ポーランド国際私法の改正について
著者名(日)
笠原 俊宏
雑誌名
東洋法学
巻
56
号
1
ページ
203-232
発行年
2012-07
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000149/
目次 一 前書き 二 法典の基本原則 三 総則規定の内容 四 各論規定の内容 ⑴ 自然人の属人法 ⑵ 個人的法益 ⑶ 氏名 ⑷ 個別的行為能力 ⑸ 委任 ⑹ 法律行為の方式 ⑺ 債務関係及び一方的法律行為 ⑻ 物権法 ⑼ 家族法関係 五 後書き (参考資料)ポーランド国際私法
一
前書き
ポーランドが早くから単独の形式における国際私法典を有していたことは、よく知られているところである。先 ず、一九二六年八月二日のいわゆる旧ポーランド国際私法は、とくに、準国際私法に関する規定をも有していた点 《 研究ノート 》ポーランド国際私法の改正について
笠
原
俊
宏
に お い て、 今 な お 引 用 さ れ る こ と が 多 い ( Maksymilian Pazdan, Das neue polnische Gesetz über das internationale
Privatrecht, Praxis des Internationalen Privat- und Verfahrensr
echts (以下 IPRax とする) 2012, S.77. ) 。その後、同法は、 一 九 六 五 年 一 一 月 一 二 日 法 律 (以 下、 「旧 法」 と す る) に よ っ て 替 わ ら れ、 一 九 六 六 年 七 月 一 日 か ら 施 行 さ れ て き た (川 上 太 郎「ポ ー ラ ン ド 新 国 際 私 法」 海 外 商 事 法 務 五 四 号 二 四 頁 以 下、 松 岡 博「新 ポ ー ラ ン ド 国 際 私 法」 阪 大 法 学 六 一 号 三 九 頁 以 下) 。 同 法 は、 起 草 の 中 心 的 役 割 を 果 た し た ク ラ ク フ ( Kraków ) の ヤ ギ ェ ウ ォ ( Jagiełło ) 大 学 カ ズ ミ エ シ ュ・ プ シ ィ ビ ロ フ ス キ ( Kazmierz Przybylowski ) 教 授 に 負 う と こ ろ が 大 き く、 当 時 の 国 際 私 法 の 趨 勢 が 取 り 入 れ られた内容を有するものであった ( Pazdan, a. a. O., S.77. ) 。 その後、アメリカ国際私法におけるいわゆる「抵触法革命」からの影響を受けて、西欧諸国を中心として、いわ ゆ る 大 陸 型 国 際 私 法 立 法 の 改 革 が 始 ま り、 そ の 流 れ は、 ポ ー ラ ン ド を 含 み、 ほ ぼ 全 世 界 に 波 及 し て い る。 更 に、 ポーランドは、二〇〇四年に欧州連合へ加盟した結果、法体系の全般に亘り、欧州における法的統合の渦中に取り 込まれようとしている。かくして、ポーランドにおいて、その国際私法の改正作業は現実性をもって求められる情 況 に 至 っ た ( Andrzej Mączyński, Polish private international law, Yearbook of private international law 2004, p.203 et seq. ) 。 もとより、 ポーランドにおいては、 国際私法に関する学術研究はかなり盛んであり、 国際私法に関する諸問 題は数々の著作において論及されてきた。しかしながら、それらの研究成果がポーランド語をもってのみ発表され ているため、諸国の研究者には余り知られていないのが現実であり、また、司法実務においても、それらの学術的 成 果 に 対 し て 配 慮 す る こ と が 乏 し か っ た と 指 摘 さ れ て い る ( Mączyński, op. cit., p.220. ) 。 漸 く、 右 の よ う な 情 況 を 背 景 と し て、 ポ ー ラ ン ド に お い て も、 二 〇 一 一 年 二 月 四 日 法 律 に よ っ て 新 し い 国 際 私 法 (以 下、 「新 法」 と す る) が 成 立 し、 そ し て、 新 法 は 同 年 四 月 一 五 日 公 布 さ れ、 一 部 の 規 定 (扶 養 義 務 に 関 す る 第 六 三 条) を 除 い て、 同 年 五 月 一 六
日から施行されている ( Pazdan, a. a. O., S.77. ) 。 以 下 に お い て は、 ポ ー ラ ン ド の 研 究 者 の 手 に な る ド イ ツ 語 文 献 (パ ズ ダ ン 教 授 に よ る 右 解 説 の 他、 Marcin Krzy -muski, Reform des polnischen Internationalen Privatrechts und deutsch-polnische Rechtsbeziehungen im Personen- und Familienrecht, Teil 1 u. Teil 2, Das Standesamt 2012, S.40ff. u. S.73ff. ) を中心として、新法の基本原則、内容及び特徴を 明らかにして、近時の諸国立法との若干の比較・検討を試みることとしたい。
二
法典の基本原則
新法が定める個々の抵触規定に言及する前に、新法の全体に亘る基本原則及び特徴について、触れておきたい。 まず、形式的な構造として、双方的抵触規定が全体的に支配している。但し、ポーランド法の適用に言及した一方 的 抵 触 規 定 も 部 分 的 に 採 用 さ れ て い る。 例 え ば、 第 一 三 条 第 二 項 (外 国 人 の 禁 治 産 宣 告) 、 第 一 四 条 第 二 項 (外 国 人 の 死 亡 宣 告) 、 第 六 〇 条 第 二 項 (外 国 人 の た め の 保 護 措 置) 等 が 挙 げ ら れ る。 そ れ ら の 諸 規 定 は、 ポ ー ラ ン ド 裁 判 所 の裁判管轄権に関しても定めており、いわゆる平行理論が採用されている諸規定である ( Pazdan, a. a. O., S.77. ) 。 内 容 的 に は、 や は り、 密 接 関 連 性 の 原 則 が 支 配 し て い る。 同 原 則 は、 時 と し て 補 充 法 の 決 定 の 基 準 と な り、 ま た、 時 と し て 例 外 条 項 と し て の 役 割 を 担 っ て い る。 