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(1)

WHO方式がん疼痛治療法の

基本と薬物特性の理解」

明治薬科大学臨床薬剤学教室

加賀谷 肇

平成25年9月29日(日)

よみうりホール(東京都)

緩和ケアチームにおける薬剤師の

役割

【チーム内では薬物療法の専門家として活動する。 薬剤部内では緩和薬物療法の指導的役割を果たす】 (1) 患者の症状や治療計画を薬学的視点からアセスメントし立 案する。 薬学的視点とは、臓器機能、薬物動態、薬理学的特徴、相互作 用、配合変化、院内製剤の可能性、保険適応、費用対効果など である。 (2) 依頼者である担当医・病棟スタッフやチームメンバーに対し て、問題解決につながる薬剤の情報を提供する。 (3) 病棟薬剤師を支援、教育する。 (4) 緩和ケアにおける特殊な薬剤の使い方を薬剤部内に周知 する。 日本緩和医療薬学会:緩和ケアチーム 活動の手引き 第2版, 2013.6月一部改変

緩和ケアチームにおける薬剤師の

活動

■問題解決に参画する ① 身体症状、精神症状の原因をアセスメントする。特に、問題となる症 状が薬剤因性・相互作用ではないかを確認する。 ② 薬学的アセスメントに必要な情報(検査値、既往歴、禁忌薬剤、薬剤 使用歴、副作用歴、治療歴)を自ら収集し、薬物療法による リスクを回避する。 ③ 薬物療法実施時の注意点や観察点、対処方法を担当医や担当看 護師へ伝える。また、病棟薬剤師へ患者や家族に説明するよう助言し、 必要に応じ直接説明する。 ④ 緩和ケアチームのアセスメントやカンファレンス・回診で得られた情 報を病棟薬剤師へ伝える。 ■院内における緩和薬物療法のレベルアップ ① オピオイド換算表、鎮痛薬使用マニュアル、患者説明用パンフレット などの補助ツールを作成する。 ② 勉強会などにより緩和薬物療法に関する情報提供を行う。また、薬 剤師に対して緩和薬物療法に必要な知識や介入のポイントについて実 践指導、助言する。 日本緩和医療薬学会:緩和ケアチーム 活動の手引き 第2版, 2013.6月一部改変

緩和ケアにおける処方ガイダンス

•Evaluation(診断ないし評価):病気が患者と家族に与えている影響や患 者の症状の原因を評価(診断)する。 •Explanation(説明):治療を開始する前に、何が起こって、それにどう対処 していくのか、もっとも適切な対応法は何かについて患者に説明する。 •Management(マネジメント):補正できることの補正、薬以外の治療法、薬 による治療法の実施。 •Monitoring(監視、観察):治療の効果や副作用について頻繁な見直し、 症状緩和のための薬による副作用の最小化、効果の最大化を実現する 薬の最適な投与量。 •Attention to detail(細かい点にも配慮):根拠のない推測をしない:患者 の言うところに積極的に耳を傾け、言葉と言葉以外の表現で応える。

EEMMA

トワイクロス先生のがん緩和ケア処方薬、,監訳:武田文和、鈴木勉、(医学書院)pp565-566,2013.

WHOの5原則

• 経口投与を基本とする( by mouth)

• 時刻を決めて定時的に投与する(by the clock)

– 「疼痛時」のみに使用しない、分3ではなく、○時間ごと

• ラダーにそって痛みの強さに応じて(by the ladder)

– 痛みの強さに相応した段の薬の1つをまず投与

– 増量しても効果が不十分な場合はさらに上の段の薬に切り替 える

• その患者に見合った量を投与する(for the individual)

– 鎮痛効果と副作用のバランスが最もよい量、上限はない

• 患者に見合った細かい配慮をする(attention to detail)

– レスキュー、副作用対策、オピオイドの誤解をとく

Education for Pain and Pharmaceutical Palliative Care

WHO方式がん疼痛治療法 3段階ラダー

±特殊な痛みに対して用いられる薬剤 (抗けいれん薬、抗うつ薬、不整脈薬、ケタミンなど) 非オピオイド コデイン トラマドール ±非オピオイド モルヒネ オキシコドン フェンタニル ±非オピオイド 弱い痛みに 使う鎮痛薬 弱い痛みから 中くらいの痛みに 使う鎮痛薬 中くらいから 強い痛みに 使う鎮痛薬 非オピオイド コデイン トラマドール ±非オピオイド モルヒネ オキシコドン フェンタニル ±非オピオイド

