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申請権の濫用について-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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鹿

現 行 の 行 政 法 規 で 権 利 濫 用 禁 止 規 定 を 明 文 で 置 く も の は 、 政 治 資 金 規 正 法 一 九 条 の 一 六 第 五 項 が 定 め る 国 会 議 員 関 政 治 団 体 に 係 る 少 額 領 収 書 等 の 写 し の 開 示 請 求 に 関 す る 規 定 が 、 ほ ぼ 唯 一 の も の で あ る︵1 ︶ 。 そ れ ゆ え 、 民 法 一 条 三 項 み ら れ る 権 利 濫 用 禁 止 の 原 則 は 、 行 政 法 に お い て は 、 不 文 法 源 で あ る 法 の 一 般 原 則 と し て 、 行 政 法 上 の 法 律 関 係 へ 適 用 が 考 察 さ れ て き た ︵ 2 ︶ 。 行 政 法 上 の 法 律 関 係 を め ぐ る 裁 判 例 に お い て も 、 権 利 濫 用 論 を 用 い て 事 案 を 解 決 し た も の 一 定 の 蓄 積 が み ら れ る と こ ろ で あ る 。 こ れ を 行 政 の 側 に つ い て み れ ば 、 行 政 が 財 産 権 の 主 体 と し て 登 場 す る 場 合 は 、 政 主 体 の 行 為 に 権 利 濫 用 法 理 が 適 用 さ れ︵3 ︶ 、 ま た 、 行 政 が 公 権 力 の 主 体 と し て 登 場 す る 場 合 に は 、 権 限 の 濫 用 と し て 分 の 違 法 性 が 問 わ れ る こ と に な る ︵ 4 ︶ 。 他 方 、 行 政 法 学 の 使 命 が 、 行 政 活 動 の 法 的 統 制 を 通 じ て 私 人 の 権 利 保 護 を 図 る こ と を 主 眼 と す る こ と か ら 、 行 政 法 92(224) 一

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上 の 法 律 関 係 に お け る 私 人 側 の 権 利 濫 用 は 、 十 分 な 関 心 が 払 わ れ て こ な か っ た と い え る 。 し か し 、 情 報 公 開 制 度 の 下 に お け る 開 示 請 求 権 の 濫 用 事 案 に み ら れ る よ う に 、 私 人 側 の 権 利 濫 用 も 等 閑 視 す る こ と は で き ず 、 最 近 の 教 科 書 で も 、 法 の 一 般 原 則 の 適 用 に 関 連 し て 、 私 人 側 の 権 利 濫 用 に 一 定 の 記 述 が 割 か れ る よ う に な っ て い る ︵ 5 ︶ 。 さ て 、 行 政 手 続 法 が 制 定 さ れ て 以 降 、 た と え ば 申 請 書 の 不 受 理 や 返 戻 と い っ た 不 適 正 な 取 扱 い に つ い て 、 裁 判 所 は 、 申 請 権 保 護 の 観 点 か ら 厳 し い 態 度 で 臨 ん で い る と い っ て よ い で あ ろ う ︵ 6 ︶ 。 し か し 、 申 請 書 の 不 受 理 ・ 返 戻 が 争 わ れ る 事 案 で は 、 当 該 申 請 の 行 使 が 権 利 濫 用 に あ た る と の 主 張 が 行 政 側 か ら な さ れ る 例 が 少 な か ら ず み ら れ る 。 本 稿 は 、 申 請 権 の 保 護 を 考 え る 上 で も 、 申 請 権 濫 用 論 に つ き 併 せ て 検 討 す る 必 要 が あ る と の 考 え か ら 一 考 察 を 加 え る も の で あ る 。 申 請 権 は 、 当 該 申 請 に つ い て 行 政 庁 に 課 さ れ る 審 査 応 答 義 務 に 対 応 す る も の で あ り 、 手 続 法 的 性 格 を 有 す る が︵7 ︶ 、 そ の 侵 害 が あ れ ば 、 裁 判 救 済 を 求 め う る と い う 点 で 実 体 的 権 利 で あ り 、 そ れ ゆ え 、 申 請 権 の 行 使 に つ き 権 利 濫 用 論 が 適 用 さ れ る 基 礎 は あ る 。 も っ と も 、 申 請 権 の 性 格 か ら す れ ば 、 そ の 権 利 濫 用 も 行 政 法 固 有 の 特 徴 が あ る の で は な い か と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、 以 下 に お い て は 、 申 請 権 濫 用 に つ い て 行 政 法 固 有 の 問 題 を 次 節 で 検 討 し 、 次 い で 、 第 三 節 で は 申 請 権 濫 用 の 要 件 と し て 重 要 な 意 義 を 持 つ と 考 え ら れ る 主 観 的 要 素 に つ き 考 察 す る こ と と す る 。 ま た 、 第 四 節 で は 、 同 一 申 請 人 に よ る 同 一 内 容 の 申 請 の 繰 り 返 し と い う 問 題 に つ き 、 権 利 濫 用 論 と の 関 係 を 考 察 す る 。 な お 、 申 請 権 は 、 何 ら か の 個 別 具 体 的 な 実 体 法 上 の 権 利 や 法 的 地 位 と 結 び つ い て い る︵8 ︶ 。 そ の 結 合 の 程 度 は 様 々 で あ る が 、 た と え ば 両 者 が 密 接 な 関 係 に あ る 情 報 開 示 請 求 権 に つ い て み れ ば 、 権 利 濫 用 問 題 は 、 開 示 請 求 権 の 濫 用 と し て 捉 え ら れ る の が 通 常 で あ る︵9 ︶ 。 し か し 、 個 別 具 体 的 な 権 利 に 係 る 権 利 濫 用 の 評 価 は 、 当 該 権 利 の 性 質 や 内 容 を 個 別 法 令 に 基 づ い て 分 析 す る こ と が 必 要 で あ り 、 本 稿 の 考 察 が 及 ぶ と こ ろ で は な い 。 本 稿 で は 、 申 請 一 般 に つ き 生 じ る 権 利 濫 用 の 問 題 を 、 裁 判 事 例 等 を 素 材 と し て 検 討 す る こ と と す る 。 二 91(223)

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︵ 1 ︶ 政 治 資 金 規 正 法 の 同 条 項 に つ い て は 、 総 務 省 政 治 資 金 適 正 化 委 員 会 に お い て ﹁ 少 額 領 収 書 等 の 写 し の 開 示 請 求 が 権 利 の 濫 用 又 は 公 の 秩 序 若 し く は 善 良 の 風 俗 に 反 す る と 認 め ら れ る 場 合 の 具 体 的 な 指 針 に つ い て ﹂ が 策 定 さ れ て お り 、 開 示 請 求 が 権 利 の 濫 用 又 は 公 序 良 俗 に 反 す る と 認 め ら れ る 場 合 に は 、 開 示 を し な い 旨 を 決 定 す る こ と と さ れ て い る ︵h ttp :// www. so u m u.go.j p/ m ai n_c ont ent / 0 0 0 0 9 5 4 1 5 .pdf ︶ 。 な お 、 武 力 攻 撃 事 態 に お け る 外 国 軍 用 品 等 の 海 上 輸 送 の 規 制 に 関 す る 法 律 五 十 条 に も 権 利 濫 用 の 文 言 は み ら れ る が 、 こ れ は 外 国 軍 用 品 審 判 所 に お け る 証 拠 の 取 調 べ に つ き 準 用 さ れ る 刑 事 訴 訟 法 の 読 み 替 え 規 定 で あ る 。 情 報 公 開 法 の 改 正 に つ い て は 、 本 稿 の 最 後 で 触 れ て い る 。 ︵ 2 ︶ 塩 野 宏 ﹃ 行 政 法 # ︹ 第 五 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 一 一 年 ︶ 六 二 頁 以 下 ︵ 八 三 頁 以 下 ︶ 、 宇 賀 克 也 ﹃ 行 政 法 概 説 # ︹ 第 四 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 一 一 年 ︶ 四 三 頁 以 下 ︵ 特 に 五 二 頁 以 下 ︶ 、 石 井 昇 ﹃ 行 政 法 と 私 法 ﹄ ︵ ぎ ょ う せ い 、 一 九 九 八 年 ︶ 五 九 頁 以 下 等 参 照 。 な お 、 ﹁ 法 の 一 般 原 則 ﹂ 概 念 の 捉 え 方 に つ き 民 法 学 と 行 政 法 学 と で 相 違 が あ る こ と に つ き 、 宇 賀 克 也 ・ 大 橋 洋 一 ・ 高 橋 滋 編 ﹃ 対 話 で 学 ぶ 行 政 法 ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 〇 三 年 ︶ 一 九 頁 以 下 [ 裕 康 ・ 大 橋 陽 一 対 談 ] 参 照 。 ︵ 3 ︶ 甲 府 地 裁 平 成 一 一 年 八 月 一 〇 日 判 決 ︵ 判 例 地 方 自 治 二 一 二 号 六 二 頁 ︶ は 、 別 荘 所 有 者 に 課 さ れ た 高 額 な 水 道 料 金 が 支 払 い 拒 否 に あ い 、 こ れ に 対 す る 水 道 事 業 者 に よ る 給 水 停 止 権 の 行 使 が 権 利 濫 用 に あ た る と さ れ た 事 案 で あ る 。 本 件 解 説 と し て は 、 馬 橋 隆 紀 ・ 後 藤 由 喜 雄 ﹁ 別 荘 地 で ! 水 " 戦 争 ⋮ 水 道 料 金 格 差 を め ぐ り 別 荘 所 有 者 と 町 が せ め ぎ 合 い ﹂ 判 例 地 方 自 治 二 一 六 号 ︵ 二 〇 〇 一 年 ︶ 四 頁 以 下 。 ︵ 4 ︶ 行 政 権 限 の 濫 用 に 関 し て は 、 著 名 な 山 形 県 余 目 町 個 室 付 浴 場 事 件 ︵ 最 高 裁 昭 和 五 三 年 五 月 二 六 日 第 二 小 法 廷 判 決 ・ 民 集 三 二 巻 三 号 六 八 九 頁 ︶ が あ る 。 多 く の 評 釈 等 が あ る が 、 差 し 当 た り 、 田 村 和 之 ・ 本 件 解 説 ﹃ 行 政 判 例 百 選 # ︹ 第 五 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 〇 六 年 ︶ 六 四 頁 以 下 を 参 照 さ れ た し 。 ︵ 5 ︶ 宇 賀 克 也 ﹃ 行 政 法 概 説 # ︹ 第 四 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 一 一 年 ︶ 五 二 頁 以 下 、 櫻 井 敬 子 ・ 橋 本 博 之 ﹃ 行 政 法 ︹ 第 三 版 ︺ ﹄ ︵ 弘 文 堂 、 二 〇 一 一 年 ︶ 二 六 頁 等 参 照 。 ︵ 6 ︶ 拙 稿 ﹁ 申 請 書 の 返 戻 と 行 政 手 続 法 ﹂ 香 川 法 学 ︵ 二 〇 〇 九 年 ︶ 一 二 九 頁 以 下 。 申 請 ・ 届 出 の 不 受 理 ・ 返 戻 に 関 す る 裁 判 例 に つ き 参 考 と な る 文 献 と し て 、 椎 名 慎 太 郎 ﹁ 違 法 な 行 政 指 導 と は 何 か− 申 請 ・ 届 出 の 扱 い と 行 政 手 続 法 の 規 律 ﹂ ︵ 同 ﹃ 行 政 手 続 法 と 住 民 参 加 ﹄ ︵ 成 文 堂 、 一 九 九 六 年 ︶ 所 収 ︶ 二 七 頁 以 下 、 最 高 裁 判 所 事 務 総 局 行 政 局 監 修 ﹃ 行 政 手 続 法 関 係 執 務 資 料 ﹄ ︵ 法 曹 会 、 一 九 九 七 年 ︶ 一 四 頁 以 下 、 恩 地 紀 代 子 ﹁ 返 戻 行 為 の 処 分 性 ﹂ 関 西 大 学 大 学 院 法 学 ジ ャ ー ナ ル 六 九 号 ︵ 二 〇 〇 〇 年 ︶ 二 五 六 頁 以 下 、 椎 名 慎 太 郎 ﹁ 申 請 ・ 届 出 の 受 付 け と 行 政 手 続 法 の 規 律 ﹂ 山 梨 学 院 ロ ー ジ ャ ー ナ ル ︵ 二 〇 〇 四 年 ︶ 七 頁 以 下 。 90(222) 三

