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時制の一致 Celce-Murcia と Larsen-Freeman(1983, pp ) 高橋 根岸 (2014, pp ) に基づいて 時制の一致について 通常の視点とは異なる視点から 概略的に述べる 1 時制 時制の一致 という用語における 時制 とはいかなる

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Academic year: 2021

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- 1 - 時制の一致 Celce-Murcia と Larsen-Freeman(1983, pp. 459-472)、高橋・根岸(2014, pp. 290-305)に基づいて、時制の一致について、通常の視点とは異なる視点から、概 略的に述べる。 1 時制 「時制の一致」という用語における「時制」とはいかなる意味なのかについて確認し ておく。 「時制」とは、時制形のことである。時制形を略して時制と一般的に呼んでいる。時 制形とは、動詞の一形式を意味する。 時制形は、ある事柄がいつの時に起こったのかということに関する話者の判断を示す。 英語には、2 つの時制形がある。現在時制形と過去時制形である。 現在時制形は、ある事柄が現在の時に起きていると話者が判断していることを示す動 詞の一形式である。現在時制形は、略して現在形と呼ばれることが多い。 例として次の文を挙げることができる。

(1)John lives in Chicago now. (ジョンは現在シカゴに住んでいる。)

過去時制形は、ある事柄が過去の時に起こったと話者が判断していることを示す動詞 の一形式である。過去時制形は、略して過去形と呼ばれることが多い。

例として次の文を挙げることができる。

(2)John lived in Chicago last year. (ジョンは去年シカゴに住んでいた。) ちなみに、英語には未来時制はない。動詞を語形変化させて、ある事柄が未来の時に 起こることを意味することを表すという言語使用法が英語にはないからである。つまり、 英語には未来時制形がないのである。 2 時制の一致 「時制の一致」とは、「時制形の一致」のことを意味する。以下、「時制形の一致」と いう用語を使用する。 次のような状況を考えてもらいたい。 昼ごろスーザンが夫に電話してきて言う。「今友人のメリーと昼食をとりながらおし ゃべりしているんだけど、メリーが新しい車を買ったので、今は新しい車を持っている と言うのよ。我が家にも新しい車がほしいわ。もう少ししたら帰るから。」 このとき、「メリーが今は新しい車を持っていると言ってるわ。」は次のように英語で 言うことができる。

(3)Mary says that she has a new car.

(メリーは新しい車を持っていると言っている。)

一週間後、別の友人とメリーのことを話していたら、その友人が、メリーは最近破産 したと言う。おかしいわね。一週間前メリーと話してたら、新しい車を買ったので、新

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- 2 -

しい車を持っていると言っていた、とスーザンがその友人に言いたければ、That’s funny. I talked to Mary a week ago.(おかしいわね。一週間前にメリーと話したけど。) この後、スーザンは次のように言うだろう。

(4)Mary said that she had a new car.

(メリーは新しい車を持っていると言っていた。) 例文(3)における動詞形式の変化に呼応するように、例文(4)における動詞形式が 変化しているように見える。 この、例文(3)における動詞形式の変化に呼応するように、例文(4)における動詞 形式が変化する過程を、全体として「時制形の一致」と呼ぶのである。 換言するなら、「時制形の一致」とは、2 つの文における動詞の形式変化にかかわる 特徴的な現象を表す。 例文(3)および例文(4)を使用して、「時制形の一致」という言語使用上の 1 つの 過程を説明すると次のとおりとなる。表 1 を見ていただきたい。 表 1 時制形の一致 伝達節 被伝達節

例文(3) Mary says that she has a new car.

動詞形式の変化 ↓ ↓

例文(4) Mary said that she had a new car.

