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第86回日本感染症学会総会学術集会後抄録(II)

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Academic year: 2021

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第 86 回日本感染症学会総会学術集会後抄録(II)

会 期 平成 24 年 4 月 25 日(水)・ 26 日(木) 会 場 長崎ブリックホール 他 会 長 河野 茂(長崎大学病院院長) O1-116.京都府内 13 病院小児科における多剤耐性菌検 出状況―全診療科での検出状況と比較して― 京都小児科医会感染症研究会1),京都市立病院感 染症内科2) 清水 恒広1)2) 【目的】成人領域で拡大傾向を示す ESBL 産生腸内細菌や, 最近注目を浴びている多剤耐性緑膿菌,VRE など多剤耐 性菌の,小児での検出状況を京都府内の病院小児科におい て後方視的に調査し,全診療科での傾向と比較して小児領 域への拡大傾向を調べる. 【方法】京都府内で小児の入院診療が可能な 13 の主要一般 病院において,2007 年 1 月から 2010 年 12 月までに検出 された,黄色ブドウ球菌と MRSA,Escherichia coli ,Kleb-siella pneumoniae ,Kleb,Kleb-siella oxytoca と各 ESBL 産生菌, 腸 球 菌(Enterococcus faecalis ,Enterococcus faecium ) と各 VRE,緑膿菌と MDRP などの菌株数を,各年毎に重 複処理を行い,小児科と全診療科に分け算定し,各耐性菌 の分離頻度を計算する. 【結果】1)MRSA 分離頻度は全科で 40∼60% に対し,大 半の小児科で 20∼40% と低い.2)ESBL 産生大腸菌の分 離頻度は,全科で数%∼16%,小児科でも数%∼10% と 同様だが,一部施設で検出数,分離頻度が高い.3)ESBL 産生K. pneumonie 分離頻度は全科的には 5% 以内にある 施設が多い.小児科では 4 年間で 4 施設計 5 株のみ.一方, ESBL 産生K. oxytoca は全科的にも検出は少なく,小児 科では 4 年間で検出なし.4)VRE は小児科では 4 年間検 出なし.しかし全科的には,E. faecium VRE の検出数, 分離頻度とも高い施設がある.5)MDRP は小児科では 4 年間検出なし.全科的に検出される施設は少ないが,一部 施設で増加傾向. 【考察】京都府内病院小児科では MRSA 分離頻度は成人領 域と比較し低い.小児は市中での MRSA 獲得はあるが,急 性疾患での短期入院が大半を占めるため,入院中の獲得は 成人に比し少ないことが予想される.一方,ESBL 産生大 腸菌は成人領域と同様小児科でも検出件数,分離頻度とも 増加傾向である.尿路感染症患者の尿から検出され,抗菌 薬予防投薬中に選択されやすい.その他の耐性菌検出はま だ少ないが,今後監視が必要である. O1-117.中規模市中病院に感染症科が設置されてから の 2 年間の総括 市立奈良病院感染制御内科 忽那 賢志 市立奈良病院は奈良市の中心に位置する 300 床の中規模 病院であり,感染制御内科は 2010 年 4 月に設置された.県 内で感染制御内科を標榜する科としては 3 つ目であり,全 国的にも感染症科のある病院はまだ少ない.特に当院のよ うな 300 床規模の市中病院に感染症科があるのは全国的に も珍しいと言える.アメリカでは感染症医が市中病院にも 勤務しコンサルトを受けているが,我が国では感染症医の 数が絶対的に不足しており,どのような規模の病院に何人 の感染症医を置くべきであるのかについては定まった見解 がない.日本感染症学会では 300 床以上の医療機関には最 低 1 人の感染症専門医を置くべきであるとしているが,300 床規模である当院における感染制御内科の業務内容,反省 点などを通してこの問題の一つの回答を呈示したい.また, 発表者は感染症医としての経験の浅い 7 年目(就任時)の 医師であり,一人で感染制御内科として業務を開始した. 抗菌薬適正使用の啓蒙や採用抗菌薬の絞り込みなどにより カルバペネム系抗菌薬の使用量を著明に減少させることが できた点など,感染症医として病院に貢献できたと自負で きる点もあるものの,他科の医師あるいは病院幹部の賛同 が得られず実行できなかった点も多数ある.感染症科を設 立してからの 2 年間での業績や苦労した点などを総括し, 今後同じように新たに感染症科を設置する病院,また就任 する感染症医にとって一助となれば幸いである. O1-118.初期臨床研修医に対する off-the-job 形式での 院内感染対策教育セミナー開催の試み 福山市民病院麻酔科1),同 内科2) 小山 祐介1)下江 俊成2) 当院では 2010 年度より初期臨床研修医に対して,院内 感染対策に関する基本事項についての教育を目的とした off-the-job 形式でのセミナーを開催してきた. 【内容】平日以外の 8 時 30 分から 17 時 15 分と開催日時と して,以下のテーマで各 1 時間程度の座学および実習を企 画した.1)グラム染色の実技と結果の解釈,2)標準予防 策と手洗い実習,3)SSI,4)ICT 模擬ラウン ド,5)針 刺し事故対応,感染症関連法規,院内マニュアルの活用法, 6)抗菌薬使用状況とサーベイランスの解釈,7)ケースス タディ(症例検討).受講者にはあらかじめプレテストを 配布し事前学習を促すとともに,受講前アンケートにより 受講者からのニーズや興味を探った.またセミナーの最後 にポストテストを実施し理解度を確認するとともに,受講 後アンケートの結果から次回セミナーの企画 に 際 し て フィードバックを行った.2010 年度は初期臨床研修医 1 年目および 2 年目を受講対象とし,講師は院内感染対策委 員会のメンバー(医師,臨床検査技師,薬剤師および看護