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︵ 7 ︶ 申 請 権 の 意 味 に つ い て は 、 小 早 川 光 郎 ﹃ 行 政 法 上 ﹄ ︵ 弘 文 堂 、 一 九 九 九 年 ︶ 二 二 〇 頁 以 下 、 薄 井 一 成 ﹁ 申 請 権 の 保 護 ﹂ ﹃ 行 政 法 の 争 点 ︹ 第 三 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 〇 四 年 ︶ 五 四 頁 以 下 等 参 照 の こ と 。 ︵ 8 ︶ 申 請 が 有 す る 手 続 法 上 の 内 容 と 実 体 法 上 の 内 容 の 二 面 性 に つ い て 、 人 見 剛 ﹁ 行 政 処 分 申 請 権 に つ い て− ド イ ツ 法 を 素 材 と す る 一 考 察− ﹂ 兼 子 仁 ・ 磯 部 力 編 ﹃ 手 続 法 的 行 政 法 学 の 理 論 ﹄ ︵ 勁 草 書 房 、 一 九 九 五 年 ︶ 所 収 一 六 二 頁 以 下 が 参 考 と な る 。 ︵ 9 ︶ 開 示 請 求 権 の 行 使 は 、 手 続 法 的 観 点 か ら す れ ば 申 請 に あ た り 、 そ れ ゆ え 、 非 開 示 決 定 が 争 わ れ る 場 面 で は 、 手 続 違 背 を 理 由 と し て 違 法 性 が 問 わ れ る こ と は 言 う ま で も な い 。 塩 野 宏 ・ 高 木 光 ﹃ 条 解 行 政 手 続 法 ﹄ ︵ 弘 文 堂 、 二 〇 〇 〇 年 ︶ 一 五 七 頁 も 参 照 の こ と 。

権 利 濫 用 に 該 当 す る 申 請 権 の 行 使 が 、 行 政 手 続 法 ・ 行 政 手 続 条 例 ︵ 以 下 に お い て は 、 行 政 手 続 法 の み 表 記 す る 。 ︶ に お い て ど の よ う に 位 置 づ け ら れ る の で あ ろ う か 。 権 利 濫 用 に 当 た る 申 請 権 の 行 使 は 、 そ も そ も 正 当 な 権 利 行 使 と は 認 め ら れ な い の で あ る か ら 、 行 政 手 続 法 に よ る 申 請 権 保 護 規 定 は 働 か な い と い う 考 え も 成 り 立 ち う る か も し れ な い 。 こ の 理 解 に 立 て ば 、 法 的 根 拠 の な い 不 受 理 ・ 返 戻 と い っ た 事 実 上 の 措 置 を 排 除 す る こ と に 目 的 が あ る と さ れ る 行 政 手 続 法 七 条 の 規 定 も 、 権 利 濫 用 に あ た る 申 請 に 対 し て は 適 用 さ れ な い と 解 さ れ る 余 地 が あ る 。 実 際 に 裁 判 例 で み ら れ る 権 利 濫 用 を 理 由 と し て 申 請 書 の 不 受 理 ・ 返 戻 が な さ れ た ケ ー ス は 、 こ の よ う な 解 釈 に 基 づ く 行 政 庁 の 対 応 で あ る と 考 え ら れ る 。 し か し 、 権 利 濫 用 に 該 当 す る 申 請 に 限 っ て 、 行 政 手 続 法 の 適 用 外 と す る こ と は 相 当 で は な い で あ ろ う 。 個 別 法 令 に 四 89(221)

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受 理 の 根 拠 が な い 場 合 、 申 請 自 体 の 存 在 を 否 定 す る 不 受 理 と い う 扱 い は 、 申 請 者 側 か ら す れ ば 、 こ れ に 対 す る 争 訟 の 機 会 を 奪 わ れ る こ と を 意 味 す る 。 そ れ ゆ え 、 い か な る 理 由 に よ ろ う と も 、 不 受 理 を 排 除 す る こ と に 行 政 手 続 法 七 条 が 設 け ら れ た 意 義 が あ る と 考 え ら れ る ︵ 10 ︶ 。 権 利 濫 用 に あ た る と さ れ る 場 合 で も 同 様 で あ っ て 、 仮 に 、 当 該 申 請 権 の 行 使 を 権 利 濫 用 と 評 価 す る な ら ば 、 不 適 法 な 申 請 と し て 申 請 拒 否 処 分 を な せ ば 足 り る 。 裁 判 例 で も 同 様 の 判 断 が 示 さ れ て い る 。 権 利 濫 用 に 当 た る と し て 公 開 請 求 書 が 不 受 理 と な っ た 事 案 に つ き 、 仙 台 地 裁 平 成 二 一 年 一 月 二 九 日 判 決 ︵ 判 例 集 未 登 載 ︶ は 、 次 の よ う に 述 べ て 不 受 理 の 違 法 性 を 説 い て い る 。 ﹁ 本 条 例 上 、 一 旦 受 理 さ れ た 公 開 請 求 に つ い て 、 こ れ を 不 受 理 と す る ︵ こ れ は 、 受 理 を 取 消 し て 公 開 請 求 書 を 返 却 し 、 公 開 請 求 が な さ れ た 事 実 自 体 を 消 滅 さ せ る こ と を 意 味 す る 。 ︶ こ と が で き る 旨 の 条 項 は 存 在 せ ず 、 不 受 理 と す る 取 扱 は 許 さ れ て い な い と 解 す る ほ か な い 。 実 質 的 に 見 て も 、 不 受 理 は 、 実 施 機 関 が 公 開 請 求 者 に 対 し て 公 開 決 定 等 の 意 思 表 示 を す る こ と を 拒 絶 す る も の ︵ 公 開 請 求 が な さ れ た 事 実 自 体 が 消 滅 す る の で あ る か ら 、 こ れ に 対 応 す る 意 思 表 示 が な さ れ る 余 地 は な い 。 ︶ に ほ か な ら ず 、 公 開 請 求 者 と し て は 、 不 服 申 立 の 機 会 が 奪 わ れ る と い う 意 味 に お い て 、 極 め て 大 き な 不 利 益 を 被 る こ と に な る ︵ 不 開 示 決 定 に 対 し て は 、 公 開 請 求 者 は 不 服 申 立 て を す る こ と が で き る ︵ 本 条 例 一 四 条 一 項 ︶ が 、 不 受 理 の 場 合 は 、 公 開 請 求 が な さ れ た 事 実 自 体 が 消 滅 す る の で あ る か ら 、 不 服 申 立 て を 観 念 す る 余 地 が な い 。 ︶ ﹂ 。 権 利 濫 用 の 一 般 論 か ら す れ ば 、 あ る 権 利 行 使 が 権 利 濫 用 に あ た る と さ れ る 場 合 、 当 該 権 利 行 使 の 効 果 が 生 じ な い は ず で あ る ︵ 11 ︶ 。 し か し 、 申 請 権 の 濫 用 に つ い て は 、 行 政 庁 に 課 さ れ る 審 査 義 務 は 生 じ な い と し て も 、 応 答 義 務 は 、 な お 残 存 す る と 考 え ら れ る 。 行 政 手 続 法 七 条 の 適 用 が あ る こ と を 前 提 に す れ ば 、 同 条 が ﹁ 却 下 ﹂ と ﹁ 棄 却 ﹂ の 区 別 を 設 け て い な い ゆ え 、 権 利 濫 用 に あ た る と 判 断 さ れ る 申 請 権 の 行 使 が あ れ ば 、 行 政 庁 と し て は 申 請 拒 否 処 分 を 行 う こ と に な る ︵ 12 ︶ 。 も っ と も 、 実 際 に 88(220) 五

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は 、 申 請 に 対 す る 却 下 と 棄 却 の 取 扱 い を 別 に す る 対 応 が み ら れ な い わ け で は な い 。 情 報 公 開 制 度 の 運 用 を 例 に み る と 、 国 の 場 合 は 、 請 求 却 下 に 相 当 す る ケ ー ス で も 非 開 示 決 定 通 知 書 に よ り 通 知 さ れ る 扱 い の よ う で あ る 。 行 政 手 続 法 に 忠 実 な 処 理 と い え る 。 他 方 、 地 方 公 共 団 体 に お け る 取 扱 い は 統 一 さ れ て お ら ず 、 請 求 却 下 に 対 し て 、 非 開 示 決 定 通 知 書 と は 異 な る 請 求 却 下 通 知 書 を 用 い る 例 は 広 く み ら れ る1︵3 ︶ 。 行 政 手 続 条 例 に 照 ら し て 疑 義 が 生 じ る か も し れ な い が 、 情 報 公 開 条 例 に お け る 開 示 決 定 の 規 定 が 、 た と え ば ﹁ 実 施 機 関 は 、 公 開 請 求 が あ つ た と き は 、 ⋮ 請 求 者 に 対 し 、 当 該 行 政 文 書 を 公 開 し な け れ ば な ら な い ﹂ と い っ た 文 言 で あ る 場 合 、 権 利 濫 用 に あ た る 公 開 請 求 は ﹁ 公 開 請 求 が あ つ た と き ﹂ に は 含 ま れ な い と の 解 釈 か ら 、 請 求 却 下 の 決 定 を 別 に 扱 う と い う 理 解 は 成 り 立 ち う る で あ ろ う ︵ 14 ︶ 。 ま た 、 規 則 に お い て 不 受 理 決 定 通 知 書 を 設 け る 例 も み ら れ る1︵5 ︶ 。 不 受 理 と い う 表 現 が 適 切 か は 疑 問 で あ る が 、 こ の 場 合 で あ っ て も 、 不 服 申 立 て 等 が 可 能 で あ る 旨 の 教 示 が 付 さ れ て お り 、 実 質 的 に 却 下 決 定 と 異 な る も の で は な い 。 却 下 決 定 、 棄 却 決 定 の い ず れ に せ よ 、 こ れ が 申 請 拒 否 処 分 に 包 摂 さ れ 、 申 請 者 に 争 訟 の 機 会 が 確 保 さ れ て い る な ら ば 、 直 ち に 法 的 問 題 が 生 じ る と い う わ け で は な い で あ ろ う1︵6 ︶ 。 行 政 法 の 領 域 で 生 じ る 紛 争 に 権 利 濫 用 禁 止 原 則 を 含 む 法 の 一 般 原 則 を 用 い て 解 決 を 図 ろ う と す る と き 、 も っ と も 深 刻 と な る の は 、 法 治 主 義 と の 抵 触 問 題 が 生 じ る 場 面 で あ る ︵ 17 ︶ 。 申 請 権 の 濫 用 に つ い て み れ ば 、 そ れ は 私 人 側 に 生 じ る 問 題 で あ る か ら 、 法 律 に よ る 行 政 の 原 理 と の 抵 触 は 、 直 ち に は 問 題 と な ら な い と み え る か も し れ な い 。 し か し 、 許 認 可 等 を 求 め る 申 請 を 、 こ れ が 権 利 濫 用 に あ た る と し て 行 政 側 が 退 け る 局 面 に お い て は 、 法 定 の 処 分 要 件 と は 異 な る 理 由 で 拒 否 処 分 を 行 う の で あ る か ら 、 や は り 法 治 主 義 と の 抵 触 問 題 が 潜 在 し て い る と 思 わ れ る 。 六 87(219)