前 者 と し て、 例 え ば、 第 八 条 第 二 項 (強 行 的 適 用 規 定) 、 第 九 条 第 二 文 (不 統 一 法 国 法 の 適 用) 、 第 一 〇 条 第 一 項 (法 の 適 用 可 能 性) 、 第 五 一 条 第 二 項 第 二 文 (夫 婦 の 身 分 的 及 び 財 産 的 法 律 関 係) が 挙 げ ら れ、 後 者 と し て、 例 え ば、 第 三 二 条 第 二 項 (一 方 的 法 律 行 為 に よ る 債 務 関 係) 、 第 四 三 条 第 二 文 (運 送 中 の 物 に 対 す る 物 権) 等 が 挙 げ ら れ る ( Pazdan, a. a. O., S.77. ) 。 ま た、 準 拠 法 の 指 定 は 明 示 的 に 行 な わ れ る こ と と な る が、 全 体 の 情 況 か ら 適 正 な 準 拠 法 を 推 定 す る こ と も 特 徴 の 一 つ と し て 認 め ら れ る (第 四 条 第 二 項 参 照) 。 諸 情況 の 考 慮 は、 例 え ば、 第 一 二 条 第 三 項 (代 理 に お け る 行 為 能 力) 、 第 三 二 条 第 二 項 (一 方 的 法 律 行 為) 、 第 四 三 条 (運 送 中 の 物 の 物 権 ) 等 の 諸 規 定 に 見 ら れ る 。 柔 軟 な 抵 触 規 則 へ の 志 向 の 一 端 を 構 成 す る も の で あ る ( Pazdan, a. a. O., S.77. ) 。 そ し て、 欧 州 議 会 及 び 閣 僚 理 事 会 の 規 則 ( Verordnung ) な い し 指 令 ( Richtlinie ) か ら の 影 響 は 極 め て 明 瞭 で あ り、 そ れ ら の 多 く が 各 個 規 定 に 導 入 さ れ て い る。 例 え ば、 第 二 八 条 (契 約 債 務) 、 第 三 〇 条 (消 費 者 契 約) 、 第 三 三 条 (契 約 外 債 務) 、 第 六 三 条 (扶 養 義 務) が 挙 げ ら れ る。 ま た、 ハ ー グ 国 際 私 法 条 約 の 明 示 的 な 導 入 も 併 存 し て い る。 例 え ば、 第 三 四 条 (道 路 交 通 事 故) 、 第 五 六 条 第 一 項 (子 の 監 護) 、 第 五 九 条 第 一 項 (子 の 後 見 及 び 保 佐) 、 第 六 六 条 第 一 項 (遺 言 の 方 式) 等 が 挙 げ ら れ る。 こ の よ う な 傾 向 は、 一 九 八 七 年 の ス イ ス 国 際 私 法 (国 際 私 法 に 関 す る 連 邦 法) に 始 ま り、 一 九 九 五 年 の イ タ リ ア 国 際 私 法 へ と 続 い て い る。 前 者 は、 そ の 第 四 九 条 (夫 婦 間 の 扶 養 義 務) 、 第 八 三 条 (親 子 間 の 扶 養 義 務) 、 第 九 三 条 (終 意 処 分 の 方 式) 、 第 一 一 八 条 (有 体 動 産 の 売 買) 、 第 一 三 四 条 (道 路 交 通 事 故) 等 の 諸 規 定 に お い て ハ ー グ 条 約 を 援 用 し て お り (拙 編 訳『国 際 私 法 立 法 総 覧』 (冨 山 房、 平 成 元 年) 一 三 一 頁 以 下) 、 ま た、 後 者 も、 そ の 第 四 二 条 (未 成 年 者 の 保 護 に 関 す る 管 轄 権 及 び 準 拠 法) 、 第 四 五 条 (親 族 に お け る 扶 養 義 務) に お い て、 同 様 に ハ ー グ 条 約 を 援 用 し て い る (拙 稿「イ タ リ ア 国 際 私 法 の 改 正 と そ の 特 質 に つ い て」 比 較 法 三 四 号 一〇五頁以下) 。そして、より近時においては、現行ドイツ国際私法において、より徹底した欧州議会及び閣僚理事 会の法令及びハーグ国際私法条約への依拠が極めて顕著となっているが、新法の場合は、とくに前者の法令を数多 く導入している点において、より新しい趨勢を踏襲するものである ( Pazdan, a. a. O., S.78. ) 。
三
総則規定の内容
旧法上、法律関係の性質決定、先決問題、強行規定の適用、公序則発動後の補充法に関する諸規定が、総則規定と し て 欠 落 し て い る こ と が 指 摘 さ れ て い た ( Mączyński, op. cit., p.210 et seq. ) 。 し か し、 新 法 上、 か な り 充 実 し た 一 般 規 定 は そ の 特 徴 と も な っ て い る。 特 に、 密 接 関 連 法 上 の 強 行 規 定 の 適 用 に 関 す る 新 法 第 八 条 第 二 項 に は、 一九八〇年のローマ条約第七条の影響が明らかに見られる。その立場は、現行ローマⅠ規則第九条において踏襲さ れており、さらに、ローマⅡ規則へと敷衍されている (
Pazdan, a. a. O., S.78.; Krzymuski, a. a. O., S.44.
) 。 次に、反致については、外国法の指定における実質法指定説が優勢な中にあって、狭義の反致を顧慮した新法第 五 条 と 共 に、 制 限 的 な 転 致 を 認 め る 第 一 七 条 第 二 項 (法 人 の 属 人 法) が 置 か れ て い る。 取 り 分 け 前 者 の 第 二 項 は、 反致理論における一定の制限のあり方について極めて示唆的である (
Pazdan, a. a. O., S.78.; Krzymuski, a. a. O., S.44.
) 。 また、準拠法の適用範囲として、公法規定や一定の手続規定にも及ぶことを定める第六条第一項及び第二項は特 異な規定である。但し、私法関係に影響を及ぼす規定に限られる ( Krzymuski, a. a. O., S.44. ) 。 更に、外国法の内容の不明の場合に関する第一〇条第二項について言えば、近時、前出イタリア国際私法第一四 条第二項に見られるような補充的連結の規則は、新法には見られない。しかしながら、連結点を確定できない場合 における「法の適用可能性」の究極の拠り所を密接関連性に求めるべきことを定める第一〇条第一項、及び、抵触 規定の欠缺の場合に関する第六七条の規定が置かれていることも注目される。これらの規定は、共に、新法が密接 関連性の原則に立脚していることの証左となる規定である (
Pazdan, a. a. O., S.81.; Krzymuski, a. a. O., S.45.
) 。
四
各論規定の内容
⑴ 自然人の属人法 今日、本国法主義が衰退しつつあるとする見方がある一方、新法における自然人の属人法の決定基準は、旧法と同様に国籍である。しかし、旧法においては知られていなかった国籍主義に対する例外が、新法において導入され ている。 すなわち、 夫婦財産制 (新法第五二条第一項) 、 婚姻契約 (新法第五二条第二項) 、 相続 (新法第六四条第一項) においては、当事者自治が認められている (
Pazdan, a. a. O., S.79.; Krzymuski, a. a. O., S.74.
