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ラットの肝臓および腎臓の糖新生系酵素活性の変動に及ぼすL-トリプトファン投与の影響-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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(1)

ラットの肝臓および腎臓の糖新生系酵素活性の

変動に及ばすL−トリプトフアン投与の影響

鈴木博雄,別井孝文*

INFLUENCEOFL−TRYPTOPHAN ADMINISTRATION ON

CHANGESIN HEPATICANDRENALGLUCONEOGENIC

ENZYMEACTIVITIES OFRATS

Hiroo SUZUKI and Takafumi NoRII

Illfluence ofintraperitonealiniectionofL−tryptOphanonchangesinthe activitiesofphosphoenolpyruvate

Carboxykinase(PEPCK)andglucose−6Lphosphatase(G6Pase)intheliverandkidneycortexofratsfedeither a highcar−bohydrate,a highfat,Or a highprotein diet wasinvestigatedPEPCK activityin theliver was increasedingroupsfedthehighfatandthehighproteindietsHowever,theactivityofrenalPEPCKwas

increasedinthegroupsfedthehighproteindietTryptophancausedthestimulationofPEPCKactivityinthe liver ofratsfedthehighfatdiet,butrenalPEPCKactivitywasunalteredbytryptophaniniection Hepatic G6Paseactivitywasincreasedbyfeedingthehighfatdiet Inversely,renalG6Paseactivitywasincreased byfeedingthehighproteindiet NostimulationofrenalG6PaseactivitywasobserVedingroupsinjectedwith L−tryptOphanTher−eSultssuggestthattheeffectoftryptophanadministr−ationontheactivitiesofgluconeo・

genic enzymesintheliver’maybecomparablewiththatofthehighproteindiet

高炭水化物食,高脂肪食または高タソバク食を摂取したラットの肝臓と腎蔵のphosphoenolpyruvate car− boxykinase(PEPCK)とglucose−6−phosphatase(G6Pase)活性変動に及ばすL.−トリプトフアン投与の影響を検 討した。肝臓のPEPCK活性ほ高脂肪食またほ高タンパク食摂取群で増加し,腎臓のPEPCKについては高タンパク 食群で活性の増加を認めた。トリプトフ7・ソの腹腔内投与は高脂肪食群の肝臓のPI三二PCK活性を増加させ,腎臓の酵 素活性にほ影響を与えなかった。肝臓G6Pase活性の増加ほ高脂肪食を摂取した群で見られ逆に腎臓G6Pase活性 は高タンパク食摂取群で上昇した。トリプトフ7・ン投与の影響は肝臓および腎臓のG6Paseについてまったく認めら れなかった。これらの結果から,トリプトファンの投与が肝臓の糖新生系酵素活性に対して高タンパク食と同じ影響 を与えていることが示唆された。 緒 ロ ラyトヘの高タンパク食の投与は肝臓及び腎臓のphosphoenolpyruvatecarboxykinase(PEPCK,EC41132)と 腎臓のglucose−6−Phosphatase(G6Pase,EC3139)の活性を増加させる(12)。高タンパク食の投与による腎臓G6 PaseおよびPEPCK活性の増加と代謝性酸性症との関係についてはすでに報告したが(3),肝臓PEPCKについてほ代 謝性酸性症の条件における活性の増加を認めなかった(4)。 一・方,ラットの肝臓のPEPCK活性ほトリプトフアンの投与により増加し(S),肝臓のグルコース生成能ほ逝に抑制さ れる(5 ̄8) 。高タンパク食を投与した場合にも肝臓のPEPCK活性は増加するが,グルコース生成能には影響を与えな *宇部短期大学

(2)