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法 治 主 義 と の 抵 触 を 考 慮 す る な ら ば 、 申 請 権 濫 用 の 判 定 に お い て は 、 当 該 申 請 が 、 そ の 根 拠 と な る 個 別 法 の 趣 旨 ・ 目 的 を 逸 脱 す る よ う な 内 容 で あ る こ と が 、 一 つ の 重 要 な 要 素 と し て 考 え ら れ る だ ろ う 。 札 幌 地 裁 平 成 九 年 二 月 一 三 日 判 決 ︵ 行 集 四 八 巻 一 ・ 二 号 九 七 頁 ︶ は 、 釧 路 市 の 市 街 化 調 整 区 域 に お い て 計 画 さ れ た 安 定 型 最 終 処 分 場 の 設 置 計 画 を め ぐ る 紛 争 事 例 で あ る 。 北 海 道 知 事 は 事 業 者 に 対 し て 、 関 係 市 町 村 と の 公 害 防 止 協 定 の 締 結 や 周 辺 住 民 の 同 意 を 得 る こ と 等 を 求 め る 行 政 指 導 を 行 っ た が 、 同 指 導 に 従 う こ と は 不 可 能 と 判 断 し た 事 業 者 は 、 同 意 書 を 添 付 す る こ と な く 許 可 申 請 を し た 。 し か し 、 予 定 地 が 住 宅 地 や 高 等 学 校 に 隣 接 ・ 近 接 し て い る こ と に 加 え 、 周 辺 住 民 の 同 意 が な い こ と 、 釧 路 市 と の 間 で 公 害 防 止 協 定 締 結 が さ れ て い な い こ と か ら 不 許 可 と な っ た 事 案 で あ る 。 札 幌 地 裁 は 、 本 件 指 導 の 内 容 が 法 定 要 件 で な い か ら と い っ て 、 こ れ を 軽 視 す べ き で な い と し た 上 で 、 ﹁ 現 行 法 上 、 産 業 廃 棄 物 処 理 施 設 の 設 置 許 可 に 関 し て 、 都 道 府 県 知 事 に 与 え ら れ た 裁 量 が 許 可 申 請 に か か る 産 業 廃 棄 物 処 理 施 設 が 廃 棄 物 処 理 法 一 五 条 二 項 各 号 に 適 合 す る か ど う か の 点 に 限 ら れ る に し て も 、 行 政 指 導 に 従 わ な い ま ま 許 可 申 請 す る こ と が 権 利 の 濫 用 と 目 さ れ る よ う な 特 別 の 事 情 が あ る 場 合 は 、 不 許 可 に す る こ と も 許 さ れ る と す る 考 え 方 も 十 分 に あ り 得 る ﹂ と し た ︵ 18 ︶ 。 本 判 決 で 注 目 さ れ る の は 、 行 政 指 導 を 軽 視 す べ き で な い 理 由 と し て 、 廃 棄 物 処 理 法 に お い て 産 業 廃 棄 物 処 理 施 設 の 設 置 者 に 求 め ら れ る 周 辺 地 域 の 生 活 環 境 の 保 全 及 び 増 進 に 配 慮 す る 義 務 ︵ 法 一 五 条 の 四 、 九 条 の 四 ︶ を 引 用 し て い る 点 で あ る 。 さ ら に 他 の 裁 判 例 で は 、 申 請 内 容 が 、 申 請 の 根 拠 と な る 個 別 法 の 趣 旨 ・ 目 的 に 著 し く 反 す る 場 合 に は 、 ﹁ 法 の 予 定 し な い 申 請 ﹂ で あ る と し て 申 請 権 濫 用 が 認 定 さ れ る こ と も あ る ︵ 19 ︶ 。 な お 、 本 件 の 控 訴 審 で あ る 札 幌 高 裁 平 成 九 年 一 〇 月 七 日 判 決 ︵ 行 集 四 八 巻 一 〇 号 七 五 三 頁 ︶ は 原 審 の 判 断 を 支 持 す る も の で あ る が2︵0 ︶ 、 権 利 濫 用 と 目 さ れ る よ う な ﹁ 特 段 の 事 情 ﹂ ︵ 原 審 の い う ﹁ 特 別 の 事 情 ﹂ ︶ の 意 味 に つ い て 、 品 川 マ ン シ ョ ン 事 件 最 高 裁 判 決 ︵ 最 高 裁 昭 和 六 〇 年 七 月 一 六 日 第 三 小 法 廷 判 決 ・ 民 集 三 九 巻 五 号 九 八 九 頁 ︶ を 引 用 し た こ と で 86(218) 七

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注 目 さ れ た と こ ろ で あ る ︵ 21 ︶ 。 同 最 高 裁 判 決 は 、 行 政 指 導 を 理 由 と す る 建 築 確 認 留 保 の 違 法 性 が 国 家 賠 償 請 求 で 争 わ れ た 事 案 で あ り 、 直 接 に 申 請 権 の 濫 用 に 関 す る も の で は な い が 、 判 決 で 示 さ れ た 判 断 の 基 準 や 要 素 は 、 権 利 濫 用 論 と の 関 連 性 が 指 摘 さ れ て い る と こ ろ で あ る ︵ 22 ︶ 。 以 上 、 本 節 2 で 検 討 し た 内 容 は 、 権 利 濫 用 の 要 件 で い え ば 、 権 利 行 使 の 内 容 、 す な わ ち 、 客 観 的 要 素 に 関 わ る も の と い え る 。 次 節 に お い て は 、 他 の 一 つ の 要 件 で あ る 主 観 的 要 素 に つ き 、 申 請 権 濫 用 論 に お け る 意 義 を 検 討 す る こ と と す る 。 ︵ 10 ︶ 前 掲 ・ 塩 野 ﹃ 行 政 法 ! ﹄ 二 九 五 頁 、 仲 正 ﹃ 行 政 手 続 法 の す べ て ﹄ ︵ 良 書 普 及 会 、 一 九 九 五 年 ︶ 一 八 一 頁 、 小 早 川 光 郎 編 ﹃ 行 政 手 続 法 逐 条 研 究 ﹄ ︵ 有 斐 閣 ジ ュ リ ス ト 増 刊 、 一 九 九 六 年 ︶ 九 六 頁 以 下 ︹ 以 下 ﹃ 逐 条 研 究 ﹄ と 略 記 ︺ 。 行 政 手 続 法 の コ ン メ ン タ ー ル と し て 、 高 橋 滋 ﹃ 行 政 手 続 法 ﹄ ︵ ぎ ょ う せ い 、 一 九 九 六 年 ︶ 二 〇 三 頁 以 下 、 塩 野 宏 ・ 高 木 光 ﹃ 条 解 行 政 手 続 法 ﹄ ︵ 弘 文 堂 、 二 〇 〇 〇 年 ︶ 一 五 七 頁 、 室 井 力= 芝 池 義 一= 浜 川 清 編 ﹃ コ ン メ ン タ ー ル 行 政 法 ! 行 政 手 続 法 ・ 行 政 不 服 審 査 法 ︹ 第 二 版 ︺ ﹄ ︵ 日 本 評 論 社 、 二 〇 〇 八 年 ︶ 一 一 六 頁 [ 梶 哲 教 ] 。 ︵ 11 ︶ 四 宮 和 夫 ・ 能 見 善 久 ﹃ 民 法 総 則 ︹ 第 八 版 ︺ ﹄ ︵ 弘 文 堂 、 二 〇 一 〇 年 ︶ 一 九 頁 以 下 参 照 。 ︵ 12 ︶ 行 政 手 続 法 七 条 が ﹁ 却 下 ﹂ と ﹁ 棄 却 ﹂ の 区 別 を 設 け な か っ た 理 由 は 、 両 者 を 厳 格 に 区 別 で き る か 疑 問 で あ る こ と 、 区 別 し て も 実 益 が な い こ と に あ る と さ れ る 。 前 掲 ・ 小 早 川 編 ﹃ 逐 条 研 究 ﹄ 一 〇 三 頁 参 照 。 ︵ 13 ︶ 一 例 と し て 、 大 阪 市 で は 、 ﹁ 情 報 公 開 条 例 解 釈 ・ 運 用 の 手 引 ﹂ 第 一 〇 条 に お い て 、 公 開 請 求 が 条 例 に 規 定 す る 要 件 を 満 た さ ず 、 公 開 請 求 者 が 補 正 に も 応 じ な い 場 合 や 、 公 開 請 求 が 明 ら か に 権 利 の 濫 用 と 認 め ら れ る 場 合 等 に お い て 、 公 開 請 求 を 却 下 す る と き は 、 特 に 書 式 を 指 定 し て い な い が 、 却 下 の 理 由 を 付 記 し た 公 開 請 求 却 下 決 定 通 知 書 に よ り 通 知 す る 扱 い と な っ て い る 。 ︵ 14 ︶ 因 み に 、 筆 者 が 在 住 す る 香 川 県 で は 、 公 開 請 求 却 下 に つ い て は 取 扱 要 領 で 定 め ら れ る 却 下 通 知 書 に よ っ て 対 応 さ れ て い る 。 非 公 開 決 定 と 請 求 却 下 と で 、 請 求 者 の 権 利 救 済 手 続 等 に 特 段 の 相 違 が 生 じ る も の で は な く 、 そ の 意 味 で は 区 別 の 実 益 は な い が 、 本 文 で 述 べ た よ う な 条 例 の 解 釈 か ら 形 式 上 区 別 し て い る と の こ と で あ る 。 八 85(217)

