高レイノルズ数における流量計測
産業技術総合研究所 計量標準総合センター
古 市 紀 之*
Flow rate measurement at high Reynolds number
Noriyuki FURUICHI,
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology*E-mail for correspondence: [email protected]
1 はじめに 流量は,言うまでもなく生活・産業基盤において非 常に重要な計測量である.発電所等における出力管 理といった大規模な計測から,上下水やガス,ガソリ ンといった生活インフラにおいて流量計測値が取引 に直結しているものも非常に多い.産業技術総合研 究所は,水,石油,空気等の流量に関して,国家標準 として試験設備を構築し,それらの値の標準供給を 行っている.国際的に見ても,産業技術総合研究所の 流量標準値の供給対象や供給範囲は最大規模であり, 不確かさに関しては最小クラスである. そのような中,著者らは2004 年からバルクにして 10 の 7 乗という高レイノルズ数域における水の高精 度流量試験設備を開発してきた1).開発の発端は,原 子力発電所における給水流量計測の高精度化である. 米国において,原子力発電所の効率的利用のために 1900 年代後半から増出力が積極的に行われた.いく つかある増出力の手法のひとつに,MU(Measurement Uncertainty)型と呼ばれるものがある.これは,従来 から使用されている給水流量計(差圧式流量計)を超 音波流量計にリプレースすることにより,最大2%弱 の増出力を可能とする手法である.従来2%と言われ る流量計測の不確かさを,より小さい不確かさを持 つ超音波流量計に置き換え,減じた不確かさ分,定格 熱出力を増加するという考え方である.この増出力 方法の国内への導入にあたり原子力学会における議 論が行われ,新規に設置される超音波流量計に対し ては実流に近い条件にて校正を行うことが望ましい ことが結論として盛り込まれた2).こうして,上記を 実現するための新たな流量標準の構築が必要である と考えられたのである.しかしながら,原子力発電所 における主給水の流動条件は流量こそ大きくないが, 200 C 以上の高温であるため,まったく同じ条件に おける流量校正のための試験設備を構築することは, 従来から行われている方法(例えば静的秤量法)では 多くの困難が予想された.そこでレイノルズ数を校 正の根拠とする試験設備を構築した.対象とされた 超音波流量計は,測定線上の線平均速度を求め,実際 の流速分布に補正する.この補正のための係数は理 論的または実験的に求められるが,管内の流速分布 型はレイノルズ数に依存することから,補正係数は レイノルズ数に対する何らかの関数となると考えら れる.実際にはある一定の不確かさを見込む必要は あるが,この考え方は十分に成立しうる. 本報では,構築された設備を紹介し,超音波流量計 の実験を行った結果の一部を紹介する.また,本設備 を用いたいくつかの実験的研究の成果についても紹 介する. 2 高レイノルズ数実流試験設備 2.1 高レイノルズ数実流試験設備(Hi-Reff)概説 構築された高レイノルズ数実流試験設備は,その 英語名称 “High Reynolds number actual flow facility” から,“Hi-Reff” と呼称する.当設備は,産業技術総 合研究所のつくば北サイトに設置されており,2004 年から 2008 年にかけて構築された.設備としては, 従来から存在した水流量に関する流量校正設備を拡 張して構築されている.図 1 にHi-Reff のフロー図を 示した.Hi-Reff は図の中央部における単純な閉ルー プにより構成される.循環用のポンプが 4 台設置さ れており,それぞれ最大0.83 m3/s の流量を吐出する ことができる.各ポンプから吐出された水は試験部 上流において合流し,最大3.33 m3/s の流量となる. 試験配管の呼び径は600 mm を基本としているので, 〔特集〕ここまでできた,流体計測 © 2017 日本流体力学会 ながれ36(2017)315−320 315