例文(3)および例文(4)において、Mary says の部分を伝達節と呼ぶことにする。 例文(3)および例文(4)におけるsays および said を伝達動詞と呼ぶ。また、例文 (3)および例文(4)において、that の後に位置する節を被伝達節と呼ぶ。被伝達節 中の動詞を被伝達節動詞と呼ぶ。 すると、次のような言語現象が認識できることが分かる。 (段階 1)例文(3)における伝達動詞says の現在時制形が変化し、例文(4)におい て過去時制形said となる。 (段階 2)これに呼応するように、被伝達節における動詞has の現在時制形が変化し、 例文(4)において過去時制形had となる。 このように、伝達節における伝達動詞が、現在時制形から過去時制形に変化すること に呼応するように、被伝達節の動詞もまた現在時制形から過去時制形に変化する過程を 時制形の一致と呼ぶのである。 3 日本語使用の視点との比較 時制形の一致という言語現象は、日本語における言語使用の視点から見ると、戸惑う 可能性がある。 表 2 を見ていただきたい。

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- 3 - 表 2 時制形の一致:日本語使用の視点との比較

伝達節 被伝達節

例文(3) Mary says that she has a new car.

動詞形式の変化 ↓ ↓

例文(4) Mary said that she had a new car.

日本語使用にお ける視点 メリーは 言った ∼と 彼女は 持っていた 新しい車を 例文(3)を英語の語順にしたがって、日本語で表すと、「メリーは言っている。新し い車を持っていると。」という言い方になる。この日本語訳を例文(3)日本語訳と呼ぶ。 しかし、例文(4)を英語の語順にしたがって、日本語で表す場合、「メリーは言って いた。新しい車を持っていたと。」という言い方になる。この日本語訳を例文(4)日本 語訳と呼ぶ。 すると、例文(4)日本語訳は、日本語使用上、不自然な日本語となってしまう。自 然な日本語で例文(4)を表すと、被伝達節動詞のである動詞has の過去形 had を、「持 っていた」と言わずに、「持っている」となる。 つまり、例文(4)を自然な日本語で表すと、全体として、「メリーは新しい車を持っ ていたと言っていた」という言い方ではなく、「メリーは新しい車を持っていると言っ ていた。」という言い方になる。 こうした戸惑いを避ける方法がある。それは、時制形の一致という言語現象を、日本 語使用の視点から見ることを、主たる視点としないことである。 時制形の一致という言語現象を、日本語使用における視点から見るのは良い。しかし、 そのとき、時制形の一致という言語現象の理解を助ける視点で見ることが重要である。 一部の英語文法書において記載されているように、「メリーは新しい車を持っている と言っていた。」を英訳したらどうなるか、という視点から時制形の一致という言語現 象を理解しようとする視点は感心しない。採用すべき視点が逆転している。 上で述べたように、例文(3)が表わすような状況を英語で表すと、例文(3)のよう になり、例文(4)が表わすような状況を英語で表すと、例文(4)のようになるという、 事実状況と英語言語形式との関係を理解することが重要である。 あくまでも、そうした関係を理解するために、日本語における思考を行うという観点 が重要である。この点、主客転倒の愚を犯すことがないように注意することが重要であ る。 4 被伝達節における過去完了形 表 1 における例文(3)においては、時制形の一致という言語現象において、伝達動 詞および被伝達節動詞が現在形であり、動詞の形式がまだ過去形に変化していない。よ って、時制形の一致という言語現象において、伝達動詞および被伝達節動詞がまだ現在 形である文を、変化前現在形文と呼ぶ。 また、時制形の一致という言語現象において、例文(4)のように、伝達動詞および 被伝達節動詞が過去形に変化した後の文を、変化後過去形文と呼ぶ。 すると、先ほどのスーザンと夫との電話連絡において、「メリーがこのところ忙しい と言ってるわ。」と言うとすると、その内容は英語で次のように言うことができる。

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- 4 - (5)Mary says that she has been busy.

(メリーがこのところ忙しいと言っている。)

翌日、別の友人とメリーのことを話していたら、その友人が、メリーは最近暇を持て 余していると言う。おかしいわね。昨日メリーと話してたら、このところ忙しいと言っ ていた、とスーザンがその友人に言いたければ、That’s funny. I talked to Mary yesterday.(おかしいわね。昨日メリーと話したけど。)この後、スーザンは次のよう に言うだろう。

(6)Mary said that she had been busy. (メリーはこのところ忙しいと言っていた。) このとき、例文(5)における動詞形式と例文(6)における動詞形式との間にも「時 制形の一致」の関係が見られるか。 表 3 を見ていただきたい。 表 3 時制形の一致:過去完了形 伝達節 被伝達節

例文(3) Mary says that she has been busy.