(2)

WHO方式がん疼痛治療の鎮痛薬リスト

(WHO 1996から引用) 薬剤群 代表薬 代替薬 非オピオイド アスピリン 鎮痛薬 アセトアミノフェン ジフルニサル(ドロビットR製造中止) イブプロフェン ナプロキセン(ナイキサンR インドメタシン ジクロフェナック(ボルタレンR 弱オピオイド コデイン ジヒドロコデイン 鎮痛薬 あへん末 トラマドール(トラマールR、クリスピン 強オピオイド モルヒネ メサドン(2013年3月発売) 鎮痛薬 ヒドロモルフォン(日本では未使用) オキシコドン(オキシコンチンR,オキ ノー ムR オキファスト ブプレノルフィン(レペタンR ペチジン(塩酸ペチジンR (がん緩和ケアに関するマニュアル 厚生労働省・日本医師会監修 平成22年版改変) 痛みの包括的評価 ● 痛みの包括的評価 (痛みの原因の評価・痛みの評価) ● 原因に応じた対応 ・がんによる痛み (外科治療・化学療法・放射線治療) ・がん治療による痛み ・がん・がん治療と直接関係のない痛み ・オンコロジーエマージェンシー ・特定の病態による痛み 腎機能障害・消化性潰瘍・出血傾向 ● アセトアミノフェン ● NSAIDs またはアセトアミノフェン ● 消化性潰瘍の予防薬の投与を検討する ● オピオイドの開始 鎮痛効果が不十分な場合に検討すること ● 痛みが軽度の場合、他のNSAIDSへの変更、 アセトアミノフェンとNSAIDsの併用を検討してもよい 軽度の痛み なし あり がん疼痛の薬物治療に関するガイドライン2010年版 P105

NSAIDsの選択を考える

・ 長期間、安全に継続投与できること

NSAIDs単独での鎮痛は不要

(モルヒネとの併用で優れた鎮痛効果があればよい)

・ 坐剤は第一選択ではない

(ジクロフェナク、インドメタシンは長期投与で副作用大)

・ 頓用指示での開始は不適切

・ 作用時間と投与間隔を考えた選択

生理的刺激 COX-1常時発現 プロスタグランジン 基礎分泌 ・血小板凝集能 ・腎血流量維持 ・胃粘膜保護 炎症刺激 COX-2誘導 炎症時 プロスタグランジン分泌 浮腫 痛み 発熱 NSAIDs COX-1阻害 COX-2阻害 抗凝固作用 腎機能障害 胃粘膜障害 抗炎症 作用 COX-1とCOX-2の働きとNSAIDsの影響

非ステロイド性抗炎症薬のCOX

選択性による分類

COX選択性 非ステロイド性抗炎症薬 COX-2阻害薬 セレコキシブ,エトドラク,メロキシカム ジクロフェナク,メフェナム酸,ザルトプロフェン,ロキソプロフェン スリンダク,ナブメトン,ピロキシカム,イブプロフェン,ナプロキセン フェノプロフェン,アスピリン,トルメチン,インドメタシン COX-1阻害薬 フルルビプロフェン,オキサプロジン,ケトプロフェン,モフェゾラク

高田朋彦 et al. :NSAIDsの薬理:分類と特徴、Pain Clinic Vol.33 No.2, 174-186,2012

Cycloxygenase阻害と心血管系リスク

ーsystematic reviewー

薬物 Summary relative risk セレコキシブ 1.06 ロフェコキシブ 1.35 メロキシカム 1.25 ナプロキセン 0.97 ジクロフェナク 1.40 イブプロフェン 1.07 インドメタシン 1.30 ピロキシカム 1.06 その他のNSAIDs 1.10

McGettigan P. et al. : A systematic review of the observational studies of selective and nonselective inhibitors of cyclooxygenase 2. JAMA 296:1633-1644,2006

(3)

