著者
安達 和夫
著者別名
Adachi Kazuo
雑誌名
経営論集
巻
42
ページ
199-220
発行年
1996-02-28
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005683/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja企業 予 算 の諸 課題
安 達 和 夫
はじ めにI. 期間予 算管 理に おけ る達成 目標I. 中間管 理階層 と 期間予 算管 理I. マト リ ックス組 織と 期間予 算管 理]V. 期間予 算 の弾力 性と予 算 期間 の短 縮化V. 期間予 算 編成 での参 加 お わ りに 企業 予算 の諸課題199 は じ め に 大企 業 に お いて は 、そ の 大多 数 が、期間 予算 制 度を 採用 し てい る(0-1)。経営 管理 制 度 で の中 核を 占 め るこ とで(0-2)、そ の 確立 は 、企業 の維 持・ 発展 に と って 、肝 要 で あ る。本 稿 では 、わ が 国に おけ る 事 業 部制 を 採 る大 企 業 を 対象 とし て、 主 とし て中 間管 理 者層 が 当 面す る 、期 間予 算 管 理 で の、若 干 の課 題に つ い て考 察 す る。 な お、 期間 予算 を 以下 の よ うに規 定 す る こと で、 そ の 検討 を 進め る。 期 間予 算 は 、 こ れを 短 期期 間経 営計 画 の全 体 とみ る広 義 の見 解 と、 これを 責任 の割 付け を 伴 う具 体的 な短 期 期 間業 務 執 行 計 画とみ る狭 義 の見 解 とが あ る。 本 稿 で は、 後 者 の立場 に よ る。 後 者、 狭 義 期 間予 算( 以下 同 様) は、 短期 期 間経営 計 画 の後 半 の段階 を 形 成し 、 そ の予 算 編成 、 すな わ ち責 任 予 算 編成 ぱ 、短 期 大 綱 的 期間経 営計 画( い わ ゆ る期 間利益 計 画( 狭 義)(0己 通 常、年 度 計 画{0-l)) や 、 予 算編 成 方 針な どに 基づ いて 着手 さ れ る。 期 間予 算 に つ いて 、 実 務 では、 上記 、 両計 画機 能 の 相互 依存 性 ・一 貫 性 から、 広義 の立場 が採 ら れ るこ と が多 い。 こ こで 狭 義 の見 解に 立つ のは、 短 期 大綱的 期 間 経 営計 画 と期 間 予 算 とは、 一 体的 で ある と はい え、 経営 計 画 設定段 階 お よびそ の機能 の点 で、 な お 明 確な 識 別を 要 す る ことに よる。 短 期 大 綱的 期 間 経 営計 画 設 定段階 に おい て、 中 ・長 期 個別 経営 計 画、 中 ・ 長期 総 合 経営 計 画と諸 戦 略 思考 ・諸 戦 術 思 考 と の、 当該短 期 的期 間( 当 該年 度 な ど) に 係わ るそ れ ら の諸 実 施予 定業 務 部分 につ い て、 具 体 化 へ の構 想 が練ら れ る と共に 、そ れら の調 整 ・ 統合 が計 ら れ る。 この計 画設 定 過程 と 責任 予 算 とし て の期 間 予 算 の編 成 過程 と の識別 は 、 以下 の諸 点 か ら必 要 と され よう。 こ れら 大綱 的 計 画設 定は 。1) そ れ が期 間 予 算編 成 方針に 要 約 され る とし て も、具 体的 責任 の 割付け に 到 ら ない 計 画設 定段 階 で あ る こ と、2 )後 の段 階 に対 比 し て、 より上 部 の経営 階 層 と の実質 的 な 関 わ りが大 きい こと 、3 ) 統制 過程 との直 接 的 関連 性が 薄い こ とな どに よる。 犬 本稿 で は、 大 企業 に おけ る期 間予 算 の今 日的 な課 題 とし て 、 期 間予 算管 理 に おけ る達 成 目 標、 中 間 管理 階層 と期 間予 算 管 理、 マト リ ッ クス組織 と期 間 予 算管 理 、期 間 予 算 の弾 力 性 と予 算 期 間の短 縮 化、 期 間予 算 編成 で の参 加、 こ の5 つ の事項 を取 り上げ て、 以下 、 順 次 検討 する 。 (0 −1 ) 筆者 が代 表し て 行な っ た、「わが 国 の期 間予 算 制 度」につ い て の、産 業 経理 協 会主催 の調査 ('92 年) に よれ ば、 期 間予 算制 度 を回 答 会社 のす べ て が 設 置 し て い る 。 う ち 、151 社 ( 約87 %) が 、 総 合予 算制 度 を 採 って い る。 本 調 査は 、 金融 ・保 険 を 除 く有 力 企業 を対 象 とし 、 郵送に よ り回 答 を 求 め る方式 に よっ た。 有効 回 答 社数 、174社(回 収 率43.5%)、製 造業 が127社(約73 %)で、売 上 高1 千 億 円以上 ∼5 千 億 円 未満 、85 社 て49%)、5 千 億 円 以上∼1 兆 円未 満、29 社 (約17 %)、1 兆 円以 上、27 社 (約15%) な ど。 実 質 上、 事 業( 本)部制 を と る企業 数 は、 職能 別 組 織形 態 の31社 とそ の他 の1 社を 除 く、142 社 (約oZ % ) で ある。 (O −2 ) 期 間予 算制 度 につ い ては 、そ の 導入 当初 か ら 、 経営 管理 制 度で あ る とす る見 解 と、 企 業会 計 制 度 の一 環 で あ る とす る見 解 とが みら れた。 た とえ ば、 長 谷川 安 兵衛 教授 は、 わ が国に お け る予 算 統 制 の最 初 の 著書 で あ る 『予 算 統制 の 研究 』に お い て、「予 算 統 制は 会計 学 な り」 とさ れ、 つ ぎ の よ うに 述 べら れ てい る(一 部 の旧 字 体を 改訂 、 筆者 )。 「− 一 一会 計学 は 過 去 の活 動 の回 顧録 た るに 止 まら ず、 同 時に 未 来活 動 に 対す る 指導 と もな り、 そ の未来 計 算 の価 値 を 充分 に 保有 せ ねば な らな くな りつ つ あ る。 そ れ は云 う迄 もな く従 来 の会 計士 会 計学 か ら 経 営的 会 計 学へ の躍進 を 意味 す る。 こ こに 論究 す る 予算 統制 も高 度 の会 計学 発展 より生 じた る も のに て、 企業 の 未来 活動 へ の会 計学 的 応用 で あ る。 従 っ て予 算統 制 効果 の 経営 的効 果 が頗 る偉 大な る も の であ る と は云 うも のの、 学 問上 予算 統 制は 、 会 計学 の 学 域に 属 せし む べき も のであ る。] と さ れ、 さ らに 、「予 算 統制 の学域 に就 い ては 従 来は 定 説 が なか った が、 漸 次 学者 の 意見 は こ れを会 計 学 に 属 せし め るや うに な りつ つ あ る 一 一一然 るに 尚企 業予 算 統制 が企業 全 活動 の指導 とし て、 合理 的 経 営に 欠 く べ がら ざ る の価値 を 持ち つつ あ り、 これ に ょ って企 業 が 最 も よく統制 せ ら る る点 から 観 察 せら れて 、我 邦 に於 いて はこ れを 企業 経 営論 の立 場 から 論 究す る も の 乱 仲 々に多 い。 一 一一お も うに会 計 学 の近 代 的 意義 は 他面 から み れぼ 会計 学 と 経 営学 と の接 触 を意 味 す るも のにて 、 会 計学 は 、益 々経 営 学的 色 彩を 帯 びつ つ あ り、従 っ て、予 算統 制 も 企業 の近 代 的 経営 の 統制 方法 の一 つ として 尊 重 さ れ、 そ の 価値 の頗 る大 な る点 から すれ ば、 こ れを 経営 学 の一 分 野 とす る こと も強ち