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︵ 15 ︶ 一 例 と し て 、 大 仙 市 情 報 公 開 条 例 施 行 規 則 五 条 で は ﹁ 実 施 機 関 は 、 開 示 請 求 に 係 る 公 文 書 が 不 存 在 、 請 求 書 の 不 備 ︵ 補 正 が で き な い 場 合 に 限 る 。 ︶ 等 の 理 由 に よ り 、 条 例 第 九 条 の 決 定 に 著 し い 支 障 が あ る 場 合 は 、 公 文 書 開 示 請 求 不 受 理 決 定 通 知 書 ︵ 様 式 第 六 号 ︶ に よ り 請 求 者 に 通 知 す る も の と す る ﹂ と さ れ て い る ︵ht tp :// www. cit y.da is en.a ki ta .j p/ cont ent /re iki _i nt /re iki _honbun/ r1 5 4 0 0 6 5 0 0 1 . html ︶ 。 同 様 の 例 は 、 他 市 で も 複 数 み ら れ る 。 ︵ 16 ︶ 公 文 書 公 開 請 求 却 下 処 分 取 消 請 求 事 案 で 、 横 浜 地 裁 平 成 一 四 年 一 〇 月 二 三 日 判 決 ︵ 判 例 集 未 登 載 ︶ は 、 ﹁ 本 件 条 例 上 は 、 公 開 決 定 及 び 非 公 開 決 定 に つ い て 定 め が あ る だ け で 、 不 適 法 な 請 求 等 が あ っ た 場 合 の 措 置 に つ い て は 規 定 さ れ て は い な い が 、 被 告 の 事 務 取 扱 要 領 で は 、 本 件 条 例 の 公 開 ・ 非 公 開 事 由 と は 異 な り 、 不 適 法 な 請 求 が あ っ た 場 合 に は そ の 請 求 に 対 し て は 却 下 決 定 を す る こ と と さ れ て い る ⋮ 。 そ し て 、 上 記 の よ う に 権 利 の 濫 用 と な る 場 合 に は 、 却 下 決 定 事 由 が あ る 場 合 と 同 視 で き る の で 、 不 適 法 と し て 却 下 す る こ と が で き る と 解 す る の が 相 当 で あ る ﹂ と し て 、 要 領 に 基 づ く 却 下 の 扱 い を 適 法 と し て い る 。 ︵ 17 ︶ 前 掲 ・ 宇 賀 ﹃ 行 政 法 概 説 ! ﹄ 四 三 頁 以 下 参 照 。 ︵ 18 ︶ 本 件 評 釈 と し て は 、 北 村 喜 宣 ・ 本 件 解 説 ﹃ 平 成 九 年 度 重 要 判 例 解 説 ﹄ ジ ュ リ ス ト 臨 時 増 刊 一 一 三 五 号 ︵ 一 九 九 七 年 ︶ 七 頁 。 な お 、 本 件 に お け る 特 別 事 情 の 存 否 に つ い て は 、 住 民 説 明 会 が 一 回 開 催 し た に 止 ま り 、 事 業 者 が 行 政 指 導 に 誠 実 に 対 応 し て い た と い え る か ど う か か な り 疑 問 で あ る と 指 摘 し つ つ も 、 釧 路 市 に 公 害 防 止 協 定 締 結 の 意 思 が な く 、 関 係 住 民 の ほ と ん ど が 設 置 に 反 対 し て い る と い っ た 状 況 、 ま た 、 施 設 構 造 の 技 術 的 事 項 に つ い て は 行 政 指 導 に 応 じ て い る こ と か ら 、 こ れ ら を 総 合 す る と 、 本 件 許 可 申 請 に お い て は 、 権 利 の 濫 用 と 目 さ れ る よ う な 特 段 の 事 情 が あ る と ま で は 認 め ら れ な い と し 、 本 件 不 許 可 処 分 の 取 消 請 求 を 認 容 し て い る 。 ︵ 19 ︶ 個 別 法 の 趣 旨 ・ 目 的 を 著 し く 逸 脱 す る 申 請 を ﹁ 法 の 予 定 し な い 申 請 ﹂ で あ る と し て 申 請 権 濫 用 論 を 用 い た 判 例 と し て は 、 東 京 地 方 昭 和 五 七 年 五 月 三 一 日 判 決 ︵ 行 集 三 三 巻 五 号 一 一 三 八 頁 ︶ 、 東 京 高 裁 昭 六 三 年 四 月 二 〇 日 判 決 ︵ 行 集 三 九 巻 三 ・ 四 号 二 八 一 頁 ︶ 等 が あ る 。 こ れ ら の 判 決 は 、 第 三 節 で と り あ げ る 。 ︵ 20 ︶ 札 幌 高 裁 判 決 の 解 説 と し て は 、 黒 川 哲 志 ・ 判 例 地 方 自 治 一 八 三 号 ︵ 一 九 九 八 年 ︶ 三 〇 頁 。 本 評 釈 で は 、 住 民 同 意 が 得 ら れ な い こ と を 申 請 権 濫 用 の 判 断 要 素 と す る こ と に つ き 批 判 的 な 見 解 が 示 さ れ て い る 。 ︵ 21 ︶ 本 件 の 評 釈 等 は 多 数 あ る が 、 差 し 当 た り 、 三 辺 夏 雄 ・ 本 件 解 説 ﹃ 行 政 判 例 百 選 ︹ 第 五 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 〇 六 年 ︶ 二 六 〇 頁 、 石 川 善 則 ・ 本 件 解 説 ﹃ 最 高 裁 判 所 判 例 解 説 民 事 篇 昭 和 六 〇 年 度 ﹄ ︵ 法 曹 会 、 一 九 八 九 年 ︶ 二 四 八 頁 等 を 参 照 の こ と 。 ︵ 22 ︶ 前 掲 ・ 小 早 川 編 ﹃ 逐 条 研 究 ﹄ 二 七 〇 頁 以 下 ︵ 特 に 二 七 一 頁 小 早 川 発 言 ︶ 参 照 。 84(216) 九

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私 法 の 領 域 で 展 開 さ れ て き た 権 利 濫 用 法 理 に 関 す る 判 例 ・ 学 説 の 流 れ を 概 観 す る な ら ば 、 権 利 濫 用 の 判 断 で 用 い ら れ る 主 観 的 要 素 と 客 観 的 要 素 の 関 係 に つ い て は 、 わ が 国 に お い て 、 お よ そ 次 の よ う な 変 遷 が あ る と さ れ る ︵ 23 ︶ 。 す な わ ち 、 戦 前 の 判 例 で は 、 当 初 、 ド イ ツ 法 の 影 響 も あ り 、 加 害 意 思 や 加 害 目 的 を も っ て す る 権 利 行 使 ︵Sc hi ka ne ︶ の み が 権 利 濫 用 と 考 え ら れ て き た が 、 や が て 主 観 的 要 素 は 後 退 し 、 戦 後 の 判 例 で は 、 相 手 方 ま た は 社 会 全 体 に 及 ぼ す 害 悪 と の 比 較 考 量 と い う 客 観 的 要 素 が 重 視 さ れ る 傾 向 と な る 。 し か し 、 板 付 基 地 事 件 ︵ 最 高 裁 昭 和 四 〇 年 三 月 九 日 第 三 小 法 廷 判 決 ・ 民 集 一 九 巻 二 号 二 三 三 頁 ︶ に み ら れ る よ う に 社 会 的 利 益 を 過 度 に 重 視 す る と ﹁ 権 利 濫 用 法 理 の 濫 用 ﹂ と い う 事 態 を 招 き か ね な い こ と か ら 、 学 説 に お い て は 批 判 的 検 討 が 加 え ら れ る 。 公 共 の 利 益 へ の 侵 害 が 問 題 と な る 場 面 で は 、 主 観 的 要 素 の 考 慮 も 重 視 す る 見 解 も そ の 一 つ で あ る ︵ 24 ︶ 。 申 請 権 の 濫 用 が 問 わ れ る 局 面 で は 、 少 な か ら ず 公 共 の 利 益 に 対 す る 侵 害 の 惹 起 が 想 定 で き る 。 例 え ば 、 産 業 廃 棄 物 処 理 施 設 の 設 置 許 可 申 請 を 考 え る と 、 一 見 、 設 置 予 定 地 の 周 辺 住 民 の 利 益 と 対 峙 す る よ う に み え る が 、 周 辺 住 民 が 受 け る 不 利 益 は 設 置 許 可 処 分 の 後 に 現 れ る も の で あ り 、 許 可 申 請 段 階 に お い て は 、 申 請 権 の 濫 用 が 問 題 と な る と す れ ば 、 そ れ は 事 業 者 が 負 う 環 境 配 慮 の 責 務 に 裏 打 ち さ れ た 公 益 に 対 す る 侵 害 と い う こ と に な る で あ ろ う 。 多 分 に ﹁ 権 利 濫 用 法 理 の 濫 用 ﹂ と い う 危 険 性 が あ る こ と か ら す れ ば 、 申 請 権 濫 用 の 要 件 と し て は 、 客 観 的 要 素 に 加 え 、 主 観 的 要 素 の 考 慮 が 重 要 と な る の で は な い か と 考 え る 。 次 に 、 申 請 権 濫 用 の 認 定 に お い て 主 観 的 要 素 が ど の よ う に 評 価 さ れ る か 、 裁 一 〇 83(215)

