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コラム 口蹄疫とは 口蹄疫とは 口蹄疫ウイルスにより 牛 豚等の偶蹄類が感染する伝染病です O 型や A 型等の様々なタイプ (7 種類 ) がありますが すべて同様の症状を示します すいほう発症すると 牛 豚等の口や蹄に水疱 ( 水ぶくれ ) 等の症状を示し 産業動物の生産性 を低下させます 口蹄

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(我が国では10年ぶりに口蹄疫が発生し、甚大な被害) 平成 22(2010)年 4 月 20 日、10 年ぶりに口蹄疫の発生が宮崎県で確認されました(図 1 − 43)。発生農場は 292 農場、発生自治体数は 11 市町、家畜への被害は牛 69,454 頭、 豚 227,949 頭、その他(山羊、羊、イノシシ、水牛等)405 頭となり、甚大な被害が出 ました。また、本病を封じ込めるため、県外からの応援獣医師延べ 2 万 5 千人、自衛隊 員 1 万 9 千人、機動隊等警察関係者 2 万 3 千人が派遣されました。 宮崎県での経済的損失は、県の試算によると、5 年間で 2,350 億円となり、畜産業だけ でなく、地域経済全体に大きな影響が及ぶものとなっています。

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口蹄疫の発生とその対策

図1−43 口蹄疫発生場所

資料:農林水産省作成 日向市 都農町 木城町 川南町 高鍋町 新富町 国富町 宮崎市 えびの市 小林市

鹿児島県

熊本県

【西都市尾八重】 6 月 13 日に制限解除済 【国富 町地域】 7 月 8 日に制限解除済 【えびの市地域】 6 月 4 日に制限解除済 【宮崎市地域】 7 月 27 日に制限解除済 【都 城 市地域】 7 月 2 日に制限解除済 南さつま 島原湾 島原 雲仙岳 南島原 移動制限区域 (発生地点∼半径 10km) 20km ワクチン接種地域 搬出制限区域 (半径 10km∼20km) 7月16日一部制限解除 7月18日 全制限解除 【川南町地域】 ワクチン接種区域内 西都市 【日向市地域】 7月3日に制限解除済 ひゅうが し さい と し さい くに みやこのじょう し とみちょう みなみちょう かわ みや ざき し と し お は え

宮崎県

【西都市地域】 7 月 6 日に制限解除済

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第1章

(口蹄疫発生を受けた関係者の対応) 口蹄疫の発生を受けて、政府は発生が確認された 4 月 20 日に、農林水産大臣を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を設 置しました。まん延防止対策として、発生確認後直ちに発生 農場の家畜の殺処分を実施するとともに、発生確認農家を中 心に半径 10㎞以内を生きた牛・豚等の家畜やその死体等の 移動を禁止する区域(移動制限区域)に、また同 10 〜 20 ㎞以内を生きた牛・豚等の家畜を区域外へ搬出させることを 禁止する区域(搬出制限区域)に設定し、消毒等を徹底しま した(図 1 − 44)。 5 月 17 日には本部長を内閣総理大臣とする政府の口蹄疫 対策本部及び農林水産副大臣を本部長とする現地対策本部 を設置し、地元の要望等を十分受け止めて国との連絡調整を 迅速・的確に行うこととしました。5 月 19 日には、移動制 限区域内のすべての牛・豚の殺処分を前提としたワクチン接 種を開始しました。 5 月 28 日には、「口蹄疫対策特別措置法」が成立、6 月 4 日に施行されました。この法律では、一般車両等の消毒作業、 患畜・疑似患畜以外の家畜の予防的処分、死体の焼却または 埋却の支援、家畜の生産者等の経営再建等のための措置等が 規定されました。 ワクチン接種頭数は 87,094 頭となり、6 月 24 日には疑 似患畜の殺処分・と体の埋却が完了しました。これらの対応 により、7 月 4 日以降、口蹄疫の発生は確認されなくなり、 7 月 27 日には、宮崎県内すべての家畜の移動制限区域が解 除されました。8 月 9 日、県内で飼育の牛・豚約 95 万頭全 頭に異常がないことを確認し、8 月 26 日には、堆た い ひ肥等汚染物品の処理が完了しました。 8 月 27 日、宮崎県知事が終息宣言し、8 月 29 日から順次家畜の競りが再開されました。 農林水産省は、OIE への我が国の清浄ステータスの認定申請のため、宮崎県の牛飼養農

