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経済変動と販売会社-香川大学学術情報リポジトリ

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(1)

経済変動と販売会社

瀬 戸 贋 明 Ⅰ商業資本と販売会社ⅠⅠ販売会社による親メー・か−の資本の回転期間の 短縮 一汁 日本経済に及ぼす販売会社の影響ⅠⅤ日 経済の高度成長期と停滞 期に.おける販売会社 Ⅴい 価値実現機能と褒章・現金決済 ⅤⅠ.親メ−カー と販売会社の間の仕切価格の決定方式 I l.産業資本と商業資本 商業資本は産業資本に対して二重の機能を有する。すなわち商業資本は産業 資本の生産物を販売する焼能と,産業資本の生産物を買取ることにより産業資 本をして自己の資本を専ら生産過程に投下することを可能ならしめる機能を有 するの■である1)。一・方において商業資本ほ産業資本の販売代理人として市場で 産業資本の生産物を販売し,すなわちその価値を実現し,他方においてみずか

らの責任で(onits ownaceount)産業資本の生産物を買取るために資本を

投下するのである。販売代理人として戚能することほ産業資本の販売事業部で も能く これを果し得るが,買取り機能は自立した商業資本を倹たねばならな い。 商業資本は社会的には産業部本の−・部の自立形態,産業資本のうちの商品資 本の自立形態である。この商品資本の商業資本としての自立にほ上の2つのモ ・−メソトの存在が条件となるが,商業資本に特有な機能という意味からはこの うちの買取機能が重視されねばならない。商業資本が自らの責任で資本を投下 して買取るという意味でこれを資本投下機能と呼び得るであろう。 ところで,産業資本によるマ・−ケティソグチャネルの選択は商業資本の排除 をもたらすが,このことは必然的に商業資水の有する資本投下機能の排除を結 果する。この矛盾の止揚形態の1つが販売会社である。販売会社の存在忙より 1)〔1〕6∼10頁

(2)

香川大学経済学部 研究年報17 J977 ー∂ざ21−・ この販売会社を出資・設立した産業資本(親メ・−か一っほさもなければ流通過 程に投下しなければならない資本を生産過程にふり向けることができるのであ る。

排除された商業資本に代って販売会社が介在するのであるから,販売会社を

有するメ・−・か−のマ・−・ケティソグチャネルのステイジ数(例えば,メ・−・か−−・

販売会社,販売会社.−ディ・−ラ・−,ディ∵−ラ・−・一消費者(産業的,個人的)で

3ステイジ)ほ商業資本が存在する場合と変らない筈であるが,日本のように

流通機構の複雑な経済では商業資本の排除による販売会社の介在はステイジ数

を少くする方向に働き得るであろう。1970年の我国におけるステイジ数は,販

売会社を有するメ・−・か−・のチャネルで2.226であるに対し,販売会社をも含

めた全ての卸売業の存在するチャネルにおけるステイジ数は2.638とやや長

い2〉。

販売会社.は所謂総販売会社(本稿でほこれを販売会社と呼んでいる)と地区

販売会社に大別されが)。産業資本による■マ・・−・ケティングチャネルの選択ほ産

業資本による流通過程の支配を含意する。これを裏付けるデー・タとして販売会

社戯いに.占める地区販売会社の扱い割合をみるに,0.8564)(1970年)と極めて

高い。 流通過程の支配状況は親メ1−か−と販売会社の間の仕切価格の決定方式にも

あらわれているが,これについてはⅤⅠで述べられる。

2い 販売会社の数と割合 本節でほ本稿において必要とされるかぎりでの販売会社に関する統計と次節

以下でその結果を用いる標本調査について概説する。

販売会社の定義:自社儲晶を国内市場において販売させる目的で製造企業 (メ1−・カー・)が出資・設立した商事会社 2)〔9〕 $)販売会社と地区販売会社の定義についてはⅠ.2販売会社の数と割合を参照された い。 4)〔9〕より算出。地区販売会社ほメ・−・か−・の流通過程支配の1つの形態であり,価 値実現校能を担うものであるが,販売会社と地区販売会社の関連に関しては別稿に譲 る。

(3)

経済変動と販売会社 −・∂タβ・−・ 層別 第1層 製品種頬の全部または大部分を1つの販売会社に扱わせている (例,トヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売) 第2層 製造部門によっては販売会社を設け,一手に扱わせている(例,東 京芝浦電気と東芝商事,日立製作所と日立家電販売) 第3層 地区ごとに販売会社を出資・設立して全国市場をカバ・−(例,松下 電器産業と全国の地区」販売会社) 第4層 特定の地区に販売会社せ出資・設立している 第5層 製品の−・部またほ生産額の一−・部を全国的に.扱わせている 規模別

A 資本金1億円∼10億円未満

B 資本金10億円′・・ノ50億円未満

C 資本金50億円以上

産業別 1970年

1.食料品 2〃 政経 3.パルプ・紙 4.化学 5.窯業・土石

6.鉄鋼 7.非鉄金属 8.金属製晶 9.機械 10.電機(器)

11.輸送用機器 12.その他

1975年

18.食料品 20..政経工業 21.衣服・その他の政経 22.木材木製品

24./くルプ・紙 26.化学工業 27.石油石炭 30.窯業・土石製品

31.鉄鋼業 32.非鉄金属製造 33.金属製晶 34.一・般機械器具

35.電気機械器具 36.輸送用機械器具 37.精密機械器具 38.船舶製

造・修理 39.その他の製造業 我国において販売会社を有するメ小一−・カ−・の割合は,資本金1億円以上につい てみれば,表トl,Ⅰ−・2より1970年において0.12であり,1975年において 0.175)である。これを規模別にみれば,1970年に・はAにおいて0.08,Bにお

いて0.24,そしてCにおいて0.45であったのが,1975年にはAにおいて0.13,

5)この1975年の017は0..14と修正し修正係数を0い862とすることについては〔12〕を みよ。

(4)

香川大学経済学部 研究年報17 ヱ977 −・∂54−・ 表Ⅰ−・1産業別・規模別に.占める販売会社を有する会社の割合,1970年 0小08】

Ai 2、

産 業 食放パ化黒鉄非金放電輸そ 料 /レ フ 菜・土 品維紙学石鋼属品械︶器他 77575 300302 72 00100 00111 01 00000 00000 00 50716 58674 66 23121 10322 23 00000 00000 00 00750 98033 70 55610 64565 65 00000 00000 00 l1807 11546 57 11010 11111 11 00000 00000 00 鉄属 表Ⅰ−・2 産業別に.占める販売会社を有する会社の割合,1975年 二 計

A

B

。17

。.13

。.加

。.亜 0.48 晶菜の 他 工の 料 そ ・ 良性 月〃小郡 食繊衣織 801 122 00 0 00 00000 00000 00 53 4 03 57211 18980 97 11 2 11 11111 21113 02 00 0 00 00000 00000 00 38 0 98 36955 95293 74 1︵U 2 00 1000∩︶ ll102 02 00 0 00 000n︶0 0∩い000 ∩︶∩い 83 0 79 32669 5155︵∂ 04 14 6 12 12211 ?UOu335 05 09 0 07 02001 05475 00 52 0 56 42163 06687 50 00 1 00 00000 10000 00 22 木材木製品 24 パ ル プ・紙 26 化 学 工 業 27 石 油 石 炭 30 窯業・土石製品

31鉄 鋼 業

32 非鉄金属製造 33 金 属 製 晶 34 一般校雑器具 35 電気機械器具 36 輸送用機械器具 37 精密機械器具 38 船舶製造・修理 39 その他の製造業

(5)

経済変動と販売会社 」−・∂5∂一− Bに.おいて−0.26,そしてCにおいて0“48となっている。

産業別に.みれば,1970年においては食料品0.11,政経0.11,パルプ・紙

0.08,化学0…10,窯業・土石0.07,鉄鋼0.11,非鉄金属0い11,金属製品

0.15,境域0.14,電機(器)0い16′ 輸送用機械0.15,そしてその他製造業0..17 となっている。これが1975年には,食料品0.15,緻維工業0…13,衣服・その

