28
OCTOBER 2017
化無作為2 段抽出した幼児1,000人(10人×100
地点)に郵送法(15 分単位日記式,保護者に
よる代理記入)で行い,有効数は517人(有効
率 51.7%)であった。有効サンプルの構成は
表 1 のとおりである。
なお,回答している保護者の95%は母親で
あるため,以下の本文では保護者のことを母親
と表記する。
はじめに
2017(平成 29)年 6月「全国個人視聴率調査」
(対象は全国7歳以上)
1)
と同時期に実施した,
「幼児視聴率調査」の結果を報告する。
調査は6月5日(月)~ 6月11日(日)の1週間,
東京駅から30キロ圏内に住む2 ~ 6歳の未就
学児を対象に実施した。住民基本台帳から層
幼児のテレビ視聴と
録画番組・DVD の利用状況
~ 2017 年 6 月「幼児視聴率調査」から~
世論調査部
星 暁子 / 渡辺洋子
表 1 サンプル構成
全体 男 女 2 歳 3 歳 4 歳 5・6 歳 保育園児 幼稚園児 未就園児 その他不明
517 人 270 247 95 131 126 165 204 258 51 4
100.0% 52.2 47.8 18.4 25.3 24.4 31.9 39.5 49.9 9.9 0.8
2017年 6月に実施した「幼児視聴率調査」の結果から,幼児のテレビ視聴と録画番組・DVDの利用状況を報
告する。調査は,東京 30キロ圏に住む2~6歳の幼児 1,000人を調査相手として,6月 5日(月)~ 11日(日)の1
週間実施した。
幼児が1日にテレビを見る時間は1時間41分(週平均)。テレビ視聴時間は,2007年以降2時間程度で推移
していたが,2012年に減少して初めて2時間を下回り,以降緩やかな減少傾向にあった。しかし,今回は前年
と同程度であった。また,幼児が録画番組やDVDを再生利用している時間は55分(週平均)で,2011年から
2013年にかけて増加し,それ以降は同程度で推移しており,両者の差が縮まっている状況は変わらない。
調査期間中によく見られたテレビ番組は,「おかあさんといっしょ」「みいつけた!」などEテレの幼児向け番組や,
「ドラえもん」「サザエさん」など民放のアニメ番組であった。
さらに付帯質問の結果をみると,幼児の「携帯電話・スマートフォン」や「タブレット端末」といったモバイ
ル端末の利用率は着実に伸びている。また,録画DVD再生を利用する幼児は横ばいで推移する中,インターネッ
ト動画を見る幼児の増加が続いている。
(時間:分)
全体 男 女 2 歳 3 歳 4 歳 5・6 歳
テレビ総計
15 年 1:45 1:40 1:51 1:39 1:43 1:46 1:51
16 年 1:40 1:35 1:46 1:43 1:31 1:47 1:43
17 年 1:41 1:43 1:39 1:46 1:33 1:40 1:45
NHK 総計
15 年 0:49 0:46 0:52 0:55 0:50 0:49 0:42
16 年 0:46 0:43 0:48 0:54 0:42 0:44 0:42
17 年 0:47 0:49 0:44 0:56 0:49 0:42 0:43
民放総計
15 年 0:57 0:55 0:59 0:44 0:52 0:57 1:08
16 年 0:55 0:51 0:58 0:49 0:48 1:03 1:00
17 年 0:55 0:54 0:55 0:50 0:44 0:58 1:02
1. テレビ全体の視聴状況
(1)テレビ視聴時間
─────長期的に緩やかな減少傾向
今回,2 ~ 6 歳の幼児のテレビ視聴時間
2)
は,週平均1日あたり1時間 41分で前年(1時
間 40 分)と変わらなかった(図1)。これまで
の長期的な推移をみると,幼児のテレビ視聴
時間は1998 年(2 時間 43 分)から漸減してい
る。2007年以降は 2 時間程度の水準で推移し
ていたが,2012 年に初めて2 時間を下回って
減少し,2013 年以降緩やかに減少傾向にあっ
たが,今回は前年と変わらない。
NHK・民放別には,NHK 総計47分(前年
46 分)に対し,民放総計は 55 分(前年 55 分)
であり,いずれも前年と同程度であるが,民
放 総計は 2015 年から1時間を下回っている。
NHK 総計の内訳をみると,総合3 分,Eテレ
(教育)42分,衛星計1分で,NHK 視聴の 9 割
近くは Eテレに充てられている。
年齢別にテレビ総計の視聴時間をみると
(表 2),前々年は年齢が上がるにつれ視聴時
図 1 テレビ視聴時間の推移(1日,週平均)
表 2 NHK・民放別平均視聴時間(1日,週平均)
*1 テレビ総計は,民放総計(民放地上波と民放衛星波)と NHK 総計(NHK 地上波と NHK 衛星波)の計
*2 NHK 総計のうち衛星波は 2007 年までは BS1・BS2 の 2 波計,2008 ~ 2010 年は BS1・BS2・BS ハイビジョンの 3 波計 ,
2011 年以降は BS1・BS プレミアムの 2 波計
*3 2004 年は「幼児視聴率調査」を実施していない
3:00
(時間:分)
2:00
1:00
0:00