コラム  口蹄疫とは

口蹄疫とは、口蹄疫ウイルスにより、牛・豚等の偶蹄類が感染する伝染病です。O 型や A 型等の様々なタイプ(7 種類)がありますが、すべて同様の症状を示します。 発症すると、牛・豚等の口や蹄に水す い ほ う疱(水ぶくれ)等の症状を示し、産業動物の生産性 を低下させます。口蹄疫については、致死率は成畜で数%ですが、感染力・伝播力が強く、 有効な治療法がないこと等から、家畜の感染症に関する国際機関 である国際獣疫事務局(OIE)では、最も警戒する伝染病の一つ とされています。 我が国においても、「家畜伝染病予防法」で法定伝染病に指定 され、患畜・疑似患畜は殺処分が義務付けられています。 感染畜の肉等が市場に出回ることはありませんが、感染畜の肉 や牛乳を摂取しても人体には影響はありません。 口蹄疫ウイルス 畜舎の消毒作業 発生農場の消毒作業 埋却場への消石灰の散布作業 車両への消毒液の噴霧作業

(3)

場(150 戸)を対象として 9 月 6 日よりサーベイランス(臨床検査及び血清抗体検査) を実施しました。その結果、すべて陰性であることを確認するとともに、最終発生例の殺 処分から 3 か月が経過し、OIE が定める清浄国に復帰するための要件を満たしたことから、 10 月 6 日に OIE へステータス申請しました。平成 23(2011)年 2 月 5 日には、正式に 清浄国に認定され、農林水産省では、我が国から牛肉等の輸入を停止している国に対して、 輸入再開に向けた協議を推進しています。 (口蹄疫発生に伴う支援策等の実施) 口蹄疫の発生に伴う畜産農家の経済的な損失や、子牛・子豚等の滞留等の問題に対応す るため、経営再開に向けた資金対策、家畜市場の閉鎖等に伴う出荷遅延対策、家畜共済事 業における対応等、各種支援策を講じました。 また、「口蹄疫特別措置法」に基づき、10 月、口蹄疫対策本部において、復興基金の創 設を柱とする地域支援を正式に決定しました。具体的には、宮崎県が地方債を発行し、1 千億円規模の基金を設置し、その運用益を活用して県内の市町村支援や観光振興、商工業 者支援等の事業を実施することが認められたほか、宮崎県等南九州を対象に畜産再生のた めに必要な事業を実施できるよう、独立行政法人農畜産業振興機構に基金が設置されまし た。 (口蹄疫発生の原因究明・検証結果) 農林水産省は、宮崎県で発生した口蹄疫に関する防疫対応について、その問題点を検 証するとともに、今後の防疫対応の改善方向を検討するため、平成 22(2010)年 7 月、 第三者からなる口蹄疫対策検証委員会を発足させ、17 回にわたる議論を踏まえ、同年 11 月 24 日、口蹄疫対策検証委員会報告書を取りまとめました。

コラム  口蹄疫発生後、各方面からの善意の寄付

口蹄疫発生後、個人や企業、各種団体等からの善意の寄付が多数寄せられました。宮崎 県口蹄疫被害義援金には、平成 22(2010)年 12 月末までに、振込件数 3 万 5,670 件で 35 億 8,426 万 7,044 円が寄せられ、ふるさと応援寄付金(ふるさと納税)には、平成 23 (2011)年 2 月末までに、入金件数 4,547 件で 1 億 5,257 万 9,691 円が寄せられています。 これら寄付金は、口蹄疫で被害を受けた畜産農家に分配されるとともに、地域復興対策事 業に活用されるなど、現地関係者から大変感謝されています。

図1−44 口蹄疫が発生した場合の防疫措置

資料:農林水産省作成 1.迅速な殺処分 2.死体及び汚染物品は発生地において焼却、埋却または消毒 3.家畜及びその死体等の移動制限   発生地を中心とした半径 10 ㎞………移動制限区域   半径10∼20 ㎞………搬出制限区域 4.家畜市場等の開催の制限 5.殺処分と移動制限のみではまん延防止が困難であり、早期の清浄化を図るうえで必要がある場合は、  ワクチンの使用を検討