58 香川大学農学部学術報告 第40巻 第1号(1988) いか,かえって抑制する(1)。そこで,本研究は高タンパク貿食投与の肝臓PEPCK活性への影響がトリプトフアンの摂 取量の増加と関係があるかどうかを調べる目的で,高炭水化物食,高脂肪食および高タンパク食を与えたラットにト リプトフ7・ソを腹腔内投与した影響について検討した。 実 験 方 法 1動物および実験条件 トンリュウ系ラット(雌,100−120g)を3群に分け,25%カゼインーデソプン食,25%カゼインーラード食また は75%カゼインーデソブソ食を2週間投与した。2週間後,それぞれの群の半数のラットにトリプトフ7・ソ(80mg/ 100g体重)を生理食塩水に懸濁させて腹腔内に投与した。残りの半数のラットにほ生理食塩水のみ投与した。トリプ トフ・7ソの投与後3時間でラヅトをェ・−テル麻酔下に眉き心臓採血を行った。採血後,直ちに肝臓と腎臓を採りだし 湿重畳を測定した。25%カゼインーデソプソ食(高炭水化物食)の組成(100g当たり)は,カゼイン(25g),α−バ レイショデソプソ(64g),トウモロコシ油(5g),ミネラル混合物(9〉(5g),ビタミン混合物(9′13)(085g),塩化 コリソ(015g),ビタミンA(600IU),ビタミンD(60IU),ビタミソE(10mg)として用いた。25%カゼインーラー ド食(高脂肪食)ほ高炭水化物食のデソプソのカロリーをラードに置き換え,g当たりのカロリ・一を等しくするため セルロ、一スパウダ、一で飼料の盈を調節して用いた。75%カゼインーデソプン食(高タンパク食)ほ高炭水化物食のカ ゼイン義(75g)およびビタミン混合物(25g)を増加させ,また,α一デソプンの量を減少させることによって飼 料のg当たりのカロリ、−を補正した。 2,測定項目及び測定条件 血中グルコ・−ス 採血した血液05mlを15mlの03N叫過塩素酸に加えて良く撹拝し,遠心分離によって得られた上 澄液の−・定量を用いてグルコースオキシダー‥ゼーペルオキシダーゼ法により血中グルコース畳を定量した。 肝臓中のグリコ・−ゲソ 05gの肝臓を遠心管(10ml)に採り15mlの30%水酸化カリウムを加えたのち40分間沸騰 湯浴中で加熱した。冷却後025mlの飽和硫酸ナトリウム液と5mlの95%ユタノ・−ルを加えてよく撹拝し1夜冷臓庫内 に放置した。遠心分離によって上澄液を除いたのち沈殿物を15mlの純水に溶解させて25mlの95%ユタノ・−ルを加え て1夜放置し,粗グリコ、−ゲソを分離した。この粗グリコ・一ゲソを適当な浪度になるように純水に溶解し,フェノ・− ル硫酸法により定量した。 G6Pase活性肝臓および腎臓皮質の−・定量を9倍量の025Mrショ糖溶液と共にPoTTER,ELVEHJEM型のガラ スホモジナイザーを用いてホモジナイズした。酵素活性ほFITCH WMらの方法逐少し改良して用い,デオキシコー ル酸(終濃度02%,W/v)の存在下に反応させ測定した(110)。 PEPCK活性肝臓または腎臓皮質の4倍屋の025M−ショ糖溶液と共にホモジナイズしたのち20,000xg,90分間 冷凍遠心分離を行い,その上澄液を粗酵素液として用いた。酵素活性の測定はNoRDL】E RCらの方法の改良法を用 いた(111〉 測定値の有音差検定ほStudent’s t−teStにより行い,分散の異なる平均値の差の検定ほWeichの方法により行っ た(12) 結果および考察 高炭水化物食,高脂肪食,またほ高タンパク食を14Eヨ間給餌したラットにトリプトフ・7・ソを投与したときの血中グ ルコース還と肝臓グリコーゲソ盈を・teblelに示した。血中グルコ1−ス畳ほ高タンパク食投与群で高い傾向が見られ たが有意差はなく,いずわの群もほぼ同じ値を示した。肝臓グリコーゲン壷ほ高脂肪食群で最も低く,高タンパク食 群でも高炭水化物食群に比べて有意に低い値を示した。それぞれの食餌群にトリプ十フアンを投与した場合,いずれ の食餌群の血中グルコース義・と肝臓グリコーゲソ盈にはトリプトフアン投与の影響は認められなかった。 同じ実験条件下における肝臓と腎臓皮質のPEPCKおよびG6Paseの活性変動をtable2に示した。高タンパク食 を与えたラyトのPEPCK惰性は肝臓と腎臓で高い値を示し,G6Pase活性は腎臓の酵素について高炭水化物食群の 活性に比べて有意に増加し,すでに報告した内容と同じ結果り2)を示した。高月旨肪食群においても従来の結果と同じ く,肝臓と腎臓のPEPCK活性の増加が見られ,G6Pase活性増加は肝臓の酵素について若しかった。 高脂肪食を摂取したラットへのトリプトフ7・ソ投与の影響は肝臓のPEこPCK活性について認められ,対照群に比べ て約2倍に活性が増加した。高炭水化物食群と高タンパク食群ではトリプトファソ投与の影響ほ少なく,活性増加の

