平成２７年９月２４日 生 活 文 化 局
偽造した給与明細を提供して若者に消費者金融で借り入れさせ、
投資講座を契約させていた３事業者に業務停止命令（３ヶ月）
お金がないです。 消費者金融で借りる方法がある。 給与明細を作ってあげる。 審査の際に、この明細を提出して。 年収は○○○万円、 借りる目的は、親の医療費って申告して。 １ 事業者の概要 事業者名 株式会社 エコールソルディ Ｓｏｕｎｄ Ｓｙｓｔｅｍ株式会社 （以下、「サウンドシステム」という。） 株式会社 ノーメイク 業務内容 ・講座運営（役務提供） ・契約 ・勧誘 ・消費者の呼び出し （以下、「アポ」という。） ・勧誘 代表者名 代表清算人 ※1 是石 剛 代表取締役 鈴木 満 代表取締役 坂口 彰政 所在地 （営業所） 東京都港区港南 四丁目２番７号※2 東京都港区港南二丁目１６番８ 契約対象 名称「Ａｓｓｅｔ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ａｃａｄｅｍｙ(アセットリソースアカデミー)」 海外のブックメーカー※3を利用した、賭け事で利益を得る投資手法を教える講座（１時間×１０回 の講座と補助教材ＣＤ－ＲＯＭ１枚。）の受講契約（以下、「本件契約」という。） 契約額 通常：５２万５，０００円 学生：４３万２，０００円 設立 平成 25 年 8 月 30 日 平成 24 年 4 月 17 日 平成 27 年 2 月 23 日 資本金 １００万円 １００万円 １００万円 売上高※4 約３億７，７００万円 (平成 25 年 8 月 ～平成 27 年 6 月) 約９，４００万円 (平成 25 年 8 月～平成 27 年 6 月) 約１，６００万円 (平成 27 年 2 月 ～平成 27 年 6 月) 契約件数※4 ７２４件 (平成 25 年 8 月 ～平成 27 年 6 月) ※1 現在清算手続き中であり、清算法人として存続。 ※2 登記簿上の所在地は、東京都中央区日本橋兜町５番１号。 ※3 主に欧米において、スポーツ競技の勝敗や得点などにつき、独自の配当倍率を不特定多数の客に提示して、 賭けの結果により的中者に配当することを業としている組織。 ※4 事業者報告 本日、東京都は、海外のスポーツ競技への賭け事を利用した投資手法講座を契約させてい た３事業者（株式会社エコールソルディ、Ｓｏｕｎｄ Ｓｙｓｔｅｍ株式会社、株式会社ノー メイク）に対し、特定商取引に関する法律（以下「特定商取引法」という。）第８条に基づき、 業務の一部を停止すべきことを命じました。当該３事業者は、「仲良くしてください」などと、 勧誘が目的であることを明らかにしないまま、ＳＮＳを使って消費者を呼び出し、消費者金 融での借り入れを執拗に促すなどの迷惑な勧誘を行っていました。 【問合せ先】 担当 生活文化局消費生活部取引指導課 電話 ０３－５３８８－３０７３２ 勧誘行為等の特徴 （１） サウンドシステムまたはノーメイクの営業員がＳＮＳ（ミクシィ等）を用いて、「初 めまして。良かったら仲良くしてください。」「自分も○○を学んでいます。会って話し ませんか。」などのメッセージを消費者に送って友人関係を作った後、勧誘目的を告げ ずに消費者を喫茶店等に誘い出す。 （２） 喫茶店等で、営業員は「自分を変えてくれた人がいる。会って、話を聞いてみません か。」などと消費者に言い、後日会う約束を取り付ける。 （３） 営業員は、消費者をマンションの一室にあるサウンドシステム・ノーメイクの営業所 に連れて行く。営業所内の個室で、説明担当者が海外のブックメーカーで投資を行っ ている話をし、「確実に勝てる試合にしか賭けないから、大きく儲かることはないけ ど、確実に資産は貯まっていく。」「この賭け方を教えているスクールがある。」