Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
も
う
ひ
と
つ の
デ
ザ
イ
ン
(
特
集
の
趣 旨)
Another Type of Design
松岡由幸 慶 應 義 塾 大 学 MATSUOKA
Y
(〕shiyuki Keio University ■21
世 紀に増 加 す る「
非日常 の デ ザ イン」
バウハ ウス以 後 約
1
世 紀を経た 現在、
デ ザインを取
り巻
く環境
と して注
目すべ きこ とに、
「
非
日常のデ ザイ ン (Design for the Extraordinary)」が 急 増し
ているこ と が 挙げられ る
。
「非 日常のデ ザイ ン」 と は、
例え ば、
深 海を移 動する探査機、
血管中 を泳ぐ マイクロ ロボッ トな どの非
日常 的 な 力 学 環境
で使用 する人工物のデ
ザ イン で あ る。
我々 は、 時に深 海の 生 物 を 見て、
その 形 態に驚 く。
し か し、
その形態は、
深 海にお ける水 圧、
光、
温度な どの環 境におい て は、
必 然である。
そ の必 然 を見て驚く我々が、
果た し て的を射たデ ザイ ンが できる といえるだろ うか ?マイ クロ ロボ
ッ トは、
そ の質 量の 小 さ さ故に ス ケー
ル効 果を生 ずる。
ス ケー
ル効 果と は、
質 量 が3
乗に比 例し、
面積 が2
乗に比 例 する こ と に伴う、
スケー
ル の水 準による影 響であ る。
こ の スケー
ル効 果のた め、
マ イクロ ロボッ トは一
般の水 中に おいて も、高
い粘性
を有す
る水中
で泳
ぐよ う な状 態になる。 ま して、
高 粘 性を有 する 血液 中では言う まで も ない。 そのため、
血 管 中 を泳 ぐマ イクロ ロボッ トのデ
ザ イン解
を求
め るこ と は非 常に 難 しい問 題である といえる。 ■「
も うひ とつのデ ザイ ン」
として の「
生命
デ ザイ ン」
「非日常のデ ザイ ン」 の対 象と して21
世 紀に特に 注 目さ れ る キー
ワー
ドに、
「生 命 (
Life
)」が挙 げ ら れる。 現 在、
既に世 界の多くの先 端 的な研 究 機 関 と研 究 者が、
その研 究 対 象 を、
バイ オ、 医 療、
福 祉 などの 「生命
」に関与
する分野にシフト して いる。
例えば、
最 先 端の手術
用装
置、
人工臓
器と その シ ス テ ム、
人 間の動作を アシ ス トするロ ボッ ト、
再 生 医 工学
を駆使
し た 人 工生体
である。
21
世紀
の研究開
発 は、
こ のよ うな 「生 命」 に関 与 する人工物 やシ ステ ム が主 要 な 研 究 対 象 となる。 そのため、
「生 命」 に 関 与す るデ
ザイン (以 下、
「生
命デ
ザ イン (Design
for
Life
)」 と称 する)は、21
世 紀の主 要 な デ ザイ ン対 象の ひとつ と なっ て い くであ ろ う。
こ の よ う な 状 況におい て
、デザ
イ ンは これ まで の方 法 論の ま まで対 応 可 能であろうか ?従 来、
デ ザイ ン は大き く 分 け て、20
世 紀 初めのバ ウハ ウ ス 以 降に 進 展 し て き た デ ザ イ ン (Design
) と、20
世 紀 中に シ ス テ ム 工学か ら急 展 開を始め た 工学設計 (Engineering
Design
)に2
分
されて き た。
しか し、
その ど ち ら に おいて も、
こ の よ う な 「生命デ
ザ イ ン 」 に対して、
十分 対 応可能な状 況には ないと言わ れて い る。 デザイ ン 対象が 非 日常性 という 人 間 が実体 験の少 ない環 境 下に置か れ る場 合、
従 来のデ
ザインや工学 設 計においては、
的 確にデ ザイ ン解 を発 想 し、
評 価 す るこ と は難しい問 題で あ る。
経 験の 全 く無い非 日 常では、
た と えデ
ザ イナー
の豊か な発 想 力を もっ て して も、
斬 新でかつ 的 確 なデ
ザ イン解 を 発 想 するこ と は難
しい。
ま た、未知
の部
分を有
する非
日常の環
境 下で は、
た と え優 秀な設 計 者の分 析 力を もって し て も、
多 様な環 境 要 因を総 合 的に捉えて、 評 価と判 断を遂 行 すること は非 常に難 しい問題である。
その ため、
「生 命
デ
ザイン 」 はデ
ザ イン と工学 設 計の い ずれ におい て も難 問で あり、
それ自 身、
新たな創 造性
を 必要とする 「も うひ とつ のデ ザイ ン (Another
Type of Design )」 であることが 理 解できる。
今、
我々は
、
こ のよ う な新しいデ ザイ ンの波に直面
して お り、
「も う ひ とつ の
デ
ザイン 」 に向
け ての 新 た な 取 組み を行っ てい く必 要がある。 ■本特
集の趣 旨以上 に述べ た
21
世 紀のデザ
インを 取り巻く新 た な環
境を鑑み、
「も う ひ とつ のデザ イン
ー
生命
と創造
のため に一
」 を大 会テー
マ とした 平 成16
年度 秋 季 企 画大 会 :’
tDesign
Forum
2004
atKeio
Univ.
”
(平 成
16
年11
月5
日) が催さ れ た。
な お、
本 大 会は慶 應21
デザ イン学研究特 集号 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol
.
12No.
42005 1Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
世 紀
COE
プログ ラム 「知 能 化か ら生 命 化へ の シ ス テ ムデ
ザ イン 」 の共催のも とに実 施され た。本 大 会の 趣 旨は
、
世 界の 先 端 的 研 究 機 関が 「生 命」 ま た は 「生命 化」 を キー
ワー
ドにした 研 究ヘ シ フ トして い る今日 に おいて、
「生命」 に関 与 するも う ひ とつ のデ ザ インの在り方を再 考し よ う という も の であっ た
。
大会
は、
ふ たつ のセ ッ ショ ン、
「生命 に学ぷ
デ
ザイ ンー
形態 模 倣 からシ ステム模倣
へ一
」 と 「生 命とのインテグレー
ションー
生 命シ ステム と 人 工 シ ス テ ムの融 合一
」 を軸
と して、CG
アー
テ ィ ス ト、
プロ ダク トデ ザイナー、
ロボッ ト工学 者、
建 築 学 研究者
な ど多彩 な 顔ぶ れの講 演者
か ら、
それ ぞ れ 最 先端の興 味 深い お話
を伺うことができた。
本 特 集 は、 その大
会
の趣
旨を そのま ま 引継い た も ので あ り、21
世 紀のデザ インに お け る 「も う ひ とつ の在り方」 につ い て の議 論の場を提供
で きれ ば 幸い であ る。
最 後に
、
大変
ご多
忙 な なか、
本 特 集 号へ執筆
を快
く引 き 受 けて くだ
さ る と と も に、
最 先端のデ
ザ イン の考
え方や指 針 を示し て くださっ たすべ て の執 筆 者 の方々 に 厚 く御 礼 申し 上げる。
2 SPECIAL ISSUE OF JSSD Vol