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判 事 例 を 素 材 に 検 討 し て み よ う 。 申 請 権 の 濫 用 に お け る 主 観 的 要 素 を 検 討 す る 上 で 、 ま ず 、 自 然 公 園 法 に 基 づ く 損 失 補 償 請 求 事 案 を 取 り 上 げ る こ と と す る 。 裁 判 所 が 申 請 権 濫 用 論 を 用 い て 事 案 を 処 理 し た 例 は 極 め て 少 な い が 、 自 然 公 園 法 事 案 は 、 そ の 数 少 な い 裁 判 例 で あ る 。 主 た る 論 点 は 、 財 産 権 の 内 在 的 制 約 論 、 損 失 補 償 の 範 囲 及 び 要 否 に 係 る 部 分 で あ る が 、 申 請 権 濫 用 論 を 複 数 の 裁 判 所 が 採 っ た こ と か ら も 注 目 さ れ た と こ ろ で あ る 。 当 時 の 自 然 公 園 法 で は 、 環 境 庁 長 官 が 、 国 立 公 園 及 び 国 定 公 園 の 区 域 内 に お い て 、 風 致 維 持 の た め 特 別 地 域 等 を 指 定 す る こ と が で き る と さ れ ︵ 法 十 七 条 、 現 行 法 二 一 条 ︶ 、 特 別 地 域 等 に お い て は 、 工 作 物 の 建 築 等 各 種 の 行 為 は 原 則 禁 止 と さ れ 、 環 境 庁 長 官 又 は 都 道 府 県 知 事 の 許 可 の 下 に 置 か れ た 。 こ の 制 限 の 反 面 、 特 別 地 域 等 に お け る 土 地 所 有 者 等 に 対 し て は 、 特 別 地 域 等 に お い て 許 可 を 要 す る 行 為 に つ き 不 許 可 と な っ た 場 合 等 に お い て は 、 通 常 生 ず べ き 損 失 を 補 償 す べ き こ と が 規 定 さ れ て い た ︵ 法 三 十 五 条 、 現 行 法 六 四 条 ︶ 。 い わ ゆ る 不 許 可 補 償 制 度 で あ る 。 自 然 公 園 法 事 案 で 、 裁 判 所 が 申 請 権 の 濫 用 を 理 由 に 、 損 失 補 償 請 求 を 退 け た 判 決 に は 、 瀬 戸 内 海 国 立 公 園 内 の 小 豆 島 寒 霞 渓 に お け る 土 石 採 取 不 許 可 事 件 に 係 る 東 京 地 裁 昭 和 五 七 年 五 月 三 一 日 判 決 ︵ 行 集 三 三 巻 五 号 一 一 三 八 頁 ︶ ︹ ! 判 決 ︺ 、 室 生 赤 目 青 山 国 定 公 園 内 に お け る 土 石 採 取 不 許 可 事 件 に 係 る 東 京 高 裁 昭 和 六 三 年 四 月 二 〇 日 判 決 ︵ 行 集 三 九 巻 三 ・ 四 号 二 八 一 頁 ︶ ︹ " 判 決 ︺ ︵ 25 ︶ 、 鳥 海 国 定 公 園 内 に お け る 立 木 伐 採 不 許 可 事 件 に 係 る 秋 田 地 裁 昭 和 六 二 年 五 月 一 一 日 判 決 ︵ 訟 月 三 四 巻 一 号 四 一 頁 ︶ ︹ # 判 決 ︺ ︵ 26 ︶ 、 そ の 控 訴 審 に あ た る 仙 台 高 裁 秋 田 支 部 平 成 元 年 七 月 二 六 日 判 決 ︵ 訟 月 三 六 巻 一 号 一 六 七 頁 ︶ ︹ $ 判 決 ︺ が あ る 。 82(214) 一 一

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こ れ ら の 判 決 に つ い て は 、 そ も そ も 事 案 処 理 と し て 申 請 権 濫 用 論 を 用 い る 必 要 が あ っ た か に つ き 疑 問 が 呈 さ れ て い る2︵7 ︶ 。 す な わ ち 、 自 然 公 園 法 の 制 度 に 従 え ば 、 不 許 可 処 分 の 場 合 、 形 式 的 に は 損 失 補 償 請 求 権 が 発 生 す る の が 原 則 で あ り 、 ま ず は 、 損 失 補 償 の 要 否 や そ の 範 囲 に つ い て の 判 断 が な さ れ る べ き と 考 え ら れ る ︵ 権 利 濫 用 論 を 用 い る と し て も 、 こ の 段 階 で 端 的 に 補 償 請 求 権 の 濫 用 と 判 断 さ れ れ ば よ い ︶ 。 も ち ろ ん 、 形 式 的 に 損 失 補 償 請 求 権 が 発 生 す る 場 合 で も 、 申 請 権 の 濫 用 と い っ た 特 殊 事 情 か ら 補 償 が 否 定 さ れ る 場 合 は 想 定 で き る が 、 あ く ま で も 原 則 的 判 断 か ら 漏 れ る 事 情 に つ い て の 例 外 的 な 判 断 で あ っ て 、 一 連 の 判 決 は 、 原 則 論 の 判 断 と 例 外 判 断 を 混 在 さ せ 、 あ る い は 、 例 外 判 断 を 優 先 し て 扱 っ て い る 点 が 問 題 で あ る 、 と い う 批 判 で あ る ︵ 28 ︶ 。 権 利 濫 用 禁 止 原 則 の 法 的 性 格 か ら す れ ば 、 こ の 指 摘 は 的 確 な も の と 思 え る 。 実 際 、 自 然 公 園 法 三 五 条 に 基 づ く 損 失 補 償 が 争 わ れ た 事 案 に お い て 、 申 請 権 の 濫 用 論 を 用 い る こ と な く 、 財 産 権 の 内 在 的 制 約 論 か ら 事 案 を 処 理 し た 判 例 が あ る2︵9 ︶ 。 も っ と も 、 一 連 の 判 決 が 申 請 権 濫 用 論 を 用 い た 背 景 に は 、 損 失 補 償 請 求 と は 一 応 分 離 さ れ た 形 で 許 可 申 請 が 先 行 し て 存 在 し 、 損 失 補 償 の 範 囲 は 不 許 可 処 分 に よ っ て 定 ま る と い う 不 許 可 補 償 制 度 な ら で は の 特 徴 が あ る こ と 、 ま た 、 法 外 な 補 償 金 取 得 を 目 的 と し た 申 請 で あ る と か 、 あ え て 不 許 可 に な る よ う な 申 請 を 行 っ た 等 、 申 請 権 の 濫 用 論 を 用 い る に 適 し た 事 実 が 認 め ら れ る こ と 等 が あ っ た と 考 え ら れ る3︵0 ︶ 。 そ こ で 、 申 請 権 濫 用 論 の 位 置 づ け と い う 問 題 は 一 応 置 く と し て 、 一 連 の 判 決 に お い て 、 申 請 権 の 濫 用 が 具 体 的 に ど の よ う に 判 断 さ れ た か を 次 に 検 討 す る こ と と す る 。 権 利 濫 用 の 一 般 的 な 理 論 か ら す れ ば 、 あ る 行 為 が 権 利 濫 用 に あ た る か は 、 当 該 行 為 の ﹁ 目 的 ﹂ す な わ ち 主 観 的 要 素 と ﹁ 内 容 ﹂ す な わ ち 客 観 的 要 素 と の 二 つ の 側 面 か ら 評 価 す る と い う 手 法 が 基 本 的 な 判 断 枠 組 み と い え よ う 。 前 記 四 つ の 判 決 は 、 い ず れ も 結 論 と し て は 、 許 可 申 請 が 申 請 権 の 濫 用 に 当 た る と さ れ 、 当 該 許 可 申 請 が 不 許 可 に な っ て も 、 こ れ に 対 し 損 失 補 償 を す る こ と を 要 し な い と さ れ た も の で あ る が 、 ま ず 、 客 観 的 要 素 に つ い て み れ ば 、 す べ て 一 二 81(213)

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の 判 決 は 共 通 し て 、 申 請 通 り の 採 石 や 立 木 伐 採 等 が 認 め ら れ る と 、 そ の 内 容 及 び 規 模 か ら 、 特 別 地 域 の 風 致 の 維 持 に 重 大 な 影 響 を 及 ぼ す お そ れ が 強 く 、 ま た 、 そ の 回 復 も 困 難 で あ る と 認 定 さ れ て い る 。 他 方 、 主 観 的 要 素 に つ い て は 、 次 の よ う な 評 価 と な っ て い る 。 ! 判 決 は 、 本 件 許 可 申 請 は 、 自 然 公 園 法 の 趣 旨 を 没 却 す る も の で あ り ﹁ 同 法 の 予 定 し て い な い も の ﹂ と い う べ き で あ り 、 申 請 権 の 濫 用 に 当 た る と す る 。 被 告 側 は 、 許 可 を 受 け る こ と 自 体 が 同 法 の 趣 旨 、 目 的 か ら み て 到 底 期 待 し 得 な い 場 合 で あ る の に 、 原 告 が あ え て 許 可 申 請 し た 点 も 主 張 し て い る が 、 判 決 は 、 主 観 的 要 素 に は 触 れ る こ と な く 、 も っ ぱ ら 客 観 的 要 素 の み か ら 判 断 し て い る 。 " 判 決 で は 、 主 観 的 要 素 と し て 、 本 件 採 石 許 可 申 請 が は じ め か ら 許 可 さ れ る 余 地 も 見 込 み も な か っ た も の で あ っ た こ と を 原 告 自 身 に お い て も 、 十 分 に 認 識 す る こ と が で き た に も 拘 ら ず 、 あ え て な さ れ た も の で あ る こ と が 挙 げ ら れ て い る 。 # 判 決 で は 、 主 観 的 要 素 と し て 、 原 告 の 伐 採 許 可 申 請 は 、 許 可 を 受 け た 地 域 の 立 木 を 現 実 に 伐 採 す る こ と を 目 的 と し て な さ れ た も の で は な く 、 不 許 可 に な っ た 際 の 損 失 補 償 を 目 的 と し て な さ れ た も の で あ る こ と 、 ま た 、 担 当 課 で あ る 秋 田 県 自 然 公 園 課 か ら 基 準 に 従 っ た 伐 採 指 導 ︵ 現 在 蓄 積 の 三 〇 パ ー セ ン ト 以 内 の 択 伐 又 は 一 団 地 二 ヘ ク タ ー ル 以 内 の 皆 伐 法 に よ る べ き こ と を そ の 内 容 と す る 行 政 指 導 ︶ を 受 け な が ら 、 あ え て 不 許 可 に し か な ら な い 広 範 囲 に わ た る 立 木 を 皆 伐 の 方 法 に よ り 伐 採 す る と い う 内 容 の 申 請 を し た も の で あ る こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 $ 判 決 は 、 第 一 審 # 判 決 の 控 訴 審 判 決 で あ る が 、 主 観 的 要 素 に つ い て は 、 本 件 許 可 申 請 を ﹁ 許 可 を 受 け た 地 域 の 立 木 を 現 実 に 伐 採 す る こ と を 目 的 と し て な さ れ た も の で は な く 、 不 許 可 に な っ た 際 の 損 失 補 償 を 目 的 と し て な さ れ た も の で あ る と 推 認 せ ざ る を え な い ﹂ と し て 原 審 の 判 断 を 支 持 し て い る 。 80(212) 一 三

