– 1 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 更新日:2013/10/17 調査部:永井 一聡
E&P 最新事情 アドリア海
(各社ホームページ、各種報道、他) ○アドリア海周辺地域洋上(イオニア海含む)では、20 世紀初め頃から、イタリア・クロアチアを中心とし て、主に北部浅海地域でのガス・石油探鉱と生産が行われてきた。しかしながら、世界的に見ると、こ れまでの活動において発見された石油・ガスの埋蔵の規模は大きくなく、実績からの評価という面で はそれほど有望とは見られていない。 ○一方、世界的には、海洋掘削技術の発展に伴い、2000 年代以降各地の深海で大規模油・ガス田が発 見されている。その中でも、東地中海地域(イスラエル、キプロス洋上)における大規模ガス田の立て 続けの発見は、アドリア海周辺の深海地域に対しても大きな期待を抱かせるようになった。 ○これまで洋上での探鉱があまり進んでいなかったアドリア海周辺の各国(クロアチア、ギリシャ、アルバ ニア、モンテネグロ)では、アドリア海およびイオニア海の洋上探鉱を進めていこうという動きが相次い でいる。既に洋上での地震探査を実施しているギリシャでは、同国西部洋上イオニア海に 220 億バレ ル、エーゲ海北部には 40 億バレルの石油の資源量があると評価している。 ○モンテネグロでは現在ライセンスラウンドが開催中であり(入札書提出締切 2014 年 2 月末)、また、クロ アチアおよびギリシャでも 2014 年にライセンスラウンドの開催が計画されている。 ○このようにアドリア海~イオニア海にかけての深海域においては、今後石油・ガスの探鉱開発作業の 進展が見込まれており、その結果が注視されるところである。 1.はじめに アドリア海はイタリアの半島東側に位置する地中海を構成する海域である。その南側は、ギリシャ西側 とイタリア半島南部およびシチリア島、マルタ島に囲まれたイオニア海につながっている。 アドリア海を中心とする地中海北部~中央部の沿岸国における石油・ガス探鉱の歴史は古く、イタリア を筆頭に 20 世紀初め~中頃から継続的に行われてきた。陸上地域のみならず、沿岸洋上地域におい ても部分的に探鉱・開発が進められており、世界的に見ると埋蔵量規模はそれほど大きくないものの、複 数の油・ガス田が発見されている。しかしながら、大規模な石油・ガスの発見の実績が出なかったことや、 世界各地で探鉱有望な地域が発見されていったことにより、アドリア海周辺地域の洋上では 1980 年代以 降活発な探鉱活動は行われなくなっていった。 そのような状況の中、2000 年代以降、海洋掘削技術の発展もあり、世界各地で大水深探鉱・開発が行 われ、メキシコ湾やブラジルのプレソルト、東アフリカなどにおいて大規模油ガス田が見つかっていった。 中でもイスラエル・キプロス沖東地中海の水深 1500m 以上の地域において相次いで大規模ガス田が発– 2 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 見されたことは、同じく地中海であるアドリア海周辺地域における期待を呼び寄せることとなり、アドリア海 周辺国が洋上探鉱に向けての動きを見せ始めている。
(出所:Università degli Studi di Pavia Centro Interdisciplinare di Bioacustica e Ricerche Ambientali)
図2 地中海水深分布
(出所:JOGMEC 作成)
– 3 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2.アドリア海周辺の石油・ガス探鉱開発の概況 アドリア海周辺の石油・ガス探鉱は、主にイタリアを流れるポー川流域陸上からアドリア海北部洋上に かけて広がるポー堆積盆で数多く行われ、炭化水素発見の実績もこの地域が最も多い。アドリア海北部 は水深が 200m 程度の浅海地域であり、過去においてもイタリア側・クロアチア側双方を含め多くのガス 田が見つかっている。一方、アドリア海南部からイオニア海につながるモンテネグロ~アルバニア=ギリ シャ洋上の海域については、水深が 1000m を超える深海部分もあり、これまであまり探鉱は進んでこな かった。また、イタリア南部シチリア島周辺でも探鉱は行われ、ここにおいては石油、特に重質油が産出 される傾向にある。 (出所:JOGMEC 作成) 図3 アドリア海の油・ガス田分布
