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Contents E(A, α), V (A, α)

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1. 多項式に関する基本的な扱い 2 2. 固有多項式 4 3. 正方行列の三角化 5 4. 固有空間 E(A, α), 広義固有空間 V (A, α) 7 5. 正方行列の対角化 9 6. 最小多項式 11 1

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JORDAN標準形に関する基本事項 学習院大学 澤野嘉宏 1. 多項式に関する基本的な扱い ここでは,多項式に関して必要な基礎事項をまとめる.初めに,割り算とは何かから復習する. 多項式 A(X) を B(X) で割り算するとは,B(X) よりも次数が低い剰余と呼ばれる多項式 R(X) と商と呼ばれる多項式 Q(X) を用いて A(X) = B(X)Q(X) + R(X) と表されることである.この Q(X)と R(X) は整数の割り算と同じように筆算で求められるが,その方法には深入りしない. 次に,剰余の定理を復習しよう. 定理 1. α を定数とする.P (X) を (X− α) で割り算したときの剰余 (あまり) は P (α) で与えら れる. 証明. あまりは 0 次でないといけないから,定数多項式 R を用いて P (X) = (X− α)Q(X) + R と表される.この恒等式で X = α とすると,P (α) = R が得られる.したがって,P (α) が余り である.  1次式の割り算を特に考えたいのであるが,係数がR だと,X2+ 1のように因数分解が出来 ないものが出てくる.C にするとこのような問題が解消される. 定理 2 (代数学の基本定理). P (X) が複素数係数の多項式のとき, P (X) = β(X− α1)(X− α2)· · · (X − αn), β ̸= 0 という因数分解が出来る.ここで,n は P (X) の次数. もしくは,同一の因子をまとめてしまって次のようにして表わしてもよい. 定理 3 (代数学の基本定理). 複素係数多項式 P (X) は複素数 α と相異なる複素数 β1,· · · , βk用いて P (X) = α(X− β1)n1· · · (X − βk)nk と因数分解する. 例 1.1 (複素数係数の多項式の因数分解の例). (1) X3− 3iX2− 3X + i = (X − i)3である. (2) X2+ 1は実数係数の範囲ではこれ以上因数分解できないが,複素数係数では,X2+ 1 = (X− i)(X + i) と因数分解される. これは有名な定理なので認めてしまう.20通りの証明があるらしい. 定理 4. 定数ではない多項式 P (X) と Q(X) が複素数の範囲で共通根を持たないとする.このと き,ある多項式 R(X) と S(X) が存在して (1.1) P (X)R(X) + Q(X)S(X) = 1 が成り立つ. 2

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証明. (1.1) のようにある多項式 R(X) と S(X) が存在して T (X) = P (X)R(X) + Q(X)S(X) と 表される多項式全体の集まりを M とおく.M の中で 0 でない多項式のうち次数が最低のものを V (X)とおく.M の中の多項式だから,当然ある多項式 R(X) と S(X) が存在して (1.2) P (X)R(X) + Q(X)S(X) = V (X) が成り立つ. 主張 1. P (X) は V (X) で割り切れる.つまり,P (X) を V (X) で割ると余りが出ない. 主張 1 の証明. (背理法で) もしそうではないと仮定しよう.P (X) を V (X) で割り算して P (X) = V (X)W (X) + U (X)と割り算すると U (X) の次数は V (X) より低くなってしまう.ここで,U (X) は余りで,W (X) は商である.すると, (1.3) U (X) =−V (X)W (X) + P (X) = P (X)(1 − R(X)W (X)) + (−S(X)W (X))Q(X) となる.R∗(X) = 1− R(X)W (X), S∗(X) =−S(X)W (X) とおく.先ほどの計算結果 (1.3) か ら U (X) = R∗(X)P (X) + S∗(X)Q(X)∈ M であるから V (X) が M の中で次数が最低であるこ とに反する.  主張 2. Q(X) も V (X) で割り切れる. 主張 2 の証明. P (X) のときと同じである.  したがって,主張 1 と 2 より,V (X) の根があると P (X), Q(X) の共通根となる.仮定によっ て,これはありえないから,V (X) = c̸= 0 となる.P (X)[c−1R(X)] + Q(X)[c−1S(X)] = 1あるから,R(X), S(X) をおきなおせば定理にあるような多項式が取れる.  【注意】主張とは証明中などに現れる証明の方針を示したものである.主張を証明しないと定 理の証明が完成しない. 定義 1.2. 複素数係数の多項式 P (X) と Q(X) の最大公約式とは P (X) と Q(X) を割ることがで きる複素数係数の多項式の中で最高次数のものをさす. 先ほどの定理は汎用性があるので,共通因数をもつ場合に書き改めておこう. 定理 5. P (X) と Q(X) が 0 でない複素係数多項式とする.S(X) を最大公約式とすると, S(X) = P (X)T (X) + Q(X)V (X) と多項式 T (X), V (X) を用いて表される. 証明. P (X), Q(X) を S(X) で割った多項式に先ほどの定理を適用すればよい.  帰納法で次が成り立つ. 定理 6. P1(X), P2(X),· · · , Pn(X)を複素係数多項式とする.これらの最大公約式を P (X) とす るとき, Q1(X)P1(X) + Q2(X)P2(X) +· · · + Qn(Q)Pn(X) = P (X) が成り立つ.