動詞形式の変化 ↓ ↓

例文(4) Mary said that she had been busy.

表 3 を見れば、次のような言語現象が認識できることが分かる。

(段階 1)例文(5)における伝達動詞says の現在時制形が変化し、例文(6)におい

て過去時制形said となる。

(段階 2)これに呼応するように、被伝達節における動詞has の現在完了時制形 has

been が変化し、例文(6)において過去完了時制形 had been となる。 ここで注意すべきことは、現在完了時制形は現在時制形の一形式であること、および、 過去完了時制形が過去時制形の一形式であること、という文法規則である。つまり、文 法規則上、現在完了時制形は現在時制形の一形式であると考える。また、文法規則上、 過去完了時制形は過去時制形の一形式であると考えるのである。 したがって、表 2 において示した例においても、伝達節における伝達動詞が、現在時 制形から過去時制形に変化することに呼応するように、被伝達節の動詞もまた現在時制 形から過去時制形に変化する過程を時制形の一致と呼ぶ、という定義が当てはまるので ある。 5 時制形の不一致 時制形の一致と呼ぶべき言語現象を公式的に、機械的に捉える言説が、英語文法参考 書に見られる。つまり、伝達動詞が現在時制形で被伝達節動詞が現在時制形の場合、伝

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- 5 - 達動詞が過去時制形に変化すれば、被伝達節動詞も過去時制形に変化するという捉え方 をここでは指摘している。 しかし、こうした捉え方は、場合によっては、過度に単純化した捉え方となる。なぜ なら、時制形の不一致と呼ぶべき言語現象が見られる場合がいくつかあるからである。 時制形の不一致と呼ぶべき言語現象が見られる状況について、以下に順に述べる。 なお、型番号 1 の基本型は、時制形の一致と呼ぶべき言語現象を意味する。時制形の 不一致と呼ぶべき言語現象は型番号 2∼6 を指す。 表 4 を見ていただきたい。なお、型番号 2∼6 において使用した例文は、Celce-Murcia とLarsen-Freeman(1983, p. 462)における文を引用した。ただし、いくつかの文は 元の文を改変したものである。 表 4 時制形の不一致 型番号 型名 動詞の形式 例文

1 基本型 過去・過去 Mary said that she had a new car.(時制形の一致) 2 真理型 (1) 過去・現在 (7) Columbus said that the earth is round.

(2) 過去・過去 (8) Columbus said that the earth was round. 3 繰り返し型 過去・現在 (9) Jane: I said I have a headache, too.

4 現在真実型 過去・現在 (10) Susan told me that she has a swimming pool. 5 過去事実型 過去・過去 (11) Pam said that she wanted to go to New York

to visit friends last weekend.

6 仮定法過去型 過去・過去 (12) John said that if he had the will, he would find the way.(もし意志があれば、道は見つけられ

るのだが、とジョンは言った。) 5.1 真理型 被伝達節が一般的な真実を意味する文となっている場合、被伝達節動詞は過去時制形 に変更されることは必ずしもない。被伝達節動詞として現在時制形の形式が使用される ことがある。 したがって、このような事情がある場合、 例文(7) Columbus said that the earth is round.

において見られるように、伝達動詞の形式および被伝達節動詞の形式が、(1)「過去・ 現在」型となることがある。つまり、伝達動詞の形式として過去時制形が使用され、被 伝達節動詞の形式として現在時制形が使用されることがある。

この場合、時制形の不一致となる。 もっとも、

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- 6 - において見られるように、(2)「過去・過去」型となることもある。つまり、伝達動詞 の形式として過去時制形が使用され、被伝達節動詞の形式として過去時制形が使用され ることがある。 この場合、時制形の一致となる。 したがって、被伝達節が一般的な真実を意味する文となっている場合を「真理型」と 呼ぶと、「真理型」の場合、(1)「過去・現在」型および(2)「過去・過去」型の 2 種類 の言語使用現象が見られる。 5.2 繰り返し型 被伝達節が、直前に言ったことを繰り返す内容となっている場合、話し言葉において、 被伝達節動詞が過去時制形に変更されることはめったにない。 したがって、次のような会話の場合、 Jane: I have a headache, too.