13 NSAIDsとアセトアミノフェン 侵害刺激 組織障害 発痛物質 感作作用 神経伝導 脊髄 大脳辺縁系 脳幹毛様体 視床 大脳皮質 原因除去 発痛物質産生抑制薬(ブラジキニン産生抑制薬) 拮抗薬(ブラジキニン受容体拮抗薬) 酸性非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニン等NSAIDs) PG産生抑制薬(プレドニン等ステロイド) 局所麻酔薬(リドカイン等) 感情的修飾 塩基性非ステロイド性抗炎症薬(ソランタール等) 麻薬性鎮痛薬(モルヒネ等) 中枢抑制薬(笑気ガス等) 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン等) (火やナイフなど) (火傷や切り傷など) (ブラジキニンなど) (プロスタグランジンなど) (Aδ線維、C線維) (プロスタグランジン) (痛覚伝導) (下行性抑制路) など 炎症 14 NSAIDsとアセトアミノフェン 作用機序 効能・効果 副作用 解熱 鎮痛 消炎 消化器潰 瘍・出血 腎毒性 血小板機能 肝毒性

NSAIDs

ロキソニン、ボルタレン、 ポンタール など 末梢性COX-2活性阻害 ○ ○ ○ ✓ ✓ ✓ ± アセトアミノフェン カロナール、ピリナジン など 中枢性で作 用 ○ ○ ※ ✓ 「過量摂取の後に急性腎毒性が生じた事が報告され、更に、アセトアミノフェンによる腎障害 の機序として理論的に可能性の高いものが提案されている。しかし、全米腎臓財 団の方針説明書では、適量のアセトアミノフェンを習慣的に長 期服用しただけで鎮痛薬による腎障害の原因となる事を示唆 する臨床的証拠はほとんどないと指摘している。」 (「痛みの治療薬 その基礎から臨床まで」 原著者 Howard S. Smith MD 監修 井上哲夫他 エルゼビア・ジャパン)より 15 <製品情報>血中濃度:中毒域 投与後時間(時間) 図 血漿中濃度推移 血漿中濃度推移( μg/ m L ) 20 16 12 8 4 0 0 2 4 6 8 10 12 200 治療上有効な血中濃度5~20μg/mL 中毒域と有効域が大きく離れており、安全性が高い アセトアミノフェンの血中 濃度の測定には診療 報酬が適用されま す。(アセトアミノフェ ン精密測定) アセトアミノフェン1回5g以上の服用では何らかの肝障害を来たし、1回15g以上では劇症化する。 服用後の血中濃度4時間値が200μg/mL、12時間値が50μg/mLのラインを越すと約60%に高度 の肝障害を生じる。 別の文献では、摂取4時間後の血中濃度が300μg/mLを越えるとき激しい肝障害を生じる。

アセトアミノフェンの1日投与量

山口重樹他:ペインクリニック 29(5) 606-613,2008 改変

1回の最大投与量 1日の最大投与量

日本

500mg

*

1500mg

*

韓国

1000mg

4000mg

米国

975mg

3950mg

英国

1000mg

4000mg

*2011年1月、成人における用量は

1回300~1000mg、1日4000mgまで拡大された

がん疼痛治療薬(弱オピオイド)

コデイン コデイン末 コデイン散 コデイン錠 ・基本薬 ・モルヒネに代謝されて鎮痛効果を発揮 ・鎮痛効果はモルヒネの約1/10 ・アジア人の約1~2%が代謝酵素欠損のためコデイ ンの鎮痛効果が期待できない ・原末,10倍散は麻薬。100倍散は非麻薬 トラマドール トラマール錠 トラマール注 ・弱いオピオイドμ受容体親和性とシナプスでのノル アドレナリン、セロトニンの再吸収阻害による鎮痛効 果 ・鎮痛効果は経口でモルヒネの1/5,注射では1/10 ・嘔気・嘔吐は約20-30% ・大量投与での痙攣の報告がある。併用薬注意 薬剤名 生物学的利用 率(%) Tmax (h) 血漿中半減 期(h) 効果持続時 間(h) コデインの 活性比 コデイン 40(12~84) 1~2 2.5~3.5 4~6 1 トラマドール 75 2 6 4~6 1

弱オピオイド鎮痛薬

トワイクロス先生のがん緩和ケア処方薬:武田文和、鈴木勉監訳,医学書院,pp319,2013

(4)