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4 学習院大学 澤野嘉宏 2. 固有多項式 定義 2.1. A を複素 n× n-行列とする.A の (複素) 固有値とは A x = α x を満たしている 0 でな い (複素) ベクトル x が存在するような複素数 α のことである. 形式的に,実数の固有値も定義できる.当然次のように定義する. 定義 2.2. A を実 n× n-行列とする.A の (実) 固有値とは A x = α x を満たしている 0 でない (実) ベクトル x が存在するような実数 α のことである. ここで, A x = α x ⇐⇒ A x = α E x ⇐⇒ (A − α E) x = 0 ⇐⇒ (α E − A) x = 0 に注意すると,連立方程式の理論から次のことが導き出される. 定理 7. A を複素 n× n-行列とする.α ∈ C が A の固有値であるための必要十分条件は det(α E− A) = 0 で与えられる. 定義 2.3. A を複素 n× n-行列とする.λ に関する方程式 det(λ E− A) = 0 を固有方程式という. 定義を与えたので,先ほどの定理を言い換えると次のようになる. 定理 8. A を複素 n× n-行列とする.α ∈ C が A の固有値であるための必要十分条件は α が A の固有方程式の解であることである. 行列式の定義に戻って計算するとわかるように, det(λ E− A) = λn+· · · の形をした n 次多項式であるから,代数学の基本定理より次のことがいえる. 定理 9. A を複素 n× n-行列とする.A には 1 個から n 個の (複素) 固有値が存在する. 実数に関しても事情は同じである.ただし,代数学の基本定理が使えないので,固有値がない こともある. 定理 10. A を複素 n× n-行列とする.A に 0 個から n 個の (複素) 固有値が存在する. 代数学の基本定理が使えないと固有値が得られないかもしれないので,複素数を使うことが多 い.以後,(代数学の基本定理を活用したいがために)複素数のときのみに説明をしていく.

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3. 正方行列の三角化

線形変換 f が与えられたとする.ある基底を取ったときに,A という行列で f を記述できた とする.基底を取り替えれば,それに応じた可逆行列 P で P−1APで f は記述されることにな る.したがって,P−1AP が“ きれいな ”行列で表されれば,それだけ f を捕らえるのが楽にな る.何を以って“ きれい ”というかわからないが,複素正方行列に対しては次のことが言える. 定義 3.1. 上三角行列とは,A ={aij}i,j=1,··· ,nと表したときに,aij = 0, i > jが成立すること