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第1章

また、発生にかかる感染経路の調査等を行い、今後の防疫対策に資するために、専門家 からなる口蹄疫疫学調査チームにおいて、「口蹄疫の疫学調査にかかる中間取りまとめ」 を行いました。 口蹄疫対策検証委員会は、疫学調査チームの分析等も参考にしつつ、国内、畜産農家へ の侵入防止、発生前後の初動対応、殺処分、埋却、ワクチン接種の進め方等で、国、県等 の役割分担等の検証を行い、報告書を公表しています。検証の結果として、最も重要なの は「発生の予防」、「早期の発見・通報」、「円滑な初動対応」であり、関係者がこの点に力 を傾注する必要があることを確認しました。 「発生の予防」に関する問題点としては、国際空港・海港においては靴底消毒等の検疫 措置を実施していたものの、豪州やニュージーランドのような徹底した入国管理が実施さ れていなかったこと、畜産農家において飼養衛生管理基準が守られていたとは言い難いこ と等があげられています。 「早期の発見・通報」に関しては、宮崎県では家畜防疫員 1 人当たり管理頭数・畜産農 家戸数が他県に比べ格段に多く、家畜防疫員の負担が大きいことから、異常畜の発見を見 逃したり、通報が遅れたりしたことがあげられています。 「円滑な初動対応」に関しては、10 年前の口蹄疫発生を踏まえて作成された防疫体制が 十分に機能しなかったことに加え、国と県・市町村等の役割分担が明確でなく、連携が不 足し、初動対応が遅れたことがあげられています。また、診断確定後 24 時間以内の殺処分、 72 時間以内の埋却ができなかったことが感染を拡大させたこと、殺処分・埋却等の作業 が円滑に進まなかったこと等が問題点としてあげられています。さらに、豚への感染が起 こり、急激に発生件数が増加し、結果的に殺処分決定のタイミングが遅かったことも指摘 されました。 その他の問題点として、宮崎県所有の種しゅ雄ゆうぎゅう牛の移動等の特例措置が現場に多くの混乱 をもたらしたこと、ワクチン接種・殺処分について経済的な補償を含めた法的裏付けがな く、決定、実行に時間を要したこと、また、畜産の大規模化に見合う防疫体制が必ずしも とられていなかったこと等があげられています。 (家畜防疫体制の強化に向けた今後の改善方策) 家畜防疫は、畜産の振興及び畜産物の安定供給を図るうえで重要な役割を担っています が、近年、アジア諸国において、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが続発しているなか で、その重要性は著しく高まっています。 今回の口蹄疫対策検証委員会の報告書の内容や、平成 22(2010)年 11 月以降の高病 原性鳥インフルエンザの発生状況等を踏まえて、家畜伝染病の発生の予防、早期の通報、 迅速な初動等に重点を置いて家畜防疫体制を強化するため、「家畜伝染病予防法の一部を 改正する法律」が平成 23(2011)年 3 月 29 日に成立しました。 その主な内容については、 (1) 国と都道府県等との役割分担について、防疫方針の策定及び改定は国が責任をもって 行い、それに基づく具体的措置は都道府県が中心となって行うこと、都道府県の具体 的措置の実施に関して国が援助を行うことを明確化すること (2) 国の定める防疫指針について、最新の科学的知見や国際的動向を踏まえて、少なくと も 3 年ごとに再検討を加えること (3) 我が国へのウイルスの侵入防止措置について、空港や港において、海外からの入国者

