1 2013 年 11 月 20 日 日本銀行神戸支店
神 戸 港 の 質 的 変 貌
~集 荷 力 低 下 と 将 来 像 1.はじめに ○ 神戸港はかつて世界第3位のコンテナ港であった。ヨーロッパ大陸はロッテルダム港、 アメリカ大陸はニューヨーク港、アジア大洋州では神戸港、この国際的な3大港湾が 「世界貿易の中心軸」として、港湾物流のネットワークに大きな役割を果たしてきた。 しかし、その後の変遷をみると、ロッテルダム港がヨーロッパ大陸の中で不動の地位を 確保し、ニューヨーク・ニュージャージー港も北米東海岸 NO.1 に踏みとどまっている。 その一方、神戸港は 1980 年代半ばからシンガポール・香港を始めとするアジア港湾の 猛追を受ける中で地盤沈下が徐々に進み、1995 年の阪神淡路大震災によってアジアの 盟主の座から陥落するに至っている。直近の世界順位は第 52 位(2012 年速報)である。 ○ また神戸港は、1868 年(慶応3年)の開港以来、近代日本の経済発展を支えてきた。 その後背地である神戸経済は、神戸港の発展と伴に同じ成長の軌跡を辿ってきている。 1872 年(明治 5 年)には鈴木商店(現在の神戸製鋼所や旧石川島播磨重工業等の母体)、 1881 年(明治 14 年)には川崎兵庫造船所(現在の川崎重工業、旧川崎製鉄)が開業。 その後、神戸経済は重厚長大型産業と裾野産業が織り成す、重層的なクラスターを形成 させてゆく。この間、神戸港は戦略的な貿易拠点として日本の経済を支えたのである。 近年神戸経済の回復が捗々しくないことと、神戸港の活力低下には密接な関係がある。 震災後、神戸港は国内順位も下げ、東京港・横浜港・名古屋港に次ぐ第4位となった。 (図表1)世界主要港のコンテナ取扱量順位の推移BOJ KOBE
(出所)CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK、CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2012、 CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2013
2012年<速報> シンガポール港 2位 ロッテルダム港 11位 ニューヨーク・ ニュージャージー港 24位 神戸港 52位 0 10 20 30 40 50 60 1980 85 90 95 2000 05 10 シンガポール港 ロッテルダム港 ニューヨーク・ニュージャージー港 神戸港 12 (年) (位)
2 2.世界港湾順位の質的変化 (図表2)世界のコンテナ取扱量ランキング ○ 世界のコンテナ取扱量ランキングを見ると、90 年代入り後は世界貿易のトップ3が 日米欧から、シンガポール・香港・台湾などのアジア港湾へと移っていくことが分かる。 2000 年代入り後になると、韓国(釜山港)・中国(上海港など)が上位陣争いに加わり、 現在では世界第1位から第8位までの全てをアジアの港湾が独占するに至っている。 この間、ロッテルダム港(オランダ)はアジア勢の躍進を受けてやや順位を下げたが、 欧州首位の座を、ハンブルク港(ドイツ:両者は 500km の至近距離)に明け渡すことは なかった。米州ではアジア経済の急成長を反映して西海岸でのコンテナ取扱量が急増、 90 年代以降にロサンゼルス港に隣接するロングビーチ港も世界の上位入りを果たした ものの、ニューヨーク・ニュージャージー港が東海岸の首位であることに変化はない。 ○ 一方神戸港は 1995 年の阪神淡路大震災で世界第 23 位に急落。その後の反発力も弱く、 翌 96 年に第 14 位まで復帰したのが最高位だった。その後もほぼ一貫して下がり続け、 2003 年以降は 30 位台、2007 年以降は 40 位台が定着。直近 2012 年は第 52 位となった。 欧米の盟友であるロッテルダム港やニューヨーク港が、地域経済圏の首位の座を堅持 する中にあって、神戸港はアジア経済圏のみならず国内順位でも後塵を拝している。 1995 年、神戸港は横浜港・東京港に抜かれた後、国内首位に返り咲くことはなかった。 また、国内5大港もアジア港湾に押し出されるかのように、低順位に甘んじている。 神戸港がなぜ世界順位を下げたのか、震災の影響やアジアとの地理的条件など不可避 だったとの指摘する見方もある。しかし、日本の5大港湾全てが低迷していることや、 日本海側の地方港湾は成長著しい点を踏まえると説得力に乏しいように思う。従って、 荷主・船主などの港湾利用者側と港湾管理者側、その双方から原因を探る必要がある。
(出所)CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK、CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2012、 CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2013
1980年 1 NY 2 ロッテルダム 3 神戸 4 香港 5 高雄 6 シンガポール 7 サンフアン 8 ハンブルク 9 オークランド 10 シアトル 11 アントワープ 12 横浜 13 ブレーメルハーヘン 14 ボルチモア 15 基隆 16 釜山 17 ロサンゼルス 18 東京 19 ジェダ 20 メルボルン 38 大阪 34 大阪 24 名古屋 22 名古屋 22 神戸 27 横浜 25 東京 24 NY/NJ 45 名古屋 35 名古屋 38 大阪 23 神戸 28 名古屋 34 名古屋 36 横浜 28 東京 26 大阪 36 大阪 39 神戸 47 神戸 43 横浜 ・・・ アジア大洋州の港湾(赤字は日本の5大港) 41 大阪 48 名古屋 50 名古屋 ・・・ ヨーロッパ大陸の港湾 56 大阪 52 神戸 ・・・ 北アメリカ東海岸の港湾 57 大阪 タンジュンプリオク NY/NJ 広州 タンジュンペラパス 東京 タンジュンペラパス ロングビーチ 廈門 NY/NJ サンフアン オークランド 上海 ブレーメルハーヘン ブレーメルハーヘン ジオイアタウロ タンジュンペラック 横浜 オークランド シアトル フェリクストウ ボルチモア ブレーメルハーヘン シアトル オークランド マニラ 基隆 釜山 ロサンゼルス 東京 ブレーメルハーヘン サンフアン 横浜 ロングビーチ 東京 アントワープ フェリクストウ サンフアン NY/NJ 東京 基隆 ドバイ フェリクストウ マニラ 深圳 ポートクラン ドバイ NY/NJ 東京 フェリクストウ ロングビーチ アントワープ 青島 ポートクラン 寧波 天津 ロサンゼルス アントワープ 大連 タンジュンペラパス 廈門 高雄 ポートクラン アントワープ ハンブルク ロサンゼルス 天津 天津 ロッテルダム ポートクラン 高雄 ハンブルク ハンブルク 基隆 アントワープ アントワープ ロサンゼルス ロッテルダム 青島 ロングビーチ NY/NJ ロングビーチ ハンブルク ドバイ ドバイ ドバイ アントワープ ハンブルク ロサンゼルス ロングビーチ ハンブルク 青島 寧波 横浜 ロサンゼルス 横浜 ロサンゼルス ロッテルダム 広州 広州 シンガポール 釜山 ハンブルク 上海 高雄 寧波 深圳 神戸 神戸 釜山 ロッテルダム 釜山 釜山 釜山 高雄 高雄 シンガポール 香港 ロッテルダム 高雄 釜山 上海 香港 シンガポール 香港 NY/NJ ロッテルダム 高雄 深圳 深圳 上海 香港 香港 シンガポール シンガポール 2005年 2010年 1995年 2000年 2012年(速報) ロッテルダム シンガポール 香港 香港 シンガポール 1985年 1990年 上海