他の政経0.24,木材木製品0.10,パルプ・紙0.13,化学工業0.15,石油・石炭

0.17,窯業・土石製品0..12,鉄鋼業0.11,非鉄金属製造0.11,金属製品0..21, −・般機械器具0.18,電気機械器具0.19,輸送用校株券具0…18,精密横械器具 0..30,船舶製造・修理0..09,そしてその他製造業0.27となる。これらの数値 に修正係数0..862を乗ずれば,食料品0.13,繊維工業0.11,衣服・その他の

緻維0.21,木材木製品0.09,パルプ・紙0..11,化学工業0.13,石油・石炭

0.15,窯業・土石製品0.10,鉄鋼業0.09,非鉄金属製造0い09,金属製品

0.18,−・般機械器具0.16,電気機械器具0.16,輸送用機械器具0.、16,精密機 械器具0.26,船舶製造・修理0.08/そしそそわ他製造業0..23に減少する。電 気機械器具と.輸送用磯械器具についてほ5年前と殆ど変らないこととなる。 表ト1,表ト2に特徴的なことほ規模C(資本金50億円以上)〉における販売 会社.を有する会社割合の大きいことである。・0.5以下の産業は1970年で化学, 窯業・土石,非鉄金属の3産業にすぎず,1975年で麟維工業,化学工業,石油 ・石炭,窯業・土石製品,非鉄金属製造,その他製造業の6産業を数えるにす ぎないのである。 販売会社を有するメーか一について層別・規模別にその数ど百分比をみたも のが表ト3,ト4である。各層の首分比ほ1970年において1層25%,2層19%,

3層8%,4層26%,そして5層21%であり,1975年においては−・層23%,

2層13%,3層8%,4層34%,そして5層22%となり,2層の減少と4層

の増加が目を惹くが,これにさらに1・2層の和の減少(1970年の44%から 1975年にほ36%へと減少)が加わる。

1975年に・おいて,1層23%,2層13%,3層8%,4層34%,5層22%であ

り,これらの数億より大きい規模ほ,1層でA27%,2層でC24%,写14%,

3居でC16%,Bll%,4層でA39%,そして5層でB25%,C25%であ

る。すなわちAでは1層と4層,Bでは2層と3層,CではBと同じく2層と

(6)

香川大学経済学部 研究年報17 表Ⅰ・−3 層別・規模別販売会社を有する会社,数と首分比,1970年 ー∂5β・− J∂77 表Ⅰ一−・4 層別・規模別販売会社を有する会社,数と首分比,1975年

規模 層

計 A B C 計 723 437 178 108 % 100 100 100 100 1 169 118 33 18 % 23 27 19 17 2 94 43 25 26 % 13 10 14 24 3 57 21 19 17 % 8 5 11 16 4 247 170 57 20 % 34 39 32 19 5 156 85 44 27 % 22 19 25 25

(7)

経済変動と販売会社 −g57・− 3層が目立つ。規模の小さいAのメ・−・カ−・に.ほ単一・の製造部門しかなく,規模 の大きいメ・−カ−は復数の製造部門をもっており,その1つの製造部門がAの メ・−・カ−・の単一の製造部門に生産規模において相当するのである。さらにAの 4層,B,Cの3層の問題は,4層から3層への移行というメ・−か−の規模に よる市場支配の程度の差をうかがわせるが4層には東京・神奈川と京阪神(就 中前■者)以外のところに.本社をもつメ√−カ】が東京・神奈川と京阪神を戦略地 域として自社出資の販売会社.をもつと.いう事情もある。 3サ 調査の方法 1)1971年に資本金1億円以上の全製造企業(メー・カーうに販売会社せ有す るや否や,有している場合ほその有し方について郵送調査。回収率98%6) 2)販売会社を有する資本金1億円以上の全メ・−か一に.,親メ・−か−の売上 高とうち販売会社への売上割合(昭和45年産業連関表6桁分掛こ対応),販売 会社の資本金,従業員数,チャネルシ午ついて郵送調査。未回答会社に対して面 接調査7)。 3)1971年から1972年に.かけて 2)の販売会社を有するメ・−か−のうち1層 と2層に属するメ・−か−を母集団として無作為標本(規模A,Bからは1/3, Cからは1/1抽出)を抽出し,これに面接調査を実施8)。 回答拒否 標本数

㌻竺讐A BIc

18 6 11 8 10 16 4)1976年7月から11月末にかけて同標本に対して2度目の面接調査を実施す

る。この5年間に標本数が減少し,面接調査を実施できたメ、−か一数は次の通

6)結果を〔4〕に公表し,その後の調査結果を用いて〔7〕でその修正を行った。 7)結果については〔7〕,〔9〕を参照されたい。 8)結果に.ついては〔5〕,〔8〕,〔10〕が利用でき,また詳細に・ついては〔13〕が利用で きる。耐久消費財メ1−か−,生産財メ・−・か−の販売会社との関係については〔6〕を 参照されたい。

(8)

香川大学経済学部 研究年報17 一∂5β− Jタ77 りである。 標本数

㌻整警A B C

消滅した標本数 12 4 10 7 6 14 消滅した標本8の内訳ほ,倒産1,当該産業からの撤退3,親メ・−・か−への 吸収合併2,その他2である。 本稿は3)と4)の結果を用いる。 5)1971年から1976年までの5年間に販売会社を有するメ・−か−の資本金規 模の変動(標本抽出は資本金1億円∼10億円未満,10億円∼50億円未満,50億 円以上に層別して行われている),数の増減があるので,1975年末現在の母集 団の確定を大蔵省法人企業統計調査調査票(法人名簿)を使用した1)と同 種の調査により行う9)。回収率90% 6)5)の結果を用いて1層・2層の追加標本を3)と同じ割合で無作為抽出 し,これに対し,1977年6月から8月末にかけて面接調査。 追加標本

ふ\彗讐A B C

うち不適当な標本

㌻讐A B C

18 3 4 7 3 7 4 1 0 2 2 0 不適当な標本のうち51 年に販売会社設立 9)結果に.ついては〔12〕をみられたい。

(9)

経済変動と販売会社 ・−∂房β・− 7)3層すなわち地区販売会社で全国の市場をカバ、−している層に対し1977 年9月より1978年2月にかけて面接調査を実施。 8)1977年3月より同年9月にかけて2)と同種の調査を実施。 ⅠI l.取引の決済方法 価値実現機能とともに資本投下機能を有する販売会社沫親メ・−か−との問の 取引を自社手形振出で決済し,価値実現機能に重点をおく販売会社は受取手形 を裏書することによって決済する。また,現金決済にほ2つの性格があり,資 本投下機能を有する販売会社が親メ・−・か一に対して現金で決済を行うケー・スも あるが,販売会社がその受取手形をい、つたん銀行割引に付して,それによって 得た現金で親メ・−・か一に対して決済をするというケースもあり,さらにり 流通 期間が短いため親メ−か−との間を手形で決済する必要がなく,したがって親 メ・−・か−の立場から販売会社に資本投下機能を期待するまでもないケ・−スもあ る。ここでほ販売会社.の資本投下機能が少くとも販売会社手形振出決済にほ認 められるという意味で,現金決済を袈審決済と−・緒にして,販売会社手形振出 決済に対置することとする。 親メ、−か−と販売会社の間の取引が販売会社振出手形で決済される割合ほ 1970年度において(0,1)10)で0小48(表ⅠⅠ・−・1),売上高ウェイトで0..88(表ⅠⅠ−2) であり,1975年度では(0,1)で0〃49(表Ⅰト3),売上高ウヱ.イトで0り83(表Ⅰト4) である。すなわち約半数のメ・−か−・販売会社が販売会社腰出手形で決済を 表ⅠⅠ・−・1販売会社手形振出決済の割合,1970年 10)販売会社振出手形で決済される標本点に1を与え,その他の方法で決済される標本 点に0を与える。

(10)

ユタ77 香川大学経済学部 研究年報17 表ⅠⅠ・−2 販売会社手形振出決済の割合,1970年 (売上高ウェイト) ・−∂β0一 0…88±0、.07* 0.36 0.81 0..96 0“32 040 0.90 * 95%信横区間 表ⅠⅠ−3 販売会社手形振出決済の割合,1975年 表ⅠⅠ−・4 販売会社手形振出決済の割合,1975年 (売上高ウェイり 表ⅠⅠ−・5 手形裏書決済の割合,1975年

