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多目的意思決定法によるエネルギー使用量を考慮した構造物設計代替案の選択

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Title

多目的意思決定法によるエネルギー使用量を考慮した構造

物設計代替案の選択( 本文(Fulltext) )

Author(s)

本城, 勇介; 松尾, 稔

Citation

[土木学会論文集 = Proceedings of JSCE] vol.[623] p.[153]-

[162]

Issue Date

1999-06-20

Rights

Japan Society of Civil Engineers (公益社団法人土木学会)

Version

出版社版 (publisher version) postprint

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/24263

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

土 木 学 会 論 文 集No. 623/VI-43, 153-162, 1999. 6

多 目的意 思決 定法 によるエネルギー使 用量 を

考慮 した構造 物設 計代替 案の選択

本 城 勇 介1・ 松 尾 稔2 1正会 員Ph. D. 岐 阜 大 学 工 学 部 土 木 工 学 科 教 授(〒505-1193岐 阜 市 柳 戸1-1) 2フェロー 工 博 名 古 屋 大 学 総 長(〒464-8601名 古屋 市 千 種 区 不 老 町) 近 年 さまざまな 分 野 で地 球 環 境 の悪 化 が論 じられ て おり, 社 会基 盤 施 設 の建 設 にお い 瑞, エネル ギー ・資源 と 環境 の持 続 的 な保 全 を可能 にす るシステムの構 築 が 求 め られ つ つ ある. 本 研 究 は, 建 設 工 事 にお けるエネル ギ ー 使 用 量 ・環 境 負 荷 の実 態 を把 握 し, これ らを考 慮 した新 しい設 計 法 の構 築 を 目指 すもの である. 具 体 的 に は 二酸 化 炭 素 排 出 量 を エネ ル ギ ー使 用 量 ・環 境 負 荷 の 指 標 として用 い, 一 定 の構 造 物 の 信 頼 性 のもと, 二酸 化 炭 素使 用 量 と経 済 性(コスト)など複 数 の指 標 を評 価 要 素 とし, 多 目的 意 思決 定 手法 の 内, 階層 分析 法 と多属 性 効 用 分 析 法 を用 い, 海 上 埋 め立 て地 の護 岸 を例 題 として, 複 数 の設 計 代 替 案 より最 適 なもの を選 択 す る手 法 を 研 究 した.

Key Words: infrastructure design, energy consumption, COZ emission, multiobjective decision making, analytic hierarchy process, multi-attribute utility analysis

1. は じめ に 著 者 らは先 に, これ か ら我 々 が直 面 す るで あろう資 源 ・環 境 の 制 約 を踏 まえたうえで の社 会 基 盤 の整 備 の 問題 を, 社 会 基盤 施 設 の設 計 法 とい う立場 か ら捉 え, そ の アプ ロー チ の 方 向 を示す ことを 目的 とした研 究 の 結 果 を公 表 してい る1). そこで は, この 問題 を考 える前提 として, 人類 の経済 活 動 の大 規 模 化 に ともない, 従 来 それ に資 源 を提 供 し, また廃 棄 物 を 受 容 してい た 自然 システムが, もは や 無 限 の容 量 を持 っ とは 考 え られ なくなった ことを示 した-そ して, 我 々 の 経 済 活 動 を従 来 のように経 済 システム 内 の 貨 幣 と財 の循 環 としてだ け捉 えるので はな く, 自然 システムをも含 め た枠 の 中で, 物 質収 支 を分析 す ること が 必 要で あることを述べ た. しか し, 我 々 の 知 識 の 不足 と, 自然 システム の複 雑 さのため, す べ て の物 質 の収 支 を追 うことは 現 時 点 では 不 可能 であることも述 べ た. そ して, このような理 解 に基 づ き, 我 々 は社 会 基盤 施 設 の設 計 法 に物 質 収 支 と言 う観 点 を考 慮 した 指標 を, 従 来 か ら考 慮 され てきた経 済 性 と信 頼性 と言 う指 標 に 加 えるた め, 当 該 構 造 物 の エネル ギ ー使 用 量 ・環境 負 荷 をお お まか に測 る現 実 的 な指 標 として, 二 酸化 炭 素 発 生 量 をとることを提 案 した. 各 構 造 物 の建 設 ・維 持 管 理 ・廃 棄 のときに発 生 す る二酸 化 炭 素 量 は, 各構 成 材 料 の二 酸 化 炭 素発 生 原 単位 を積 み 上 げ ることにより計 量 される. 提 案 した設 計 法で は, 設 計 代 替案 を評 価 す る指標 と して構 造 物 の建設 費 用 と信 頼 性 に加 えて, 二酸 化 炭 素 発 生 量 を加 えている. このため設 計 代 替 案 の選 択 の 問題 は, 多 目的 決 定法 の問題 となる. 本 論 文 は, 経 済 性, 信 頼 性, 二 酸化 炭 素 発 生 量 と 言 う3つ の指 標 を持 つ 意 思 決 定 問題 として の設 計 法 を とらえ, 合理 的 な意 思 決 定方 法 を研 究 したもので ある. この論 文 で は, 多 目的 意志 決 定 法 の 中か ら, 階層 分 析 法(AHP: Analytic Hierarchy Process), と多

属 性 効 用 分 析(Multi-attribute utility ana1ysis)の 二 つ の 手法 を取り上 げ, そ れ らの本 問題 ヘ の適 用 を試 みた. 手法 の説 明の後 にこれ らを, 海 上埋 め 立て地 の護 岸 の設計 代 替 案 選択 の問題 に適 用 し, そ の効 果 や 問 題 点を考 えた. 2. 従 来 の 設 計 法 と 例 題 の 説 明 この章で は, 従 来 か ら行 われ てきた社 会 基盤 施 設 の 153