などと 説明し、５２万５千円の本件契約の勧誘を行う。 （４） 高額のため消費者が購入を断わると、説明担当者が消費者金融での借り入れを勧める。 消費者が借り入れをためらうと、「儲かるんだから返済に困ることはない。」などと説 得をし、消費者に借金をして契約することを決断させる。 （５） すぐに消費者に借り入れをさせるために、偽造した給与明細を消費者に渡し、さらに 消費者金融での偽りの申告内容を具体的に指示する。消費者金融までは営業員が同行 する。 （６） 借り入れ後、営業員が別のマンションの一室にあるエコールソルディの事務所に連れ て行く。消費者は、契約書に署名した後、ＣＤ－ＲＯＭを受け取り、そのまま一回目 の講座を受講する。 ３ 業務の一部停止命令の対象となる主な不適正な取引行為 不 適 正 な 取 引 行 為 特定商取引法の条項 消費者に対し、「初めまして。良かったら仲良くしてください。」「自 分も○○を学んでいます。会って話しませんか。」などと言って喫茶 店等に誘い、「自分を変えてくれた人がいる。投資で成功して、今は 社長をやっている。今度、その社長と会って、話を聞いてみませんか。」 「確実に収入が入る方法をやっている人がいるんだけど、興味があっ たら今度その人に会ってみないか。」などと告げ、勧誘に先立って、 本件契約の締結について勧誘をする目的である旨及び本件契約の内 容を明らかにせずに、営業所への来訪を要請していた。 第３条 勧誘目的等不明示 特定商取引法により、契約の申込み又は締結後、一定期間内は無条 件で申込みの撤回又は契約の解除を行うことができるにもかかわら ず、「クーリング・オフ期間内でも、ＣＤ－ＲＯＭを開封したら、ク ーリング・オフできなくなります。」などと、契約の解除に関する事 項について不実のことを告げていた。 第６条第１項第５号 解除に関する不実告知 本件契約の締結について勧誘をする目的であることを告げずに誘 引した消費者に対して、不特定多数の一般人が自由に出入りしていな いマンションの一室において、本件契約の締結について勧誘を行って いた。 第６条第４項 公衆の出入りする場所 以外の場所での勧誘 消費者が何度も断っているにもかかわらず、強い口調で繰り返し勧 誘を行ったり、「そんなお金ないです。」と断る消費者に対して、消 費者金融での借り入れを勧め、借り入れをためらう消費者を「儲かる んだから返済に困ることはない。」などと説得したうえに、当日中に 借り入れするよう、偽造した給与明細を渡すなど、迷惑を覚えさせる ような仕方で勧誘を行っていた。 第７条第４号 省令第７条第１号 迷惑勧誘 固定収入が無く、本件契約のための購入資金の無い学生に対して、 財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っていた。 第７条第４号 省令第７条第３号 適合性原則違反
４ 業務の一部停止命令の内容 平成２７年９月２５日（命令の日の翌日）から平成２７年１２月２４日までの間（３か月間）、 特定商取引法第２条第１項に規定する訪問販売に係る次の行為を停止すること。 （１）契約の締結について勧誘すること。 （２）契約の申込みを受けること。 （３）契約を締結すること。 ５ 今後の対応 業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第７０条の２の規定に基づき ２年以下の懲役又は３００万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定 商取引法第７４条の規定に基づき３億円以下の罰金を科する手続きを行う。 《参考①》東京都内における本件契約に関する相談概要（平成 27 年 9 月 18 日現在） 平均年齢 相 談 件 数 ２５年度 ２６年度 ２７年度 合計 ２３．