– 4 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3.アドリア海周辺各国の探鉱開発状況 (1)イタリア イタリアは欧州南部地域では有数 の石油・ガス産出国となっている。 陸上における石油・ガス探鉱は 1920 年代から行われており、ポー 川流域を中心に開発が進められて きた。洋上の開発に焦点を当てると、 1950 年代からアドリア海北部を中心 とした洋上での探鉱が行われるよう になり、1970 年に初めて洋上で商 業的な規模の石油が発見された。 1970 年代以降、主にアドリア海の北 部から中央にかけての洋上全域が 探鉱されている。また、1980 年代に はシチリア島洋上で多くの石油が 発見されている。1990 年代以降は、 原油価格の低下等もあり、探鉱活動 の勢いは収まっているが、沿岸地 域での活動は続いている。 また、イタリアは 2010 年のアメリカ のメキシコ湾原油流出事故を受け、環境保護の観点から石油・ガス探鉱の規制の見直しを行い、沿岸地 域での探鉱・掘削を禁止した。現在はイタリア全域で沿岸 12 マイル以内の洋上での探鉱・掘削が禁止さ れている(2010 年 6 月以前に発行された鉱区については適用免除)。特にイタリア西岸チレニア海側に おいては全域で探鉱活動が不可となった。 こういった状況もあり、アドリア海北部浅海地域での探鉱は、既存のガス田における埋蔵量の追加を目 的とした小規模な探鉱が続けられている程度となっているが、今後生産が計画されている洋上ガス田の 開発も残っており、ガス生産についてはコンスタントに継続すると思われる。 図4 イタリアの公開鉱区設定
– 5 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 一方イオニア海については、1971 年に 1.3Tcf の Luna ガス田が発見されているが、その後探鉱はあま り活発には行われず、2000 年以降掘削が行われていない。 イタリア南部のシチリア島地域については、2000 年代前半まで重質油をターゲットとした探鉱が行われ、 陸上・洋上含めていくつかの油田が発見されており、現在でも比較的有望な地域として探鉱・開発活動 が続けられている。 (2)クロアチア クロアチアでは、陸上の石油・ガス探鉱は 19 世紀から行われており、長い歴史を誇っている。クロアチ アにおける石油・ガスの探鉱開発ライセンスは、国営である INA が唯一保有する。これまで、何社かがク ロアチアにおける探鉱開発に参画してはいるが、全てが INA との合弁で行われ、生産物分与契約を INA と締結しての活動となっている。 クロアチアにおけるアドリア海洋上での探鉱活動は、1960 年代から始まり、1973~1993 年にかけて 7 つのガス田が発見されている。その後、クロアチア国営INAは、技術支援を求めて1996年にイタリアENI との合弁企業による探鉱及び開発を行っている。これにより、1996 年以降、7 つのガス田が発見されてい る。これまで大規模な石油・ガスの発見はないが、小規模ながら商業性のある油・ガス田の発見は複数 なされているという状況である。 クロアチア政府は、現在クロアチア洋上アドリア海中央部および南部の二次元探査データ取得を進め ており、2013 年第4 四半期に取得完了し 2014 年第1 四半期にはデータ処理が完了する見込みとしてい る。これらの地域はこれまで探鉱が行われていない地域で、クロアチア政府はこれらの地震探査データ を基に 2014 年に洋上ライセンスラウンド開催を計画中である。 図5 イタリア石油生産量 (出所:BP 統計) 図6 イタリア天然ガス生産量 (出所:BP 統計)
– 6 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (3)ギリシャ ギリシャにおける石油・ガス探鉱は、陸上地域については 1900 年頃から、洋上地域については 1960 年代から行われ、併せて 100 年以上の探査の歴史があるが、あまりよい結果は得られていない。1970 年 以降は探鉱活動も徐々に衰退していき、国営企業による探鉱が限定的に継続されていた。1996 年に同 国初の国際ライセンスラウンドが開催されたが、2007 年に石油・ガス探鉱に関する規制変更があり、それ までに賦与された全てのライセンスが取り下げられている。
