• 検索結果がありません。

第 1 章 助 け 合 いをしない 前 提 のおつき 合 い 冒 頭 のテスト 各 地 での 講 演 会 で 手 を 上 げてもらうと 多 くの 人 は10 個 のうち7つか ら9つほどに が 付 くようです それもそのはず これらは 日 本 人 のおつき 合 いの 常 識 な のですから しかしこ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第 1 章 助 け 合 いをしない 前 提 のおつき 合 い 冒 頭 のテスト 各 地 での 講 演 会 で 手 を 上 げてもらうと 多 くの 人 は10 個 のうち7つか ら9つほどに が 付 くようです それもそのはず これらは 日 本 人 のおつき 合 いの 常 識 な のですから しかしこ"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

住民流福祉総合研究所

<代表・木原孝久>

あなたの「おつき合い」の流儀は?

まず自分のおつき合いの流儀を確認するテストをやってみてください。以下の項目で 「私もそう思う」というものに○印を、「そうは思わない」に×印をつけます。ここでは ○か×かのどちらかに決めてください。さて、あなたは○がいくつ、つきましたか。 ➊自分や自分の家族のことは隠しておきたい ➋自分のことがご近所で噂されるのはイヤ ➌人に助けを求めるのは苦手だ ➍人に迷惑をかけることだけは絶対にしたくない ➎人のことはなるべく詮索しないようにしている ➏誰かが認知症だと気づいても、誰にも言わないようにしている ➐困っている人にはお節介と言われない程度に関わる ➑引きこもるのにも事情があるから、無理にこじあけるべきでない ➒お互いのプライバシーは十分に尊重し合うべきだと思う せんさく

なぜ日本人は、

助け合い

が苦手なのか?

〒350-0451 埼玉入間郡毛呂山町毛呂本郷1476-1 電話・049-294-8284 FAX・049-294-8283 Eメール kiharas@msh.biglobe.ne.jp ホームページ http://www5a.biglobe.ne.jp/~wakaru/

(2)

第1章 助け合いをしない前提のおつき合い

冒頭のテスト。各地での講演会で手を上げてもらうと、多くの人は10個のうち7つか ら9つほどに○が付くようです。それもそのはず、これらは日本人のおつき合いの常識な のですから。しかしこれでは助け合いはできません。○印が多い人は、「助け合いはした くない」と言っているのと同じなのです。日本人のおつき合いは、助け合いをしない前提 で成り立っているのです。

⑴あなたが助けられる立場になった時

(➊~➍)

10項目を「助け合い」の観点から3つに分けて考えてみます。まず「助けられる側」 から見ると、以下の4項目が該当します。これに○がつけば、どういうことになるのか、 →印で示してあります。要するに「私のことは放っておいて」と言っているのです。周り も、助けの手を出せない。

➊自分や自分の家族のことは隠しておきたい

→人の困り事が周りに気づかれない。

➋自分のことがご近所で噂されるのはイヤ

→困り事の情報が周りに伝わらない。

➌人に助けを求めるのは苦手だ

→「頼まれたら助ける」のが日本人。これでは手が出せない。

➍人に迷惑をかけることだけは絶対にしたくない

→迷惑をかけたくないと思えば「助けて!」とは言えなくなる。

●「夫は認知症です」と周りに言えるか?

夫が認知症になってもご近所には隠し通すのが日本人です。しかし、知らなければ助け ようがありません。助け合いはわが家の問題をオープンにすることから始まるのです。 わが家のことがご近所の噂に上るのも嫌う。それでは情報が周りに広がらない。認知症 で徘徊を始めたら、たくさんの人に知ってもらわねばならないのに、それが阻まれる。 加えて「助けて!」が言えない。講演会場で「困った時に『助けて!』と言える人は?」 と聞くと、「言える」と答えるのは、3%から5%。ほとんどの人が言えないのです。

(3)

●「頼まれたら助ける」

。しかし「頼む」人はほとんどいない

長野県須坂市が、住民に「あなたは足元に困った人がいたらどうしますか?」と聞いて みました。①「頼まれなくても助ける」が23%。②「頼まれたら助ける」が72%。「断 る」が5%。日本人の善意は受け身型なのです。 困った時に「助けて!」と言える人が3~5%では、「頼まれたら助ける」の72%は 手の出しようがありません。日本人が助け合いができない最大の原因が「助けを求めるこ とができない」点にあることがわかります。助けを求めるとなると、相手にああしてこう してと頼むのですから、迷惑をかけることになります。日本人はこれができません。