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師)が担当した.翌 2011 年度は研修医 1 年目を受講者と して,研修医 2 年目が講師を担当した. 【結果および考察】セミナー受講前に初期臨床研修医が主 に持つ興味としては,グラム染色の手技,抗菌薬の使い方, ケーススタディといった,日常診療に関連した内容が主で あった.一方,院内の感染対策に関わるマニュアルの活用 法など,病院の感染対策システムに対する理解をセミナー 受講により深めることができたと思われた.さらに,知識 や技術の定着を持続させる上で,研修医 1 年目でセミナー を受講し 2 年目で指導側に立つという形式は有用であった と考えられた. O1-119.当院における感染症内科フェロー担当症例の 検討―1st Generation― 健和会大手町病院総合診療科・感染症内科 小松 真成,八板謙一郎 大城 雄亮,山口 征啓 【背景!目的】当院では,臨床感染症および感染管理を担え る医師の育成を目指し,西日本では初の感染症内科フェ ローシップを 2009 年 4 月より開始した.第 1 期生のフェ ローシップ 2 年間において,担当症例の特徴を把握すべく, 検討を行った. 【方法】2009 年 4 月からの 2 年間,演者フェローの担当症 例を後ろ向きにレビューした. 【結果】計 460 例の入院患者にコンサルタントとして対応 した.コンサルテーション元は院内のほぼ全科にわたり, 総合診療科が 45% と最も多く,救急科 15%,外科 10%, 整形外科 8% と続いた.介入ルートは,主治医から直接依 頼のコンサルトが 50% と最も多く,血液培養の陽性 35%, 特定抗菌薬の使用 14% であった.感染臓器別では,呼吸 器 87 例,血流 81 例,尿路 68 例,皮膚・軟部組 織 39 例, 骨・関節 36 例,膿瘍 28 例であった.院内肺炎,カテーテ ル関連血流感染症,腎盂腎炎,蜂窩織炎,骨髄炎などのコ モンな感染症が多かった.また肺アスペルギルス症,感染 性心内膜炎,壊死性筋膜炎,結核性脊椎炎,人工関節感染 症,ムンプス脳炎,神経梅毒,破傷風,縦隔膿瘍,発熱性 好中球減少症,HIV なども散見した.発熱精査のコンサ ルトでは感染症が 61% と最多で,そのうち尿路感染症 23%,軟部組織感染症 15%,院内肺炎 13%,血流感染症 13%,膿瘍 8% であった.その一方,薬剤熱,誤嚥,偽痛 風,悪性症候群といった非感染症は 16% であった.自然 経過で解熱するなどの原因不明は 21% であった. 【考察】コンサルト症例は多岐にわたり,市中病院の一般 的な感染症診療トレーニングとして,経験を十分に積むこ とが可能であった.他施設プログラムと比較すると,症例 数は少ないものの傾向は類似しており,膿瘍や腹膜炎と いった外科関連疾患が少ない半面,軟部組織感染症,骨髄 炎などは多かった.これは救急,外傷が多い当施設の特性 を反映したものかもしれない. O1-120.年齢群別接触者のパターンに関する分析 一橋大学国際・公共政策大学院1),国立感染症研 究所2) 井深 陽子1)大日 康史2)菅原 民枝2) 谷口 清州2)岡部 信彦2) 【目的】感染症の伝播は多くは人と人との接触により既定 される.インフルエンザにおいては年齢群間の接触パター ンが感染拡大の予測において重要な要因であることが知ら れているが,日本における異年齢群間の接触パターンの調 査はいまだ行われていない.そこで人と人との会話を通じ た接触を調査し,感染モデルへの応用を目的とし年齢群間 の接触パターンの分析を行った. 【方法】2011 年 4 月 6 日から 5 月 9 日にかけて行われた調 査会社を通じた郵送調査(65 歳以上のみの世帯)とイン ターネット調査(前述の世帯以外)による全国調査により, 20 歳以上の男女 3,108 人から,本人または本人の同居家族 を対象に,調査前日の 0 時から 24 時の間会話をした相手 について,相手の年齢(12 年齢群),会話の合計時間,会 話場所の回答を得た. 【結果】報告された 1 日 1 人あたりの会話人数は平均 17.2 人(標準偏差 19.1,最小値 0,最大値 280)であった.調 査対象者の年齢群別の会話相手数は 12∼14 歳で最大の 22.4 人(標準偏差 15.0),続いて 15∼19 歳と 6∼11 歳でそ れぞれ 22.2 人(標準偏差 17.0,21.1)が報告された一方で, 20 歳以上の全年齢群では 10 人台,最小は 80 歳以上の 6.5 人(標準偏差 8.1)であった.調査対象者と会話相手の年 齢群間のパターンは同年齢群間で高く,対象者の年齢が 70 歳以上を除いたすべての年齢群で同じ年齢群に属する会話 相手数が最高となった.特に会話は学齢期の小児同士で多 く 12∼14 歳同士の会話が 1 日平均 15.0 人,6∼11 歳同士 の会話が 14.9 人と報告された. 【考察】日本における年齢群間の接触パターンは,文化,社 会制度,人口構造の相違にも関わらず海外の研究で報告さ れた結果と概ね整合的であった.得られた接触パターンの データにより,これまで他国のデータの 2 次利用に留まっ ていたインフルエンザの感染モデルに日本固有のパラメー タを与えることが可能となり,一段と精度の高い予測と効 果のある制御の実現に重要な手がかりを与える. O1-121.2011 年冬季に当院で経験した血液内科病棟に おけるインフルエンザ集団発症について 天理よろづ相談所病院感染症管理センター1),同 臨床病理部2) 佐田 竜一1)松尾 収二2) 田中 栄作1)石丸 裕康1) 【はじめに】当院血液内科病棟にて,2011 年冬季にインフ ルエンザ(以下 flu)集団発症を経験した.罹患患者 6 名 の詳細,及び施行した感染対策について報告する. 【経過】1 例目は 49 歳女性,急性リンパ球性白血病に対し 臍帯血移植後.移植後リンパ増殖性疾患に対し X-4 日に Ri-tuximab 600mg 点滴.その翌日から急激に呼吸状態が悪 化し X-1 日に ICU 入室した.X 日に flu 抗原検査で A(+) と判定された.この日以降,X+3 日までに同室者以外で

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3 名の flu 発症を認めた. 【感染対策】X+3 日目からは新規入院患者の制限を設け, 血液内科病棟入院中の全ての患者に対し抗ウイルス薬の予 防内服を施行した.また感冒症状を有する方や小児の面会 制限を義務付けた.しかしその後 2 名の新規発症者(2 名 とも以前に初発例と同室であった)が出現した.最終新規 発症から 10 日経過した X+18 日目に制限を解除し,その 後の新規発症者は無かった. 【症例】年齢中央値 66 歳(49∼84 歳),男性 2 例!女 4 例. 内訳は,6 例中 2 例が同種骨髄移植後且つ GVHD により 免疫抑制療法中,臍帯血移植後・末梢血幹細胞移植後症例 が各 1 例(これら 4 例は移植後 200 日以上経過し寛解した 患者),AITL 及び DLBCL で化学療法中の患者が各 1 例 であった.発症者全員 flu ワクチン未接種であった.また 6 例中 4 例は発症した入院期間中に死の転帰となった.死 亡例 4 例の内訳は,同種骨髄移植後・末梢血幹細胞移植 後・臍帯血移植後患者が各 1 例ずつ,AITL で化学療法中 の患者が 1 例であった.診断から死亡までの日数は中央値 43 日(33∼82 日).死亡例の内 2 例は感染対策にて予防内 服後の発症者であった.この 2 例は発症時からオセルタミ ビル耐性株であり,1 例(初発例)は発症時にはオセルタ ミビル感受性株であったが,治療経過中に耐性株に変化し た. 【まとめ】強い免疫抑制状態にある血液内科患者にインフ ルエンザが集団発症し,6 名中 4 名が同一入院期間中に死 亡した.感染対策を取ったが,2 例の新規発症者を生じた. O1-122.当院におけるクォンティフェロン(QFT)検 査を用いた職員結核予防対策の実態について 国立病院機構名古屋医療センター感染制御対策 室1),同 内科2) 片山 雅夫1)2)早川 恭江1)森山 1) 加藤 千景1)鈴木奈緒子1) 【目的】職員の結核予防対策として H22 年度より導入して いるクォンティフェロン(QFT)検査による職員結核検 診の当院における実態について報告する. 【方法】当院で結核接触者検診として H22 年度より QFT 検査を実施している.また,結核接触者対応事例を踏まえ, 結核感染を早期に発見する対策として H23 年度よりハイ リスク部署に勤務する職員に毎年 1 回 QFT 検査を実施す ることとした.H23 年度は救命救急センター,ER に所属 する看護師,細菌検査室勤務の臨床検査技師,研修医を対 象とした.また,新規入職者に対して H22 年度後期より QFT 検査を導入した. 【結果】H22 年度ハイリスク群,接触者群,新規入職者群 で そ れ ぞ れ 2!143(1.4%),2!54(3.7%),1!106(0.9%) が QFT 陽 性,H23 年 度 は 同 13!107(12.1%),4!54(7.4%), 3!82(3.7%)と高値を示した.H23 年度 QFT 陽性者 15 例(2 例は前回 QFT 陽性のため除外)のうち,接触者群 の 4 例は暴露前検査はなく(1 例は判定不能),ハイリス ク群 11 例では前回値陰性,判定保留がそれぞれ 7 例,4 例であった.前回値陰性で陽性となったハイリスク群の 7 例は潜在性結核感染と考え,また,前値がない場合は疑い 例として本人同意例にはイソニコンチン酸ヒドラジドによ る治療あるいは予防内服を実施した. 【考察】QFT 検査の有用性の報告は散見されているが,費 用と効率の面からその実施は限定的のことが多く,当院で も未だ実際の職員結核感染予防対策として利用が始まった ばかりの段階である. 【結論】QFT 検査の導入により結核感染の有無の評価は明 確化が可能となったとされるが,職員結核予防対策として 汎用されるにはコスト,マンパワーの面で未だ時間を要す るものと考えられる. O1-123.結核病床を有さない救命救急医療を担う地域 中核病院における結核院内発症の実態と結核感染対策の課 名古屋医療センター感染制御対策室 鈴木奈緒子,加藤 千景,早川 恭江 森山 誠,片山 雅夫 【目的】近年の患者の高齢化に伴い,結核院内感染は,結 核病床を有する病院だけでなく結核病床を有さない病院に おいて多く発生していることが指摘されている.一方,若 年層では結核にほぼ未感染であり,院内感染においては医 療従事者の感染が問題といわれる.結核病床を有さず救命 救急医療を担う A 病院においても,若い看護師の結核感 染が問題となっている.今回,A 病院における結核院内 発症の実態を調査し,結核院内感染に関連する要因を検討 した. 【方 法】2009 年 11 月∼2011 年 10 月 に A 病 院(一 般 740 床,救命救急・がん・HIV・地域連携等を担う)に入院し た患者の診療記録,及び同期間の感染制御対策室業務記録 を対象とし,入院後に結核と診断された事例について,患 者背景,入院期間,同室患者数,接触職員数について調査 した. 【結果】入院後に結核と診断された事例は 31 例で,後半の 1 年間に 19 例と増えていた.平均年齢 78.3 歳,男性 22 例 (71%),女性 9 例(29%).結核病院へ転院する迄の入院 期間は平均 17.4 日(SD19.0).顕鏡で検出されず培養で陽 性となった事例が 9 例.顕鏡陽性の 22 例の入院期間は 12.3 日(SD12.7).同室患者数は延べ 99 名,処置ケアで接触し QFT 検査を実施した職員数は延べ 227 名であった. 【考察】救急医療や高度医療を担う病院では免疫抑制状態 の患者が多く,結核の再燃・再感染のリスクも高い.また 結核と診断された後も,集中治療を要する状態であるため 結核病院への搬送が待たれた例もあるなど,高度救急医療 を担う病院における結核院内感染対策が急がれる現状が窺 われた.200 人を超える医師による救命救急・高度医療診 療の中,早期に結核を疑うことの困難さ,ICU・HCU で 個室管理が困難な現状,空調管理された個室の不足などの 結核感染対策には複雑な課題がある. 【結語】医療や高度医療の高齢化に伴い,結核リスクの高