模l 計 I A

B I C 0.58 0.25 0..10 0‖43 0,33 0‖14

(11)

経済変動と販売会社 −ββJ− 行っており,親メ・−か−・が販売会社に売上げる額をウェイトにとれば0.88 (1970年),0.83(1975年)と高い割合となる。このことほ規模の大きいメ・− か−ほど(メ・−か−の規模が大きいほど販売会社の規模も大であるといえる が)販売会社との間の取引を販売会社振出手形で決済す−る割合が高いことを 示す。すなわち表Ⅰト1より,規模Aでほ0.3前後事あるに対し,規模Cでほ 0..7前後となっている。なお,規模Bは取引の決済方法からみる限りCに近 く,表Ⅰト5,Ⅰト7の裏書決済の割合からみればAとCの間でC寄りである。 表ⅠⅠ−6 現金決済の割合,1975年 表ⅠⅠ・−・7 手形裏書決済の割合,1975年 (売上高ウェイト) 表ⅠⅠ−8 現金決済の割合,1975年 (売上高ウェイト) A

(12)

香川大学経済学部 研究年報17 J∂77 1−∂β21− 販売会社振出手形を受取った親メ・−・か−・はこれを必要に応じて■銀行割引に付 すが,この割合は表Ⅰト9,Ⅰト10より,(0,1)で0.40,売上高ウェイトで0.73 であり,この決済方法に占める割合ほ0.83(=0.40/0.48),0.83(=0.73/0.88) と当然ながら短めて高い。そして,日銀再割適格の割合ほ表Ⅰト11,Ⅰト12より (0,1)で0い11,売上高ウェイトで0…44である。1層B,Cに属する販売会社の 振出手形のそれぞれ半数が日銀再割適格であり,売上高ウェイトのCでの高い 表ⅠⅠ−9 販売会社凝出手形を銀行割引に付する メ1−・か−の割合,1970年 表ⅠⅠ・−10 販売会社振出手形を銀行割引に.付する メ・−か−・の割合,1970年 (売上高ウェイり 表ⅠⅠ・−11日銀再割適格の割合

B 】 C

0.0 050 0..55 00 0.13 0.0

(13)

経済変動と販売会社 表ⅠⅠ−12 日銀再割適格の割合 (売上高ウェイり −・∂β∂− 割合が注目に値する。 小形棒鋼(丸棒)の共同販売会社が全国の地区毎にそれぞれの地区のメ・−・カ −の共同販売会社として設立された際,すでに新日本製鉄系のメ・−カーの共同 販売会社.として機能していた日本棒鋼練武会社.の存廃が同社振出の手形が日銀 再割適格となるかどうかをキ・−ポイントとして論議されたことは我々の記憶に 新しい。 2.販売会社による親メ・−・か−・の資本の回転期間の短縮 本節では販売会社手形振出決済の親メーか−・販売会社を取扱う11〉。 以下の議論ほ,親メー・カ、−・の売掛債権回転期間は,もし販売会社が存在しな ければ,販売会社のそれに.等しいという仮定に基いている。この仮定ほ標本面 接調査の経験によって裏付けられる。親会社ほ販売会社の存在に.よって何ケ月 回転を速めることができるか? それは2小19ケ月(1970年度)に達するので ある。親メt−か−の販売会社笹対する売掛債権回転期間3..76ケ月と販売会社 の売掛債権回転期間4り90ケ月の差ほ.1い14ケ月で,販売会社靡出手形の銀行割 引残回転期間は1.05ケ月である。販売会社の金融機関短期借入金と受取手形 銀行割引残の和2‖15ケ月は全卸売業(資本金1千万円以上)のそれ1.82ケ月 と有意差はない。この大きな販売会社の金融機関短期借入金回転期間ほ親メ・− 11)本節及び次ⅠⅠⅠ節での計算方法に.ついてはⅠⅤ節の冒頭をみられたい。なお回転期間 は当該勘定期末残を売上高1ケ月分で険したものである。例えば,親メ・−カーの販売 会社軋対する売掛債権回転期間=親メ・−カ・−の販売会社に対する売掛債権期末残高/ 親メ・−カ・−・の販売会社に対する売上1ケ月分,親メ・−か−の金融枚閑短期借入金=親 メ・−か−の金融機関短期借入金期末残高/親メ・−か−の売上1ケ月分。

(14)

香川大学経済学部 研究年報17 ヱ977 −∂β4・−・ か−・の資本の回転を速めているのみならず,この回転機構を安定させてもいる のである。 親メ−・か一にとっての資本の回転の速まりにはさらに販売会社.の在庫の回転 期間が寄与する。在庫回転期間については1970年のデータはないので,1971年 の数値0.42ケ月を2.19ケ月に加えると2ル61ケ月となる。 1975年度について同種の計算を行う。親メ・−・カ−の販売会社匿対する売掛債 権回転期間(含,販売会社振出手形の親メ−か−・による銀行割引残)3.72ケ月 と販売会社の売掛債権回転期間3一.52ケ月の差は−0.20ケ月である。これに親 メ・−か−・の販売会社凝出手形銀行割引残回転期間0.7ケ月と販売会社の在庫回 転期間0.68ケ月を加えると1.18ケ月だけ親メ・−・か−・は資本の回転を速めてい ることになる。 表ⅠⅠ−13 親メ・−か−・の回転期間,1970年度 * 95%信頼区間 表ⅠⅠ−・14 親メ・−か−の回転期間,1971年度

(15)

経済変動と販売会社 表ⅠⅠ・−・15 親メt−・か−の回転期間,1975年皮 −∂β51−・ * 95%CIほ算出していない 注意:A(自社手形振出しの)販売会社を萌するメ・−か− B川資本金1億円以上の全メ1−・カ−・(但し船舶製造・修理を除く) 大蔵省法人企業統計 (1)販売会社に対する売掛債権(=売掛金+販売会社振出手形) (販売会社振出手形の銀行割引残を含む)回転期間 (2)販売会社に対する売掛依権(=売掛金+販売会社振出手形) (販売会社振出手形の銀行割引残を除く)回転期間 (3)販売会社振出手形の銀行割引残回転期間 (4)金融機関短期借入金回転期間 (1)′売掛倍権回転期間(受取手形割引残を含む) (2)′売掛依権回転期間(受取手形割引残を除く) (3)′ 受取手形銀行割引残回転期間 (4)′ 金融散開短期借入金回転期間 表ⅠⅠ−16(自社手形振出しの)販売会社の回転期間,1970年度 * デー・タなし

(16)

Jβ77 香川大学経済学部 研究年報17 表ⅠⅠ−・17(自社手形振出しの)販売会社の回転期間,1971年度 ・−・・βββ・−− 表ⅠⅠ・−18(自社手形振出しの)販売会社の回転期間,1975年庶 * データなし 注意:A(自社手形振出しの)販売会社 B資本金1千万円以上の全卸売企業 大蔵省法人企業統計 (1)流動資産回転期間(受取手形銀行割引残を含む) (2)売掛依権回転期間(受取手形銀行割引残を含む) (3)在庫回転期間 (4)自己資本回転期間 (5)親メ・−カーよりの長期借入金回転期間 (6)受取手形銀行割引残回転期間 (7)金融機関漁期借入金回転期間 (8)金融株閑長期借入金回転期間