⑶あなたが助ける立場になった時

(➎~➑)

今度は「助ける側」から見てみましょう。関連しているのは、以下の4項目です。

➎人のことはなるべく詮索しないようにしている

→詮索するほどの積極性がないと、人々の困り事は見えない。

➏誰かが認知症と気付いても、だれにも言わないようにしている

→それでは困り事の情報が周りに伝わらない。

➐困っている人には、お節介と言われない程度に関わる

→そんなに消極的な姿勢では、人は助けられない。

➑引きこもるのにも事情があるから無理にこじ開けるべきではない

→だから、孤立死が生まれるのだ。

72% 頼まれたら助ける 頼まれなくても助ける 断る 23% 5% 言える (3~5%) 言えない 足元で困った人がいたら? 困ったとき「助けて!」と言えるか?

(4)

●「受け身の善意」は結局、助け合いの役に立たない

この4つとも○印をつけた人は、要するに「困った人がいても助ける気はない」と言っ ているのです。「人のことは詮索しない」は、困った人がどこにいるか知ろうとしないと いうこと。「詮索」という言葉自体に、あまり好ましくない行為というイメージが貼りつ いているのが気になります。自分のことは知られたくない、隠したいという癖が残るこの 国では、助ける側が積極的に詮索しようとしなければ、助けられないのです。 こうなると女性の詮索好きは、助け合いを広げるためには貴重な資質で、むしろ「人の ことを詮索するな」と奥さんを叱るご主人こそ、助け合いに不向きなのです。 「誰かが認知症と気づいても、だれにも言わない」のは、いかにも紳士的に見えますが、 これでは困った人の情報が広まりません。「私は口が堅い」と自慢するのは、助け合いの 観点からは、好ましいとは言えないのです。

●「詮索」

「お節介」

「こじあけ」-みんな悪い意味に使われている

元々日本人は助けを求めることができないのですから、助ける側が「お節介」と言われ ようが強引に関わらないとどうしようもありません。先ほどの調査で「頼まれなくても関 わる」と答えた人が23%いました。この人こそが助け合いには貴重な存在なのです。 引きこもりの人がいても、その人なりの事情があるのだから無理にこじあけるな、とい えば、「それはそうだ」と納得しそうですが、だから孤立死が生まれるのです。

⑷あなたのご近所づき合いの流儀は?

(➒~➓)

最後は、私たちのご近所づき合いのあり方です。

➒お互いのプライバシーは十分に尊重し合うべきだと思う

→「あなたのことは放っておきます(助けない)

」ということ

➓隣人とはあまり深入りせず、ほどほどのおつき合いを心がけている

→困り事は言い合わない、つまり助け合いをしないご近所関係

●互いに相手の懐に入らない「浅い関係」が好き?

「俺はプライバシーを尊重する主義だ」と言えば、良識人に聞こえます。しかしこれは、 相手のことをなるべく知らないようにしてあげる、そして他の人にも知られないようにし

(5)

てあげる配慮でしょう。そんな配慮をすれば、その人が困っても、だれもそのことを知ら ないのですから、結果として助けないのと同じことになります。 都会の主婦がよく言います。「ぬかみその中まで見せ合う関係はイヤ。互いのプライバ シーまで踏み込まない、スマートなおつきあいをしよう」と。実質は「なにか困ったこと がある?」と仲間に聞かれても、「べつに…」と答える関係です。互いに相手の懐深くに は入らない、浅い関係を維持しようというわけです。自分の身に何も起こらねば、それで いいのでしょうが、何か困ったことが起きたら、アウトです。

⑸助け合いができる新しい常識を作っていこう

助け合いはきれいごとではないと思い知るべきです。本当に助け合いたいのなら、下の ように、助けられる側、助ける側の双方が、受け身の姿勢から攻勢に出るのです。 助けてもらうには、隠したいことをオープンにしなければならない。周りも、その人の プライバシーに踏み込み、家庭の内情を聞き出し、強引に関与していかねば、助けられま せん。助け合いをめざすための新しいおつき合いのあり方を並べてみましょう。「おつき 合い憲章」として掲げてみたらどうでしょうか。

<助けられる側>

<助ける側>

⑴隠さない。打ち明ける 相手のことを詮索する

⑵噂話にされてもいい 周りに言いふらす

⑶「助けて!」と言う お節介する。こじあける

(6)