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まっている一般急性期病床への結核病室の設置などの対策 が望まれる. O1-124.当センター職員における同一血液検体におけ る QFT2G と 3G との比較試験 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター臨床研 究部1),同 感染症内科2),同 感染症センター3) 松本 智成1)2)3)田村 嘉孝2)3)永井 崇之2)3) 【はじめに】2010 年 4 月 1 日に QuantiFERON-TB3G(QFT-3G)が保険収載され た.こ の QFT-3G は,QFT-2G の 後 継診断試薬であり,QFT-2G と QFT-3G の性能比較試験の 結果,QFT-3G の特異度は QFT-2G と同等に高く,さらに QFT-3G の感度は QFT-2G より高いことが示されている. しかしながら,QFT-3G では,QFT-2G と比較して判定保 留が多いという報告がみられた. 【目的】今回,当センター職員 120 人における同一職員か らの血液検体における QFT2G と 3G との比 較 試 験 を 行 う.さらに,当該職員における過去の QFT-2G 検査と今 回の QFT-2G の結果の比較を行う. 【方法】2011 年 8 月 1 日から 9 月 30 日まで大阪府立呼吸 器・アレルギー医療センター 120 名の職員に対して,QFT 2G ならびに 3G を同時に採血し,その検査結果を比較し た.過去に QFT2G を測定した職員 55 名の前回と今回の QFT2G の結果を Wilcoxon 符号付順位和検定にて比較し た. 【結果と考察】QFT2G vs. 3G における同一被験者 120 名 直接比較では,33 名(27.5%)の結果が乖離し,統計学的 に有為差が認められた.判定保留は 2G が 13 名に対して 3 G が 21 名であった.この事により統計学上 QFT2G と 3G は全く別の検査であると判断でき 2G の結果を 3G に当て はめることができないことがわかった.経時的 QFT2G 測 定被験者 55 名において 5 名が陽性から陰性化,4 名が判 定保留から陰性化した(total 16%).このことより過去の QFT が陽性であっても,今回測定が陰性であるとは限ら ない. 【結論】統計学上 QFT2G と 3G は全く別の検査であり,過 去の 2G の結果を 3G と比較できない.同じ 2G であっても, 過去の QFT の結果は当てにならないので,結核患者に暴 露時は直後に QFT を測定し,陰性であれば,その数カ月 後に再び QFT を測定し結核暴露を判断すべきである. (非学会員共同研究者:森下 裕,平山幸雄,今井洋子, 塩野香織,沖由利子;ICT) O1-125.薬剤耐性菌は人工呼吸器関連肺炎の死亡率を 上昇させるか 日本医科大学千葉北総病院救命救急センター 齋藤 伸行 【背景】人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumo-nia:以下,VAP)は,救急集中治療領域では頻度の高い 院内感染症であり,本邦でも予後悪化との関連性から重要 な臨床上の問題となっている.一方,薬剤耐性菌対策は集 中治療室における最重要課題といえるが,その VAP に関 する本邦での報告は少ない.今回,我々は薬剤耐性菌の VAP の予後に対する影響を明らかにすることを目的に後 ろ向き調査を行った. 【対象・方法】2009 年 1 月 1 日から 2011 年 6 月 30 日まで に当救命救急センターへ入院し,48 時間以上の人工呼吸 を行った 300 例のうちで VAP と診断した 68 例を対象と した.VAP の診断は臨床徴候に加えて,培養検査で貪食 像を認めるか定性で 3+となる菌が検出された場合とし た.患者を生存群と死亡群に分けて 2 群間比較を行った. 統計には,χ2 乗検定,T 検定を用い,単変量解析の結果 から多変量回帰分析を行った.p<0.05 で有意差ありとし た. 【結果】全対象患者の平均年齢 59.6±19 歳,ICU 入室時の 平均アパッチ 2 スコア 25.0±8 であった.原疾患は,外傷 37 例(54%),敗血症 11 例(16.2%),その他の内因性疾 患 20 例(29.4%)であった.起因菌が薬剤耐性菌であっ た割合は 20 例(29.4%),そのうちの 6 割が MRSA であっ た.薬剤耐性菌の割合は死亡群で有意に高かった(生存, 死亡:20.8%,60%).多変量解析による VAP 診断時の予 後決定因子は,年齢 65 歳以上(OR 10.8,95%CI 1.2∼89.9, p=0.02),適切な抗菌薬治療(OR 0.12,95%CI 0.02∼0.69, p=0.01),ARDS(OR 6.0,95%CI 1.0∼36.6,p=0.05)が 挙げられ,薬剤耐性菌は独立した因子ではなかった(OR 5.6,95% 0.8∼37.3,p=0.07). 【結語】VAP において薬剤耐性菌は,死亡率上昇と独立し て関連していなかった. O1-126.愛媛大学医学部附属病院における研修医の院 内感染対策の現況 愛媛大学医学部附属病院総合臨床研修センター1) 同 診療支援部2),同 感染制御部3),同 第 1 内 科4) 高田 清式1)宮本 仁志2)枡田 夏代3) 田内 久道3)村上 雄一4)長谷川 均4) 安川 正貴4) 【はじめに】当院の院内感染予防に取り組む研修医の現況 として,手袋の装着と研修医の白衣の細菌による汚染状況, 白衣の着衣日数について調査をしたのでその結果を報告す る. 【現況と経過】当院での,研修医の手袋着用率を,各研修 医に同行し,処置ごとの手袋の使用状況を観察するととも にインタビューにて調査した.その結果,研修医について 調査を行い得たところ,患者処置時の手袋着用率は 1 回目 平均 59.6%(34 名調査),2 回目 63.8%(35 名調査)であ り,100% 手袋装着が実行できた研修医はそれぞれ 9 名,6 名と少なかった.また,毎年感染教育を徹底しながら,各 研修医の白衣に付着した細菌の培養を行ったところ,1 年 目(34 名)には腸球菌や緑膿菌が各 1 名,MRSA が 2 名 で検出されたが,2 年目(39 名),3 年目(35 名)では MSSA が各々 5 名,3 名以外,感染に留意すべき細菌は検出され なかった.また白衣に関しては,同一のものを長期に着用