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計 画 方法 や設 計 法を簡 単にまとめ, また例題 で扱 った, 海 上埋 め 立て地 の 護岸 の設 計 代替 案 の比較 につ いて, そ の概 要 を述 べた. (1)従 来 の 設 計 法 a)プ ロ ジ ェ ク トの 計 画 法 現在, 最も一 般 に行 わ れて いる社 会 資本 整 備 プロ ジ ェクトの評 価 手法 の 一 つ は, 費 用 ・便 益分 析 である. そこで は 当該 代 替 案 の実 施 にともな い生 じる便 益 を消 費者 余剰 として計 量 し, また 代替 案 の 実施 にともなう 直接 的 な費用 を算 出 し, その差 である純 便 益 が大 き い 代替 案 を実施 す るもので ある: max{B(a)=BT(a)-CT(a)} (1) ここに, B: 純 便 益, BT: プ ロジェクト実施 により得 られ る便 益, CT: 総 費 用, a: 代 替 案. b)安 全 率 を用 い た 設 計 法 社 会 基盤 施 設 の計 画 法 と設 計 法 は 基 本 的 に同 一 の ものであり, 設 計 法 は意 志 決 定 問題 として定 式化 でき る. すなわ ち計 画 では, プ ロジ ェクト全 体 の純 便 益 を 最 大化 しようとす るの に対 し, その 下位 のレベル の意 思決 定 である構 造 物 の設 計 で は, そ の便 益 につ いて は, その構 造 的な設 計 にか かわ らず ほぼ一 定 であると 仮 定し, 総 費 用 の最 小 化 を 目的とした意 志 決 定 問題 として定 式化 され る. 例 えば, 4車 線 の高 速道 路 の建 設 が決 定され れ ば, その便 益 は 一 定で あると仮 定 し, 式(1)の 総 費 用(特 に建設 費用)の 最 小化 を図 ろうとす る. このとき, 設 計 示 法 書で 示 され た安 全 率 を守 るな ど, 安 全性 に 関す る制約 を守 らなけれ ばな らない: min6と(a) 8ewltkjreklyjrtklyjtolyj

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ここに, Cc: 建 設 費 用, PF: 破 壊 確 率, PF*: ある規 格 化 され た破 壊 確 率で あり, 通 常安 全 率 として与 えられ る. c)信 頼 性 設 計 法 一方, この制 約 条 件 を 目的 関数 に組 み 込ん だ, 信 頼 性 設 計 法 にお ける費 用 最 小化 基 準は: min{07(∂)=0σ(∂)+HF(∂)iyiry} (3) ここに, CF: 構造 物 の破 壊 費 用. 信 頼 性 設 計 法 では, 安 全 性 を期 待 損 失 費用 という 形 で建 設 費 用 と同 じ金 銭 的 な 評 価 指 標 に 置 き換 え, この合 計で ある総 費 用 を用 い て, 意 志 決 定を行 う設 計 法 と見 ることがで きる. この 方法 で は, 経 済 的 な制 約 のため, 無 限 に安 全な構 造 物 を建 設す ることはで きな いとい う現 実 を, 設 計 法 の中 に直 接 反 映 させ てい る. いわ ば, 費 用 と信 頼 性 と言 う2軸の評 価 を, 破 壊 確 率 を通 じて1軸 評価 に変換 してい る. このような2軸 評価 に, 環境 負 荷 ・エ ネル ギー 使 用 量 という第3軸 を評 価項 目に加 えるべ きだ と言 うのが, 本 研 究の 主張 である. (2)例 題 の 概 要 説 明 本 論 文 で取 り上げ る例題 は, 文 献2)よりとられ たもの で, 水 深4m, 海底 面 下10mの 粘 性 土 地盤 上 に, 海; 底 面より5m高 さの埋 め立 てを行 うため の護 岸 を設 計 す る問題 を考 える. この場 合, 埋 立 を排 水 したドライな 状 態 で行 うことを想 定 してい るので, 護 岸 は止 水 性 を 有 している必 要 がある. これ は, 先 に松 尾 ら1)により, 検 討 された例 題 と全 く同様 のものである. この例 題 で は, 二 重鋼 矢板 式, 鋼 製 セル 式, ジ ャ ケット式, ケー ソンと止 水 壁 を組 み 合 わせ た形 式, 捨 石 と自立 鋼 矢 板 を組 み 合 わ せ た 形 式 の5つ の構 造 形 式が, 設 計 代 替案 として検 討 され た. それ ぞれ の護 岸 は 現行 の設 計法 により設 計 され, 従 って 一定 の信 頼 性 の レベ ル を満 足 してい ると仮 定 し, そ の上 で CO2排 出 量と, 建設 費 用 の2つ の 目的 関数 を最 小化 す るという目的の 元で, これ らの5つ の代 替案 より, 多 目的意 思 決 定 法 により最 適 の 代替 案 を決 定 しようと言 う のが, ここにお ける問題 で ある. 図一1に, 各設 計 案 の法 線1m当 りの建 設 費 用 と, 二 酸化 炭 素(CO2)排 出 量 を, これ らを軸 とす るグラフに示 した. CO2排 出量 の算 定 方 法, それ ぞれ の代替 案 の 1) CO2排 出材 料 の構 成などの詳 細 につ い ては, 松 尾 ら を 参 照 され たい. この 図か ら分 かるように5個 の代 替 案 の 内4個 はパレー ト最適 解 で ある. す なわ ち, この 図 一1 各 設 計 代 替案 の建設 費 用 とC02発生 量 の関係 154

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中 の任 意 の2個 の案 を比 較 したとき, 2っ の評価 規 準 (建設 費 用 と二 酸 化 炭 素 発 生 量)の どち らか は 一 方 が 優 れ てお り, 他 方 はもう一 方 が優 れ ている. この意 味 で, この2つ の評 価 規 準 を独 立 に考 慮す る場 合, こ れ ら2つ の案 のどちらが優 れ ているとは いえない(無 差 別 である). 3. 階 層 分 析 法3)'4)