3 3.物流ニーズの質的変化 ○ 現代社会は「経済のグローバル化と情報通信革命」を軸に大きな潮流変化が起きた。 神戸港の国際競争力低下の理由はハード面に求めがちだが、次の3点こそ重要である。 ①日本の製造業が海外生産シフトする中で、アジア域内の水平分業を深化させたこと。 ②荷主のニーズが中国シフトを強める中で、物流ルートの大幅な見直しが起きたこと。 ③日本の地方港湾の整備が進む中で、国内競争や海外港湾との連携が活発化したこと。 つまり、神戸港が内外順位を低下させた「きっかけ」は阪神淡路大震災とも言えるが、 そもそもアジア域内の産業構造が変化する中、日本発着の物流ニーズが減尐した事実を 認識する必要がある。また、国内地方港湾の利便性が高まる中で、従来の物流ルートが 国内外で見直されたことも大きな影響を与えている。現在の神戸港の内外評価は本質的 な課題である「港湾の集荷力」がユーザーから問われ続けた結果を示している。 (図表3)コンテナ取扱量の推移(神戸港とアジア主要港との比較) (図表4)日本製造業の海外生産シフト
(出所)CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK、CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2012、 CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2013
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 1975 80 85 90 95 2000 05 10 上海港 シンガポール港 香港港 釜山港 神戸港 日本全体 (万TEU) 12 (年) 阪神淡路 大震災 アジア諸港の 港湾IT化 0 10 20 30 40 50 60 1986 88 90 92 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 12 14 海外/国内設備投資比率(実績) 〃 (推計) 海外生産比率 (%) (年度) 予測 予測 (出所)経済産業省「海外現地法人四半期調査」および「海外事業活動基本調査」、財務省「貿易統計」および「法人企業 統計年報」、日本政策投資銀行「設備投資計画調査」、IMF「World Economic Outlook」
(注)○は海外分を DBJ 設備投資計画調査、国内分を短観より試算した計画値。
海外生産比率は現地法人売上高/(現地法人売上高+国内売上高)×100 として算出。
海外/国内設備投資比率(推計)および海外生産比率の予測期間は、IMF ベース(暦年)の海外 GDP/日本 GDP の 実績値(一部欠損値については推計)と、2012 年 11 月までの実質実効為替レートを用いて算出。
4 4.神戸港を取り巻く外部環境の変化 ○ 神戸港は、第二次世界大戦の敗戦(1945 年)と阪神淡路大震災(1995 年)の2度、 壊滅的な打撃を被った。いずれも港湾施設は物理的に早期復旧を成し遂げているが、 戦後 21 年目(1966 年)で輸出入額・全国第1位の座を横浜港に明け渡し、大震災後は 同じ年(1995 年)にコンテナ取扱量・全国第1位の座を又しても横浜港に譲っている。 両者の事案から阪神淡路大震災の被害が如何に甚大だったか窺い知ることも出来る が、港湾利用者の社会的ニーズが変化する中でミスマッチが起きていた事実を知ること がより重要である。両者に共通なのは「神戸経済の空洞化」に直面していることである。 神戸経済は 1950 年代後半から、海運・鉄鋼・造船と言った主要企業が既に本社機能 の東京シフトや生産機能の県外流出を活発化させている。その背景にはグローバル化を 映じた金融や情報の東京集中、或いは環境意識の高まりに伴う神戸工場の運営困難化 (用地取得困難、排出規制強化)など神戸を取り巻く立地条件の大きな変化があった。 近年でも三菱重工業神戸造船所が 100 年以上続いた商船建造を停止したり、神戸製鋼所 が高炉の一部停止を表明するなど、海外生産シフトや生産ライン縮小は枚挙に暇がない。 約 50 年の歳月が流れても、神戸経済の輝きは神戸港の後背地をなす企業群の経済活動が 大きな影響を与え、神戸港の利便性もまた企業群の在り方に大きな影響を与えている。 ── かつて神戸市が行ったポートアイランドや六甲アイランドの造成も、こうした 企業の経営環境変化に伴う解決策であり、アパレルや食品関連業界や医療産業・ 研究施設と言った新たな産業クラスターの集積を企図したものとなっている。 もっとも、これら新事業が「神戸経済の空洞化=神戸港の凋落」と言った事態を どの程度オフセットしているのか、その評価が神戸の将来にとって重要である。 (図表5)神戸港・横浜港における (図表6)神戸港・横浜港のコンテナ 輸出入額の全国シェアの推移 取扱量順位の推移 0 10 20 30 40 50 1950 60 70 80 90 2000 10 横浜港 神戸港 (%) (年) (出所)財務省「貿易統計」、神戸市みなと総局「神戸港大観」 0 10 20 30 40 50 60 1980 85 90 95 2000 05 10 横浜港 神戸港 (年) (位)
(出所)CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK、
CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2012、 CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2013
