3-3 海外自動車メーカにおける開発状況
3-3-1 海外自動車メーカにおける燃料電池車の開発状況 海外自動車メーカにおけるFCV の開発状況等を整理したものを表 3-3-1∼表 3-3-5 に 示す。 表 3-3-1 海外自動車メーカにおける燃料電池車の開発状況(その 1) 自動車メーカ 概 要 協力メーカ Daimler (Daimler Chrysler) ・ 燃料電池スタックはBallard,燃料電池システムは Xcellsis が開発を担当。 ・ メタノール改質形FCV や直接水素形 FC バスを開発,デモ運転実施。 ・ 2000 年,メタノール改質形 FCV「Necar5」,「ジープコマンダー2」を 発表。 ・ 2001 年,日本で「Necar5」の公道走行試験を実施。約 1,300km 走行。 ・ 2001 年 7 月,ドイツの配送業者 Hermes Versand Service 社と協同で, 直接水素形FCV「Sprinter」の 2 年間のフィールドテストを行うと発表。 ・ 2001 年 12 月,Millennium Cell 社の技術である,NaBH4の水素貯蔵システムを使った「Town & Country Natrium」を発表。
・ 2002 年 10 月,高圧水素形 FCV の量販モデルである「F-Cell」(Ballard 製スタック)を発表(表3-3-7)。2003 年から,欧州,米国,日本,シン ガポールにおいて,合計60 台を限定的に市場導入し,日常利用の実証を 行う予定。販売方法はリース方式。 ・ 同時に高圧水素形FC バス「CITARO」(Ballard 製スタック)を発表(表 3-3-6)。2003 年から,欧州 10 都市の交通事業者に合計 30 台を販売し, 通常の路線運転に導入するテストを行う予定。 ・ 2003 年 3 月,「F-Cell」が日本で大臣認定を取得。JHFC プロジェクト に参加し,公道走行実証試験を開始。 ・ 市販用「F-Cell」の二次電池に,三洋電機製ニッケル水素電池を搭載。 ・ FC バス「CITARO」をスペイン・マドリッド市に納入し商業運転を開始。 ・ 2003 年 6 月,米国の宅配業者に,HEV や FCV を提供すると発表。 ・ 2003 年 10 月,東京ガス,ブリヂストンとの間で,「F-Cell」の使用に関 するパートナーシップ契約を締結したと発表。2 社は,月額基本料 120 万 円を支払い,事業活動に使用する。同年12 月に東京ガスに納入。 ・ 2005 年 9 月から北京で開始される FC バス実証試験に「CITARO」3 台 の購入が2004 年 4 月決定。 ・ 2004 年 7 月,「F-Cell」をベルリンでドイツテレコムなどに納入。 ・ 2004 年 7 月,シンガポールでスタートした SINERGY プロジェクトへ F-Cell を提供。 ・ 2004 年 9 月,オーストラリアのパースでスタートした STEP プロジェク トへFC バス「CITARO」を供試。 ・ 2005 年 3 月,ジュネーブモーターショーで「F-Cell」より出力を向上 (100kW へ)し,航続距離も大幅に延長(400km)した 70MPa 高圧水 素形で二次電池としてLi イオン電池を搭載した「B クラス F-Cell」を発 表・展示(表3-3-8)。 ・ 2005 年 3 月,愛知万博協会へ 2 台の「F-Cell」を貸与。 ・ 2005 年 10 月,東京モーターショーで F600 HYGENIUS 発表(表 3-3-9)。 ・ 2005 年 11 月,北京へ FC バス「CITARO」を納車。 ・ 2006 年 2 月,ロサンゼルス空港に F-Cell 5 台を納車。 ・ 2006 年 4 月,パトロールカータイプの F-Cell を発表。 ・ 2007 年 1 月,消防指揮車両タイプの F-Cell を発表。 Ballard, Ford, Millennium- Cell Chrysler ・ 2008 年 1 月,デトロイトモーターショーにて Li イオン 2 次電池と燃料電池を搭載したハイブリッド・コンセプト「ecoVoyager」を発表(表 3-3-10)。 注)Daimler には DaimlerChrysler 以前の情報も含む。 出典:2002 年度までの JEVA 海外調査報告書,2003 年度∼2004 年度の JARI 海外調査報告書,2005 年度∼2007 年度のJARI 欧米調査報告書,プレスリリース,新聞記事等を基に作成。
表 3-3-2 海外自動車メーカにおける燃料電池車の開発状況(その 2) 自動車メーカ 概 要 協力メーカ Ford ・ DOE/PNGV 計画で,50kW 直接水素形燃料電池の開発に参加。燃料電池 はIFC 社が担当した。 ・ 1999 年 12 月,燃料電池に関して,DaimlerChrysler,Ballard と提携, 共同で開発を進める。 ・ 2000 年,高圧水素形 FCV「Focus FCV」を発表。 ・ 2000 年,EVS-17 において高圧水素形 FCV 「P2000」を試乗車として提 供。 ・ 2002 年 4 月,新型の高圧水素形 FCV「Focus FCV」(Ballard 製スタッ ク)を発表(表3-3-11)。試験的に 5 台を顧客に提供した。 ・ 2003 年から 2004 年にかけて「Focus FCV」を販売していく予定。 ・ カリフォルニア州サクラメント,フロリダ州オーランド,ミシガン州デト ロイトの3 都市で,30 台の水素燃料電池車を提供し,BP が水素再充填ス テーションを建設し,テストを行う計画を2004 年 4 月発表。 ・ 2005 年 5 月からカナダのバンクーバーで開始される VFCVP プロジェク トへ「Focus FCV」を 5 台供試。 ・ 2006 年 12 月,ロサンゼルスモーターショーに水素燃料電池車 Explorer を出展(表3-3-12)。 ・ 2007 年 1 月,ワシントンモーターショーでプラグインハイブリッド FCV, 「Ford Edge with HySeries Drive™」を公開(表 3-3-13)。
・ 2007 年 7 月,世界最速を目指した燃料電池車「Fusion Hydrogen 999」 (表3-3-14)を開発したと発表。 DaimlerChrysler, Ballard, マツダ GM(オペル) ・ DOE/PNGV 計画で,30 kW メタノール改質形燃料電池の開発に参加。燃 料電池はBallard 社が担当した。 ・ 1997 年,メタノール改質形「Zafira」を発表。 ・ FCV 開発で,トヨタと共同研究実施。 ・ 米国ではガソリン改質形FCV,欧州では液体水素形 FCV を中心に開発。 ガソリン改質技術でExxon,BP と共同研究。 ・ 2000 年デトロイトモーターショーで「Precept」(水素吸蔵形)を発表。 ・ 2000 年ジュネーブモーターショーで「Zafira(液体水素)」を発表。シ ドニーオリンピックマラソン競技のペースカーに採用。北京で試乗会を開催。 ・ 2001 年 1 月,Clean Hydrocarbon Fuel を研究の主要な候補とすること
でトヨタと合意。 ・ 2001 年 6 月,水素貯蔵技術で Quantum と提携。 ・ 2001 年 6 月,水素インフラの構築に関わる分野で General Hydrogen と 提携。 ・ 2001 年 8 月,ガソリン改質形 FCV「Chevrolet S-10」を発表。 ・ 2001 年 10 月,スズキと燃料電池車を共同開発することで合意。 ・ 2001 年フランクフルトモーターショーで,補助電源を必要としない液体 水素FCV「HydroGen3」のプロトタイプ車を公開。 ・ 2001 年 10 月,Hydrogenics(加)に資本参加,Giner(米)との提携関 係を拡大。 ・ 2002 年 1 月,液体水素 FCV「HydroGen3」を発表(表 3-3-15)。 ・ 2002 年デトロイトモーターショーでボディを選べるスケートボード形 FCV「AUTOnomy」を発表。 ・ 2002 年 5 月,「Chevrolet S-10」がガソリン改質形としては世界で初め てとなる試走に成功したと発表。 ・ 2002 年 7 月,Quantum と共同で 70MPa の高圧水素タンクを開発。 ・ 2002 年 8 月,運転操作を電子制御して車両に伝えるバイ・ワイヤー技術 を搭載した直接水素形FCV「HY-wire」を発表。 ・ 2002 年 12 月,国際宅配便大手の FedEx Express と共同で,2003 年 6 月から,日本の東京都内で「HydroGen3」を集配業務に使い,試験走行 を行うと発表。 ・ 2003 年 2 月,「HydroGen3」シリーズのザフィーラ・ミニバンに 70MPa の高圧水素タンクを搭載し,公道走行試験に成功したと発表。 ・ 2003 年 3 月,「HydroGen3」が日本で大臣認定を取得し,JHFC プロジェ クトに参加し,公道走行実証試験を開始。 ・ 同年,燃料供給インフラ技術でShell Hydrogen と提携。米国ワシントン D.C.周辺で,FCV と燃料供給インフラの共同実証実験を 2003 年 10 月か ら開始する予定。 ・ 2003 年 4 月,FCV を BMW,オペルと共同で開発することを発表。2010 年までにFCV の販売を目指す。 ExxonMobil, BP, ChevronTexco, Quantum, General- Hydrogen, スズキ, Hydrogenics, Giner, ShellHydrogen 出典:2002 年度までの JEVA 海外調査報告書,2003 年度∼2004 年度の JARI 海外調査報告書,2005 年度∼2007 年度のJARI 欧米調査報告書,プレスリリース,新聞記事等を基に作成。