企 業 予 算 の 諸 課 題201 無 理 で な い か も 知 れ ぬ 。一 一 一然 し な が ら 予 算 統 制 は 、¬ − 一 企 業 管 理 の 哲 理 に あ ら ず し て 、企 業 の 経 営 者 に 対 し 、思 慮 及 決 定 行 動 を 明 瞭 な ら し む る の 役 立 ち に 過 ぎ な い か も し れ な い 。故 に こ れ を 経 営 学 の 一 部 と し て 研 究 す る こ と よ り も 、会 計 を 応 用 す る 統 計 方 法 に し て 、而 もそ れ が 会 計 の 最 高 方 式 で あ る と い ふ 観 点 か ら 、 こ れ を 会 計 学 の 応 用 部 門 ま た ぱ 傍 系 的 部 門 と す る こ と が 遥 か に 無 理 が な い よ う に 考 え ら れ る 。]と さ れ て い る( 長 谷 川 安 兵 衛 著『 予 算 統 制 の 研 究 』森 山 書 店 、1930 年 、9 −11 頁 。)。 津 曲 直 躬 教 授 は 、「企 業 予 算 を も っ と も 典 型 的 な 伝 統 的 管 理 会 計 技 法 」 と 定 義 さ れ 、 そ の 限 界 を 、 「企 業 予 算 そ れ 自 体 の 手 段 的 特 徴 に 基 因 し て い る と み な け れ ば な ら な い 。 な ぜ な ら ば 、 企 業 予 算 に 貫 徹 す る 企 業 会 計 の 技 術 的 特 徴 は 、 計 画 設 定 活 動 で あ れ 統 制 活 動 で あ れ 、 そ れ ら 諸 活 動 の 結 果 を 、 み ず か ら の枠 組 み の 中 で 、 予 算 数 値 ま た は 実 績 数 値 と し て 一 意 的 に 会 計 測 定 し て い る に す ぎ な い か ら で あ る 。」 と さ れ て い る ( 津 曲 直 躬 著『 管 理 会 計 論 一 企 業 予 算 と 直 接 原 価 計 算 − 』国 元 書 房 、1977 年 、84 頁 お よ び191 頁 。)。 前 記 調 査 で は 、「期 間 予 算 の 本 質 理 解 」 に つ い て 、“経 営 管 理 の 制 度 一技 法 が そ の 本 質 ” と す る 回 答 が90 社 (52 % )、“ 企 業 会 計 の 制 度 ” と す る 見 解 が10 社 ( 約6 %) 、“ 両 者 一 体 的 紳 が72 社 ( 約42 % ) で あ る。 し た が っ て 、 今 日 的 な 理 解 と し て は 、 企 業 会 計 が そ の 根 幹 に か か わ る 経 営 管 理 の 制 度 一技 法 で あ る と み る の が 妥 当 で あ る 。 十
な お 、Horngren,CharlesT. は 、「予 算(budget )は 、行 動 計 画(planofaction )の 数 量 的 表 現 で あ る 。計 画 で の 調 整 と 実 践 の 一 助 で あ り 、経 営 計 画 設 定 を 余 儀 な く さ せ 、秩 序 立 た せ る 主 要 な 手 立 七 で あ る 。」と す る(CharlesT.HorngrenandGayL.Sundem,IntroductiontoManagementAccounting,PrenticeHall,9thed 。1993,p.lO. 第8 版 (90 ) の 記 述 も ほ ぼ 同 様 で あ る 。)。 ま た 、Hilton,Ronaldw. は 、「予 算 は 、特 定 期 間 に 諸 資 源 を ど の よ う に 取 得 し 、使 用 す る か を 数 量 的 に 表 示 す る 詳 細 計 画 で あ る 。」と し 、予 算 編 成 シ ス テ ムは 、5 つ の 主 要 な 目 的 を も つ と し て 、計 画 設 定(planning )、コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン お よび コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン の 促 進(facilitatingcommunicationandcoordination )、諸 資 源 の 配 分(allocatingresources )、利 益 お よ び 業 務 の 管 理(controllingprofitandoperations) 、業 績 評 価 お よび 報 奨 の 用 意 (evaluatingperformanceandprovidingincentives ) を 挙 げ て い る (Ronaldw.Hilton,ManagerialAccounting,2nded.,McGrawHillInc ・、1994,P.374. )。 (O −3 ) 従 来 、 期 間 予 算 は 期 間 利 益 計 画 の 一 環 と し て 理 解 さ れ る 場 合 が 多 く み ら れ た 。 利 益 管 理 中 心 思 考 の 助 長 に つ い て は 、 通 産 省 産 業 合 理 化 審 議 会 答 申 の 丁経 営 方 針 遂 行 の た め の 利 益 計 画 」(1956 年 )、「 事 業 部 制 に よる 利 益 管 理 」(1960 年 ) が 、 少 な か ら ず 影 響 し て い る と 考 え ら れ る 。 前 者 で は 、「 内 部 統 制 の 遂 行 に お い て 、そ の 第 一 段 階 と な る 予 算 は 、全 般 的 経 営 方 針 に し た が っ て 樹 立 さ れ る 利 益 計 画 に も と づ い て 編 成 さ れ る こ と に な る 。」 と し て お り、 ま た 、 後 者 で は 、「事 業 部 制
