'85. 9. 1(105 ∼110) (17)105
原
著
皮 膚 組 織 に 及 ぼ す 施 灸 の 影 響
-施灸による皮膚の温度変化-會 澤
重 勝*
大
槻
彰
宇佐美
研一
坂 本
浩 二
要 旨 灸法 の 作 用 機 序 解 明 の 一 手法 として, マ ウ ス を 用 い て 期 門 穴 相 当 当部 位 に 各種 重 量 の 艾 柱 で, 1壮 及 び 連 続 施 灸 を行 い施 灸 部 の 表 皮 上, 真 皮 下 の 温 度 変 化 を測 定 し た。 そ の 結 果1壮 施 灸 で は, 艾 柱 重 量 増 加 に よ る最 高 温 度 の 上 昇, 40℃ 以 上 の 持 続 時 間, 施 灸 前 温 度+5℃ ま で の 復 旧時 間 の延 長 は0.5∼2mgで 著 明 で あ っ た 。 連 続 施 灸 で は, 艾 柱 重 量 増 加 に よ る最 高 温 度 の 上 昇 は1∼2mgで 著 明 で あ り, 壮 数 増 加 に よ る上 昇 は表 皮 上 で は4壮 ま で, 真 皮 下 で は6壮 ま で が 著 明 で 以 後 は 一 定 値 に 近 づ い た。 持 続 時 間 は艾 柱 重 量 及 び 壮 数 増 加 に 伴 っ て延 長 し た 。 復 旧時 間 は艾 柱 重 量 増 加 に伴 い 延 長 した が, 壮 数 増 加 に よ る延 長 は 軽 度 で あ っ た 。 I 緒 言 施 灸 の 生 体 に 及 ぼ す 作 用 は 燃 焼 に よ る 温 熱 刺 激 に基 づ く作 用 を主 と し, 艾 成 分 の 生 体 に 及 ぼ す 影 響1)も考 え られ て いる。温 熱 作 用 を定 量 的 に捕 え る 試 み は, 堅 田, 原 田2)を初 め と して幾 つ か の 報 告3) が あ る。 堅 田 らは種 々 の 大 き さの 艾 柱 に つ い て, 空 気 中, 石 綿 板 上, ウサ ギ 腹 壁 上 な ど種 々 の 条件 で艾 柱 燃 焼 時 の 温 度 上 昇 につ い て 検 索 し, 芹 沢4)は 石 綿 板 上 で 艾 の 品 質 の 違 いや, 湿度, 艾 柱 の 捻 り な どの 変 化 に よ る艾 柱 燃 焼 時 の 温 度 変 化 に つ い て 報 告 して い る。 また, 堀 越5)や代 田6)らは ヒ ト前 腕 部 の施 灸 部 位 に お け る温 度 上 昇 を熱 電 対 を用 い て 検 討 して い る。 今 回 我 々 は生 体 上 に お け る艾 柱 の 燃 焼 温 度 を よ り客 観 的 に 観 察 す る 目的 で, マ ウ ス を用 い て1壮 及 び連 続3壮, 20壮 施 灸 を行 い施 灸 部 の 表 皮 上, 真 皮 下 で の 温 度 を同 時 に 測 定 し, 興 味 あ る結 果 を得 た の で 報 告 す る。 II 実 験 動 物 及 び 実験 方 法 1. 実 験 動 物 ddY系 雄 性 マ ウ ス(5週 令)を1週 間 予 備 飼 育 後 使 用 した 。 2. 実 験 方 法 1)施 灸 方 法:艾 は極 上 散 艾(釜 屋 鶴 印)を 用 い 期 門 穴 相 当部 位 に施 灸 を行 っ た 。 施 灸部 は 毛 刈 り を し, ペ ン トバ ル ビ ター ル麻 酔 下 で施 灸 を行 っ た 。 艾 柱 重 量 は0.5, 1, 2, 5mgと し 各重 量 で1壮 及 び 連 続3壮, 20壮 施 灸 を行 い, ま た特 に 大 きな 施 灸 例 と して10mgで1壮 施 灸 を 行 った 。各 艾 柱 は 形 状, 硬 さ を一 定 とす る ため 簡 易 艾 柱 成 型 器7)を用 い て 作 成 し た。 また 連 続 施 灸 は1壮 が 燃 え尽 きた 直 後 に灰 を払 い 次 の 艾 柱 を立 て 点 火 し た。 2)温 度 測 定:素 子 に よ る 吸 熱 の 影 響 を極 力避 け る ため 太 さ50μのCA熱 電 対(理 化 工 業ST-50)を *Shigekatsu AIZAWA東 京 鍼 灸 柔 整 専 門 学 校共 同 研 究 者:Akira OHTSUKI, Kenichi USAMI, Koji SAKAMOTO昭 和 大 学 医 学 部 第 一 薬 理 学 教 室