) 。 ⑵ 個人的法益 個 人 的 法 益 の 保 護 の た め の 規 律 は、 諸 国 に お い て 異 な っ て お り、 抵 触 法 の 次 元 に お け る 困 難 を も も た ら し て い る。 新 法 に お い て は、 ま ず、 個 人 的 法 益 の 内 容 に つ い て、 本 人 の 本 国 法 に よ っ て 決 定 さ れ る (新 法 第 一 六 条 第 一 項) 。 そ し て、 保 護 の 要 求 は、 本 人 の 選 択 に よ り、 侵 害 行 為 地 法 又 は 被 害 発 生 地 法 に よ っ て 規 律 さ れ る (新 法 第 一 六 条 第 二 項) 。 但 し、 マ ス メ デ ィ ア に よ る 侵 害 の 場 合 に は、 そ の 本 拠 地 法 が 保 護 措 置 に つ い て 決 定 す る (新 法 第 一 六 条 第三項) 。ここにおける個人的法益とは人格権を意味するものである ( Pazdan, a. a. O., S.79f. ) 。 ⑶ 氏名 人 の 人 格 権 の 一 端 を 成 す 氏 名 に つ い て も、 基 本 的 に、 そ の 者 の 本 国 法 に よ る (新 法 第 一 五 条 第 一 項) 。 し か し、 身 分 変 動 に 伴 う 変 更 に つ い て は、 当 該 身 分 変 動 の 準 拠 法 に よ る (新 法 第 一 五 条 第 二 項 第 一 文) 。 す な わ ち、 婚 姻 の 身 分 的 効 力 (新 法 第 五 一 条) 、 婚 姻 の 解 消 (新 法 第 五 四 条) 、 親 子 関 係 の 確 定 (新 法 第 五 五 条) 、 養 子 縁 組 (新 法 第 五 七 条) の場合である ( Pazdan, a. a. O., S.80.; Krzymuski, a. a. O., S.46ff. ) 。但し、婚姻の締結又は解消の際の氏の選択について は、夫婦の一方の本国法による (新法第一五条第二項第二文) 。 ⑷ 個別的行為能力 人 の 権 利 能 力 及 び 行 為 能 力 に つ い て は、 基 本 的 に、 そ の 者 の 本 国 法 に よ る も の と さ れ る (新 法 第 一 一 条 第 一 項) 。 し か し、 そ れ と 共 に、 法 律 行 為 が 企 業 活 動 の 範 囲 内 に お い て 行 な わ れ る 場 合 (新 法 第 一 一 条 第 二 項) 、 及 び、 個 別 の
法 律 行 為 が 実 行 さ れ る 他 の 法 に よ る 特 別 な 要 求 が あ る 場 合 (新 法 第 一 一 条 第 三 項) そ の 法 の 適 用 関 係 に つ い て も 明 文規定が置かれている (
Pazdan, a. a. O., S.80.; Krzymuski, a. a. O., S.45f.
) 。 ⑸ 委任 法 定 代 理、 及 び、 任 意 代 理 に 関 し、 前 者 は、 代 理 さ れ る 法 律 関 係 の 準 拠 法 に 依 拠 し (新 法 第 二 二 条) 、 他 方、 後 者 は、本人による当事者自治を認めながら、同時に、その法選択の援用につき、本人と第三者や代理人との関係の調 整 が 図 ら れ て い る (新 法 第 二 三 条 第 一 項) 。 本 人 に よ る 法 選 択 が な い 場 合 に は、 代 理 人 の 方 の 事 情 を 考 慮 し た 段 階 的 連結の規則 (新法第二三条第二項) が規定されている ( Pazdan, a. a. O., S.80f. ) 。 ⑹ 法律行為の方式 法 律 行 為 の 方 式 に つ い て、 そ の 成 立 の 準 拠 法 及 び 行 為 地 法 の い ず れ に 依 拠 す る こ と も で き る (新 法 第 二 五 条 第 一 項 第 一 文 及 び 第 二 文) 。 こ れ は、 旧 法 第 一 二 条 に お い て 採 ら れ て い た 規 則 と 同 様 で あ る。 新 法 に お い て は、 更 に、 隔 地 者 間 の 契 約 の 方 式 に つ き、 い ず れ の 地 の 法 の 下 に お け る 方 式 の 遵 守 も 認 め ら れ て お り (新 法 第 二 五 条 第 一 項 第 三 文) 、連結の多元化による法律行為の保護が徹底されている (
Pazdan, a. a. O., S.81.; Krzymuski, a. a. O., S.45.
) 。 ⑺ 債務関係及び一方的法律行為 一 方 的 法 律 行 為 と 契 約 と に 区 分 し て、 そ れ ら の 債 務 関 係 に つ き、 本 人 な い し 両 当 事 者 の 意 思 が 尊 重 さ れ て い る (新法第三二条第一項) 。 それと共に、 法選択がない場合における債務関係との密接な関連性も顧慮されているが (新 法第三二条第二項) 、後者の規定は、特別例外条項と呼ぶべき規定である ( Pazdan, a. a. O., S.81. ) 。 ⑻ 物権法 物 権 に つ い て は、 か な り 詳 細 に、 輸 送 手 段、 運 送 中 の 物、 有 価 証 券 決 済 機 構 に 関 す る 諸 規 定 (新 法 第 四 一 条 な い
し 第 四 五 条) が 置 か れ て い る。 運 送 中 の 物 に 対 す る 物 権 に つ い て は、 密 接 関 連 性 を 顧 慮 し た 例 外 条 項 が 定 め ら れ て いる ( Pazdan, a. a. O., S.81. ) 。比較法的に見て特徴的であるのは、占有への準用を定める新法第四五条である。 ⑼ 家族法関係 家 族 法 関 係 に 関 す る 諸 規 定 と し て は、 親 族 に 関 す る 諸 規 定 (新 法 第 四 八 条 な い し 第 六 三 条) 、 及 び、 相 続 に 関 す る 諸 規 定 (新 法 第 六 四 条 な い し 第 六 六 条) が あ る。 こ こ に お い て も、 ハ ー グ 国 際 私 法 条 約 及 び 欧 州 連 合 法 へ の 依 拠 の 傾 向 が 明 ら か に な っ て い る。 例 え ば、 親 子 関 係 (新 法 第 五 六 条 第 一 項) 、 後 見 及 び 保 佐 (新 法 第 五 九 条 第 一 項) 、 扶 養 義 務 (第六三条) 、遺言の方式 (第六六条) が挙げられる。 ま ず、 婚 姻 関 係 に つ い て は、 第 四 八 条 (婚 姻 の 実 質 的 要 件) 、 第 四 九 条 (婚 姻 の 方 式) 、 第 五 〇 条 (婚 姻 無 効) 、 第 五 一 条 (婚 姻 の 一 般 的 効 力) 、 第 五 二 条 (夫 婦 財 産 制 及 び 法 選 択) 、 第 五 三 条 (債 権 者 保 護) 、 第 五 四 条 (離 婚 及 び 別 居) が規定している。