「常陽」に関する参考資料
平成28年10月27日
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
内 容
◆「常陽」の概要と特徴
◆ 「常陽」の再稼働に向けた取組み
◆「常陽」照射試験の国際的ニーズ
◆実証炉に向けた研究開発ニーズ
高速実験炉「常陽」の概要 [主要仕様等]
主要仕様
定格出力 : 140 MWt (発電設備なし) 冷却材 : 液体ナトリウム(2 ループ) 燃料 : 混合酸化物燃料(MOX) 炉心直径 : 80 cm 炉心高さ : 50 cm運転履歴
初臨界 :1977年 運転開始 増殖炉心 (MK-Ⅰ) 50, 75 MWt :1978年 照射炉心 (MK-Ⅱ) 100 MWt :1983年 高度化炉心 (MK-Ⅲ) 140 MWt :2004年高速増殖炉の基本特性である増殖性能を
確認した後、燃料・材料を開発する照射場
として運転することを目的とした高速実験炉
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高速中性子照射炉としての「常陽」の特徴
照射後試験施設 照射装置組立 検査施設 <特徴> ・世界トップレベルの高速中性子束と、 高精度な照射量・照射温度評価技術 ・多様な照射ニーズに応える原子炉の運転と、 照射試験装置 (キャプセル型照射装置等) ・照射後試験施設が隣接。照射途中の非破壊検査 等により貴重なデータが取得可能キャプセル型照射装置
頑丈なキャプセルに燃料ピンを装填 することにより、先進的な照射試験 に対応「常陽」のこれまでの成果
● 熱出力 140MWt ● 初臨界 増殖炉心(MK‐Ⅰ) :1977年 4月 照射炉心(MK‐Ⅱ) :1982年11月 高性能照射炉心(MK‐Ⅲ ) :2003年 7月 ○ 増殖性能の確認 ○ 炉心・プラント特性データの取得 (MK-Ⅰ、MK-Ⅱ、MK-Ⅲ炉心) ○ 核燃料サイクルの輪の実証 ○ 自然循環による崩壊熱除去の実証 ○ MOX燃料の性能確認 (燃料溶融試験、高燃焼度試験の実施) ○ 核融合炉材料開発 ○ 照射損傷研究 ○ 基礎物理研究 ○ 世界最高レベルの高速中性子束 ○ 多様なニーズに対応可能な照射試験 用集合体の開発(キャプセル型) ○ 最先端の照射後試験技術(X線CT) ○ 約100体の照射試験用集合体を装荷 炉心燃料集合体 X線CT画像 高速炉技術の確立 高速炉の安全性の実証 核融合炉材料照射試料 ニュートリノ検出器 の性能実験 照射試験・照射後試験 溶融限界出力試験 「もんじゅ」、実証炉(FaCT)への貢献 ○ もんじゅ・実証炉開発のための照射試験 ○ 高燃焼度を目指した被覆管材料(ODS鋼) 等の照射試験 ○ 自己作動型炉停止機構の照射試験 基礎・基盤研究、外部利用 国際協力 ○ 米国・仏国との連携・協力 (交換照射の実施、プラント運転・ 保守経験等の情報交換、駐在 員の相互派遣) ○ WANO(世界原子力発電事業者協会)、 IAEA等を通じた世界各国と の情報共有 自然循環による除熱 運転保守経験の蓄積、データベース化 ○ プラントの運転・保守、施設定期 検査、改造工事等を通じた高速炉 プラントの運転保守技術の蓄積 ○ 高速炉用機器信頼性データ ベースへの反映 ○ 保守体系データベース、マニュアルの作成、 技術者教育への反映4
「常陽」の再稼働に向けた取組み
○
平成28年度に新規制基準に係る設置変更許可を申請予定
○ 再稼働後は、照射試験機能を活用し、
放射性廃棄物減容化・有害度低減
、
仏国の技術実証炉(ASTRID)の開発協力に関する照射試験
等を予定