5 (図表7)阪神淡路大震災発生後の主な工場移転 5.国内地方港湾整備と神戸港の地盤沈下 ○ また阪神淡路大震災の後、神戸港の立ち直りを複雑にさせた理由の1つには先の説明 のとおり「地方港湾整備」と言う新たな要因が加わっている。コンテナ港と言えば、 神戸港が国内外で圧倒的シェアを占めていた訳であるが、震災後から地方コンテナ港の 整備拡充が進み、現在の日本には地方コンテナ港が 62 港も設置されるに至っている。 これらの地方港が上海港や釜山港と連携を強め、新たな輸送ルートを確立させる中で、 神戸港は「アジア大洋州のハブ港」ばかりか、「国内の貨物中継基地」としての役割も 低下させている。地方港湾の利便性向上は地域活性化に資するとの評価も可能であるが、 諸外国では国際競争を勝ち抜く為の「選択と集中」が基本型であり、特定大規模港湾の 集荷力を高める為、空港・鉄道・高速道など総合的な物流体制構築に知恵を絞っている。 ―― この間、上海港と釜山港は大震災後に、北東アジア航路の盟主の座を確立している。 (図表8)外貿定期コンテナ航路の就航港湾(2013 年 6 月 1 日時点) (出所)公益社団法人日本港湾協会「数字でみる港湾」 (出所)日本政策投資銀行「大震災が地域経済に与える影響について」(2011 年 12 月) 北海道 6港 東北 5港 関東 6港 北陸 5港 中部 5港 近畿 5港 中国 11港 四国 6港 九州 12港 沖縄 1港 計62港 北九州港(福岡県)、 博多港(同)、 三池港(同)、 伊万里港(佐賀県)、 長崎港(長崎県)、 八代港(熊本県)、 熊本港(同)、 大分港(大分県)、 細島港(宮崎県)、 油津港(同)、 川内港(鹿児島県)、 志布志港(同) 那覇港(沖縄県) 境港(鳥取県)、 浜田港(島根県)、 水島港(岡山県)、 福山港(広島県)、 広島港(同)、 大竹港(同)、 下関港(山口県)、 徳山下松港(同)、 岩国港(同)、 三田尻中関港(同)、 宇部港(同) 徳島小松島港(徳島県)、 高松港(香川県)、 松山港(愛媛県)、 今治港(同)、 三島川之江港(同)、 高知港(高知県) 舞鶴港(京都府)、 大阪港(大阪府)、 堺泉北港(同)、 神戸港(兵庫県)、 和歌山下津港(和歌山県) 苫小牧港(北海道)、 室蘭港(同)、 小樽港(同)、 釧路港(同)、 石狩湾新港(同)、函館港(同) 八戸港(青森県)、 仙台塩釜港(宮城県)、 秋田港(秋田県)、 酒田港(山形県)、 小名浜港(福島県) 茨城港(茨城県)、 鹿島港(同)、 千葉港(千葉県)、 東京港(東京都)、 横浜港(神奈川県)、 川崎港(同) 新潟港(新潟県)、 直江津港(同)、 伏木富山港(富山県)、 金沢港(石川県)、 敦賀港(福井県) 清水港(静岡県)、 御前崎港(同)、 名古屋港(愛知県)、 三河港(同)、 四日市港(三重県)
6 (図表9)国内港湾のコンテナ取扱量の推移 ── 「全国コンテナ貨物流動調査」を見ると、1980 年代の前半までは地方で生産 消費された国際コンテナ貨物の9割が、主要5大港(東京・横浜・名古屋・神戸・ 大阪)での取扱いであったのに対して、1990 年代入り後はその比率が急落した。 特に神戸港は震災を契機として「国内の貨物中継基地」の役割を低下させている。 ○ 国内地方港湾の輸出入を、日本海側に近い港湾と太平洋側に近い港湾に分けて見ると、 輸出増加率は日本海側(15 港)が太平洋側(47 港)の2~3倍の急成長を続けている ことが分かる。輸入面では両者の間に大きな差はないが、神戸港の不振が際立っている。 こうした背景には、上海港や釜山港を始めとするアジア経済圏の有力港湾は勿論のこと、 極東ロシアも含めた新たな成長市場の獲得に腐心してきた結果が現れている。ちなみに、 極東ロシア港湾では、シベリア鉄道の接続が有利なボストーチヌイ港が首位となるなど (ウラジオストク港は第2位)、環日本海地域のコンテナ航路も近年質的に変化している。 (図表 10)地方港輸出入額推移 <輸出額> <輸入額> (出所)財務省「貿易統計」 (注)「日本海側に近い港」、「太平洋側に近い港」は、図表8で示した 62 港を対象に、日本銀行神戸支店が独自に区分。 (出所)CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK、CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2012、 CONTAINERISATION INTERNATIONAL TOP100 CONTAINER PORTS 2013
0 10 20 30 40 50 0 500 1,000 1,500 2,000 1986 88 90 92 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 その他の港 東京・横浜・名古屋・大阪港の計 神戸港 神戸港の全国シェア(右目盛) (万TEU) (年) (%) 50 100 150 200 250 300 350 400 1990 95 2000 05 10 日本海側に近い港 太平洋側に近い港(神戸港を含む) 神戸港 (年) (1990年=100) 50 100 150 200 250 300 350 400 1990 95 2000 05 10 日本海側に近い港 太平洋側に近い港(神戸港を含む) 神戸港 (年) (1990年=100) 小樽港 秋田港 酒田港 新潟港 直江津港 伏木富山港 金沢港 敦賀港 舞鶴港 境港 浜田港 下関港 北九州港 博多港 長崎港 苫小牧港 室蘭港 釧路港 石狩湾新港 函館港 八戸港 仙台塩釜港 小名浜港 茨城港 鹿島港 千葉港 東京港 横浜港 川崎港 清水港 御前崎港 名古屋港 三河港 四日市港 大阪港 堺泉北港 神戸港 和歌山下津港 水島港 福山港 広島港 大竹港 徳山下松港 岩国港 三田尻中関港 宇部港 徳島小松島港 高松港 松山港 今治港 三島川之江港 高知港 三池港 伊万里港 八代港 熊本港 大分港 細島港 油津港 川内港 志布志港 那覇港 日本海側に近い港 <計15港> 太平洋側に近い港 <計47港> 0 100 200 300 400 500 1975 80 85 90 95 2000 05 10 東京港 横浜港 名古屋港 神戸港 大阪港 (万TEU) (年) 阪神淡路 大震災
7 ○ ところで、神戸港を始めとする主要5大港の競争力が低下して、世界順位も低下した ことを様々な角度から説明してきたが、日本全体のコンテナ取扱量は世界第4位を確保 している事実は押さえておきたい(1位:中国、2位:米国、3位:シンガポール)。 特に、日本は全体として、釜山港を擁する韓国(5位)や高雄港を擁する台湾(9位) よりも物量は大きい。すなわち国家戦略として「グローバルハブ港」をどのように育て、 「スーパー中枢港湾」や「地方港湾」を国内にどのように配備するかによって、最適な 物流体制を敷くことが可能である。国際競争に勝つには「選択と集中」が必要である。 ── 神戸港はそうした国家戦略の下では、どのような役割を果たしたら良いのか、 議論のあるところだが、後背地である神戸経済を将来どのように設計するのか、 グランドデザインがなければ「選択と集中」もない。起動は自らすべきである。 そうした意味で、官民のコミュニケーションが重要な時期に差し掛かっている。 (図表 11)世界のコンテナ取扱量の国別シェア <1990 年> <2009 年> 6.現代の「グローバルハブ港湾」 ○ 神戸港の地位低下の背景として、1980 年代後半のシンガポールや香港による「港湾 関連手続等のIT化」や、1990 年代の釜山港による「24 時間フルオープン化」など、 アジア諸国がグローバルハブ港湾としてのインフラ整備を促進させたことを指摘する 向きもある。結果として神戸港は、港湾荷役料や使用料が高コストとなったことや、 港湾使用時間の制限が足枷になるなど、グローバル競争の中で遅れをとって来た。 ── なお日本は「港湾運送事業法」第 16 条に港湾事業の下請制限(一貫責任制度) が規定されており、港湾事業者間での労働者の融通が困難となっている。つまり、 自前での交代要員の確保による労働コストの増加が、24 時間フルオープン化を 実施させる上で障害になっているとの指摘がある。しかし、港湾物流サービスは 危険な作業を伴う為に、歴史的にも事業上の安全配慮を求めて来た経緯がある。 従って、規制緩和による新規参入や競争強化など、グローバルハブ港湾としての サービス高度化を達成する為にも、官民双方からの十分な事前協議が必要である。 米国 17.8% 日本 9.3% シンガポール 6.1% 香港 7.2% 台湾 6.4% 英国 4.7% ニュージーランド 4.4% ドイツ 3.8% 韓国 2.7% スペイン 2.3% その他 35.3%