第2章 助け合いが始まるための十カ条

⑴ 世話焼きさんにお墨付きを与えよう

地域には一定割合で「世話焼きさん」がいます。彼女(大抵は女性)は「出しゃばり」「お節 介」と陰口を叩かれながらも、常にまわりの人の困り事を探ろうと目を光らせ、支援の手 を伸ばしています。「足元に困った人がいたらどうするか?」という質問に「頼まれなく ても助ける」と答えた23%の人たちです。驚くべし、「頼まれなくても関わる」という お節介さんが、日本人の4分の1もいるのです。 下のマップを見て下さい。左下のAさんが大型世話焼きさん。ご近所のおよそ10名の 面倒を見ています。青い点線で囲ったのが小ご近所。この小ご近所ごとに中型の世話焼き さんがいます。赤い印がしてあります。 助け合いはこの人たちがリードすれば可能になるのです。今でもそこそこの助け合いは 彼女たちのおかげで実現しているのです。 彼女らが大手を振って活躍できるように、なにかお墨付きをあげればいいでしょう。例 えば自治会長とか民生委員といった肩書きが与えられれば遠慮することなく人の面倒が 見られるのです。 大型世話焼きさん 中型世話焼きさん

(7)

⑵みんなでお節介をすればこわくない

世話焼きさんは、困った人がいたら気になって、その人の問題が解決するまで落ち着か ないと言います。貴重な人材なのですが、ただ周りに「お節介」「出しゃばり」と陰口を たたかれるのが気になるのです。しかし世話焼きさんによっては、この壁を自ら取り除い ている人もいます。陰口はあくまで陰口であって、面と向かって「あんたは出しゃばりな んだよ」などとまで言える人はまずいないでしょう。ならば、世話焼きさんたちが一致団 結して、「皆でお節介をすればこわくない」と勇気を出しあったらどうなのか。 「お節介同盟」をご近所ごとに結成したらどうでしょう。団地などで、各階に大小の世話 焼きさんがいるので、チームを作って要援護者の支援に動いているケースも見かけられま す。「同盟」などと銘打つまでもなく、なんとなくそんな感じのチームを作るのなら抵抗 はないはずです。

⑶「助けられ上手さん」を表彰しよう

助け上手さんが世話焼きさんだとすれば、もう一方の助けられ上手さんも、社会に一定 数存在していることがわかってきました。 広島市内のある高齢者夫婦。車椅子生活の夫を妻が介護していました。その妻が見事な 「助けられ上手」ぶりを発揮していました。夫を病院に連れていく時は、町内会長さんに 車で運んでもらう。自分は介護のために外へ出られないのでと、何人かのご近所さんに「家 に遊びに来てね」。車椅子を押すのに苦労する時は、あなたとあなた、車いすを押してね とお願いする。介護生活でストレスがたまると、趣味グループに「私も入れてね」。こう やって、自分の困り事をすべて、ご近所の人の手で解決してもらっていたのでした。皆さ ん、喜んでやってあげていました。 日本人の72%の人は「頼まれたら助ける」ことが調査でわかっています。ご近所にた った1人でも「助けられ上手さん」がいると、周りの善意が一斉に働き始めるのです。

(8)

助けられ上手さん 助けられ上手さん助けられ上手さん 助けられ上手さん助けられ上手さん 助けられ上手さん助けられ上手さん 助けられ上手さん

車イスを

押して!

家に来てね

グループに

入れて!

車で運んで!

助けられ上手になりましょうと説くと、男性はこう言います。「それじゃ、俺もプライ ドを捨てて、助けて!と言うか」。助けを求めるにはプライドを捨てなければならないと 思っているようですが、これは大きな間違いです。 長野県須坂市の車いす生活のUさんは毎日、買い物に出かけるたびに、周りの人に車い すを押すなどのお手伝いをお願いしています。彼はこの行為で、市の助け合い推進大会で 表彰されました。表彰状にはこうありました。「助け合い推進貢献賞」。助け合いがうまく いくには、助ける側と助けられる側の双方が協力し合う必要があるのです。

