• 検索結果がありません。

アルビレックス新潟のファン構造に関する縦断的観察

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "アルビレックス新潟のファン構造に関する縦断的観察"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

アルビレックス新潟のファン構造に関する

縦断的観察

経営情報学部 助教

 本間 崇教 

1.緒言

 Jリーグでは2004年より毎年スタジアム観戦者調査を実施し、人口統計的変数などの基礎データ を中心にリーグが抱える顧客の情報を蓄積、共有している。この調査結果によると、リーグ全体と して観客の平均年齢は上昇し続けており、2017年の調査では平均年齢がリーグ全体で41.7歳と過去 最高を記録した。川崎フロンターレや横浜F・マリノスなど、全体平均よりも観客の平均年齢が低 いクラブも見受けられるが、J1とJ2に属する計40クラブのうち、観客の平均年齢が全体平均を 上回るクラブは67.5%(27クラブ)と半数以上である。観客の平均年齢が上昇を続ける傾向は、 2018年で開幕から25周年を迎えたJリーグにおいて、スタジアムに観戦に訪れるファンの若返りが 進まず、むしろ固定化しつつあるということを示唆している。  同じ顧客に対する継続的なマーケティングコミュニケーションの結果、顧客の累積満足が高まる ことで、組織に対するポジティブな態度形成に結びつく。プロスポーツの場合、ファンの観戦経験 における累積満足は、クラブへのポジティブな態度に結びつくとされる(松岡,2018)。ポジティ ブな態度形成から「心理的コミットメント」が高まった状態の顧客は、競合する他の製品に乗り換 える確率が下がると同時に、一度忠誠心を持った製品の再消費の確率も高くなる。つまり、目移り しないリピーターが増えることにより、確実な収入源を確保するという意味では、固定客を増やし、 一定の売上を計算できる状態にあることは企業にとって好ましい。しかしながら、単に固定化され た顧客からの収益を伸ばすだけでは限界があり、新たな収入源を開拓する、すなわち新規顧客を獲 得しないことには中長期的な企業の成長には繋がらないため、実際には固定顧客の獲得と同時に新 規顧客の獲得に対しても注力しなければならない。年間のリーグ全体における観客数と、観客の平 均年齢が共に上がり続けているJリーグにおいては、ファンの固定化にはある程度成功し、リピー ト率を上げることはできているものの、新規顧客の獲得が十分でない可能性が高い。しかしながら、 Jリーグの、あるいは各クラブの抱える顧客、すなわちリーグやクラブのファンが実際にどのよう な構成になっているか、あるいは新規顧客獲得についての現状と課題について検討する情報として は、複数の年を跨いでファン構造にどのような変化が起こっているかを観察する必要があり、リー グの調査報告を単年で確認するだけでは不十分である。  本研究の対象であるアルビレックス新潟は、新潟県全域をホームタウンとし、現在J2に所属す るクラブである。2004年シーズンに初めてJ1に昇格したことをきっかけに集客を伸ばし、2005年 シーズンには平均観客動員数が40,114人であった。しかし、その後少しずつ観客動員は伸び悩み、 14年ぶりにJ2に降格した2018年シーズンは平均観客動員数が14,913人と、ピークであった2005年 シーズンの37%程度の集客にとどまった。2015年シーズンにおける観客の平均年齢は45.3歳とリー

(2)

グ平均より高く、当時のJ1クラブの中では最も高い平均年齢であった。このことから、アルビレッ クス新潟においてもリーグ全体としての傾向と同様に、ファンの固定化だけが進行し、新規顧客を なかなか増やせていない可能性がうかがえる。

2.研究の目的

 本研究では、アルビレックス新潟における観戦者の特性を具体的に把握する。特に、複数年にわ たるデータを検証することによって、縦断的にファン構造を明らかにすることで、ファン構造がど のように変化しているか確認することが目的である。縦断的な変化を明らかにすることで、今後の マーケティングにおける基礎資料を得る。

3.研究方法

 本研究では、アルビレックス新潟を顧客の固定化が進むクラブのケースと仮定し、2017年シーズ ンから2019年シーズンに収集された観客データを用いて、ファン構造の現状把握と課題抽出を試み る。