Tom: What did you say?

Jane: I said I have a headache, too.

例文(9) Jane: I said I have a headache, too.

において見られるように、被伝達節動詞として現在時制形の形式が使用されることが多 い。 この場合、時制形の不一致となる。 5.3 現在真実型 被伝達節の内容が現在においても真実であると発話者が考える場合、被伝達節動詞と して現在時制形の形式が使用されることが多い。 以前スーザンから自宅にプールを所有していると聞いた発話者が、今でもスーザンか ら自宅にプールを所有していると信じている場合、

例文(10) Susan told me that she has a swimming pool.

において見られるように、被伝達節動詞として現在時制形の形式が使用されることが多 い。 この場合、時制形の不一致となる。 5.4 過去事実型 被伝達節において過去の事実について述べている場合で、時制形の一致後の文におい て、動詞の形式を過去時制形から過去完了時制形に変更すると意味変更が生じてしまう 場合、時制形の変更を避ける現象がしばしば見られる。 たとえば、パムが次のように発言したとする。

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- 7 -

この発言の直後に、この発話を電話で誰かに伝えようとして、間接話法で

例文(11) Pam said that she wanted to go to New York to visit friends last weekend. のように言う場合、例文(11)は、「パムはニューヨークに行きたかったので、実際にニ ューヨークに行った」という意味に解釈される可能性が高い。

しかし、例文(11)の被伝達節において、動詞の形式を過去時制形から過去完了時制形 に変更し、

例文(13) Pam said that she had wanted to go to New York to visit friends last weekend. と言うと、「パムはニューヨークに行きたかったけれど、実際にニューヨークに行かな かった」と解釈される可能性が高い。 こうした事情の場合、「パムはニューヨークに行きたかったけれど、実際にニューヨ ークに行かなかった」と解釈される可能性を回避するため、被伝達節動詞として過去時 制形の形式が使用されることが多い。 この場合、時制形の不一致となる。 5.5 仮定法過去型 被伝達節において現在の事柄について観念的に述べている仮定法過去文の場合、時制 形の一致後の文において、動詞の形式を過去時制形から過去完了時制形に変更すると意 味変更が生じてしまう場合、時制形の変更を避ける現象が見られる。 たとえば、ジョンが次のように発言したとする。 John : If I had the will, I would find the way.

この発言を聞いた直後に、この発話を電話で誰かに伝えようとして、間接話法で 例文(12) John said that if he had the will, he would find the way.

と言う場合、例文(12)は、「ジョンは今もし自分に意志があれば、道は見つけられるの

だが、と言っている。」という意味に普通解釈される。

しかし、例文(12)の被伝達節において、動詞の形式を過去時制形から過去完了時制形 に変更し、

例文(14) John said that if he had had the will, he would find the way.

と言うと、仮定法過去完了文となり、意味が変化して、「ジョンはもし自分に意志があ

ったのであれば、道は見つけられたであろう、と言っている。」と解釈される可能性が

高い。つまり、

(8)

- 8 - と発言した時点よりも前の時点において、「もし自分にその時意志があったのであれば、 道は見つけられたであろう」と言っていると、異なる意味を表していると解釈される可 能性が高くなる。 こうした事情の場合、現在の事柄について発言しているという真意とは異なる意味と 解釈されてしまう不都合を回避するため、被伝達節動詞として過去時制形の形式が使用 されることが考えられる。 この場合、時制形の不一致となる。 以上、時制形の一致について述べた。 時制形の一致は、書き言葉、および、言語規則に忠実であろうとする口語においてし ばしば適用される言語規則である。 いかなる文脈で時制形の一致という言語規則が適用されているのかについて注意し ながら英語学習をすることが重要である。 引用文献

Celce-Murcia, M., & Larsen-Freeman , D.(1983). The Grammar Book: An ESL/EFL Teacher’s Course. Boston、 Massachusetts: Heinle & Heinle Publishers. 高橋潔・根岸雅史 . (2014). 『基礎からの新々総合英語』. 東京:数研出版.

表 3 を見れば、次のような言語現象が認識できることが分かる。

参照

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