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(現在) 燃料電池の小型化

燃料電池の小型化 耐久・信頼性向上 耐久・信頼性向上 低温始動性向上 低温始動性向上 航続距離伸長 航続距離伸長 コスト低減 コスト低減

耐久・信頼性向上 耐久・信頼性向上

コスト低減 コスト低減

自動車会社プレゼン資料などからJARIまとめ

図 4-1-5  FCV普及に向けた技術課題 出所:2007年度JHFCセミナー資料

4-1-4 燃料電池システムの概要

図 4-1-6 に一般的な燃料電池システムの構成を示す。システムは,電池スタックなど

から構成される電池本体システム,燃料を改質し,供給量や加湿量などを制御する燃料 供給システム,空気供給量を制御する空気供給システム,電池温度を一定に保つための 熱管理システム,電池反応で生成される水の排出およびシステムでの再利用を行う水処 理システム,未利用燃料処理,インバータ,コンバータ等の直流・交流電力変換システ ム,排熱回収などから構成されている。全体は制御プログラムによってコントロールさ れ,ひとつの電源システムとして機能する。

制御システム  

電力変換  システム 

電池本体  システム 

(FCスタック)  

直流電力  空気 

(酸素) 

空気供給  システム 

燃料供給  システム 

(改質器)  

熱管理  システム 

水処理  システム 

給水  交流電力 

空気 

燃料 

水素 

(改質ガス)  

回収水 

熱  排熱回収 

温水,蒸気 

未利用燃料処理 

図 4-1-6  一般的な燃料電池システムの構成

4-1-5 燃料電池スタック

固体高分子形燃料電池スタックは,一般に図 4-1-7 に示すように,電解質である固体 高分子膜(水素イオン交換膜)と触媒を担持させたシート状の電極2枚で1つのセルを 構成する。実運転における 1 セル当たりの起電力は 0.6〜1.0V 程度であるため,300V 前後のモータに電気を供給するために,通常300〜500枚程度のセルを直列に接続する。

固体高分子膜と2枚の電極を一体化したものを膜・電極接合体(MEA)と呼び,これと セパレータ(バイポーラプレート)とを交互に配置したものがスタックである。

図 4-1-7  燃料電池スタックの構成例

前述のとおり,現状においては,耐久・信頼性の確保とともにコストの削減が重要な 課題となっているが,「燃料電池実用化戦略研究会」の「固体高分子形燃料電池/水素 エネルギー利用技術開発戦略」(以下「技術開発戦略」という)では,自動車用では,

スタックシステムで5,000円/kW,スタックベースで4,000円/kWという目標値が示 されている(表4-1-3参照)。NEDOのロードマップにおいても,2020〜2030 年の本 格普及期において年間100万台の生産台数に対して製造価格が約4,000円/kW未満と いう値が示されている(図4-1-1 参照)。一方定置用では目標とされるコストの水準は 自動車用に比べてそれほど厳しくない。「技術開発戦略」ではスタックの目標が8万円

/kW,改質器が2万円/kWとなっているが,NEDOのロードマップでは,2020〜2030 年の本格普及期において年間50万台の生産台数でシステム価格40万円/kW未満とし ている。ただし,商品化されつつある家庭用FCシステムにおいては,当初は量産効果 がそれほど見込めないため,コスト削減に向けたハードルは非常に高いと考えられる。

DOE では,自動車用のFC システムについて,現在の技術レベルを想定し,年間 50 万ユニットのFCシステムが生産された場合で,直接水素型FCシステムで約$100/kW と見積っている(表4-1-5)。この将来目標値は2010年では$45/kWであり,「技術 開発戦略」とほぼ一致する水準である。

一方で,2005年度におけるFC-Cubicへのインタビュー調査によると注),自動車メー カが目標とするスタックのコストは,内燃機関自動車のエンジンとトランスミッション のコストと同様になると考えると,$10〜15/kW となり,一般に言われている目標値よ りも低い水準にあるという(図4-1-8)。

注) 2005年度JARI「FCVに関する調査報告書」

表 4-1-5 自動車用直接水素型燃料電池システムのDOE目標値 単位 現状 2005 2010 エネルギー効率(@25%ピーク出力) 59 60 60 エネルギー効率(@ピーク出力) 50 50 50 出力密度(ネット)

水素貯蔵容器含まず 水素貯蔵容器含む

W/L W/L

400

500 150

650 220 比出力(ネット)

水素貯蔵容器含まず 水素貯蔵容器含む

W/kg W/kg

400

500 250

650 325 コスト(水素貯蔵容器含む)注) $/kW 200 125 45 負荷応答性(出力:10%→90%) 3 2 1 コールドスタートアップ(-20℃) 秒 120 60 30 コールドスタートアップ(20℃) 60 30 15 サバイバビリティ(survivability -20 -30 -40

エミッション Zero Zero Zero

耐久性 時間 1,000 4,000 5,000

注)年間50万ユニットが生産される場合を想定。

出典:DOE「FY2002 Progress Report for Hydrogen, Fuel Cells, and Infrastructure Technologies Program」200211

図 4-1-8 自動車メーカのスタックのコスト目標 出典:FCキュービック提供資料

自動車用は,定置用に比べて稼動時間で測った耐久性は厳しくないが,起動停止や急加 減速が不可避であり,利用されずに放置される時間も長く,利用環境も様々である。そ のため,こうした利用形態に対する耐久性も求められる。また,FCVが完全な実用車と なるためには,例えば乗用車の場合,従来車と同様に様々な用途や使用環境のもとで10

〜15年以上の耐久性・信頼性を確保する必要がある。そうした耐久性・信頼性を実証す るには,少なくとも 10 年以上の試験走行が必要と考えられるため,定置用も含め現状 における耐久性と信頼性の確保とその実証は,コストと並んで非常に大きな課題である。