使 用 した 。 測 定 部 位 は 期 門 穴相 当部 位 の 表 皮 上 及 び 真 皮 下 と し, 表 皮上 で は 艾 柱 の 直 下 に 熱 電 対 先 端 を露 出 し固 定 した 。 真 皮 下 で は施 灸部 より10mm 下 方 を切 開 剥 離 し, 施 灸 部 直 下 に 熱 電 対 先端 が 届 くよ うに挿 入 した。 熱 電 対 の 出 力 は 温 度 モ ジュ ー ル 付 ペ ン レ コー ダー(理 化 電 機R-40)に 接 続 し経 時 的 に 記録 した 。(写 真1, 図1) 写 真1 1壮 施 灸 の 温 度 曲 線 の 一 例 20壮 連 続 施 灸 の 温 度 曲 線 の 一 例 図1 2mg 1壮, 20壮 施 灸 時 の 温 度 曲 線 3) 温 度 曲 線 の 解 析 施 灸 に よ る熱 刺 激 を定 量 的 に 把 握 す る た め1壮 及 び連 続 施 灸 につ い て ペ ン レ コー ダー で 記 録 した 温 度 曲 線 か ら最 高 ・最 低 温 度, 持 続 時 間, 復 旧時 間 を 計 測 し検 討 した 。 (1)最高 温 度:艾 柱 の 燃 焼 に よ り施 灸 部 が 加 熱 さ れ た最 も高 い温 度 と した。 (2)最低 温 度:連 続 施 灸 時 に施 灸 と施 灸 の 間 で温 度 が 一 番 下 降 し た時 の 温 度 と した 。 (3)持続 時 間:予 備 実 験 に よ り ヒ トが 施 灸 時 熱 感 を得 る 温 度 は40℃ 前 後 で あ っ た の で 温 度 曲 線 上40 ℃ 以 上 の 時 間 と した 。 (4)復旧 時 間:最 高 温 度 記 録 時(連 続 施 灸 で は 最 終 壮 の)か ら温 度 が 下 降 し, 施 灸 前 温 度 よ り5℃ 高 い 温 度 に 至 る まで の 時 間 と した 。 なお, 図 示 し た実 験 結 果 は, 平均 と標 準 偏 差 で 表 わ し, t検 定 に よ る 有 意 差 検 定 を行 っ た 。 III 結 果 1. 1壮 施 灸 1) 最 高 温 度:艾 柱 重 量0.5∼10mgの 増 加 に 伴 い 表 皮 上 で57.4∼125.9℃, 真 皮 下 で33.7∼61.3℃ 上 昇 し, 表 皮 上 で 有 意 に 高 い値 を示 した 。 上 昇 は2 mgま でが 著 明 で以 後 の 上 昇 は 鈍 化 した 。 2) 持 続 時 間:艾 重 量 増 加 に 伴 い表 皮 上 では6.35 ∼41 .0秒, 真皮下 では0.13∼31.4秒 の延 長 を示 し 2mgを 除 き表 皮 上 で 有 意 に 長 か っ た。表 皮 上, 真 皮 下 共 に0.5∼1mgの 差 は 少 な く, 1∼2mgの 間 で の 延 長 が 著 明 で あ っ た 。 3) 復 旧時 間:艾 柱 重 量 の 増 加 に ほ ぼ 比例 して表 皮 上 で は7.60∼49.1秒, 真 皮 下 で は5.12∼44.7秒 図2 1壮 施 灸 時 の 最 高 温 度, 持 続 時 間, 復 旧 時 間 ★ は 前 者 に 比 べP<0.01で 有 意 ☆ は 表 皮 上 と真 皮 下 の 間 でP<0.01で 有 意
'85. 9. 1 會 澤 (19)107 に延 長 し た。 表 皮 上 で は真 皮 下 よ り時 間 が 長 く1, 10mgで は 有 意 差 を認 め た。(図2) 2. 連 続 施 灸 1) 最 高 温 度:表 皮 下, 真 皮 下 共 に1壮 で は 低 く 壮 を重 ね るに 従 っ て 上 昇 し, 表 皮 上 で は5壮, 真 皮 下 で は7壮 以 後 は 一 定 値 に近 づ い た。0.5mgと 1mgの 間 に は 表 皮 上, 真 皮 下 共 に 差 は 認 め られ ず, 真 皮 下 の2mgと5mgの 差 も僅 か で あ っ た 。 