表 3-3-3 海外自動車メーカにおける燃料電池車の開発状況(その 3) 自動車メーカ 概 要 協力メーカ GM(オペル) (つづき) ・ 2003 年 5 月,米国・ワシントン DC で FCV の実証運転プログラムを開 始。2 年間実施し,米国議会関係者や環境保護団体関係者などを対象に, 最高1 万回の試乗機会を提供する方針。 ・ 2003 年 7 月,東京都内で「HydroGen3」による集配業務を開始。 ・ 2003 年 10 月, 2010 年に米国,日本,欧州,中国の 4 地域で FCV の本 格的な実用車の販売を始め,利益を確保した上で,その後10 年間に 100 万台を販売する計画を明らかにした。 ・ 2004 年 6 月,アメリカの GM と郵政公社は,郵便配達車両に GM 製 FCV 「Hydrogen3」を導入することで合意。9 月からワシントン DC 周辺の配 達作業を始める。 ・ 2004 年 8 月,GM とスズキが開発している FCV の 70MPa 圧縮水素貯蔵 システムについて,日本の高圧ガス保安協会の認可を得たと発表した。04 年内にも公道実証運転を開始する。この70MPa 水素ガス貯蔵システムは, アメリカのQuantum 社が開発,住友商事がスズキに納入した。 ・ 2005 年 1 月のデトロイトモーターショーにて最新のコンセプトカー 「Sequel」を発表展示。70MPa 高圧水素形で前後 3 モータを有し 73kW の FC スタックと Li イオン電池とのハイブリッド FCV。航続距離は 480km。(表 3-3-16) ・ 2005 年 2 月,FCV のリース販売を 2007 年までに現在の 5 倍になる 40 台に引き上げる計画を発表した。 ・ 2005 年 6 月,スウェーデンの家具販売会社 IKEA と共同で,ベルリンに おいてHydrogGen3 の実用性テストを実施。 ・ 2005 年 4 月,アメリカ国防総省と共同で FC ピックアップトラックを開 発,米軍に非戦闘用として1台を納車。 ・ 2005 年 11 月,GM 大宇が韓国で HydroGen3 の実証プロジェクトを立ち 上げることを発表。 ・ 2006 年 9 月,第 4 世代燃料電池推進システムを搭載した「Equinox」(表 3-3-17)の実用化に向けて,顧客からの情報を収集するため,2007 年秋 に100 台以上を消費者にリースすると発表。 ・ 「Equinox」を米国陸軍に納車。 ・ 2006 年 12 月,50 台以上の Equinox を 2007 年はじめにロサンゼルス地 域で走行開始すると発表。 ・ 2007 年 1 月,デトロイトモーターショーで E-Flex システムを搭載した プラグインハイブリッド車「VOLT」を発表。同車の内燃機関の代わりに FC 搭載の可能性を発表。 ・ 2007 年 4 月,上海オートショーで 2 代目 E-Flex システム(水素燃料電 池システム)を搭載したプラグイン燃料電池車Chevrolet Volt を公開。 ・ 2008 年 1 月,「The Cadillac Provoq fuel cell concept」を発表(表
3-3-18)。 ・ 2008 年 3 月,同月下旬からロサンゼルス空港およびニューヨーク空港を 利用する英ヴァージン航空のアッパークラス対象の無料送迎サービスと して,「Equinox」を 3 台ずつ走行させると発表。 プジョー/ シトロエン ・ 1996 年から欧州燃料電池開発プロジェクトに参加。 ・ 2001 年 7 月,Millennium Cell 社の水素貯蔵システムの供給を受け,共 同開発の可能性あり。 ・ 2001 年 12 月,仏原子力庁(CEA),国立科学研究所(CNRS)と自動 車向け燃料電池の開発で提携。 ・ 2004 年 9 月のパリモーターショーで FCV「Quark」を展示発表。 ・ 2006 年 1 月,仏原子力庁(CEA)と共同で小型 FC を試作したと発表。 最大出力80kW(出力密度 1.5kW/L 以上),エネルギー変換効率 40∼50%。 商業化は10 年後。 CEA, CNES 出典:2002 年度までの JEVA 海外調査報告書,2003 年度∼2004 年度の JARI 海外調査報告書,2005 年度∼2007 年度のJARI 欧米調査報告書,プレスリリース,新聞記事等を基に作成。
表 3-3-4 海外自動車メーカにおける燃料電池車の開発状況(その 4) 自動車メーカ 概 要 協力メーカ ルノー ・ フィーバープロジェクトへの参画。 ・ 液体水素を燃料とした燃料電池車の開発。ニッケル水素電池を補助電源と して採用。
・ 日産とは,2002 年 2 月に UTC Fuel Cells とともに燃料電池スタックの 基礎技術部分を共同開発し,改質器などの部分についてはそれぞれが独自 に手がけることで合意。
・ 2004 年,Nuvera-FC と共同開発した 70kW 改質器などのコンポーネント を発表。
・ 2004 年秋から ADME 主導の「Respire Project」に参画。ルノーはガソ リン改質器を担当。2009 年以降車両開発を計画。 日産 Volkswagen/ Volvo ・ Capri プロジェクトを機会に燃料電池の研究開発を開始。 ・ メタノール改質形燃料電池車の開発。Johnson Matthey 社製メタノール 改質器を採用。
・ 2000 年 11 月,液体水素形 FCV「Bora HyMotion」で CaFCP に参加。 ・ 2002 年 2 月,純水素方式の「HY.Power」を試作(PSI 製 FC スタック)。 ・ 2004 年 9 月,CaFCP に新たに 35MPa の圧縮水素形 FCV「Touran HyMotion」を投入。バラードの 63kWFC スタック,シーメンスのモータ, パナソニックEV エナジーの Ni-MH 電池を組み合わせたもので,航続距 離は160km。(表 3-3-19) ・ 2006 年 11 月現在,120℃の高温膜(HT-VW)を開発中。商品化は数年 先であるとの見通し。 ・ 2006 年 6 月,HyMotion を CEP に導入。今後 2 年間で 2~3 台追加提供 の予定。 ・ 今後開発する次世代HyMotion では,自社製スタックを搭載する予定。 ・ ドイツIsenbüttel にて,ソーラーエネルギーによる水素供給実験設備を 開発,デモンストレーションを行っている。 ・ 2007 年 11 月,ロサンゼルスモーターショーでプラグインハイブリッド 燃料電池車「space up! blue」を発表(表 3-3-20)。
Johnson Matthey Zevco ・ アルカリ形燃料電池を利用した燃料電池タクシー(出力(1998 年,ロンドン)。 5 kW)を実走行 Shell BMW ・ 水素エンジン自動車の補機用電源(APU)として燃料電池の採用を検討。 ・ Delphi と SOFC を共同開発。 ・ 1970 年代より水素内燃機関自動車の開発を進めてきており,2006 年 11 月現在,第7 世代のバイフュエル(水素-ガソリン)内燃自動車「Hydrogen7」 を開発中。今後数年間で欧州向けに75 台を製造予定。 UTC-FC, Delphi Thor ・ 米国のバスメーカThor Industries.Inc.は,2001 年の中頃に世界に先がけ て北米における中型サイズのFC ハイブリッドバス「サンダーパワー」を 商品化すると発表。FC は UTC-FC が,ハイブリッド技術は ISE Reserch 社が担当。 UTC-FC, ISE Reserch Fiat ・ 2001 年 2 月,イタリア環境省との共同プロジェクトとして,2 人乗りの 高圧水素形FCV「SEICENTO-FCEV」を発表。
・ FIAT の孫会社である IRISBUS と共同で 2 種類の FC バス「CITYCLASS HS-FC BUS」(表 3-3-21),「CRISTALIS HS-FC BUS」を開発。2003 年 か ら 行 わ れ る UTC-FC 製 FC スタック搭載 FC バスの実証試験 CITYCELL Demo プロジェクトに導入される。