である. 定理 11. A を複素正方行列とするとき,適当な対角行列 P を以って P−1APを上三角行列にで きる. 証明. 帰納法によって証明する.n = 1 のときは明らかである.n = k 次正方行列 B はすべて適 当な対角行列 Q を以って Q−1AQを上三角行列にできると仮定する.n = k + 1 次正方行列 A が 与えられたとする.A の固有値 α をひとつ取る.A の α に固有ベクトル v0をとる.v1, v2,· · · , vk を v0, v1, v2,· · · , vk がCnの基底になるように取る. Av0= α v0, Avj= kl=0 αjlvl とする.行列 P0, XP0= (v0v1· · · vn), X =          α α01 α02 · · · α0n 0 α11 α12 · · · α1n 0 α21 α22 · · · α2n .. . ... ... . .. ... 0 αn−1 1 αn−1 2 · · · αn−1 n 0 αn1 αn2 · · · αnn          となるようにすると,P0−1AP0= Xとなる.ここで,帰納法の仮定を使うと k 次正方行列 Q0で Q0−1        α11 α12 · · · α1n α21 α22 · · · α2n .. . ... . .. ... αn−1 1 αn−1 2 · · · αn−1 n αn1 αn2 · · · αnn        Q0=        β11 β12 · · · β1n−1 β1n 0 β22 · · · β2n−1 β2n .. . ... . .. ... 0 0 · · · βn−1 n−1 βn−1 n 0 0 · · · 0 βnn        となる.ここで,P1= ( 1 0 0 Q0 ) とおくと, P1−1P0−1AP0P1=          α γ01 γ02 · · · γ0n−1 γ0n 0 β11 β12 · · · β1n−1 β1n 0 0 β22 · · · β2n−1 β2n .. . ... ... . .. ... 0 0 0 · · · βn−1 n−1 βn−1 n 0 0 0 · · · 0 βnn          となり,k + 1 次正方行列 A も P = P0P1とおけば,P−1AP = P1−1P0−1AP0P1が正方行列に なることがわかった.  この定理の大事な応用としてケーリーハミルトンの定理がある. 系 3.2 (ケーリーハミルトンの定理). ΦA(λ) = det(λ E− A) とする.すると,ΦA(A) = 0が成 り立つ.

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6 学習院大学 澤野嘉宏 証明. 定理 11 によって A が上三角行列であるとしてよい.もし, A =          a00 a01 a02 · · · a0n−1 a0n 0 a11 a12 · · · a1n−1 a1n 0 0 a22 · · · a2n−1 a2n .. . ... ... . .. ... 0 0 0 · · · an−1 n−1 an−1 n 0 0 0 · · · 0 ann          のときは, ΦA(λ) = (λ− a00)(λ− a11)· · · (λ − ann) となるから,具体的に計算できる. 

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4. 固有空間 E(A, α), 広義固有空間 V (A, α) (Aの固有値)α と n∈ N に対して,線形空間 Vn(A, α)

Vn(A, α) ={x ∈ Cn : (A− αI)nx = 0}

と定める.Vn(A, α)をもとにして

E(A, α) = V1(A, α), V (A, α) =

n=1 Vn(A, α) と定める. 【注意】

(1) V (A, α), Vn(A, α), E(A, α)はみな一般的な記号ではなくここだけで通用する記号と考え

たほうがよい. (2) E(A, α)⊂ V (A, α) が成り立つ. V (A, α)と E(A, α) の違いを一番簡単で顕著な例を見てみよう. 例 4.1. A = ( 0 1 0 0 ) の固有値は 0 のみで, E(A, 0) = V1(A, 0) = {( x1 x2 ) ∈ C2 : ( 0 1 0 0 ) ( x1 x2 ) = 0 } = {( x1 x2 ) ∈ C2 : A ( x1 x2 ) = 0 } = {( x1 0 ) ∈ C2 : x 1∈ C } である一方,n≥ 2 のとき,An= 0であるから, Vn(A, 0) = {( x1 x2 ) ∈ C2 : ( 0 1 0 0 )n( x1 x2 ) = 0 } = {( x1 x2 ) ∈ C2 : ( 0 0 0 0 ) ( x1 x2 ) = 0 } = {( x1 x2 ) ∈ C2 : x 1, x2∈ C } =C2 となる.したがって,V (A, 0) = n=1 Vn(A, 0) =C2 が得られる.以上より,固有空間 E(A, 0) と

広義固有空間 V (A, 0) は確かに異なって,E(A, 0)( V (A, 0) となる.