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経済変動と販売会社 −・β∂7・− 1970年度で2.61ケ月だけ速められていた親メ・−・か−の資本回転が1975年度 では1..18ケ月に減少したことはこの両年度が経済の高度成長期と停滞期であ るだ桝こ興味深い。販売会社の売掛債権回転期間が4.90ケ月から3.52ケ月に 1.38ケ月の短縮となっているのに対し,親メ−か−の売掛債権回転期間は 3.76ケ月から3.72ケ月へとほとんど変化がない。販売会社はこの1一.38ケ月 の短縮分を金融機関長期・短期借入金の縮少(0.29=2.42−2ル13)と在庫の増 加(0.19=0.61−0.42)に充でているが,残りの0小9ケ月ほ販売会社の扱い高 の増加に充てられるのでないかぎり,手許資金の増加をもたらすであろう。親 メ、−・か−・は経済の停滞期にあたり生産過程への新期投資の必要性のないことか ら,あえて回転期間を短縮する必要性を認めないのであろう。 販売会社の売掛債権回転期間と親メ・−・カーの売掛債権回転期間の差が1970年 度の1..14ケ月(=4.90−3…76)から1975年度には−0.20ケ月(=3..52・−3.72) と逆転しているが,1975年度においては在庫回転期間が1970年度に比して0.26 ケ月増加しているので,1975年度においてほ親メー・か−と販売会社の回転期間 は実質的にほぼ同一・とみなすことができよう。すなわち1975年においては販売 会社は親メ−・か−・の資本の回転期間を自らの力では全く短縮していないのであ る。 それでは販売会社の金融機関短期借入金と受取手形銀行割引残の和が,1970 年に比して減少したとはいえ,1.72ケ月もあるのは何故か?販売会社の資本 は取扱商品の回転にのみ投下されるのではない。そこで流動資産全体について 検討しよう。販売会社の流動資産回転期間(受取手形銀行割引残を含む)5.50 ケ月と親メt−カーの売掛債権回転期間(販売会社腰出手形の銀行割引残を含む) 3.72ケ月の差1.78ケ月を販売会社は自己資本回転期間0.41ケ凡親メ・−・か− よりの長期借入金回転期間0..16ケ月及び上記の金融機関短期借入金と受取手 形銀行割引残の和の回転期間1.72ケ月及び金融機関長期借入金0.58ケ月で吸 収すれば,1い09(=0.41+0一.16+1.72+0.58−1.78)ケ月だけ余ることになる。 1970年度においてほ0.21(=(0.39+0.27+2.15+0.41)−(6.77−3.76))ケ月 の余りとなっているので,この0.21ケ月を必要な余りとすれば,0..88(=1.09 −0.21)ケ月だけ過剰ということになろう。この数億は金融磯関との間の,あ るいは親メ・−カー・と販売会社の関係を1つのシステムとした場合の資金繰り等

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香川大学経済学部 研究年報17 ー∂ββ− ヱ977 からくる政策的なものか,あるいほ販売会社が親メ−・か−・以外の他社品の扱い を増やす12)ためのものであろう。 以上を要するに,販売会社ほこの5年間に売掛債権回転期間を1..38ケ月と 大幅に短縮し,この短縮分を在庫負担増0一.19ケ月に.充てる分を除いて自身の 力の増強に充てられる筈のところ,1.38ケ月と0..19ケ月の差1.19ケ月のほぼ 1/4に当る0.29ケ月は借入金の返済に充でたものの3/4は政策的に手許に増 加した資金として残っているかあるいほ他社晶扱いに充てられているというこ とができるであろう。 親メ・一・か−の売掛債権回転期間(含,販売会社振出手形の鍍行割引残)と販 売会社の売掛債権回転期間を1970年,1971年,1975年と比較してみる。前者が 3.7ケ月前後で安定しているのに対し,後者ほ缶縮をつづけている。このこと ほ自動車産業と.家庭電器産業の巨大メ1−・か−において資本の回転がはやまって いることからもうなずけるところである。もちろん両産業に.おいても個々の企 業により回転に遅速があるのであるが,遅い企業はそれだけ競争力が弱められ るため,回収速度をあげる努力をしているのである。ただし販売金融会社の設 立による販売会社の売掛債権回転期間の原綿は本稿の数値にほあらわれない。 販売会社と販売金融会社が並存している場合にほ販売金融会社の貸借対照表, 損益計算書の各項目の億は販売会社.の当該項目に移されて出されたのが本稿の 数値である。ただし,1970年には販売会社のみを有して販売金融会社を有して いなかったメ1−カ肘で1975年には販売金融会社こを有しているもののうちで,販 売金融会社のデータのないものが1社あるが,これの影響は大きくない。 販売会社がみずからの売掛債権回転期間を虚縮することは,親メ−カーの販 売会社忙対する回転期間との差が自己の負担となることから,みずからの負担 の軽減から必要なことであるが,歴縮して親メ・−か−の販売会社に対する回転 期間との差が縮まれば縮るはど自己の役割の否定につながるのである。 12)他社品には補完的なものと代替的なものがある。自動車産業に.おけるオイルは前者 の例であり,これは自社品の扱い高と一定の比例関係をもつ。自社製晶の扱い量の不 足は販売会社の収益・費用関係を悪化させるが,この悪化を避けるために他社晶を扱 うケ・−スが比較的規模の小さいメ・−か−の有する販売会社にみられる。問題はこの5 年間の変化であるが,これについてほ研究中である。

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経済変動と販売会社 ・−・∂β9・− ⅠⅠⅠ ⅠⅠ節で販売会社.の存在により親メ・−カ−・ほ2い61ケ月だけ資本の回転を速め ることができた(1970年)ことをみたが,もし販売会社が資本投下枚能を失う ならば親メ・−・カ・−・の流通期間はそれだけ延長されざるを得ない。流通期間の延 長ほ生産過程に投下すべき資本を縮小させる,すなわち生産規模を縮小させ る。生産規模の縮小の結果ほ生産額の減少である。 さて,販売会社を有するメ・−・か−は販売会社笹最終需要のための製品を扱わ せる場合が多い。そこで販売会社扱いの最終需要のうち販売会社の資本投下機 能が失われた場合に縮小されるべき額を計算し,(∫−A) ̄1βによって減少す べき生産額を算出することができよう(∫ほ単位行列,Aは投入係数行列,β は減少すべき最終需要ベクトル)。1970年について計算する。 販売会社の売掛債権回転期間+販売会社の在庫回転期間 5.319=4.898+ 0“421 親メ・−か−の販売会社匿対する売掛債権回転期間(販売会社振出手形の親メ 1−か一による銀行割引残を除く) 2.704 1.9671=5.319/2.704 か0(1−1/1.9671)……・販売会社の資本投下機能が失われた場合の生産 規模減少分 ここでβ○ほ1・2層の各メ・−か−の各産業における生産額のうち最終需要分 0.43264=0.88・(1−1/1.9671) ここで0.88は販売会社振出手形決済の割合(売上高ウェイト)。結局生産規 模の減少割合は0.43264である。 か=か。・0い43264 か1=(∫−A) ̄lヱ) 刀1の成分の和を生産額ベクトル(昭和45年産業連関表)の和で割れば販売 会社の資本投下枚能が失われることによる生産の減少割合が得られる。結果は 0.018827である。この年の経済成長率(実質国民消費支出対前年増加率)は 10.4%であるので(表ⅠⅠⅠ−・1),

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香川大学経済学部 研究年報17 −∂70− J977 0.02076=1.104×0..018827 0.083=0.104−0.021 すなわち経済成長率ほ10.4%から8.3%に減少する。 表ⅠⅠⅠ−1実質国民消費支出,対前年増加率 1970 1971 1972 1973 19′74 1975 10.4 7.3 98 6.4 −03 3.4 出所:『国民所得統計年報』1977年版 経済企画庁1970年基準 1975年についてほ販売会社の売掛債権回転期間+在庫回転期間と親メ−か− の販売会社に対する売掛債権回転期間(販売会社凝出手形の親メ・−か−・による 銀行割引残を除く)の差は1.18ケ月と1970年に比して半分以下に減少するが, 同年の経済成長率も著しく低いので,販売会社の資本投下機能が失われること による影響ほ必しも無視できない。これについてはこの年の販売会社扱い前に ついての統計作成後に計算される。 ⅠⅤ ⅠⅠ及びITI節では親メ・−二か−・とその販売会社の各種回転期間は,まず分子と 分母についてそれぞれ和をとり,ついで両者の比をとる計算方法(和→比)が とられた。これはすなわち,全標本を1つの親メ・−か−,1つの販売会社.とみ なすものである。この計算方法でほ規模の大きい標本点の影響が大きぐでるこ とになる反面,小規模の標本点の変化がそのまま計算結果にあらわれにくい。 しかしながら,小規模標本点を大規模標本点と同じウェイトで扱うことも,大 規模メ・−か−の企業行動の一・般性(あるいは小規模メ・−か−への影響の大き さ)を計る視点からは重要である。 本節では各種の回転期間及び収益・費用について,まず個々の標本点に対し で比をとり,しかるのち平均をとる計算力法(比→和)で親メ・−カ・−とその販 売会社の関係を研究することにしよう。 親メ・−カ・−・と販売会社の連結財務を取扱う関係上,親メ・−カ「・の国内向け製 品の全部又は大部分を1つの販売会社が扱う1層のみを計算の対象とする。な