4.研究結果

 基本的属性について、2017年シーズンでは、男性の割合が58.4%(n=255)、女性の割合が41.6% (n=182)であったが、徐々に女性の割合が増え、2019年シーズンでは男性51.7%(n=254)、女性 48.3%(n=237)であった(図1)。2017年シーズンの平均年齢は44.18歳(SD=16.428)で、2018 年シーズンは45.85歳(SD=14.652)、2019年シーズンは47.67歳(SD=15.719)と、観戦者の平均年 齢は年々上昇傾向にあることがわかった(図2)。年齢を7つのグループに分けると、「11-18歳」 あるいは「19-22歳」の年齢グループは、2017年シーズンから2019年シーズンにかけて割合が小さ くなっているが、「50-59歳」あるいは「60歳以上」の年齢グループにおいて、逆に割合が大きくなっ ている(図3)。   図1:性別の割合 では最も高い平均年齢であった.このことから,アルビレックス新潟においてもリーグ全 体としての傾向と同様に,ファンの固定化だけが進行し,新規顧客をなかなか増やせてい ない可能性がうかがえる. 2.研究の目的 本研究では,アルビレックス新潟における観戦者の特性を具体的に把握する.特に,複数 年にわたるデータを検証することによって,縦断的にファン構造を明らかにすることで, ファン構造がどのように変化しているか確認することが目的である.縦断的な変化を明ら かにすることで,今後のマーケティングにおける基礎資料を得る. 3.研究方法 本研究では,アルビレックス新潟を顧客の固定化が進むクラブのケースと仮定し,2017 年 シーズンから 2019 年シーズンに収集された観客データを用いて,ファン構造の現状把握 と課題抽出を試みる. 4.研究結果 基本的属性について,2017 年シーズンでは,男性の割合が 58.4%(n=255),女性の割合 が 41.6%(n=182)であったが、徐々に女性の割合が増え,2019 年シーズンでは男性 51.7%(n=254),女性 48.3%(n=237)であった(図 1).2017 年シーズンの平均年齢は 44.18 歳(SD=16.428)で,2018 年シーズンは 45.85 歳(SD=14.652),2019 年シーズン は 47.67 歳(SD=15.719)と,観戦者の平均年齢は年々上昇傾向にあることがわかった (図 2).年齢を 7 つのグループに分けると,「11-18 歳」あるいは「19-22 歳」の年齢グル ープは,2017 年シーズンから 2019 年シーズンにかけて割合が小さくなっているが,「50-59 歳」あるいは「60 歳以上」の年齢グループにおいて,逆に割合が大きくなっている (図 3). 58.4% 54.0% 51.7% 41.6% 46.0% 48.3% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 男性 女性

(3)

図 3:各年齢グループの割合 「アルビレックス新潟を応援して何年目ですか?」というクラブの応援年数について,2017 年シーズンの観客の平均応援年数は 11.45 年(SD=6.135)で,2018 年シーズンが 12.13 年 (SD=5.703),2019 年シーズンでは 13.10 年(SD=5,561)であった.アルビレックス新潟 の観戦者における平均応援年数は,2017 年シーズンから 2019 年シーズンにかけて上昇傾 向にあることが分かった(図 4).また前年シーズンのリーグ戦平均観戦回数については, 2017 年シーズンが 11.65 回(SD=7.758),2018 年シーズンが 12.43 回(SD=8.044),そし て 2019 年シーズンが 15.19 回(SD=8.696)であった.なお,この前年シーズンの平均観 戦回数については,2018 年シーズンよりアルビレックス新潟が J2 に降格していることか ら,2019 年シーズンのみ,J2 リーグの平均観戦回数を用いている.平均観戦回数について 44.18 45.85 47.67 2017 2018 2019 9.1% 4.1% 4.3% 7.9% 5.3% 4.7% 9.1% 8.2% 9.6% 5.6% 10.3% 10.0% 25.1% 27.8% 20.2% 24.2% 27.6% 27.7% 19.1% 16.8% 23.6% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 11-18歳 19-22歳 23-29歳 30-39歳 40-49歳 50-59歳 60歳以上  「アルビレックス新潟を応援して何年目ですか?」というクラブの応援年数について、2017年シー ズンの観客の平均応援年数は11.45年(SD=6.135)で、2018年シーズンが12.13年(SD=5.703)、 2019年シーズンでは13.10年(SD=5,561)であった。アルビレックス新潟の観戦者における平均応 援年数は、2017年シーズンから2019年シーズンにかけて上昇傾向にあることが分かった(図4)。 また前年シーズンのリーグ戦平均観戦回数については、2017年シーズンが11.65回(SD=7.758)、 2018年シーズンが12.43回(SD=8.044)、そして2019年シーズンが15.19回(SD=8.696)であった。 なお、この前年シーズンの平均観戦回数については、2018年シーズンよりアルビレックス新潟がJ 2に降格していることから、2019年シーズンのみ、J2リーグの平均観戦回数を用いている。平均 観戦回数についても、2017年シーズンから徐々に増えていることがわかった(図5)。 図3:各年齢グループの割合 図2:平均年齢(歳)