トラマドールの処方と増量の方法

初回投与 レスキュー トラマドール 100mg/日 分4 朝・昼・夕・就寝前 トラマドール 25mg トラマドール 200mg トラマドール 300mg

モルヒネ、オキシコドンへの

変更を考慮

= 経口モルヒネ20mg/日 経口モルヒネ 60mg/日 = 経口モルヒネ換算で 60mg/日以上が必要 なときは強オピオイドへ

がん性疼痛に対するオピオイドの使用方法

オピオイド導入 腎機能障害無 コデイン 経口可:モルヒネ、オキシコドン 経口不可:モルヒネ注、坐、 オキシコドン注 腎機能障害有 経口可:オキシコドン 経口不可:フェンタニル注、フェンタニ ルパッチ(先行オピオイド有のとき)

強オピオイドの比較

モルヒネ

フェンタニル オキシコドン

剤 形 末、錠剤、液剤、徐放製剤、 坐剤、注射剤 貼付剤、注射剤 (フェンタニルクエン酸バッカル錠) 徐放錠、速放散剤、 注射剤 代謝臓器 肝 肝(CYP3A4) 肝(主にCYP3A4) 活性代謝物 M6G - ± 腎障害の影響 +++ - ± 嘔気・嘔吐 ++ ± + 便秘 ++ ± ++(+++) 眠気・傾眠 ++ ± + せん妄 ++ ± + 呼吸抑制 + + + 掻痒 ++ - + レスキュー モルヒネ モルヒネ、 オキノーム オキノーム 的場 元弘ほか : ターミナルケア,13(1),11(2003)を一部改変

オピオイド鎮痛剤の種類

一般名 主な販売名 剤形 弱 オピオイド 鎮痛薬 コデイン コデインリン酸塩 経口剤 トラマドール トラマール 経口剤、注射剤 強 オピオイド 鎮痛薬 モルヒネ MSコンチン アンペック 塩酸モルヒネ注 経口剤、注射剤、 坐剤 オキシコドン オキシコンチン オキノーム オキファスト 経口剤、注射剤 フェンタニル デュロテップMT フェントステープ フェンタニル注射液 貼付剤、注射剤 メサドン メサペイン 経口剤 22 日本緩和医療学会; がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010 年版, 日本緩和医療学会 緩和医療ガイドライン作成委員会(編), 改変 先行オピオイド鎮痛薬 先行薬:オキファストの1日投与量(整数比) 経口オキシコドン製剤 1 : 0.75 (4:3) 経口モルヒネ製剤 1 : 0.5 (2:1) モルヒネ注射剤 1 : 1.25 (4 : 5) モルヒネ坐薬 1 : 0.8 (5 : 4) 複方オキシコドン注射剤 (オキシコドン塩酸塩量として) 1 : 1 フェンタニル注射剤 1 : 62.5 フェンタニル貼付剤 (1日あたりの放出量から計算) 1 : 41.7

他のオピオイドからのオキファストへの

切り替え時の投与量比率

オキシコドン注射剤国内臨床試験概要より抜粋

メサドンの臨床的位置づけ

24 WHO三段階除痛ラダーより一部改変 海外では、メサドンは他の強オピオイドと同じ位置づけです。ただ し、本邦では、メサドンの特性により、WHO三段階除痛ラダーの 三段階で使用するモルヒネ等とは同じ位置づけではありません。 『メサペイン錠5mg/同10mg 適正使用ガイド 』P16

(5)

薬効・薬理 ーオピオイド受容体ー

25 主なオピオイド鎮痛剤における各オピオイド受容体への親和性 オピオイド μ受容体 δ受容体 κ受容体 メサドン 2.9±0.9 358±119 1427±249 モルヒネ 1.7±0.5 104.57±27.18 65.5±22.6 オキシコドン 43.9±7.04 2160±397 5943±671 フェンタニル 0.71±0.27 51.16±12.98 86.0±24.0

Peckham,E.M. et al; J.Pharmacol.Exp. Ther.,316(3),1195-1201(2006) Mean ± SE(nM, n = 3) 『メサペイン錠5mg/同10mg 適正使用ガイド 』P17 ―Ki値(μM)―