の 予 算 統 制 は 、 本 部 の 全 社 的 な 利 益 計 画 に 基 づ い て 、 各 事 業 部 ご と に 編 成 さ れ る 事 業 部 予 算 に よ っ て 実 施 さ れ る 。」 と し て い る。 前 者 で は 、 な お 、「 し か し な が ら 利 益 計 画 を 樹 立 す る に あ た っ て は 、 収 益 性 の 追 求 の み に 終 わ っ て は な ら な い 。 そ れ に は 健 全 な 財 務 計 画 の 立 案 に よ っ て 企 業 の 安 全 に 留 意 す る こ と が 極 め て 必 要 で あ る。」 と し て い る が 、後 者 に お い て は 、 事 業 部 が 保 持 す べ き、 財 務 健 全 性 に 対 す る 記 述 を 欠 い て い る 。 経 営 計 画 設 定 で 、 収 益 性 と 健 全 性 と は 等 価 で あ る べ き で あ り、 そ の 意 味 気 経 営 計 画 を 利 益 計 画 と 呼 称 す る こ と ヽ ま たヽ 事 業 部 を も っ ぱ ら 利 益 追 求 の 手 立t と み る こ と は 、 企 業 の 健 全 な 成 長 を 計 る う え で 妥 当 性 を 欠 く 。 (O −4 ) 前 記 調 査 で の 、「短 期 大 綱 的 経 営 計 画 設 定 の 有 無 」に つ い て は 、“ 設 定 す る ” が、」40 社 ( 約80 % )、 対 象 期 間 は 、1 年 が70 % で あ っ た 。 期 間 予 算 と の 関 連 性 に つ い て は 、 期 間 予 算 が 、 “ 一 環 で あ っ て 、 か つ そ れ を 基 礎 と す る ” と 、“ そ の 一 環 で あ る ” と の 合 計 は 、73 社 ( 約52 % )、“基 礎 と す る ” は 、55 社 ( 約39 % )、“ 別 個 に 編 成 ” は 、12 社 ( 約9 % ) で あ っ た 。 口 ] 期 間 予 算 管 理 に お け る 達 成 目 標 事業 部 制に おげ る期 間 予 算管 理 で の各 事業 部( ないし 、事 業 本 部、 以 下同 様 ) の 達成 目 標とし て、 従来、売 上 高、利 益 額 な ど の収 益関 連 指 標が重 視 さ れて きた 。 わ が国 で は、とく に、市場 占 有度を 勘 案 し ての売 上 高 の 伸び 率 が重 視 さ れて き た。 こ れ と対照 的 に、 健 全性 ( 財務 健 全 吐お よび業 務健 全 性 )につtヽては 、比 較的 、軽 視 さ れ る傾 向に あ った(1犬 成 長 期 にあ っ て は、売 上 高 の伸 張を 計 るこ とが、事 業 の健 全 性 の支 え に なる と も みら れた から で ある。し かし 、低成 長 の下 で、安 定的 成 長を 計 る た めに は、 健全 性 に 、一 層 留 意し なけ れば なら ない 。 期 間予 算管 理 上 で も、 同 様 のこ と がいえ る。 とは いえ 、 個 々事 業 部 が、 財 務 健全 性に 則 して 、 主体的 に 資 金管 理を 行 な え る 立場 に ない とす れ ば 、す なわ ち、 事 業 部 の所 要 主 要資 金 の調 達 と、 そ の基 本的 運 用お よび返 済や 、手 元 流動 性管 理 が、 主 とし て、 本 部主 管 事項 とさ れ る ので あ れば、 期 間予 算管 理 上 も、 財 務 内容 の 健 全性 につ い て の、 こ の部面 に 対 する 部 門 レベ ル で の全 般的 な管理 責 任 はない 。 また、 個 々事 業 部 につ い て 、財 務 健 全性を 的 確 に捉 え る こ とは、 計 算技 術上 、 種 々の困 難を 伴 う。 当企 業 につ いて の全 社的 財 務 健全 性 指 標 とし て、たとえ ば 、自己資 本 構成 比 率べ株 主資 本 比 率)、固 定 長 期適 合 率、 売 上 高純 金利 負担 率 な どが 用い ら れてい る とす れば 、 そ の評価 基準 の一 体 性 の視点 から、 事 業 部に つ い て も、 予 算管 理上 、 同 様 の指 標に よ って 、財 務 健 全性を 捉 える こ とが 望 ましい。 し か し、 こ れら 諸 比率 を 、 各 事業 部に つ い て算 定し よ うとす れ ば、 こ れら 指標 の算 定要 素 であ る、 当 部 門 の使用 総 資 本額 、 自己 資 本 額、 長 期資 本 額、 純金 利 額 な どの 算定 に恣 意 性 を 伴 うこ とで 、こ れら 比率 の事 業 部 別算 定 は、 そ の客 観性 が疑 問 視 さ れる。 こ うい っ た、 計 算技 術 的 観点 から す る消 極的理 由から も、 個 々事業 部に 対 す る、 そ の財 務健 全性 に つい て 、 公式 に は、 定 量的 把 握を 行 なわ
企業 予 算 の 諸 課 題203 な い 傾向 が み ら れ る。 こ のた め、事 東 部に つ い て の包 括的 な 財務 健全 性 管理 の た め の指 標が 客 観性 、受 容 性を 欠 く とす れ ば 、各 事業 部 の健 全性 に つ いて の総 体的 な定 量的 把 握に 代 え て、そ の部 分的 な表 示 に 止 ま りは す るが、 よ り客 観性 、有 用 性を 有 す る指 標に基 づ く、業 務 健 全性 の側 面 を も併 せ て の期 間予 算管 理 が考 えら れ る。 事業 部 につ い て の 、そ の個別的 指 標 とし ては 、た とえ ば 、企業 間 信用 比 率(売 上債 権お よび買 入 債務 )、在 庫 率 な ど の、資産 ・負債に つ いて の部分 的 回転 期 間に 係 わ る指 標を 用い る こと がで き よう。 収 益性 管 理 面 につ い て は、 上述 の よ うに 、 事業 部に お いて 主 体的 に 使 用総 資本 額を 決定 で きな い こ と と、 また 、 そ の客 観 的測 定 の困難 性 とか ら、 使 用総 資本 利 益 率に よらず に、 使用 総資 本 を所 与 と して の売 上 高 利益 率 お よび/な いし 利 益額 に対 す る管 理 の形 態 が採 ら れ る場 合 が多 い。 しか し、 使 用 総資 本 に 対 する間 接的 表示 とし て、 当部 門 の所 要 資 金( 買 入 債務 な ど の当事 業 部 の 信 用に よる無 利 子 負 債 の許 容額を 除 く) を本 部 から 内 部借 入 金 (ない し 社 内借 入 金 、な お、 内部な い し社 内に つ い て は、 以下 同義 とす る) の形 で調 達 し た とし て、 そ れに 対 す る内 部 計算 金利 を 控除 し た後 の 事業 部利 益 で 部門 管理者 の業 績 を 評定 す る ことで 、 使用 資 本 の効 率化 に 対 す る部 門管 理者 の関 心を 高 め る手 法 が 採 られ る場合 も みら れ る[ 内部 借 入金 制 度、 内 部計 算 金利 制 度]。 バ で の事業 部 で の 内部 留 保 (損失 の場 合 はそ の積 立 額 から 控除 ) を認 め る こ とで、 使 用資 本 額 お よび そ の効率 化 へ の 関心 を 一層 高める一 助に な る[ 事業 部 損益 累 積制 度 、損 益 積立 金 制度 ]。