(4)

も,2017 年シーズンから徐々に増えていることがわかった(図 5). 図 5:前年シーズンの平均観戦回数(回) ※2019 年は,J2 リーグ戦の観戦回数 次に,クラブの公式会員組織である後援会への入会状況について,2017 年シーズンでは後 援会に入会している観戦者の割合は 34.3%(n=143)であったが,2018 年シーズンでは 36.4%(n=144),2019 年シーズンでは 43.0%(n=205)となっており,全体における入会 者の割合が大きくなっていることがわかった(図 6).チケットの入手方法については,様々 な購入方法の中で「シーズンチケット購入者」の割合と「チケットをもらった」という回答 の割合について確かめた.シーズンチケットを購入した者の割合が,2017 年シーズンは 41.7%(n=181)であったが,2018 年シーズンは 52.5%(n=217),2019 年シーズンは 58.3% (n=285)であった.また「チケットをもらった」と回答した観戦者の割合については,2017 年シーズンが 27.6%(n=120),2018 年シーズンが 19.9%(n=82),2019 年シーズンが 15,7% 11.45 12.13 13.10 2017 2018 2019 11.65 12.43 15.19 2017 2018 2019  次に、クラブの公式会員組織である後援会への入会状況について、2017年シーズンでは後援会に 入会している観戦者の割合は34.3%(n=143)であったが、2018年シーズンでは36.4%(n=144)、 2019年シーズンでは43.0%(n=205)となっており、全体における入会者の割合が大きくなってい ることがわかった(図6)。チケットの入手方法については、様々な購入方法の中で「シーズンチケッ ト購入者」の割合と「チケットをもらった」という回答の割合について確かめた。シーズンチケッ トを購入した者の割合が、2017年シーズンは41.7%(n=181)であったが、2018年シーズンは 52.5%(n=217)、2019年シーズンは58.3%(n=285)であった。また「チケットをもらった」と回 答した観戦者の割合については、2017年シーズンが27.6%(n=120)、2018年シーズンが19.9%(n =82)、2019年シーズンが15,7%(n=77)であった。このことから、2017年シーズンから2019年シー ズンにかけて、全体としてシーズンチケット購入者の割合は大きくなり、反対にチケットをもらっ て観戦する、つまりチケットを購入せずに観戦する者の割合は小さくなっているという傾向が明ら 図4:平均応援年数(年) 図5:前年シーズンの平均観戦回数(回) ※2019年は、J2リーグ戦の観戦回数

(5)

 同伴者の割合について、2017年シーズンは「ひとり」の割合が9.2%(n=40)、「友人」の割合が 35.3%(n=153)、「家族」の割合が56.4%(n=244)で、2018年シーズンは「ひとり」の割合が 18.7%(n=75)、「友人」の割合が22.7%(n=91)、「家族」の割合が61.8%(n=248)、2019年シー ズンは「ひとり」の割合が17.8%(n=87)、「友人」の割合が24.9%(n=122)、「家族」の割合が 59.2%(n=290)であった。誰と観戦に訪れるかについて、ひとりの割合が大きくなり、友人の割 合が小さくなっていることがわかった。 (n=77)であった.このことから,2017 年シーズンから 2019 年シーズンにかけて,全体 としてシーズンチケット購入者の割合は大きくなり,反対にチケットをもらって観戦する, つまりチケットを購入せずに観戦する者の割合は小さくなっているという傾向が明らかと なった(図 7). 同伴者の割合について,2017 年シーズンは「ひとり」の割合が 9.2%(n=40),「友人」の 割合が 35.3%(n=153),「家族」の割合が 56.4%(n=244)で,2018 年シーズンは「ひと り」の割合が 18.7%(n=75),「友人」の割合が 22.7%(n=91),「家族」の割合が 61.8% 34.3% 36.4% 43.0% 65.7% 63.6% 57.0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 入会している 入会していない 41.7% 52.5% 58.3% 27.6% 19.9% 15.7% 2017 2018 2019 シーズンチケットを購入した チケットをもらった 図6:後援会入会状況 図7:チケット入手方法