・ 2004 年 10 月,NuveraFC 製の 80kWFC スタックを搭載した New Panda Hydrogen を開発(表 3-3-22)。
・ ZeroRegio プロジェクトに「Panda Hydrogen」を 3 台提供予定。
Nuvera FC, UTC-FC
出典:2002 年度までの JEVA 海外調査報告書,2003 年度∼2004 年度の JARI 海外調査報告書,2005 年度∼2007 年度のJARI 欧米調査報告書,プレスリリース,新聞記事等を基に作成。
表 3-3-5 海外自動車メーカにおける燃料電池車の開発状況(その 5) 自動車メーカ 概 要 協力メーカ 現代・起亜自動 車 ・ 2000 年 4 月,UTC-FC 製の 75kWFC スタックを搭載した「Santa Fe FCEV」を発表。 ・ 2001 年 6 月,Quantum 製 350 気圧の高圧水素タンクを搭載した燃料電 池車がサクラメント−サンフランシスコ間を走行。 ・ 2001 年 10 月,パナソニック EV エナジーの Ni-MH 電池と組み合わせハ イブリッド化した「Santa Fe FCHV」を発表。 ・ 2004 年 3 月,ジュネーブオートショーで二次電池としてリチウムポリ マー電池と組み合わせた「Tucson FCEV」を発表展示し,4 月には DOE によるFCV 実証評価プロジェクトに参加することを表明(表 3-3-23)。 ・ 2004 年 9 月,パリモーターショーで新型 SUV「Sportage」燃料電池車を 発表。 ・ 2006 年 9 月現在,Tucson FCV を AC-Transit に 7 台提供している。5 カ年,12 台の実証を行う計画である。 ・ 2007 年 9 月,フランクフルトモーターショーで燃料電池コンセプトカー 「i-Blue FCEV」(表 3-3-24)を出展。 UTC-FC, Quantum 中国 ・ 2003 年 1 月,中国で初めて開発した FCV「超越 1 号」の試運転が上海の 同済大学構内で行われた。これは,上海汽車,同済大学など十数の企業, 研究機関が共同開発したもの。2008 年北京オリンピック,2010 年上海万 博に向け,実用化を目指している。 ・ 2003 年 10 月,中国最大の自動車メーカ,第 1 汽車集団公司は,FCV に 関してトヨタ自動車の技術を導入する考えを明らかにした。 ・ 上海市工業博覧会に「超越2 号」を出展。2005 年から量産に入る見通し。 ・ 東風汽車と武漢理工大学が共同で開発中の「楚天一号」が完成。走行テス トで100km/h 以上を達成。 ・ 2004 年 4 月,D/C の「CITARO」FC バス 3 台が,北京の FCB デモプロ ジェクトとして落札。2005 年 9 月から導入され,EV863 プロジェクトの 一環として実証試験が開始される予定。 ・ 2005 年秋同済大学より「超越(start)3」を発表。 ・ 2005 年 12 月,清華大学にて自国製 FCCityBus を 5 台製造し,走行試験 開始。 ・ 2006 年 12 月,上海郊外にある同済大学のキャンパスで中国製 FCV「超 越−栄威」のお披露目が行われた。 ・ 2007 年 9 月,上海神力科技有限公司が開発した新世代都市型 FC バス「神 力1号」が上海で公開。 ・ 2007 年 9 月,Shell の技術支援のもと安亭地区に水素ステーションが完 成,10 月オープン。 上海汽車, 武漢理工大学, 同済大学, 清華大学, 上海交通大学, 大連化学物理研 究所 等 出典:2002 年度までの JEVA 海外調査報告書,2003 年度∼2004 年度の JARI 海外調査報告書,2005 年度∼2007 年度のJARI 欧米調査報告書,プレスリリース,新聞記事等を基に作成。
表 3-3-6 DaimlerChrysler CITARO (2002 年 10 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 全長約12 m 乗車定員 70 人 最高速度 80 km/h 航続距離 200 km 電動機最大出力 200 kW 以上 燃料電池 固体高分子形(Ballard 製 Mark902) 燃料電池出力 250 kW 燃料 圧縮水素(35MPa) 価格 120 万ドル(メンテナンス費用込み) 表 3-3-7 DaimlerChrysler F-Cell (2002 年 10 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 3.785×1.720×1.590 最高速度 140 km/h 航続距離 150 km 電動機種類 誘導式 電動機最大出力 65 kW 最大駆動トルク 210 Nm 燃料電池 固体高分子形(Ballard 製 Mark902) 燃料電池出力 68.5 kW 燃料 圧縮水素(35MPa) 水素消費量 4.2L/100km (ディーゼル換算:23.8km/L) 出力補助装置 ニッケル水素電池 価格 2003 年 12 月からリース販売
表 3-3-8 DaimlerChrysler B-Class F-Cell (2005 年 3 月発表) 外 観 乗車定員 5 人 航続距離 400 km 電動機最大出力 100 kW 燃料電池 固体高分子形(Ballard 製) 燃料 圧縮水素(70MPa) 出力補助装置 Li イオン電池(20kW) 表 3-3-9 DaimlerChrysler F600 HYgenius (2005 年 10 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 4.348×2.017×1.700 最高速度 174 km/h 航続距離 400km 以上 電動機最大出力 60kW/85kW 最大駆動トルク 210 Nm 燃料電池 固体高分子形(D/C 製) 燃料電池出力 80kW 燃料 圧縮水素(70MPa,4kg) 出力補助装置 Li イオン電池(30kW/55kW)
表 3-3-10 Chrysler ecoVoyager (2008 年 1 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 4.856×1.915×1.600 車両重量 1,247kg 航続距離 300mile(FC)+40mile(電池) 電動機最大出力 200kW 燃料電池出力 45kW 燃料 圧縮水素(70MPa) 出力補助装置 Li イオン電池(16kWh) 表 3-3-11 Ford Focus FCV (2002 年 4 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) (全長)4.338×(全高)1.758 車両重量 1,600 kg 最高速度 128 km/h 航続距離 260-320 km 電動機最大出力 65 kW 燃料電池 固体高分子形(Ballard 製 Mark902) 燃料電池出力 − 燃料 圧縮水素(35MPa) 出力補助装置 ニッケル水素電池(三洋電機製)
表 3-3-12 Ford Explorer(2006 年 12 月発表) 外 観 車両重量 2,560kg 定員 6 人 航続距離 560km 電動機最大出力 130kW(65kW×2) 燃料電池出力 60kW 燃料 圧縮水素 燃費 350mpg M-H 出力補助装置 50kW
表 3-3-13 Ford Edge with HySeries Drive™(2007 年 1 月公開)
外 観 最高速度 136km/h 航続距離 360km(電池のみで 40km) 燃料電池出力 35kW(Ballard 製) 燃料 圧縮水素(35MPa),4.5kg 燃費 41mpg(ガソリン等価) 方式 プラグインハイブリッドFCV(シリーズ) 出力補助装置 リチウムイオン電池,130kW,336V
表 3-3-14 Ford FUSION HYDROGEN 999 (2007 年 8 月発表) 外 観 最高速度 207mph 燃料電池 Ballard 製 燃料電池出力 350kW 燃料 圧縮水素 表 3-3-15 GM HydroGen3 (2002 年 1 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 4.315×1.750×1.685 車両重量 1,750 kg 乗車定員 5 名 最高速度 160 km/h 航続距離 400 km 電動機種類 三相非同期モータ 電動機最大出力 60 kW 最大駆動トルク 215 Nm 燃料電池 固体高分子形 燃料電池出力 94kW(定格)/129kW(最高) 燃料 液体水素(68 リットル・4.6kg) 4. Hydrogen3 として,液体水素形以外に 30MPa および 70MPa の高圧水素形がある。