それらの幾つかの規定において採用されている夫婦の法の段階的連結の規則は、共通本国法、共 通 住 所 地 法、 共 通 常 居 所 地 法、 最 密 接 関 連 法 の 順 序 で あ る も の (新 法 第 五 一 条) の ほ か、 共 通 本 国 法、 共 通 住 所 地 法、共通常居所地法がない場合には、夫婦の一方がなおも常居所を有することを条件として、最後の共通常居所地 法に依るべきとするもの (新法第五四条) が注目される ( Krzymuski, a. a. O., S.73ff. ) 。 次 に、 親 子 関 係 に つ い て は、 第 五 五 条 (親 子 関 係 の 確 定) 、 第 五 六 条 (親 子 間 の 法 律 関 係) 、 第 五 七 条 及 び 第 五 八 条 (養 子 縁 組) が 規 定 し て い る。 親 子 関 係 の 確 定 に つ い て 依 拠 す る の は、 胎 児 認 知 に 関 す る 母 の 本 国 法 を 除 い て、 子 の 方 の 本 国 法 で あ る (新 法 第 五 五 条) 。 養 子 縁 組 に つ い て は、 養 親 の 本 国 法 に 依 る。 夫 婦 共 同 養 子 縁 組 に つ い て は、 婚姻の一般的効力についてと同一の規則が定められている ( Krzymuski, a. a. O., S.77ff. ) 。尚、親子関係における嫡出 と 非 嫡 出 の 区 別 は、 も は や、 新 法 に お い て も な さ れ て い な い。 そ し て、 後 見 及 び 保 佐 に つ い て は、 第 五 九 条 (子 の
保護) 、第六〇条 (成年者の保護) 、第六二条 (保佐) が規定している ( Krzymuski, a. a. O., S.79f. ) 。
五
後書き
ポーランド国際私法の改正へ向けた検討の過程においては、旧法を放棄して、全く新しい国際私法典を起草すべ きことも提案されていたが、それは極端に過ぎるという批判がなされた。蓋し、益々、ポーランド法における多辺 的国際条約及び欧州連合規則等の重要性の増大が見込まれる情況に鑑みて、独自の内容をもって構成される法典は 不 適 切 で あ る と 考 え ら れ た か ら で あ る ( Mączyński, op. cit., p.220. ) 。 確 か に、 新 し い ポ ー ラ ン ド 国 際 私 法 は、 ド イ ツ 国 際 私 法 な ど と と も に、 諸 条 約 等 の 内 容 を 大 幅 に 採 り 入 れ て い る 点 に 特 徴 が 見 ら れ る。 し か し、 そ の 特 徴 は、 特 に、欧州連合として結束した欧州諸国の国際私法に共通する一般的な立場に変化していくであろうことを予想する に難くない。一方において、欧州連合域内における国際私法として、また、他方、欧州連合域外との関係において は、国内立法としてのそれぞれの役目を果たすことが、今後における欧州諸国の国際私法の方向である。わが国と の関連において作用するのは後者であるが、欧州連合域内に居住する日本人との関連において、前者の作用も重要 な 意 義 を 有 し て い る こ と を 看 過 す る こ と が で き な い (林 貴 美「E U 国 際 家 族 法 の 動 向」 国 際 私 法 年 報 一 三 巻 五 二 頁、 六七頁等参照) 。ポーランドの新法は、正に右に述べたような両面性を備えた今後の欧州諸国の国内立法を端的に例 示するものとして理解することができるであろう。以下に掲げるのは、二〇一一年二月四日法律によって成立した ポーランド国際私法の試訳である。邦訳に際しては、 IPRax 2011, S.609ff. に掲載された独訳に依拠した。(参考資料)ポーランド国際私法
国
際
私
法
(ポーランド共和国二〇一一年二月四日法律) 二〇一一年四月一五日公布 二〇一一年五月一六日施行 第 一章 総則規定 第一条 本法は、複数の国家と結び付いている私法関係への法の適用を規律する。 第二条 一 本法が本国法の適用を規定するとき、ポーランド国民は、他の国家の法がその者を当該国家の国民として認めるときで あっても、ポーランド法に服する。 二 二つ又はそれ以上の国家の国籍を保有する外国人は、本国法として、その者が最も密接に関係している国家の法に服す る。 三 本法が、当事者が同一国家の国民であることに法の適用を依存せしめるときは、当該国家の法がそれらの者を自国民と して認めるとき、その条件が満たされていると推定するに足るものとする。 第三条 一 本法が本国法の適用を規定し、かつ、当事者の国籍が確定されることができないか、若しくは、その者が国籍を有しな いか、又は、本国法の内容が確定されることができないときは、その住所が所在する国家の法が適用されるべきものとす る。住所がないときは、その者がその常居所を有する国家の法が適用されるべきものとする。
二 第一項の規定は、何れかの者の本国への結合が当該国家における長期間の基本的人権の侵害によって中断している状況 を顧慮して、他の何れかの国家において本国としての保護を獲得した者について準用する。 第四条 一 本法における一定の事件において、適用される法は選択されることができる。 二 法選択は明示的であるか、又は、法選択を許す規定が何か別段に定めていない限り、事件の諸情況から判明しなければ ならない。 三 法律関係の発生後に行なわれた法選択は、第三者の権利に及ばない。 四 法律行為の開始の際、法選択前に、当該法律行為の方式に対して適用される法に従って規定されている方式に関する要 件が満たされたとき、その有効性は、当該法律行為が法選択に依って服する法に基づいて問題とされてはならない。 五 法 が 選 択 さ れ て い る か 否 か の 確 認、 及 び、 法 選 択 の 有 効 性 の 判 断 に つ い て は、 第 一 一 条、 第 一 七 条、 第 二 四 条 及 び 第 二五条の諸規定が適用されるべきものとする。 六 第二項ないし第五項の諸規定は、法選択の変更及び取消について適用される。 第五条 一 本法に従って適用される外国法が、問題となる法律関係に対して、ポーランド法を適用することを命じるときは、ポー ランド法が適用されるべきものとする。 二 第一項の規定は、適用される法への送致が、次に掲げるときは適用されない。 ⑴ 法選択の方法で行なわれているとき ⑵ 法律行為の方式に関するとき ⑶ 本法が適用される法を決定する債務関係であって、契約上か、契約外か、又は、一方的法律行為によって発生するも のに関わるとき