(6)

 OTTサービスであるDAZNでの観戦やテレビ放送での観戦の頻度について、「よく見る」の割合 が2017年 シ ー ズ ン は36.3 %(n=152)、2018年 シ ー ズ ン は38.6 %(n=148)、2019年 シ ー ズ ン は 49.4%(n=230)であった(図9)。 (n=248),2019 年シーズンは「ひとり」の割合が 17.8%(n=87),「友人」の割合が 24.9%(n=122),「家族」の割合が 59.2%(n=290)であった.誰と観戦に訪れるかにつ いて,ひとりの割合が大きくなり,友人の割合が小さくなっていることがわかった. OTT サービスである DAZN での観戦やテレビ放送での観戦の頻度について,「よく見る」 の割合が 2017 年シーズンは 36.3%(n=152)、2018 年シーズンは 38.6%(n=148),2019 年シーズンは 49.4%(n=230)であった(図 9). 9.2% 18.7% 17.8% 35.3% 22.7% 24.9% 56.4% 61.8% 59.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 ひとり 友人 家族 36.3% 38.6% 49.4% 35.8% 32.9% 30.5% 27.9% 28.5% 20.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 よく見る 時々見る 見ない (n=248),2019 年シーズンは「ひとり」の割合が 17.8%(n=87),「友人」の割合が 24.9%(n=122),「家族」の割合が 59.2%(n=290)であった.誰と観戦に訪れるかにつ いて,ひとりの割合が大きくなり,友人の割合が小さくなっていることがわかった. OTT サービスである DAZN での観戦やテレビ放送での観戦の頻度について,「よく見る」 の割合が 2017 年シーズンは 36.3%(n=152)、2018 年シーズンは 38.6%(n=148),2019 年シーズンは 49.4%(n=230)であった(図 9). 9.2% 18.7% 17.8% 35.3% 22.7% 24.9% 56.4% 61.8% 59.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 ひとり 友人 家族 36.3% 38.6% 49.4% 35.8% 32.9% 30.5% 27.9% 28.5% 20.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 よく見る 時々見る 見ない 図8:同伴者の割合 図9:DAZNおよびテレビ観戦の頻度

(7)