配管内水温が20 C の場合,レイノルズ数 ReDは7106 となる.しかしながら,緒言で述べた発電所の給水配 管におけるレイノルズ数は,107オーダーにまでなる. そこで実プラントと同等規模のレイノルズ数を得る ために,Hi-Reff の最高水温は 75 C とした.これに より,最大 2.0107のレイノルズ数を達成している. 試験中の流量の安定性は高く,最大流量近辺におけ る流量変動は1%以内,また実験中の水温は0.2 C 以 内,圧力は10 Pa 以内において制御されている. ここまで述べたように,Hi-Reff は流量に関する試 験設備(流量計の校正設備)である.流量の精度をど のように担保するかが最も重要なポイントとなる. Hi-Reff においては,基準となる流量計(Reference flowmeter,以下,参照流量計と呼ぶ)を用いて流量計 測を行っているが,この参照流量計は,静的秤量法と 体積法を用いて校正される.そして,校正された状態 から着脱されることなく試験に用いることにより, 高い精度を担保している. ここで,静的秤量法と体積法について解説する.静 的秤量法とは,秤量タンクを用いた,古典的ではある が一般的に用いられる流量校正方法である.秤量タ ンクに蓄積された水の質量を,蓄積時間で除するこ とにより質量流量を求める手法である(ここで求め られる流量とは,ある一定時間の平均流量であるこ とに注意されたい).この静的秤量法は高い精度にて 流量を計測できる一方で,高温に適用するには技術 的な困難が多い.特に,開放系であるが故の蒸発によ る計測誤差は不可避である.水温特性(またはレイノ ルズ数特性)を有しない流量計はなく,そのため実使 用における水温での校正を行う必要があるが,本設 備での要求水温(70 C)近辺では,参照流量計を静 的秤量法では校正できない. そこで,体積法(本設 備ではプルーバーと呼ばれる校正設備を使用.図 1 参 照.)により水温特性を担保している.体積法とは, あらかじめ求められた基準体積分(図 1 の Prover System 灰色部)の作動流体が流量計を通過する体積 と置き換えて流量を算出する手法である.プルーバ ーは閉鎖系のため,秤量法にみられる蒸発の影響は ない.そのため,水温をパラメータとした流量校正を, 常温とさほど変わらない精度にて実現できる.一方 で,体積法を大流量に適用するためには,相当規模の 設備が必要となり,またその割に秤量法と比すると 精度がやや落ちるという欠点がある.そのため,本設 備は静的秤量法と体積法のそれぞれの利点を組み合 わせることにより高精度での参照流量計の校正を実 現しているのである.校正手順は複雑なものの1),最 大レイノルズ数での流量の計測の拡張不確かさ(k=2) は0.081%を達成している. 2.2 給水流量計(超音波)実験 Hi-Reff を用いて実際に超音波流量計を実験した結 果を紹介する.流量計の配管直径は呼び径において 600 mm で,上流側には直径の 50 倍以上の直管長さ を設置した.ここでは,水温をパラメータとして,20 C~70 C において実験を行った.実験中の水温変動 は0.2 C である.それぞれの水温における実験結果 を図 2 に示す.縦軸 E は参照流量からの偏差を示す. また,図の見やすさのために,エラーバーは20 C と 70 C の結果にのみ付した. 最大レイノルズ数は1.4107であり,実プラントと 同等規模のレイノルズ数における実験を行うことが できている.本実験結果は,超音波流量計における参 図 1 高レイノルズ数実流試験設備(Hi-Reff)フロー図
照流量値との偏差(補正係数)が,明確にレイノルズ 数の関数となることを示している.したがって,レイ ノルズ数を根拠とした超音波流量計の校正方法は, 妥当であると言える.ただし,この結果は一例であり, 全ての超音波流量計に適用できるわけではない.よ り高い精度を求めるには,校正をより実使用環境条 件に近い形で実施することが必要である.これは流 速分布に影響を与える上流側の配管レイアウトにつ いても同様である.Hi-Reff においては上流側を立体 的な配管レイアウトとすることも可能である.詳細 については別稿を参照されたい3). 3 Hi-Reff を用いた高レイノルズ数における研究 3.1 スロートタップ式フローノズル スロートタップ式フローノズル(以下,フローノズ ルとする)とは,古典的な差圧式流量計の一種であり, 原理的に特別な特徴はないが,発電所における,特に 高レイノルズ数条件下においてよく用いられている. このフローノズルはASME において明確に規格化さ れており4),規格に基づけば比較的小さな不確かさで 流出係数が求めることできる.ASME では,流出係数 の特性式は次のように示される. 8 . 0 d 2 . 0 d A 361239 1 185 . 0 0054 . 1 Re Re C (1) ここで,CAは流出係数,Redはスロート部の内径 d を 元にしたレイノルズ数である.この式は境界層の発 達式を元に,半理論的に求められたものである5).し かしながら,高レイノルズ数領域における実証実験 はこれまでされておらず,その信頼性は高いとは必 ずしも言えない. フローノズルの構造を図 3 に示した.最も大きな 特徴は,絞り部において低圧側の静圧測定孔(以下, タップ)が設置されている点である.キャビテーショ ンの影響を受けにくいという特徴があるが,差圧計 測において上流タップと下流タップ位置における流 動条件が異なる.