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せず積極的に交換することを勧めている現況ではあるが, 各研修医の平均着衣日数の調査を 3 回行ったところ,平均 4.6∼6.0 日間の着衣継続状況であった. 【考察】研修医の白衣から環境常在菌以外に,腸球菌や緑 膿菌,ブドウ球菌が検出され,今後も研修医に対して綿密 な感染予防教育は必要であることを実感した.研修医に対 して,このような院内感染の実践部分での検討・調査はま だ十分には行われていない現状であり,また,これらの調 査を通じて各々の研修医に自覚を促すといった教育的観点 からも有意義なことであると考える. O1-127.ICT による血流感染に対する抗菌薬適正使用 の試みとその結果 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院インフェク ションコントロールチーム1),日本大学薬学部2) 駒瀬 裕子1)石井 将光1)若竹 春明1) 鶴岡純一郎1)中村 幸嗣1)小野 綾美1) 小菅 康史1) 宏行2)水野 泰子1) 田中 洋輔1) 香奈1) 【目的】当院では ICT によるラウンドで環境整備と同時に 血流感染患者の抗菌薬適正使用に関しても推奨を行ってい る.この際検出された菌種に対して適切な抗菌薬が使用さ れているか,使用している抗菌薬の量が適切かを確認し, 変更,増量,継続等をアドバイスしている.ICT の推奨 が有効であったかを検討した. 【方法】ICT ラウンドでは,血流感染の患血液培養から得 られた菌に対する抗菌薬の選択について ICT より抗菌薬 の増量,感受性のある抗菌薬への変更,狭域抗菌薬への変 更,そのまま継続,血中濃度の測定,培養の要請などの対 応を行った.その結果,推奨に従って狭域抗菌薬にデエス カレーション下患者 17 名と従わなかった 13 名で.介入 7 日後の CRP など炎症の指標の改善に違いがあったかを確 認した. 【結果】2010 年 6 月から 2011 年 3 月まで介入を行った件 数は 87 件であった.抗菌薬の増量 3 件,狭域抗菌薬への 変更 20 件,抗菌薬の変更 11 件,そのまま継続 21 件,血 中濃度の測定を指示 8 件,抗菌薬の中止を指示 8 件,培養 を指示 15 件であった.そのうち,ICT によって推奨され た抗菌薬に変更した割合は 43%,変更が行われなかった ものは 57% であった.推奨前に使用していた抗菌薬は第 一世代セフェム 1 件,第二世代セフェム 3 件,第三世代セ フェム 14 件,第 4 世代セフェム 12 件,広域ペニシリン 21 件,狭域ペニシリン 3 件,ニューキノロン系薬 3 件,抗 MRSA 薬 11 件,カルバペネム 11 件であった.遵守した 場合と遵守しない場合,CRP の改善に違いはなかった. 【考案】他科の処方に介入することはなかなか困難である が,推奨された抗菌薬の使用により炎症の悪化は認めな かったことから,今後院内感染予防のために適正な抗菌薬 の推奨をさらに勧める必要があると考えられる. (非学会員共同研究者:細川聖子.渡邉周子) O1-128.高齢者施設における感染症への乳酸菌飲料の 有効性検討試験 順天堂大学大学院医学研究科プロバイオティクス 研究講座1),順天堂大学医学部附属静岡病院小児 科・新生児科2),株式会社ヤクルト本社中央研究 所3) 永田 智1)2)朝原 3) 崇新1) 高橋 明3)高橋 琢也3)野本 康二3) 山城雄一郎1) 【目的】高齢者施設におけるLactobacillus casei シロタ株 (LcS)―含有飲料の感染予防対策に対する有用性を明確 にするために,施設の入所者およびその職員を対象とする 無作為化プラセボ対照 2 重盲検試験を実施した. 【方法】入所者および職員を無作為に 2 群に分け,LcS 飲 料とプラセボ飲料を 6 カ月間 1 日 1 本与え,体温,排便回 数,便性などの臨床データと,腸内フローラと便中有機酸 の解析結果を比較検討した. 【成績】試験品飲用後 3 カ月目より LcS 飲用群(n=36,平 均年齢:84 歳,男女比:10:26)の 37℃ 以上の発熱日数 はプラセボ群(n=36,平均年齢:86 歳,男女比:9:27) より有意に短縮していた.LcS 群では,6 カ月目の便秘回 数は有意に少なく,3 カ月目の下痢日数も有意に少なかっ た.LcS 群 で は,便 中 総Lactobacillus 数 お よ び L. casei subgroup の有意な増加(p<0.01)に伴い,便中 Bifidobac-terium 菌数がプラセボ群に比べて有意に高値であった (p<0.01).一方,LcS 群では,プラセボ群に比べて便中 Clostridium difficile ,Clostridium perfringens ,Enterobac-teriaceae の菌数がプラセボ群に比べて有意に低かった(各 p<0.05).LcS 群の糞便では,プラセボ群に比較して酢酸 濃度の有意な高値と(p<0.01)と pH の有意な低値を認 めた(p<0.01).職員の LcS 群(n=10,平均年齢:36 歳, 男女比:2:8),プラセボ群(n=10,平均年齢:38 歳,男 女比:3:7)においても,腸内フローラおよび便中酢酸濃 度,pH に,上記と同様の有意差を認めた. 【結論】LcS 飲料の 6 カ月間の飲用により,入所者の発熱 期間短縮,排便機能改善,職員の腸内環境適正化が認めら れた.これらの結果より,同飲料の長期飲用は,高齢者施 設入所者および職員の日常の感染リスクの低減や QOL の 改善に役立ち,感染制御の有用な strategy となる可能性 が強く示唆された. (非学会員共同研究者:高野喜久雄,大坊昌史;総泉病 院,結城功勝,長南 治,須山由美;ヤクルト本社中央研 究所) O1-129.医療施設内での感染拡散防止策の向上を目的 とした一つの取り組み―病棟内の人の流れや動きが微生物 汚染度に与える影響― 北海道大学大学院保健科学研究院基盤看護学分 野1),同 保健科学研究院病態解析学分野2) 渡辺 玲奈1)矢野 理香1) 下田 智子1)山口 博之2) 【目的】感染拡散防止指針に則った適切な微生物汚染度サー

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ベランスの遂行は,院内感染を未然に防ぐ上で極めて重要 である.その一方で,院内環境全てをクリーンな状態に維 持するためには,網羅的な汚染調査を継続する必要があり, 相応のコストが発生することが予測される.院内環境微生 物汚染は,院内の人の流れや動きに大きく左右されるので, その関連性を見いだす調査研究は,感染拡散防止対策をよ り優先的に実施すべき汚染場所の特定につながり,感染予 防の効率化を促すと考えられる.しかしながらこの様な視 点から院内環境をモニタリングした調査は多くない.よっ て本研究では,規模の異なる病院を対象とし,院内環境微 生物汚染度の変化がどのように人の流れや動きと関連する のか検証した. 【方法】病床数の異なる病院を対象とし,同じ病院でも少 なくとも 2 カ所以上の異なる病棟を対象とした.調査は 1 週間間隔で計 8 回実施とし,院内の点滴処置台,ステーショ ン内の机,看護師の使用していたワゴン,床,個室および 多床室の床頭台,個室および多床室のオーバーベッドテー ブル,ドアの引き手,手すりなどの計 13 カ所を測定対象 とした.微生物汚染度の評価は,3M クリーントレース ATP モニタリングシステムによる ATP 測定(検出限界: 20RLU),スタンプ培地による生菌数測定,目視により評 価した清潔指数(3 段階)をもとに行った.ATP 測定の ための拭き取りはマニュアルに従い各表面の 10cm 四方と した.また,病棟内に勤務する医療従事者と入院患者数の 推移を可視化するとともに,清掃方法についても把握した. 【成績】A 病院の複数の病棟間では,同じフロアープラン にもかかわらずステーション入り口にあるドアの引き手で 微生物汚染度の違いが認められた. 【結論】この研究プロジェクトはまだ始まったばかりだが, 得られるデータは医療施設内感染拡散防止対策の向上に寄 与するものと考えられる. O1-130.血液透析用中心静脈カテーテル関連血流感染 と予防策に関する検討 東邦大学看護学部1),名古屋市立大学看護学部2) 東邦大学医療センター大森病院感染管理部3),東 邦大学医学部微生物感染症学講座4) 安岡 砂織1)矢野 久子2)遠藤 英子1) 吉澤 定子3)舘田 一博3)4) 【背景】血液透析用中心静脈カテーテル(CVC)は,ダブ ルルーメンで径が太く,一時!緊急的に用いられ,患者は 易感染な状態にある. 【目的】透析患者での CVC 関連血流感染を実態明らかに す る.特 に 挿 入 時 の maximal sterile barrier precautions (MBP)遵守状況と感染事例の調査から予防策の強化点を 検討する. 【対象と方法】A 大学病院において 2009 年 10 月∼2011 年 9 月,同意が得られた患者と医師を対象とした.調査方法 は,診療録から基本情報(年齢・CVC 挿入理由・発熱の 有無等)と細菌検査結果を収集した.感染事例は,看護や 治療経過を後向調査した.CVC 挿入時の状況(手指衛生・ MBP・消毒)は NHSN 版手技シートを用いて CVC 挿入 者又は観察者が調査した.感染率は,NHSN の定義にて 算出した.倫理的配慮は東邦大学医学部倫理審査の承認を 受けた. 【結果】対象患者は 56 名,CVC 総数は 74 本であった.患 者の平均年齢は 70.2±11 歳,平均 CVC 留置期間は 11.7± 7.9 日であった.74 例のうち発熱(38.0℃)は 24 例,血液 培養提出は 15 例であった.このうち培養陽性は 8 検体で Staphylococcus epidermidis(4),MSSA(2),Escherichia coli (1)と Enterococcus faecalis (1)が検出された.定 義に基づき,CVC 関連血流感染と判断された症例は MSSA が検出された 2 例,感染率 2.38(per 1,000 catheter day) であった.手技シート回収率は 68%,MBP 遵守率は 74% であった.感染 2 例の CVC 挿入部位は内頸部,平均 CVC 留置期間は 3.0 日,MBP は全て挿入者が記入し実施され ていた. 【考察】感染率は 2.38 と CDC(2011)1.05 より高値であっ たが,症例数が少ない事が影響したと考えられる.感染例 は平均 CVC 留置期間が短期である事から,今後は更に挿 入時の詳細な状況を調査し,患者要因を合わせて検討して いく.本研究は科研費(21792193)の補助を受けた. (非学会員共同研究者:岩田守弘,大橋 靖,酒井 謙, 相川 厚) O1-131.消化器外科手術前の体脂肪量低下が示唆する 手術部位感染 surgical site infection のリスク