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経済変動と販売会社 −∂7ユー お輸出をも含めた親メ・−・カー・の売上に占める販売会社への売上の割合は1層に おいて0…723,2層において−0い236であり(表ⅠⅤ−1),1層を専ら考察の対象 とすることの意義は了解されるであろう。 親メー・か−・と販売会社の回転期間は表ⅠⅤ−2の通りである。この表から次の ことがいえよう。 1971年度において−ほ販売会社ほ親メ・−か−の資本の回転期間を短縮させる役 割を果していたが,1975年度においては親メーカ−の回転期間の短縮濫は,親 メ1−・か−による販売会社振出手形の銀行割引を除けば,何等寄与していない。 このことがⅠⅠⅠ節の和一ケ比の場合より一層はっきりしていることは(7)の 1975年度の数億が0…042であること.からいえる。こうしたことほ経済成長の停 滞時点ではあらたに事業規模拡大のために投下すべき資本を必要としないこと に由来することはⅠⅠⅠ節ですでに述べた。 コルモゴロフ=スミルノフ検定の結果,(3)の親メ・−・か−の販売会社甚対す る売掛債嘩回転期間について両年度に有意差があるのに対し,(1)の販売会社 表ⅠⅤ・−1メ・−カーの販売会社への売上割合,1970年 単位 百万円 う ち㌧顔∴社 へ の売上Y メ t−・カ1一総

売 上 Ⅹ

ー Y/Ⅹ 2,173,803.9 0.723 774,9747 0.286 2,572,736.9 0.630 226,987“5 0.129 536,239.3 0い221 6,284,739.9 0.432 3,006,190い9 3,285,463“9 4,084,5279 1,759,555.9 2,427,2809 14,563,015.9 1 2 3 4 5 計 注意:1つのメ・−・カーが総販売会社−地区販売会社というチャネルで販売する方法と総販売会社を通 さず直接地区版売会社に販売する方法を明確に区別している場合(例,日産自動串)には前者 のチャネルを2層として,後老のチャネルを3周として区別し,メーか−・総売上も両者の割合 で分割した。 出所:拙稿「メ・−カーと販売会社の連結財務」『香川大学経済論麓』49巻1号

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香川大学経済学部 研究年報17 表ⅠⅤ−2 回転期間,1層,比→和,販売会社手形振出決済 ・−・β72− Jタ77 1971年度 】 1975年度 (1)販社の売掛債権 (2)販社の受取手形割引残 (8)親メ・−か−・の販社匿対する売掛債権 (4)販社頻出手形銀行書帽!残 (5)〈(1)+(2))−((3)+(4)) (6)販社の在庫 (7)(5)+(6) 4..346 3 379 0.481 4.827 0.514 3.893 2.490 3.189 1.750 4,240 1.687 4.876 0.587 −0.983 0785 1.025 1り372 0“042 の売掛債権回転期間については有意差が認められないことも上述の評価を補強 するものであろう。 表ⅠⅤ−・8ほ親メー・か−と販売会社の連結決算,親メ・−か→単独,販売会社の それぞれについて−の経常利益を示す。この表からいえることは, 表ⅠⅤ・−3 経常利益,1層,販売会社振出手形決済 1971年度においてほ.親メ・−・か−の経常利益(税引前)は「未実現利益」によ るものであること,すなわち親メ・−か−は1期早く利潤を生産過程に投下して いるが, 1975年度においてはこのようなことはもはやない。不況下にもかかわらず, この年魔の経常利益が連結,親メ・−・か−,販売会社のいずれの場合にも経済の 高度成長期(1971年)のそれらを上まわっている18)。このことは不況期におけ る企業の堅実な行動を物語ると同時に,企業業績の1指標としての経常利益の 13)小標本(12祉)のゆえに.,特定の好業績標本点の影響がですぎるきらいがある。こ の標本点を除くとほぼ1971年の水準に等しい。

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経済変動と販売会社 −∂7∂・・− 経済に対する相対的関係が問題とされねばならないことを示唆するものであろ う。なお両年度の収益・費用の詳細は付表10として掲げられている。 販売会社が親メ1−か−・の売上の0い236を扱う2層にあってほ,販売会社の存 在が親メノーカー1こ与える影響は部分的である。しかしながら,このような関係 もまた1つの関係である。そこで,デ一夕のある1975年度について,1・2層 の和についての数値を以下にみることにしよう。表ⅠⅤ−4より回転期間につい てみるに,(5)が−0.400と1層のみ(−0..983)に比して絶対値が小さく, その分だけ(7)が大きくなっている。しかし,(5)がマイナス符号であると いう点に変りはない。表ⅠⅤ−・5より経常損益についてみるに,親メ・−・か−が 表ⅠⅤ−・4 回転期間,1・2層,比→和,販社手形 振出決済,1975年度 】957年度 (1)販社の売掛債権 (2)販社の受取手形割引残 (3)親メ・−カーの販社に対する売掛債権 (4)販社振出手形割引残 (5)((1)+(2))−((3)+(4)) (6)販社の在庫 (7)(5)十(6) 4031 0.693 3,608 1516 −0.400 0.965 O 565 表ⅠⅤ」−5 収益・費用,1・2層,比→和,販社手形振出決済,1975年度

連 結l親メーか−のみI販 社

高価費費益益用息料益

原理損収費利引損 上 菅売 外外払

上般業莱菜支割儒

売売一販営営営 経

100 100 100 66548 85。341 80 969 22012 9911 14 130 11440 4ノノ749 4り902 4.277 2。933 1“831 8.387 6040 3,407 7.028 4936 3021 7733 1。642 3.325

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ー∂74・− 香川大学経済学部 研究年報 71 ユタ77 1∩642,販売会社が3..325であるに対し,連結が7.733と大きくなっている点 は1層のみの場合と同じ変化である。これらのことから,1層のみの場合の結 論ほ1・2層の和についても変える必要は認められないのである。 V l.裏書・現金決済に.おける価値実現機能 前節までほ.販売会社手形振出決済を論じて来た。この決済方法の割合が (0,1)で0.48であるが,売上高ウェイトで0..88と,経済との関連では圧倒的 な地位せこの決済方法が占めているからである。本節でほ売上高ウェイトでは 0.12と僅かであるが,(0,1)で0.52の裏書・現金決済が販売会社の価値実現 機能との関連で研究される。 裏書・現金決済の販売会社の設立日的,マ−ケティングチャネルは販売会社 振出手形決済のそれらと異なるものであることがデータより分る。襲番・現金 決済がほとんどを占めるマ・−・ケティングチャネルはチャネル1とチャネル4で ある。チャネル1はメ叫・か−が従来取引のあった卸商を選別して,これらのう ちの1つと(若干社の場合もあるが)みずからの営業部で1.つの販売会社粧 し,これをして自社製品を一元的に扱わしめようとするものであり,設立の目 的は卸商のもつ流通経路の確保・利用にあるが,メーか−の市場における地位 によっては価格政策も可儲となる。流通経路の確保,価格政策はともに価値実 現機能に属するものといえるであろう。 チャネル4はメ1−・か−・がその営業部を分離して一版元会社とし,ユ・−・ザ・− (官 公庁,公営企業が多い)に直接販売するものであり,まさに価値実現機能を有 する。この2つのチャネルの割合ほ(0,1)でチャネル1が0一.15,チャネル4が 0.13で,計0..28となり,襲番・現金決済中に占める割合は0.54(=0.28/0.52) と過半を占め,売上高ウェイトでは0り58(=0.07/0.12)とこれまた過半を占 める。因みに販売会社腰出手形決済が支配的なチャネルほチャネル2,3及び

5で,割合は(0,1)で0.05,0.06及び0..18,売上高ウェイトで0∴19,0.53及

び0.08である。これらのチャネルの販売会社振出手形決済に.占める割合は (0,1)で0り60(=0.29/0.48)であり,売上高ウェイトで0..90(=0.79/0.88) である。