５歳 ０件 １２件 ５件 １７件 《参考②》３事業者の関係性 本件契約は、サウンドシステムの二次代理店であるノーメイクによって消費者へのアポが 行われ、サウンドシステム及びノーメイクによって勧誘が行われている。契約手続き及び消 費者への講座提供は、エコールソルディが行う。 エコールソルディは、契約者の支払代金の一部を報酬としてサウンドシステムに振り込む。 サウンドシステムでは、サウンドシステムの取り分を引いた金額を、ノーメイクに振り込む。 ノーメイク エコールソルディ サウンドシステム ⑤報酬 ④報酬 営業員 代理店 契約関係 コンサルタント （経理・事務処理、営業員の指導） ①アポ 消費者 ②勧誘 ②勧誘 ③契約・代金支払い
◆投資活動はリスクがあるため、本来は余剰資金で行うものです。投資に関する商品等を、 借金をしてまで購入する必要があるかどうか、慎重に検討してください。 ◆ＳＮＳ等で知り合った人から「人を紹介したい」などと言われた場合、商品等を勧誘する ことが目的である可能性があります。また、営業所の個室に連れていかれた場合、勧誘を 断ることは非常に困難になります。よく知らない人からの連絡・誘いには、十分に注意し ましょう。 ＜参考＞・東京都消費生活総合センター ０３－３２３５－１１５５（相談専用番号） ・同様の手口に心当たりのある方は、悪質事業者通報サイトにも情報をお寄せくださ い。http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/tsuho/honnin-form.html 消費者へのアドバイス
参考資料 【事例１】 平成２６年１０月頃、消費者甲はＡからＳＮＳでメッセージをもらった。メッセージのやり取 りで、甲はＡと会う約束をした。 約束の日、甲は都内の喫茶店でＡと会った。Ａは「自分はいろいろなビジネスをやっている。 確実に入ってくる収入があるから、がっちり働かなくても大丈夫。」「今の給料プラス１０万円 とか入ってきたら良いよね。」と言った。そしてＡは「確実に収入が入る方法をやっている人が いるんだけど、興味があったら今度その人に会ってみないか。」と言った。 数日後、甲はＡと品川駅で待ち合わせをし、駅から近いマンションに行った。 甲はマンションの一室の一部屋に案内され、Ｂを紹介された。Ｂははじめに社会情勢や年金の 話をし、「私たちの老後にもらえる年金が少ないので、副収入があると良いよね。」と話した。 そしてＢは「収入の方法として、投資がある。ブックメーカーって知っているかな。スポーツの 勝敗を賭けるんだけど、ある方法を使って、そのルールにのっとって賭けると、ほとんど勝てる。 だから、その方法を使って賭けることはギャンブルではない。」と話した。Ｂは説明をしながら、 過去の投資成績のグラフを見せた。Ｂは、グラフのマイナス部分を指し、「このマイナスは、あ る方法で決まっているルールを、わざと無視して賭けてみた。そしたらやっぱり負けた。」「ル ールを守って賭ければいいだけだから、誰でもできる。誰でも儲かる。ただの作業だよ。」と説 明した。そしてＢは「この儲けられるやり方を教えているスクールがある。もしやりたいなら５ ２万５千円かかる。」と言った。甲は、高額なことに驚いた。Ｂは「ルールさえ守れば、確実に 儲かる。たまにイレギュラーで負けることもあるけど、あくまでイレギュラー。基本的に勝てる から大丈夫。」と話し、「やるかどうかは、Ａと話してみて。」と言い、部屋から出ていった。 甲はＡに「やってみたい気持ちはあるけど、金額が高いので、できないです。」と断った。す るとＡは「自分もそんなお金なかったけど、お金はローンを組んで、借りてやったよ。勝って儲 かったから、もう返済は終わった。