第六条 一 本法の諸規定に従って適用される法は、その法に従い、問題となる法律関係に対して適用される公法規定を包含する。 二 判断されるべき法律関係に対して適用される法は、当該法律関係に関する法の推定、又は、立証責任についての他の規 則を定める規定を含むものとする。 第七条 外 国 法 は、 そ の 適 用 が ポ ー ラ ン ド 共 和 国 の 法 秩 序 の 重 要 な 原 則 と 相 容 れ な い 効 力 を 有 す る こ と と な る と き、 適 用 さ れ な い。 第八条 一 外 国 法 へ の 送 致 は、 判 断 に 服 す る 法 律 関 係 が 何 れ の 法 に 服 す る か に 拘 わ ら ず、 ポ ー ラ ン ド 法 の 規 定 の 法 文 又 は 目 的 か ら、ポーランド法がそれを規律することが疑いなく明らかとなる当該規定の適用を排除しない。 二 準拠法の適用に際し、判断されるべき法律関係が密接に関係している他の国家の強行的適用規定は、当該法律関係が何 れの法に服するかに拘わらず、当該国家の法に従い、それらの規定が適用されるべきであるとき、考慮されることができ る。 そ の 規 定 の 顧 慮 に 関 す る 裁 決 の 際 に は、 そ の 性 質 及 び 目 的、 並 び に、 そ れ を 顧 慮 す る こ と か ら 生 じ る こ と と な る 結 果、及び、それを顧慮しない場合において発生することとなる結果について考慮しなければならない。 第九条 適用される法が帰属する国家において、異なる法秩序が施行されているとき、それらの法秩序の何れが適用されるべきで あるかは、当該国家の法が決定する。かような規定がないときは、問題となる法律関係と最も密接に関係している法秩序の 法が適用されるべきものとする。 第一〇条 一 法の適用可能性が依存する諸情況が調査されることができないときは、問題となる法律関係と最も密接に関係している
法が適用されるべきものとする。 二 適用される外国法の内容が然るべき期間内に確認されることができないときは、ポーランド法が適用されるべきものと する。 第 二章 自然人 第一一条 一 自然人の権利能力及び行為能力は、その本国法に服する。 二 自 然 人 が、 そ の 者 に よ っ て 営 ま れ た 企 業 の 範 囲 に お い て 法 律 行 為 を 行 な う と き は、 当 該 企 業 が 営 ま れ る 国 家 の 法 に 従 い、その者が当該法律行為の実行のための能力を有するとき、それをもって足るものとする。 三 第一項の規定は、法律行為が服する国家の法から、当該法律行為に関する能力について、特別な要求が生じるとき、そ の法の適用を排除しない。 第一二条 一 同一国に所在する者が契約を締結したとき、当該国家の法に従って当該契約の締結のための能力を有する自然人は、他 方当事者が、契約締結の当時、無能力を知っていたか、又は、過失によって知らなかったときにのみ、その者について、 第一一条第一項に定められた法によって生じる無能力を援用することができる。 二 一方的法律行為を行なう自然人であって、その行為の実行地の法に従ってその実行のための能力を有する者は、必要な 注意の顧慮の際に、法律行為を行なう者がかような能力を有していたことを確信して行動した者にとって不利益へ導かな いときのみ、第一一条第一項に定められた法によって生じる無能力を援用することができる。 三 自然人が代理人を通じて行動するとき、第一項及び第二項の適用のための条件の確認に際しては、代理人の下に存在し ている諸情況をもって決定する。
四 第一項及び第二項の諸規定は、家族法、後見法及び相続法の範囲における法律行為、並びに、法律行為が行なわれてい る国家とは別の国家に所在する不動産に関する処分については適用されない。 第一三条 一 禁治産宣告は、禁治産宣告が関連する者の本国法に服する。 二 外国人の禁治産宣告に関し、ポーランド裁判所が裁決する場合には、ポーランド法が適用されるべきものとする。 第一四条 一 自然人の死亡宣告又は死亡の確定については、その本国法が適用されるべきものとする。 二 外国人の死亡宣告又は死亡の確定につき、ポーランド裁判所が裁決する場合には、ポーランド法が適用されるべきもの とする。 第一五条 一 自然人の氏名は、その本国法に服する。 二 氏名の取得又は変更については、氏名の取得又は変更へ誘導する事実の判断について基準となる法が適用されるべきも のとする。但し、婚姻締結又は婚姻解消の際における氏の選択は、夫婦の何れか一方の本国法に服する。 第一六条 一 自然人の個人的法益は、その本国法に服する。 二 個人的法益が侵害によって危険に晒されるか、又は、侵害されている自然人は、その危険又は侵害を生ぜしめる事実が 発生している領域が帰属する国家か、又は、その侵害の結果が発生している領域が帰属する国家の法に従い、保護を要求 することができる。 三 社会通信の媒体において、自然人の個人的法益の侵害が発生しているときは、発信人又は出版人がその本拠又はその常 居所を有する国家の法が、回答、修正又は他の類似の保護措置についての権利に関して裁決する。
第 三章 法人及び他の組織的統一体 第一七条 一 法人は、それがその本拠を有する国家の法に服する。 二 但し、第一項に定められた法が、法人が創設されている国家の法の適用を定めるときは、当該国家の法が適用されるべ きものとする。 三 とくに、次に掲げる事項は、第一項及び第二項の諸規定に定められた法に服する。 ⑴ 法人の設立、合併、分割、組織変更、及び、終了 ⑵ 法人の法的性質 ⑶ 法人の名称及び商号 ⑷ 法人の権利能力 ⑸ 取引の権能及び原則、並びに、組織の構成員の着任及び解任 ⑹ 代理 ⑺ 社員の地位又は組合員資格の取得及び喪失、並びに、それと結合した権利及び義務 ⑻ 法人の義務に対する社員又は組合員の責任 ⑼ 法人の代理人による法律、設立証書又は定款の違反の効果 第一八条 一 法 人 が そ れ に よ っ て 行 な わ れ る 事 業 の 範 囲 に お け る 法 律 行 為 を 行 な う と き は、 そ れ が、 事 業 が 行 な わ れ る 国 家 の 法 に 従って当該行為の実行のための能力を有するとき、それをもって足るものとする。 二 法人は、他方当事者に対し、第一七条第一項及び第二項に定められた法によって与えられるその能力又は代理の制限に
関 し、 法 律 行 為 が 行 な わ れ て い る 国 家 の 法 が か よ う な 制 限 を 定 め て い な い と き、 他 方 当 事 者 が そ れ を 知 っ て い た か、 又 は、過失によって知らなかったときにのみ、援用することができる。当該規定は、法律行為が行なわれている国家とは別 の国家に所在する不動産に関する処分について適用されない。 第一九条 一 他 の 国 家 へ の 本 拠 の 移 転 の と き か ら、 法 人 は そ の 国 家 の 法 に 服 す る。 従 前 の 本 拠 の 国 家 に お い て 獲 得 さ れ た 法 的 人 格 は、 そ れ ぞ れ の 関 係 国 家 の 何 れ か の 法 が 定 め る と き、 そ の ま ま 保 持 さ れ る。 欧 州 経 済 共 同 体 の 内 部 に お け る 本 拠 の 移 転 は、法的人格の喪失をもたらさない。 二 異なる国家に所在する法人の合併は、それらの国家の法に規定された要求の充足を必要とする。 第二〇条 法人の個人的法益の保護については、第一六条の規定が準用される。 第二一条 第一七条ないし第二〇条の諸規定は、固有の法人格を有しない組織的統一体について準用される。 第 四章 代理 第二二条 法定代理は、代理のための権限が生じる法律関係へ適用される法に服する。 第二三条 一 代理権は、委任者によって選択された法に服する。代理人が法律行為を行なった第三者に対しては、当該第三者が法選 択を知っていたか、又は、それを容易に知ることができたときにのみ、選択された法は援用されることができる。委任者 は、代理人に対し、その者が法選択を知っていたか、又は、それを容易に知ることができたときにのみ、選択された法を