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経済変動と販売会社 ー・J7∂− 2.販売会社.の目的 本小節及び次小節では裏書・現金決済のみならず,販売会社振出手形決済を も取扱う。 販売会社.設立の目的,あるいはこれに.代る経緯ほ多様であり,込み入らてい る。しかしながら,販売会社振出手形決済と襲書・現金決済の間にほ.この問題 についても差違がある。なお設立の目的と設立に伴うアドヴアンチィジほ論理 的に.は区別されるべきであるが,実際上区別は困難である。 販売会社.設立の目的ほ以下のようである。 a 親メ−・か−の流動資本の回転期間の短縮(販売会社.ほ親メ−・か一に対して 製品引換えに.手形を振出して決済)。販売会社ほ価値実現機能と資本投下楼 能を有する。 b 販売会社はディ1−ラ・一に対しては親メ・−カ−・の代弁者として,親メ1−か一 に対してはディ1−ラ・−の代弁者として機能する。すなわち独立の商業資本枚 能をもつことを目指す。販売会社はaにおけると同じくこ畳の機能をもつ が,販売会社腰出手形決済のみならず,襲蕃・現金決済とも結びついてい る。 e 新しい製造事業部のマ・−ケティソグの仕方が既存の製造事業部と異な、つて いるため。2層に属する標本点多し。 d,e 親メ・−・カのためのマーケテイングチャネルの確保。既存の卸商に資本参 加して販売会社とし,その卸商の保持していた流通経路を確保・利用。資本 投下機能を有する(d)か否(e)かで2つに分れる。 f 製造と販売の責任の明確化 g 価格政策,プライスリ・−・ダ・−・シップの確保 h 利潤の調節 親メ・−カ旧・の収益・費用を調節 次のiとjほ上のa∼hの標本点のもつ機能である。 i地区販売会社.の統括機能 j 共同販売会社 目的の割合は表Ⅴ−1に.掲げられている。(0,1)と売上高ウェイトが掲げられ

ている。(0,1)ではaO.18,e O小18,f O小11,g−0.07,bO.06の順であり,

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香川大学経済学部 研究年報17 ヱβ77 −J76− が(0,1)で0..82,売上高で0.91と1に.満たない理由ほ2つあり,1つほ上に 掲げられた目的・経線に分類できないものがあること,今1つは設立目的ある いほ経緯の判然としないものがあることによる。 割合で上位を占めるa,b及びCにほ販売会社凝出手形決済が多い。このこ とは表Ⅴ・−2を表Ⅴ−1と比較することにより示される。表Ⅴ・−2ほ販売会社腰 表Ⅴ一1販売会社の目的の割合,1970年 * 95%CI売上高ウェイトの95%信頼区間 表Ⅴ−・2 販売会社の目的の割合 販売会社振出手形決済,1970年 売上高 ウェイト 95%CI 目的・アドヴアンチイジ 0 2 8 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 8 6 3 5 4 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 O 44 O 17 0,18 O 00 0い02 a b C e g アドヴアンチイジa (目的aを含む) アドヴアンチイジa/ アドヴアンチイジaora/ (目的aを含む) 1 , 0,26 065 0,08 0.18 0り34 0.83 008 O 63 0‥05 0け06

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経済変動と販売会社 −∂77− 出手形決済を属性とするものの販売会社の目的別割合を示す。表Ⅴ−2に▲おいて

a,b及びeの和は0.37(0,1)と0.79(売上高ウェイト)である。0.86(=0.37

/0.43)(0,1)と0..98(=0.79/0.81)が表Ⅴ−1のa,b及びeに占める販売会 社の割合である。このことは目的a,bあるいはeを達成するために設立され る販売会社の主たる部分ほ販売会社凝出手形で決済していることを意味す早。

販売会社腰出手形決済でほd,f及びhは存在せず,eとgは無視できるはど

に小さい(売上高ウェイト)。 アドヴアンチィジa(目的aを含む)ほ親メ・−カー・の流動資本の回転期間の 短縮が,目的であると否とを問わず,アドヴアンチィジもしくは効果として親 メ・−か一に認められていることを意味する。アドヴアンチィジa′ほ販売会社 の資本調達能力(具体的にほ独自の金融機関借入)に力点が置かれ,結果とし て親メー・カ叫・の資本の回転期間が短縮されているケ・−・スである。iほ販売会社 の地区販売会社統括機能あるいは役割を認めていること,jは共同販売会社.を 意味する。アドヴ・アンチィジa(目的aを含む)の割合ほ0.26(0,1)と0一.65 (売上高ウェイト,以下同様)であり,アドヴアンチィジa′ほ0.08と0.18,

アドヴアンチィジa or a′は0.34と.0.83,iは0.08と0..63,そしてjは0.05

と0.06である。iの2つの割合の大きな差ほ販売会社の存在する市場におけ る自動車産業と家庭電気産業の圧倒的地位を物語る。iの大部分はこの2つの 産業に属している。表Ⅴ−2,Ⅴ−3を表Ⅰト1,ⅠⅠ−2と比較することにより,販 売会社凝出手形決済のa,b及びCの母集団全体にぶける重み,巽西・現金決 表Ⅴ−3 販売会社の目的の割合 袋書・現金決済,1970年

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香川大学経済学部 研究年報17 −−・J7g・− ユタ77 済のf,d及びhの母集団全体における歪みを知ることができる。前者は0.77 (=0.37/0…48)(0,1),0.90(0..79/0い88)(売上高ウェイト)であり,後者は 0.42(=0.22/0.52)(0,1),0..42(=0.05/0.09)(売上高ウェイト)である。 次に1販売会社のアドヴアンチィジ・役割の割合,耐久消費財メ−・か−の販売 会社のアドヴアンチィジ・役割の割合及び販売会社.振出手形決済の耐久消費財 メ1−・か−・の販売会社のアドヴ・アンチィジ・役割を検討しよう。 表Ⅴ一4,Ⅴ−5及びⅤ・−6の問のアドヴアンチィジa or a′(目的aを含む) の関係ほ次のようになっている。 アドヴアンチィジa or a′(目的aを含む) の割合は0.42(0,1)と0.86(売上高ウェイト)であり,耐久消費財メ、−か− はそのうち0≠57(=0仇24/0.42)と0..86(=0.74/0.86)を占める。この0.57と いう数倍はアドグアンチィジa ora′が耐久消費財産業以外に.も存在している ことを示す(売上高ウェイトでは耐久消費財メーカ・−のウェイトが圧倒的であ るが)。次にり 販売会社凝出手形決済で耐久消費財メt一か−・が耐久消費財メー 表Ⅴ−・4 販売会社のアドヴアンチイジ・役割の割合,1970年 表Ⅴ−5 耐久消費財産業の販売会社の目的・アドヴアンチイジの割合,1970年

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経済変動と販売会社 表Ⅴ−6 耐久消費財メ1・・・・・か−の販売会社の目的・アドグアンチイジ の割合,販売会社振軍手形決済,1970年 ・−∂7タ・−・

目的,アドヴアンチイジ,役割 l(0,1)l苧よ管

T⊥ C % 5 9 6 2 り0 0 3 0 0 1 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 1 3 8 5 7 2 1 0 0 1 0 2 0 0 0 0 0 0 0‥39 0り18 0小17 0.53 0い17 0い70 a b e アドヴアンチイジa(目的aを含む) アドヴアンチイジa/ アドプアンチイジaora/(目的aを含む) か−のアドヴアンチィジa ora′に占める重みは0.92(0..22/0.24)と0..95(= 0.70/0.74)と棲めて大きい。このような関係からいえることほ,殆ど全ての 耐久消費財メ・−か−・ほアドプアンチ・ィジa ora′を販売会社振出手形決済に.よ り実現しているということである。 3..マ1−ケティソグチャネル 販売会社の目的・アドヴ・アンティジほそのマ・−・ケティソグチャネルと密接に 結びついている。マ、−ケティソグチャネルは表Ⅴ−7に掲げられている。そこ に与えられたチャネルほ単純化したものであるが,販売会社のマ−ケティング チャネルの総体的把撞にはかえってこの方が役立つであろう。 チャネル1にはカメラメ−カーが属する。裏書決済が支配的である。 表Ⅴ・−・7 マ・−ケティソグチャネル,1970年 チャネル 1 参加型販売会社一卸 商一小売商−ユ・−ザ・− (代理店) 新設販売会社