一般的に,タップ内には壁面せん断 応力に応じた二次流れが発生し,圧力計測値に影響 を与える.Shaw は,次の関係式に基づく計測誤差が 発生するとしている6). t c t t t w , , , d d d l d d Re f e (2) ここで e は静圧の測定誤差,wは壁面せん断応力, Retはタップ径と摩擦速度によるレイノルズ数,dtは タップ径,l はタップの深さ,dcは圧力計測機器に接 続される配管の径である.l/dtについては2 以上確保 されれば測定誤差は無視できるほど小さいとされ6), また dc/dtについても測定誤差は無視できるほど小さ いことから,静圧計測誤差は壁面せん断応力とタッ プ径の関数となる.壁面せん断応力については,ノズ ルの上下流配管にタップが設置されていれば,この 誤差は概ねキャンセルされる.しかしながら,フロー ノズルの構造上,両タップ位置での壁面せん断応力 の差は,差圧計測に影響を与えるほどに大きく,無視 できない. そして最も重要な点が,タップ径が静圧の測定誤 差 に 与え る影 響 であ る.ASME では タッ プ 径を 3~6mm の間で許容しているが,この範囲で出力に影 響がないものとして扱われている.ここで,根拠とな っているのが Shaw の実験結果である.Shaw は e/w が,あるレイノルズ数以上では一定値となることを 示している.タップ径を代表長さとしているため,静 圧測定誤差はタップ径に依存しないことになる.し かしながら,Shaw の実験は低レイノルズ数において 図 2 超音波流量計の実験結果 105 106 107 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.2 ReD E [%] : 20 °C : 30 °C : 40 °C : 50 °C : 60 °C : 70 °C 図 3 フローノズル概略 古市紀之 317
のみ実施されている一方,近年のMcKeon ら7)の実験 結果は,高レイノルズ数域においてはそのような普 遍性がないことを示している.したがって,Shaw の 実験結果はタップ径の影響がないとする根拠には必 ずしもならない. 以上のような背景から,異なるタップ径を持つフ ローノズルに対する実験を高レイノルズ数条件にお いて行った.実験結果を図 4 に示す.流出係数 Cx は 以下から算出される. p πd q Cx 8(1 4) 2 (3) ここで,q は体積流量,は拡大比,は作動流体の密 度,p は差圧である.本実験における流出係数の計 測の拡張不確かさ(k=2)はおよそ 0.1%であり,体積 流量計測による寄与が最も大きい. 本実験は二つの異なるスロート内径のフローノズ ル(d=165.22 mm, 99.89 mm)に対して実施した.前 者のフローノズルの低圧タップ径は dt =2, 3.5, 5, 6 mm とした.後者については dt =3.5 mm のみであり, d=165.22 mm の 6 mm のタップと dt /d に対してほぼ 同じ値となっている.d=165.22 mm のフローノズルの 結果から明らかなように,タップ径が大きくなるほ ど流出係数が大きくなり,その影響は無視できない. また,dt /d により流出係数が整理可能なことが示唆さ れる結果となっている.このような高レイノルズ数 域における流出係数の明確な実験結果についてはこ れまで得ることができなかったが,Hi-Reff によりは じめて実現された.最終的には本実験結果から,流出 係数の特性式を導いているので,別稿を参照された い8).本結果において最も重要な点は,高レイノルズ 数領域においてはASME の提示している特性式とは 傾向が異なることである.Red>3.0106においては, 流出係数のレイノルズ数に関する傾きが本実験結果 の方が大きく,仮に式(1)を元に低レイノルズ数の実 験結果(例えば,Red=1.0106~3.0106の範囲)から外 挿し,流出係数を求めた場合には,大きな誤差を生じ る可能性がある. d=165.22 mm のフローノズルの実験結果からは,静 圧測定誤差を推定することができる.その結果を図 5 に示す.導出方法については,別稿を参照されたい9). 比較に示されたReader-Harris ら10)のベンチュリに対 する推測値や,McKeon ら7)による完全発達流におけ る実験結果とは,傾向としては非常によく一致して おり,静圧測定誤差は高レイノルズ数で一定とはな らず,レイノルズ数と共に増加する.この結果は高レ イノルズ数域における式(1)と実験結果との差の要因 を明確に示しているものである. 3.2 管摩擦 完全発達した円管流れにおける管摩擦係数に対す る式は,対数則による流速分布を壁面から管中心ま で適用すると仮定した場合,次のようになる.