援用することができる。 二 法選択がないときは、代理権は、次に掲げる順序で、次に掲げる法に服する。 ⑴ 代理人が恒久的に活動しているその本拠の国家の法、又は、 ⑵ 代理人が委任者の事業が所在する国家において恒久的に活動している限り、その国家の法、又は、 ⑶ 代理人が委任者の代理人として実際に行動したか、又は、その者が委任者の意思に従って行動すべき国家の法 第 五章 法律行為の実行及びその方式 第二四条 一 法律行為が行なわれているか否かの確認の際には、当該法律行為について基準となる法が適用されるべきものとする。 二 意思表示を行なわなかったことを主張する一方当事者は、諸情況から、その者の行動の結果の判断が、第一項の規定に 定められた法に従って有効でなかったことが明らかであるとき、その者がその常居所を有する国家の法を援用することが できる。 第二五条 一 法律行為の方式は、当該法律行為へ適用される法に服する。但し、法律行為が行なわれている国家の法に従って定めら れている方式の遵守をもって足るものとする。契約が、意思表示の発信の当時異なる国家に所在する当事者間において締 結されるときは、当該法律行為につき、それらの国家の一つの法に従って定められている方式の遵守をもって足るものと する。 二 第一項第二文及び第三文の規定は、不動産に関する処分、及び、法人、又は、固有の法人格を有しない組織的統一体の 成立、合併、分割、組織変更、又は、終了を対象とする法律行為について適用されない。 三 法律行為が代理人によって行なわれているとき、第一項第二文及び第三文の規定の適用の場合には、代理人に関連する
諸情況が考慮される。 第 六章 請求権の時効及び時間の経過と結合した他の制度 第二六条 請求権の消滅時効は、当該請求権へ適用される法に服する。 第二七条 第二六条の規定は、時間の経過と結合した他の制度について準用される。 第 七章 債務関係 第二八条 一 契約債務へ適用される法は、契約債務の準拠法に関する二〇〇八年六月一七日の欧州議会及び閣僚理事会規則二〇〇八 年第五九三号 (ローマⅠ規則) (二〇〇八年七月四日付けEC官報L版一七七号六頁) が決定する。 二 第一項に記された規則第一条第二項j号に従い、その適用範囲から除外されている契約債務関係については、問題とな る債務関係についての当該規則の然るべき規定が適用される。 第二九条 一 ポーランド法が保険の締結義務を規定するときは、かような保険に関する契約はポーランド法に服する。 二 保険の締結義務を定める欧州経済共同体の加盟国法が、かような保険に関する契約へ、自らの法を準拠法として適用す べきことを命じるとき、その法が適用されるべきものとする。 第三〇条 一 第二八条に従った規則において規律された場合を除き、欧州経済共同体の非加盟国の法の選択は、少なくとも加盟国の
一つの領域と密接な関連性を有する契約につき、次に掲げる指令が転化するポーランド法上の規定によって消費者に与え られる保護が、その者から剥奪されることを導いてはならない。 ⑴ 消費者契約における濫用条項に関する一九九三年四月五日の欧州経済共同体閣僚理事会指令第一三号(一九九三年四 月二一日付けEC官報L版九五号二九頁、ポーランド語版官報第一五章第二巻二八八頁) ⑵ 遠 隔 地 に お け る 契 約 締 結 時 の 消 費 者 保 護 に 関 す る 一 九 九 七 年 五 月 二 〇 日 の 欧 州 議 会 及 び 閣 僚 理 事 会 指 令 第 七 号( 一 九 九 七 年六月四日付けEC官報L版一四四号一九頁、ポーランド語版官報第一五章第三巻三一九頁) ⑶ 消費物品売買及び消費物品保証の一定の側面に関する一九九九年五月二五日の欧州議会及び閣僚理事会指令第四四号 (一九九九年七月七日付けEC官報L版一七一号一二頁、ポーランド語版官報第一五章第四巻二二三頁) ⑷ 消 費 者 に 対 す る 金 融 サ ー ビ ス に 関 し、 か つ、 一 九 九 〇 年 の 欧 州 経 済 共 同 体 閣 僚 理 事 会 指 令 第 六 一 九 号、 並 び に、 一九九七年の指令第七号及び一九九八年の指令第二七号の変更のための二〇〇二年九月二三日の欧州議会及び閣僚理事 会 指 令 第 六 五 号(二 〇 〇 二 年 一 〇 月 九 日 付 け E C 官 報 L 版 二 七 一 号 一 六 頁、 ポ ー ラ ン ド 語 版 官 報 第 六 章 第 四 巻 三 二 一 頁) ⑸ 消費者信用契約に関し、かつ、一九八七年の欧州経済共同体指令第一〇二号の廃止のための二〇〇八年四月二三日の 欧州議会及び閣僚理事会指令第四八号(後の改正を含め、二〇〇八年五月二二日付けEC官報L版一三三号六六頁) 二 一時的利用契約、長期間休暇生産に関する契約、並びに、小売契約及び交換契約の一定の側面における消費者の保護に 関する二〇〇八年の欧州連合指令第一二二号 (二〇〇二年二月三日付けEC官報L版三三号一〇頁) の適用範囲に属する 契約について、準拠法が欧州経済共同体の非加盟国法である場合には、次に掲げるとき、その規則が転化するポーランド 法上の規定によって消費者に与えられる保護が、その者から剥奪されてはならない。 ⑴ 不動産が加盟国の一つの領域に所在するとき、又は、 ⑵ 不動産と直接には関わらない契約の場合において、事業者が加盟国の一つにおいてその経済的又は職業上の活動を実
行するか、又は、何かの方法をもって、加盟国の一つにおいてかような活動を達成し、かつ、契約が当該活動の範囲に 属するとき 第三一条 手形又は小切手とは別の有価証券によって生じる債務関係は、有価証券が交付されたか、又は、発行されている国家の法 に服する。 第三二条 一 一方的法律行為による債務関係は、当該法律行為を行なう者が選択した法に服する。当該債務関係の当事者双方が決定 されるときから、法選択、その変更又は取消は、当該関係の当事者双方の合意を必要とする。 二 法選択がないとき、一方的法律行為による債務関係は、法律行為を実行する者がその常居所又は本拠を有する国家の法 に服する。諸情況から、債務関係が他の国家の法とより密接な関連性を有することが明らかであるときは、当該国家の法 が適用されるべきものとする。 第三三条 法律行為でない事実から生じる債務関係について適用される法は、契約外債務の準拠法に関する二〇〇七年七月一一日の 欧 州 議 会 及 び 閣 僚 理 事 会 規 則 第 八 六 四 号 (ロ ー マ Ⅱ 規 則) (二 〇 〇 七 年 七 月 三 一 日 付 け E C 官 報 L 版 一 九 九 号 四 〇 頁) が 決 定する。 第三四条 道路交通事故の際の契約外民事法責任についての準拠法は、一九七一年五月四日にハーグにおいて締結された道路交通事 故の準拠法に関する条約 (官報二〇〇三年六三号項目五八五) が決定する。 第三五条 問題となる国家において公権力を行使する機関の行為及び不作為についての民事法責任は、当該国家の法に服する。