20壮 で の最 高 温 度 は 表 皮 上 で は0.5, 1mgで100 ℃, 2mgで150℃, 5mgで240℃ とな り, 真 皮 下 で は0.5, 1mgで45℃, 2mgで63℃, 5mgで70℃ とな り表 皮上 に 比 べ 有 意 に低 か っ た 。 2) 最 低 温 度:最 高 温 度 と 同様 に1壮 は 低 く壮 を 重 ね る に従 っ て 上 昇 した 。 表 皮 上, 真 皮 下 共 に6 ∼7壮 で一 定 値 に近 づ い た。0.5mgと1mgの 差 は 僅 か で, 真 皮 下 で は2mgと5mgの 差 も表 皮 上 に 比 べ 少 な か っ た。20壮 で の 温 度 は 表 皮 上 で は1 mgで46℃, 2mgで60℃, 5mgで72℃ と な り, 真 皮 下 で は1mgで40℃, 2mgで52℃, 5mgで 55℃ とな り表 皮 上 に比 べ 低 か っ た 。(図3) 20壮連続施灸 表皮上 最高 ・最低温度 20壮連続施 灸 真 皮下 最高 ・最低温度 図3 20壮 連続 施灸 時の 最 高温度, 最低 温 度 3) 持 続 時 間:艾 柱 重 量0.5∼5mgの 増 加 に 伴 っ て 表 皮 上, 真 皮 下 共 に延 長 した 。 表 皮 上 で は3壮 で25.3秒 が91.1秒 に, 20壮 で は196秒 が521秒 に, 真 皮 下 で は3壮 で5.80秒 が51.7秒 に, 20壮 で は119 秒 が511秒 に 延 長 した 。 表 皮 上, 真 皮 下 共 に1mg と2mgの 間 で 著 明 に延 長 し た 。 表 皮 上 で は 真 皮 下 よ り持 続 時 間 が 長 く, 0.5mg, 1mgで は 有 意 差 を認 め た 。(図4) 持 続 時 間 持続時 間の壮数比 図4 3, 20壮 施灸 時 の持続 時 間 ★ は前者 に比べP<0.01で 有 意 ☆は 表皮 上 と真皮 下 の間 でP<0.01で 有意 4)復 旧 時 間:表 皮 上, 真 皮 下 共 に艾 柱 重 量 の 増 加 に伴 っ て 延 長 した 。 表 皮 上 で は3壮 で20.8秒 が 62.5秒 に, 20壮 で35.2秒 が117秒 に, 真 皮 下 で は3 壮 で17.4秒 が55.7秒 に, 20壮 で30.8秒 が108秒 に 延 長 した 。 表 皮 上 で は 真 皮 下 よ り復 旧 時 間 が 長 く 3壮 で は1mgで20壮 で は 全 て の 重 量 で有 意 差 を 認 め た 。(図5) 復 旧 時 間 復旧時間の壮数比 図5 3, 20壮 施 灸 時 の 復 旧 時 間 ★ は 前 者 に 比 べP<0.01で 有 意 ☆ は 表 皮 上 と真 皮 下 の 間 でP<0.01で 有 意
IV 考 察 施 灸 に よ る生 体 上 で の 温 度 変 化 に つ い て は 代 田 が ヒ ト前 腕 部 に お い て種 々 の 艾 柱 で60∼140℃ の 温 度 上 昇 を, また 渡 辺 らは ラ ッ トを 用 い て2∼3.6 mgの 艾 柱 で58∼62.3℃ の 温 度 上 昇 を報 告 して い る。 しか し艾 柱 重 量 増 加 に 伴 う最高 温 度 の 変 化 に つ いて は報 告 が 無 く, 更 に動 物 実 験 に お い て も皮 膚 表 面 の み で 皮下 の 温 度 を 測定 し た もの は 少 な い 。 今 回 我 々 は生 体 上 に お け る施 灸 時 の 温 度 変 化 に つ い て よ り客 観 的 に検 索 す る た め マ ウ ス を 用 い ペ ン トバ ル ビ ター ル麻 酔 下 で種 々検 討 した 。 一般 に 艾 柱 の 燃 焼 に よ り発生 す る熱 量 は艾 柱 重 量 に 比 例 し, 1壮 施 灸 時 の 最 高 温 度 もこ れ に 比 例 す る と考 え られ る 。 本 実 験 条件 の1壮 施 灸 で は 艾 柱 重 量0.5∼2mgと2mg以 上 で は 異 っ た変 化 を 示 した 。 