階 層 分析 法(Analytic Hierarchy Process: AHP) は 比 率尺 度 による一 対 比較 をもとに, 全 体 としての項 目間の合 成 比 率 尺 度 を決 定す る方 法 である. 具体 的 には, ある意 思 決 定をす るに 際して, その評 価 基準 が複 数個 存 在 し, しかもそれ らの 計 量化 が難 しくー軸 的 に評 価 で きない場 合 でも, 問題 をい くつ か のレベル に階 層化, 分 解 し, 一 対 比 較 といわ れ る比較 的 判 断 の容 易 な形 式 に持 ち込 み, 後 でこれ らの結 果 を合成 す ることにより, 総 合 的 な評 価 尺 度 をそ の中か ら見い だそ うとす る試 み である. 以 下(1)で は解 析 の手 順 を述 べ, またこの方 法 を用 いる上で 特 に重 要 な, 階 層 分析 法 の理 論 的な基 礎 と なる一 対 比 較行 列 の性 質 につ いて 述べ る. (2)で は, 護 岸設 計 代替 案 の比 較へ のAHPの 適 用 例を示 す. (1)階 層 分 析 法 の 手 順 階 層 分 析 法 は, 次 のような手順 で 行 われ る. 1)評 価 したい 問題 にっ いて階 層 図 を作る. 2)各 レベ ル の 要 素 にっ いて, 親 要 素 に対 する重 要 度 の一 対 比 較 を行 う. 3)一 対比 較 行列 の最 大 固有値, 固有 ベ クトルを求める. 4)一 対 比 較 値 が 妥 当か どうか を整 合 度, 整 合 比 に よって評 価 す る. 5)階 層 に基 づ き重 要 度 の合 成 を行 い, 最 終 要素 の優 劣 を判 断す る. 以 下に, これ らの 手 法 につ いて詳 述 す る. a)階 層 図 の 作 成 階層 構 造 に基 づ き問題 を分析 す ることにより階層 図を 作る. 階層 図は レベ ル と要 素(ま たは 項 目)と上 下 の 要 素を結 ぶ 線 か らなる. 上 の要 素 を親 要素, 下 の要 素 を子 要 素 と呼ぶ(図 一2). このようにい くつ か のレベル に階 層化 し, 問題 を単純 化 す ることによって, 評 価 項 目が 複 数個 存 在 し, しか もそ れ らの計 量化 が 難 しく一 軸 的 に評 価 で きない 意 思 決 定 問題 でも, 一 つ の親 要 素 の評 価 項 目に関す る一 対比 較 という, 意 思 決 定 者 にとって, 比 較 的評 価 し やす い 形 式 に持 ち込 む ことが でき, 最 終 的 には, 後 述す るような方 法 を用 い ることによって, 評 価 項 目ごと の 重 要 度 を容 易 に 求 め ることが で きるように な るの で あ る. b). 対 比 較 行 列 の 作 成 あ る親 要 素 に 属 す る要 素 を11, 12, …, 1と す るとき, 一 対 比 較 行 列Aは(n×n)型 の行 列 で ある. Aの 成 分 aijは次 の 意 味 をもっ. 3fj=(要 素 ろ の 重 要 度)/(要 素 ろ の 重 要 度)(4) この 値(一 対 比 較 値)と して は 原 則 として, 1, 2, … 9お よび そ の 逆 数 を用 い る. これ は, 刀 根3)が 経 験 的 に 推 奨 して い る一 対 比 較 値 の ランクで あ り, そ の 数 字 の 意 味 は 表 一1のとお りで あ る.表-1を 見 て 明 らか で あ るが, 一 対 比 較 を行 うに あ た って 要 素liと 要 素ljが 同 じくらい 重 要 で あ ると判 断 した 場 合 は, この 一 対 比 較 値aijは1と な る. 同 様 に, 要 素liが 要 素ljよ りか な り 重 要 で あ ると判 断 した 場 合 は, この 一.対比 較 値aijは7, ま た 対 称 要 素 の 一 対 比 較 値aiは 式(4)よ り1/7とな るこ とが わ か る. 一 般 に

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図 一2 階 層 分析 法 の階 層 図 レベル1 問題 レベ ル2 評価基 準 レベル3 設計 代替案 表 一1 一対 比 較 値 の意 味 ISS

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とい う性 質 をもつ. 次 に, 一対 比 較 値 に1か ら9までの 数とそ の逆数 を 用い る理 由 につ いて であるが, これ は 端 的 に言 え ば, 人 間が感 覚 的 に識 別 で きる数 的領 域 ということである. 1か ら9まで の代 わ りに1か ら100ま で の数 を使 うことも で きる. しか し, 100と99の 差 を感 覚 的 に分離 す るこ とは極 めて 困難 で ある. c). 対 比 較 行 列 の 性 質 今n個 の評 価 項 目1, …, 1が あり, そ の本 来 の重 要 度 がw1, …, wで あるとす る. そ のとき, 項 目IiとIjの 重 要度 の一 対 比 較値aijは とい う関 係 を満 た す. した が って, 一 対 比 較 行 列 A=(aij)は 次 の よ うな 形 とな っ て い る1

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このAの 右側 か ら, 重 要 度 ベ クトル を乗 じて:

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この関係 式より, 各 要 素 の 重 要度 のベ クトル はAの 固 有ベ クトル であり, nは 固 有値 で あることがわかる.し かもnは 行 列Aの 最 大 固有 値 である. d)整 合 性 の 評 価 式(7)の ような理 想 的 な一 対 比較 行 列 は, 完 全 な整 合 性(一 対 比 較 値 の妥 当性)を もった ランク1の行 列 に なるが, 評 価 項 目が 多い 場 合 は現 実 には ランク1には ならない. そこで, 整 合 性 を調 べ るた めに最 大 固有 値 λmax以外 の 固有値 の平 均 を整 合 度 とし, 整 合 度 を行 列 の次 数 に 関 して 重 み 付 け した もの を整 合 比 として 用 い る. 行 列Aに は, n個 の 固 有 値 が あ り, そ の 和 はnと な る ことが わ か っ て い る. 一 般 に, λmax≧ N1 (9) で あ り, 式(8)よ り(λmax-n)は, λmax以 外 の 固 有 値 の 大 きさを 示 す 指 標 と見 ることが で きる. 従 っ て, (n-1)個 の 固 有 値 の1個 当 た りの 平 均 的 な 大 きさは,