(出所)CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEARBOOK
中国 28.5% 米国 7.0% シンガポール 6.0% 日本 3.7% 韓国 3.6% マレーシア 3.6% アラブ 首長国 連邦 3.2% ドイツ 2.9% 台湾 2.6% スペイン 2.3% その他 36.6%
8 (図表 12)神戸港およびシンガポール港のIT導入状況 ○ 神戸港からの輸出金額は震災前の水準とほぼ変わらない5兆円前後で推移している。 このことはアジア地域の貿易量が急増する一方、神戸港の地盤沈下が進んでいた事実を 掴み難くさせたことや「神戸経済の空洞化」に対する危機感が不足しがちなことを物語 っている。最近は、神戸港の輸出額は為替円安といった輸出環境の好転もあって、神戸 港の輸出額が7か月連続で前年を上回っている。しかしこれは昨年の減尐による反動増 であって、数年間ならしてみれば港湾物量の成長は停止していることが分かる。 地域経済を考える際に、地元企業の海外生産シフトや生産ライン縮小はその裾野産業 である2次下請けや3次下請けに与える影響が見え難い。更には、その企業群を取囲む 商店街など街の賑わいに対する悪影響は数年間のタイムラグを伴って顕現化する為、 長い目で見た対応が必要になる(兵庫県経済の中長期的な産業構造変化の分析に焦点を 当てた特別レポート『兵庫県経済の質的変貌』<2013 年 9 月 6 日公表>を参照されたい)。 (図表 13)神戸港輸出額の推移 (出所)財務省「貿易統計」 (出所)財務省「平成 18 年度政策評価書」、港湾関連手続関連府省(財務省、法務省、厚生労働省、国土交通省)「次世代シン グルウィンドウ(府省庁通ポータル)における機能について(平成 19 年 6 月)」、神戸市みなと総局「平成 25 年度事 業概要」、財団法人自治体国際化協会「シンガポールの政策(2011 年改訂版)港湾・空港政策編」 < >は導入時期 ── 船舶の入出港手続および海上貨物の通関手続とこ れに関連する民間業務をオンラインで一元的に処理ス ルシステムであり、輸入にあっては、船舶の入港から貨 物の船卸し、輸入申告・許可、国内引取りまで、輸出 にあっては、貨物の保税地域への搬入から輸出申告・ 許可、船積み、出港までの一連の手続を処理対象とし ている。 ── 神戸港への入港や港湾施設の利用申請手続の電子 化システム。 ── 貿易業者、税関、国際企業庁などを結ぶ通関システ ムで、通関書類の申請、審査、認可および消費税・関 税等の支払いなどの貿易手続を電子化により簡素化 したものである。通関手続は、TRADE NETで一括管 理されており、入力された情報は瞬時に各関係政府 機関に転送され、申告後、特定の貿易管理品目等を 除き、大半の手続は10分以内に許可が下りる。これに より、導入以前は1~4日要した通関手続が大幅に短 縮された。 ── 海運事業者向けの商取引システム。港湾施設の利 用にかかる申請、バースの予約、コンテナ貨物の搬出 入、入港スケジュール・船籍情報の確認など、コンテナ ターミナルの利用に必要な情報交換をリアルタイムで 行うことができ、入港手続は同システムで一括管理さ れている。なお、TRADE NETとPORT NETは相互に 接続されており、どちらのシステムからもログインするこ とが可能。 Sea-NACCS<1992年~> TRADE NET<1989年~> 神戸港 シンガ ポール 港 港湾関連手続 通関手続 神戸港港湾管理者EDIシステム<1999年~> PORT NET<1989年~> 0 1 2 3 4 5 6 7 1990 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 ( 年) (兆円) (年)
9 ○ ここでヨーロッパ大陸に君臨し続けるロッテルダム港の港湾運営について紹介する (かつて世界1位だったロッテルダム港は現在 11 位ながら、欧州では常に1位を堅持)。 ロッテルダム港は、世界の貿易量が如何に増加しようとも、欧州域内においては最強の 集荷力を持ち続ける「グローバルハブ港」であり、不動の地位をもたらすその秘訣とは 港湾マネジメント力にあるように思われる。すなわちオランダ政府とロッテルダム市が 共同で事業経営を行い中長期的な視点から戦略投資を行っており、その中には拡張投資 ばかりでなく港湾近辺に貨物用の鉄道敷設を行うことまで含まれている。 より重視しているのは港湾利用者とのパートナーシップである。①港湾利用者のニー ズ調査と需給調整②港湾周辺の運輸フローと交通管理を徹底しており、近隣諸国港湾と の差別化を行っている。その意味で港湾管理業から脱皮した「総合物流サービス業」へ と駒を進めており、公的な施設や用地の提供や運輸管理業務と言った点でも顧客目線での サービスが評価されている。こうした不断の努力があって不動の地位を維持出来ている。 (図表 14)ロッテルダム港の交通網・航路 ── 日本では湾機能の国際競争力を強化する為に、2004 年に①京浜港(東京港と 横浜港)②伊勢湾港(名古屋港と四日市港)③阪神港(神戸港と大阪港)の3地 域をスーパー中枢港湾として指定した。目的は「実験的、先導的な施策の展開を 官民連携の下で行うことにより、アジア主要港湾を凌ぐコスト・サービスの実現」 を図るとされる。具体策としては、スーパー中枢港湾に向けた無利子貸付制度や 補助金制度などが上げられており、ハード面を投資から支援する体制が整えられ た。しかしながら、国家として「グローバルハブ港」を目指すのは京浜港のみと 決定されており、伊勢湾港も阪神港も「スーパー中枢港湾」であってグローバル ハブ港湾ではない。 ○ 以上、神戸港の歴史的変遷と現状・課題について、伝統的な「物流面」から論じたが、 神戸港の活性化については、新たな「親水面」のアプローチも重要な論点と思われる。 そこで本稿では、「物流面」の特徴を押さえつつ「親水面」の可能性も掘り下げながら 総合的な神戸港の将来像を探ることとしたい。 (出所)公益財団法人国際港湾協会協力財団「2011 年度国際港湾経営研修 海外港湾研究報告 ロッテルダム港及びアントワープ港」