さ らに、事 業 部 内 部留 保 利益 (な い しプ ラ ス減価 償却 費、 す な わち 、 ネ ット ・ キ ャッ シ ュ・ フ ロ ー) の再投 資 に つ いて の、 中 ・ 長期 経 営計 画、 お よび、 期 間予 算 編成 上 で の、 大 幅の 裁量 権を 、事 業 部管 理 者に 与え るこ とで 、 そ れら へ の 自己 管 理 意欲を 高 め るこ とに 役 立つ 。 こ の思考 を 一 段 と進 め て 、事業 部を 独立 会 社 と見 倣 して 、事 業 部 で の資 本運 用 を一 層 効率 化 し、 企 業 の財務 健 全 性 へ の寄 与 を高 め る手立 て とす る こと が考 え ら れ る[ 内部 分社 化 ]。 こ の、事 業 部 の主 体性 を 高 める方 策 の一 段 階 とし て 、 内部 分 社的 制度 を 採 る こ とで、 各 事業 部 の 使 用総 資 本額 とそ の運 用 に ついて 裁 量を 、 可及 的、 個 々事 業 部 に委 ね る ので あれ ぼ 、こ の種 の分 社 的 事業 部 で は、 そ の 使用 総 資本に つ い ての 金利 負 担を 要 す る。 本部 か ら所 要 資金 を 総 額、 ない しそ れか ら買 入 債 務 な どの 無利 子 負債 部分を 控 除 した 額を 借 入 れて い る と見倣 せ ば、 事 業 部は 、前 述 の 場 合 と同 様 に 、そ の借 入 額につ い て、 な んら か の内 部計 算 金利 に 基づ く金 利 の負 担 を 、そ の 損益 計 算 上 、す べ き で あ る[ 分 社的 化で の 内部 借入 金制 度、 内部 計算 金 利制 度 ]。 さ らに また 、 事業 部 制 を より独 立会 社的 に 運営 す る とし て、 そ の使用 資 本額 の一 部 が、当 事業 部 の自 己資 本 に よる も のと 見 倣すの で あれ ば[ 内部 自己 資 本制 度 ]、事業 部 の 借人 分 につ い て、計 算金 利 を 負担 し 、 ま た、 そ の自 己資本 分に つ いて 、 内部 資 本金 を 想 定 す る の で あ れ ば[ 内 部 資 本 金 制
度(1-2)]、配 当 金な ど の負 担(本 部 へ の納 入)を す べ きで あ る。内部 分社 化に お い ても 、前 述 の場 合 と 同様 に、 以 下 の諸 項 目の算定 につ い て の客 観性 、受 容可 能 性 が問題 に な る。す なわ ち、 事業 部 の使 用総 資本 額 とそ の内 部計 算金 利 、 また、 事業 部 の 自己 完 結 性を 高 め るの であ れ ば、 自己 資 本額 (内 部資 本金 制 度 では 、 内部 資本 金 額お よび事業 部 内 部留 保 利 益額 )、 配 当金 ・租 税 負担 額 な ど、 また、 借入資 本 額 ( 有利 子 負 債分 (長 期分 と短 期 分) と 無利 子 負 債分 )、 計 算金 利( 長 期金 利 と短 期金 利) な どにつ い て であ る。 このさ い 、 自己 資本 の各事 業 部へ の 割付け が、 そ の客 観 性や 手 数 とか ら困難 であ れ ば、受 容 可能 性 を考 慮 の上、 当 企業 で の 自己 資本 の 総額 ない し 特 定額 を 、 より簡易 な方 法 で 配分 す る こと が、た とえ ば、 固 定資 産 額、 人 員な どの単一 ない し 複合 基 準に よる こと が考 え ら れる[ い わ ば、 準 内部資 本 金制 度 ]。なお 、一 般 的に は、内 部 自己 資 本 制度 な い し 内部 資本 金制 度 を 採 ると して も、こ れに近 い 形 しか 、 実質 上 、採 れない で あろ う。 こ の よ うに、 事 業部 門 につ い て、 で き るだけ 企業 に 近 い 形態 で の運 営 を 目指 す ので あれ ば、 期 間 予 算管 理 で の収 益 性基 準に よ る達 成 目標は、 資 本 の増 殖 額 (増 殖 率) で あ る利 益額 ( ない し、 そ の 伸 び率 ) お よび/ ない し 資本 利 益率 と す るこ とを 要 す る。 後者 に よる場 合 、全 社的 目標 とし て、ROE ( 株主 資 本利 益 率) の 改善 に対 す る関 心 が大 きい ので あ れ ば、 事業 部 につ い て も、 そ の 内部 自己 資本 額 算定 の実 効性 が えら れ れば、 同様 の基 準 に よる べ き で ある。 さら に 、全 社的 目標 とし て、 資 本 の純 増殖 率 を示 す 内 部成 長 率(役 員賞 与 ・配 当 控除後 税 引 き利 益/ 株 主 資本 ) が採 ら れ ると すれ ば、 事業 部につ いて 乱 上 述 の条 件 が満 たさ れ れば 、同 様 の基 準 に よるこ と が望 まし い。 なお 、事 業 部門 に 対し て 自己 資本 が 割付け ら れて いな い のであ れ ば、ROA (総 資産 利益 率)基 準 に よるこ と が考 え ら れる。 この さい、 総 資 産 の把 握を 、 償 却 の進 捗度 の違 いに ょ る影響 を 排除 す る た めに 、 固 定資 産 をそ の取 得 時 で の原 価基 準に 基づ くこ と な どにつ い て の有 効 既が検討 に 値す る。 投 下 資 本 利益 率を 収 益性 に つい て の業 績 評価 基 準 とす る ので あ れ ば、 そ の前 提 と七 て、 当然 、 イ ン ベ スト メ ント ・ セ ンタ ーとし て性 格づけ ら れる 事業 部 に 対し て、 そ の中 ・長 期経 営計 画 、期 間予 算 編成 に 対 して の 大幅 の 参加 お よび 権限 委 譲 と、 そ れら 計 画に 係 わ る投 資に 対 す る大 幅の 裁決 権 が 与 えら れ る と共 に 、 これに 伴 う事後 的 な評 価制 度 の整 備 を 要す る。 (1 −1 ) 前記 調 査で は、「期 間予 算編 成 の 目的 と して 、重 視 す る 目標 」とし て、最 も多 く の企 業 が挙 げ た のは( 重 複回 答)、“所 要 の収 益性 の 実 現 ”で 、171社( 約98%)、2 位 が、“所 要 の 原価引 下げ ”で 、128社 (約74 %)、3 位 が、“資 源配 分 の有 効 的達 成 ” で、114社 (約66 %) で あっ た。 こ れ