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で ある.行 列 が完 全 な整 合性 をもつ 場合 は, この値 は0で あり, それ が 大きくなるほど不整 合 性 は 高 いと考 え, この値 を整 合 度(consisitency index)と 呼ぴ, C-1. で表 す. C. 1.が0.1(場 合 によって は0.15)以 下 である場 合 は, 経 験 的 に合 格 とする3). 整合性が悪 い 場合 は, 決 定 した一 対比 較 値 を再検 討 す る必 要 が ある. なお 本研 究で は, 最 大 固有 値 と固有 ベクトル を求 め るため に, べ き乗 法 を用 いた5). e)合 成 重 要 度 の 算 定 それ ぞれ の 階層 で評 価 された重 要度 は, 合成 され, 最 終 的 に各代 替 案 の重 要 度 がえられ る. い ま, レベ ルkとレベ ルk+1の, 親 子 関係 にある要 素 を考 える レベ ルkの 要 素iの 重 要 度 をWkiとす し, また レベ ル k+1の 子 要 素jの 重 要度 をVijとす る.こ のとき合 成 重 要 度Wk+1jは, 次 の式 により求 められる Wmax=Σmaxetrh (11) このような合 成 を, 階層 を逆 昇 って行 うことにより, 各 代 替案(一 番 低 い 階層)の 最 終 的な重 要 度Wjが, 最 上 級 の 階 層iに つ いて の 重 要 度Wij合 計 す ることにより, 求 められる: Wj=Σedwertrey (12) (2)護 岸 設 計 代 替 案 選 択 へ の 適 用 a)階 層 図 の 作 成 2. (2)で述 べ たように, この護 岸 設 計 代替 案 に関 し て は, 二 重鋼 矢板 式, 鋼 製 セル 式, ジャケット式, ケー ソン式+止 水壁, 捨 石 式+自 立鋼 矢 板 式 の5通 is6

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りを用 意 した. 評価 項 目は, 経 済 性 と環 境 負 荷 に加 えて, 一般 に この種 の構 造 物 で 問題 となることの多 い施 工性, 工期, 耐 震性 を加 えた5項 目を用 いた. このときの階 層 図を 図-2に 示 した. b)一 対 比 較 行 列 の 作 成 と重 要 度 の 計 算 5つ の設 計 代替 案 つ いて 二酸 化 炭 素 発 生 量と建 設 費 を求 めると, 表 一2のようになる. なお, 施 工性, 工期, 耐 震 性 に関 して は専 門 家 の常 識 的判 断 によってお り, ◎→○→△→×の順に 優 れて いることを表わ す. もち ろん このような判 断 はかな り主 観 的 なものであり, その 影 響 は 次 に 述 べるような環 境 負 荷 に対 す る3つ の立 場 を考 慮 す ることにより, そ の重 要 度 の変 化 を検 討 した. この デ ー タをもとに一 対 比較 行 列 を作成 す る. 各 項 目の重 要 度 の評価 は, 主観 的 にならざるをえない ので, ここで は(1)二酸 化 炭 素発 生 量を考 慮 しない 場 合, (2) や や 考 慮 した場 合, (3)相 当考 慮 した場 合 の3っ の ケースを設 定 し, そ の違 い を見 ることとした.こ の場合 の, 評 価 項 目に 関す る一 対 比 較 表 を表 一3に示 した. 合 わせ て, 計 算 され た 重 要度 も示 している. 各 評 価 項 目につ いて, 設 計 代 替案 の一 対比 較 表 を 作 成 す る必 要 があり, この 中で(2)のケースの, 二酸 化 炭 素 発 生 量 に関 す る比 較 の例 を表-4に 示 した. c)総 合 重 要 度 の 合 成 表 一5に(2)のケー スの総 合 合 成 重 要 度 の計 算 結 果を 示 した.表 の上 段 の値 は, そ れぞ れ の2→3レ ベル で 算 出 され た重 要度 で, これ を最 上段 の各項 目の重 要 度 に乗 じることにより, 下 段 の重 要 度 が求 まる. さらに, これ らを横 方 向 に集 計 す ると各 工法 の総 合 重 要度 が 求 まる. 算 出 した3ケ ー スの総 合 合成 重 要 度 を, 表-6示 した. (3)結 果 の 考 察 以 上 の評 価 結 果か ら, この護 岸 を建設 す るに際 して, 二 酸化 炭 素 発 生 量 を考慮 しない 場 合で は, 鋼 製 セル 式 が最も適 しているが, 環 境 負 荷 をや や 考慮 した場 合 とかなり考 慮 した場 合 で は, ジャケット式 が 最も適 した 施 工法 で あるといえる(表 一6). しか し, 環 境 負 荷 を考 慮 しない 場合 とや や 考 慮 した 場 合 に関 しては, 上位3つ の施 工法 の合 成 重 要度 に さほど差 がな いことか ら, この3っ のいず れ の施 工 法 で 建 設 してもよいといえる. そ の点, 環境 負 荷 をかな り考 慮 した場 合 で は, 二 重鋼 矢板 式 の合 成 重 要度 が 上位2つ の施 工 法 に対 してか なり低い 値 となってい るた め, 上 位2っ の施 工 法 のい ずれ か で建 設 するべ きで あるということになる. なお, 環 境 負 荷 をかな り考 慮 し た場 合, 二重 鋼 矢 板 式 の評 価 が 下 がった理 由は, こ の施 工 法が 環 境 負 荷 に 関す る重 要 度が 低 い(二 酸 化 表一2 設計代替 案の評価項 目別 比較 表 ー3 評 価 項 目(レベ ル1→2)に 関 す る一 対 比 較 と重 要 度 (a)ケ ー ス(1): CO 2発 出量 を考 慮 しな い場 合 λmax=4. 230 C. 1=0. 077 (b)ケ ー ス(2)lCO2発 生 量 を や や 考 慮 す る 場 合 λmax=5. 313 C. 1.=0.078 (b)ケ ー ス(3): C02発 生 量 を か な り考 慮 す る 場 合 λmax=5. 247 C. 1. =0. 062 表-4C02発 生 量(レ ベ ル2→3)に 関 す る 各 代 替 案 の ー 対 比 較 λmax=5. 175 C.1. =0. 044 IS7