即 ち0.5∼2mgで は 艾 柱 重 量 の 増 加 に 伴 い最 高 温 度 の 上 昇 が 表 皮 上, 真 皮 下 共 に 認 め られ た が, 2mg以 上 で は温 度上 昇 は 表 皮 上 で 認め られ, 真 皮 下 で は ほ とん ど認 め られ な か った 。 表 皮上 で の 温 度 上 昇 は 艾 柱 燃 焼 に よ り生 じ る熱 量 と, 温 度 上 昇 に 伴 い 増 加 す る 周 囲 へ の 放 散 熱 量 に よ り決 定 さ れ, 真 皮 下 で は更 に 熱 刺 激 に よ る血 流 増 加 に 伴 う熱移 動 の 増 加 と局 所 に 生 じる浸 出 な ど に よ る 熱 容 量 の 増 大 が 加 わ り表 皮上 よ り低 くな る と考 え ら れ る 。艾 柱 が 小 さな2mg程 度 ま で は真 皮 下 の 反 応 が 十 分 発現 しな い ため 温 度 上 昇 が 認 め られ る が, よ り大 きな 艾 柱 に よ る施 灸 で は 上 記 機 転 が 発現 し 温 度 の上 昇 が 抑 制 され る もの と考 え られ る。 組 織 変 化 につ い て は 現 在 検 索 中 で あ るが, 真 皮 下 の 温 度 上 昇 が2mgか ら抑 制 され る こ とか ら組 織 変 化 は 2mg以 上 で著 明 に 現 わ れ る こ とが 予 測 され る。 持 続 時 間, 復 旧 時 問 は 最 高 温 度 の 変 化 とは 異 な り, 艾 柱 重 量 の増 加 に 伴 い延 長 した 。 こ れ は 最 高 温 度 は 前 記 機 序 に よ り抑 制 され るが, そ の結 果 周 囲 の 組 織 温 が 上 昇 す るた め と考 え られ る 。 また 持 続 時 間, 復 旧時 間 が 表 皮 上 で真 皮 よ り長 か っ た が こ れ は 表 皮 上 で は 比 熱 が 小 さ く温 度 上 昇 が 早 く, 血 流 等 に よ る放 散 が 少 な く冷 却 に も時 間 を要 す る ため と考 え られ る 。 連 続 施 灸 で は施 灸 壮 数 の増 加 に 伴 っ て最 高 温 度 の上 昇 が 表 皮 上 で は4壮 ま で, 真 皮 下 で は6壮 ま で 認 め られ 両 者 の 間 に差 が 認 め られ た 。 壮 数 増 加 に よ る最 高 温 度 の 上 昇 は 施 灸 に よ り加 熱 さ れ た 局 所 温 が 施 灸前 温 度 に 復 す る 前 に 次 の施 灸 が 行 れ る こ とに よ る。 上 昇 が4壮 又 は6壮 以 後 は 一 定 化 す る の は 施 灸 に よ る局 所 の 温 度 上 昇 に伴 い放 散 熱 量 が 増 加 し, 4壮 又 は6壮 で平 衡 に 達 す る もの と考 え られ る。 更 に表 皮 上 で は早 く, 真 皮下 で は 平 衡 ま で に 時 間 を要 す るの は, 1壮 施 灸 の 所 で 述 べ た よ うに 表 皮 上 に比 べ 真 皮 下 で は 熱 容 量 が 大 き く, ま た 熱 の 放 散 ・伝 導 の 過 程 が 複 雑 な た め と考 え ら れ る 。艾 柱 重 量 増 加 に よ る変 化 で は, 0.5mgと1 mgの 差 は1壮 施 灸 で も僅 か で あ った が 連 続 施 灸 で は よ り減 少 し た。 しか し, 1mgと2mgの 差 は よ り明 らか とな り真 皮下 で は2mgの 連 続 施 灸 の 最 低 温 度 が0.5, 1mgの 最 高 温度 よ り高 く測 定 され た 。 即 ち連 続 施 灸 で は1mgと2mgの 間 で 刺 激 量 が 急 増 す る と考 え られ る。 持 続 時 間 を施 灸壮 数 に よ り比 較 す る と, 2mg以 上 で は ほ ぼ 壮 数 の 比 に 等 し い値 とな っ た が, 1mg以 下 で は壮 数 比 よ り大 き な 値 とな っ た 。 これ は0.5mgで は1壮 施 灸 で は 施 灸 部 が40℃ に 達 せ ず, 壮 を重 ね て 初 め て40℃ に 達 す る ため 比 が 大 き くな る と考 え られ る。 