企業 予 算の諸 課題205 に 対 して、“財務 安 全 性 の確 保” は4 位 、Ill 社 ( 約64 % )、“安 定 的 な 収 支 管 理 ” は5 位 、Ill 社 (64%レ で あ った 。収益 性 に対 比し て 、財 務安 全性 に 対す る重 視 度 が低 い こ とは 、「期 間予 算制 度で 重 視す る 分野 」に つ い て の 回答 で(重 複 回 答)、“期 間 損益 予 算” が、173 社 (約99 % ) に 対 し て 、 “全 体 的な いし 部 分 的 有高 予 算” が、40 社 台(20% 台) であ るこ とに も 現れ てい る。 (1 −2 ) 内部 資 本金 制 度 の是非 の検討 に は、 つ ぎ の見 解が 参考 に なろ う。 「− 一 一社 内資 本 金 制度 が期待 通 りに 機能 し て、 事業 部 が果 敢に 環 境 に挑 戦 し 、 組織 の 大規 模化 に 伴 う活力 の 低下 を 克 服 で きれば、 会 計 贋報 シス テ ムを 含 む組 織 の構 築 とそ の運 用に かか る コスト を 上回 る効 果 を享 受 す る こ とがで ぎ よ う。 しか し、 情報 を 真摯 に受 け とめ 独立 し た企 業 の ような意 志決 定を 通 じて行 動 に 結 びつけ る姿勢 が 事業 部に 欠け てい た り、累 積 さ れた 損 益 に対 す る 評価 や権 限 が不 明確 な 場合 、 い たず ら に数 字 ばか りが空 回 りす るだけ で 、逆 の 効 果を 招 き か ねな い。 特 に、 社 内資 本金 制 度は 独 立 企業 を 擬制 し た社 内 ル ールに 基づ く 複雑 な計 算 を 伴 うだけ に、 管 理 情報 と組 織 の行 動 との 間に 乖 離 が一 層 目立つ こ とに なろ う。」( 田宮 治 雄 稿 『 社 内資 本 金 制 度 の 特 徴 と 問 題 点』 企業 会 計誌 、1995年2 月 号、202頁 。)。 [n] 中 間 管 理 階 層 と 期 間 予 算 管 理 − そ の 複 層 化 に 関 連 し て 一 期 間予 算 の主 要 な 役 割 とし ては、 そ の ひ とつ は、 特定 期 間で の諸 費 用 の発 生に つい て 、許 容 額の 上限 を 規定 し、 発 生 額を 管 理 する こ とで あ る。 こ のシ ーリン グを 設 定 し て の諸 費 用 の管 理 は、 とく に、 不 況期 な どで は、 また 、そ の 支 出効 率 の客 観的 判定 の 比較的 困 難 な、 い わ ゆ る 裁 量 費 用(dis-cretionarycost)('-" な ど特 定 費 目につ い て ぱ、そ の役 立 ちを 軽 視 で きない 。しか し 、一 律 経費 節 減的 な、 ない し増 分主 義的 な予 算管 理だけ に 依存 して も、企業 の維持 ・発 展 は計 れ な い。 こ の ために は、 環境変 化 に 対応 し て の諸 経 営資 源 の適 切 な投 入 ・配 分に 基づ く、 効 果 的 な業 務 執 行を 要 す る。今 日 的な 意 味で の、 期 間予 算 の より主た る役 割は 、前 述 の よ うに 、短 期 的 な具 体 的 責 任 の割当 てを 伴 う 業 務 執行 計 画、 す な わち 、 責任予 算 と し て のそ れが 果た す機 能に あ る。 諸 費用 の 上限枠 に よる管 理 が、 経 営 の 全構 成員 を対 象 とす る のに 対 し て、 責任 予 算 に よる管理 に おい ては 、そ れ が もつ マネ ジ メント ・ コント ロ ール とし て の特質 か ら 、 と りわけ 、 中 間管 理 者層 と の 係わ りが 大 きい。 期 間予 算に 対 す る中 間 管 理者層 の係 わ りを 的確 に 検討 す るに は、 事業 部 制を 採 る大 企業 の場合 、 事業 部 が、/そ の本来 的 機 能 を果 たす 上 で、 事業 部 門 内で の中 間管 理 者層 に 係 わ る 複層 化 か注 目さ れ なけ れば なら な い。 事 業 部制 を採 り、 当該 事業 に つい て の一 部 の統 括 管理 権 限を 事 業 部長 に 分権 化 する こ とで、 企業 運 営 の よ り弾力 化 、 迅速 化 が期 待 され た。 七かし こ の ことに よ って 、中 間 管理 者 層 を、 実質 上 より多 層 化 し た こと は否 め ない(2大 事業 部 数 が過 大化 し 、お よび/ ない し事 業 部 が肥
大化 す れば、 い くつ かの 事業 部 を束 ね る事業 本部 制や 、 複数 事業 部 門 の グル ープ化 な ど に よって、 事業 部 と本 部( 本 社) との 間に 一 階 層を 加 える か、あ るいは 、社 内分 社化 や、ス ピ ソ オフ な どの方策 が採 ら れる。 わ が 国 の場 合 、 スピ ソ オフ は、 い くつ か の障 害 があ る こと で、 実 施 に幾多 の困 難 があ るとす れば、 複 数 の 同系 統 の 事業 部を 統 括す る 管理 階層 を一 階 層 加え るとい う対 応 がさ れ るこ とが 多 い。 この方 策 に よる とす れ ば、 期 間予 算管 理 上 も、 この多 層 化に 対 応 し ての 的 確 な措 置を 要す る。 ま一だ、 社 内分 社 化 、 と くにそ の最 も 進 んだ形 態 とさ れる、 い わ ゆ る カ ン パ ニ ー制(2-3)な どに よっ て、 極力 、 権限 の委譲 が計 ら れ る とし て も、 階 層 間の コ ミ ュニ ケ ーシ ョン ・ギ ャップ の増 大を どの よ うに 回避 す るか につ い て の 、期 間 予 算管 理制 度 の担 うべ き役 割 は 大 きい。 事 業 部 制 の場 合、 中間 管 理者 層 の上 位( 事 業 部に と っ て の統 括管 理者 層) とそ の管 理者 層 の下 位 (事 業 部 に とっ て の中間 管 理者 層) と の担 うべ き、 そ こ で の役 割を 分別 す る必 要 があ る。 期 間予 算 の実 態を 捉 え、 そ のあ り 方を考 察す る 上で 、 この識 別 は 、 極め て重 要 であ る。 ニ 上位 の中 間 管理 者 層 ( 典型 的 に は、 事業 ( 本) 部 長(お よび 部長 )) の期 間予 算 編成 で の役 割は 、 当 該事 業 部 の担当 す る事業 に つ い て の統 括責 任を 取 る立 場 から 、積 上 型 の予 算 編成 方 式を 採 る場 合 に は、 た とえ ば 、つ ぎ の よ うで あ る。 す なわ ち、 経 営全 般 の観 点 から す る企業 戦 略 思考、 中 ・長 期 経営計 画に 基づ く 、 ト ップ ダ ウ ンに よる意 向を受 け て、 当 部門 の予 算 編 成方 針 を 設定 す る一 方、 こ の方 針に 基づ く下 位 の中 間 管理 者 層 (部 長お よび/ ない し 課長 な ど) か ら の ボト ムア ップに よる各 部門予 算 原 案を 調 整 ・統 合 し てト ップに 提 出し、 必 要に 応 じ て再 調整 す る こ とで あ る。 上 位 の中 間管 理 者 層 は、 期間 予 算 の有 効 化を 計 る上 で、 ト ップ と 諸下 位 部門 と の間 の結 節点 とし て の立場 に あ る。 ま た、 下 位 の中 間 部 門管 理者 の 部門 戦略 につ い て の発 案 を受 け て 、 これを 全 社的 理 解を得 るべ く調 整 す る立 場 に あ る。 また 、後 述 (v 節を 参 照) の ように 、本 稿 の解 釈で の折 衷型 を と るの であ れば 、 積 上型 に 対 比し て、 予 算 編成 上 で一層 中 核的 役 割 を果 た す こ とに な る。 