Re
C ln D 2 2 1 1 (4) ここで,はカルマン定数,は管摩擦係数,ReDは直 径を元にしたレイノルズ数,C は定数である.この式 に実験データをあてはめ,C を調整した結果,
0.8 log 0 . 2 1 D Re (5) というPrandtl の式が非常によく知られるところであ 図 4 フローノズルの流出係数 105 106 107 0.97 0.98 0.99 1.00 1.01 Red Cx , CA d = 165.22 mm, dt /d = 0.012 d = 165.22 mm, dt /d = 0.021 d = 165.22 mm, dt /d = 0.030 d = 165.22 mm, dt /d = 0.036 d = 99.89 mm, dt /d = 0.035 CA 図 5 静圧測定誤差 102 103 104 100 101 Ret e / w: McKeon and Smits : Reader-Harris et al. : dt/d=0.012
: dt/d=0.020
: dt/d=0.030
る.陰関数でありながら最も一般的な管摩擦係数と レイノルズ数の関係式であると言える.この Prandtl の式に対して,Princeton 大学のグループが近年,新 しい定数を提案した.Superpipe と呼ばれる高圧条件 下での流れにより,ReD=3.0107という高レイノルズ 数条件での実験を行い,次の式を提案している11).
0.537 log 930 . 1 1 D Re (6) この結果は,Prandtl の式より算出される管摩擦係数 より ReD=1107において約3%大きい.また,カルマ ン定数は流速分布の計測結果と合わせて 0.41~0.42 程度と報告されている.この実験結果への関心は高 く,発表後から数多くの議論が続いている. 実験では,管摩擦係数は下記により算出される. 2 b 2 LU p D (7) ここで,D は配管直径,L は静圧測定孔間の流れ方向 距離,p は差圧,Ubは管断面平均速度である.ここ で管断面平均速度の計測がポイントとなる.管断面 平均速度は,流速分布を積分するか,流量から算出す ることになる.流速分布の積分が一般的に見えるが, 実際には容易ではない.特に高レイノルズ数になる ほど計測における空間分解能の問題が顕著に出てく るため,壁面近傍の流速分布を精度良く計測するこ とが困難になる.その点,Hi-Reff では流量を高精度 で計測することが有利に働く.管断面積さえ精度良 く求めることができれば,管断面平均速度にも高い 精度を期待することができる. 実験は異なる径の配管に対して実施した.直径100 mm と直径 387 mm の二種類である.ともに内面を研 磨した配管で,Ra 値でそれぞれ 0.1 m,0.2 m,Rz 値で0.8 m,1.7 m である.また,直径のばらつき はそれぞれ10 m,25 m 以下である.配管には差圧 計測のための静圧測定孔を周方向に4 個所設置した. これらを導圧チューブで接続し,均圧した結果を使 用することにより,測定孔ごとの偏差を極力小さく した.差圧計測は,分解能が 0.1 Pa のデジタルマノ メータによって行った.この他,配管直径,測定孔間 の距離については,配管材の線膨張係数による補正 を行っている.また密度は,使用している水の純水か らの偏差量を補正している. 式(7)に基づく管摩擦係数の計測のバジェットシー トを表 1 に示す.差圧計測と流量計測の寄与が支配 的であることが分かる.差圧計測については,各静圧 測定孔の個別計測結果に差が観測されているため, これを不確かさの中に組み込んだ.この点を除くと, 流量計測による不確かさが支配的になる. 実験結果を図 6 に示す.387 mm の配管に対しては, 20 C および 70 C において実験を行っている.Prandtl の式に比すると,高レイノルズ数において小さな管 摩擦係数が得られている.さらに詳細に結果を確認 するために,Prandtl の式から得られる管摩擦係数と の比を図 7 に示した.本図から,Prandtl の式とは明 確 に 異 なる 結果 が 得ら れ てい るこ と が分 か る. ReD<7104の低レイノルズ数領域では,本実験結果は Prandtl の式より大きく,それより大きいレイノルズ 数領域では小さくなる結果となった. 本実験結果には数多くのことが示唆されている. まず本実験結果としては,異なる直径の配管,また異 なる水温における実験結果が非常によくオーバーラ ップしていることが確認できる.各条件における実 験結果が整合していることから,実験の妥当性が示 されていると考えられる. Superpipe の実験結果とは ReD<105の低レイノルズ 数領域では比較的一致するものの,ReD>105の高レイ ノルズ数域においてはまったく異なる結果が得られ ている.Superpipe との差は,ReD=1107において6% 図 6 管摩擦係数 104 105 106 107 0.01 ReD : 100 mm, T=20 °C : 387 mm, T=20 °C : 387 mm, T=70 °C 0.04 : Prandtl 表 1. 管摩擦係数計測の不確かさバジェットシートUncertainty sources Uncertainty
D=387 mm Uncertainty D=100 mm Differential pressure 0.401 % 0.401 % Pipe diameter 0.162 % 0.162 % Density of water 0.005 % 0.005 % Flow rate 0.452 % 0.400 % Tap distance 0.008 % 0.008 % Expanded uncertainty (k=2) 1.18 % 0.89 % 古市紀之 319
ほどとなり,計測の不確かさを考慮しても有意な差 である.理由は十分に明らかではないが,管断面平均 速度の計測の信頼性の他,配管径に対する表面粗さ の影響等についても考察が必要であると考えられる. 本実験結果から得られる管摩擦係数とレイノルズ 数の相関式は,最小二乗によるフィッティングを ReD >4.7104範囲に適用すると,次のようになる.