メサドンの特徴

• オピオイドと非オピオイドの性質を有する • μオピオイド受容体アゴニスト作用をもつ • 鎮痛効果はモルヒネとほぼ同等 • Bioavailabilityは約85% • 薬物動態の個体間変動が大きい(CYP3A4及びCYP2B6の酵 素自己誘導能及び誘導率に個体間格差がある(in vitro) • 消失半減期(8~59時間)は鎮痛作用の持続時間(8~10時 間)よりも長い • 定常状態に達するのに約7日(本剤は7日間増量しないこと) • ほとんどが肝臓で代謝され、代謝物は不活性であり腎排泄か 糞便中に排泄される • 非オピオイドの作用としてはセロトニン、ノルアドレナリン再取 り込阻害作用、NMDA受容体拮抗作用を有し神経障害性疼 痛に対する有用性が期待 1)CYP分子種やP 糖蛋白による影響 本剤の代謝に係るCYP3A4及びCYP2B6 等のCYP分子種が多岐にわたること、P糖 蛋白の基質であることが変動要因となる 可能性。 2)尿のpHによる影響 塩基性薬物であるメサドンは、尿がアルカ リ化することで再吸収される(図)。尿pH等 が変動要因となる可能性。 3)酵素自己誘導による影響 CYP3A4及びCYP2B6の自己誘導能 及び 酵素の誘導率に個体間差が確認されてい る(in vitro)。 27

薬物動態の個体間変動が大きい理由

Nilsson,M.I. et al.; Eur.J.Clin.Pharmacol., 22(4), 337-342(1982)

尿pHによるメサドンの腎クリアランスの 影響(海外) n=17 (健康成人5例と オピオイド中毒患者12例) 注)測定ポイントは各例 により異なる 『メサペイン錠5mg/同10mg 適正使用ガイド 』P31 ■メサペイン錠の特性 薬物動態■

薬物動態の個人差

警告(一部抜粋) 3.本剤の薬物動態は個人差が大きく、さらに呼吸抑制は鎮痛効果よりも遅れて発現する ことがある。また、他のオピオイド鎮痛剤に対する耐性を有する患者では、本剤に対す る交差耐性が不完全であるため、過量投与となることがある。 <用法及び用量に関連する使用上の注意>(抜粋) 1.初回投与量 (1)本剤の薬物動態は個人差が大きく、他のオピオイド鎮痛剤との交差耐性が不完全で あるため、本剤と他のオピオイド鎮痛剤の等鎮痛比は確立していない。 ☑ 薬物動態は個人差が大きく、特に切り替え時に過量投与(呼 吸抑制等の発現)になる可能性があります。 (他のオピオイド鎮痛剤との等鎮痛比は確立しておらず、添付文 書の換算表は目安でしかない) ☑ 他のオピオイド鎮痛剤を使用し耐性がある患者では、本剤切 り替え後、過量投与になるリスクが高くなります。 28 『メサペイン錠5mg/同10mg 適正使用ガイド 』P28、58

メサドンの注意点

 重大な副作用 ◦ QT延長 ◦ 呼吸抑制  他の強オピオイドとの交差耐性が不完全 ◦ 他の強オピオイドで治療困難な場合にも有効である可能性 ◦ (特に)切り替え時に過量投与となる可能性  個人差の大きい薬物動態 ◦ (特に)切り替え時に過量投与となる可能性  長い消失半減期等 ◦ 定常状態に達するまでに約7日 ◦ 消失半減期(8~59時間)は鎮痛作用持続時間(8~10時間) より長い  確立していない他の強オピオイドとの等鎮痛比 ◦ 交差耐性の不完全さ、薬物動態の個人差等による ◦ 添付文書にはモルヒネからの換算表を目安として記載 29 「なお、メサドンから他の強オピオイド鎮痛薬への変更について は換算比が確立していないため、切り替えが必要な場合は経 験のある専門家にコンサルトすることが勧められる。」

承認条件及び対応

1.がん性疼痛の治療に精通した医師によってのみ処方・ 使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に 管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬 局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前 に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよ う、製造販売にあたって必要な措置を講じること。 2.国内での治験症例が極めて限られていることから、製造 販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまで の間は、全症例を対象とした使用成績調査を実施するこ とにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、 本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集 し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。 30 適正使用に係る情報提供及び流通管理の実施等 全例調査の実施と得られた情報の提供等

(6)

各種オピオイド換算式(mg/日)