⑷子どもの頃から「助けて!」の練習を

助け合いが始まるための近道は、だれもが気軽に「助けて!」と言えるようになること です。とにかく助けを求められれば応じるのが日本人だと分かったのですから。ならば私 たちが「助けて!」という練習をすればいいことです。 だから、子どものころから周りの人に助けを求める訓練をさせておくといいでしょう。 NHKテレビを見ていたら、ある小学校のクラスが出てきました。女の先生が「セー ノ!」と言うと、児童全員が一斉に「助けて-」と叫んだのです。同じくこんな映像も出 てきました。あるNPOが小学生を集めて、一人ひとりに「助けて!」と叫ばせ、「ハイ、 君は75点」「君は90点」と点数が書かれた札を掲げていました。 横浜市の町内会の役員会に招かれた時、おつき合いのやり方を変えようと訴えました。 講演が終わると会長が、「皆で試しに『助けて!』と叫んでみよう」と提案。私が音頭を 取ってのシュプレヒコールとなったのですが、一人の参加者が「私、一度これを叫んでみ ●印が、助けられ上手さん(★印)が支援をお願いしている相手

(9)

たかった」と目を輝かしていたのが印象的でした。「それじゃあ、これから役員会を開く ときは、最後にこれを叫ぼう」と会長も大乗り気でした。

⑸ボランティア講座よりも助けられ上手講座

今まで福祉機関が開いていたのは「ボランティア講座」でした。しかし日本人の九割以 上の人が足元に困った人がいたら助けると答えたのですから、事実上ボランティア講座を 開く必要はないのです。それに代わって開くべきは「助けられ上手講座」であることがわ かったのです。 私どもは町内ごとに「助けられ上手講座」を開くよう提案しています。介護中の主婦や 一人暮らし高齢者、障害者などの助けられ上手さ んに登場してもらい、それぞれの体験を発表して もらうだけでも、効果はあります。 左の写真は愛知県安城市の南町内会が主催して 開いたものです。右の三人が助けられ体験の発表 者です。

⑹誰か1人が打ち明けると…

自分の困りごとを周りの人にオープンにできるのかという問題ですが、これにも意外な 解決策があります。愛知県安城市の城南町内会長の藤野さんから、こんな話を聞きました。 副会長の北川さんのお母さんの徘徊が激しくなってきたので、彼女の写真入りのチラシ を作って2人で配り歩いたら、なんと10軒もが「じつはウチにも認知症の家族が…」と 言い出したのです。1人がオープンにすると、周りもそれにならうのです。 「いや、本人や家族が打ち明けなくても、周りの者は 薄々わかっている」と言う方もいます。たしかにそう でしょう。ご近所では事実上、プライバシーは存在し ないも同然なのですから。しかし、薄々わかっていて も、だからと言って支援の手を差し伸べることはでき ません。周りは知らないことになっているのですから。 知人の女性が言っていました。義父が認知症になり、毎日バケツを頭にかぶって、子供

(10)

そろご近所に言おうよ」と夫に提案したのです。そこで班長会議の時に「じつは…」と打 ち明けたら、「今、○○に居る所を見つけたよ」などと連絡してくれるようになったそう です。やっぱり家族が打ち明けない限り、助け合いは始まらないということなのです。

⑺50世帯のご近所単位に助け合いを

誰か一人が打ち明けたら、他の人も追随する、という話をしましたが、それはあくまで 狭い領域内でのことです。私どもは支え合いマップ作りを普及させています。住宅地図に 要援護者やその人に関わっている人、世話焼きさんなどの人材を載せていき、その情報を もとに助け合いの地域を作っていくのです。そこでわかったことは、人々はおよそ50世 帯で小さなコミュニティを作っているということでした。それ以上、大きくなると、お互 いが見えなくなるらしいのです。50世帯がベストの助け合い領域だということです。 だから、先ほど述べた「誰か一人が打ち明けたら、他の人も追随する」と言うのは、こ の50世帯の中だと考えた方がいいでしょう。前述の通り、この中ではお互いが知ってい て、プライバシーはないも同然なのですから、あとは誰か一人が「うちの夫が認知症にな りました」と打ち明ければ、他の人も追随する可能性が大きいのです。助け合いは50世 帯単位で実践するのが効率的だということです。

⑻同じ当事者仲間になら言える

日本人のおつき合いの習慣が、助け合いをしないという前提で成り立っていると言いま した。だから今の日本では助け合いは難しいと。しかし例外があります。当事者グループ 内では、本格的に助け合いが行われているのです。 当事者グループは、同じ種類の問題を抱えた人の集まりで、今爆発的に広がっています。 このグループは元々、自分の抱えている問題をオープンにすることから始まっているので、 初めから助け合いのための障害が取り除かれているのです。同じ問題を抱えている相手に なら、気兼ねなく「助けて!」と言えるし、自分も相手の助けになることもできる。社会 に向かっても公然と、問題を抱えていることを宣言するし、支援を求めることもします。 助け合いを広げることで当事者グループが果たしている役割は極めて大きいのです。