(3)

rablelEffectoftryptophanadministrationonthelevelsofbloodglucoseandliverglycogenofrats

fedeitherahighcarbohydrate(HCD),ahighfat(HFD),Orahighproteindiet(HPD)

Relative tissue sizes

Diets T ̄

bt 1iver kidney glucose Blood glycogen Liver

g g/100g bodywt mg/dl mg/gwetwt HCD − 177±82(5) 400±039(5) HCD + 187±10(5) 399±030(5) HFD 179±18(5) 422±054(5) HFD + 183±12(5) 426±0094(5) HPD 176±11(5) 450±061(5) HPD + 179±91(5) 437±013(5) 0645±0028(5) 920±14(4) 674±73(3) 0607±0017(5) 965±14(5) 555±19(5) 0721±0049(5) 970±43(4) 327±44(4)* 0691±0044(5) 900±96(5) 283±43(5)* 0829±014(5)* 107 ±17(4) 478±43(4)* 0828±0059(5)融109 ±16(5) 430±76(5) Eachvaluer−epreSentSthemean±SDforthenumberofdeterminationsinparentheses *DifferssignificantlyfromcorTeSpOndingvaluesinanimalsfedthehighcarbohydratedietatthe5% 1evelsby t−teSt

Teble2FffectoftryptophanadministrationontheactivitiesofphosphoenolpyruVateCarboxykinase

(PEPCK)andglucose−6−phosphatase(G6Pa!e)intheliverandkidneycortexofratsfedeither

ahighcarbohydrate(HCD),ahighfat(HFD),Orahighproteindiet(HPD)

PEPCK G6Pase Diets Trypto・

phan liver kidney cortex liver kidneycortex unit/gwetwt 158±13(4) 169±34(5) 164±12(4) 187±24(5) 222±18(4)* 212±25(4) 200±35(4) 199±57(5) 289±42(4)* 308±80(5)* 170±38(4) 185±50(4) 139±40(5) 147±29(5) 163±50(5) 179±39(5) 215±51(5) 203±34(4) D D D D D D ︹し C F F P nr H H H H H H 696±16(5) 900±29(5) 898±15(5) 181±40(5)*# 107 ±20(5)* 139±32(4)* 一+一+一+ unit/100gbodywt HCD 274±45(5) 89±25(5) 769±81(4) 103±13(4) HCD + 359±12(5) 89±19(5) 797±21(5) 103±22(5) HFJD 378±76(5)* 118±40(5) 116 ±47(4)* 118±13(4) HFD 十 773±18(5)ホ〟 125±34(5) 131±34(5)* 127±1−7(5) HPD 469±5′6(5)* 188±52(5)* 709±98(4) 189±22(4)* HPD + 607±14(4)* 167±22(4)* 805±20(4) 174±094(4)ホ

Eachvaluerepresentsthemean±SDforthenumberofdeterminationsinparentheses

*DifferSSignificant】yfromcorrespondingvaluesinanimalsfedthehighcarbohydratedietatthe5% levelsby t−teSt #Differssignificantlyfromthevalueofcorrespondidggroupswithouttryptophanatthe5%levelsby i−teSt

OneunitofenzymeactivitieswasdefinedastheamountrequiredtoformOneFLmOleofproductper

minuteunder−theassayconditions

(4)