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香川大学経済学部 研究年報17 ヱ977 ・−∂∂0・・− チャネル2にほ総合電機メ−か−・の家電部門が属する(1970年)。サッシメ1− カー・でこれに属するものもある。販売会社振出手形決済が支配的である。 チャネル3には自動車メ・−か−が属する。販売会社振出手形決済が支配的で ある。1975年現在でほ建設株械メーか−・もこのチャネルに属する。 チャネル4は官公庁(地方自治体を含む),公営企業への販売会社の直販チ ャネルである。現金決済が多い。 チャネル5に.ほ建設機械メ・−か−が属する。建設機械メーーか−・は1975年現在 ではチャネル3に属するとした方がより実態を表わすであろう。1970年当時も 建設検械の流通過程においては小売商とするのは適当でなかったかも知れな い。いわゆるディ1−ラ・−・である。建設梯械産業は販売会社凝出手形決済であ る。このチャネルに属する他の産業では決済方法ほ種々である。 チャンネル6に属する産業も決済方法も特定できない。 チャネル7に属する産業ほ.特定できない。このチャネルの卸商ほ大手の商業 資本である。 マ・−ケティソグチャネルの割合は.表Ⅴ−8に掲げられている。チャネル1の 割合は0一.15(0,1)と0.05(売上高ウェイト,以下同様),チャネル2の割合は

0.05と0.19,チャネル3の割合ほ0‖06と0..53,チャネル4の割合は0..13と

0小02,チャネル5の割合ほ0.18と0い08,チャネル6の割合は0小24と01.05で 表Ⅴ・−8 マ1−・ケティソグチャネルの割合,1970年

(0,1)l讐よ苧】95%CI

チ ャネル * 値を算出していない

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経済変動と販売会社 −3∂J− あり,チャネル7の割合は0..05と0い04である。 4。裏書・現金決済の回転期間,収益」費用 親メ・−か−の売掛債権回転期間と販売会社の売掛債権回転期間は褒章決済の 下でほ理論的に同一・の長さとなる筈であり,現金決済の下では同一・の長さにな るケ・−ス(販売会社.に資本投下機能がない場合)と販売会社の方が長いケ・−ス (販売会社.に・資本投下機能がある場合)がある。しかし現金決済の割合ほ極め て小さい((0,1)で裏書決済の割合0‖40,現金決済0.11)ので,この2つの 決済方法を合せて1つとして取扱っているのである。 1970年,1971年度の財務デー・タのうち規模Aの裏書・現金決済の標本点から の回収が少く,標本として母集団特性値の推定に歪が生ずるおそれがあったの で,無作為標本としては扱えない。1975年度についてこは前回回収できなかった 標本点のすべてから財務デー・タの回答があり,無作為標本として扱えることに なった。このような事情から,比較は正確にはできないのであるが,参考とし て1971年度と1975年度の比較をすることとしたい14)。 付表14より,親メ・−・か−の販売会社忙対する売掛債権回転期間と受取手形 銀行割引残回転期間の和は1971年度で5い166ケ月,1975年度で5.868ケ月であ り,販売会社振出手形決済の4.240ケ月,4。876ケ月(付表2)に比して約1 ケ月長い。 しかし金融機関短期借入金に.関しては,裏書・現金決済の1.742ケ月(1971 年度),2..314ケ月(1975年度)ほ販売会社振出手形決済の1い727ケ月(1971年 度),2.、176ケ月(1975年度)とほぼ同一・の水準にある。結局上のほぼ1ケ月 の負担は自己資本が吸収することとなる。自己資本回転期間は裏書・現金決済 の3.357ケ・月(1971年度),3い401ケ月(1975年度)に対し,販売会社腰出手 形決済では2.379ケ月(1971年度),1い613ケ月である。自己資本による吸収 はそれだけ裏書・現金決済のメ・−か−の安定ぶりを示しているといえないであ ろうか。 販売会社に.関しては付表15より次のことがいえるであろう。親メ・−カ・−よ りの商品在庫と自己資本ほ裏書・現金決済と販売会社振出手形決済でははぼ同 一の水準にあり,金融機関短期借入金,同長期借入金に関してほ裏書・現金決 14)1970年度のデ・−タ■では連結ができないので,1971年度をとる。

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香川大学経済学部 研究年報17 −∂∂2一− Jβ77 済の方が販売会社振出手形決済の半分以下の水準にある。金融磯関借入金は販 売会社の資本投下機能を支.え.るものであり,裏書・現金決済にこの校能がない ことから,これらの数値はごく自賂な姿を示すものであろう。親メ・−か一にと っての販売会社の存在理由が財務面には求められていないのである。 収益・費用の面(付表16)からは裏書・現金決済の販売会社振出手形決済に 比しての安定ぶりがうかがえる。経常損益でとくにその感を深くす,るものであ る。 なお,付表16の1971年庶の数値は9社笹ついて−のものであるが,その理由 は,除いた1社の財務状態が,非常に.良好であるが,かなり大きく他の9社と かけほなれていることから,小標本でほこの影響が強く出すぎるきらいがある ことである。 ⅤⅠ 産業資本が流通過程においてマ・−ケティングチャネルを選択的に構築するこ とは商業資本の排除を必然化する,あるいは商業資本の弱体化(価値実現機 能,資本投下機能の弱体化)が産業資本に.よるマ−ケティソグ≠ヤネルの構築 を可能にする。構築したマーケティングチャネルにおいては産業資本が支配的 である。Ⅴ節でみたように,チャネル2,3及び5は産業資本が支配的なチャ ネルであり,これらにおいてほ販売会社.振出手形決済が支配的であった。チ ャネル1は弱体化した(具体的にほ.資本投下機能を失、つた)卸商にメ1−・カーが その営業部を分離合体させるという形でその卸商のもつ価値実現機能を活用す るチャネルで,販売会社内でのメ・−か−の旧営業部と旧卸商の力関係から−・概 にメー・か一支配のチャネルに加え.ることはできないが,この5年間の方向とし てメ−か一俵位のチャネルになったといってよいであろう。チャネル4ほ裏書 ・現金決済が支配的であるが,ここではもともとユ1−・ザ1−への直接販売が支配 的であり,メ1−・か−・の営業部が販売会社として分離・独立することに.よっては 流通過程に変化ほない。メ・−・か−の流通過程支配というとき,それが消費者需 要との直接的接触の実現を意味するならば,このチャネルは除かれる。 チャネル2,3と5の販売会社腰出手形決済に占める割合は(0,1)で0.60, 売上高ウェイトで0り90である。チャネル1と4の襲蕃・現金決済に占める割

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経済変動と販売会社 岬∂β♂劇 合は0.55と0‖58である。親メ脚力仙と販売会社の間の仕切価格の決定方式は このような関係を反映していることを予想させる。表Ⅴト1によれば,販売会 表Ⅴトイ 親メ鵬力酬と販売会社の間の仕切価格の決定方式 の割合,1975年度 二二 二二 A Oり172 0ト626 0小181 A or B

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香川大学経済学部 研究年報17 J977 ・−∂β4− 社頻出手形決済ではA(販売会社ほ機能的には商業資本,価格体系としてはメ −か−・販売会社「‥体,販売会社匿−・定のマ−ジン率(この範囲内で販売会 社ほ流通経費をまかない,利益を出す))0..172(0,1),0…626(売上高ウェイ ト,以下同様),B(販売会社ほ機能的には商業資本,価格体系としてほメ− カ−・・販売会社∵・体,メ1−・カ−,販売会社ともに赤字が出ないように仕切価格 を協議し,全体としての利益増大を目指す,販売会社のマ・−−ジンはかなり政策