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炭 素排 出 量が 大 きい)ことがあげ られ る. 4. 多 属 性 効 用 分 析 法4)…6)'7) (1)多 属 性 効 用 分 析 の 概 要 多 目的 意 思 決 定 問題 は, 次 の ような多 目的最 適 化 として定式 化 できる. min.{fl(x), f2gfrh(x), fpgrdy(x)tr5} s.t.g(x)<0, k=1, 2,, to

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ここでxは 決 定 変 数 とよば れ, N次 元 とす る. 評 価項 目の 個数pは, たか だか 数 個 であるのに対 し, 決 定 変 数 の次 元 数Nは, 通 常 これよりもは るか に大きい. 図一1に示 した, 例 題 の建 設 費 用 と, C02発 生量 の 関 係 は, 典 型 的 な多 目的 計 画 問題 の例 と言 える. 本 章 で は, 式(13)で 与 えられ る多 目的 最適 化 問 題 を, 多 属 性 効用 分 析 法 により解 くことを試 み る. なお, 本 章 にお いて石 谷.石 川6), 田村7), 今 野4)を参考 にした. a)パ レー ト最 適 解 x*がパ レー ト最 適 解 であるとは, す べ ての 目的 関数 でこれ より大 きいか 等 しい値 を与 える解 が 存在 しな いこ とを意味 す る. す なわ ち, fl(x)f1(x*)(gfrt t Q)i=1,2,P) f.(x)> f;(x*)(U<O5Q)j=1,2,fret,p)

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を満 足 する決 定変 数xが 存 在 しないことで ある.言 い 換えれ ばパレー ト最 適解 に対 して, これ よりもあらゆる 評 価 側 面 で優 れ た解 は存 在 しない. 逆 にパ レー ト最適 で ない解 は, これ よりもあらゆる評 価 側 面 で優 れ ているパ レー ト最 適 解 が 必ず 存 在 するの で, 考 慮 の対 象 か ら除 外 しても差 し支 えない. このパ レー ト最 適 解 は1個 だ けでは なく, 一 般 には 無 数 に存 在 し, これ らをの 間 には, 明 白な優 劣 関係 はなく, ある評価 項 目に関 しては 前者 が 優れ ているが, 別 の評 価 項 目 に関 して は後 者 が優 れてい るという関 係 がある. これ らの間 の優 劣 を決 定 す るには, 意 思 決 定 者(DecisionMaker: DM)が 選好 情 報 を与える必 要 がある.な お ここにDMとは, この 事項 の決 定を行 なう, 個 人 または集 団 のことを言 う. 多 目的評 価 にお ける求解 は, 第 一ステップで, パ レート最 適 解 集 合 を求 め, 第 ニステップで選 好 情報 に 基 づ き選 好解 を求 めるとい う手 順 をとる6). b)期 待 効 用 最 大 化 の 原 理 と 多属 性 効 用 分 析 法 意 思 決 定者 が, どのような選 好 構 造 により代 替 案 を 選 択 す るのかを知 るのは, 容 易で はな い. この選 好 構 造 を解 析 す るための 方法 に基 礎 を与 えるのが, フォ ン.ノイマンの期 待 効 用最 大 化 の原 理 である. ここで, 意 思決 定 者 が選 択 することので きる代 替 案 の集 合 をC={c1, c2, …, c}と し, 意 思決 定者 が 代 替 案 Cj(j=1, 2, …, n)を 選 択 した ときの 結 果Xiが 現 れ る確 率 をPiとす る. このとき, 結果Xiに よる効用 をu(Xi)とす る とき, 代替 案Cjを選 択 したときの期 待効 用ECjは, Efe7=ΣPouoiu(x1) (15) で 与えられる. フォン ノイマ ンの期 待 効 用 最 大 化 の 原 理 によると, 「意 思 決 定者 は, 代 替案 の集 合Cの 中か ら, 期 待 効 用 が 最 大 になる代 替 案 を選 択 す るの が 最 良で あ る」と いう結 論が 導か れ る4). この原 理 を用い て, DMが 暗 黙 に持 っている価 値観 を分析 し, その選 好 構 造 をモ デ ル化 す る事 によって, 多 属性 効 用 関 数 を陽 に求 める のが, 多 属性 効 用 分 析 法で ある. c)単 属 性 効 用 関 数 の 決 定 まず, 一 つ の属性 につ いてだ けの効 用 関 数 の 求 め 方 につ いて 述べ る. 表-5 ケー ス(2)の場 合 の結 合合 成 重 要 度 の 計 算 表 一6 各 ケース.各代 替 案 の総 合 合成 重 要 度 の計 算 結 果 (備考)ケ ース(1): CO2発 生 量を考 慮 しな い場 合. ケース(2): CO2発 生 量 をや や 考 慮 す る場 合. ケース(3): C02発 生 量 をかな り考 慮す る場 合. ISg