10 7.「親水面」からみた神戸港の将来性 ○ 1990 年代以降、世界のクルーズ人口は急激に増加している。これに伴い、日本への 外国船社クルーズ船の寄港回数も、東日本大震災が発生した 2011 年を除いて、右肩上 がりの増加を続けている。また、日本国内のクルーズ人口も、高齢化の進展とともに、 市場拡大への期待が高まっている。 ―― 世界のクルーズ人口が急増している背景には、①国際的な大規模紛争の減尐や ②先進国の人口高齢化③新興国の富裕層出現④クルーズ船大型化が指摘される。 (図表 15)世界のクルーズ人口の推移 (図表 16)外国船社クルーズ船の日本 への寄港回数の推移 (図表 17)大型化が進むクルーズ船 (出所)国土交通省神戸運輸監理部「日本に『クルーズ元年』到来!」 (出所)国土交通省神戸運輸監理部「日本に『クルーズ 元年』到来!」 (出所)国土交通省港湾局「港湾におけるクルーズ振興を巡る現状と課題」 0 500 1,000 1,500 2,000 1990 95 2000 02 04 06 08 全世界合計 北米 欧州 アジア・豪州(除く日本) 日本 (万人) (年) 0 10 20 30 40 0 100 200 300 400 500 2006 07 08 09 10 11 12 寄港中止(左目盛) 寄港数(左目盛) 乗客定員数(右目盛) (万人) (回) (年)
11 ○ こうした中で神戸港は5大港で最も深い 16.5mのバースを筆頭に、水深 15m以上の 大水深バースを複数有しており、大型船の入港にも対応出来る機能を既に備えている。 すなわち神戸港は、大型運搬船の入港によって、プラント部品やインフラ・環境関連 設備といった重量物の集積地として秀でていることが分かる。また旅客船についても 神戸港は水深 12mを備えていることから世界最大級のクルーズ船の入港が可能である。 なお、5大港の中で水深 12mを備えているのは、神戸港と横浜港だけであったが、 近年になって長崎港・別府港・下関港が水深 12mを備えた。これによって、「親水面」 における国内マーケットも質的に変わりつつあることを押さえておく必要がある。 (図表 18)主な旅客船ターミナルのスペック比較 (図表 19)5大港のコンテナバースのスペック比較 バース名 水深 (m) 延長 (m) ターミナル 面積(㎡) バース名 水深 (m) 延長 (m) ターミナル 面積(㎡) バース名 水深 (m) 延長 (m) ターミナル 面積(㎡) バース名 水深 (m) 延長 (m) ターミナル 面積(㎡) バース名 水深 (m) 延長 (m) ターミナル 面積(㎡) D 12.0 300 78,653 A0 13.0 260 66,946 C3 13.5 350 T1 14.0 350 R1 10.0 185 J 12.0 240 26,400 A1 13.0 260 100,754 T9 10.8 240 T2 14.0 350 R2 12.0 240 L 7.5 130 26,600 A2 15.0 350 72,254 C4 15.0 350 153,500 R1 12.0 350 R3 12.0 240 S-BC 13.0 350 55,393 A3 15.0 350 116,652 D4 14.0 300 105,000 R2 12.0 300 R4 10.0 185 G/H/I 10.0 555 38,850 A4 15.0 350 122,500 D5 15.0 300 105,000 R3 12.0 250 R5 10.0 185 RL1/2 13.0 600 107,169 O1 15.0 330 127,700 MC1/2 16.0 700 504,000 W90 10.0-12.0 185 C1 13.5 350 104,152 W/X/Y/Z 12.0 960 67,368 O2 15.0 330 131,800 T9 12.0 240 35,735 W91 10.0-12.0 185 C10 15.0 350 175,000 PC13 15.0 350 117,000 O3 15.0 354 143,500 A5 13.0 300 W92 10.0-12.0 250 C11 15.0 350 175,000 16.5 400 O4 15.0 330 133,650 A6 13.0 150 TS1 16.0 400 C2 13.5 350 105,044 12.0 240 O5 15.0 330 133,650 A6 12.0 200 TS2 16.0 350 C3 13.5 350 104,610 15.5 350 O6 15.0 330 133,650 A7 12.0 250 W93 15.0 350 C4 13.5 350 119,999 PC14 15.0 350 O7 15.0 350 141,750 BC1,C5-C9 13.0-15.01,390 490,000 W94 15.0 350 C6 12.0 300 PC15 15.0 350 F 10.0 190 D1-D3 11.0 620 206,687 C7 12.0 300 PC16 15.0 350 C/D/E 10.0 555 C8 14.0 350 126,062 PC17 15.0 350 C9 13.0 350 113,500 RC3 14.0 350 RC4 14.0 350 RC5 14.0 350 RC6 14.0 350 RC7 14.0 350 96,741 361,549 225,000 160,400 120,000 175,000 195,000 125,000 257,384 PC18 251,090 251,090 367,500 245,000 大阪港 東京港 神戸港 横浜港 名古屋港 360,000 289,000 170,000 (出所)公益社団法人日本港湾協会「世界の主要港湾(コンテナ取扱量上位 20 港)の概要~2010 年~」 (出所)公益社団法人日本港湾協会「数字でみる港湾」 水深(m) 水深(m) 水深(m) 新港第四突堤(東) 12.0 晴海ふ頭K、L 10.0 大さん橋ふ頭A、B 12.0 〃 10.0 竹芝ふ頭N~P 7.5 大さん橋ふ頭C 11.0 中突堤(西) 9.0 大さん橋ふ頭D 10.0 ポートアイランド 9.0 新港第一突堤(東) 7.5 〃 (西) 7.5 水深(m) 水深(m) 水深(m) ガーデンふ頭2号・3号岸壁 10.0 中央突堤北 11.0 中央埠頭西─10m1号岸壁 10.0 天保山岸壁3 10.0 博多ふ頭 7.5 鶴浜岸壁 10.0 水深(m) 水深(m) 水深(m) 松ケ枝岸壁 12.0 別府第三埠頭─12m岸壁 12.0 東港あるかぽーと岸壁 12.0 常盤・出島埠頭─10岸壁 10.0 長崎港 別府港 下関港 神戸港 東京港 横浜港 名古屋港 大阪港 博多港