2015 (第3期中長期計画) 2021 設置変更許可申請 照射試験準備 申請準備 適合性審査、対策工事等 再稼働 照射試験実施 照射試験計画検討、設工認、集合体製作等 高速炉システムによる放射性廃棄物減容化・ 有害度低減の有効性の確認 MA含有MOX燃料の長期照射試験 Pu含有量を高めたMA含有MOX燃料の照射試験 燃料の中心部をわずかに溶融させる試験 実規模燃料の照射試験 新規制基準への適合 • 耐震対策 : 配管支持装置の補強 • 津波対策 : 海抜38mに設置のため補強不要 • 竜巻対策 : 飛来物対策 • その他対策: 内部火災、溢水対策設備の補強 Am等のふるまい、MA含有 MOX燃料の設計の妥当性等 の照射試験データ 再稼働反映
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常陽
もんじゅ 集合体照射 試験燃料製造 もんじゅ 計画検討 もんじゅ常陽
ステップ-1 Np/Am含有 燃料のピン照射 ステップ-3 Np/Am/Cm含有 燃料の集合体照射 ステップ-2 Np/Am/Cm含有 燃料のピン照射 目的:高速増殖炉の実用炉用燃料として有力なマイナーアクチニド(MA)含有燃料 (TRU燃料とも言う)を、「常陽」及び「もんじゅ」を利用して実証 GACID全体スケジュールGACID (Global Actinide Cycle International Demonstration)
高速増殖炉で燃焼させることにより MA全量リサイクルの可能性を実証 3ステップで段階的に実施 第4世代原子力システム国際フォーラ ム(GIF)/ナトリウム冷却型高速炉プ ロジェクトの一つ 0年 5年 10年 ※ 計画された短期照射試験(2回)を 終了(長期照射試験を今後実施予定)
※
包括的アクチニドサイクルの国際実証
• 太径燃料ピン、軸非均質燃料、改良オーステナイト被覆管、フェ ライト鋼ラッパ管による燃料の性能評価データが必要 • B4C中性子吸収材、シュラウド付Naボンド制御棒要素の性能評 価データが必要 • 炉容器内の炉心近接位置の高温条件下で用いる中性子検出器 (核分裂計数管)の性能評価データが必要 「常陽」での照射試験が期待されている項目 炉上部材料照射装置(UPR*)を用いた ASTRID用炉内中性子検出器の照射試験 径方向反射体領域等での照射試験
* UPR: Upper Core Structure Irradiation Plug Rig
1. 燃料ピン・燃料集合体の照射試験 2. 長寿命制御要素の照射試験 3. 高温条件中性子検出器の照射試験 ASTRID仕様燃料の照射試験 炉心
仏ASTRID計画における「常陽」への期待
仏国のASTRID予備的概念設計における研究開発ニーズ 1) ASTRID炉の概念図• (U, Pu)燃料について知見が多い酸化物燃料と金属燃料に重点 を置き、MAと残留FPを含有する影響を評価する。 • 多重リサイクル中の変動を考慮し、燃料組成等に幅を持たせた 試験を進める。 • 照射挙動に関する技術成熟度は、照射試験の数量と実条件模 擬性を考慮した燃料挙動データベースが重要である。 「常陽」での照射試験が期待されている項目
米国DOE AFC計画 における「常陽」への期待
米国の核変換燃料研究開発ニーズに関する考え方2) J.Carmack et.al., “Review of Transmutation Fuel Studies”, INL/EXT-08-13779, 2008
2)
・先行しているATR炉照射試験 燃料と同等の組成で高速炉による照射試験を行う(酸化物、金属) ・具体的には、以下の組成を典型例として、原子力機構と予備的議論に着手
* Advanced Fuel Campaign.米国の核変換燃料研究開発計画
** ATR[Advanced Test Reactor, INLの熱中性子試験炉]にて、Cdシュラウドにより中性子スペクトルを硬化して行っている照射試験
MA含有燃料のATR炉照射試験 酸化物燃料 金属 燃料 ** *