こ れに 対 し て、 下 位 の中 間 管 理者 層 の期 間 予算 編成 で の役 割 は、 とくに 、 積 上型 で は、 部 門予算 編成方 針に 基 づい て 現 場 管理 者 層 の意 向 を調 整 ・統 合し て、 部 門予 算 原 案 とし て 事業 部長 に提 出し 、 また、そ の修 正要 求に 応 じて の再 調整 に あ る。 この 中間 管理 者 層 は√ 現 場管 理 者層 から の情報 を汲 み上げ て の、 現 実的 な 環 境対 応 に 、時 に 、好 適 の立 場に あ り、 ま た、 現 場監 督 者 層に よる現 実に 即 して の的 確な 諸資 源配 分 に対 し て 、 こ れを 助言 ・補 整す る 上 で、 適任 の地 位に あ る。 さ らに 、特 定 目的 、 特 定機 能 に 係 わ る、 数部 門に 亙 る横 断的 業 務活 動 で の、 横割 構造 と、 経営 階 層 制 で の縦割 構 造 と の交 差点 に 位 置 す るこ と も多 い の で、 こ の場 合、 水 平 ・垂 直 両 軸 から の諸 情報 を 選 択・ 統合 す る 担 い手 として の役 割 も大 きい ( こ の点に つ い ては、m 節 を参 照 。)。 中 間管 理者 層 を 知 的 創造 者 とし て 再 編成 す る上 で、予 算 原 案作 成 、そ の調整 ・修 正 な どの過 程に おい て、 そ の知 識 、 経験 、 発 想性 な どを 有 効に 活 用 す るため に、 経 営 組織 構 造 と期 間予 算 編成 過程
を ど の よ う に 再 構 成 す る か が 、 基 本 的 な 課 題 で あ る 。 企 業 予 算 の 諸 課 題207 (2 −1 )Kaplan,Roberts.andAnthonyA.Atkinson は 、裁 量 費 用(discretionaryexpense ) に つ い て 、 つ ぎ の よ う に 規 定 し て い る 。 犬 「裁 量 費 用 は 、 特 定 期 間 、 通 常 、 年 次 で の 予 算 編 成 過 程 で さ れ る 決 定 に よっ て 発 生 す る 。 一 一 一 一 度 、 承 認 さ れ る と 、 予 算 一実 績 費 用 を 比 較 す る 定 期 的 報 告 シ ス テ ムに よ り 、 通 常 、 管 理 さ れ る 。 裁 量 費 用 支 出 か ら の ア ウ ト プ ッ ト な い し ベ ネ フ イ ッ ト の 測 定 が 困 難 な た め に 、 正 規 の コ ス ト ーベ ネ フ イ ッ ト 基 準 に よ る 裁 量 費 用 の 評 価 は 、 通 常 、 ほ と ん ど さ れ な い 。 そ め 承 認 は 経 験 に 富 む 上 位 管 理 者 の 豊 か な 知 識 に よ る 判 断 に 基 づ い て さ れ る 。」(RobertS;KaplanandAnthonyA.Atkinson,AdvancedManagementAccounting,2nded ・、PrinticeHall,1989,p.29. )。 ま た 、裁 量 費 用 セ ン タ ー(discretionaryexpensecenters) の 特 質 に つ い て 、つ ぎ の よ う に 述 べ て い る 。 「 裁 量 費 用 セ ン タ ー は 、 産 出 量 が 財 務 表 示 で の 測 定 が で き な い 業 務 単 位 、 な い し 消 費 諸 資 源 ( イ ン プ ッ ト ) と 達 成 成 果 と で の 強 度 の 関 連 性 が 存 在 し な い 業 務 単 位 に 対 し て 適 用 さ れ る 。R&D や マ ー ケ テ ィ ン グ 職 能 に 対 し て は 、 そ の 責 任 部 門 が 効 率 的 で あ る か ど うか を 決 定 で き る 。 す な わ ち 、R&D に つ い て は 、 新 製 品 お よび 改 善 技 術 に よ っ て 、 マ ー ケ テ ィ ン グ に つ い て は 、 売 上 高 や 市 場 浸 透 度 に よ っ て 、 そ の 企 業 の 目 標 に 合 致 し て い る か を 知 る こ と が で き る 。 し か し な が ら 、 こ れ ら 部 門 で の イ ン プ ッ ト と ア ウ ト プ ッ ト と の 関 連 性 が 低 い こ と か ら 、 能 率 的 に 運 営 さ れ て い る か 、 す な わ ち 、 最 低 限 の 所 要 イ ン プ ッ ト で 実 際 の ア ウ ト プ ッ ト 高 を 産 出 し て い る か を 決 定 で きな い 。 基 本 的 に 、 裁 量 費 用 セ ン タ ー に つ い て の 予 算 の 決 定 に は 、 知 識 の 豊 富 な 専 門 家 の 判 断 が 必 要 と さ れ る。 裁 量 費 用 セ ン タ ー の 管 理 者 に よ る 適 切 な 予 算 水 準 の 決 定 を 信 用 し 、 密 接 に 作 業 を す る こ と を 要 す る 。 こ の 種 セ ン タ ー の 管 理 者 は 、 そ の 予 算 を +10 % と か 、 +20 % と 変 更 す る 結 果 を 予 測 す る の に 最 も よ い 地 位 に い る 。 諸 活 動 が 、 諸 変 化 に よ っ て 増 強 な い し 低 減 さ れ る こ と が 判 れ ば 、 セ ン タ ー の 管 理 者 は 、 そ の 時 に 、 次 期 に つ い て の 予 算 を 、 そ し て そ れ か ら 努 力 量 の 質 と 強 度 を 決 定 で き る。」(Roberts.KaplanandAnthonyA.Atkinson,op.cit.,pp.531 −532 よ 以 上 の 見 解 に 拘 ら ず 、 研 究 部 門 を 例 に と れ ば 、 成 果 の 把 握 自 体 が 容 易 で は な い 。 す な わ ち 、 短 期 的 な そ の 直 接 成 果 把 握 の 困 難 性 に 加 え て 、 そ の 副 次 的 間 接 成 果 の 存 在 も 無 視 で き な い こ と 、 通 常 、 一 次 成 果 ( 科 学 技 術 知 識 ) は 、 二 次 成 果 ( 新 製 品 の 利 益 額 な ど ) と し 結 実 し て 、 は じ め て 企 業 の 成 果 に 貢 献 す る こ と 、 こ の 間 に 開 発 ・ 製 造 ・ 販 売 努 力 が 係 わ り 、 タ イ ム ラ グ が 存 在 す る こ と な ど 、 ま た 、 そ の 費 用 額 に つ い て も 、 そ の 活 動 の 新 規 性 、 非 反 復 性 か ら 許 容 額 の 客 観 的 把 握 が 困 難 な こ と 、 人 件 費 が 、 通 常 、 そ の 過 半 で あ る が 、 そ の か な り の 部 分 を 共 通 固 定 費 が 占 め る こ と な ど に よ る 。 こ