朝日大学歯学部附属村上記念病院外科 久米 真 【目的】低栄養は手術部位感染(SSI)のリスク因子と考え られる.消化器癌患者の SSI と栄養状態,体成分の関係を 検討した. 【方法】2010 年 1 月から 8 月に当科で手術した消化器悪性 腫 瘍 患 者 78 人(男 44,女 34)70.1±9.0 歳,胃 癌 25,胃 GIST1,回腸 GIST1,結腸癌 26,直腸癌 9,肝癌 5,胆道 癌 5,膵癌 6.開腹 59,腹腔鏡手術 19.栄養指標としてコ リンエステラーゼ Ch-E(IU!L),プレアルブミン Pre-alb (mg!dL)体成分分析器 WELL-SCAN 900 で体 重(kg), BMI,体脂肪量(kg),筋肉量(kg)を測定した.SSI は JHAIS システムで判定した. 【結果】9 人(男 7,女 2)で SSI を認めた.臓器!体腔 8(GAST 1,COLN 2,REC 2,BILI 3),表層切開創 1(REC1).GAST, COLN,REC 各 1 例に縫合不全,BILI の 2 例に肝膿瘍,胆 汁瘻を認めた.臓器!体腔 SSI 症例では脳梗塞の既往 2,癌 によるイレウス 1,術前化学療法 1,肝硬変 2,門脈腫瘍 栓 1 が術前低栄養の誘因となっていた.このため SSI 陽性 群(A 群)は陰性群(B 群)に比し有意に栄養不良であっ た.Ch-E(A,;100.5±36.2;B,124.7±36.4),Pre-alb (A,16.4±2.5;B,20.6±6.4).体重,筋肉量 に 有 意 差 は 無かったが術前 BMI(A,19.0±2.4;B,21.5±3.4),体脂 肪 量(A,8.30±3.27;B,13.28±5.58)が A 群 で 有 意 に 低値であった(mean±SD,Student t-test,p<0.05).

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【結論】標準的 SSI 対策で表層 SSI は予防可能となったが, 臓器!体腔 SSI には縫合不全や胆汁瘻,膵液漏,肝膿瘍な ど,手術手技,臓器血流,感染免疫など外科技術のコアな 課題が関わっており,臓器!体腔 SSI 発生症例には術前低 栄養・体脂肪量減少が認められる.この低栄養の背景には ①加齢や既往疾患,②癌の随伴症状(通過障害,炎症,血 管,侵襲,臓器障害など),③医療行為(検査,食事制限 や化学療法など)が関連する.従って,さらに踏み込んだ SSI 対策には外科技術の改良とこれら低栄養要因への高度 な個別対策が求められる. O1-132.産業医科大学病院における VRE 再検出に関与 する因子の検討 産業医科大学病院感染制御部1),産業医科大学医 学部第一内科学2),同 医学部呼吸器内科学3),産 業医科大学病院臨床検査・輸血部4),産業医科大 学医学部小児科学5) 鈴木 克典1)2) 1)3)本田 雅久1)4) 楠原 浩一1)5)田中 良哉2) 【背景】当院で VRE が分離された場合,患者は個室管理, 標準予防策および接触感染対策を徹底している.必要に応 じて同室者,病棟,全病院で監視培養を行っている.隔離 解除の条件は,感染がなく,抗菌薬非投与下で VRE が同 定された検査検体と同じ検査検体から 3 回陰性を確認した 場合としている.Enterococcus faecium は腸内細菌で完 全な陰性化は困難である.仮に 3 回陰性の場合でもそれ以 降検査を行った場合でしばしば陽性化していることを経験 する.VRE の保菌・感染を指摘された既往がある患者の 場合には,VRE が陰性化していても再入院する際に,当 該患者が抗菌薬を使用される場合には個室管理としてい る.しかし,このような VRE 保菌既往患者の再入院時の 感染管理については未だ確立されたものはない. 【対象および方法】2007 年から 2011 年の 4 年間に当院で 検査検体およびスクリーニングで VRE 保菌を確認した患 者のうち,フォローアップの検査で陰性化が確認され,そ の後当院に再入院した 25 名を対象として VRE 再検出の 要因を検討した. 【結果】VRE を一旦保菌し,その後 3 回陰性化が確認され た患者のうち,当院へ再入院したのは 25 名であった.再 入院時に抗菌薬投与がなされていなかった患者は 8 名であ り,抗菌薬投与がなされていた患者が 17 名であった.VRE が再検出された患者は 4 名だったが,全例に抗菌薬が使用 されていた.しかし,抗菌薬が投与されていても VRE が 検出されなかった患者が 13 名いた. 【考察】VRE は,感染対策上,その管理が非常に難渋する 薬剤耐性菌の一つである.北九州地域では,van B 遺伝 子を保有しているが,バンコマイシンの MIC 値が 4μg! mL,8μg!mL と低値を示す E. faecium が存在し,医療機 関のなかで広がっている.今回の検討では VRE の再検出 は抗菌薬の選択圧によらない可能性があり,宿主側の要因 がある可能性も示唆された. (非学会員共同研究者:森口弘之,寺本美江子) O1-133.職業 感 染 制 御―基 幹 病 院 か ら 医 療 圏 へ の 展 開― 名古屋市南保健所1),職業感染制御研究会2),財団 法人労働科学研究所3),横浜市立大学附属病院感 染制御部4),自治医科大学付属病院感染制御部5) 名古屋市健康福祉局6),名古屋市緑保健所7),東京 大学医学部附属病院感染対策センター8),東京逓 信病院9) 木戸内 清1)2)吉川 2)3)満田 年宏2)4) 森澤 雄司2)5)稲葉 静代2)6)鈴木 幹三7) 森屋 恭爾2)8)木村 2)9) 本邦のエイズ拠点病院をはじめとする大学付属病院や研 修指定病院等の規模の大きな医療機関を対象に,職業感染 制御研究会(以下研究会)によって,1996 年以後エピネッ トサーベイランスが展開され,データの収集とともに対策 の強化充実を促す契機になっている.2009 年までに 43,455 件の針刺・切創報告事例(エピネット日本版 A)と 916 件の皮膚・粘膜曝露事例(エピネット日本版 B)が収集さ れ,医療現場の曝露状況が明らかになり,曝露予防対策の 更なる強化が検討されている.昨年度は 2009 年以後の 2 年間の事例収集と施設調査が実施された.しかし,本邦の 病床の約半数を占める 300 床以下の中小規模の病院および 介護関連施設,診療所,在宅医療現場等の曝露予防対策や 曝露の状況を組織的継続的に把握する方法はなかった.職 業感染制御を基幹病院から地域医療圏の課題に展開するた めに,名古屋市南保健所は名古屋市保健所長会と研究会の 協力を得て,2010 年度より名古屋医療圏の 132 病院を対 象に無記名のアンケートによる血液体液曝露予防対策調査 を実施し(回収率 81%),対象医療圏の体液曝露対策の概 況が明らかになってきた.2011 年度は,実習学生や研修・ 見学生等の受け入れ時に,HBs 抗体陽性あるいは B 型肝 炎ワクチン接種証明書の提出をその必須条件としている か,公務!労務災害認定申請件数と認否件数について,使 用している廃棄ボックスや曝露予防のために工夫された鋭 利器材の商品名の記載等,調査項目を追加改訂して現在調 査中である.2010 年度の調査結果は第 70 回日本公衆衛生 学会でその概要を報告したが,今回は,職業感染予防対策 の基礎である血液・体液曝露サーベイランスの実施を促 し,有用な職業感染制御の実践を支援できる保健所の病院 立入検査項目と未報告指標を検討した.また保健所長が医 療圏の職業感染対策の調査を行う意義についても考察した ので報告する.