60 香川大学農学部学術報告 第40巻 第1号(1988) 傾向のみにとどまった。G6Pase活性ほ,肝臓,腎臓のいずれについても,それぞれの食餌群でトリフトファソ投与 の影響はなかった(table2)。 FosTER,D0,RAY′PD,LARDY.H Aら(6)は,0.9%生理食塩水に懸濁させたトリプトフ1アンをラットの腹腔内 に投与後4・∼6時間でラット肝臓によるビルビン酸,アスパラギン酸,またはリンゴ酸からのグリコ、一ゲソの生成が 抑制され グルコ、−スやグリセロ1一ルからの生成は抑制されないことを示した。同じ条件下で乳酸,ピルビン酸,ク エン酸,アスパラギソ酸やリンゴ酸の急激な増加と燐ユノールヒルビン酸の減少を指摘した(7)。これらの内容ほ, PEPCKが正常に機能していないことを示唆し,トリブトフアンの投与によって起こるPEPCK括性の増加とほ∼L致 しない。還流肝を用いた実験(5)で,トリプトフアンからナイアシン生合成系の代謝中間体のうち,キヌレニン,3−ヒ ドロキシキヌレニン,3…ヒドロキシアンスラニル酸またはキノリン酸を還流したとき,グルコ・一ス生成能ほ抑制さ れた。また,キノリソ酸を還流した場合にほ肝臓のPEPCK活性を増加させた(5)。SANCHEZ−Pozo′A ら(8)ほトリプ トファンを腹腔投与した絶食ラットの肝臓と腎臓を用いて,乳酸を還流させたときのグルコー・ス生成能の変化を調べ, 腎臓のクルコース生成能が増加するのに反し,肝臓のそれほ抑制されることを示した。同時に,肝臓ではキノリソ酸 含量も増加したが,腎臓のキノリソ酸は検知できなかったとしている。高タンパク食投与によっても肝臓のPEPCK 活性の増加とピルビン酸からのグルコー・ス生成能の抑制傾向を示したが,腎臓のPEPCK活性の増加ほグルコ、−ス生 成能の増加を伴った(21き)。 これらの事実は肝臓と腎臓への高タンパク食の作用機構が異なっていることを示唆し,肝臓 のPEPCK活性の増加がG6Paseの括性増加を伴わないのに反し,腎臓のそれほG6Pase活性の増加を伴っている 今回の実験結果もこの内容を支持していると思われる。同時に,トリプトファン投与は,肝臓の糖新生系酵素活性に 対して,高タンパク食投与と同じ影響を㌧与えていることが示唆された。 従来観察されているトリプトファンの効果がラットの絶食後の投与条件においてである(5 ̄8)ことを考えると,高炭 水化物食群と高タンパク食群でトリプ1ファこ/の効果が少なかったことほ絶食しなかったことによるものと推定され るが,後者でほトリプトファソの摂取量が多く(一日の飼料摂取量を14∼15gとして約150mg),それ以上の投与量に 対して応答しなかったことも考えられる。VENEZTALE C Mら(5)ほ肝臓中のアスパラギソ酸とリンゴ酸の蓄積に及ぼ すトリプトフアンまたはキノリソ酸の促進効果がカプリル酸共存下ではより上昇することを認め,MIYAZAWA S ら(14)も肝臓におけるトリプトフ7・ソ投与(50mg/100g体重)による脂肪酸合成の増加がナウモロコシ油の摂取によっ て相乗的に促進されることを示した。肝臓の脂肪酸合成のトリプトファン丹こよる促進効果についてもキノリソ酸の肝 臓中における蓄積との関係が示された(1415)。今回の実験において,PEPCK活性についても脂質摂取とトリプトフ7・ソ 投与との関係が認められた(table2)が,その理由については現在のところ明らかでない。 高脂肪食摂取ラットでほ腎臓のグルコース生成能の克進が起こらないため(16),肝臓のグルコース生成能の抑制は血 中グルコ1−スの減少を引き起こすことが推定されるが,高脂肪食−トリプトフ7・ソ投与群の血中グルコースと肝臓グ リコーゲソの減少の程度は少なく高脂肪食のみを摂取させた群との有意差は認められなかった(tablel)。高脂肪食摂 取によって克進した肝臓のグルコース生成能がトリブトフアン投与時にも維持されているものと推定された。 引 用 文 献 (1)SuzuKI,H,FuwA H:Agric BioJChem,

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(5)VENEZIALE CM,WALTER P,KNEERN, L.ARDY HA:β去b(ゐβ∽まsわ≠6,2129(1967)

(6)FosTER D0,RAY,P D,LARDY H A:Bio−

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(7)RAY PD,FosTER D O,LrARDY HA:I βわJ CJze刑リ241,3904(1966)

(8)SANCHEZ−Pozo A,LupIANEZJA,CoRNO

A,PITA,M L,SANCHEZ−MEDINA F:Mol 印γSわJ,3,143(1983)

(9)HARPER AE.:JNutr,68,405(1959)

(10)FITCH W M,HILL,R,CHAIKOFFI,L:I β戎0/Cゐg∽リ234,1045(1959)

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(16)SuzuKIH,FuwA H:Agric BioJChem,

参照

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