第三六条 譲渡された債権が服する国家の法は、譲渡の第三者に対する効力に関して決定する。 第三七条 債務引受については、引き受けられた債務が服する法が適用されるべきものとする。 第三八条 通貨価値の変動の債務額に対する効果は、当該債務へ適用される法に従って規律される。 第 八章 仲裁契約 第三九条 一 仲裁契約は、当事者によって選択された法に服する。 二 法選択がないとき、仲裁契約は、当事者によって合意された仲裁地が所在する国家の法に服する。かような合意が行な われていないとき、仲裁契約は、権利の争訟が関わる法律関係について基準とされる法に服する。但し、契約が、訴訟が 係属しているか、又は、仲裁裁判所が裁決を下した国家の法に従って有効であるときは、それをもって足るものとする。 第四〇条 仲裁契約の方式は、仲裁地の国家の法に服する。但し、仲裁契約が服する国家の法に従って規定されている方式の選択を もって足るものとする。 第 九章 所有権及び他の物権、占有 第四一条 一 所有権及び他の物権は、その目的物が所在する国家の法に服する。
二 所有権の取得及び喪失、並びに、他の物権の取得及び喪失の他、内容又は順位の変更も、当該権利の目的物が、定めら れた法的効果を生ぜしめる事が発生する当時、所在していた国家の法に服する。 第四二条 航空機、船舶若しくは軌条車両に対する物権は、航空機、船舶若しくは軌条車両が登録簿に登録されている国家の法、又 は、登録簿がないか、若しくは、登録簿への登録がないときは、船籍港、停留地若しくは他の類似の場所が属する国家の法 に服する。 第四三条 運送中の物に対する物権は、物が発送されている国家の法に服する。当該権利が他の国家の法とより密接に関係している ことが、諸情況から明らかであるときは、当該国家の法が適用されるべきものとする。 第四四条 有価証券決済機構の下に管理される有価証券口座への有価証券の登録から生じる権利は、当該口座が管理される国家の法 に服する。 第四五条 第四一条ないし第四四条の諸規定は、占有について準用される。 第一〇章 知的財産権 第四六条 一 知的財産権に対する権利の成立、内容及び消滅は、当該権利が使用される国家の法に服する。 二 第一項の規定は、知的財産権に対する権利に関する処分、及び、当該権利の順位の確定についても適用される。 三 知的財産権に対する権利の保護については、保護の要求が従う国家の法が適用されるべきものとする。
第四七条 労働者の使用者に対する請求であって、労務関係の範囲内におけるその活動と関係している知的財産権に対する権利に基 づくものは、当該関係へ適用される法に服する。 第一一章 婚姻事件 第四八条 婚姻締結のための能力については、それぞれの当事者につき、婚姻締結の当時におけるその本国法が決定する。 第四九条 一 婚姻締結の方式は、婚姻が締結される国家の法に服する。 二 婚姻がポーランド共和国の領域外において締結されるときは、婚姻締結の当時における夫婦双方の本国法、又は、夫婦 の共通住所地法若しくは共通常居所地法が規定する方式の遵守をもって足るものとする。 第五〇条 婚姻締結のための能力の欠如、及び、婚姻締結の方式の不遵守の効果については、それぞれ、第四八条及び第四九条に記 された法が決定する。 第五一条 一 夫婦間の身分的及び財産的法律関係は、その共通本国法に服する。 二 共通本国法がないときは、夫婦双方がその住所を有する国家の法、また、同一国家における住所がないときは、夫婦双 方がその常居所を有する国家の法が適用されるべきものとする。夫婦が同一国家に常居所を有しない場合には、夫婦が他 の方法において共に最も密接に関係している国家の法が適用されるべきものとする。 第五二条
一 夫婦は、その財産的法律関係を夫婦の一方の本国法、又は、それらの者の一方がその住所若しくは常居所を有する国家 の法に服せしめることができる。法選択は、婚姻締結前においても行なわれることができる。 二 婚姻契約は、第一項に従い、当事者によって選択された法に服する。法選択がないときは、夫婦間の身分的及び財産的 法律関係につき、契約締結の当時において基準とされた法が適用されるべきものとする。 三 財産的法律関係又は婚姻契約のための法選択に際しては、婚姻契約につき、選択された法、又は、法選択が行なわれて いる国家の法に従って定められている方式を選択することをもって足るものとする。 第五三条 一 婚姻当事者、及び、債権者である第三者が、債務発生の当時、同一国家にそれらの常居所を有するとき、第三者に対す る婚姻財産制の効力の判断については、第三者が、債務発生の当時、当該財産制の性質及び内容を知っていたか、若しく は、その者が必要な注意の考慮の際に知ることができたか、又は、婚姻財産制へ適用される法、若しくは、
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不動産に 対する物権に関しては―
不動産が所在する領域が帰属する国家の法に従って規定されている公示及び登録の要求が満た されているのでない限り、当該同一国家の法が適用されるべきものとする。 二 第一項の規定は、他方配偶者を通じて、家庭の日常の必要品の充足と関連する業務において発生した債務に対する夫婦 の一方の責任について準用される。 第五四条 一 婚姻の解消は、婚姻解消申立て当時における夫婦の共通本国法に服する。 二 共通本国法がないときは、夫婦双方が、婚姻解消申立て当時、それらの住所を有する国家の法が適用され、また、夫婦 が、婚姻解消申立て当時、共通住所を有しない場合には、夫婦双方が最後にそれらの共通常居所を有した国家の法が、夫 婦の一方が依然として当該国家にその常居所を有する限り、適用される。 三 第一項及び第二項に従った法の適用可能性に関して決定する諸情況が得られないときは、婚姻の解消については、ポーランド法が適用されるべきものとする。 四 第一項ないし第三項の諸規定は、婚姻紐帯の解消を伴わない別居について準用する。 第一二章 親子間の関係 第五五条 一 子の血統の確認及び否認は、子の出生の当時におけるその本国法に服する。 二 子の出生の当時におけるその本国法が法律上の父子関係の確認を定めていないとき、法律上の父子関係の確認について は、子の血統の確認の当時における子の本国法が適用されるべきものとする。 三 子の認知は、その認知の当時における子の本国法に服する。その法が認知を定めていない場合には、子の出生の当時に おけるその本国法が認知を定めている限り、その法が適用されるべきものとする。 四 既に証明されたが、未だ生まれていない子の認知は、認知の当時における母の本国法に服する。 第五六条 一 親による監護及び子との面会の範囲における事務へ適用される法は、一九九六年一〇月一九日にハーグにおいて締結さ れた親責任及び子の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関する条約 (二〇〇八年六月一一日付け EC官報L版一五一号三九頁、官報二〇一〇年一七二号項目一一五八) が決定する。 二 第一項に記された条約の非締結国への子の常居所の移転の場合には、その移転の時から、当該国家の法が、子の前の常 居所の国家において行なわれている措置の適用のための条件を決定する。 第一三章 養子 第五七条