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と こ ろ で 、 自 然 公 園 法 事 案 に お い て 、 客 観 的 要 素 を 申 請 権 濫 用 論 に 取 り 入 れ る こ と に つ い て は 批 判 も み ら れ る 。 判 決 が 挙 げ た 客 観 的 要 素 は 、 許 可 ・ 不 許 可 の 判 断 要 素 で あ る か 、 あ る い は 、 財 産 権 の 内 在 的 制 約 の 範 囲 に 係 る 判 断 要 素 で あ っ て 、 申 請 権 濫 用 の 判 断 要 素 と す る の は 不 適 当 と す る 見 解 で あ る ︵ 31 ︶ 。 こ の 問 題 は 、 前 述 し た よ う に 、 各 判 決 に お け る 申 請 権 濫 用 論 の 位 置 づ け に 起 因 す る と こ ろ が 大 き い と 考 え ら れ る 。 他 方 、 ! " # の 各 判 決 が 挙 げ た 主 観 的 要 素 は 、 申 請 権 の 濫 用 に 当 た る か を 判 断 す る 要 素 と し て は 考 慮 に 値 す る も の で あ り 、 裁 判 所 も 、 主 観 的 要 素 を 少 な か ら ず 考 慮 す る 傾 向 に あ る こ と は 窺 え る 。 次 に 、 こ の よ う な 申 請 行 為 の 主 観 的 問 題 に つ き 、 申 請 行 為 一 般 に お い て 検 討 し て み よ う 。 行 政 手 続 法 二 条 三 項 で は 、 申 請 と は ﹁ 法 令 に 基 づ き 、 行 政 庁 の 許 可 、 認 可 、 免 許 そ の 他 の 自 己 に 対 し 何 ら か の 利 益 を 付 与 す る 処 分 ⋮ を 求 め る 行 為 で あ っ て 、 当 該 行 為 に 対 し て 行 政 庁 が 諾 否 の 応 答 を す べ き こ と と さ れ て い る も の ﹂ と 定 義 さ れ る 。 で は 、 形 式 上 は 申 請 に 該 当 す る と し て も 、 申 請 時 点 に お い て 不 許 可 等 に な る こ と を 申 請 者 が 承 知 し て な さ れ た 申 請 は 、 は た し て 行 政 手 続 法 が 予 定 す る 申 請 と 言 え る の で あ ろ う か 。 こ の 点 、 行 政 手 続 法 に お け る 各 種 行 為 の 区 分 ・ 定 義 は 、 法 第 二 章 以 下 の 規 定 の 適 用 関 係 を 明 ら か に す る こ と に 目 的 が あ り 、 各 行 為 に 該 当 す る か は 客 観 的 に 判 断 さ れ る と 考 え ら れ る ︵ 32 ︶ 。 そ れ ゆ え 、 申 請 者 の 主 観 的 意 図 は 行 政 手 続 法 の 関 知 し な い と こ ろ で あ ろ う 。 ま た 、 不 作 為 の 違 法 確 認 訴 訟 に お い て ﹁ 申 請 を し た 者 ﹂ ︵ 行 訴 法 三 七 条 ︶ と は 、 当 該 申 請 制 度 を 利 用 し て 行 政 庁 の ﹁ 応 答 ﹂ を 得 よ う と す る 意 思 を 表 明 し た 者 で あ る こ と を も っ て 必 要 か つ 充 分 な 要 件 と 解 さ れ 、 申 請 の 認 容 を 求 め る 意 思 ま で は 要 求 さ れ な い3︵3 ︶ 。 一 四 79(211)

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と こ ろ で 、 私 人 に 申 請 権 が 認 め ら れ て い る の は 、 当 該 申 請 に 応 じ た 行 政 庁 の 行 為 に よ っ て そ の 者 に 何 ら か の 利 益 が 与 え ら れ る か ら で あ る ︵ 34 ︶ 。 そ れ ゆ え 、 不 許 可 を 意 図 し た 申 請 は 、 申 請 の 利 益 と い う 観 点 か ら の 考 察 は 可 能 か も し れ な い 。 し か し 、 不 服 申 立 て の 利 益 ︵ 不 服 申 立 て に あ っ て 各 種 行 政 委 員 会 の 裁 定 を 求 め る 場 合 は ﹁ 申 請 の 利 益 ﹂ あ る い は ﹁ 申 請 人 適 格 ﹂ と の 表 現 と な る ︶ と 同 様 の 意 味 で の ﹁ 申 請 の 利 益 ﹂ と い う 概 念 を 想 定 す べ き か 疑 問 で あ る し 、 現 実 に 、 裁 判 所 が 申 請 の 利 益 の 欠 如 を 理 由 に 申 請 拒 否 処 分 等 の 適 否 を 判 断 す る 例 は ほ と ん ど み ら れ な い 。 申 請 で 求 め ら れ た 許 認 可 が 、 法 律 上 不 可 能 で あ る な ら ば 、 あ え て 申 請 の 利 益 と い う 概 念 を 持 ち 出 す ま で も な く 、 端 的 に 申 請 を 拒 否 す る 処 分 を す れ ば 足 り る で あ ろ う ︵ 35 ︶ 。 行 政 手 続 の 観 点 か ら み れ ば 、 不 許 可 等 に な る こ と を 承 知 の 上 で な さ れ た 申 請 で あ る こ と を 行 政 庁 が 認 識 し て い た 場 合 で あ っ て も 、 こ れ を 不 受 理 や 返 戻 扱 い と す る こ と は 許 さ れ な い で あ ろ う 。 温 泉 法 に 基 づ く 動 力 装 置 設 置 申 請 に つ き 、 担 当 課 の 行 政 職 員 が 相 手 方 に 対 し 、 申 請 が さ れ て も お そ ら く 許 可 に な ら な い で あ ろ う こ と を 説 明 し た と こ ろ 、 相 手 方 が 、 不 許 可 に な る こ と を 承 知 の 上 で あ え て 当 該 申 請 を す る 旨 述 べ た と い う 事 案 に つ き 、 横 浜 地 裁 平 成 二 二 年 五 月 二 六 日 判 決 ︵ 判 例 地 方 自 治 三 四 〇 号 九 一 頁 ︶ は 、 ﹁ 原 告 が 不 許 可 に な る こ と を 承 知 の 上 で あ え て 動 力 装 置 の 申 請 を す る こ と を 希 望 し て い る 以 上 、 申 請 書 の 受 理 を 拒 否 す る こ と は 、 温 泉 法 九 条 一 項 に 規 定 さ れ た 原 告 の 申 請 権 を 侵 害 す る こ と に な り か ね な い ﹂ と す る ︵ 36 ︶ 。 手 続 経 済 の 観 点 か ら み れ ば 、 申 請 で 求 め ら れ て い る 許 認 可 等 が 客 観 的 に み て 見 込 み の な い も の で あ る と き 、 こ の よ う な 申 請 に 対 応 す る こ と が 不 経 済 で あ る こ と は 否 定 で き な い 。 し か し 、 こ の 問 題 は 、 一 部 は 申 請 に 係 る 手 数 料 で カ バ ー さ れ る で あ ろ う し 、 申 請 提 出 の 前 後 に お け る 行 政 指 導 に よ る 対 応 も 考 え ら れ る 。 ま た 、 申 請 添 付 書 類 に よ り 、 こ の 種 の 申 請 の 提 出 に 一 定 の 抑 制 を か け る こ と は 技 術 的 に 可 能 で あ る 。 申 請 添 付 書 類 に は 、 法 定 の 許 認 可 要 件 の 充 足 判 断 78(210) 一 五

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に 直 接 結 び 付 く も の か ら 、 間 接 的 資 料 と な る も の ま で 性 格 は 多 様 で あ る が 、 後 者 の 例 と し て は 、 広 く み ら れ る も の に 見 込 み 書 面 が あ る 。 一 例 を あ げ る と 、 砂 利 採 取 法 に 基 づ く 砂 利 の 採 取 計 画 等 に 関 す る 規 則 三 条 二 項 八 号 は 、 砂 利 採 取 計 画 認 可 申 請 書 の 添 付 書 類 と し て 、 ﹁ 砂 利 の 採 取 に 係 る 行 為 に 関 し 、 他 の 行 政 庁 の 許 可 、 認 可 そ の 他 の 処 分 を 受 け る こ と を 必 要 と す る と き は 、 そ の 処 分 を 受 け て い る こ と を 示 す 書 面 又 は 受 け る 見 込 み に 関 す る 書 面 ﹂ を 定 め て い る が 、 当 該 添 付 書 類 を 求 め る 趣 旨 は 、 そ の よ う な 書 面 を 添 付 す る こ と も で き な い よ う な 実 現 可 能 性 の な い 申 請 を 事 実 上 排 除 す る と い う 効 果 に あ る と 解 さ れ る ︵ 37 ︶ 。 以 上 か ら 、 申 請 で 求 め ら れ た 許 認 可 等 が 法 定 の 要 件 を 充 た さ な い と 客 観 的 に 考 え ら れ る 場 合 で 、 申 請 者 自 身 も そ の こ と を 認 識 し て い る と し て も 、 こ れ を も っ て 当 該 申 請 行 為 を 申 請 権 の 濫 用 と 評 価 す る こ と は で き な い と 考 え ら れ る 。 し か し 、 先 に み た 自 然 公 園 法 の 事 案 は 、 単 に 申 請 者 が 不 許 可 と な る こ と を 認 識 し て い た と い う に と ど ま ら ず 、 あ え て ﹁ 不 許 可 に な る こ と ﹂ を 意 図 し た も の で あ る と い う 点 で 、 質 的 に 異 な る 要 素 を 含 ん で い る 。 申 請 の 動 機 が 不 正 と 評 価 さ れ る 可 能 性 が 生 じ る か ら で あ る 。 不 正 な 動 機 に 基 づ く 申 請 は 、 こ れ が 申 請 権 の 濫 用 と 解 さ れ る 要 素 を 有 し て い る 。 現 実 に 、 行 政 庁 が 申 請 拒 否 処 分 を 行 う に 際 し て 、 当 該 申 請 の 動 機 が 不 正 で あ る こ と を 理 由 と す る 例 は 少 な く な い 。 し か し 、 裁 判 事 例 を み れ ば 、 申 請 動 機 の 不 正 が 認 定 さ れ る こ と は 稀 で あ る 。 た と え ば 、 神 戸 地 裁 平 成 三 年 四 月 二 二 日 判 決 ︵ 判 時 一 四 二 五 号 六 四 頁 ︶ は 、 浄 化 槽 法 三 五 条 一 項 に 基 づ く 浄 化 槽 清 掃 業 の 許 可 申 請 に つ き 、 本 件 許 可 申 請 の 目 的 は 、 将 来 の 公 共 下 水 道 完 備 に 際 し て の 補 償 要 求 に あ り 、 権 利 濫 用 と い う べ き で あ る と し て 争 わ れ た 事 案 で あ る3︵8 ︶ 。 同 様 に 、 さ い た ま 地 裁 平 成 一 五 年 一 〇 月 一 日 判 決 ︵ 判 例 集 未 登 載 ︶ は 、 中 小 企 業 等 協 同 組 合 法 二 七 条 の 二 第 一 項 に 基 づ く 事 業 協 同 組 合 設 立 認 可 申 請 に つ き 、 当 時 の 関 東 通 商 産 業 局 長 が 、 本 件 申 請 の 真 の 目 的 は 、 ビ デ 倫 に 加 盟 し て い な い 原 告 ら が 、 通 商 産 業 省 ︵ 当 時 ︶ 認 可 の 一 六 77(209)

