります(長期居住権は一身 専属の権利ですから)。実はこの構図では、税務上問題点があります。 第一次相続時の際の建物の評価額は「建物所有権=長期居住権+その余の権利」で問題 なしです。ではその敷地の評価はどうなるかということが税理士には関心があります。 財産評価通達では、貸家と貸家の敷地の評価額は、 貸家の評価額=建物の固定資産税評価額×(1-借家権の 30%) 一方、借家権の評価額はその地域において取引の慣行がある場合を除いて、相続税の課税 価格には算入されません。 その敷地の評価額=自用地評価額×(1-借家権30%×その敷地の借地権割合) 借家権割合は、貸家建付地の評価上に使われているだけです。 長期居住権のある建物は第一次相続の際は、上記の「建物所有権=長期居住権+その余の 権利」で評価されます。 生存配偶者の死亡時の第二次相続の際は、長期居住権は消滅しますのでその時の相続税 評価額(=第二次相続時における固定資産税の評価額が建物の評価額)となります。 敷地は、第一次相続時の居住者の権利が敷地にも影響があるにもかかわらず自用地評価 になるのかどうかということです。 特に、血縁関係が無い後妻さんが長期居住権を取得した場合に、被相続人の子達が相続し た建物の敷地は全く権利関係が無い100%評価となるかどうかということです。 おそらく、養子関係のない後妻さんと子達との相続紛争が今まで以上に複雑になるのでは ないかと考えられます。家族信託の場合、居住用不動産の受益権が生存配偶者にあれば問 題なしです。長期居住権の問題はありません。 信託の生存配偶者の居住用不動産が生存配偶者以外の者に受益権がある場合は(委託者兼第

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7 1 次受益者が被相続人、第 2 次受益者が長男、信託財産が居住用不動産)、配偶者に長期居 住権があるのかどうかについては、長期居住権の要件として「被相続人所有の建物」とあ ります。居住用不動産が信託財産とされていた場合には、税法では受益権者が所有してい るとみなしますが、信託された居住用不動産が改正民法で長期居住権が成立要件を満たす のかどうかということは現在のところ不明です。したがって、配偶者が居住している信託 された居住用不動産が、長期居住権の要件を満たしているかどうかについては細心の配慮 をしたうえでの信託設計が必要であると思われます。少なくとも、信託契約設計段階にお いて、この件についての説明責任を果たしておく必要があります。 3.長期居住権については相続税上の問題があります。 第一は、長期居住権を適用して相続税の節税ができる。 すなわち、生存配偶者には被相続人所有の居住用不動産を取得させずに、長期居住権を取 得させると、その長期居住権は、相続税の配偶者の税額軽減で納付すべき相続税が発生し ないかごく僅かとなる。 第二は、第一次相続で生存配偶者の居住用不動産を取得した相続人は、長期居住権の評 価額だけ建物の課税価格が減少する。その分相続税の負担は減少する。 長期居住権を保有する配偶者が死亡した場合はその居住権の残存価額は消滅する。一身専 属の権利です。 借地権は借地上の建物が朽廃した際には消滅することとなり、貸地人は自用宅地を保有 することになります。すなわち、当初の居住用不動産の評価が減額された分だけ節税とな ります。 一方、借地権課税では借地権期間が経過した後に貸地上の建物が朽廃した場合には借地 人に帰属していた借地権は消滅して(新法の借地借家法では、建物朽廃+解約申し入れ) 貸地は自用地に戻りますが、その場合には土地の所有者には課税関係は生じません。 このことは、長期長期居住権が消滅した場合にも同様にならなければなりません。もし、 長期居住権が消滅した場合に、何らかの課税関係が出るような税法の処置がなされるので あれば、当然に借地権課税というもっと重要な課税問題が根底から崩れることになります。 特に旧借地法時代の借地権は多く残っています。そのようなことを課税庁は既に検討して いるはずです。 4 家族信託推進に関する現状の問題点 (1)家族全体の家族信託になっているか 現在、家族信託の推進は相続税の節税対策としての家族信託が多いようです。 事例としては、委託者と同居の相続人の配偶者を受託者とし、当該相続人を受益者(第二 次受益者、或いは第三次受益者)という家族信託を考えてみます。次のような筋書きが推 測されます。

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8 委託者が意思能力喪失になる前に、家族信託を活用して不動産等を信託財産に組み入 れる。推定相続人の配偶者が受託者とし、信託契約によって賃宅住宅等を建築し、受益 者が受ける遺産の相続税対策をする。そして、最終的に受益者が信託財産たる賃貸不動 産を取得する。また、できることならば委託者生存中に信託契約に信託財産を贈与する 権限を受託者に付与して、相続時精算課税制度による贈与によって他の相続人よりも先 に遺産を取得しておきたい、あるいは、前記Ⅰの1の考え方による遺留分問題の回避を しておきたいというものです。これでは、相続争いが起きることが想定されています。 そもそも家族信託は何のためにあるのでしょうか。それは、家族信託の名前の通り「家 族信託は家族の幸せのためにある。」ということを忘れてはなりません。家族信託を指 導・推進される方の倫理上の問題です。 (2)家族信託指導・推進上の損害賠償責任 家族信託は相続税対策としてのアパート建築などが多いように見受けられます。不動 産所得の赤字は他の所得とは通算できませんよ、ということを指摘しておかなければな りません。多くの方はそのことを指摘されるものの、ではそれを回避できる手段の指導 はできておられないようです。筆者は、ある程度の方策を提示します。しかしながら1 00%税務損害を回避することはできません。家族信託における損害賠償責任は、不都 合が現実化するのは 10 年先、20 年先に起きます。その時には、家族信託を指導した方 の遺族が信託受益者に対して責任を負うことにもなりかねません。(すでに、税理士損害 賠償責任では、税理士の遺族が被告になっている事例も見受けられます。) 家族信託を設計し指導される方は、遺留分問題と不動産所得の損失の損益通算不可の問 題は、事前に解決しておく必要があると思います。 上記4の1のような一部の相続人の利益のための家族信託は、家族信託を設計・指導・ 推進した者に対して他の相続人から相続争いに関連して損害賠償責任追及があり得るこ とも十分に認識しておかれる必要があるのではないでしょうか。筆者は法律の専門家で はありませんので、どの法律のどの部分によって損害賠償責任請求がなされるかは不知 です。士業はもちろんのこと、そうでない者でも家族信託推進・指導等を業務としてお られる方も同様に家族信託指導・推進に関して責任追及があり得るかもしれません。 税理士が不動産所得の赤字が他の所得と損益通算ができなかったという件に関するミス に関してだけは、税理士職業賠償責任保険で付保されるものと思われます。 しかしながら、弁護士以外の方は家族信託に関しての損害賠償責任を付保できる職業損 害賠償保険は存在しないものと筆者は思料しています。

参照

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