5.考察

 図2や図4で示されたように、全体の平均年齢が上昇を続けながら、全体の応援歴も長くなって いるという傾向を踏まえると、コーホート的にファン層が縦ずれしている可能性がある。つまり、 経年のデータにおいて同じファン層が確認されているということであり、年齢層や応援歴という点 では、全体のファン構造に新しい変化が起きているとは考えにくいということを示唆している。一 方で、図1で示した性別に目を向けると、観察した3年間で観戦者における女性の割合が徐々に大 きくなっている。Jリーグ全体では、2018年シーズンで男性の割合が62.1%、女性の割合が37.9% となっており、この傾向は2017年シーズンから(あるいはその前から)あまり変わらない横ばいの 状態であることから、アルビレックス新潟の場合は、女性の観戦比率が上昇していることは一つの 特徴的な変化であるといえる。さらに、年齢を7つのグループに分けそれぞれの割合をみたところ、 若年層が減少し、高齢層が増加している傾向はみられるものの、「30-39歳」のグループについては、 2017年シーズンから2019年シーズンにかけて割合が大きくなっている。増加傾向にあるこの年齢グ ループを引続き増やすことができれば、古くからアルビレックス新潟を応援しているベテランファ ンとは異なる世代の新たなファン層として、これから長くクラブを応援してくれる存在となり得る。 2011年頃まで集客が振るわなかったNPBの横浜DeNAベイスターズは、集客戦略の具体的なター ゲットとして「アクティブサラリーマン」という層を意識して集中的に施策を打ったところ、飛躍 的に成果が表れている。この層は、「20代後半から30代のホワイトカラーで、週末には家族でバー ベキューやキャンプをしたり、友達とフェスに行ったり、ウィークデイには会社の同僚や学生時代 の同級生などと飲みに行くような人たち」(ビジネス+IT,2019)と定義され、新規客を連れてく るなどの効果も期待できるとしてこの層に狙いを定めた。この事例からも、30歳からの年齢グルー プについては10代や20代よりも比較的経済力があり、行動力もあると考えられる層であるため、増 加傾向にあることは望ましいといえるだろう。  図6や図7が示した通り、後援会に入会している者が増えていること、あるいは入手するチケッ トについて無料の割合が減り、有料の割合が増えていることは、クラブ経営において望ましい結果 である。会員組織に入会するほどのファンは心理的コミットメントが非常に高まっている状態であ ると想定されるため、離脱やスイッチングのリスクも低い。シーズンチケット購入者にも同じこと が当てはまり、これらの購買行動(消費行動)を示すファンの割合が増えるということは、クラブ の安定的な経営にもつながるといえる。

6.まとめ

 アルビレックス新潟の観戦者データを縦断的に観察すると、平均年齢や応援歴といったデータか らはファンの固定化が進んでいるように見受けられたものの、女性ファンの比率が増えていたり、 年齢層の内訳が少しずつ変わっていたりと、ファン構造にいくつかの変化が起きながら現在に至っ ているという解釈もできる結果が示された。しかしながら、なぜ女性の比率が増えているのか、な ぜ全体における30歳台の観戦者の割合が増えているのかなど明らかになった結果を引き起こしてい (n=248),2019 年シーズンは「ひとり」の割合が 17.8%(n=87),「友人」の割合が 24.9%(n=122),「家族」の割合が 59.2%(n=290)であった.誰と観戦に訪れるかにつ いて,ひとりの割合が大きくなり,友人の割合が小さくなっていることがわかった. OTT サービスである DAZN での観戦やテレビ放送での観戦の頻度について,「よく見る」 の割合が 2017 年シーズンは 36.3%(n=152)、2018 年シーズンは 38.6%(n=148),2019 年シーズンは 49.4%(n=230)であった(図 9). 9.2% 18.7% 17.8% 35.3% 22.7% 24.9% 56.4% 61.8% 59.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 ひとり 友人 家族 36.3% 38.6% 49.4% 35.8% 32.9% 30.5% 27.9% 28.5% 20.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 よく見る 時々見る 見ない (n=248),2019 年シーズンは「ひとり」の割合が 17.8%(n=87),「友人」の割合が 24.9%(n=122),「家族」の割合が 59.2%(n=290)であった.誰と観戦に訪れるかにつ いて,ひとりの割合が大きくなり,友人の割合が小さくなっていることがわかった. OTT サービスである DAZN での観戦やテレビ放送での観戦の頻度について,「よく見る」 の割合が 2017 年シーズンは 36.3%(n=152)、2018 年シーズンは 38.6%(n=148),2019 年シーズンは 49.4%(n=230)であった(図 9). 9.2% 18.7% 17.8% 35.3% 22.7% 24.9% 56.4% 61.8% 59.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 ひとり 友人 家族 36.3% 38.6% 49.4% 35.8% 32.9% 30.5% 27.9% 28.5% 20.2% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 2017 2018 2019 よく見る 時々見る 見ない

(8)