復 旧 時 間 を施 灸壮 数 に よ り比 較 す る と, 0.5mgで は 壮 数 増 加 に よ る延 長 が 認 め られ た が, 1mg以 上 で は延 長 は 僅 か で連 続 施 灸 の 復 旧 時 間 へ の影 響 は 少 な か っ た 。 これ らに よ り小 さな 艾 柱 に よ る施 灸 で は壮 数 増 加 に よ る 熱 刺 激 の 増 加 は, 大 きな艾 柱 に よ る施 灸 に 比 べ 著 明 に 現 わ れ る 。 ま た 同一 重 量 の 艾 を用 い た施 灸 で も全 量 の1壮 施 灸 とこ れ を分 割 した 多 壮 施 灸 で は 前 者 が 短 時 間 高 い 温 度 とな るの に 比 べ 後 者 は 比 較 的 低 い 温 度 を長 時 間 保 ち 刺 激 の 型 に大 き な差 の あ る こ と を確 認 した 。 わ れ わ れ は 灸 刺 激 の 作 用 を客 観 的 に検 索 す る た め 施 灸 に 用 い る艾 の 形 態 的 観 察8, 9)に続 き, 実 験 動 物 を用 い て 種 々 の 生 体 に 及 ぼ す 作 用 を検 討 し て 来 た10, 11, 12)。これ ら一 連 の 報 告 と本 実 験 の結 果 得 ら れ た艾 柱 の 燃 焼 温 度 の動 態 を考 え 合せ, 今 後 更 に 施 灸局 所 の 変 化 に つ い て 検 索 を続 け る予 定 で あ る。
'85. 9. 1 會 澤 (21)109 参 考 文 献 1) 西 谷 郁 子: 灸 の 過 酸 化 脂 質 低 下 作 用, 帝 京 医 学 会 誌6 (1); 79∼78. (1983) 2) 堅 田 十 次 郎 ・原 田 重 雄: 灸 治 ニ 就 テ, 東 京 医 学 会 雑 誌16 (2); 735∼762. (1912) 3) 長 門 谷 丈 一: 灸 の 実 験 的 研 究 (1) 灸 の 局 所 温 に 及 ぼ す 影 響, 大 阪 医 学 会 雑 誌31 (3); 3029∼ 3036. (1932) 4) 芹 沢 勝 助: 鍼 灸 の 科 学, 理 論 篇, 医 歯 薬 出 版, 東 京 (1959), p. 17∼28. 5) 堀 越 清 三: 艾 の 燃 焼 温 度 に つ い て, 日 本 東 洋 医 学 会 誌10 (3); 105∼109. (1959) 6) 代 田 文 彦 ・光 藤 英 彦: 特 殊 疾 病 (難 病) に 関 す る 研 究 報 告, 東 京 都 難 病 対 策 研 究 会, 東 京 (1976), p. 229∼230. 7) 鈴 木 宏 ・山 口 詔 子 ほ か: 艾 柱 の 燃 焼 温 度 に 関 す る 研 究, 東 洋 医 学 校 協 会 学 会 誌6号; 46∼51. (1983) 8) 會 澤 重 勝 ・坂 本 秀 治 ほ か: 艾 に 関 す る 基 礎 的 研 究 第 報 一 日向 お よ び 日陰 生 育 艾 葉 の 形 態 的 観 察 一, 全 鍼 灸 誌31 (1); 27∼33. (1981) 9) 會 澤 重 勝 ・坂 本 秀 治 ほ か: 艾 に 関 す る 基 礎 的 研 究 第2報-艾 の 製 造 過 程 に お け る 形 態 変 化 お よ び 艾 の 品 質 に よ る 形 態 的 差 異-, 全 鍼 灸 誌32 (3) ; 242∼249. (1983) 10) 古 屋 英 治 ・坂 本 秀 治 ほ か: マ ウ ス 貧 食 能 に 及 ぼ す 施 灸 刺 激 の 影 響 (第1報) -1回 施 灸 に よ る 経 時 的 変 動-, 全 鍼 灸 誌31 (1); 34∼41. (1981) 11) 古 屋 英 治 ・岡 崎 雅 子 ほ か: マ ウ ス 貧 食 能 に 及 ぼ す 施 灸 刺 激 の 影 響 (第2報) -1回 施 灸 に よ る 腹 腔 滲 出 細 胞 お よ び 腹 腔 マ ク フ ァー ジ の ラ イ ソ ゾ ー ム 酵 素 活 性 の 動 態-, 全 鍼 灸 誌32 (2); 1∼8. (1982) 12) 岡 崎 雅 子 ・古 屋 英 治 ほ か: マ ウ ス 貧 食 能 に 及 ぼ す 施 灸 刺 激 の 影 響 (第3報) -間 歇 的 連 続 施 灸 刺 激 に よ る検 討-, 全 鍼 灸 誌 32 (2); 9∼16. (1982) (〒142 東 京 都 品 川 区 旗 の 台1-5-8 昭 和 大 学 医 学 部 第 一 薬 理 学 教 室)