O1-134.当院における VRE 事例と,VRE 保菌の危険 因子の解析 河北総合病院中央検査科1),同 内科2),国立感染 症研究所細菌第二部3),川崎医科大学公衆衛生学4) 名古屋大学大学院医学系研究科分子総合医学専攻 分子病原細菌学5) 野村 秀和1)岡井 隆広2)角田 裕美2)

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山根 一和3)4)荒川 宜親3)5)

【目的】当院で 2009 年 4 月に,1 病棟入院中患者 1 名の尿 か ら Vancomycin-resistantEnterococcus faecium (VRE) が検出された.院内伝播確認のため,当該病棟の入院患者 全員の VRE スクリーニング検査を行い,VRE 保菌の危険 因子を解析した. 【方法】2009 年 4 月 14 日時点の入院中患者 32 名を対象に, 糞便検体または直腸スワブにて便を採取し,VRE 選択培 地(日本 BD)を使用した.菌種同定および薬剤感受性試 験は WalkAway 96!si(シーメンス)を使用し,VCM と TEIC の MIC 値を測定した.VRE と判定した菌株を国立 感染症研究所細菌第二部へ送付し,PCR 法による耐性遺 伝子の検出及びパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE) を実施した.VRE 検出群と陰性群を対照に危険因子 16 項 目について症例対照研究を行った.

【結果】E. faecium (VRE)陽性者が 7 名検出された.薬 剤感受性試験は,VCM が 16μg!mL 以上で耐性,TEIC が 8μg!mL 以下で感受性であり,7 症例同一の結果であった. 耐性遺伝子の種類は 7 症例全て VanB 型であった.PFGE パターンは A 群が 5 症例,B 群が 1 症例,C 群が 1 症 例 であった.危険因子についての検討結果,「VRE 患者と同 室」のオッズ比が 44.00(p<0.001),「長 期 入 院(30days 以上)」のオッズ比が 13.13(p=0.01),「抗菌薬投与(3weeks 以上)」のオッズ比が 9.78(p=0.026)であった. 【考察】7 症例ともに VanB 型で,PFGE パターンが 5 症 例とも同一のバンドパターンを示したため,院内伝播した と考えられた.危険因子の解析結果,ベッド周辺の高頻度 接触面やトイレなどの環境清掃と,ICT による抗菌薬の 適正使用への積極的な介入が重要と思われた.又,VRE 選択培地は VRE 早期発見に有用と思われた. O1-135.POT 解析による MRSA 水平伝播のリアルタ イム監視例 関西医科大学附属枚方病院第一内科1),同 中央 臨床検査部細菌検査室2) 宮良 高維1)中村 竜也2)野村 昌作1) 【背景】MRSA は現時点のわが国の外来症例から分離され る例では,全黄色ブドウ球菌中の約 30% を占める.した がって,院内で分離される MRSA 株が,院外からの持ち 込みによるか,院内での水平伝播によるかの判断は遺伝的 同一性の確認が必要である.しかし,この確認の標準的な 方法である制限酵素解析のパルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE)法による確認は,時間と労力,費用の点からは, リアルタイムな院内の監視には不向きである.一方,愛知 衛生研究所の鈴木らにより開発された Phage ORF typing (POT)法は,汎用性の高い一般機器で解析可能で,時間 も半日程度で分離菌株の同一性を確認可能である.当院は 毎週分離される MRSA 株に対して POT#解析を継続的に 実施しており,同一 POT#株の院内での発生を監視・追 跡している.今回 1 病棟で発生した MRSA アウトブレイ ク事例について,この POT#解析による監視が有効であっ たので報告する. 【事例】昨年 11 月∼4 月の間,A 病棟において月平均 2.3 株の同一 POT#株の分離が持続していた.5 月の分離株 数が約 2 倍の 5 株と増加した.しかし,この時点の 1 回目 の注意喚起が中心の介入では,介入効果が得られていな かった.7 月下旬の 2 回目の介入では,同病棟を経由して 転棟した症例からも同一 POT#株がさらに 3 株分離され ていることが判明した.分離検体は一定しておらず,病棟 環境の MRSA 負荷が高いことが推測された.この時点で, 病棟環境の高頻度接触面の消毒,共用物品の使用回避,標 準予防策を徹底するなどにより,介入日以降,同一 POT #株の MRSA は消失した. 【結論】このように POT#解析は,1 週間単位で院内全体 の MRSA の水平伝播状況を PFGE よりも少ない負担によ りリアルタイムで追跡確認することが出来,アウトブレイ クの早期発生探知や早期介入を可能にすると考えられる. O1-136.産科病棟で新生児 MRSA 結膜炎,膿痂疹が流 行した 恵寿総合病院 真智 俊彦,宮本 幸恵 【目的】新生児の MRSA 膿痂疹,結膜炎のアウトブレイク の収束. 【方法】当院では年間約 300 の出産があり NICU はなく約 1 週間で母児は退院する.7 月下旬に MRSA 膿痂疹や結膜 炎が散発したことが小児科医から ICT に報告があったの で調査した. 【成績】01 年 1 月 1 日から 7 月 31 日まで当院で生まれた 児のうち入院中に結膜炎の診断で点眼液が処方されたもの と膿痂疹の診断で外用剤が処方されたものを暫定的症例定 義とした.結膜炎は 1∼6 月で 5 例!151 例(3.3%,培養例 なし)に対して 7 月で 5 例!38 例(13.2%,培養提出 2 例 と も MRSA),膿 痂 疹 は 1∼6 月 で 1 例!151 例(0.7%, MRSA なし)に対して 7 月 で 6 例!38 例(15.8%,MSSA 1,MRSA5)といずれも増加し,すべての MRSA 株は薬 剤感受性が同一だった.調査期間中に両疾患以外の MRSA 感染症はなかった.7 月 21 日から 2 週間で MRSA 感染児 は 13 例!21 例(61.9%)に及び,何らかの原因に加えて職 員や母による交差感染によって蔓延したと推測した.疫学 調査をする前に教科書(Mayhall CG. Hospital epidemiol-ogy and infection control 3rd ed)の 新 生 児,MRSA,ア ウトブレイクといった項目の記載に従って緊急病棟会や職 員との回診で改善すべき点を徹底的に網羅した.収束しな い場合に備えて日々ケアした職員名の記載など新生児デー タベースを充実させ,鼻腔監視培養も開始した.疫学調査 に 着 手 す る 前 に 介 入 2 週 目 で 監 視 培 養 を 含 め 新 た な MRSA 感染は無くなった. 【結論】歴史のある経験の多いアウトブレイクについては 成書に収束のためにとりあえず行う対策法が記載されてい る場合がある.その遵守によって疫学調査なしで原因不明 のまま解決することがあるとされる.労力が限られる場合

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の選択肢の一つと考えられる. O1-137.病原体の不活化!殺菌を謳う,空中浮遊物質放 出型の市販各種電気装置の,実際の効果の有無の検証 国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイル スセンター 西村 秀一 【概要】空中への特殊な物質の放出により「空中浮遊ウイ ルス!菌の抑制」を謳う装置を装着した電気製品が,大手 電機メーカーから売り出されている.そうした効果が本当 であれば,感染制御にとって大きな朗報である.だが,そ れらの実際の効果については厳正な科学的,客観的検証の 報告はない.そこでそうした空中浮遊ウイルスの不活化性 能の有無を,自らの基礎的実験で使用中の空中浮遊ウイル ス回収系を用いて,インフルエンザウイルスで検証した. さらに,空中浮遊ウイルスではないものの,環境表面に付 着した細菌に対する効果の有無についても検証した. 【対象と方法】ウイルス実験は A!愛知!2!68 株を 14.4m3 閉鎖空間にネブライザーで噴霧し,一定時間対象機器を運 転後,一定量の空気をゼラチンフィルターを通過させ,そ こにトラップされた活性ウイルス量をプラーク法で測定す る方法で行った.対象機器は,プラズマクラスターイオン 発生機(シャープ),ナノイー発生機(パナソニック)で ある.細菌実験については,これにエネループ・エアーフ レッシャー(三洋電機)を加え,4 種の細菌(黄色ブドウ 球菌,緑膿菌,セレウス菌,腸球菌)に対しての効果を以 下のように検証した.一定数の生菌を含む菌液をスライド グラス上にスメア状に塗布し,容積 0.2m3のグローブボッ クス内に置き,その中で対象機種を一定時間運転後スライ ドグラスを回収し,そこに付着している菌を一定量の液体 培地で洗い流し回収し,液中の生存細菌数を混釈培養法で 測定した. 【結果と考察】調べたすべての機種において,運転時と対 照の非運転時に回収される活性ウイルス数ならび!あるい は生菌数に,ほとんど差はなかった.よって本研究の対象 となった空中放出物質には,調べた限りにおいて,空中浮 遊インフルエンザウイルスに対する不活化も環境付着菌に 対する殺菌効果も,期待できないと結論される. O1-138.水痘ワクチンによる高齢糖尿病患者における 水痘帯状疱疹ウイルス特異的免疫賦活 財団法人田附興風会医学研究所北野病院感染症科 羽田 敦子 【背景】米国では帯状疱疹の発症頻度と重症度を軽減する 目的で,60 歳以上の高齢者に帯状疱疹ワクチン接種が推 奨されている.本邦での帯状疱疹ワクチンの報告はない. 【目的】市販の水痘生ワクチン接種前後の水痘帯状疱疹ウ イルス(以下 VZV)に対する免疫能を評価し,接種によ るワクチンの有効性を検討する. 【方法】対象は 60 歳以上 75 歳未満の健常高齢者(以下 HV) 及び HbA1c が 7∼9.5 の同年齢の糖尿病患者(以下 DM). 悪性腫瘍などを除外基準とした.乾燥弱毒生水痘ワクチン 「ビケン」(以下,水痘生ワクチン)を接種し,0,3 カ月 後,6 カ月後に水痘抗原皮内テスト(陰性 0‐強陽性 3)と ELISPOT assay に て 末 梢 血 単 核 球 4×105cells あ た り の