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代 替 案 の 集 合X={x1, x2, …, x}に お い て, x*を 最 良 の 結 果, xtrを最 悪 の 結 果 とす る. そ して, 任 意 の 結 果Xi(i=1, 2, …, n)の 効 用 を XgtrytrX, P, λb> (16) を満 足 す る確 率pに よっ て 計 測 す る. た だ し, 記 号 ∼ は, これ ら2つ の 効 用 が 等 しい ことを 表 し, ま た 〈x*, P, x〉をくじと言い, x*が確率Pで実現し, Xoが1-pの 確 率 で 実 現 す るとす る. これ は, x*の 効 用 を1, Xoの 効 用 を0と 正 規 化 す ることに 相 当 して い る. ま た, Xiを くじ〈x*, p, Xo>の確実同値額と呼ぶ. p=0. 5の ときの くじを50-50く じと呼 び, 〈x*, Xo>と表す. この50-50く じを い くつ か 用 い ることに よって, 単 属 性 効 用 関 数 を容 易 に 決 定 す ることが で きる.い ま, 三 っ の50-50く じに 対 す る確 実 同 値 額xo. 5, xo. 25, xo.75を意 思 決 定 者 に 尋 ね て X05 (x *, x0) x0. 25 = CxO. 5 x0) 4 75 =

(17)

であったならば, 確 実 同値 額 に対す る効 用 値 が u(x05) = 0. 5u(x*) + 0. 5u(x0) = 0. 5 u(x25) = 0. 5 u(x0 5) + 0. 5 u(x0) = 0. 25 u(x075) = 0. 5u(x*) + 0. 5u(x05)= 0. 75

(1s)

の ように 求 ま る. この 結 果 に 基 づ き(X, U(X))空 間 に お い て, (xo, 0)と(x*, 1)を 通 り, (xo. 25, 0.25), (xo. 5, 0. 5), (xa75, 0.75)の3点 に 最 も 良 く当 て は まる 曲線 を 求 め ることで 単 属 性 効 用 関 数u(x)が 決 定 で きる. この よ うに 単 属 性 効 用 関 数 を 求 め る方 法 を 中 点 連 結 に よる確 実 同 値 法 とい う. d)二(多)属 性 効 用 関 数 の 決 定 結 果x∈Xが, 二 つ の 属 性YとZに よって 生 起 す るも の とす る. 例 え ば, 本 研 究 で はYがCO2発 生 量 に, Zが 建 設 費 用 に 相 当 す る. この とき

x=(y, z), yEY, zEz(19)

と表 す ことが で き, 起 こりうるす べ て の 結 果 の 集 合Xは, X=Y×Zで 表 され る. これ を 二 属 性 空 間 とよぶ. この 空 間 に お け る二 属 性 効 用 関 数 を 決 定 す る方 法 は, 大 別 して3通 りあ る6). 第 一 の 方 法 は, くじを 直 接 的 に 用 い る方 法 で あ る. これ はc)の ように, 結 果Xの 中 か ら最 良 の もの をx*, 最 悪 の もの をx0と し, x*の 効 用 を1, xの 効 用 を0と す ることによって, くじ〈x*, P, x〉とxとが無差別となる確率 pを求め, これ を効 用値 とする方法 である. ただ, こ の 方 法 は結 果 の集 合Xの 数 が 多くなると手 間 がか か る 上 に, 意 思決 定 者 に関 数 形 という認 識 が 希 薄 である た め, 効 用 曲面 内 のす べて の効 用 を整 合 性 をもって 求めることが 困難 である. 第 二 の方 法 は, 単 属性 効 用 関数U1(X)を求 めた後 に, もう一 つ の属 性 に つ いて の単 属 性 効 用 関数U2(y)を 求 め, u1(x)とu2(y)を合 成 することにより二属 性 効 用 関 数 を求 めるという, 二段 階 方 式 による決 定 方 法で ある. この方 法 により求 められ る二 属 性効 用 関数 に は, 加 法 独 立 性.効 用独 立性.凸 依 存 性 等 い くつ か の性 質 を仮 定し, 合 成 が行わ れ る. 第 三 の方 法 は, ある属 性 の 各レベル にお けるもう一 つ の属 性 に関 する単属 性 効 用 関数 を求 め, 効 用 間 に 存 在 す る構 造(加 法独 立性.効 用 独 立 性.凸 依 存 性)を 仮 定 した 上で, 求 められ たいくつか の 単属 性 効 用 関 数 間 にお いて それ らが 満 たされ てい るか を検討 す るこ とにより, す べ てを内包 す るような効 用 関数 を決 定 す る ものである. 以 上 のような手順 のいず れ かを用 いて, 二 属 性 効 用 関数 を求 めるので あるが, このとき次 のような仮 定 をし てお くと便利 なことが多 い(詳 細 は 田村7)を 参 照せ よ). (1)加法 独 立性 一般 に, 属性 が 二つ 以 上 あって, 全体 的な評 価 を 行 う場 合 に, 各 属性 の重 み つき和 によって評 価 す るこ とが 多い. このように, 各 属 性 間 の干 渉(交 互効 果) をいっさい認 めない 条件 を, 加 法独 立性 という. しかし, この仮 定 は非 常 に強 い仮 定 で あり, 現 実 の 選 好構 造 を反 映 できない ことが多 い. (2)効用 独 立性 属性Yが 属 性Zに 効 用 独 立で あるとは, Zの レベル を ある値 に固 定して, Y上 の任 意 に与 えられ た二 つ のく じを考 えるとき, その選 好1頂序 が, 固 定 したレベ ル Zに 依存 しないことである. (3)凸依 存性 属 性YとZの 間で 効 用 独 立 性 が 満 た され な い 場 合, 属 性YがZにn次 凸 依存 性 を満 たす とは, 任 意 のy∈Yと z∈Zに 対 して, Ui(ylz)=Σ λ∫(z)σ1(IZf), Σ λ(z)=1 を満 たす相 異な るZi(i=0, 1, …, n)とZ上 の 実 数 値 関 数 λf(z)存在 す るとい うことである. この定 義 は, Y上 の す べて の正規 関数 が, 条件 レベル の異な った他 の I59