ローテーションの種類 換算式(注意事項) 1)コデイン内服 ⇒ モルヒネ内服 コデイン投与量x1/6 2)トラマドール内服 ⇒ モルヒネ内服 トラマドール投与量x1/5 3)ブプレノルフィン坐薬⇒ モルヒネ内服 投与量x50 4)モルヒネ内服 ⇒ オキシコドン内服 モルヒネ投与量x2/3 5)モルヒネ内服 ⇒ モルヒネ持続静注、 持続皮下注 モルヒネ投与量x1/2 6)モルヒネ内服 ⇒ モルヒネ直腸内投 与 モルヒネ投与量x2/3 7)モルヒネ持続静注⇒オキシコドン持続静注 モルヒネ1日投与量x1.25 (モルヒネ投与中止後に開始) 8)オキシコドン内服⇒オキシコドン持続静注 オキシコドン1日投与量x0.75 (経口薬の次回投与予定時間に開始) 9)モルヒネ内服⇒フェンタニル持続静注 モルヒネ投与量1日量x1/100 (維持量は、0.1~3.9mg/日と個人差が大 きいので、0.1~0.3mg/日から開始する) 佐伯茂:オピオイド・ローテーション,Pain Clinic,vol33,s309-318,2012

オピオイドローテーション、投与経路

の変更、大量のオピオイドの場合

・換算比にはばらつきがある ・交差耐性は不完全 ・その他、症状や臓器障害、消化機能などにも個人差がある

どのような換算比を用いようと、大切なのは

その後の観察: 副作用と鎮痛を 細やかにモニタリング 必要に応じて 投与量の微調節 を迅速に行う 患者・家族の 希望を確認する

オピオイドローテーション時の留意点

埼玉県立がんセンター 緩和ケア科 科長 余宮きのみ先生

症例

• 60歳代男性胃癌、肝転移

• 右季肋部痛を訴えている

• さて、どうしますか?

臨床疑問

• 痛みはどうやって評価するの?

• 最初は何を使うの?

• オピオイドの始め方は?

• オピオイドを使っているが、痛がっています

• 副作用で困っています

アセスメント

:痛みはどうやって評価するの?

医師の診断

• 痛みの診断は、患者の訴え(痛みの強さ、経

過)、理学的診察所見

• 画像診断(最近のもの)が重要だが、陽性所

見がないこともある

• 痛みのある部位、所見のある部位

• 原因を特定する

• 原疾患の治療(外科的治療、化学療法、放射

線療法)を考え、判断できない場合は早期に

コンサルテーションする

(7)

治療1:最初は何を使いますか?

• 痛みの強さに相応した段の薬を定時投与する

• NSAIDsの場合⇒鎮痛効果と副作用を考慮した選択

– 腫瘍熱がある場合はナプロキセン(半減期14時間)が使われ ることが多い – 胃腸障害、腎障害があるときはアセトアミノフェンを投与する

• 胃潰瘍の予防

– プロスタグランジン製剤(サイトテック)、H2ブロッカー、 プロトンポンプ阻害薬、治療目標とコンサルテーション

• 1~3日で効果を判定:不十分ならばオピオイド開始

治療2:オピオイドを開始する・・

• オピオイドは定時投与

– 「3食後」「疼痛時」ではなく、時刻を決めて定時的に投与 する

• NSAIDsは中止しないで、併用

• オピオイドの選択:経口投与可能か、腎障害は?

– 経口投与が原則:モルヒネかオキシコドンかコデイン – 腎障害ではモルヒネは使用しない

• 最少量から開始

– 体格が小さい、高齢者、全身状態が不良な場合は半量

• 「中毒になる」、「寿命がちじまる」という誤解の払拭

・・オピオイドを開始する

• レスキュー・ドースの指示 – 疼痛の悪化にそなえて、必ずレスキュー・ドースの指示をだす – 徐放製剤と同じ種類のオピオイドを選択する – 反復条件、反復間隔、1日最大使用回数を明示する – 内服、坐薬:オピオイド1日量の1/6量(10~20%)を1時間あけて反 復可。1日4回まで – 注射:持続注射は1時間量を早送り。呼吸数≧10回/分、眠気(-) なら50%増量可。30分あけて反復可。1日6回まで • 嘔気・便秘の予防 – 下剤の投与 – 制吐剤を併用し、2週間後に嘔気がなければ中止。 • 治療目標とコンサルテーション - 1~3日で効果を判定する - 患者が腎障害がある、75歳以上、認知症がある、精神症状のリス クが高いときはコンサルテーション 3ステップ実践緩和ケア、木澤義之、森田達也、他、青海社、pp.23,2013