12 ○ こうした中で、日本国内における港別のクルーズ船寄港回数の推移をみると、横浜港 と神戸港の寄港回数が、他港を圧倒していることが分かる。両港に共通する特徴は、 日本船の寄港回数が外国船の寄港回数を大きく上回っていることであり、この背景と して、両港が日本国内クルーズの「出発・帰着港」となっていることが挙げられる。 ―― ただし足許を見ると、博多港と長崎港が外国船の寄港誘致に成功して国内順位 を急速に上げていることが分かる(神戸港の外国船社との関係は頭打ちである)。 (図表 20)港別のクルーズ船寄港回数の推移(上位 10 港) (図表 21)港別にみた日本船クルーズ出発・帰着回数(2013 年出港分) ○ 一方、神戸港は、出発・帰着港としての受入体制に優れているものの、寄港地として の受入体制の整備は、緒についた段階にある。すなわち、寄港時に乗船客をどれだけ 県内観光地に誘導出来るか、滞在時間や観光消費額を引き上げる為にどのような工夫 が出来るかという観点から、クルーズ船寄港地としての当地の魅力を国内外に向けて 売り込んでいく為の施策を、官民双方の立場から検討していくことが重要である。 まずは、クルーズの規模や航路、乗船客の年齢層や国籍、船会社などに応じた神戸の 「寄港地としての品揃え」を充実させ、マーケットを形成していく工夫が求められる。 (出所)国土交通省「2012 年の我が国のクルーズ等の動向について」 日本 船社 外国 船社 日本 船社 外国 船社 日本 船社 外国 船社 日本 船社 外国 船社 日本 船社 外国 船社 日本 船社 外国 船社 1 横浜 117 104 13 横浜 120 110 10 横浜 127 106 21 横浜 122 104 18 横浜 119 110 9 横浜 142 116 26 2 神戸 97 81 16 神戸 108 86 22 神戸 93 71 22 神戸 103 81 22 神戸 107 101 6 博多 112 27 85 3 長崎 44 7 37 那覇 53 2 51 那覇 57 7 50 博多 84 23 61 博多 55 29 26 神戸 110 88 22 4 広島 31 15 16 鹿児島 44 14 30 長崎 49 4 45 長崎 54 15 39 那覇 53 16 37 長崎 73 1 72 5 那覇 30 4 26 石垣 40 3 37 博多 46 18 28 鹿児島 52 7 45 石垣 49 7 42 那覇 67 20 47 6 名古屋 30 30 0 広島 36 19 17 石垣 38 6 32 那覇 52 6 46 名古屋 28 27 1 石垣 52 6 46 7 東京 29 27 2 博多 35 10 25 広島 30 8 22 石垣 47 2 45 宮之浦 23 23 0 名古屋 43 38 5 8 石垣 28 3 25 長崎 31 6 25 名古屋 29 28 1 名古屋 27 25 2 長崎 21 4 17 鹿児島 34 7 27 9 金沢 26 10 16 名古屋 31 31 0 鹿児島 28 6 22 宮之浦 25 24 1 広島 19 13 6 別府 34 9 25 10 宮之浦 25 25 0 大阪 22 15 7 宮之浦 25 20 5 広島 22 14 8 鹿児島 18 10 8 大阪 33 11 22 東京 22 19 3 回数 順位 2007年 2008年 2009年 2010年 港湾名 回数 港湾名 回数 2011年 2012年 回数 港湾名 回数 港湾名 港湾名 回数 港湾名 (出所)飛鳥Ⅱ、ぱしふぃっくびいなす、にっぽん丸の各パンフレットより、2013 年出港クルーズを出発港・帰着港別に集計 0 10 20 30 40 50 60 70 横浜港 神戸港 名古屋港 小樽港 東京港 那覇港 大阪港 仙台港 博多港 その他 内航クルーズ・出発港 内航クルーズ・帰着港 外航クルーズ・出発港 外航クルーズ・帰着港 (回)
13 ○ 具体的には、近年のシニア層における消費性向の高まりや、将来的な高齢化率の上昇 などを見据えて、こうした層をターゲットとしてクルーズ需要を喚起することである。 また若年層などこれまで乗船機会がない人や、敷居の高さを感じている人に対しても、 カジュアルなショートクルーズを提案するなど、世界的にみて低水準にある我が国の クルーズ人口を全体的に底上げしていく努力が、神戸港の将来にも重要と考えられる。 (図表 22)年齢別消費性向 (図表 23)人口推移と将来推計 (図表 24)クルーズ旅行に対する中高年の経験・意識 <クルーズ旅行の経験> <クルーズ旅行に対する意識> ○ 外国人客に対しては「ショッピング」を家電製品や化粧品だけで終わらせることなく、 より満足する買い物が出来るように、外国語対応が可能なスタッフやパンフレットを 配備することも必要である。また国際観光都市としてのインフラ整備はまだまだ工夫 の余地があると考えられることから、内外の他都市に負けない環境整備が望まれる。 (出所)総務省「家計調査」 (注)勤労世帯と無職世帯で加重平均した消費支出と 可処分所得を用いて日本銀行神戸支店が算出。 (出所)総務省「人口推計」 59.0 57.2 62.5 55.8 64.6 66.7 46.7 27.0 29.7 18.8 32.7 23.2 21.6 31.1 14.0 13.0 18.8 11.5 12.2 11.8 22.2 0 20 40 60 80 100 全 体 年収2百万円未満 年収2百万円~3百万円未満 年収3百万円~5百万円未満 年収5百万円~1千万円未満 年収1千万円超 年収不明・言いたくない 行ってみたい(また行ってみたい) どちらでもない 行きたくない (%) 10.5 12.5 8.5 16.8 18.5 15.0 72.8 69.0 76.5 0 20 40 60 80 100 全体 男性 女性 経験あり(複数回) 経験あり(1回) 経験なし (%) (出所)株式会社エイチ・アイ・エス「シニアのクルーズに対する意識調査」 (注)同社の配信するウェブマガジンにおいて、2013 年 7 月 16 日から 2013 年 7 月 17 日の2日間、50~69 歳の男女を対象 に実施した調査。 60 70 80 90 100 110 120 130 24 以下 25 ~ 29 30 ~ 34 35 ~ 39 40 ~ 44 45 ~ 49 50 ~ 54 55 ~ 59 60 ~ 64 65 ~ 69 70 以上 2012年 2005年 2000年 (%) ( 歳) 0 10 20 30 40 50 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 1950 60 70 80 90 2000 10 20 30 40 50 60 75歳以上 65~74歳 15~64歳 0~14歳 高齢化率 (万人) (%) 実績値 推計値 (年)