(9)

(n+1)個 の 凸結 合 で表 され ることを意 味している. (2)本 研 究 で 用 い る 多 属 性 効 用 関 数 の 決 定 a)CO2発 生 量/建 設 費 用 に 関 す る単 属 性 効 用 関 数 前述 したように, 単 属性 効 用 関数 は意 思 決 定者 に 確 実 同値 額 を尋 ね る確 実 同値 法や, 確 率を問 うことで 決 定す る確 率 同値 法 により決 定す る. 本 研 究で 環境 負 荷 にっい ての単 属 性 効 用 関 数 の決 定 は, まず 次 の ような仮 定 を設 けてお くことが合 理 的 であると考 えた. す なわ ち, CO2発 生 量 には 基 準値.限 界 値 を設 け(限 界 値 の設 定 は 効 用 関数 決 定 の 際 の未 知 数を知 るため に設 定), 基 準値 まで はCO2発 生 量 に比 例 し効 用 が減 り, 基 準値 を越 えてか ら限界 値 まで は限 界効 用 の低 減 を考 慮 し, 上 に凸 の 二次 関数 で 滑らかに効 用 が減 少 す るものと考 えた(図 ー3). また, コストに関す る 単属 性 効用 関数 は, 直 線 的な 単調 減 少 関数 と考 えた (図 一4). b)基 準 値 ー限 界 値 の 設 定 基 準値 として1990年 レベル の二 酸化 炭 素 排 出 量 を遵 守 す ることと考 えた. そしてこれ ら代 替 案 が検 討 され た 1996年 の時 点 で, 1990年 と1996年 の1人 当たり二 酸 化 炭 素排 出量 が, 0. 9: 1. 0で あると推 測 され る ことか ら8), 今 回 検 討 した代 替案 の 中で 二重 鋼 矢板 式 護岸 を 標 準 的な構 造 形 式 と考 え, これ が発 生す るCO2排出量 の90%を 基 準 値 とした. また 限界 値 は, 単 に計 算 の便 宜 のため に設 定 す る点な ので, これ を基 準 値 の1.5倍 に設 定 した(図 一4). c)多 属 性 効 用 関 数 決 定 ま での 手 順 本 研 究 で は単 属 性 効 用 関 数を前 述 のとお り仮 定 し, 二 段 階 方 式 により二 属 性 効 用 関 数 を決 定 す る第 二 の 方 法 を用 いた. 基 準値.限 界値 が 求 められ た後, 最 良のCO2発生 量 レベ ル と基 準 値 で のコス トに関 す る効 用 の変 化(効 用 関 数)を調 べ る. なお, 最 良のCO2発 生 量レベ ル には 評 価 す る設 計 代 替 案 の 中 でC02発 生 量 が 最も低 い 値 (この例 題 で はL型 ブ ロック式)をとることにした. この効 用 の変 化 を知 るた め, 次 のようなアンケー トを 提案 したい. 「あなたは, 現 在 のこの構 造 物 の建 設 標 準 費用 の(A)%で 二酸 化 炭 素 を1990年 レベ ル の(B)%排 出 す る構 造 物 を建 設 できると き, この設 計 代 替案 に同 意 します か?」 このようなアンケ ー トを本 来 は, 意 思 決 定者 である国 民.地 域 住 民な どに 聞 い て い くことが現 実的 で あろう. また, 複 数 の環境 問題 の専 門 家 に問 うことも考 えられ る. 意 思 決 定者 集 団の うち 同意 した者 の割 合 を効 用 と み なし, これ らを結 ん でい くことで 効 用 関数 が決 定で きる. 今 回 の試 算で は, 表 一7(a), (b)及 び(c)に 示 す よう な, 環境 に関 する異 なる立 場 を想 定 した. これ らの結 果 を相互 に比較 す ることにより, この方 法 の感 度 を見 るためで ある. 付 録 に, 図 一4に示 す 環 境 負 荷 を一 定 とした位 置 に お ける効 用 関 数 の 費 用 に対 す る変 化 を計 測 す るため のアンケートの例 と, 仮 想 的 な回 答例 を示 した.こ れ は 次 節 のケース(1)に対 す る回 答例 である. (3)護 岸 設 計 代 替 案 選 択 へ の 適 用 今 回 のアンケート回収 結果 は, 全 く仮 想 的 なもので ある. そ の点 を考 慮 し, 図-4のsとtに お ける効用 関数 の勾 配 を変化 させ ることにより, CO2発生 量 を徐 々 に重 視 す るように変化 させ, それ ぞれ の代 替 案 の 効用 を計 算 す ると, 表 一7のようになる. 以 上 の結 果 より, 環 境 負 荷 を比 較 的 重 視 しない場 合 は, 鋼 製 セル 式 の効用 が 高 くなるが, 徐 々 に二 酸 化 炭 素排 出 量 を重 視 して行 くと, ジ ャケット式 が 選 択 の 図 一3 CO2発 生 量 の単 属 性効 用関 数 図一4 CO2発 生 量と建設 費 用 の2属 性 効 用 関 数 r60

(10)