俺の友達にも、お金を借りてやらせたけど、友達も今では借 金を返済して、プラスになっている。」と言った。甲は借金をしてまでやろうとは思えず、返事 に詰まっていると、Ａは「ローンを組むことは悪いことじゃない。働いてお金を貯めてからやろ うとしたら、そのお金を貯めている時間が無駄になる。どうせ儲かるのだから、やるのなら早い ほうがいい。」と言った。甲は、みんなお金を借りてやっていて、儲かって返済済みという話を 聞き、お金を借りることへの抵抗感も無くなり、「やる。」とＡに伝えた。 Ａは「お金を借りるには、色々な書類が必要になる。けど、そういったサポートも、こっちで やっているから安心して。」と言い、甲に『勤務先』『月々の給料金額』などを聞き、部屋から 出て行った。１０分ほど経ち、Ａが部屋に戻ってきた。Ａは給与支払明細書と賞与明細書を持っ ていた。明細書に記載されている金額は、甲の実際の給与より高かった。また、所属部署名や社 員ナンバーはデタラメなものであった。甲が「本来の収入と違うけど大丈夫ですか。」と聞くと、 Ａは「このくらいの金額にしないと、お金を借りられない場合がある。いつもこんな感じでやっ ているから。」と答えた。 甲は明細書を受け取り、Ａに案内され消費者金融に行った。甲はＡから、「消費者金融で借り るときは、堂々としていれば大丈夫だから。今の給料の額を聞かれるから、○○万円って答えて。 年収は聞かれたら、○○○万円って答えて。借りる目的を聞かれるけど、介護費とか、治療費と かいろいろあるけど、答えやすいので答えて。」などと、消費者金融での申告内容を指示された。 消費者金融で借り入れ後、甲はＡに連れられ、説明を受けたマンションとは別のマンションに 行った。 甲はＡとマンションの一室に行き、契約担当者のＣを紹介された。甲はＣから契約書を説明さ れ、お金を渡し、ＣＤ－ＲＯＭを受け取った。 契約から８日以内に、甲はクーリング・オフのハガキを出した。甲はハガキを出して○日後、 ハガキが届いているか気になり、契約先に電話を掛けた。すると電話先の男性は「ガイダンスを １回受講しているので、クーリング・オフの対象外になります。」と言った。甲が「ＣＤ－ＲＯＭ は開封していません。こちらは返金されますよね。」と聞くと、男性は「できません。」と答えた。
【事例２】 平成２７年３月、学生でアルバイトもしていない消費者乙は、ＤからＳＮＳで「自分も○○を 学んでいます。」とメッセージをもらった。メッセージをやり取りしていく中で、Ｄから「会っ て話しませんか。」とメッセージがきたので、会う約束をした。 数日後、乙はＤと都内の喫茶店に行った。Ｄは「自分を変えてくれた人がいる。投資で成功し て、今は社長をやっている。今度、その社長と会って、話を聞いてみませんか。投資以外の話も いろいろしてくれますよ。」と言った。乙は、自分の知らない考え方や価値観を聞けるのではない かと思い、「会ってみたいです。」とＤに告げた。 翌日、乙はＤと品川駅で待ち合わせをし、歩いて近くのマンションに行った。マンション内に ある事務所に案内され、Ｅを紹介された。Ｅが乙に「投資に興味あるのかな。」と聞いた。乙は興 味がなかったが、乙が答える前に、Ｄが「少しあるみたいです。」と答えた。乙はわざわざ否定す ることでもないと思い、黙っていた。するとＥは、海外のブックメーカーで投資を行っていると 話し始めた。Ｅは「確実に勝てる試合にしか賭けないから、大きく儲かることはないけど、確実 に資産は貯まっていく。」と、パソコンで表を見せながら説明した。そしてＥは「この賭け方を教 えているスクールがある。」と話し、スクールの料金が４３万２千円であると言った。乙は「生活 費もあるし、授業料も自分で払っているので、そんな大金用意できません。