Effect of moxibustion on skin tissue - Changes of skin temperature during
moxibustion-Shigekatsu Aizawa
Tokyo Acupuncture, Moxibustion & Jusei College Akira Ohtsuki, Kenichi Usami, Koji Sakamoto Showa University, School of Medicine, Department of Pharmacology
To investigate the mechanism of moxibustion therapy, the temperature at the surface of the skin and the subcutaneous tissue during moxibustion was measured using CA-thermocouple.
Male ddy mice (5 weeks old) were used as experimental animals. Animals are treated by single moxibustion of 1, 2 and 5 mg of moxa cones and multiple one of each weight on the right and left LV-14. We obtained the following results.
In the single moxibustion, the increase in the maximum temperature was observed according to the weight increase in moxa cones (0.5-2mg). The elongation of the retention time that the temperature was kept above 40•Ž and of the recovery time which was required for the temperature to return at the given one (pre-moxibustion temperature+5•Ž) was also significant with the moxa cone of 0.5-2mg.
In the multiple moxibustion, the increase in the maximum temperature was significant with the moxa cone of 1-2 mg and these increase in cone numbers was apparent up to 4 cones on the surface of skin and up to 6 cones on the subcutaneous tissue. After that, the maximum temperature approached to the given value. The retention time was elongated according to the increase in the weights of moxa and in the cone numbers. The recovery time was also elongated according to the increase in the weights of moxa, but these time by the increase in cone numbers showed mild elongation.