治療3:オピオイドを使っているが、

痛がっています・・・

区別すること

• 安静時痛(1日を通してずっと痛い)か、

– 突出痛(普段の疼痛はないが、1日に数回強い痛

みがある)か

• 嘔気・眠気が強い場合はコンサルテーション

する

・・・オピオイドを使っているが、

痛がっています:

安静時痛

• STEP1:NSAIDs

– NSAIDsを最大投与量まで増量する

• STEP2 定期オピオイドの増量:

– 痛みが軽くなるか眠気・嘔気が生じるまで、上限はない – 増量は30-50%ずつ、1-3日で評価 – 定時オピオイドを増量したら、レスキュー・ドースも増量

• STEP3 オピオイドローテーション・鎮痛補助薬

– コンサルテーション

・・・オピオイドを使っているが、

痛がっています:

動作時痛

• STEP1 以下のような医師へのサポート • NSAIDsを最大投与量まで増量、骨転移の場合、動揺性を減らす (手術・ コルセット) – 定j時オピオイドの前に毎回痛くなる)場合、定時オピオイドを増量 • STEP2 十分量のレスキュー・ドースを処方依頼 – レスキューの使い方の指導 • 「痛みが強くなってからではなく、痛みの初期に使用する」 • 「食事前や入浴前にあらかじめ使用する」 • 「痛くなったらすぐ飲めるように薬剤を手元においておく」 • STEP3 定時オピオイドの慎重な増量 – 眠気をきたさないように

(8)

緩和ケアチームにおいて薬剤師が

さらに担わなければならないもの

• 患者や家族の問題点に対して薬学的な視点から

アプローチし、チームが提供する薬物療法を積極的

にサポートすること。

• コンサルティ(助言者)やチームメンバーに対し、薬

剤全般に関する情報提供を行うこと。

• 薬剤部や地域の薬局と連携し、緩和ケアにおける

薬学的な介入のレベルアップに努めること。

薬物療法に責任をもつ

緩和ケアに携わる医療者 の座右の書として推薦し ます。 Ⅰ編 薬剤情報 1 消化管系 2 心臓血管系 3 呼吸器系 4 中枢神経系 5 鎮痛薬 6 感染症 7 内分泌系と免疫系 8 尿路系 9 栄養と血液 10 筋・骨格および関節疾患 11 耳・鼻・咽喉 12 皮膚 13 麻酔薬 Ⅱ編 基本知識 14 緩和ケアにおける処方ガイダンス 15 オピオイドの効力換算比 16 オピオイド依存症の患者における 手術後の痛みのマネジメント 他

緩和医療において態度は知識や技能より優先される

べきである。

Dr. Robert Twycross

“Hope needs Goal”

参照

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正会員  黒 木 義 彦 †1 , 高 橋 春 男 †2 , 日下部 正 宏 †3 , 山 越 憲 一 †4 Yoshihiko Kuroki †1 ,  Haruo Takahashi †2 ,  Masahiro Kusakabe

このうち糸球体上皮細胞は高度に分化した終末 分化細胞であり,糸球体基底膜を外側から覆い かぶさるように存在する.

②教育研究の質の向上③大学の自律性・主体 性の確保④組織運営体制の整備⑤第三者評価

• 家族性が強いものの原因は単一遺伝子ではなく、様々な先天的要 因によってもたらされる脳機能発達の遅れや偏りである。.. Epilepsy and autism.2016) (Anukirthiga et

NGF)ファミリー分子の総称で、NGF以外に脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフ

④日常生活の中で「かキ,久ケ,.」音 を含むことばの口声模倣や呼気模倣(息づかい

消防庁 国⺠保護・防災部

⑫ 亜急性硬化性全脳炎、⑬ ライソゾーム病、⑭ 副腎白質ジストロフィー、⑮ 脊髄 性筋萎縮症、⑯ 球脊髄性筋萎縮症、⑰