VZV 刺激―NC 刺激細胞数をカウントした. 【結果】HV10(平均 62.9 歳,男性 5,女性 5)名,および DM10(平 均 68 歳,男 性 5,女 性 5)名.IAHA(Log2) 抗体価平均は,HV 各々接種前,接種 3,6 カ月後で 4.3(± 1.3),5.1(±1.2),5.0(±1.1),DM は各々 4.1(±1.2),4.9 (±1.3),4.5(±1.2)で群間有意差はなかった.接種前後 の皮内テストスコア差平均は接種後 3 カ 月 後 に HV0.6, DM1.2,6 カ 月 後 HV0.4,DM 1.3 で 6 カ 月 後 の DM 群 で 有意に上昇していた(p=0.0188).ELISPOT 平均値は接 種前 HV52.2(±47.0),DM45.4(±45.8),6 カ月後 HV92.1 (±48.0),DM85.1(±50.7)と上昇がみられ,接種前後の 平均変化率は HV3.3(±3.7),DM2.7(±1.2)倍といずれ も上昇がみられたが,群間有意差はなかった.明らかな副 反応はみられず,観察期間中に帯状疱疹に罹患した者はい なかった. 【結論】水痘生ワクチンは高齢健常者同様,糖尿病患者に おいて VZV に対する特異的免疫を賦活化し得ると考えら れた.本邦で水痘生ワクチンにより,帯状疱疹を予防する 可能性が示された. 本研究は,2009 年度三井住友財団研究助成金により行 われた. O1-139.インフルエンザによる炎症および組織障害に 対するオセルタミビルリン酸塩(タミフル)とアジスロマ イシン単回投与製剤(ジスロマック SR 成人用ドライシ ロップ 2g)併用の有効性検討 長崎大学病院第 2 内科1),大阪大学医学部附属病 院感染制御部2) 掛屋 弘1) 雅文2)森永 芳智1) 中村 茂樹1)栗原慎太郎1)今村 圭文1) 宮崎 泰可1)塚本 美鈴1)泉川 公一1) 山本 善裕1)栁原 克紀1)田代 隆良1) 河野 茂1) インフルエンザによる炎症及び組織障害に関する因子に 対するオセルタミビルリン酸塩単独とアジスロマイシン単 回投与製剤併用の有効性を検討した. 【方法】症例を中央登録方式にて登録し,ハイリスク因子 の有無を割り付け因子として,オセルタミビル(タミフル) 単独群(以下,単独群)とオセルタミビルにアジスロマイ シン単回投与製剤(ジスロマック SR 成人用ドライシロッ プ 2g)を併用する併用群(以下,併用群)に分け治療を 行った.臨床試験の主要評価項目として炎症性サイトカイ ンやケモカイン,HMGB1,PCT の変動,副次的評価項目 としてインフルエンザ罹患期間,関連合併症の発現率,症 状の消失までの期間,有害事象及び副作用などを検討した. 【結 果】症 例 は 男 性 50 例,女 性 57 例(平 均 43.5 歳)で, 単独群 56 例,併用群 51 例を対象として解析した.全員イ ンフエンザ A 型であり,明らかな肺炎を合併した症例は

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なかった.主要評価項目とした炎症性サイトカインやケモ カインは,2 日目,5 日目とも両群間で統計学的な有意差 は認められなかった.副次的評価項目の一つである最高体 温は 4 日目に併用群において有意に低かった(p=0.037). その他,咽頭痛スコアは,併用群において有意に低かった (p=0.03).その他の頭痛や倦怠感,鼻閉感等の自覚症状 は 2 日目,5 日目とも両群間で差は認めなかったが,治療 5 日間の累積症状のスコアでは,咳嗽や咽頭痛において併 用群で有意に低かった(それぞれ,p=0.001,p=0.02). 一般血液検査では併用群で赤血球系の増加,リンパ球%の 反応増加,Alb 低下の有意な抑制が認められた. 【結論】オセルタミビルにアジスロマイシンを併用する治 療では,早期に症状改善が得られる可能性が示唆された. (非学会員共同研究者:市原清志;山口大学大学院医学 系研究科保健学系学域生体情報検査学) O1-140.東日本大震災後における成人のインフルエン ザおよび RS ウイルス感染症の発症状況 宮城厚生協会坂総合病院呼吸器科1),東北大学加 齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門2) 高橋 洋1)神宮 大輔1)矢島 剛洋1) 生方 智1)庄司 1)藤村 2) 渡辺 彰2) 3 月 11 日の大震災後には多くの住人が寒冷環境下の避 難所など狭い空間での集団生活を余儀なくされたことから インフルエンザや RS ウイルスなどの冬期型の呼吸器ウイ ルス感染症が蔓延する可能性が強く懸念された.インフル エンザに関しては 10∼11 シーズンの震災前の流行のピー クは当地区では 1 月中旬であり,震災発症時には流行はす でに終息に向かっていたが,震災後には 2 週間目をピーク とした症例の一時的な増加が確認された.震災前と比較す ると震災後には成人発症例の比率が増加し,とくに後期高 齢者の頻度が 2.2% から 21.7% と約 10 倍に増加していた のが特徴的だった.また成人例における入院率は震災前 3.3% から震災後 14.5%,肺炎併発率も震災前 1.6% から 震災後 12.9%,とともに明らかな増加傾向を示していた. 一方の成人 RS ウイルス感染症に関しては,10∼11 シーズ ンの震災前に当院症例として把握できていた成人例は 2 例 のみだった.震災後には肺炎入院例を中心に適宜迅速診断 キットで監視を行っていた範囲では陽性例は見いだされな かったが,抗体価による追跡では 6 症例で RS ウイルス抗 体価(CF ないし NT)の有意上昇が確認された.年齢は 28 歳∼94 歳,病型は 5 例が肺炎,1 例が気管支喘息症例 の感染増悪となっていた.6 例中の 4 例は肺炎球菌,イン フルエンザ菌,あるいはモラキセラとの併発感染例と判断 された.生命予後は良好だったが肺炎例の 1 例では呼吸不 全増悪のためステロイドパルス療法が施行されており,ま た喘息発作の症例も通常の感染増悪時と比較すると症状が 高度で喘鳴もかなり遷延した.これらの症例の臨床像自体 は当院における過去の経験例 37 例の病像と比較すると大 きな相違は認められなかった.曝露背景に関しては 6 例中 3 例が避難所由来の発症例であったことから避難所生活が 感染の契機となった可能性が示唆された. O1-141.沖縄県那覇地区におけるインフルエンザ抗原 検査サーベイランス―インフルエンザ B 型の流行様式に ついて― 琉球大学大学院医学研究科感染症・呼吸器・消化 器内科学講座1),琉球大学医学部附属病院看護部2) 伊波 義一1)2)比嘉 1)仲松 正司1) 田里 大輔1)宮城 一也1)原永 修作1) 健山 正男1)藤田 次郎1) 【目的】インフルエンザ A 型はインフルエンザ流行の主体 をなし,2009 年にはパンデミックをもたらした.一方で, インフルエンザ B 型の流行は小規模にとどまる事が多い とされる.しかし,B 型の流行様式に関する検討は充分で はない.今回,私達は沖縄県那覇地区におけるインフルエ ンザ B 型の流行状況について抗原検査サーベイランスに より検討したので報告する. 【方法】2007 年から 2011 年にかけて,沖縄県那覇市の主 要 4 病院にて実施されたインフルエンザウイルス抗原迅速 検査結果を集計,沖縄県感染症情報ホームページよりイン フルエンザ発生報告数のデータを参考に,インフルエンザ B 型の流行様式などについて検討を行った. 【結果】インフルエンザ B 型にも周期性がみられ,ほぼ毎 年 3∼6 月にかけて流行がみられた.しかし,A!H1N1 2009 によるパンデミックの後にはインフルエンザ B の流行は みられなかった.インフルエンザ B 型の流行時には,沖 縄県のインフルエンザ定点報告集計では 10 歳∼14 歳の発 症報告数が増加していた.インフルエンザ B 型陽性数は 相対湿度と弱い正の相関が認められた. 【考察】パンデミック後の 2010 年のインフルエンザ B 型 の発生は例年に比べ少なく,インフルエンザ A 型の流行 が,B 型の流行にも影響を及ぼす可能性が示唆された.ま た,インフルエンザ B 型の流行は,若年層を中心に発生 している可能性が示唆された. (非学会員共同研究者:名嘉正光;那覇市医師会検診セ ンター) O1-142.高齢者肺炎に対する季節性インフルエンザワ クチンと肺炎球菌ワクチンの予防効果に関する症例対照研 名古屋市千種保健所1),聖マリア学院大学2),京都 大学医学部附属病院呼吸器内科3),かいせい病院4) かずクリニック5),名古屋市厚生院附属病院6),旭 労災病院呼吸器科7),東京女子医科大学衛生学公 衆衛生学8),九州大学大学院胸部疾患研究施設9) 大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学10) 鈴木 幹三1)鷲尾 昌一2)今井誠一郎3) 菅 栄4)山本 和英5)利根川 賢6) 太田 千晴7)小島原典子8)中西 洋一9) 廣田 良夫10) 【目的】超高齢社会を迎えたわが国にとって肺炎を予防す