2009 年にギリシャの Energean Oil & Gas 社が洋上の二次元地震探査を実施し、また、2011 年には再 度石油・ガス探鉱の規制が変更され、新たな探鉱の動きが見られるようになる。この探査結果等によると、 ギリシャ西部洋上イオニア海には 220 億バレル、エーゲ海北部には 40 億バレルの石油の資源量がある と評価されており、そのうち 10%程度が採取可能とされている。また、クレタ島南部の洋上についてもガス 資源が有望との見方がされている。、 2012 年にはギリシャ西部 3 鉱区(陸上及び洋上)の公開入札が行われた(最終評価中)。 さらに、現在政府はイオニア海洋上(主に深海部)の地震探査とそのデータ解析を進めており、このデ ータを基に 2014 年に次のライセンスラウンドを開催する計画としている。 図7 ギリシャの石油・ガス探鉱
– 7 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (4)アルバニア アルバニアの近代石油探鉱は 1930 年頃に始ま り、その後 1970 年代まで石油生産は活発に行わ れていた。しかし、1970 年頃からの外交関係の断 絶が影響し、1990 年まで石油産業は衰退の一途 であった。1990 年頃からようやく開放路線の政策 に移行したことで、2000 年代には海外企業がア ルバニア石油産業に参画するようになった。 また、これまで探鉱の対象地域は陸上地域が中 心であったが、2007 年に Cairn Energy(Joni-5)、 2011 年に San Leon Energy がアルバニア洋上鉱 区(Durressi:当初はBeach Energyが25%を共同保 有していたが、現在は San Leon Energy 社が 100% 保有)の探鉱に参入した。
San Leon Enegy は、2011 年に同鉱区の 2 次元お
図8 ギリシャ洋上二次元地震探査範囲
(出所:ギリシャMINISTRY OF ENVIRONMENT, ENERGY & CLIMATE CHANGE)
図9 アルバニア鉱区
– 8 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 よび 3 次元地震探査を行い、同社保有鉱区に最大20 億バレル相当の石油が存在している可能性がある としている。
また、イスラエルの Israel Land Development Co.も、子会社である Emanuelle Adriatic Energy を通じて、 2012 年アルバニア洋上鉱区(Block A-2, 3, 4)に参入し、現在探鉱を計画中である。 (5)モンテネグロ 現在モンテネグロでは石油・ガスの生産は行われていない。この地域での石油・ガス探鉱は 1910 年代 から陸上での探鉱が行わている。1970 年代には、初めての地震探査を用いての洋上における探鉱も一 部実施されたが、これまでに目立った実績もなく、その後はほとんど探鉱は行われていない。 しかし、周辺国(イタリア、アルバニア、クロアチア)での石油・ガス生産の実績と、石油・ガス生成の地 質的な基本条件は揃っているとして、政府は石油・ガス開発への期待を高めている。 モンテネグロ政府は、現在、洋上鉱区での石油・ガス探査のための同国独立後初のライセンスラウンド が開催されている。入札に公開された鉱区は、アルバニアとイタリアの洋上境界に隣接する同国南部地 域の 13 の洋上鉱区(合計 3000km2)となっており、入札書提出の期限は 2 月末となっている。 図10 モンテネグロ-イタリア地質構造 (出所:モンテネグロ政府ホームページ)
– 9 – Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4.まとめ ・アドリア海北部の浅海地域では、石油・ガスの探鉱・開発は、古くから行われ、イタリア沿岸では多くの 油・ガス田が発見されているが、いずれも小規模なものとなっている。 ・しかし、当該エリアを除くアドリア海において、これまであまり探鉱が行われていない。 ・2000 年以降の世界各地での大水深地域における石油・ガスの大規模発見が、アドリア海周辺(イオニ ア海含む)の深海域に対しても期待を抱かせている。 ・本地域における地震探査も今後進んでいくと思われるが、既に初期の地震探査を行ったギリシャでは、 同国イオニア海域に 220 億バレルの石油の資源量があると評価されている。 ・モンテネグロでは現在ライセンスラウンドが開催中で、クロアチア・ギリシャにおいても 2014 年にライセ ンスラウンドが開催される計画である。 ・このようにアドリア海~イオニア海にかけての深海域においては、今後石油・ガスの探鉱開発作業の進 展が見込まれており、その結果が注視されるところである。 以上 図11 モンテネグロ鉱区
(出所:OIL & GAS Montenegro ホームページ)