表 3-3-16 GM SEQUEL (2005 年 1 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 4.994×1.996×1.697 車両重量 2,165kg 航続距離 480km 電動機種類 交流誘導式 電動機最大出力 (前)60kW,(後)25kW×2 燃料電池 固体高分子形(GM 製) 燃料電池出力 73kW 燃料 圧縮水素(70MPa)8kg 出力補助装置 Li イオン電池(SAFT 製)65kW
表 3-3-17 GM Equinox Fuel Cell(2006 年発表)
外 観 全長×全幅×全高(m) 4.796×1.814×1.760 車両重量 2,010kg 定員 4 人 最高速度 160km/h 航続距離 320km 電動機種類 交流誘導式 電動機最大出力 94kW 燃料電池 固体高分子形(GM 製) 燃料電池出力 93kW 燃料 圧縮水素(70MPa) 出力補助装置 ニッケル水素電池35kW
表 3-3-18 GM CADILLAC PROVOQ FUEL CELL(2008 年 1 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 4.580×1.850×1.703 最高速度 160km/h 航続距離 260mile(FC)+20mile(電池) 燃料電池 第5 世代 燃料電池出力 出力88kW 燃料 圧縮水素(70MPa,6kg) 出力補助装置 リチウムイオン電池,9kWh 方式 プラグインハイブリッドFCV(シリーズ) 表 3-3-19 VW Touran HyMotion (2006 年モデル) 外 観 最高速度 140km/h 航続距離 160km 電動機種類 ASM 電動機最大出力 80kW 燃料電池 固体高分子形(Ballard 製) 燃料電池出力 85kW 燃料 圧縮水素(35MPa),2.6kg 出力補助装置 高出力Ni-MH
表 3-3-20 VW space up! Blue (2007 年 11 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 3.680×1.630×1.570 重量 1,090kg 最高速度 121km/h 航続距離 155mile(FC)+65mile(電池) 電動機最大出力 45kW 燃料電池 高温型燃料電池 燃料 圧縮水素 方式 プラグインハイブリッドFCV 出力補助装置 Li-ion 電池(プラグイン可能)
表 3-3-21 FIAT・IRISBUS CITYCLASS HS-FC BUS
外 観 全長(m) 12 乗車定員 73 名 最高速度 60 km/h 燃料電池 固体高分子形(UTC-FC 製) 燃料電池出力 75kW 燃料 圧縮水素(20/35MPa)
表 3-3-22 FIAT Panda Hydrogen(2005 年モデル) 外 観 乗車定員 4 名 車両重量 1,390kg 最高速度 150km/h 以上 航続距離 220km(Urban Cycle) 電動機 3 相 AC モータ 50 kW 燃料電池システム Nuvera 製 PEFC 60kW 燃料 圧縮水素(35MPa),68L 出力補助装置 なし 表 3-3-23 HYUNDAI TucsonFCEV (2004 年 3 月発表) 外 観 最高速度 153km/h 航続距離 337km 燃料電池 固体高分子形(UTC-FC 製) 燃料電池出力 80kW 燃料 圧縮水素(35MPa)152L 出力補助装置 Li ポリマー電池(LG ケミカル製)
表 3-3-24 HYUNDAI i-Blue (2007 年 9 月発表) 外 観 全長×全幅×全高(m) 4.850×1.850×1.600 最高速度 165km/h 電動機最大出力 (前)100kW,(後)20kW×2 航続距離 600km 燃料電池出力 100kW 補助電源 スーパーキャパシタ,450V,100kW,13wh/L 燃料 圧縮水素(70MPa,115 リットル)
表 3-3-25 Van Hool A330 Fuel Cell (2005 年モデル)
外 観
全長×全幅×全高(m) 12.192×2.591×3.480 定員 座席数30,定員 48 名 航続距離 400∼480km
モータ Siemens ELFA Drive; AC induction motor(85kW)×2 駆動システム ISE ThunderVolt® hybrid drive system
燃料電池 UTC Power PureMotionTM120
固体高分子形(UTC-FC 製)
燃料電池出力 120kW
3-3-2 Ballard Power Systems 社を中心とした提携関係
カナダのBallard Power Systems 社は,1997 年 12 月に DaimlerChrysler 社(当時 はDaimler Benz),Ford 社と燃料電池開発連合を結成した。2008 年 1 月になって, DaimlerAG,Ford 社,Ballard Power Systems 社は,合弁によってカナダのバンクー バーにAutomotive Fuel Cell Cooperation(AFCC)を設立した。AFCC では自動車用 FC システムの研究開発を行う。なお,製造は Ballard 社に委託する見込みである。出 資比率はDaimlerAG が 50.1%,Ford が 30%,Ballard Power Systems が 19.9%であ る。Ballard 社における自動車用 FC の研究開発グループは AFCC に異動し,バラード 社はこれによって定置用等の自動車以外のFC 用途に特化することになる。 3-3-3 欧米 PEFC 関連メーカの事業の展開状況 表3-3-26 に JARI 等が過年度に実施した海外調査から推定した欧米 PEFC メーカの各 コンポーネント別の製品化・開発状況を整理する。 表 3-3-26 燃料電池事業(PEFC セル関係)の展開(2008 年 1 月現在,推定を含む) 高分子膜 触媒 GDL MEA ガスケット セパレータ セパレータ MEA+ MEA+ セパレータ+ ガスケット スタック DuPont 製品化 研究中 研究中 製品化 研究中 製品化 研究中 研究中 3M 製品化 研究中 研究中 製品化 研究中 研究中 研究中 研究中 BASF(含. PEMEAS, Engelhard) 製品化 製品化 製品化 研究中 Gore 製品化 研究中 製品化 JohnsonMatthey 研究中 製品化 研究中 製品化 研究中 製品化 Umicore 製品化 製品化 SGL-Carbon 製品化 製品化 製品化 Ballard Power Systems(定置用) 研究中 研究中 研究中 研究中 研究中 製品化 AFCC(自動車用) 研究中 研究中
UTC Fuel Cells 研究中 研究中 研究中 製品化
Nuvera
Fuel Cells 研究中 研究中 製品化 製品化 研究中 研究中 研究中 研究中 製品化
Siemens 研究中 研究中 研究中
注:「製品化」とは,規模を問わず,専用ラインを用いて製造し,少量でも商品として販売している段階を 示す。「研究中」とは,基礎研究段階から,サンプル出荷の段階までを示す。
3-4 わが国における燃料電池車開発促進に向けた取組み状況
3-4-1 わが国政府における取組み状況 (1) ニューサンシャイン計画注1) 石油代替エネルギーの導入の一環として,新エネルギーの実用化にむけた技術開発が 進められてきた。通商産業省工業技術院(現在の産業総合研究所)では,新エネルギー に関する研究開発の推進を目的として,1974 年に太陽光発電等の新エネルギー技術の 研究開発を行う「サンシャイン計画」を,1978 年に省エネルギー技術の研究開発を進 める「ムーンライト計画」,1989 年に地球環境保全技術に係る研究開発制度をスター トさせた。これらの計画により研究が,産官学の連携のもとで進められ,基本技術の確 立やその実用化,関連分野への技術的波及等の成果を着実に実らせている。しかし,新 エネルギー技術,省エネルギー技術,地球環境保全のそれぞれの技術には重なる部分も 多いため,一層連係して進めていくため,1993 年に,「ニューサンシャイン計画」を スタートさせ,中,長期的に顕著な効果が期待できる革新的技術として太陽光発電や燃 料電池などが重点的に研究されてきた。 (2) 水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術(WE-NET)計画注2)WE-NET(World Energy Network)計画は,ニューサンシャイン計画の一環として, 1993 年より NEDO のプロジェクトとして実施された。WE-NET 計画は,再生可能エネ ルギーを利用して水素を製造し,これをエネルギー消費地へ輸送し,この水素をエネル ギーとして利用するという世界規模のクリーンエネルギーネットワークを構築すること を最終目標とした。 WE-NET 計画は,1993 年度から 2002 年度まで続けられ,2003 年度からは新たなプ ロジェクトである「水素安全利用等基盤技術開発」(後述)にとってかわることになり, 過去10 年間にわたる成果は,この新しいプロジェクトに反映されていくこととなった。 (3) 水素安全利用等基盤技術開発 わが国のエネルギー供給の安定化・効率化,地球温暖化問題(CO2)・地域環境問題 (NOx,PM 等)の解決,新規産業・雇用の創出,水素エネルギー社会の実現等に資す るため,固体高分子形燃料電池の早期の実用化・普及を目指す「固体高分子形燃料電池 /水素エネルギー利用プログラム」の一環として,2003 年度から 2007 年度の 5 年間 (2004 年度末までを前期,その後を後期と設定)実施される。2003 年度の事業規模は 43 億円で,2004 年度は 64 億円,2005 年度は 39 億円,2006 年度は 29 億円であった。 なお,2006 年度の研究開発分野は以下のとおりである。