また,耐久性を効率的に評価するための加速試験方法の確立も重要な課題となっている。

表 4-1-6  FCシステムの耐久性の目標値(延べ運転時間)

用 途 耐久性目標

乗用車 ・5,000時間以上

・起動停止3〜6万回/10年 バス,トラック ・1〜2万時間

定置用 ・40,000時間またはそれ以上

現在,FCV メーカでは,限定リース販売や実証走行プログラムにおいて実際の走行 データの蓄積が図られており,平成17年度注)や平成19年度の自動車メーカに対するイ ンタビュー調査からは,単純な5,000時間といった評価指標ではなく,10年10万キロ あるいは15年20万キロといった目標水準を達成するための独自の耐久性評価方法が用 いられていることがうかがえる。

また,実用化に向けた課題として氷点下での始動性の確保が挙げられていた。FCVに おいても現状の内燃機関自動車と同等の性能を確保するためには,氷点下35〜40℃にお ける始動を可能にする必要がある。これは主にFCで生成される純水の凍結に起因する 問題である。しかし,2003年10月,ホンダは氷点下20℃での始動が可能な燃料電池ス タック「Honda FC STACK」を開発したと発表した。この「Honda FC STACK」では,

水素イオン伝導性に優れたアロマティック電解質膜と導電性,熱伝導性に優れた金属プ レスセパレータを採用することにより氷点下での始動を可能にしたという。「Honda FC STACK」を搭載した「FCX」は,2004年11月に米ニューヨーク州に販売され,2005 年1月には北海道庁に納車されている。その後,他のFCVメーカ各社も−30℃〜25℃

での始動性を確保したと公表しており,当面の実用化において,氷点下での始動性は,

大きな阻害要因とはならなくなったという認識を持っている。

スタックシステムの性能を向上の推移の一例として,ホンダの開発したスタックの出 力密度の推移を図4-1-9に示す。

ホンダの開発したFC スタックの特徴は,世界で初めて金属プレスセパレータを使っ た独自の構造と,アロマティック電解質を採用したことである。アロマティック電解質

注) 2005年度JARI「FCVに関する調査報告書」

は,耐久性や低温での発電性能に特徴があり,金属セパレータは,薄くコンパクトであ ることに加え,熱伝導性が高く,低温でも暖機特性に優れているという特長があるとい う。また,高温耐久性についても95℃での作動を実現しており,この結果,スタックの 作動範囲は−20℃から95℃まで拡大し,この広い温度領域で耐久性を向上させていると 発表している注)

FC実用化戦略研究会 2010年目標

図 4-1-9  ホンダFCスタックの出力密度 出所:2007年度JHFCセミナー資料

主に平成 17 年度および平成 19 年度の訪問インタビュー調査結果より,主要自動車 メーカにおけるFCスタックの開発状況および課題を表4-1-7に整理する。

表 4-1-7  自動車メーカにおけるFCスタックの開発状況 自動車

メーカ 開発状況および課題

トヨタ

・ 自社製スタックの中でMEAも自社製が基本。膜,触媒,GDL材料は購入して も,どう設計してどう製造するか,セパレータを含めたセルモジュールとして どう最適化するかは自社で行うべきこと。

・ 電解質膜については,亀裂によるクロスリークはある程度改善が図られてきた が,触媒・触媒担体の劣化は更なる検討が必要。

・ 触媒・触媒担体の劣化に対する 15 年の耐久性は,今後の白金量の低減の方向 性と合わせて考えると課題はまだ多い。

・ いずれにしても最後に残る課題は上記の課題の解決と低コスト化の両立であ る。コストに関しても,何が一番ネックで,何が量産化で下がるのか,下がり にくい部分は何かといった分析は進んでいる。

日産

・ 主要課題は,コスト,耐久・信頼性,出力密度,低温起動の4つである。

・ 耐久性の評価モードについては,FCCJにおいて,業界で統一された自動車用 MEAの評価方法(起動停止,負荷変動,低負荷時の高電圧の3モード)が提 示され,こうしたモードでの劣化現象が解明されてきている。

・ 個々の劣化プロセスに対する取組みの結果,耐久性は着実に進歩している。通 常使用であれば5年以上の耐久性が期待できるところまで来ている。

・ 低温始動については,長時間放置後の起動に取り組んでいる。まずは氷点下20

〜10℃程度で確実に始動できることを初期目標としている。低温始動性がFCV の市場導入にボトルネックになる可能性はまずないと考えている。

ホンダ

・ 「Honda FCスタック」の開発コンセプトは,①小型・高出力化,②量産ポテ ンシャルとして将来的な低コスト化の方向性が示せること,③環境適合性の向 上,の3つ。その鍵となる技術が金属セパレータとアロマティック電解質膜(芳 香族系ハイドロカーボン膜)。

・ 今後の目標は,車両への搭載性を向上させ,自由度のある車載ができるように すること。しかし,スタック小型化はガスの流れを悪くするなどの問題があり,

そうした弊害の解決と,耐久・信頼性の向上,材料を安くしながら部品点数を 減らしてコスト低減を図ることなどに取り組んでいく。

・ 耐久性については,起動停止などにおいてセル内で何が起きているのかが把握 できてきたが,まだ完全な把握に至っておらず,取り組むべき部分も残ってい る。まだ時間が必要である。また,当社は,膜,セパレータなど他社と異なる 部材を用いているため,確認を自らが行っていく必要がある。

・ スタックの品質管理も大きな課題である。品質保証と耐久性の向上が重要。部 品点数を考えると,6ナイン(99.9999%)以上の品質保証が必要とされる。

出典:平成19年度訪問インタビュー調査,および 2005年度JARI「FCVに関する調査報告書」より作

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