次の命題は,広義固有空間の定義を覚えやすくしてくれる.

命題 4.2. α∈ C を n × n-行列 A の固有値とするとき,次の等式が成り立つ. E(A, α) ={x ∈ Cn : (A− α E)x = 0}

V (A, α) ={x ∈ Cn : (A− α E)nx = 0}

証明. E(A, α) のほうは定義そのものだから,V (A, α) の等式を証明する.一方の包含関係 V (A, α) {x ∈ Cn : (A− α E)nx = 0} は明らかである.そこで,x ∈ V (A, α) とする.すると,

k=1

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8 学習院大学 澤野嘉宏

義によって x∈ Vk(A, α)となる k が存在する.(λ− α)kと ΦA(λ)の最大公約式は (λ− α)l, l≤ k

である.したがって,

P (λ)(λ− α)k+ Q(λ)ΦA(λ) = (λ− α)l

したがって,

(A− α E)nx = (P (A)(A− α E)k+ Q(A)ΦA(A))(A− α E)n−lx

= (A− α E)n−lP (A){(A − α E)kx} + Q(A)(A − α E)n−l{ΦA(A)x} = 0

となる.  次の定理は重宝する. 定理 12. A の固有値を α1,· · · , αrとする.このとき, Cn = V (A, α 1)⊕ V (A, α2)⊕ · · · ⊕ V (A, αr) が成立する. 証明. ΦA(λ) = (λ− α1)m1· · · (λ − αr)mr と表す.j = 1, 2,· · · , r に対して φj(λ) = ΦA(λ) (λ− αj)mj とおく.多項式 ψ1, ψ2,· · · , ψrψ1(λ)φ1(λ) + ψ2(λ)φ2(λ) +· · · + ψr(λ)φr(λ) = 1 となるように取る. j = 1, 2,· · · , r と x ∈ Cnに対して,(A− α

jE)mjψj(A)φj(A)x = ψj(A)ΦA(A)x = 0となる

から,ψj(A)φj(A)x∈ V (A, αj)が成り立つ.つまり,

Cn = V (A, α

1) + V (A, α2) +· · · + V (A, αr)

が証明された.

最後に,この等式の + は⊕ で置き換えられることを示そう.仮に

x1+ x2+· · · + xr= 0, x1∈ V (A, α1), x2∈ V (A, α2),· · · , xr∈ V (A, αr)

を満たしていたとする.xj ∈ V (A, αj)よりある k が存在して,(A− αjE)kxj = 0が成り立つ.

このような k に対して,Pj(λ)(λ− αj)k+ Qj(λ)φj(λ) = 1となるような多項式を取る.すると,

xj = Pj(A){(A − αjE)kxj} + Qj(A)φj(A)xj = Qj(A)φj(A)xj=

l̸=j Qj(A)φj(A)xl= 0. したがって,+ は⊕ で置き換えられる.  次の事実は実際に計算するときに使う大事なので,きちんとまとめておくことにする. 系 4.3. A の固有値を α1,· · · , αrとする.j = 1, 2,· · · , r に対して Xj ={xj,l}l∈Lj ⊂ V (A, αj) が与えられたとする.このとき,各Xj={xj,l}l∈Ljが一次独立ならば, rj=1 Xjも一次独立である. 証明. 仮に,係数の組 λj,l∈ C を与えて rj=1l∈Lj λj,lxj,l= 0 が成り立ったとすると,Cn = V (A, α 1)⊕ V (A, α2)⊕ · · · ⊕ V (A, αr)なので, ∑ l∈Lj λj,lxj,l= 0と なる.Xj={xj,l}l∈Lj が一次独立なので,λj,l= 0となる. 