14 ○ なお、船会社に対しても、兵庫県の観光資源である「温泉」や「グルメ(神戸ビーフ、 スイーツ、日本酒)」「ファッション」「ゴルフ」「夜景」などを組み合わせたプランを 提案することが必要である。神戸港への寄港とは「食料や燃料を補給する為」でなく、 「乗船客が下船して観光を楽しむ為」であるプランへと転換させることが重要である。 特に神戸港は外国船の寄港数が尐ないだけに今後の市場開拓余地は大きいと思われる。 (図表 25)外国人観光客の訪日目的(国籍別、上位 10 項目) <今回したこと> <次回したいこと> ○ 更に「親水面」から神戸港と神戸経済を活性化させるには、官民双方で情報を共有す る仕組みや事前にアナウンスすることが有用である。例えばクルーズ船の寄港日はも とより、出発港名や男女別乗船客数など開示可能な情報を幅広く共有する場を設け、 その情報を観光・小売・サービス事業者などが活用出来る仕組みを作ることが望まれる。 ○ ちなみに当店で 2012 年に神戸港に入港したクルーズ船の経済効果を試算したところ、 年間約 36 億円との結果が判明した。上述したように、クルーズ船の誘致が成功して、 現在の「3日に1隻」ペースが「毎日かつ複数隻」へと寄港頻度が引き上げられれば、 100 億円を上回る産業に育成させることも可能である。また前述のように、クルーズと イベントのコラボレーション、県内観光資源の活用などを通じて、乗船客の県内滞在 時間の延長や観光消費額の引き上げも可能であり、その効果は更に高まると思われる。 (出所)観光庁「訪日外国人消費動向調査(2012 年)」 順位 全体 韓国 中国(台湾) 中国(香港) 中国 米国 1 日本食を食べる 日本食を食べる 日本食を食べる 日本食を食べる 日本食を食べる 日本食を食べる 2 ショッピング ショッピング ショッピング ショッピング ショッピング 繁華街の街歩き 3 繁華街の街歩き 繁華街の街歩き 旅館に宿泊 旅館に宿泊 旅館に宿泊 ショッピング 4 自然・景勝地観光 自然・景勝地観光 繁華街の街歩き 繁華街の街歩き 繁華街の街歩き 自然・景勝地観光 5 旅館に宿泊 温泉入浴 自然・景勝地観光 自然・景勝地観光 自然・景勝地観光 歴史・伝統文化体験 6 温泉入浴 旅館に宿泊 温泉入浴 温泉入浴 温泉入浴 生活文化体験 7 歴史・伝統文化体験 ビジネス テーマパーク テーマパーク テーマパーク ビジネス 8 ビジネス 美術館・博物館 歴史・伝統文化体験 美術館・博物館 ビジネス 親族・知人訪問 9 生活文化体験 親族・知人訪問 美術館・博物館 歴史・伝統文化体験 親族・知人訪問 美術館・博物館 10 美術館・博物館 歴史・伝統文化体験 生活文化体験 生活文化体験 歴史・伝統文化体験 ナイトライフ 順位 全体 韓国 中国(台湾) 中国(香港) 中国 米国 1 日本食を食べる 温泉入浴 日本食を食べる 日本食を食べる 日本食を食べる 日本食を食べる 2 温泉入浴 歴史・伝統文化体験 温泉入浴 温泉入浴 ショッピング 自然・景勝地観光 3 ショッピング 旅館に宿泊 ショッピング ショッピング 温泉入浴 温泉入浴 4 自然・景勝地観光 四季の体感 自然・景勝地観光 自然・景勝地観光 自然・景勝地観光 歴史・伝統文化体験 5 四季の体感 生活文化体験 四季の体感 四季の体感 繁華街の街歩き 旅館に宿泊 6 旅館に宿泊 テーマパーク 繁華街の街歩き 旅館に宿泊 旅館に宿泊 美術館・博物館 7 繁華街の街歩き 日本食を食べる 旅館に宿泊 繁華街の街歩き 四季の体感 イベント 8 歴史・伝統文化体験 ショッピング イベント テーマパーク 歴史・伝統文化体験 四季の体感 9 生活文化体験 自然・景勝地観光 歴史・伝統文化体験 スキー テーマパーク ショッピング 10 イベント 舞台鑑賞 生活文化体験 イベント 生活文化体験 繁華街の街歩き
15 (図表 26)神戸港へのクルーズ寄港による経済効果試算(兵庫県分、2012 年実績:年間 110 寄港) 8.おわりに ○ 当地の歴史をさかのぼると、1864 年に「神戸海軍操練所」、1920 年に「神戸高等商船 学校(現・神戸大学海事学部)」、1945 年に「海技専門学院(現・海技大学校)」が設立 されるなど、我が国の海事教育で常に先導的役割を果たして来たと言うことが出来る。 神戸港と神戸経済にとっては、こうして培った地域の特性を最大限に活かして、海運・ 港湾の人材育成に力を注ぐことが、中長期的な成長を促す基盤になると考えられる。 ○ その為にも神戸港に港湾関連のスペシャリストを集結させ、利便性やスピードの向上 を図り、内外からの様々な物流ニーズに対応出来る仕組みを整備する中で、国際都市・ 神戸に相応しい「海事クラスターの形成」を検討してはどうか。日本の国土は狭いが、 国連海洋法条約で認められている排他的経済水域を含めると、世界第6位の海洋大国 であり、今後の海底資源や海洋エネルギーの開発は日本の将来を担う重要分野である。 兵庫県の様々な民間技術がこの分野に投入され、好循環を形成することを期待したい。 ○ 神戸ポートアイランドには 2001 年に国の都市再生プロジェクトとして指定を受けた 「神戸医療産業都市」が産業集積を続け、先端医療技術の拠点として花開きつつある。 日本の医療機器市場の約半分、日本の新薬市場の約7割が外資系を占める中にあって、 医薬品の貿易収支は▲1.6 兆円の赤字(2012 年)を計上している。この点を踏まえて、 神戸に「医療クラスターの形成」を推進してはどうか。スーパーコンピューター「京」 とX線自由電子レーザー施設「SACLA」を有する当地であればこそ、開発拠点に なり得るし、神戸港に医療に特化した港湾施設の整備を行えば戦略拠点にもなり得る。 (出所)兵庫県「平成 17 年兵庫県産業連関表」を用いて、日本銀行神戸支店が算出。 ①県内最終需要増加額(直接効果) 2,470 百万円 付加価値誘発額 1,267 百万円 うち雇用者所得誘発額 665 百万円 ×投入係数 需要増加額 1,158 百万円 ×県内自給率 県内需要増加額 移輸入 ─→ ×平均消費性向×民間消費支出構成比 (県外へ波及) 民間消費による需要増加額 510 百万円 648 百万円 632 百万円 ×逆行列係数 ×県内自給率 ②1次間接波及効果 移輸入 657 百万円 付加価値誘発額 356 百万円 (県外へ波及) うち雇用者所得誘発額 414 百万円 219 百万円 174 百万円 ×逆行列係数 ③2次間接波及効果 507 百万円 付加価値誘発額 328 百万円 兵庫県内への経済波及効果(①+②+③) 3,634 百万円 民間消費による 県内需要増加額
16 ○ また親水面でも 2008 年「せとうち・感動体験クルーズ」(企画主催:神戸経済同友会、 後援:国土交通省神戸運輸監理部)等のクルーズ振興に向けた官民の取り組みが続け られていたが、今年、外国船社による神戸港起点の「定期定点クルーズ」が就航開始 されるなど、徐々にその成果がみられている。しかし港湾の生存競争は激化している。 世界的なクルーズ人口増加に油断することなく内外港との差別化を図っていかないと、 この分野でも神戸港は競争力を失ってしまう懸念がある。近隣諸港と連携したポート セールスによって、新たな事業者や客層の取り込みを目指すことが必要と考えられる。 ○ 本稿で述べたとおり、神戸港と神戸経済はコインの裏と表のように密接な関係にある。 神戸港の活性化は神戸経済の成長に繋がり神戸経済の活性化は神戸港の成長に繋がる。 その点を踏まえた、神戸港のグランドデザイン作成と着実な工程管理が重要である。 以 上 本レポート作成にあたっては、国土交通省神戸運輸監理部、神戸税関、兵庫県、 神戸市、一般社団法人神戸港振興協会のほか、神戸港関連の企業経営者の皆様方と 面談を繰り返して、様々なご助言を頂きました。ここに感謝の意を表します。