① 車両関連機器に関する研究開発(燃料電池自動車用機器の研究開発) ② 水素インフラに関する研究開発(70MPa 級の圧縮水素や液体水素に係わる要素 技術開発等) ③ 水素に関する共通基盤技術開発(水素利用に関する基盤横断的研究開発) A. 共通基盤技術に係わる実用化技術 B. 共通基盤技術に係わる国際共同研究及び支援研究 (4) ミレニアム・プロジェクトにおける燃料電池関連事業 小渕元首相の発案により,新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え,人類 の直面する課題に応え,新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むこととなった。 これを新しい千年紀のプロジェクト,すなわち「ミレニアム・プロジェクト」という。 「ミレニアム・プロジェクト」は,今後の日本の経済社会にとって重要性や緊要性の高 い情報化,高齢化,環境対応の三つの分野について,技術革新を中心とした産学官共同 プロジェクトである。このプロジェクト全体の予算は1,206 億円注)であった。FC 関連 プロジェクトの大きな目標は,「2005 年までに,燃料電池自動車,住宅等における燃料 電池コージェネレーションシステムの導入を図る」というものであった。表 3-4-1 にス ケジュールを整理する。燃料電池に関しては,平成16 年度で終了となった。 表 3-4-1 ミレニアム・プロジェクトの「燃料電池」の年次計画 平成12年度 (2000年度) 平成13年度 (2001年度) 平成14年度 (2002年度) 平成15年度 (2003年度) 平成16年度 (2004年度) 水素製造・貯蔵の 技術開発・検証 燃料電池の 試験研究 燃料電池の 評価手法の確立 燃料電池関連 基準の整備 評価手法確立のための調査・研究 基準整備のための調査,検討 基準整備 国際標準の具体的提案 国際標準活動への参加・対応 安全性,耐久性等 評価手法の確立 安全性・耐久性等の試験研究の実施と試験結果のフィードバック 技術開発 技術実証・データ収集 燃料優位性の比較
(5) 日米水素・燃料電池共同声明注1) 2004 年 1 月 8 日,水素・燃料電池に関する研究開発や規格・基準に係る日米間の協力 を強化するため,経済産業省および米国エネルギー省の間で,日米間の協力取り決めの 締結に向けた交渉に着手することに合意し,坂本経済産業省副大臣とエイブラハムDOE 長官は,日米水素・燃料電池共同声明に署名した。 この日米水素・燃料電池共同声明は,以下に示すような内容を意図している。 ① 燃料電池並びに水素の生産,貯蔵および輸送の技術分野において相互に決定した 問題に関するワークショップおよびセミナーを開催し,参加するために,認識を ともにした政府関係者および民間を含む専門家を結集すること。 ② 専門家の交流を行い,水素燃料インフラを整備するための共通の規格,基準およ び規制ならびに要求に対する提言を含む,燃料電池および水素分野における現在 の政策,技術プログラムおよび開発に関する情報を供給すること。 ③ 相互の同意により決定される追加的活動に参加すること。 (6) 経済産業省の燃料電池実用化戦略研究会 1999 年 12 月,経済産業省は,燃料電池の導入の意義を明確化するとともに,その実 用化に向けた課題の抽出と課題解決の方向性を探るため,資源エネルギー庁長官の私的 研究会として産学官から構成される「燃料電池実用化戦略研究会」(座長:茅陽一 現東 京大学名誉教授)を設置した。その後9 回にわたり国内外の企業,関係団体,外国政府 等による報告と,これを踏まえた議論,検討が行われ,2001 年 1 月 22 日に開催された 第9 回研究会において報告が取りまとめられた注2)。 2004 年 3 月 11 日に開催された第 12 回研究会では,燃料電池に関する取組みの現状 の報告があり,とくに定置用燃料電池に関しては,燃料電池自動車と比べ認知度が低い という現状が報告され,実証試験のあり方等について意見が出された。また,水素エネ ルギー社会の将来像(表3-4-2,表 3-4-3),水素社会に向けた普及のシナリオ(表 3-4-4) が提案され,2005 年以降の第 2 フェーズに向けた考え方等が議論された。提案された水 素エネルギー社会の将来像,水素社会に向けた普及のシナリオを以下に示す。
表 3-4-2 燃料電池自動車に関する将来イメージ フェーズ 将来イメージ ①2005∼2010 (導入期) ・ 水素インフラの整備には相当な資金と時間を要し,当面は現実的には制約がある ことから燃料電池自動車は,大都市圏,および工業地域等で副生水素が比較的近 くで得られるエリアにおいて導入が進む。 ・ この段階では都市内フリート走行車に導入が進展すると考えられ,路線バス,公 用車等を中心に,2010 年において 5 万台の燃料電池自動車の導入を期待する。 ・ 想定される水素需要量は約3.6 万 t(約 4 億 Nm3)であり,必要な水素ステーショ ンは,500 箇所程度(ガソリンスタンドの約 1%)と見込まれる。 ・ 水素ステーションで供給する水素の燃料源については,基本的に各種燃料のコス トや燃料補給の難易度等を比較衡量して事業者が判断するものであるが,この段 階では,水素の需要が限定的であるため,オフサイト型では副生水素のローリー 輸送による供給,オンサイト型では化石燃料改質が中心になると想定される。 ②2010∼2020 (普及期) ・ 水素インフラのエリアが拡大し,全国の主要都市と,その周辺地域に普及する。 ・ 全国の路線バスと公用車に加え,業務用乗用車等に導入が進み,2020 年において は500 万台の燃料電池自動車の導入が期待される。 ・ 想定される水素需要量は約58 万 t(約 65 億 Nm3)であり,必要な水素ステーショ ンは,3,500 箇所程度(ガソリンスタンドの約 7%)と見込まれる。 ・ 水素供給の中心は,引き続き副生水素および化石燃料改質と想定される。 ・ 水素需要量が増加するため,副生水素の供給源に近くかつ大規模なステーション では,パイプラインによる水素の供給が始まる。 ・ 効率的な水素貯蔵技術が確立されれば,ローリー輸送によるオフサイト型水素ス テーションが主流となる可能性もある。 ・ 水素ステーションから近くのエリアへの直接水素供給や,ステーションに定置用 燃料電池を設置し,電気や熱を供給するようなモデルも想定される。 ③2020∼2030 (本格普及期) ・ 水素インフラが全国に拡大し,燃料電池自動車も全国に普及する。燃料電池自動 車の生産拡大とコスト低下が相まって,自立的な導入が進展する。 ・ 自家用乗用車にも導入が進展し,2030 年において導入が期待される燃料電池自動 車は,1,500 万台と見込まれる。 ・ 想定される水素需要量は約151 万 t(約 170 億 Nm3)であり,必要な水素ステー ションは,8,500 箇所程度(ガソリンスタンドの約 17%)。 ・ 水素需要量が副生水素による供給可能量を上回ることとなるため,オンサイトの 化石燃料改質に加え,再生可能エネルギーによる電気を用いた水電解による水素 製造や,石炭ガス化ガスからの改質による水素製造も,現実的な製造方法の一つ となる可能性がある。 ・ 効率的な水素貯蔵材料(金属系,化学系,炭素系等)が実用化されれば,オフサ イト水素が大規模集中システムで製造され,水素ステーションに効率的に水素が 輸送されるシステムが確立する。 出典:第12 回燃料電池実用化戦略研究会資料を基に作成