⑼助け合いのグループに入る

地域全体を助け合う場にするのは時間がかかりそうですが、特定のグループだけでも助

(11)

け合えるようにするのも一つの方法です。地域にはいろいろなグループがありますが、メ ンバー同士が困った時助け合っているグループに加入するといいでしょう。本当にそのグ ループでは助け合いが行われているのかは、加入してみなければわかりませんが、一つの 狙い目ではあります。 ボランティアグループにはやさしい人がたくさんいるので、そこで活躍しておけば、い ざという時助けてもらえるかもしれません。また有償の助け合いグループが全国のどこに も出来ています。ちょっとした介護も担える力を持っている人がメンバーにたくさんいる ので、このグループに入っておけば、老後に要介護になった時は重宝するはずです。 趣味グループやサロンでは、メンバー同士の助け合いはほとんどしていません。ならば、 こちらから積極的に助け合いを仕掛けてみるのも、一つのあり方です。助け合いをしたい という仲間が少しはいるでしょうから、まずその人と助け合いを始めてみるのです。

⑽「助けて!」と言える相手を一人は見つける

助け合いの社会作りなどと大上段に振りかぶると、なかなか可能性が見つからないので すが、一人ひとりが自分なりに努力すべきことはあります。誰にでも助けを求めるのはた しかにむずかしいでしょうが、「あの人にだけは言える」という一人をつくっておけばい いのです。長い人生でそういう人を1人や2人、確保するのはそんなに難しいことではな いはずです。 マップづくりの中で孤独死のケース を見つけました(上のマップのAさん)。 一人暮らしの女性で、死後一週間でし た。人との交流を拒んで家に引きこも っていました。ご近所の人に聞くと、 彼女と接点のある人は皆無だと言いま す。民生委員が訪れても、ドアを開け なかったそうです。それでも誰かいるのではと食い下がったら、斜向いのB子さん(右側) には心を許していたと。では、なぜ孤独死してしまったのか。じつは、B子さんは最近、 引っ越していたのです。その他に親しい人はいなかったかとさらに聞いていくと、同じご Aさん(孤独死した女性) (油絵の趣味あり) 料理ボランティア 仲間 Aさんに見込まれた人 (最近引越していた)

(12)

このように、引きこもりと言われる人も、一人か二人の「助けてと言える相手」を持っ ていることがマップづくりで分かって来ました。その一人か二人の接点の人が自身の役割 を自覚すれば、孤立死を防ぐこともできるのです。 このように、「助け合いの社会作り」と大上段に振りかぶるのでなく、それぞれが足元 で自分なりの助け合いをするというのなら、可能ですし、助け合い社会とはそうした個々 の助け合いの集積にすぎないのです。 下のマップは、都内の団地で作ったものですが一人暮らしの人がどのように見守られて いるかが見えてきました。Aケースは70代の男性。自分は誰にも見守られていないと思 っていたのですが、団地の人たちに聞いたらこのように、右隣と左隣、それに階下の人の 3人がそれとなく見守っていることがわかりました。Bケースは80代の女性で、出かけ るときは必ずお隣に行き先を伝えるとともに、鍵を預けていきます。Cケースは、たまた ま3人の一人暮らしの女性が隣り合っていました。一緒に買い物に行き、鍵も預け合って いました。Dケースは大型世話焼きさんで、彼女一人で4人の一人暮らし老人の見守りを しており、5人の小型世話焼きさんと、(見守りの)ネットワークを作っていました。

参照

関連したドキュメント

関係委員会のお力で次第に盛り上がりを見せ ているが,その時だけのお祭りで終わらせて

仏像に対する知識は、これまでの学校教育では必

わからない その他 がん検診を受けても見落としがあると思っているから がん検診そのものを知らないから

ドリル教材 教材数:6 問題数:90 ひきざんのけいさん・けいさんれんしゅう ひきざんをつかうもんだいなどの問題を収録..

けいさん たす ひく かける わる せいすう しょうすう ぶんすう ながさ めんせき たいせき

うれしかった、そのひとこと 高橋 うらら/文 深蔵/絵 講談社 (分類 369).

in vivo では RIF は NTCP をほとんど阻害していないと考えられ、血漿中 DHEAS 濃度上 昇の原因にはならないと考えられた。血漿中 DHEAS 濃度の上昇が RIF による OATP

儀礼の「型」については、古来から拠り所、手本とされてきた『儀礼」、『礼記』があり、さらに朱喜