のた め企 業 の収 益 性 ・健 全性 維 持 の観 点 から 、予 算 ス ラ ックを 回避 す る に は、 こ の 種 の費用 予算 額 に つ い ては 、 シ ーリ ン グを設 け るこ と が望 まれ る。 (2 −2 ) 経 営 管 理階 層 の多 層 化 の弊 害に つい て は、周知 の ように 、PeterF.Drucker は、つ ぎ の ように 述 べ てい る。 「経 営管 理 の階 層 は一 つ 増え るご とに 組 織 の硬直 化を 増 す。 階 層 の一 つ 一つ が、 意 志決定 を遅 ら せ る。 情報 理論 の法 則に よれ ば、 情 報量 は 情報 の中 継点 、つ ま り階層 の数 が一 つ 増 え る こどに 半減 し、 雑 音は 倍 にな る。 階層 は、 万 一 増や さ ざ るを えな い とし て も、 人 数 の増 加 より も小さ く しなけ れ ばな ら ない。 −− − ミドル に 対し て、 一 一一達成 感 と満足 感を 与 え る 唯一 の 方法 は 、仕 事を 大 き く し、 挑戦 的 に し、 厳 し くし 、 裁量 を もた せ る こと であ る。 そ して 、 彼 ら の優 れ た業 績に 報 いるに は 異な る仕 事 の横 の移 動を はか る こ とを もっ て、昇進 の代 わ りとす べ きで あ る。」(P.F. ド ラッ カ ー 著 、 上田惇 生、 佐 々木 実 智 男訳 『 マ ネ ジメ ント ・フ ロ ンテ ィ ア』 ダ イ ヤモ ンド 社、240 頁 お よび241 頁。PeterF.Drucker,TheFrontiersofManagement,E.P.Dutton,1986. )。 し かし 、 階層 の フ ラ ット 化を 安 易に 進 め るこ とに 対し て は、 つ ぎ の よ うな批 判 も あ る。 「− 一 一階層 制 が 弱 ま ると、 往 々に し て不 安 が増 大し 、や がて は多 くの 機能 不 全 とな って 現 れる。 一 部 の従業 員 はだ んだ んと 硬直 し て官 僚 主 義的に な り、 階層 の排 除に よっ て 生 まれ るは ずだ っ た望 まし い柔 軟 性 がな し崩 しに さ れ る。 一 一 一従来 の体 制 の中 では 監 督 者や 中 間管 理 者 は二 つ の重 要な 役 割 を果 た し てい た。 一 つ は仕 事 の流 れを 調整 し統 合 す るとい う伝 統的 な 機 能 であ る。 そ の機 能は 比 較 的容 易 に コ ンピ ュ ータ・ シ ス テ ムに 引 き 継が せた り下 に委 譲 す る こ と がで きた 。 −− 一二 番 目 の役 割 はそ れ ほ ど簡 単に は 他 人に 委 れ た り自動 化 でき る もの で はな か った 。そ の役 割 とは 、不 安や 未知 の 事態 に 対す る恐 れ から 部下 を 心理 的 に 護る とい うこ と で あ る。 部 下 と め 有 効 な 人 間 関 係に よって もそ うい った 緩 衝効 果 は 生 まれ る。 − − 一自己 動 機づけ の能 力 を買 われ たそ れ ら の従業 員 が、 も っ と強力 な 統制 や 調 整を 求 め てい た ので あ る。」(R.M. ト マ ス コ著 、田畑 成章 訳『未 来組 織 の原理 』 ダ イ ヤモ ンド 社、182−183頁 。RobertM.Tomasko,RethinkingTheCorporation,AMACOM,1993. )。 (2 −3 ) い わゆ る カ ンパ ニ ー制 は、 本 部に は、 持 ち 株会 社 的役 割を 担わ せ、 事 業 部を、 実 質、 別 会社 と 見な す、 内部 ( 社 内) 分 社制 の最 も徹底 し た 組織 形態 と さ れ る。 その 狙 いは 、 本社 機能 の 簡 素化 、 環境 対 応 の迅 速 化、 各 事業 部門 の決 定 権限 ・責 任 の拡 充 ・ 明確 化 の徹 底 な どで あ る。 わが 国 の場 合 、 独占 禁 止法 第9 条 で 、 持ち 株 会社 が 認め ら れて い ない こ と、 ま た、 親会 社 と子会 社 の調 整 、 子会 社 間 の調 整 の煩 雑 性、 さ らに 、 社外 分 社化 に は、 税制 上 な ど の種 々問 題 があ るた めに 、社 内分 社化 の方 式 が と ら れ る。 カ ンパ ニ ー制( 的 制度) は、 す でに 、 ソ ニ ー、三 菱 化 学 な どに より採 用 さ れ てお り、 また 、 日立 製 作所 は 、 事業 部 の グル ープ化 に よる 内部 分社 化 の 強化 を 計っ てい る。 今 日 の事 業 部制 の下 で も、 本 部 の権 限を 徹 底委 譲 し、 事業 ( 本) 部 の権限 ・ 責 任を 強 化す る( だ と
企 業 予 算 の 諸 課 題209 え ば 、東 芝 は、 事業 本 部制 の下 で、 分 担役 員 に 社長 権 限を 持 た せた とさ れる) な どに よっ て も、 同 様 の効果 が 期待 で きる とす る見 解 もあ る。( 補 注。 早け れば'96年 中に 、 公正 取引 委 員 会が 持 ち株 会 社を 原 則ない し 部 分解 禁す る方 針を 打ち 出し てい る。 す なわち 、 事業 会 社 がそ の 事業 部 門を 子会 社 とし て 純粋 分 社化し 、 そ の統括 を す る場 合 な どに 対し て であ る。) [ Ⅲ] マ ト リ ッ ク ス 組 織 と 期 間 予 算 管 理 企業 活動 の複雑 化、 多 様 化に よ って、 管 理 階層 制 に もっぱ ら 基 礎を置 く事業 部 制 で は 、環 境 対応 を し き れない 事態 が 招来 さ れてい る。 こ のた め マ ト リッ クス 思考 を、 事業 部 組織 お よび / ない し管 理 計 算 シ ステ ムに導 入す ることに よ る対応 が試 み られ てい る。 期 間予 算管 理 上 で も、 こ れら 状況 へ め的 確な 対応 が 求め ら れ る。 マ ト リ ッ クス組織 は、 そ の設 定 と運 営 に当 を 得 れば 、 職能 別組 織 と事業 部 制 組 織 の 両者 そ れぞ れ が もつ利 点を 同 時に 享受 で きる。事 業 部 間で の、お よび/ ない し 事業 部 内の下 位 職 能 部 門 間で の( と くに 、各 職能 そ れぞ れ での 統合 が計 ら れ てい る場 合で の)横断 的 な業務 活 動に 対 す る、関 連す る部 門 間 の相 互 依存性 を、 事業 部制を 維 持 しつ つ 確保 す る ため に、 マ ト リ ックス 組織 の導 入 が 計ら れ る。 純 粋 な 形態 の マト リ ッタ ス( グ リ ッド) 組織 で は、 何ら か の製品( 系 列)、顧客 、あ る い は地 域責 任単 位 や 、何 ら かのプ ログ ラ ムあ る い はプ ロセ ス責 任 単位 な どの 目的 活動 単 位に 対 す る 横 断的 組織 単 位( チ ー ム、 グル ープ 、プ ロジ ェ クトな ど の形 を と る)が設 定 さ れ、時に 、戦 略 事業 単 位(3-1)とし て性 格付け ら れ る。 