的)0.189,0.197で,AとBの和で0い362,0.822である。

裏書・現金決済でほ決定方式にバラツキがあるのが目につくが,その中でほ AA(販売会社に.は収支トントンになるような仕切とし,販売会社の営業努力

があれば利益があがるようにする)0り133,0.037,BOい100,0..060,そして

AO.098,0小031の順であり,これら3つの和は0..331,0.128である。チャネ

ル1,4との関連をみれば,この2つのチャネルに属する標本点の大部分が A,AA,Bに分布している。裏書・現金決済ではAAが特長的である。■また 販売会社設立の目的・アドヴァソティジと仕切価格の決定方式に密接な関連が あるが,この点は襲酋・現金決済にとくに色濃く現われていると思われる。裏 書・現金決済では目的・アドヴアンチィジにノミラッキがあり,それぞれの目的 ・アドヴ・アンチィジに応じて仕切価格の決定方式が定まり,したがって決定方 式にバラツキがあるのである。この点販売会社凝出手形決済では目的・アドプ アンチィジが資本投下機能に集約されており,これと仕切価格の決定方式A, Bに密接なつながりがあるのはある意味で当然である。 販売会社振出手形決済に.特長的な点ほ.仕切価格の決定方式A,Bの和の割 合が(0,1)で0.362であるのに対し,売上高ウェイトで0.822と極めて高い ことである。このことほ.売上高の大きい企業ほど方式A,Bを採用している ことを意味する。すなわち大企業ほどこれらの方式を採用していることを意味 する。寡占の定義を1)市場集中度が高いこと,2)参入障壁が存在すること に求められる15)とすれば,次の理由からこれらの大企業は寡占企業と呼んでよ いであろう。 1)に関して 販売会社の当該産業における扱い割合の高い順に10位までの産業を選ぶと, 15)〔3〕

(35)

経済変動と販売会社 1−∂βJ一−・ その全てについて市場集中度が高い。表Ⅴト2は販売会社の産業別扱い割合を 示す。 表ⅤⅠ・−2 産業別 販売会社の扱い割合,1970年 タイヤ・チュ.・−・ブ サッシ(アルミ,スチ・−ル) 石鹸(主として合成洗剤) 写真感光材料 農業機械 l ハリ 8 5 1 4 4 3 2 ウ] 0 0 0 0 0 磨 歯 器・ 串電品ラ ン 動座粧メシ 自家化カミ 1 2 3 4 5 5 3 7 ︵=0 9 8 8 7 6 5 0 0 0 0 0 6 7 8 9 0 1 出所:拙稿「販売会社の産業別ウニイナ」『香川大学経済学部研究年報』15 もっともここでいう販売会社匿ほ地区販売会社も含まれていて−,地区販売会 社のみせ有する形態が支配的な産業として一夕イヤ・チエ∵−ブ,石鹸,農業磯嫌 があげられる。 2)に.関して 地区販売会社は参入障壁となり得る川)。10産業のうち8つに地区販売会社が 存在する。この8つのうち3つは地区販のみ存在し,地区販と販売会社の両者 が同一・のチャネルに並存している産業は5つである。 親メ・−か−一版売会社一地区∴販売会社のチャネルの割合ほ0.72(売上 高ウェイト)で,このうち大半は販売会社振出手形決済であるので,販売会社. 振出手形決済の割合0.88(売上高ウェイりの大部分はこの塑のチャネルと みなせる。したがって方式A,Bはこのチャネルと密接な関連がある。 産業をベクトル空間にみたてるならば,これら寡占メ・→か−・と3層すなわち 販売会社を有せず地区販で全国の市場をカバーしているメ・−・カ鵬・(この層に属 するメ・−か一には上の寡占の定義にあてほ.まるものが多い)とで張る空間は.そ のベクトル空間の大部分を占める。個々の企業の間でほ激烈な競争が展開され るが,これらのメ1−・か−・ほ.ベクトルの集合として価格決定力17)(消費者,ユ・− ザ、−・に渡る価格すなわち最終価格)を有するであろう。 方式A,Bにおける価格体系にはこの最終価格すなわち市場価格が含まれ る。 16)販売会社と地区販売会社の親メ・−カー・に対する役割の差異等については別稿に譲 る。 17)寡占価格に関しては〔2〕を参照されたい。

(36)

香川大学経済学部 研究年報17 Jタ77 参 考 文 献 〔1〕橋本 勲『現代商業学』ミネルヴァ書房1971年 〔2〕中野 安『価格政策と小売商業』ミネルヴァ書房1975年 〔3〕北原 勇「市場構造と価格支配」慶応義塾大学「経済学年報」51961年度 〔4〕激戸磨明「販売会社に関する調査」『香川大学経済論叢』44巻4・5・6合併号 1972年 〔5〕瀬戸靡明「一流動資本の回転と販売会社」『経営学論集』44集 千倉書房1974年

〔’6〕Seto H.,Industrialcharacteristics of manufacturer’s sales company inJapan 『香川大学経済論設』47巻4・5・6合併号1975年

〔7〕瀬戸磨明「販売会社の産業別ウェイト」『香川大学経済学部研究年報』15

1975年

〔8〕Seto H..,Astudy ofmanufacturer’s sales companyinJapan based On a Sample survey 『香川大学経済論麓』48巻5・6合併号1976年 〔9〕SetoHりChannelsofdistributioninthemanufacturer,s salescompany SySteminJapan 『香川大学経済論設』49巻2号1976年 〔10〕瀬戸鹿明「メ・−・か−・と販売会社の連結財務一標本調査−・」『香川大学経済論螢』 49巻1号1976年 〔’11〕瀬戸廣明「メ・−カ・−・と販売会社の流動資本の回収期間の分散」『香川大学経済論 葦』50巻1号1977年 〔12〕瀬戸虞明「販売会社を有するメーー・か−の数,1975年」『香川大学経済論殻』50巻 3・4合併号,1977年

〔13〕Seto H.,A study oftheturnover of circulating capitaland manufac− turer’s sales companyinJapan based on a sample survey,Research PaperNo.3,December1974,Department ofInformation Science,

College ofEconomics, Kagawa University. 付表1 連結回転期間,比→和(販社手形振出決済) 1 層 単位.月 1971年度 11975年度 項 目 (1)売掛債権(除,受取手形割引残) (2)受取手形割引残 (3)金融校閲短期借入金 (4)自己資本 (5)貸方合計 (6)〈(1)+(2))/(5) 4346 8い379 1い884 1い888 2.523 3 085 1.806 1‖806 12919 12い919 0‖43 0い41

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経済変動と販売会社 付表2 親メ・−・カ−・の回転期間,比→和(販社手形振出決済) 1層 単位 月 ・−ぎβ7−・ 1975年度 1971年度 項 目

(1)販社に対する売掛債権 (除,販社凝出手形割引残)

(2)販社靡出手形割引残 (3)金融機関短期偏入金 (4)自己資本(上,下平均) (5)貸方合計(上,下平均) (6)((1)十(2))/(5) 2.490* 3…189* 1け750 1り687 1い727* 2.176* 2け379 16133 12.691 10..963 0い33 0.44 * 販社に対する売掛債権回転期間の延長を金融機関短期借入金の増加で吸収せざるを 得ないが,不足分は販社た対する長期貸付の圧縮(付表3をみよ)等で吸収するの であろう。 付表3 販売会社の回転期間,比→和(販社手形振出決済) 1層 単位 月 1971年度 l1975年度 項 目 6.698 5.834 4い346 3.879 0…481 0.514 0.785 1。025 1,.108 1.198 0.557 0.466 0.444 0.687 0.298 0.122 7.001 6一488 (1)流動資産 (2)売掛債権(除,受取手形割引残) (8)受取手形割引残 (4)在 庫 (5)金融機関麺期借入金 (6)自己資本(上,下平均) (7)金融機関長期借入金 (8)親メ・−・か一よりの長期借入金 (9)貸方合計(上,下平均)

(38)

香川大学経済学部 研究年報17 付表4 連結回転期間,和→比,1971年度 (販社手形振出決済) 1 層 単位 月 −∂∂∂−・ Jタ77 項 目 (1)売掛債権(除,受取手形割引残) (2)受取手形割引残 (3)金融機関短期借入金 (4)自己資本 (5)貸方合計 (6)((1)+(2))/(5) 4い380 2 71 1..198 llO0 2。.927 2.16 2‖634 2い54 14.136 12い5 0.39 0い30 注 A:資本金1億円以上の全製造菜(除,船舶)大蔵省法人企業統計による。 付表5 親メ・−か−の回転期間,和→比,1971年度 (販社手形振出決済) 1 層 単位 月 (1)販社に・対する売掛債権(誓お笥謂出) (2)販社振出手形割引残 (3)金融礫閑短期債入金 (4)自己資本(上,下平均) (5)貸方合計(上,下平均) (6)((1)+(2))/(5)

参照

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