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ることは重要な課題である.そこで,高齢者肺炎に対する インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの予防効果を 検討する. 【方法】研究デザインは症例対照研究.症例は,新たに肺 炎と診断された 65 歳以上の患者.対照は,症例と同一機 関を受診した患者のうち,各症例と性,年齢(5 歳階級), 外来受診日(症例確認後で直近)が対応する他疾患患者と 定義し,1 症例に対し 2 対照を選定した.医師および患者 記入用調査票により,患者背景,基礎疾患,ADL,季節 性インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチン接種状況, 生活習慣の情報を収集した.肺炎に関しては,胸部 X 線 写真,発熱,咳嗽,喀痰,肺炎球菌の尿中抗原検査,喀痰 グラム染色,喀痰・血液培養,白血球数,CRP,転帰.除 外基準は,誤嚥性肺炎,悪性腫瘍,経口ステロイド,摘脾 の既往.解析は Conditional logistic model を用いて肺炎に 対する季節性インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチン のオッズ比(OR)および 95% 信頼区間(95% CI)を計 算した. 【結果】2010 年 8 月から 2011 年 8 月までに登録された症 例 22 人,対照 39 人を解析対象とした.季節性ワクチンを 接種した者では,肺炎に対する OR が有意に低下した(粗 OR=0.10,95%CI=0.01∼0.85,調整 OR=0.08,95%CI= 0.01∼0.78).肺炎球菌ワクチンを接種した者でも,肺炎に 対する調整 OR は低下を示したが(粗 OR=1.00,95%CI= 0.27∼3.66,調 整 OR=0.69,95%CI=0.15∼3.28),有 意 に は至らなかった. 【まとめ】季節性インフルエンザワクチンについては高齢 者肺炎の予防効果が示唆された.今後,対象者数の蓄積が 必要である. 本研究は,厚生労働科学研究費補助金(新型インフルエ ンザ等新興再興感染症研究事業)の助成を受けて実施した. (非学会員共同研究者:近藤亨子,池田郁雄,大賀興一, 田辺正喜,藤澤伸光,福田賢治,工藤国弘,倉田 毅,河 口知允,高野浩一) O1-143.インフルエンザ A!H1N1pdm 感染者における 外来受診時の経皮的血中酸素飽和度(SpO2)の検討 新潟大学大学院医歯学総合研究科国際保健学1),新 潟青陵大学看護福祉心理学部2),日本インフルエ ンザ協力研究グループ3) 菖蒲川由郷1)齋藤 玲子1)齋藤 孔良1) 近藤 大貴1)鈴木 2)佐藤 3) 川島 崇3)木村 眞司3)日比 成美3) 生嶋 聡3)藤原 史博3)吉原 隆夫3) 橋田 哲夫3)小野 靖彦3)真崎 宏則3) 石川 秀文3)出川 3)麻生 憲史3) 黒木 麗喜3)星野 和彦3) 【目的】新型インフルエンザ(A!H1N1pdm)はウイルス 性肺炎を起こしやすいとされる.A!H1N1pdm 感染者の 外来受診時の経皮的血中酸素飽和度(SpO2)を用い,パ ンデミックにおける A!H1N1pdm ウイルス感染の下気道 への影響を検討した. 【方法】2009!2010∼2010!2011 シーズンにインフルエンザ 様症状により医療機関(北海道,福島,新潟,群馬,京都, 長崎の 18 協力機関)を受診した小児・成人に対し,同意 後にパルスオキシメータを用いて SpO2を測定し,臨床情 報を聴取,同時に鼻腔咽頭拭い液を採取した.新潟大学に てウイルス培養後にリアルタイム PCR を用いインフルエ ンザ亜型を決定した.SpO2値をインフルエンザの亜型,性, 年齢,ワクチン接種の有無,喘息の既往の有無,受診時体 温等で比較した.さらに,対象を 40 歳未満の A!H1N1pdm 感染者のみとしシーズン間での検討を加えた.それぞれ単 変量解析と性,年齢,喘息の既往,ワクチン接種歴,受診 時体温を加味した多変量解析を行った. 【結果】A!H1N1pdm 感染者 305 名と A!H3N2 感染者 300 名の比較で,SpO2は A!H1N1pdm 群で有意に低下してい た(中央値 97% vs.99%[p=0.000]).多変量解析では,年 齢が高い男性,A!H1N1pdm の罹患,受診時高体温,ワ クチン未接種が SpO2の低下と有意に関連した.次に 40 歳 未 満 の A!H1N1 群 の 2009-10 シ ー ズ ン 感 染 者 210 名 と 2010-11 シーズン感染者 69 名の比較では,SpO2は 2009-10 シ ー ズ ン 感 染 者 で 有 意 に 低 下 し て い た(中 央 値 97% vs.99%[p=0.000]).多変量解析では喘息の既往のみが SpO2の低下と有意に関連していた. 【結論】SpO2の低下はパンデミックインフルエンザの特徴 として位置づけられ,パンデミック時は SpO2を指標とし た急性呼吸不全のモニタリングが重要である. O1-144.インフルエンザウイルスに よ る オ ー ト フ ァ ジーの阻害と麻黄湯によるその解除 福岡大学病院総合診療部1),福岡大学医学部微生 物・免疫学2) 鍋島 茂樹1)増井 信太2)長澤 佳郎1) 鰺坂 和彦1)武岡 宏明1) 【目的】オートファジーは真核生物に普遍的に存在する細 胞の恒常性維持機構の 1 つで,近年種々のウイルス排除に 大きな役割をはたすことがわかってきた.A 型インフル エンザウイルスの M2 蛋白はオートファジーの成熟(オー トファゴゾームとライソゾームの融合)を阻害することが 報告されている.我々は当学会にて,漢方薬麻黄湯がin vivo 及び in vitro でインフルエンザに有効であることを 報告してきたが,今回オートファジーに麻黄湯が関与する かどうかについて検討した. 【方法及び成績】ヒト肺癌細胞株 A549 にインフルエンザ ウイルス(PR!8)を感染させ,24 時間後に培養液中の感 染性ウイルス量及びウイルス RNA を測定すると,コント ロールの laninamivir,amantadine と同様,容量依存性に ウイルス量は著明に低下した.麻黄湯の効果は,A!H3N2, B 型ウイルスに対しても,また他の細胞株を用いた場合に も認められた.抗ウイルス効果は,麻黄湯による前処置及 び感染初期に麻黄湯を添加した場合に顕著であった.オー トファジーの関与を考え,GFP-LC3 導入 A549 細胞に PR!

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