一 子の養子縁組は、養親の本国法に服する。 二 夫婦による共同した子の養子縁組は、それらの共通本国法に服する。共通本国法がないときは、夫婦双方がそれらの住 所を有する国家の法が適用され、また、それらの者が同一国家に住所を有しない場合には、夫婦双方がそれらの常居所を 有する国家の法が適用されるべきものとする。夫婦が同一国家に常居所を有しないときは、夫婦が他の方法において共に 最も密接に関係している国家の法が適用されるべきものとする。 第五八条 子の養子縁組は、養子とされるべき者の本国法上の規定であって、その者、その法定代理人の同意、又は、権限を有する 国家官庁の許可、並びに、他の国家への住所地の移転による子の養子縁組の制限をも規律するものが遵守されない限り、行 なわれてはならない。 第一四章 後見及び保佐 第五九条 一 子のための後見及び保佐について適用される法は、一九九六年一〇月一九日にハーグにおいて締結された親責任及び子 の保護措置についての管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関する条約が決定する。 二 第一項に記された条約の非締結国への子の常居所の移転の場合には、その移転の時から、当該国家の法が、子の前の常 居所の国家において行なわれている措置の適用のための条件を決定する。 第六〇条 一 成年者のための後見又は保佐の命令、並びに、他の保護措置は、その者の本国法に服する。 二 ポーランド共和国に住所又は常居所を有する外国人に対する第一項による措置に関し、ポーランド裁判所が裁決する場 合には、ポーランド法が適用されるべきものとする。
三 第一項による措置の実行は、当該措置が関係する者がその常居所を有する領域が帰属する国家の法に服する。 四 一九六四年一一月一七日法律
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民事訴訟法典(後の改正を含め、官報四三号項目二九六)第一一〇七条第二号及び第 三号に定められた場合には、ポーランド法が適用されるべきものとする。命じられた措置の実行については、同一の法が 適用される。 第六一条 法人のための保佐については、当該法人が服する国家の法が適用されるべきものとする。 第六二条 個々の事務の処理のための保佐については、当該事務が服する国家の法が適用されるべきものとする。 第一五章 扶養義務 第六三条 扶 養 義 務 に つ い て 適 用 さ れ る 法 は、 扶 養 事 件 に お け る 管 轄 権、 準 拠 法、 裁 判 の 承 認 及 び 執 行、 並 び に、 協 力 に 関 す る 二 〇 〇 八 年 一 二 月 一 八 日 の 欧 州 連 合 閣 僚 理 事 会 規 則 二 〇 〇 九 年 第 四 号(二 〇 〇 九 年 一 月 一 〇 日 付 け E C 官 報 L 版 七 号 一 頁) が決定する。 第一六章 相続事件 第六四条 一 被相続人は、遺言又は他の死因処分において、相続事件を、当該法律行為の実行の当時、又は、その死亡の当時におけ るその本国法、その住所地法又はその常居所地法に服せしめることができる。 二 法選択がないときは、相続事件において、被相続人の死亡の当時におけるその本国法が適用されるべきものとする。第六五条 第六六条の留保の下に、遺言又は他の死因処分の有効性については、当該法律行為の実行の当時における被相続人の本国 法が決定する。 第六六条 一 遺言及びその撤回の方式について適用される法は、一九六一年一〇月五日にハーグにおいて締結された終意処分の方式 の準拠法に関する条約 (官報一九六九年三四号項目二八四) が決定する。 二 第一項に従って決定される法は、他の死因処分の方式について準用される。 第一七章 他の法律関係 第六七条 本 法、 特 別 規 定、 ポ ー ラ ン ド 共 和 国 が 批 准 し て い る 国 際 条 約、 及 び、 欧 州 連 合 法 の 中 に 準 拠 法 に つ い て の 指 定 が な い と き、本法の適用範囲に属する関係については、当該関係が最も密接に関係している国家の法が適用されるべきものとする。 第六八条 本 法 に 属 す る 関 係 に つ い て、 二 〇 〇 二 年 七 月 三 日 法 律
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空 法 (後 の 改 正 を 含 め、 二 〇 〇 六 年 官 報 一 〇 〇 号 項 目 六 九 六) 第三条第一項、第六条及び第七条は適用されない。 第一八章 現行規定の改正 第六九条 一九六四年四月二三日法律――民法典(後の変更を含め、官報一六号項目九三)第四九九条は廃止される。 第七〇条一九七四年六月二六日法律――労働法典(後の変更を含め、官報一九九八年二一号項目九四)第六条は廃止される。 第七一条 海商船舶における労働に関する一九九一年五月二三日法律(後の変更を含め、官報六一号項目二五八)第二条は廃止され る。 第七二条 観光旅行サービス業務に関する一九九七年八月二九日法律(後の変更を含め、官報二〇〇四年二二三号項目二二六八)第 一一b条第一項に次の条文を追加する。 (以下、省略) 第七三条 一定の消費者の権利の保護、及び、危険な生産物から生じた損害賠償責任に関する二〇〇〇年三月二日法律(後の変更を 含め、官報二二号項目二七一)第一七条に次の条文を追加する。 (以下、省略) 第七四条 二〇〇一年七月二〇日の消費者信用法(後の変更を含め、官報一〇〇号項目一〇八一)第一七条に次の条文を追加する。 (以下、省略) 第七五条 二〇〇一年九月一八日法律――海法(官報二〇〇九年一二七号項目八五七)は次の通り変更される。 (以下、省略) 第七六条 二 〇 〇 二 年 七 月 三 日 法 律 ―― 空 法(後 の 変 更 を 含 め、 官 報 二 〇 〇 六 年 一 〇 〇 号 項 目 六 九 六) は 次 の 通 り 変 更 さ れ る。 (以 下、省略) 第七七条 消 費 者 売 買 の 個 別 的 成 立、 及 び、 民 法 典 の 変 更 に 関 す る 二 〇 〇 二 年 六 月 二 七 日 法 律(官 報 一 四 一 号 項 目 一 一 七 六、
二 〇 〇 四 年 九 六 号 項 目 九 五 九、 二 〇 〇 九 年 一 一 五 号 項 目 九 六 〇、 及 び、 二 〇 一 一 年 三 四 号 項 目 一 六 九) 第 一 一 条 に 次 の 条 文 を追加する。 (以下、省略) 第七八条 保 険 業 務 に 関 す る 二 〇 〇 三 年 五 月 二 二 日 法 律(後 の 変 更 を 含 め、 官 報 二 〇 一 〇 年 一 一 号 項 目 六 六) は 次 の 通 り 変 更 さ れ る。 (以下、省略) 第七九条 債務保証、保証金、ポーランド交通事故保険業者事務所に関する法律(後の変更を含め、官報一二四号項目一一五二)第 三条第二項は廃止される。 第一九章 最終規定 第八〇条 一 九 六 五 年 一 一 月 一 二 日 法 律