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事 業 協 同 組 合 の 組 合 員 で あ る と い う ﹁ お 墨 付 き ﹂ を 得 る こ と を 目 的 と し た も の で あ り 、 組 合 制 度 を 濫 用 し た も の で あ る と し て 争 っ た 事 案 で あ る 。 い ず れ の 事 案 も 裁 判 所 は 、 そ の よ う な 目 的 を 主 た る も の と し て 本 件 申 請 を し た と 窺 わ せ る に 足 り る 事 情 は 見 出 し 難 い と し て 被 告 の 主 張 を 退 け て い る 。 権 利 濫 用 の 事 実 は 権 利 障 害 事 実 で あ る か ら 、 権 利 濫 用 を 主 張 す る 側 に 証 明 責 任 が あ り 、 権 利 濫 用 の 事 実 が ﹁ 真 偽 不 明 ﹂ ︵ ノ ン リ ケ ッ ト ︶ で あ れ ば 、 証 明 責 任 分 配 の 法 理 に よ り 、 権 利 濫 用 は ﹁ 不 存 在 ﹂ で あ る と 認 定 さ れ る こ と に な る 。 先 に 見 た 自 然 公 園 法 事 案 に つ い て み れ ば 、 不 許 可 補 償 制 度 と い う 特 殊 な 仕 組 み に よ り 、 申 請 者 の 真 の 目 的 が 法 外 な 損 失 補 償 請 求 に あ る と の 評 価 が 比 較 的 容 易 で あ る こ と が 、 申 請 動 機 の 不 正 が 認 定 さ れ た 要 因 と 考 え ら れ る 。 ︵ 23 ︶ 前 掲 ・ 四 宮 ・ 能 見 ﹃ 民 法 総 則 ﹄ 一 七 頁 以 下 、 谷 口 知 平 ・ 石 田 喜 久 夫 ﹃ 新 版 注 釈 民 法 ︵ 1 ︶ 総 則 ︵ 1 ︶ ︹ 改 定 版 ︺ ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 〇 二 年 ︶ 一 四 八 頁 以 下 ︹ 安 永 正 昭 ︺ 、 我 妻 榮 ・ 有 泉 亨 ・ 清 水 誠 ・ 田 山 輝 明 ﹃ コ ン メ ン タ ー ル 民 法 総 則 ・ 物 権 ・ 債 権 ︹ 第 二 版 追 補 版 ︺ ﹄ ︵ 日 本 評 論 社 、 二 〇 一 一 年 ︶ 四 八 頁 以 下 等 参 照 。 ︵ 24 ︶ 公 共 の 福 祉 の 内 容 を 再 構 成 す る こ と に よ る 対 応 に つ い て は 、 吉 田 克 己 ﹁ 公 共 の 福 祉 ・ 権 利 濫 用 ・ 公 序 良 俗 ﹂ ﹃ 民 法 の 争 点 ﹄ ︵ 有 斐 閣 、 二 〇 〇 七 年 ︶ 四 八 頁 参 照 。 ︵ 25 ︶ ! 判 決 の 評 釈 等 と し て は 、 宇 賀 克 也 ・ 自 治 研 究 六 六 巻 四 号 ︵ 一 九 九 〇 年 ︶ 一 一 九 頁 以 下 、 戸 波 江 二 ・ ﹃ 街 づ く り ・ 国 づ く り 判 例 百 選 ﹄ 別 冊 ジ ュ リ ス ト 一 〇 三 号 ︵ 一 九 八 九 年 ︶ 二 一 八 頁 以 下 、 原 田 尚 彦 ・ ﹃ 昭 和 六 三 年 度 重 要 判 例 解 説 ﹄ ジ ュ リ ス ト 臨 時 増 刊 九 三 五 号 ︵ 一 九 八 九 年 ︶ 四 七 頁 以 下 、 橋 本 眞 一 ・ 松 山 恒 昭 ・ ﹃ 平 成 元 年 度 主 要 民 事 判 例 解 説 ﹄ 判 例 タ イ ム ズ 臨 時 増 刊 七 三 五 号 ︵ 一 九 九 〇 年 ︶ 一 四 〇 頁 以 下 、 高 橋 滋 ・ ﹃ 環 境 法 判 例 百 選 ﹄ 別 冊 ジ ュ リ ス ト 一 七 一 号 ︵ 二 〇 〇 四 年 ︶ 一 六 八 頁 以 下 等 多 数 の も の が あ る 。 ︵ 26 ︶ " 判 決 の 評 釈 と し て は 、 飯 村 敏 明 ・ 民 事 研 修 三 七 一 号 ︵ 一 九 九 八 年 ︶ 四 四 頁 以 下 。 ︵ 27 ︶ 前 掲 ・ 飯 村 ・ " 判 決 評 釈 四 七 頁 以 下 。 ︵ 28 ︶ 前 掲 ・ 飯 村 ・ " 判 決 評 釈 四 八 頁 以 下 、 前 掲 ・ 宇 賀 ・ ! 判 決 評 釈 一 二 四 頁 以 下 参 照 。 ︵ 29 ︶ 室 生 赤 目 青 山 国 定 公 園 内 に お け る 土 石 採 取 不 許 可 事 件 で 、 第 一 審 東 京 地 裁 昭 和 六 一 年 三 月 一 七 日 判 決 ︵ 行 政 集 三 七 巻 三 号 二 九 四 76(208) 一 七

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頁 ︶ は 、 伐 採 許 可 申 請 自 体 は 判 断 せ ず 、 結 果 と し て 損 失 補 償 が 必 要 か の み を 内 在 的 制 約 か ら 判 断 し て い る 。 控 訴 審 で あ る " 判 決 と の 比 較 検 討 に つ い て は 、 前 掲 ・ 飯 村 ・ " 判 決 評 釈 五 〇 頁 以 下 。 ︵ 30 ︶ 前 掲 ・ 飯 村 ・ " 判 決 評 釈 四 九 頁 参 照 。 補 償 金 取 得 を 意 図 し て の 過 大 な 計 画 に 対 す る 不 許 可 で あ れ ば 、 申 請 権 の 濫 用 論 に 独 自 の 意 義 を 認 め る こ と が で き る と す る も の と し て 、 三 輪 圭 久 ・ ! 判 決 解 説 ﹃ 昭 和 六 二 年 行 政 判 例 解 説 ﹄ ︵ 一 八 九 八 ︶ 二 七 七 頁 、 前 掲 ・ 高 橋 ・ ! 判 決 評 釈 一 六 九 頁 参 照 。 ︵ 31 ︶ 前 掲 ・ 飯 村 ・ " 判 決 評 釈 四 九 頁 。 前 掲 ・ 宇 賀 ・ ! 判 決 評 釈 一 二 四 頁 も 採 石 行 為 が 与 え る 風 致 へ の 重 大 な 影 響 に つ い て 、 申 請 権 濫 用 論 の 中 に 、 こ の よ う な 客 観 的 事 情 ま で 持 ち 込 む こ と に は 問 題 が あ る と さ れ る 。 ︵ 32 ︶ 前 掲 ・ 塩 野 ・ 高 木 ﹃ 条 解 行 政 手 続 法 ﹄ 一 二 頁 参 照 。 例 え ば 、 外 国 弁 護 士 に よ る 法 律 事 務 所 の 取 扱 い に 関 す る 特 別 措 置 法 二 九 条 に 基 づ き 外 国 人 弁 護 士 が す る 弁 護 士 登 録 の 取 消 請 求 は 、 会 費 納 入 義 務 等 が 消 滅 す る と い う 点 に お い て 、 な お 申 請 に 該 当 す る と 解 さ れ て い る が 、 現 実 に 当 該 弁 護 士 が ど の よ う な 意 図 で 登 録 取 消 を 求 め た か に 左 右 さ れ る も の で は な い で あ ろ う 。 こ の 点 に つ き 、 行 政 管 理 研 究 セ ン タ ー 編 ﹃ 逐 条 解 説 行 政 手 続 法 ︹ 一 八 年 改 訂 版 ︺ ﹄ ︵ ぎ ょ う せ い 、 二 〇 〇 六 年 ︶ 一 六 頁 、 前 掲 ・ 高 橋 ﹃ 行 政 手 続 法 ﹄ 一 一 九 頁 、 宇 賀 克 也 ﹃ 行 政 手 続 の 解 説 ︹ 第 五 次 改 定 版 ︺ ﹄ ︵ 学 陽 書 房 、 二 〇 〇 六 年 ︶ 四 五 頁 参 照 。 ︵ 33 ︶ 大 阪 高 裁 昭 和 五 四 年 七 月 三 〇 日 判 決 ︵ 判 時 九 四 八 号 四 四 頁 ︶ 参 照 。 本 判 決 の 解 説 と し て は 、 平 田 和 一 ・ 法 学 セ ミ ナ ー 三 一 三 号 ︵ 一 九 八 一 年 ︶ 一 七 四 頁 。 ︵ 34 ︶ 前 掲 ・ 高 橋 ﹃ 行 政 手 続 法 ﹄ 一 一 九 頁 参 照 。 ︵ 35 ︶ む し ろ 問 題 と な る の は 、 行 政 側 が 申 請 の 利 益 を 欠 く と の 理 由 で 申 請 書 を 返 戻 す る と い っ た 行 政 手 続 違 背 の 対 応 を と る 場 合 で あ る 。 旧 風 営 法 四 条 の 四 第 一 項 に 基 づ く 個 室 付 浴 場 業 開 設 許 可 申 請 が 、 児 童 遊 園 に 近 接 し 、 個 室 付 浴 場 業 を 営 む こ と が そ も そ も 法 律 上 不 可 能 で あ る こ と か ら 、 申 請 の 利 益 を 欠 く と の 理 由 で 申 請 書 が 返 戻 さ れ た 事 案 で 、 長 野 地 裁 昭 和 六 二 年 一 月 二 二 日 判 決 ︵ 行 集 三 八 巻 一 号 一 〇 頁 ︶ は 、 申 請 利 益 の 有 無 に 触 れ る こ と な く 、 本 件 の 返 戻 が 実 質 的 に 申 請 拒 否 処 分 で あ る と し て 事 案 を 処 理 し て い る 。 ︵ 36 ︶ 本 件 で 原 告 は 、 担 当 課 職 員 か ら 動 力 装 置 の 申 請 を 示 唆 さ れ 、 そ の 旨 の 書 式 用 紙 の 交 付 も 処 分 行 政 庁 側 か ら 受 け て 本 件 申 請 に 至 っ て お り 、 本 件 申 請 は 行 政 庁 側 の 指 導 と 助 言 に よ る も の で あ る か ら 、 不 許 可 処 分 は 信 義 則 ︵ 禁 反 言 の 原 則 ︶ に 違 反 す る 旨 主 張 し 争 っ た が 、 裁 判 所 は 、 そ の よ う な 行 政 指 導 、 教 示 、 申 請 用 紙 の 交 付 が あ っ た か ら と い っ て 、 そ の こ と か ら 直 ち に 信 義 則 上 行 政 庁 が 申 請 を 認 め る べ き 義 務 を 負 う と 解 す べ き 根 拠 は な い と し 、 さ ら に 、 行 政 庁 の 事 務 所 に お い て 申 請 書 を 受 理 し た こ と に も な ん ら 問 題 が な く 、 そ の 受 理 が 原 告 に 対 し て 本 件 申 請 が 許 可 さ れ る と の 信 頼 を 生 じ さ せ る も の と い う こ と は で き な い と す る 。 一 八 75(207)