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に対し、質問を行ったり、その携帯品の検査・消毒を行うことができるようにすると ともに、航空会社、空港等に対して協力を求めることができること (4) 畜産農家におけるウイルス侵入防止措置について、家畜の所有者に対し飼養衛生管理 の状況等についての定期的な報告を義務付けるとともに、畜舎等への消毒設備の設置 や、人や車両の出入りに際しての消毒を義務付けること (5) 発生時に備えた準備について、家畜の所有者が遵守すべき飼養衛生管理基準のなかに 埋却地の確保についても規定するとともに、都道府県知事は、家畜の焼却又は埋却が 的確かつ迅速に実施されるようにするため、埋却地の確保に関する情報の提供その他 の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと (6) 患畜の早期の発見・通報について、国が定める一定の症状を呈している家畜を発見し た獣医師または所有者に対し、都道府県知事への通報を義務付けること (7) 国の財政支援について、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等の患畜等の所有者に対 しては特別手当金を交付し、通常の手当金と合わせて評価額全額の交付を行うことと するとともに、家畜伝染病の発生またはまん延を防止するために必要な措置を講じな かった者に対しては手当金の全部または一部を交付せず、または返還させること (8) 口蹄疫の急速かつ広範囲のまん延を防止するためにやむを得ないときは、患畜及び疑 似患畜以外の家畜の殺処分を行えるものとし、その場合、国は補償しなければならな いこと 等となっています。 (産業動物獣医師、公務員獣医師の確保が重要) 牛・豚等の診療を行う産業動物獣医師は、健康な家畜の生産を支え、安全な畜産物の安 定供給に重要な役割を担っています。また、都道府県の家畜保健衛生所等に勤務する家畜 衛生分野の公務員獣医師は、産業動物獣医師と連携して、日頃から家畜伝染病の予防のた め農家指導等を行うほか、家畜伝染病発生時には防疫対策の中心となって活躍しています。 獣医大学卒業者の就職状況をみると、平成 16(2004)年には、約 1 千人の新規獣医師 のうち半数以上が犬や猫等の小動物診療分野に就職する一方、産業動物診療分野や公務員 分野への就職者は 20%でした(図 1 − 45)。しかし、近年は、小動物診療分野への就職 が減少し、産業動物・公務員分野では増える傾向にあります。 平成 18(2006)年度に開催した「獣医師の需給に関する検討会」においては、産業動 物獣医師の数は、診療回数の増減等の前提条件により変化するものの、減少すると見通さ れていました。この原因として、産業動物分野の診療に関して、獣医学教育でその意義や 魅力について知る機会が少ないこと等が指摘されています。 農林水産省では、獣医学生を対象とした産業動物診療の現場での実習研修や、診療獣医 師の卒後研修等への支援を行うとともに、平成 22(2010)年 8 月、産業動物獣医師等の 確保対策の強化や獣医療ニーズを踏まえた獣医師の技術水準の高位平準化等を内容とする 「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」を公表しました。現在、都道府県 では、この基本方針に即して、地域で必要となる獣医師の確保等に向けた具体的な計画を 策定しています。

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第1章

(宮崎県の畜産農家等が経営再開の動き) 宮崎県が平成 22(2010)年 9 月に県内畜産農家を対象に行った調査によると、畜産経 営を再開したいと考えている農家 81%、畜産以外の農業を始めたい農家 6%、農業をや めたい農家 3%となっています。畜産経営再開の意向を示した農家のうち、「すぐに再開」 17%、「様子を見ながら再開」81%となっています。 口蹄疫被害が多発した宮崎県東部の川かわみなみ南ちょう町等では、和牛農家が同年 11 月 1 日から、 家畜市場の競りで購入し中間保有施設に預けていた子牛等をトラックで農場へ運び、経営 を再開しました。以降、順次経営を再開する農家が出てきています。

図1−45 獣医大学卒業者の就職状況の推移

0 200 400 600 人 449 小動物診療 159 84 136 112 98 その他 公務員 未定 産業動物診療 民間・研究所 平成 6 年度 (1994) (1998)10 (2002)14 (2004)16 (2006)18 (2008)20 資料:農林水産省「家畜衛生週報」  注: 1) 小動物診療は、ペット診療(個人開業、会社経営等) 2) 公務員は、国、都道府県、市町村 3) 産業動物診療は、農協、共済、会社、個人開業等 4) 民間・研究は、製薬会社、飼料会社、研究所等 宮崎県新しん富とみ町ちょう(児こ湯ゆ郡ぐん)の子牛競り市再開 の様子(平成 22(2010)年 9 月 30 日)

参照

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