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【BOX1】神戸港の輸出額と全国シェア及び輸出先の変化
○ 神戸港の輸出額シェアは、かつて5割近くあった(1951 年:47.8%)ものの、長期 低下を続け、現在は約8%となっている。 ▽神戸港の輸出額と全国シェアの推移 ○ 神戸港からの輸出先については、1980 年当時はアジア地域への輸出ウエイトが、3 分の1程度に過ぎなかった。しかし、現在では中国を始めとするアジア向け輸出が急増 して、全体の3分の2を占めるまで拡大した。全国平均(2012 年:54.7%)を踏まえ ると、当地経済が、アジア地域と経済的な結びつきが如何に強いかが裏付けられる。 ▽神戸港からの輸出額の主要地域・国別ウェイト <1980 年> <2012 年> 0 1 2 3 4 5 6 7 0 10 20 30 40 50 1950 55 60 65 70 75 80 85 90 95 2000 05 10 神戸港輸出額(右目盛) 全国シェア(左目盛) (%) (年) (兆円) (出所)財務省「貿易統計」、神戸税関「外国貿易年表」 0 1,000 2,000 3,000 4,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (年) (億円) (%) 0 500 1,000 1,500 2,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (%) (年) (億円) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (年) (億円) (%) 0 500 1,000 1,500 2,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (%) (年) (億円) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (年) (億円) (%) 0 500 1,000 1,500 2,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (%) (年) (億円) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 0 10 20 30 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (年) (億円) (%) (出所)財務省「貿易統計」 香港 6.7% 台湾 5.4% シンガポール4.3% 中国 4.0% 韓国 3.7% その他アジア 10.9% 大洋州 2.5% 北米 15.1% 中南米 6.6% 西欧 15.2% 中東欧・ ソ連等 2.5% 中東 15.7% アフリカ 7.3% アジア計 35.0% 中国 22.7% タイ 7.3% 台湾 6.2% 韓国 4.9% 香港 4.0% その他アジア 17.1% 大洋州 1.6% 北米 14.1% 中南米 4.2% 西欧 10.7% 中東欧・ ロシア等 2.8% 中東 2.8% アフリカ 1.6% アジア計 62.1%18
【BOX2】神戸港の輸出入シェアが拡大している成功事例
1.中古乗用車の輸出 ○ 神戸港からの「中古乗用車」の輸出台数は、近年急速な増加を続けている。その輸出 額は、足もと全国で 1 割のシェアを占めるまでに拡大。神戸港は、西日本トップクラス の「中古乗用車」の輸出拠点となっている。 ―― この背景には、1997 年 7 月に港湾関連用地への企業の進出要件が緩和され、 港湾関連用地の賃貸・分譲の対象が、「港湾運送事業者」から「海運貨物取扱量 または取扱額が、進出地での計画に対して 50%以上の見込みがある企業」へと 改められたことがある。その結果、神戸港に中古自動車のオークション会場が 設営され、輸出・流通拠点、保管場といった企業集積が進んだ。 ▽中古乗用車輸出台数の全国比較 ▽中古乗用車の神戸港輸出額等 ▽中古乗用車輸出港ランキング(台数ベース、上位5港) 2.バナナの輸入 ○ 神戸港へのバナナの輸入シェアも、このところ高まっており、2012 年下半期(7-12 月) には、東京港を抜いて神戸港の輸入シェアが全国トップになった。 ―― 背景としては、国内最大のバナナ専用の輸入貨物倉庫(虫を死滅させる薫蒸・ 定温機能などを備える)が、神戸港に完成したことが大きいと考えられる。 ▽全国に占めるバナナの輸入シェア(数量ベース) 0 200 400 600 0 5 10 15 2001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港輸出額 全国シェア (%) (年) (億円) (出所)財務省「貿易統計」 (出所)財務省「貿易統計」 (注)指数値は、2001 年の値を 100 として日本銀行神戸支店が算出。 順位 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013/1-6月 1 横浜 横浜 横浜 横浜 名古屋 名古屋 名古屋 名古屋 名古屋 2 名古屋 名古屋 名古屋 名古屋 横浜 横浜 川崎 横浜 横浜 3 川崎 神戸 川崎 神戸 川崎 川崎 横浜 川崎 川崎 4 堺 川崎 神戸 川崎 神戸 堺 堺 神戸 神戸 5 神戸 堺 堺 伏木 堺 神戸 神戸 堺 堺 6 富山 富山 伏木 堺 博多 富山 富山 富山 富山 7 新潟 新潟 富山 富山 伏木 博多 博多 博多 博多 8 伏木 伏木 新潟 新潟 新潟 伏木 伏木 伏木 伏木 9 大阪 大阪 博多 舞鶴 富山 新潟 新潟 新潟 大阪 10 千葉 小樽 舞鶴 博多 大阪 苅田 千葉 舞鶴 木更津 (出所)財務省「貿易統計」 (出所)財務省「貿易統計」 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 2001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 神戸港 全国 (2001年=100) (年) 20 22 24 26 28 30 2009/1-6 7-12 10/1-6 7-12 11/1-6 7-12 12/1-6 7-12 13/1-6 7-9 神戸港 東京港 (%) (年/月)19 (参考) ▽神戸港で想定される「物流ゾーン」と「親水ゾーン」 ▽神戸港が神戸経済に与える影響(神戸市の試算) <就業者数> <付加価値額> (出所)神戸市みなと総局「みなと神戸の経済効果」 雇用創出効果 19万7,443人 (28.7%) 平成15(2003)年 市内就業者数 68万8,171人 所得創出効果 1兆4,594億円 (34.7%) 平成15(2003)年 市内生産所得 4兆2,065億円 (出所)神戸市みなと総局「みなと神戸の経済効果」