お金に余裕はないし、 投資は自分には合わないと思うので、できないです。」と断った。するとＥは「お金を借り入れて、 出た利益で返済する方法もあるよ。」と言った。乙が「借金はしたくないです。」と言うと、Ｅは 「借金が悪いことだと日本人は考えるけど、借金は悪いことではないよ。先行投資だよ。」と言っ た。乙が再度「借金するのは怖いし、やりたくありません。」と言うと、Ｅは「そんなに怖いこと じゃない。ただ、学生でアルバイトをしていないと借り入れられないから、△△で働いているこ とにして、給与明細を作るよ。Ｄも始めたとき学生で、△△で働いている体で明細書を作ったよ。」 と言った。そしてＥは「ブックメーカーで賭けるのは簡単だし、慣れると一つの賭けを３分くら いでできるよ。お金を借りても、投資で勝ったお金で返せるし、返し終わったら、それ以降は自 分の利益になるよ。」と説得し続けた。乙は、断っても勧誘が続いて帰れない状況だったため、話 を切ったら帰れると思い、「考えてみます。」とＥに伝えた。するとＥは「わかった。じゃあ給与 明細作らせるよ。」と言って席を外した。しばらくしてＥが給与明細を持ってきた。それを見ると、 乙が△△の経理部門で働いている設定になっており、３か月分の給与明細と、ボーナス分の明細 が用意されていた。そしてＥが「今から借り入れてきなよ。借り方が分からないと思うから、Ｄ も一緒について行って。」と言った。乙は一人になれば逃げられると思い、「借り入れは、自分一 人でやるので大丈夫です。」と同行を断った。するとＥは「外は暗いし危ないから。」と言い、Ｄ が「人の好意は無駄にしちゃダメですよ。みんな乙さんのために動いているんですから。」と言っ たため、乙は断りづらくなり、Ｄが同行することを了承した。 乙はＤから、『月収○○万円、勤続年数２年、借りる理由は親が交通事故に遭ったため、車の修 理代と医療費』といった内容を消費者金融で申告するよう指示された。 契約手続きは、勧誘された場所とは別のマンションで行った。乙は、契約担当のＦから契約書 面とＣＤ－ＲＯＭを受け取った。その際Ｆは、「ＣＤ－ＲＯＭを開けたら、クーリング・オフで きません。」と言った。 【事例３】 平成２６年１２月、消費者丙は知り合いのＧから、「久しぶりにお話もしたいのでランチしま しょう。」と、ＳＮＳのメッセージを受け取った。丙はＧとそれほど親しい仲ではなかったが、 会う約束をした。 数日後、丙はＧと都内の喫茶店で会った。Ｇは「今、自分はコンサルタントの業務をやってい て、夢のために頑張っている丙さんの様子を見て、応援したいと思っています。是非、プロにな るためのお手伝いをさせてほしい。」と話した。丙が「サポートして欲しいけど、お金はないで す。」と言うと、Ｇは「お金はあるので大丈夫です。」と言った。丙は、Ｇとまた会う約束をし て別れ、ＳＮＳのやりとりで日時を決めた。 平成２７年１月、丙はＧと都内の喫茶店で会った。Ｇはサポートの話はほとんどせずに、「自 分は、株やＦＸとは違う資産運用をしています。苦労をしている人にだけ、自分がやっている資 産形成の方法を教えたいと思っています。もし資産形成に興味があるのなら、詳細は日を改めて、
私の会社でします。」と言った。丙は資産運用に興味はなかったが、サポートしてくれる話を聞 きたかったため、後日事務所に行くことにした。 約束の日、丙はＧに案内され、品川駅の近くにあるマンションに行った。丙はマンションの部 屋に入ると、Ｈを紹介された。 Ｈは「ブックメーカーを使って投資している。株とは違い、勝敗の統計データをもとに賭けて いるから、確実に勝てる。賭け事だから負ける場合もあるけど、損失が出ないように、欲を出し すぎないようにするなどのルールに従って賭けているから、負けることはない。