1.176 log 092 . 2 1 D Re (8) 本式と実験結果の偏差は,-0.64%~0.77%である.本 式は低レイノルズ数域ではチャネル流のDNS とも非 常に良い一致をみせており 12),よく研磨された滑管 への適用性は高いと考えている.本研究においては, 管摩擦係数の計測とともに流速計測を行い,カルマ ン定数等に関する成果を報告している.詳細につい ては,別稿を参照されたい13). 4 まとめ 本稿では,産業技術総合研究所における高レイノ ルズ数流量試験設備(Hi-Reff)と,この設備によるい くつかの研究成果を紹介した.高レイノルズ数にお ける流動場は発電所のみならず,ガスや石油の供給 といった場面でも非常に多く存在する.今後,エネル ギー供給のさらなる高効率化が必要な場面で高レイ ノルズ数における流動場は増えるものと推測され, そこでの流量計測の重要性も高くなると予想される. また,本稿で紹介した管摩擦係数の実験にあるよう な高レイノルズ数における乱流の実験は,その普遍 性について考察することに対し非常に有効である. 今後,本設備が産業界や乱流研究にさらに寄与する ことを期待し,本稿をまとめることとする. 引 用 文 献1) Furuichi, N., Sato, H., Terao, Y., and Takamoto, M.: A new calibration facility of flowrate for high Reynolds number, Flow Meas. Inst., 20-1 (2009) 38-47.
2) Okamoto, K., and Kikura, H.: NPP power uprates using ultrasonic flowmeter, J. At. Energy Soc. Japan, 49-1 (2007) 39-44.
3) Furuichi, N., Terao, Y., and Takamoto, M.: Actual flow calibration of feedwater flowmeter using high Reynolds number facility in NMIJ, Nucl. Eng. Des., 239-7 (2009) 1304-1313.
4) Steam turbines, Performance test codes, ASME (2004) 5) Murdock, J.W. and Keyser, D.R.: Theoretical basis for extrapolation of calibration data of PTC 6 throat tap nozzles, J. Eng. Gas Turb. Power, 113 (1991) 228-232. 6) Shaw, R.: The influence of hole dimensions on static pressure measurements, J. Fluid Mech., 7 (1960) 550-564.
7) McKeon, B. J., and Smits, A. J.: Static pressure correction in high Reynolds number fully developed turbulent pipe flow, Meas. Sci. Technol., 13 (2002) 1608-1614.
8) Furuichi, N., Terao, Y., Nakao, S., Fujita, K., and Shibuya, K.: Further investigation of discharge coefficient for PTC 6 flow nozzle in high Reynolds number, J Eng. Gas Turb. Power, 138 (2016), 041605. 9) Furuichi, N., and Terao Y.: Static pressure measurement error at a wall tap of a flow nozzle for a wide range of Reynolds number, Flow Meas. Inst., 46 (2015) 103-111. 10) Reader-Harris, M., Brunton, W.C., Gibson, J.J., Hodges, D., and Nicholson, I.G.: Discharge coefficients of Venturi tubes with standard and non-standard convergent angles, Flow Meas. Inst., 12 (2001) 135-145.
11) McKeon, B.J., Li, J., Jiang, W., Morrison J.F., and Smits, A.J.: Further observation on the mean velocity distribution in fully developed pipe flow, J. Fluid Mech., 501 (2004) 135-147.
12) Abe, H., and Antonia, R.A.: Relationship between the energy dissipation function and the skin friction low in a turbulent channel flow, J. Fluid Mech., 798 (2016) 140-164.
13) Furuichi, N., Terao, Y., Wada, Y., and Tsuji, Y.: Friction factor and mean velocity profile for pipe flow at high Reynolds numbers, Phys. Fluids, 27 (2015) 095108.
図 7 管摩擦係数(Prandtl の式に対する相対値) 104 105 106 107 -6 -4 -2 0 2 4 6 ReD ( -Pran dt l )/ Pra ndt l : 100 mm, T=20 °C) : 387 mm, T=20 °C) : 387 mm, T=70 °C) : McKeon et al. [%]