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自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

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 自己株式の消却の会計・税務処理  自己株式の処分の会計・税務処理

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自己株式の消却の会計・税務処理

1.会社法上の取り扱い 取得した自己株式を消却するには、取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります(会 178)。取締役 会決議では、消却する自己株式数を、種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要が あります。自己株式を消却しても、会社の資本金や発行可能株式総数(授権枠)は減少しません。株式消却に関する 会社法での改正点として、自己株式の消却により発行済株式総数が減少した場合に自動的に授権株式数も減少する という旧・商法の解釈が変更されました(会 113②)。このため、定款変更の株主総会決議は不要です。なお、発行済株 式総数は減少するので、商業登記の変更が必要です(会 915①、会 911③九)。自己株式を消却する意味は、その自 己株式が消滅するだけではなく、消却する自己株式数だけの新株式を再度発行する枠ができるということと、財務上の 効果として 1 株当たり利益(EPS)が改善することです。 また、発行可能株式総数(授権枠)が、発行済株式総数の 4 倍以上となるケースもあり得ることになりました。会社法 上、定款変更で発行可能株式総数(授権枠)を増加させる場合は、変更後の授権枠は発行済株式の 4 倍未満と規制 されています(会 113③)。しかし、自己株式の消却で発行済株式が減少しても授権枠を減少させる定款変更手続きは 不要です。 2.会計処理 自己株式の消却財源は、会社法に従い、その他資本剰余金と定められています(会計規 24③、自己株式会計基準 11)。旧・商法では、消却する自己株式の簿価を資本剰余金・利益剰余金のいずれから減額するかは、会社の意思に 委ねられていました。しかし会社法では、優先的にその他資本剰余金から減額することとされました。 (金額単位:円) その他資本剰余金 2,000,000 自己株式 2,000,000 その他資本剰余金が 0 のためマイナスとなる場合は、期末日時点においてその他利益剰余金(繰越利益剰余金)に 振り替えます(同 第 12 項、会計規 27③、29③)。株主資本等変動計算書にも、同様に科目振替を記載します。 その他利益剰余金 2,000,000 その他資本剰余金 2,000,000 自己株式の消却に関する付随費用は、営業外費用として処理します(同 第 14 項)。具体的には、商業登記の発行 済株式総数の変更の登録免許税 3 万円が該当します。 3.税務処理

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4.申告調整と別表四、五の記載例 自己株式 2,000,000 利益積立金 2,000,000 自己株式を消却する場合は、必ず申告調整が必要になります。なぜならば、上記設例では、会計上は自己株式の 消却をその他利益剰余金の減少で認識しますが、税務上は何もなかったのと同じであり、利益積立金も変動しないし、 資本金等の額も変動しないからです。 <別表五(一)> Ⅰ 利益積立金額の計算に関する明細書 区分 期首利益積立金 期中増減 期末 減少 増加 利益準備金 別途積立金 自己株式 △1,750,000 - 1,750,000 0 資本金等の額 - - 250,000 250,000 繰越損益金 2,000,000 △2,000,000 Ⅱ 資本金等の額の計算に関する明細書 項目 期首資本金等の額 期中増減 期末 減少 増加 資本金 50,000,000,000 50,000,000,000 資本準備金 その他資本剰余金 自己株式 △250,000 - 250,000 0 利益積立金 - - △250,000 △250,000 ※会計処理に基づく増減は、申告調整と区別を明示するために斜体で表示 会計上は、当期の決算時点で繰越利益剰余金を 2,000 千円減少させています。税務上は、前期の自己株式の取得 時点で利益積立金を 1,750 千円減少させています。また、実務上は存在するはずの当期首や当期中の繰越利益剰余 金、当期純利益を説明の便宜のため記載省略しています。

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自己株式の処分の会計・税務処理

1.会社法上の取り扱い 取得した自己株式を売却処分するには、決議機関として以下の通り分類されています。会社法での「募集株式の 発行等」とは①募集株式の発行はいわゆる新株発行を意味し、②等が自己株式の売却処分・代用交付を意味します (会 199)。実務上は、株式交換の際に親会社の自己株式を子会社の株主に代用交付する手法が一般的です。なお、 自己株式を証券市場で売却することは、会社法上には禁止規定がありません。しかし、インサイダー取引の危険が高 いため認められないと解されています。 第三者割当増資のケース 株主割当のケース(会 202) 原則 公開会社が有利発行しな い場合 原則 公開会社または定款の定 めのある場合 募集株式の発行等 株主総会の特別決議 取締役会決議 株主総会の特別決議 取締役会決議 2,000 千円で取得した自己株式を、1,800 千円で外部売却する場合の会計・税務処理は以下の通りです。①と②を 両方同時に実施する場合は、下記の計算を区分する必要があります。 2.会計処理 (金額単位:円) 現預金 1,800,000 自己株式 2,000,000 その他資本剰余金 200,000 自己株式の売却処分をした場合は、会計上も税務上も資本取引として新株発行と同様の処理を行います。会計上 は、売却した自己株式の簿価との差額を、その他資本剰余金の自己株式処分差損益に計上します(自己株式基準 9、10、会計規 14①四、②一)。その他資本剰余金がマイナスとなった場合は、消却時と同様にその他利益剰余金 (繰越利益剰余金)に振り替えます(同 第 12 項)。株主資本等変動計算書にも、同様に科目振替を記載します。 その他利益剰余金 200,000 その他資本剰余金 200,000 3.税務処理

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自己株式を売却処分した場合、上記2.と3.の差額より振替調整が必要です。 自己株式 2,000,000 資本金等の額 1,800,000 利益積立金 200,000 <別表五(一)> Ⅰ 利益積立金額の計算に関する明細書 区分 期首利益積立金 期中増減 期末 減少 増加 利益準備金 別途積立金 自己株式 △1,750,000 - 1,750,000 0 資本金等の額 - 1,750,000 200,000 △1,550,000 繰越損益金 200,000 △200,000 Ⅱ 資本金等の額の計算に関する明細書 項目 期首資本金等の額 期中増減 期末 減少 増加 資本金 50,000,000,000 50,000,000,000 資本準備金 その他資本剰余金 自己株式 △250,000 - 250,000 0 利益積立金 - 200,000 1,750,000 1,550,000 資本金等の額は、期末時点では期首時点より 1,800 千円増加します。自己株式は、会計上も税務上もなくなりま す。 5.留意事項 自己株式を外部に売却処分するということは、適正時価による限りは原則として新株発行による増資と同様に資本 取引として取り扱われます。しかし、後者の場合は調達資金の最低 2 分の 1 は資本金に組み入れる必要があります (会 445)。そして、登録免許税が課税されるという問題があります。100 億円の資金調達をエクィティ・ファイナンスで 検討する場合、最低でも 50 億円×0.7%=35 百万円が課税されます。前者の場合は、同額を株式上場等で資金調 達しても資本金を増加させずにすむので、登録免許税の負担問題は生じません。また、発行済株式総数が増加しな いので、商業登記手続も不要です。

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Reference Purpose Only

本レターに掲載している情報は、一般的なガイダンスに限定されています。この文書は、個別具体的ケースに対する会計・税務のア ドバイスをするものではありません。会計上の判断や税法の適用結果は、事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます。 また、解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります。実際に企画・実行される場合は、当事務所の担当者にご 確認ください。

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