もし丙さんがこ のやり方を学びたいなら、やり方を教えているスクールがある。運用資金も必要だから、消費者 金融で１００万円借りて、それをスクール費用と運用資金にしてやる方法がある。」と言った。 丙は「借金はしたくないです。返済できるかが不安です。いくら確実に儲かるといっても、賭け 事はやりたくないです。それに１日１０分でも、継続してやれる自信もないです。」と断った。 するとＨは「なんで借金をしたくないんですか。儲かるんだから返済に困ることはない。それに この程度のことを継続できなければ、夢なんてかなわない。○○で食べていきたいなんて考え方 は捨てて、趣味でやったほうがいい。」と言い、その後も、丙が買いたくない理由を言うたびに Ｈは反論した。丙が「今日は決められないので、時間をおいて改めて返事をします。」と言うと、 Ｈは「今日決められない、今決められない人が、○○をやれるわけがない。」と言った。丙はや りたくなかったが、ＧとＨの二人から責められるように説得されることが怖く、諦めの気持ちが あり、「やります。」と言った。時間が遅かったため、丙は翌日にお金を借りに行くことになっ た。 翌日の午前、丙はＧと勧誘を受けた事務所に行き、Ｈから消費者金融での借り方を指示された。 年収は本来の給料より１００万円以上高く書くように、勤続年数も実際は○か月だったが３年間 とするように、借入理由は親の医療費のためと申告するように、と指示された。そして丙は、Ｇ に連れられて消費者金融に行き、お金を借りた。丙は借り入れ後、Ｇに勧誘を受けたマンション とは別のマンションに案内され、契約担当者のＩを紹介された。 Ｉは契約書の説明をするとき、「クーリング・オフ期間内でも、ＣＤ－ＲＯＭを開封したら、 クーリング・オフできなくなります。」と言った。 【事例４】 平成２７年２月、学生でアルバイトをしていない消費者丁は、ＪからＳＮＳで「初めまして。 ぼくも○○県民です。良かったら仲良くしてください。」とメッセージをもらった。メッセージ のやり取りをしていく中で、丁はＪと会う約束をした。 数日後、丁は都内の喫茶店でＪと会った。Ｊは「お金がないと、幸せになれない。今度会うと きに、俺がお金を信用している理由を教えます。」と話した。丁は、Ｊと数日後に会う約束をし た。 数日後、丁はＪに案内され、品川駅の近くにあるマンションの一室に行った。丁はＪに案内さ れ個室に入ると、Ｋが現れた。少し雑談をしているうちに、いつのまにかスポーツブック投資の 話になった。Ｋは「スポーツブック投資とは、海外のスポーツの勝ち負けを予想して、お金を賭 けること。あるやり方に基づいてやっている。このやり方を覚えたら、データに基づいて賭ける から、感情に流されないで賭けることができる。やり方を守れば儲かる。」「お金を稼ぐことが 目的ではなく、自分の夢のために使える資産形成が目的。」と言った。そしてＫは「とりあえず 貯蓄を調べましょう。」と言い、丁に別の場所に行くように指示した。丁はこの段階で、スクー ルの話、金額の話は聞いていない。 丁はＪに案内され、説明を受けたマンションとは別のマンションの一室に行った。そこで丁は、 Ｌを紹介された。Ｌは「貯金はあるかな。バイトはしているかな。」と丁に聞いた。丁は「貯金 はないし、バイトもしていません。奨学金で家賃などをやりくりしています。」と答えた。その 後、Ｌが提示した講座の受講価格が高額であったため、丁は驚いた。丁が「そんなお金ないです。」 と断ると、Ｌは「お金を借りるしかない。Ｊが一緒についていくから安心して。」と言い、紙に 学生ローンで申告する内容をメモしていった。丁は、いつのまにかお金を借りる話になっている ことに混乱していた。そして丁は、Ｌから「早く行かないと、学生ローン会社が閉まる。」と急 かされたため、Ｊに案内され、学生ローンに行った。