表 3-4-3 定置用燃料電池に関する将来イメージ フェーズ 将来イメージ ①2005∼2010 (導入期) ・ 家庭用については,世帯人員や床面積の観点から,比較的熱需要が多いと想定 される世帯に1kW の家庭用燃料電池の導入が進むと見込む。 ・ また業務用については,既存技術である内燃機関のコージェネレーションでは 高い発電効率が得られなかった数 kW クラスの規模を中心に,燃料電池の導入 が進む。 ・ 天然ガス,LPG,灯油等の既存のインフラを活用する形で,2010 年において 220 万kW の定置用燃料電池の導入を期待する。 ②2010∼2020 (普及期) ・ 生産量の増加,技術開発のさらなる進展により,定置用燃料電池の価格が低下 し,比較的熱需要の多いと想定される世帯の多くに1kW クラスの燃料電池が導 入されると見込む。 ・ また,高温形の燃料電池の性能も向上し,業務用を含む比較的大きな規模の需 要についても,燃料電池の導入進展が想定される。 ・ 定置用燃料電池の普及率が高まることにより,集合住宅や,工業地域等の需要 家が密接している地域において,改質器を共有して水素を直接配管で供給する システムや,改質器と燃料電池を共有し,各需要家に直接電気と温水を供給す るようなシステムが実現することも想定される。 ・ さらに,特定の地域においては,各家庭や事業所等に設置された燃料電池を相 互に連携制御し,熱電エネルギーの大半を域内で賄うシステム(マイクログリッ ド)が実現する。 ・ 2020 年において導入が期待される定置用燃料電池は 1,000 万 kW と見込まれる。 ③2020∼2030 (本格普及期) ・ 2020 年までに導入された燃料電池は,引き続き運転を続けると想定する。 ・ また,高温型燃料電池のコンバインドサイクルによる超高効率発電が実用化し てくることが見込まれる。 ・ 2030 年において導入が期待される定置用燃料電池は,1,250 万 kW と見込まれ る。 出典:第12 回燃料電池実用化戦略研究会資料を基に作成 表 3-4-4 将来に向けた普及のシナリオ 2010 年 2020 年 2030 年 燃料電池自動車 約5 万台 約500 万台 約1,500 万台 定置用燃料電池 約210 万 kW (地球温暖化大綱 では220 万 kW) 約1,000 万 kW 約1,250 万 kW 出典:第12 回燃料電池実用化戦略研究会資料を基に作成 2005 年 4 月 19 日に開催された第 13 回燃料電池実用化戦略研究会においては,固体 高分子形燃料電池先端基盤研究センターの設立(後述)についての報告とともに,「定 置用燃料電池市場化戦略検討会報告書(2005 年 4 月 11 日)」についての報告が行われ た。この報告書の中で,家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの本格的普及に 向けてはシステムコスト低減が課題であり,その中でも周辺機器(補機類)のコストダ ウンが重要であるとし,国が取り組むべき課題として「燃料電池用の補機に必要とされ るスペックの公表を行い,コストダウンにとって重要な課題である補機供給に新規企業
(7) 日本のエネルギー戦略 日本の様々なエネルギー戦略の関係を図3-4-1 に整理する。 図 3-4-1 日本のエネルギー戦略一覧 資料:平成19 年度水素・燃料電池プロジェクト JHFC セミナー資料 1) 新・国家エネルギー戦略 2006 年 5 月,エネルギーを取り巻く内外の環境変化に関する現状認識に基づき,エ ネルギー安全保障を軸にわが国の新たな国家エネルギー戦略を再構築することが不可 欠であるとの認識から,経済産業省において「新・国家エネルギー戦略」が策定され た。 戦略によって実現を目指す目標は以下の 3 点であり,表 3-4-5 に示すような具体的 取組みを行う。 ① 国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立 ② エネルギー問題と環境問題の一体的解決による持続可能な成長基盤の確立 ③ アジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献
表 3-4-5 新・国家エネルギー戦略における具体的取組み目標 (1)世界最先端のエネルギー需給 構造の確立 およそ下回る水準とする。 50%ある石油依存度を,2030 年までに 40%を ①省エネルギーフロントラ ンナー計画 2030 年までに更に 30%,エネルギー効率の改善を目指す。 ②運輸エネルギーの次世代 化 石油依存度を,2030 年までに 80%程度とすることを目指す。 ③ 新 エ ネ ル ギ ー イ ノ ベ ー ション計画 太陽光発電コストをバイオマスなどを活用した地産地消型取組みを支援し2030 年までに火力発電並みに。 地域エネルギー自給率を引き上げる。など。 ④原子力立国計画 2030 年以降においても,発電電力量に占める比率を 30∼40%程度以上。 (2)資源外交,エネルギー環境協力の総合的強化 ①総合資源確保戦略 石油自主開発比率を,2030 年までに,引取量ベースで 40%程度とする。 ②アジアエネルギー・環境 協力戦略 省エネをはじめエネルギー協力を展開し,アジアとの共生を目指す。 (3)緊急時対応の充実 (4)その他 資料:経済産業省「新・国家エネルギー戦略」を基に作成 運輸エネルギーの次世代化計画の具体的取組みを以下にまとめる。また,運輸エネ ルギーの次世代化に向けた動向と課題を図3-4-2 に示す。 エネルギー市場の変化に対し柔軟かつ強靱で,エネルギー消費効率の高い需給構造を, 運輸部門に確立するため,以下の課題に対し,並行して,効果的に取り組むこととする。 ① 自動車燃費の着実な改善 ⅰ) 自動車の燃費改善を促す燃費基準の策定 ⅱ) レギュラーガソリンのオクタン価向上 ② 燃料多様化に向けた環境整備 ⅰ) バイオマス由来燃料供給インフラの整備 ⅱ) ディーゼルシフトの推進 ⅲ)バイオマス由来燃料及びGTL の一層の活用のためのインフラ整備 ③ バイオマス由来燃料,GTL 等新燃料の供給確保 ⅰ) バイオマス由来燃料の供給促進・経済性向上 ⅱ) 次世代燃料に関する技術開発促進 ④ 電気・燃料電池自動車等の開発・普及促進 ⅰ) 電気・燃料電池自動車等の普及促進策 ⅱ) 「新世代自動車」向け電池に関する集中的な技術開発の実施 ⅲ)燃料電池自動車に関する技術開発の推進
※1 京都議定書目標達成計画において,2010 年度に,原油換算 21 万 Kl の ETBE を含め,全体として,原油換算 50 万 Kl のバイオマス由来燃料を導入することが目標とされている。 ※2 HCCI(予混合圧縮着火燃焼)エンジンとはガソリンエンジンとディーゼルエンジンの長所を併せ持ったエンジン。 NOx や粒子状物質の生成が少なく,熱効率の高いエンジンが実現できると期待されている。 図 3-4-2 運輸エネルギーの次世代化に向けた動向と課題 出典:経済産業省「新・国家エネルギー戦略」 2) 次世代自動車・燃料イニシアティブ 2007 年 5 月,経済産業省は,自動車関連の 2030 年までの展望や目標を示した「次 世代自動車・燃料イニシアティブ」をまとめた。これらの内容および目標は,以下の ようになっている。
① 運輸部門の石油依存度を現在の100%から 2030 年には 80%程度に引き下げる。 ② バイオ燃料は,建築廃材や稲ワラなどを原料にする技術開発を進め,2015 年 までに製造コストを現状の150 円/L 前後から 40 円/L に引き下げる。 ③ IT を駆使した交通制御を強化し,都市部の平均速度を 2 倍に引き上げる。 ④ FCV の本格普及を図るため,向こう 5 年間は年間 320 億円程度の研究開発を 継続,1 台数億円の現行価格を 2030 年までにガソリン車並みの 300 万円に下 げる。 ⑤ 次世代バッテリー技術開発プロジェクトの立ち上げと充電スタンドの整備,そ れにより2010 年にコンパクト EV を,2030 年に EV の本格普及を目指す。 ⑥ クリーンディーゼル推進では,GTL,水素化バイオ軽油などの軽油系新燃料の 研究開発と,2009 年以降ポスト新規制に対応したディーゼル乗用車の導入。 3) Cool Earth −エネルギー革新技術計画― 2007 年 5 月に安倍総理のイニシアティブ「美しい星 50(クールアース 50)」が発 表され,「世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して 2050 年までに半減する」 という長期目標を提案した。この目標の実現は,従来の技術の延長では困難であり, 革新的技術の開発が不可欠である。 このため,2050 年を見通した上で,エネルギー分野における革新的な技術開発の具 体的な取り組みのあり方について検討を進め,検討内容を取りまとめたものが「Cool Earth −エネルギー革新技術計画―」である。 重点的に取組むべきエネルギー革新技術を図3-4-3 に示す。