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︵ 37 ︶ 公 害 等 調 整 委 員 会 裁 定 委 員 会 平 成 一 九 年 二 月 二 日 裁 定 ︵ 判 タ 一 二 四 三 号 三 四 二 頁 ︶ 。 本 裁 定 の 解 説 と し て は 、 大 久 保 規 子 ・ 判 例 地 方 自 治 二 九 九 号 ︵ 二 〇 〇 八 年 ︶ 八 六 頁 以 下 。 も ち ろ ん 、 こ の 種 の 見 込 み 書 面 が 添 付 さ れ な い 申 請 が 直 ち に 申 請 拒 否 処 分 に 結 び つ く も の で は な い 。 同 裁 定 は 、 規 則 三 条 二 項 八 号 の 添 付 書 類 に つ い て は 、 ﹁ ﹃ 許 可 、 認 可 そ の 他 の 処 分 を 受 け る 見 込 み ﹄ の な い こ と が 砂 利 採 取 計 画 不 認 可 の 事 由 と な る と は 定 め て お ら ず 、 他 に そ の よ う に 解 す べ き 法 的 根 拠 も な い ﹂ と す る 。 ︵ 38 ︶ 本 件 解 説 と し て は 、 川 上 宏 二 郎 ・ 判 例 時 報 一 四 五 二 号 ︵ 一 九 九 二 年 ︶ 六 四 頁 以 下 。

許 認 可 を 求 め る 申 請 に 対 し て 拒 否 処 分 が な さ れ た 後 、 再 度 、 同 一 申 請 人 か ら 同 一 内 容 の 処 分 を 求 め る 申 請 が 許 さ れ る の か 、 特 に 、 何 ら の 事 情 変 化 が な い 場 合 で あ っ て も 再 申 請 は 妨 げ ら れ な い の か と い う 問 題 が あ る 。 こ の よ う な 再 申 請 が 認 め ら れ れ ば 、 先 の 拒 否 処 分 に 係 る 出 訴 期 間 を 徒 過 し た 後 で あ っ て も 、 再 申 請 に 対 す る 拒 否 処 分 を 捉 え て 、 新 た な 出 訴 期 間 の も と で 出 訴 が 可 能 と な り 、 出 訴 期 間 の 制 限 は 事 実 上 無 意 味 と な る 。 そ れ ゆ え 、 学 説 で は 、 こ の よ う な 再 申 請 は 、 出 訴 期 間 を 定 め た 法 の 趣 旨 ・ 目 的 に 反 す る も の と し て 、 あ る い は 、 一 事 不 再 理 法 理 か ら 認 め ら れ な い と の 見 解 が 示 さ れ て い る3︵9 ︶ 。 さ ら に 、 訴 訟 に お い て は 、 こ の よ う な 再 申 請 が 申 請 権 の 濫 用 に あ た る と 行 政 側 か ら 主 張 さ れ る こ と も あ る 。 再 申 請 に 関 す る 判 例 と し て は 、 最 高 裁 昭 和 二 九 年 五 月 一 四 日 第 二 小 法 廷 判 決 ︵ 民 集 八 巻 五 号 九 三 七 頁 ︶ が あ る4︵0 ︶ 。 農 地 調 整 法 改 正 法 附 則 三 条 三 項 に 基 づ く 農 地 の 賃 借 権 設 定 申 請 に つ き 、 こ れ を 棄 却 す る 市 町 村 農 地 委 員 会 の 裁 定 が あ っ 74(206) 一 九

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た 後 、 再 度 裁 定 の 申 請 を す る こ と が で き る か が 争 わ れ た 事 例 で あ る 。 最 高 裁 は 、 一 般 論 と し て ﹁ 通 常 の 行 政 処 分 に 関 し て は 、 ひ と た び 申 請 が 斥 け ら れ て も 、 再 び 申 請 を す る こ と は 必 ず し も ゆ る さ れ な い わ け で は な く 、 こ と に 、 そ の 後 の 事 情 の 変 更 に よ つ て 、 再 び 同 じ 処 分 を 申 請 す る こ と が ゆ る さ れ な け れ ば な ら な い の は 当 然 で あ る ﹂ と す る 。 そ の 上 で 、 本 件 裁 定 の 申 請 に つ い て は 、 通 常 、 そ の 後 の 事 情 の 変 更 は 考 え ら れ ず 、 実 際 、 本 件 も 、 事 情 の 変 更 を 理 由 と し た も の で な い こ と か ら 、 再 裁 定 申 請 が で き な い と し た 原 審 の 判 断 を 正 当 と し た 。 ま た 、 仮 に 、 本 件 の よ う な 再 申 請 が 認 め ら れ る と す る と 、 同 法 附 則 三 条 三 項 が 、 裁 定 申 請 の 期 間 を 承 認 の 日 か ら 二 箇 月 に 限 っ た 趣 旨 に 反 す る の み な ら ず 、 農 地 所 有 者 の 農 地 を 自 作 す る 権 利 は 永 く 安 定 を 欠 く 結 果 と な る と し て 、 同 一 内 容 の 裁 定 申 請 の 反 復 を 封 じ る 必 要 性 を 挙 げ て い る 。 も っ と も 、 本 件 裁 定 は 、 最 高 裁 判 決 も 述 べ る と お り 、 農 地 所 有 者 と 賃 借 人 と の 間 の 賃 借 権 回 復 に 関 す る 紛 争 を 解 決 す る た め の 行 政 処 分 で あ り 、 法 律 関 係 の 安 定 性 が 強 く 要 請 さ れ る 争 訟 裁 断 行 為 と 解 さ れ る 。 し た が っ て 、 判 決 の 結 論 を 、 一 般 の 処 分 に 及 ぼ す こ と は 慎 重 で な け れ ば な ら な い 。 最 高 裁 が 一 般 論 と し て 述 べ た 箇 所 で 注 目 さ れ る の は 、 再 申 請 が 許 さ れ る 条 件 と し て 、 後 の 事 情 変 更 を 取 り 上 げ て い る 部 分 で あ る 。 も っ と も 、 こ の 判 決 か ら は 、 事 情 変 更 の 存 在 が 、 再 申 請 の 可 否 に つ い て の 考 慮 要 素 と な る こ と は 読 み 取 れ て も 、 そ れ が 必 要 条 件 と 考 え ら れ て い る か は 判 然 と し な い 。 こ の 事 案 で は 、 事 情 変 化 の 有 無 が 決 定 的 な 判 断 要 素 と は な っ て い る が 、 本 件 裁 定 の 性 質 に よ る も の と み る の が 妥 当 で あ ろ う 。 一 般 的 な 処 分 に 係 る 再 申 請 の 可 否 に 関 す る 裁 判 例 を み れ ば 、 行 政 行 為 ︵ 先 行 す る 申 請 に 対 す る 拒 否 処 分 ︶ の 有 す る 効 力 と い う 観 点 か ら ま ず は 検 討 さ れ て き た 。 そ し て 、 争 訟 裁 断 と し て の 性 質 を 有 さ な い 一 般 的 な 処 分 に つ い て は 、 仮 に 不 可 争 性 が 生 じ た 場 合 で あ っ て も 、 裁 判 に お け る 既 判 力 の よ う な 一 事 不 再 理 の 効 力 ま で 有 す る も の で は な い こ と か 二 〇 73(205)

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ら 、 再 申 請 が 妨 げ ら れ る も の で は な い と す る 判 断 が 複 数 の 判 決 で 示 さ れ た と こ ろ で あ る4︵1 ︶ 。 東 京 地 裁 昭 和 四 九 年 一 〇 月 二 九 日 判 決 ︵ 行 集 二 五 巻 一 〇 号 一 三 一 八 頁 ︶ は 、 戦 傷 病 者 戦 没 者 遺 族 等 援 護 法 に 基 づ く 遺 族 給 与 金 及 び 弔 慰 金 請 求 に つ き 、 原 告 が 、 同 法 に 基 づ く 支 給 申 請 が 却 下 さ れ 確 定 し た 後 、 新 た な 資 料 を 添 え て 再 申 請 を 行 っ た 事 案 で あ る 。 被 告 側 は 、 再 申 請 を 認 め る と 、 行 政 処 分 に つ い て 一 定 の 出 訴 期 間 を 設 け た 立 法 趣 旨 が 没 却 さ れ る と し て 争 っ た が 、 裁 判 所 は 、 ﹁ お よ そ 行 政 行 為 は 、 そ れ に つ き 無 効 原 因 と な る よ う な 重 大 か つ 明 白 な 瑕 疵 の 存 し な い か ぎ り 、 一 定 の 争 訟 提 起 期 間 を 徒 過 す る と も は や そ の 効 力 を 争 い え な い も の と さ れ る ︵ 形 式 的 確 定 力 ︶ が 、 極 め て 特 殊 な 例 外 を 除 き 、 そ れ 以 上 に 裁 判 に お け る 既 判 力 の よ う な 一 事 不 再 理 の 効 力 ま で も 有 す る も の で は な い 。 し た が つ て 、 行 政 庁 に 対 し あ る 行 政 行 為 を 求 め る 申 請 を し て 却 下 さ れ 、 そ の 処 分 が 確 定 し た 場 合 で も 、 そ の 当 時 存 在 し な か つ た 資 料 を 新 た に 発 見 し 、 ま た は 新 資 料 の 提 出 が 可 能 と な り 、 あ る い は 事 情 変 更 が 認 め ら れ る よ う な 場 合 に 、 同 一 行 政 行 為 を 求 め る た め 再 度 の 申 請 を す る こ と も 一 般 に 許 さ れ る も の と 解 す る の が 相 当 で あ る 。 ﹂ と し て 、 被 告 の 主 張 を 退 け て い る 。 東 京 地 裁 昭 和 五 六 年 七 月 一 六 日 判 決 ︵ 行 集 三 二 巻 七 号 一 〇 八 二 頁 ︶ も 戦 傷 病 者 戦 没 者 遺 族 等 援 護 法 に 基 づ く 遺 族 給 与 金 及 び 弔 慰 金 請 求 事 案 で あ り 、 ﹁ 裁 判 に お け る 既 判 力 の よ う な 効 力 を 有 し な い 通 常 の 行 政 行 為 は 出 訴 期 間 等 が 経 過 し た 後 で あ つ て も 濫 用 等 に わ た ら な い 限 り は 、 先 の 不 可 争 力 を 生 じ た 行 政 行 為 の 内 容 に 反 す る 再 申 請 を な す こ と も 許 さ れ る と 解 す る の が 相 当 で あ る ﹂ と し て 、 前 掲 東 京 地 裁 昭 和 四 九 年 判 決 同 様 の 判 断 を し て い る ︵ 42 ︶ 。 な お 、 出 訴 期 間 の 潜 脱 問 題 に つ い て は 、 ﹁ こ の よ う に 解 す る と 、 出 訴 期 間 を 設 け て 行 政 上 の 法 律 関 係 を 早 期 に 安 定 さ せ よ う と し た 趣 旨 に 反 す る よ う に も み え る が 、 こ れ は 行 政 行 為 が 前 記 の よ う に 既 判 力 の よ う な 効 力 を 有 し な い 以 上 や む を え な い こ と で あ る ﹂ と す る 。 72(204) 二 一

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