96 97 98 99 00 01 02 03 (04)*305 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17年
NHK 総計*2
民放総計
テレビ総計*1
2:26
1:32
0:54
2:25
1:30
0:54
2:43
1:46
1:00
2:42
1:38
1:04
2:36
1:34
1:02
2:34
1:33
1:03
2:34
1:37
0:57
2:29
1:33
0:56
2:15
1:24
0:50
2:19
1:31
0:48
2:00
1:19
0:41
2:07
1:20
0:47
2:07
1:18
0:49
2:05
1:15
0:51
2:07
1:14
0:54
1:53
1:02
0:51
1:49
1:00
0:49
1:49
1:04
0:47
1:45
0:57
0:49
1:40 1:41
0:55 0:55
0:46 0:47
的「短時間」である層では,幼児の視聴時間
も1時間 08 分と短かった(表4)。
母親の視聴時間の長期推移をみると(図3),
幼児の視聴時間が減少した 2007年に母親の
「長時間」層の減少,同じく2012 年に「短時間」
層の増加が起きていることがわかる。
「短時間」
層の割合は 2012 年に半数を超え,以降も増
加傾向が続いて,今回 6 割となった。母親の
視聴時間の減少が,幼児の視聴時間の長期的
な減少に関係しているのではないかと考えられ
る。
(3)最もよく見るチャンネルは E テレ
次に,調査を実施した1 週間に,少しでも
(15 分以上)テレビを見た幼児の割合である週
間接触者率をみてみる(表5)。テレビ総計の
週間接触者率は 89.9%で前年(92.1%)と同程
度である。
局別にみると,Eテレが 72.3%と最も高く,
テレビ朝日,フジテレビ,NTVが同程度で続
き,次いでテレビ東京の順となっている。Eテ
レは 2 ~ 3 歳では最も接触者率が高く8 割程
度,接触者率が低めな4 ~ 6 歳でも7 割弱が
接触している。民放では,テレビ朝日とフジテ
レビが 4 ~ 6 歳で 5 割以上と,比較的高年齢
の幼児に見られている。またフジテレビとNTV
はどの年齢でも4 割以上に見られている。
表 6 に 2007年からの各局の週間接触者率
の推移を示した。Eテレは 2007年から80%前
後で推移していたが,2012 年からは 70%台前
半となっている。民放各局は 2014 年から2015
年にかけて減少した局が多かったが,その後
は同程度で推移し,今回は前年に比べて変化
がなかった。テレビ東京は前々年より減少して
いる。
NHK・民放各局の時間帯別平均視聴率を
みると(表 7),Eテレは1日の平均で3.8%と
最もよく見られ,午前(6.0%)と午後(3.2%)
の時間帯によく見られている。民放の中では,
夜間のNTV(2.7%)とフジテレビ(1.8%)が高
めである。
表 5 局別週間接触者率(年齢別)
図 3 母親の視聴時間の推移
(%)
全体 2 歳 3 歳 4 歳 5・6 歳
テレビ総計 89.9 88 88 90 93
NHK 総計 77.4 85 82 73 73
総合 19.7 14 19 19 24
E テレ 72.3 80 77 68 67
NTV 47.4 45 44 46 53
朝日 51.8 37 41 56 66
TBS 23.6 17 18 27 30
東京 33.1 24 28 33 42
フジ 49.7 40 42 52 59
■は全体より統計的に高い*
0
10
20
30
40
50
60
14 年
98 99 00 01 02 03 (04) 05 06 07 08 09 10 11 12 13
(%)
40
34
25
40
35
25
40
34
27
40
36
24
37
28
43
35
34
21
46
30
23
44
29
26
44
28
27
51
26
23
56
25
19
54
25
20
47
29
23
47
27
26
41
37
23
39
36
25
短時間
(2 時間未満)
長時間
(3 時間以上)
中間
(2∼3 時間)
60
(%)
50
40
30
20
10
0
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年
37
28
34
43
21
35
47
23
29
46
23
30
44
26
29
47
26
27
44
28
27
51
23
26
56
19
25
54
20
25
56
20
23
短時間
(2 時間未満)
長時間
(3 時間以上)
中間
(2∼3 時間)
60
(%)
50
40
30
20
10
0
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17年
43
21
35
47
23
29
46
23
30
44
26
29
47
26
27
44
28
27
51
23
26
56
19
25
54
20
25
56
20 20
23
59 60
19
22 21
短時間
(2 時間未満)
長時間
(3 時間以上)
中間
(2∼3 時間)
60
(%)
50
40
30
20
10
0
05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 年