燃料電池自動車に関しては,コスト面では車両価格を2010 年に ICV 比で 3∼5 倍, 2020 年に 1.2 倍まで低減することを目指す。耐久性については,2010 年に 3,000 時 間,2020 年に 5,000 時間まで向上させることを目指し,航続距離は 2010 年で 400km, 2020 年で 800km まで向上させることを目指すとしている。 (8) 日本における燃料電池自動車・水素関連プロジェクト 平成19 年度に実施された,日本政府主導の FCV・水素関連プロジェクトを表 3-4-6, 表3-4-7 に整理する。 表 3-4-6 平成 19 年度に実施された日本政府主導のプロジェクト(1) 分類 主体 プロジェクト名 概要 期間 H19 年度予 算(億円) 基礎 研究 経済 産業省 水 素 先 端 科 学 基 礎研究事業 (Hydrogenius) 水素の輸送や貯蔵に必須な材料に関し,水素脆 化等の基本原理の解明及び対策の検討を中心 とした高度な科学的知見を要する先端的研究 を,国内外の研究者を結集し行うことにより,水 素をより安全・簡便に利用するための技術基盤 を確立する。 H18 年度∼ H24 年度 16.65 燃 料 電 池 先 端 科 学研究委託 (FC-Cubic) 燃料電池の基本的反応メカニズムについての根 本的な理解を深めるために,独立行政法人産業 技術総合研究所において,高度な科学的知見を 要する現象解析及びそのための研究体制の整 備を行い,現状の技術開発における壁を打破す るための知見を蓄積する。 H17 年度∼ H21 年度 9.96 水 素 貯 蔵 材 料 先 端基盤研究事業 (HYDRO☆STAR) 世界トップ水準の優れた研究者を中核に,国内 外の研究機関・企業バーチャルな連携の下,高 圧水素貯蔵に比べコンパクトかつ効率的な水素 貯蔵を可能とする水素貯蔵材料の性能向上に 必要な条件等を明らかにすることにより,燃料電 池自動車の航続距離の飛躍的向上を図る。 H19 年度∼ H23 年度 7.57 文部 科学省 次 世 代 型 燃 料 電 池プロジェクト 燃料電池の本格的普及に向け,高性能・低コス トの高温運転型次世代燃料電池を実現する革 新的材料開発と電池性能の実証を行う。 H15 年度∼ H19 年度 2.00 ナノ構造化燃料電 池用材料研究 燃料電池の普及を加速させるために,材料の基 礎に立ち返って材料中の微細構造,界面構造お よび表面構造などがイオン伝導度や触媒機能等 に与える影響を精査し,潜在する機能を十分に 発揮できるような組織制御を行って,優れたイオ ン伝導性,耐食性,触媒機能や機械的強度を持 ち,実際の燃料電池システム,水素製造システ ムなどで長期にわたって使われる材料の開発を 目指す。 平成 18 年度 ∼ 1.00 技術 開発 経済 産業省 固 体 高 分 子 形 燃 料 電 池 実 用 化 戦 略的技術開発 自動車用,家庭・業務用等に利用される固体高 分子形燃料電池の実用化・普及に向け,要素技 術,システム化技術及び次世代技術等の開発を 行うとともに,共通的な課題解決に向けた研究 開発の体制の構築を図る。 H17 年度∼ H21 年度 51.30 水 素 安 全 利 用 基 盤技術開発 燃料電池等の水素利用技術の導入・普及に資 するため,水素の製造・貯蔵・輸送等に係る関連 機器の信頼性・耐久性向上,小型化,低コスト化 のための研究開発を行う。 H15 年度∼ H19 年度 22.53
表 3-4-7 平成 19 年度に実施された日本政府主導のプロジェクト(2) 分類 主体 プロジェクト名 概要 期間 H19 年度予 算(億円) 経済 産業省 将 来 型 燃 料 高 度 利用研究開発 燃料電池の普及・実用化に必要になる,効率的 な石油系燃料からの水素製造技術,及び当該 水素の効率的な供給システム等の開発を行う。 H17 年度∼ H19 年度 9.37 技術 開発 次世代蓄電システ ム 実 用 化 戦 略 的 技術開発 燃料電池自動車の早期導入,プラグインハイブ リッド自動車・電気自動車の実用化等に資する 蓄電池技術の開発を行うことにより,蓄電池の 高寿命化,高出力化,高密度化,低コスト化,安 全性の向上を図る。 H19 年度∼ H23 年度 49.00 環境省 本庄・早稲田地域 での G 水素モデル 社会の構築に関す る技術開発 廃シリコン,廃アルミ,バイオマス等の廃棄物を 利用した G(グリーン)水素の製造,水素吸蔵合 金(以下 MH)による水素精製・貯蔵・輸送システ ム,G 水素を利用した各種利用システム−燃料 電池(以下 FC)システム,FC 信号機,小型 FC 自 動車(ULFCV,COMS),FC 車椅子,FC フォー クリフト,MH 自動販売機−を開発し,本庄・早稲 田地域において水素エネルギー特区の認定を 受け,G 水素モデル社会を構築する。 H17 年度∼ H19 年度 6.21 実証 研究 経済 産業省 燃料電池システム 等実証研究 実条件に近い中での燃料電池自動車の実証試 験や多角的な燃料供給システムの検証を進め, 水素エネルギー社会における水素利用の課題 等を抽出するとともに,燃料電池・水素に対する 国民的理解の醸成を図る。 H18 年度 ∼H22 年 度 18.00 環境省 燃 料 電 池 自 動 車 啓発推進事業 市民に最も身近な地方公共団体において,燃料 電池自動車のイベント展示,試乗会や学校など での学習利用により,地域社会へ の啓発推進 を図るとともに,様々な利用形態での走行による 社会実験と,その活用方法について検討・実証 する。 H15 年度∼ ? 基準・ 標準化 経済 産業省 水 素 社 会 構 築 共 通基盤整備事業 固体高分子形燃料電池システム等の導入・普及 に資する基盤整備のため,製品性能の試験・評 価手法及び国内外の基準・標準の確立を図る。 H17 年度∼ H21 年度 25.50 燃料電池システム 普 及 用 技 術 基 準 調査 容器貯蔵圧力を 70MPa とした燃料電池自動車 及び供給スタンドの技術基準を整備するため, 会議あの規制内容を調査するとともに安全性に 係わる実証試験結果の評価を行なう。 H18 年度∼ H20 年度 0.85 国土 交通省 燃 料 電 池 自 動 車 実 用 化 促 進 プ ロ ジェクト 深刻な大気汚染問題を抜本的に解決し,地球温 暖化対策に資する究極の低公害車である燃料 電池自動車の早期普及を図るため,燃料電池自 動車の世界統 一基準の策定 に向けて必要 な データを取得する。 H15 年度∼ 0.66 (9) 経済産業省の「Back to Basic による研究推進」プロジェクト 1) 固体高分子形燃料電池先端基盤研究センター(FC-Cubic)の設立 燃料電池の重要なアプリケーションである燃料電池自動車では,技術的課題に加え, 非常に厳しいコスト要求に直面しており,単にエンジニアリング手法に頼るのではな く,サイエンスの基本に立ち返った根本的な「既知の物理限界」の打破が強く求めら れている。こういった産業界からの要望に応え,2005 年 4 月,独立行政法人産業技術
2005 年 4 月 1 日から 5 年間の予定で,平成 17 年度の予算は約 10 億円である。「電 極触媒」および「セル構成要素と界面移動物質との相互作用」「電解質膜」に研究テー マを絞り,それぞれ燃料電池内部の基礎的・根本的な現象解析を行う。 2) 水素材料先端科学研究センター(HYDROGENIUS)の設立 (独)産業技術総合研究所水素材料先端科学研究センター(HYDROGENIUS)は, 水素利用社会の実現を技術的に支援するため,水素と材料に関わる種々の現象を科学 的に解明して各種データを産業界に提供するとともに,安全で簡便に水素を利用する ための技術指針を確立することをミッションとし平成 18 年 7 月 1 日に設立された。 具体的には,産業界から提供される開発・実証から出てくる課題から,水素物性等に 係る基本原理を解明し,水素社会実現に向けたデータベースの構築と技術基盤整備を 行うことを目的としている。研究期間は平成18 年度から平成 24 年度の 7 年間である。 3) 水素貯蔵材料先端基盤研究事業(HYDRO☆STAR) 水素貯蔵材料に関しては,日本は基礎研究が極めて弱い状況にある。研究者の数も 少なく,質的にも欧米に対して劣っている状況にある。水素貯蔵材料の実用化が直近 でないとすれば,技術よりも基礎研究に力を入れた方が得策であるし,将来応用研究 を行なうにしても,基礎をしっかり学んだ人材を育てていかなければならない。こう いった危惧から,2007 年度に水素貯蔵材料先端基盤研究事業が開始された。 参加団体は,産業技術総合研究所と,文科省管轄の大学と団体。具体的な目標は設 定されていない。材料開発を目標とはせず,材料開発を担当する水素安全利用等基盤 技術開発の研究などで生じた問題に対して支援を行うことを想定している。また,こ のプロジェクトでは各団体のエース級の人材を集めて仮想的な組織を作り,各エース は自らの組織に所属しつつ,持ち帰りで事業に参加してもらうというように進めてい く方針だという注)。 (10) 経済産業省の「家庭用燃料電池システム周辺機器(補機類)の仕様リスト」 第13 回燃料電池実用化戦略研究会において報告された「定置用燃料電池市場化戦略検 討会報告書(2005 年 4 月 11 日)」の中で,家庭用燃料電池コージェネレーションシス テムの本格的普及に向けて国が取り組むべき課題として「燃料電池用の補機に必要とさ れるスペックの公表を行い,コストダウンにとって重要な課題である補機供給に新規企 業の参入を促すべき」と提言されている。 経済産業省はこの提言を受け,家庭用燃料電池システムの周辺機器(補機類)に求め られる仕様(スペック)について,システムメーカへのアンケート調査等の結果からと 注) 参考資料-XXX 参照