対 象 となることがわ か る. 効 用 は 相対 的な尺 度で あり, そ の絶 対 的な差 を論 じることはあまり意 味 が無 い. こ の 場 合 い ず れ の場 合もジ ャケット式 が 他 の 工 法 に対 し 同等 以 上 の効 用 を与えてお り興 味 深 い. 一 方鋼 製 セ ル 式もこれ とほぼ 同等 の効 用 を持 って いると思 われ る. 5. む す び 本 研 究で は 資源, エ ネル ギー や 環境 の, 持続 的な 保 全 を可 能 にす る社 会 システムの構 築 の一 貫 として, 建 設 工 事 にお けるエネル ギー 使 用 量 環 境負 荷 を考 慮 した新 しい設 計 法 の構 築 を 目指 す ことを 目的とし, 研 究 を行 った. 従 来 か らの経 済性, 構造 物 の信 頼 性 と 言 う指 標 に加 えて, 構 造 物 の建 設 に伴 い排 出 され る 二 酸化 炭 素 排 出量 を, 設 計 代 替案 決 の評 価 要 素 に 加 え, 階 層分 析 法, 多 属 性 効 用 分析 法 と言 う2っの 多 目的最 適 化 手 法 を導 入 し, これ を解 くことを考 えた. 海 上 埋 め 立 て地 の護 岸 の構 造 形 式 の決 定 の 問題 を具 体例 として, この 問題 を考 えた. 階層 分 析 法, 多 属 性 効 用 分析 法 を用い ることで, 経 済性, 構 造 物 の信 頼 性, そ して二 酸 化 炭素 排 出 量 とい う多軸 的な評 価 を取 り入 れ た意 思 決 定を行 うこと が, 一 応 可 能 であることを示 した. 今 回 取 り上 げた2っ の多 目的意 思決 定 法 は, いず れ も意 思決 定者 が 暗 黙 に持 ってい る, 複 数 の評 価指 標 間 の選 好 関 係 を, 定 量 的 に明 らか にす るための 手 法 であった. この様 な手 法 を用い る場 合, 意 思 決定 者 をどのように選 択 す るか は 問題 である. さらに先 の論 文 で 述べ たような, 構 造 物 の信 頼性 や エネル ギー 使 用 量 を貨 幣 換 算 す るような方 法, また絶 対 的 なエネル ギー 使 用 量 制 約 を与 えるような代 替案 選 択 方 法などを研 究す る必 要 がある1),9). 謝 辞: 本研 究 の遂 行 に 当たり, (財)住 友財 団 の 平成 8年 度 環 境 研 究助 成 を受 けたので, ここに深 謝す る. 実 際 の計 算 では, 岐阜 大 学 工 学 部 土木 工 学 科 卒業 生, 石 倉 宙 君(現 魚 津 市 役 所), 魚 住研 司君(現 運輸 省)の 協 力 を受 けた ので, ここに合 わせ て感 謝 の 意を表 したい. 付 録 例 題 の 効 用 関 数 の 推 定 図 一6に示 した 多属 性 効 用 関 数 のsとtに お ける勾 配 を 決 定 す るため に, 次 のようなアンケートを行 い, 結 果 的 に下 記 のような回 答 を得 た場 合 の結 果 を示 す. 1)sに 関 す るア ンケー ト: 「あなたはA万 円/m(標 準 建 設 費 用558万 円/mの 約B%)で 二 酸化 炭 素発 生量 を 1990年 レベル の約85%だ け排 出す る構 造 物 を建 設 す る ことがで きるとき, この設 計 代 替案 に同 意 します か.」 このアンケー トに対 す る答 えが表 一A1の通 りとする. 2)tに 関す るアンケー ト: 「あなた はC万 円/m(標 準 建 設 費 用558万 円/mの 約D%)で 二 酸化 炭 素 発 生 量 を 表 一7多 属 性 効 用 分 析 法 による各 代 替 案 の 評 価 結 果 (a)ケ ー ス(1): CO 2発 出量 をあ ま り考 慮 しな い場 合 (b)ケ ー ス(2)lCO2発 出量 を やや 考 慮 す る場 合 (c)ケ ー.ス(3): CO2発 出 量 を か な り考慮 す る場 合 表 一A1 sに 関 す るア ン ケー トの 回 答 例 表 一A2 tに 関 す るア ンケ ー トの 回 答 例 161

(11)

1990年 レベ ル と同 じだ け排 出 す る構 造 物 を建 設 す るこ とが で きるとき, この 設 計 代 替 案 に 同 意 します か. この アン ケ ー トに 対 す る答 え が 表 一A2の 通 りとす る 以 上2つ の 回 答 結 果 か ら, s∼z, t∼zの 関 数 関 係 を 決 定 で き, これ よりy-z平 面 上 で の 効 用 関 数 を決 定 で きる の で, 各 代 替 案 の 効 用 が 求 ま る. 参 考 文 献 1)松 尾 稔, 本 城 勇 介, 杉 山郁 夫: エ ネル ギー 使 用 量 を考 慮 した社 会 基 盤 施 設 の新 しい設 計 法, 土木 学 会 論 文 集 招 待 論 文, No. 553/VI-33, pp. 1-19, 1996 2)人 工 島 建 設 新 技 術 研 究 会(座 長: 松 尾 稔): 発 生 土 類 を 活 用 した 「干 拓 盛 土 工 法 」に よる 人 工 島 建 設 方 式, 1996. 3)刀 根 薫: 意 思 決 定 法AHP入 門, 日科 技 連 出版 会, 1986. 4)今 野 浩: 数 理 決 定 法入 門, 朝 倉 書 店, 1992. 5)森 口繁 一: 数 値 計 算 工学, 岩 波 書 店, pp. 152-158, 1989. 6)石 谷 久, 石 川 眞 澄: 社 会 システム工 学, 朝 倉 書 店, pp. 103-165, 1992. 7)田 村 坦 之編: 大規 模 システム, 昭 晃 堂, PP. 190-205, 1986. 8)(財)日 本 エン ジニアリング 振 興 協 会: 環 壌 研 究 部 会 報 告 書, 1993. 9)松 尾 稔, 本 城 勇 介 編 著: 地 盤 環 境 工 学 の 新 しい視 点: 建 設 発 生 土類 の 有 効 活用, 技 報 堂 出版, 1999 (1998. 4. 1受 付)

SELECTION OF STRUCTURE DESIGN ALTERNATIVES BY MULTIOBJECTIVE DECISION MAKING METHODS CONSIDERING ENERGY CONSUMPTION

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