37
28
34
43
21
35
47
23
29
46
23
30
44
26
29
47
26
27
44
28
27
51
23
26
56
19
25
54
20
25
56
20
23
短時間
(2 時間未満)
長時間
(3 時間以上)
中間
(2∼3 時間)
・ サンプル数 :(全体)n1,(一部)n2
割合(%):(全体)p1,(一部)p2
・ z=「1.960」以上なら「有意水準(危険率)
5%で」有意差あり
p1
-p2
-
n1
n2
1 1
p1(100 -p1) ( )
z
* 全体に対する各年層の特徴をみるために,該当する層と,全体から
該当する層を除いた残りの層で「互いに独立な%の差の検定」を行っ
た結果。以下の検定式を用いている(以下同様)
は同水準で推移しており,録画番組やDVDを
再生するときの「DVD・ブルーレイディスクプ
レーヤー」の利用率も変わらないことから,録
画やDVDを視聴する人の増加は一段落した可
能性があると考えられる。一方で,インターネッ
ト動画を見る幼児の増加は続いている。
前年の報告
7)
では,
「携帯電話・スマートフォ
ン」や「タブレット端末」といったモバイル端末
の利用は,その伸びが止まったと述べた。し
かし今回の結果では,前々年までの傾向と同
様に,録画番組やDVD,動画を視聴する際
に幼児が使用する機器がモバイル端末へとシ
フトする動きは着実に続いているようである。
自由記述の回答欄
8)
からは,有料・無料の
動画サービス,放送と連動するデータ放送や
アプリなどを楽しむ幼児の姿が浮かび上がって
きた。また,保護者としては英語やしつけなど
子どもの教育に直接役立つ内容をテレビ番組
に期待する声がみられ,能動的にテレビ番組
を利用しようとする様子も垣間見えた。
幼児のテレビの接触者率や視聴時間の長期
的な減少傾向の背景には,映像視聴媒体や動
画配信サービスの多様化などメディア環境の
変化のほか,働く母親の増加
9)
,幼児の早寝
早起き化や保育園児の在園時間が長時間化し
ていること
10)
など幼児の生活環境の変化,メ
ディアや子育てに向き合う保護者の意識など,
さまざまな要因があると考えられる。
幼児のテレビ視聴の動向を引き続き注視し
ていくとともに,映像視聴行動に影響がある
と考えられる日常の生活行動や,保護者の意
識についても把握できるような調査の設計を
検討していきたい。
(ほし あきこ/わたなべ ようこ)
注:
1) 塚本恭子/吉藤昌代/斉藤孝信/行木麻衣「テ
レビ・ラジオ視聴の現況 ~2017 年 6 月全国個人
視聴率調査から~」『放送研究と調査』2017 年
9 月号
2) テレビ視聴,および録画番組や市販の DVD な
どの再生について,調査を開始した 1990 年か
ら 2012 年まで「家庭内での視聴のみ」として
いたが,デジタル録画再生機器の普及を背景に,
2013 年から「家族で移動中(車中など)の視聴も
含む」こととした。幼稚園や保育園での視聴は,
これまでどおり含めていない。
3) 白石信子「幼児で高い夕方のテレビ視聴 ~ 2000
年 7 月『幼児視聴率調査』から~」『放送研究と
調査』2000 年 11 月号で,幼児と母親の視聴時
間の関連性を述べている。
4) 高位番組には,1990 年代前半は視聴率 60%以
上,1990 年代後半は 50%以上,2000 年代は
2007 年を除き,40%以上の番組があった。2010
年以降は 30%以上の番組があったが,前々年に
初めて 30%を超える番組が 1 本もなくなった。
5) 調査週に放送がなかった年を除くと,「仮面ライ
ダーシリーズ」は,2000 年代前半は視聴率 35%
を超え,2007 年以降 2014 年まで 25%を超えて
いた。また「プリキュアシリーズ」は, 2005 年の
放送開始以降 2014 年まで視聴率 20%を超えて
おり,2005,2007,2009 年は 30%を超えた。
6) 「幼児生活時間調査」(2013 年 3 月,東京 50 キ
ロ圏に住む 0 歳(4 か月)~ 就学前の幼児 1,500
人を調査相手とし,NHK 放送文化研究所が実
施)によると,午前 8 時 30 分には,幼稚園児
の 45%,保育園児の 73%が在園している。
7) 星暁子「幼児のテレビ視聴と録画番組・DVD の
利用状況 ~2016 年 6 月『幼児視聴率調査』か
ら~」『放送研究と調査』2016 年 11 月号
8) 調査の付帯質問で,録画番組・DVD・インター
ネット動画・アプリについてお気に入りの番組名,
タイトルを尋ねているほか,NHK の幼児番組に
ついての自由記述欄を設けている。
9) 調査の付帯質問で母親の職業について尋ねて
おり, 専 業 主 婦 は 2007 年 の 65.7% から今 回
は 45.6% に,勤め人(フルタイム)は 2007 年の
12.4% から今回は 28.6%になっている。
10) 中野佐知子「幼児のテレビ視聴時間の減少とその
背景~幼児生活時間調査・2013 の結果から~」
『放送研究と調査』2013 年 11 月号で,幼児のテ
レビの行為者率・時間量の減少や,早寝早起き
化,保育園児在園時間の長時間化などについて
報告している。