(9)

5. 正方行列の対角化

定義 5.1. 上三角行列とは,A ={aij}i,j=1,··· ,nと表したときに,aij = 0, i̸= j が成立すること

である. 命題 5.2. A を n 次正方行列とする.A の固有値を α1, α2,· · · , αkと書くとき,A が対角化可能 であることと, kj=1 dimCE(A, αj) = n は同値である. 証明. A が対角化可能であろうがなかろうが, kj=1 dimCE(A, αj)≤ n に注意する. Aが対角化可能であるとする.すると,一次独立なベクトル v1, v2,· · · , vn が存在して,P = (v1v2· · · vn)とおくとき, P−1AP =        β1 0 0 · · · 0 0 β2 0 · · · 0 0 0 β3 · · · 0 .. . ... ... . .. ... 0 0 0 · · · βn        が成り立つ.ここで,P を取り替えて α1= β1, β2,· · · , βm1 α2= βm1+1, βm1+2,· · · , βm1 .. . αr= βm1+···+mr−1+1, βm1+···+mr−1+2,· · · , βm1+···+mr−1+mr としてよい.すると,P を構成する列ベクトルは一次独立であるから, kj=1 dimCE(A, αj)≥ n が成り立つ.したがって, kj=1 dimCE(A, αj) = n がいえた. 逆に kj=1 dimCE(A, αj) = n

(10)

10 学習院大学 澤野嘉宏 とする.mj = dimCE(A, αj)と書く.また,β1, β2,· · · , βnβ1, β2,· · · , βm1 = α1 βm1+1, βm1+2,· · · , βm1+m2 = α2 .. . βm1+···+mr−1+1, βm1+···+mr−1+2,· · · , βm1+···+mr−1+mr = αr と定める.仮定によって一次独立なベクトル v1, v2,· · · , vnを A vj= αjvjとなるようにとる.そ こで,P = (v1v2· · · vn)とおけば,P−1AP =        β1 0 0 · · · 0 0 β2 0 · · · 0 0 0 β3 · · · 0 .. . ... ... . .. ... 0 0 0 · · · βn        が成り立つ. 

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6. 最小多項式 P (A) = 0となる 0 ではない次数最小の多項式 P (t) を A の最小多項式という.φA(t)と書く. 固有多項式はここでは,ΦA(t)と表すことにする. 命題 6.1. (1) 固有多項式 ΦA(t)は最小多項式 φA(t)で割り切れる. (2) Aの固有値が α のとき,最小多項式は t− α で割り切れる. 命題 6.2. 固有値に対応する固有ベクトルは 1 つは存在する. 定理 13. 行列 A が対角化可能であるための必要十分条件は φA(λ) = 0が重解を持たないことで ある. 証明. φA(λ) = 0が重解を持たないとすると,φA(λ) = (λ− α1)· · · (λ − αr)と因数分解できる. φj(λ) = φA(λ) λ− αj とすると,多項式 P1(λ), P2(λ),· · · , Pr(λ)P1(λ)φ1(λ) + P2(λ)φ2(λ) +· · · + Pr(λ)φr(λ) = 1 が得られる.j = 1, 2,· · · , r と x ∈ Cnに対して,(A− α

jE)Pj(A)φj(A)x = Pj(A)ΦA(A)x = 0

となるから,Pj(A)φj(A)x∈ V (A, αj)が成り立つ.つまり,

Cn = E(A, α 1) + E(A, α2) +· · · + E(A, αr) が証明された.ここで, Cn = V (A, α 1)⊕ V (A, α2)⊕ · · · ⊕ V (A, αr) であったから,E(A, αj) = V (A, αj)となり, nj=1 dimE(A, αj) = nつまり A が対角化可能であ ることが得られた. Aが対角化可能であるとすると,P−1AP =        α1 0 0 · · · 0 0 α2 0 · · · 0 0 0 α3 · · · 0 .. . ... ... . .. ... 0 0 0 · · · αn        となる対角行列 P が存 在する.α1, α2,· · · , αn のうち,重複しているものを除いて αk1, αk2,· · · , αkr と表すと,P (λ) = (λ− αk1)· · · (λ − αkr)に対して,P (A) = 0 となることは対角行列の性質より明らかである.最 小多項式は P (λ) の約数でないといけないから,φA(λ) = 0は重解を持たない. 

参照

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