る要因について、収集データの中から判断することは難しい。または、解釈にもクラブ側のマーケ ティング事情を勘案しなければ現実的な見解として不十分だろう。例えば、シーズンチケットの購 入割合が大きくなり、逆にチケットをもらって無料で完成している者の割合が小さくなったことに ついて、たしかに有料チケットが売れることは望ましいことである。しかしながら、この無料チケッ トをクラブ側が敢えて減らしているのか、これまでと同様に配布していても利用されなくなったの かはこのデータからはわからない。加えて年間の平均観客動員数は減少傾向であり(図10)、これ までであれば「無料チケット」のおかげで観戦に訪れていたと思われる新規顧客のファン層を取り 逃している、という見方もできる。このようなクラブの実務上の変化が影響しうる項目の詳細な検 証には、クラブ関係者へのヒアリングなどの追加調査を加えることで議論しなければならない。  また本研究では、基礎的なデータを縦断的に確認することだけを目的としたが、要因間の関係に ついて調整変数を検討した予測モデルを立てるなどのより詳細な検討によって、さらに実務的なイ ンプリケーションは高まるはずである。    参考文献 松岡宏高(2018)スポーツマーケティングリサーチ,原田宗彦編著,スポーツマーケティング改訂版 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(2017)Jリーグスタジアム観戦者調査サマリーレポート2016 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(2018)Jリーグスタジアム観戦者調査サマリーレポート2017 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(2019)Jリーグスタジアム観戦者調査サマリーレポート2018 ビジネス+IT(2019)「ジリ貧から7年で観客2倍! 横浜DeNAの「データを超えた」マーケティングの秘密」 https://www.sbbit.jp/article/cont1/36853(2019年11月28日閲覧) 女性の比率が増えているのか,なぜ全体における 30 歳台の観戦者の割合が増えているの かなど明らかになった結果を引き起こしている要因について,収集データの中から判断す ることは難しい.または,解釈にもクラブ側のマーケティング事情を勘案しなければ現実 的な見解として不十分だろう.例えば,シーズンチケットの購入割合が大きくなり,逆に チケットをもらって無料で完成している者の割合が小さくなったことについて,たしかに 有料チケットが売れることは望ましいことである.しかしながら,この無料チケットをク ラブ側が敢えて減らしているのか,これまでと同様に配布していても利用されなくなった のかはこのデータからはわからない.加えて年間の平均観客動員数は減少傾向であり(図 10),これまでであれば「無料チケット」のおかげで観戦に訪れていたと思われる新規顧 客のファン層を取り逃している,という見方もできる.このようなクラブの実務上の変化 が影響しうる項目の詳細な検証には,クラブ関係者へのヒアリングなどの追加調査を加え ることで議論しなければならない. また本研究では,基礎的なデータを縦断的に確認することだけを目的としたが,要因間の 関係について調整変数を検討した予測モデルを立てるなどのより詳細な検討によって,さ らに実務的なインプリケーションは高まるはずである. 図 10:平均入場者数 7.参考文献 松岡宏高(2018)スポーツマーケティングリサーチ,原田宗彦編著,スポーツマーケティ ング改訂版 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(2017)J リーグスタジアム観戦者調査サマリーレ ポート 2016 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(2018)J リーグスタジアム観戦者調査サマリーレ ポート 2017 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(2019)J リーグスタジアム観戦者調査サマリーレ 22034 14913 14497 2017 2018 2019 図10:平均入場者数

図 3:各年齢グループの割合  「アルビレックス新潟を応援して何年目ですか?」というクラブの応援年数について, 2017 年シーズンの観客の平均応援年数は 11.45 年(SD=6.135)で, 2018 年シーズンが 12.13 年 (SD=5.703), 2019 年シーズンでは 13.10 年(SD=5,561)であった.アルビレックス新潟 の観戦者における平均応援年数は,2017 年シーズンから 2019 年シーズンにかけて上昇傾 向にあることが分かった(図 4).また前年シーズンのリーグ戦平均観戦

参照

関連したドキュメント

世の中のすべての親の一番の願いは、子 どもが健やかに成長することだと思いま

について最高裁として初めての判断を示した。事案の特殊性から射程範囲は狭い、と考えられる。三「運行」に関する学説・判例

る、関与していることに伴う、または関与することとなる重大なリスクがある、と合理的に 判断される者を特定したリストを指します 51 。Entity

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

現在入手可能な情報から得られたソニーの経営者の判断にもとづいています。実

 そこで、本研究では断面的にも考慮された空間づくりに

日中の経済・貿易関係の今後については、日本人では今後も「増加する」との楽観的な見

まず, Int.V の低い A-Line が形成される要因について検.