りまとめ,4 月 21 日に公表した。さらに,共通仕様リストは,その後の状況変化を踏ま えつつ,さらに共通化を推進するために,あらためて要求スペックを精査し,ほぼ一本 化された「家庭用燃料電池システム関連補機類の共通仕様リスト」として12 月 27 日に 公表した。 2008 年 1 月には,新しい共通仕様リストが発表された。これは,2005 年以降の状況 変化等を踏まえつつ,更に共通化を推進するために改めて要求スペックを精査し,ほぼ 一本化された「共通仕様」として公表されたものである。各補機について,簡単な説明 と要求スペック(2008 年 1 月時点の最新情報に基づいたもの)および目標コスト(これ は1 万台生産時の 1 台あたりのコスト)が記されている。 ここで,周辺機器に要求されるポイントは,以下の5 点であるとされている。 ① 低消費電力 ② 運転範囲(出力の範囲が100~20%程度まで広くとれること,低負荷時においても 流量制御等の性能が変動しないこと) ③ 長時間耐久性(最終目標として10 年程度あるいは 6∼7 万時間) ④ 環境性(低騒音,低振動等) ⑤ 低コスト(上記①∼④を維持しつつ低コスト化を追求) (11) NEDO 技術開発機構および経済産業省による燃料電池車に関するロードマップの策定注) NEDO 技術開発機構では,平成 17 年 6 月に,エネルギー分野のうち,燃料電池・水 素,バイオマスエネルギー,太陽光発電について,2020 年頃までを視野に入れ,技術ロー ドマップを策定した。 燃料電池・水素技術分野を巡る状況は刻一刻変化しているとの認識から,見直しを行 い,平成18 年 6 月には燃料電池・水素技術開発ロードマップ Ver.2 を作成した。図 3-4-4 に自動車用PEFC に関するロードマップを示す。 また経済産業省では,平成17 年 10 月に 2100 年までの長期的視野から地球的規模で 将来顕在化することが懸念される資源制約・環境制約をのり越えるために求められる技 術の姿を将来から逆算(バックキャスト)することによって,「技術戦略マップ∼超長 期的エネルギー技術ビジョン∼」を描き出している(図3-4-5,図 3-4-6)。 平成18 年 4 月,経済産業省は「技術戦略マップ 2006」を公表した。自動車関連では, 高出力スーパーキャパシターや二次電池の高性能・長寿命化などが対象となっている。
図 3-4-4 NEDO による PEFC(自動車用)の技術ロードマップ 出典:「2006 燃料電池・水素技術開発ロードマップ」NEDO
※点線は R&D 段階,実線は商用開始以降
図 3-4-5 燃料電池自動車関連の経済産業省の技術戦略マップ 出典:経済産業省HP より
※点線は R&D 段階,実線は商用開始以降 図 3-4-6 水素貯蔵技術および水素供給技術における経済産業省の技術戦略マップ 出典:経済産業省HP より (12) 経済産業省の固体高分子形燃料電池システム実証等研究 経済産業省の「固体高分子形燃料電池システム実証等研究」注)は,燃料供給インフラ を含めた燃料電池利用システムの実証等研究を支援する事業であり,平成14 年度から 3 年間の計画でスタートした。この事業では,燃料電池本体だけでなく,燃料供給インフ ラも含めて,実使用条件における技術的課題を抽出するとともに,環境特性,エネルギー 総合効率,燃料性状,安全性等に関するデータを取得し,得られた情報等を開発・普及 施策に反映させていくことを目的としている。平成 14 年度には 20 億円,平成 15 年 度には25 億円が投入された。 この事業は3 つの実証研究で構成されている(図 3-4-7)。
経済産業省 燃料電池自動車実証研究 実施者:財団法人日本自動車研究所 燃料電池自動車用水素供給設備実証研究 実施者:財団法人エンジニアリング振興協会 定置用燃料電池実証研究 実施者:財団法人新エネルギー財団
JHFCプロジェクト
図 3-4-7 固体高分子形燃料電池システム実証等研究の実施体制 出典:平成15 年度水素・燃料電池実証プロジェクト JHFC セミナー(2004 年 3 月)資料を基に作成 燃料電池自動車実証研究では,財団法人日本自動車研究所注)(JARI)を中心として, 平成14 年度から 17 年度にかけて,国内外の燃料電池車および国内 12 箇所の水素供給 ステーションでの走行試験を行った。なお,平成 16 年度には,愛知県で開催された万 国博覧会「愛・地球博」会場に2 箇所設置された水素ステーションを使い,会場間の移 動手段として燃料電池バス8 台による運行を行った。 燃料電池自動車用水素供給設備実証研究では,財団法人エンジニアリング振興協会 (ENAA)を中心として,水素供給ステーションの設置・運営および液体水素製造実証 研究を行った。この2 つの実証研究は,水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC プロ ジェクト:Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)として,共同で進め られた。 JHFC プロジェクトは当初平成 14 年度から平成 16 年度までの 3 ヶ年の予定であった が,1 年延長し平成 17 年度まで続けられた(詳細は 3-4-2 節(2):水素・燃料電池実 証プロジェクト参照)。平成 18 年度からは,「燃料電池システム等実証研究」(第 2 期JHFC プロジェクト)として引き継がれている。JHFC プロジェクトにおける FCV の実証走行試験の状況については後述する。 また,定置用燃料電池実証研究では,財団法人新エネルギー財団(NEF)を中心に, 平成14 年度から 16 年度まで定置用燃料電池コージェネレーションシステムの実証研究 が行われた。そして,平成17 年度からは,600 万円/台を上限として補助する「定置用 燃料電池大規模実証事業」へと移行し,日本全国で第1 期,第 2 期あわせて 480 台が導 入された。平成 18 年度は 450 万円/台を上限として補助が行われ,777 台が,平成 19 年度には350 万円/台を上限として 930 台が導入された。(詳細は 3-6-1 節参照) 注) 平成 14 年度は財団法人日本電動車両協会(JEVA)が実施主体となっていたが,平成 15 年 7 月 1 日 の財団法人日本自動車研究所(JARI)との統合化により平成 15 年度以降の実施主体は JARI となって いる。(13) 燃料電池関連の予算 平成19 年 12 月 24 日に公表された経済産業省平成 20 年度予算の概要注)等より,燃 料電池関連予算を抽出したものを平成19 年度予算と併せて表 3-4-8 に整理した。 定置用燃料電池大規模実証事業は予算を縮小して,継続して行われる。全体的な傾向 としては,平成19 年度とほぼ同程度の予算が組まれている。 また,平成20 年度から「水素製造・輸送・貯蔵システム等技術開発」「固体酸化物燃 料電池システム要素技術開発」「将来型燃料高度利用技術開発」が新規事業として計上 された。 表 3-4-8 平成 20 年度燃料電池関連予算(単位:億円) 平成19 年度 平成20 年度 伸び率 (%) 資源エネルギー関係 新エネルギーの導入促進 1,065 1,113 △ 4.5 (内) 燃料電池・水素に係る技術開発 ・導入促進等 301 289 ▼4.0 (内)水素貯蔵材料先端基盤研究事業 7.57 9.08 △19,9 (内)燃料電池先端科学研究委託費 9.96 9.00 ▼ 9.6 (内)水素先端科学基礎研究事業 16.65 17.50 △ 5.1 (内)水素安全利用基盤技術開発 22.53 − − (内)水素製造・輸送・貯蔵システム等 技術開発 − 17.00 (新規) 新規 (内)固体高分子形燃料電池 実用化戦略的技術開発 51.30 66.69 △30.0 (内)燃料電池システム等実証研究 18.00 13.00 ▼28.8 (内)定置用燃料電池大規模実証事業 34.20 27.11 ▼20.7 (内)水素社会構築共通基盤整備事業 25.50 14.00 ▼45.1 (内)セラミックリアクター開発 4.50 − − (内)固体酸化物形燃料電池システム 技術開発 15.30 − − (内)固体酸化物燃料電池システム 要素技術開発 − 13.50 (新規) 新規 (内)固体酸化物燃料電池実証研究 7.65 8.00 △ 4.6 (内)新利用形態燃料電池技術開発 3.40 2.50 ▼26.5 (内)将来型燃料高度利用研究開発 9.37 − − (内)将来型燃料高度利用技術開発 − 6.00 (新規) 新規 (内)次世代蓄電システム実用化 戦略的技術開発 49.00 53.00 △ 8.2 出典:経済産業省「平成20 年度資源エネルギー関係予算案の概要」(2007 年 12 月),総合科学技術 会議「第72 回総合科学技術会議配布資料 1-2『優先度判定等を実施した科学技術関係施策の平 20 年度予算案』」を基に作成