こ れに より、 事 業 部制 で の 管理 階層 過多 に よる管 理 の硬直 化 、緩 慢 化を 矯 正 な い し緩 和 して 、 そ の所 要 の 決定 と執 行 の柔 軟 化 ・迅 速 化 が計 ら れる。 また 、 マ ト リ ッ ク ス化 は、 各 事業 部( 実質 上、 収 益な い し原価 責 任 単 位で あ る疑 似 事業 部 とし て設 定 さ れてい る場 合 で の) お よ び/ ない し事 業 部 内の各 下 位職能 部 門 が 、収 益 な いし 原 価責 任単 位 とし て設 定 さ れ てい る場 合に 、 これ ら の間 での 横断 的業 務 活動 に対 して 、採 算 単 位 ない し利 益 でな いし 収益 、 な い し原 価 ) 責任 単 位 とし ての運 営 を 可能に す る。 し か し、 こ のこ とに よって、 上 下 関 係 と水平 関 係に よる、 二 元的 予算 管理 責 任 単 位 が 招来 さ れる。 管理 階 層制 で の管 理者 が、 主 とし て 資 源配 分に つ い て責 任 ・権 限を もち 、 横 断的 チ ー ムの管 理者 が、 そ の横 断的 活動 目的 の達成 につ い て 責任 ・権 限を もつ ことに な る。 この組 織 構造 のも と で の予 算管 理 上 の課題 は、 従 来的 な 上下 関 係の も とで の割 当て 、 ない し積 上げ に よる 予 算編 成 を 補 正し て、 横 断 的組 織 単位 活動 に対 し て 期間予 算 を 如 何に 調 整 ・統 合す る かで あ る。 管理 階層 制 で の期 間予 算 は、中 ・長 期 経営 計 画 を基 礎 、ない し 参考 とす る こ とで{3-2)、そ れに 、中 ・ 長期 視 点 から の戦 略思 考 が反映 さ れ 易 い状 況 に も かか わら ず、 やや もす れば、 現 状延 長的 な予 算 編 成 に陥 い り勝ち で あ る。 これに 対 し て、 横断 的組 織 単 位に つい て は、予 算 編成 ・管 理に 、環 境変
化 へ の 適 時 の 弾 力 的 な 対 応 措 置 ( た と え ば 、 ア ウ ト ソ ー シ ン グ) を と り 易 い こ と で 、 期 間 予 算 弾 力 化 へ の 一 助 と も な る。 犬 し か し 、 こ の た め に は 、 垂 直 的 関 係 と 横 断 的 関 係 で の 両 管 理 者 の 予 算 管 理 権 限 の 同 等 化 な ど の 措 置 を 要 す る 。 こ う い っ た 二 元 的 権 限 と パ ワ ー 配 分 の 均 等 化 は 、 期 間 予 算 編 成 過 程 お よ び 業 務 管 理 過 程 に お い て 、2 つ の 組 織 単 位 の イ ン タ ーフ ェ イ ス に おけ る 種 々 の コ ソ フ リ タ ト を 招 来 す る こ と に も な る(3-3)。 こ の た め 、 ツ ウ ・ ボ ス ーシ ス テ ム に 伴 う管 理 上 の煩 雑 さ を 回 避 し つ つ 、 マ ト リ ッ ク ス 思 考 の 利 点 を 部 分 的 に 享 受 す る た め に 、 事 業 部 間 な い し 事 業 部 内 で の 特 定 の 横 断 軸 を 採 算 計 算 単 位 と し て 、 計 算 シ ス テ ムを マ ト リ ッ ク ス 化 す る 方 式 が 、 時 に 採 ら れ る 。 管 理 責 任 単 位 と し て で な く 、 ト ッ プ ・ マ ネ ジ メ ン ト な い し 事 業 ( 本 ) 部 長 な ど が 、 そ の 採 算 性 を み る た め の 採 算 単 位 ( 投 資 計 算 単 位 な い し 利 益 計 算 単 位 ) と し て 設 定 す る こ と が 考 え ら れ る<3犬 す な わ ち 、 各 事 業 部 が 利 益 責 任 単 位 と し て 設 定 さ れ て い て も 、 部 門 に つ い て の 、 包 括 的 な 収 益 性一一 が 捉 え ら れ る に 止 ま り 、 そ こ で の 個 々 事 業 活 動 に 対 す る 採 算 性 が 不 明 確 で あ る 場 合 、 と く に 、 事 業 部 内 で の 諸 職 能 部 門 ( 収 益 な い し 原 価 責 任 単 位 と し て の ) に 亙 る諸 事 業 活 動 に つ い て の 採 算 性 を 明 確 に す る た め に 、 管 理 計 算 上 、 マ ト リ ッ ク ス 方 式 の 採 用 が 求 め ら れ る 。 こ の採 算 単 位 に お け る 原 価 計 算 上 の 課 題 は 、 縦 軸 を な す 階 層 的 事 業 部 門 に お い て 、 そ の 多 く が 直 接 費 で あ る 跡 付 け 可 能 費 と 、 そ の多 く が 間 接 費 で あ る 跡 付 け 不 能 費 と の 一 部 が 、 横 軸 を な す 横 断 的 組 織 単 位 に お い て 逆 転 す る こ と で あ る 。 な お 、 ま た 、 責 任 単 位 に 関 し て は 、 管 理 可 能 費 、 管 理 不 能 費 に つ い て も 一 部 の 逆 転 に 留 意 を 要 す る 。 さ ら に 、 長 期 的 な 採 算 性 の 検 討 に は 、 長 期 的 な 帰 属 可 能 原 価 (attributablecost ) に つ い て の 考 慮 を も要 す る が(3-5)、 こ の 視 点 は 短 期 的 予 算 管 理 の 領 域 で は な い と し て も 、予 算 管 理 上 で の 諸 費 用 項 目 の 分 離 可 能 性 (separability)、 延 期 可 能 性 (postponability)、 回 避 可 能 性(avoidability ) な ど に つ い て の 検 討 は 、 諸 費 用 項 目 の 長 期 帰 属 可 能 性 に 対 す る 関 心 と そ の 把 握 の 重 要 性 の 認 識 の 点 か ら も 肝 要 で あ る 。 こ の た め 、 こ れ ら の 視 点 か ら の 原 価 計 算 シ ス テ ム の 再 編 成 が 求 め ら れ る。 従 来 の 事 業 部 制 の 下 で も 関 心 を も た れ て き た 、 活 動 基 準 原 価 計 算 的 思 考 は 、 マ ト リ ッ ク ス 制 度 で の 横 断 軸 を な す 計 算 単 位 を 考 慮 し て の 新 た な 計 算 制 度 の 創 設 に よ っ て 、 そ の 機 能 を 一 層 発 揮 で き よ う。 (3 −1 ) 戦 略事業 単位(SBU) に つ い て は、Ansoff,H.Igor の、以下 の見 解 が 参考 に なろ う。 「戦略 的 対応 の 必要 性 が増 大 す るに つ れ て、 最 近 では、 も うひ とつ の組織 機 構 の開発 がみ ら れる。 そ れは二 重 組織 機 構(dualstructure) の進展 で あ り、 そ こで、SBU (strategicbusinessunit)組織 構造 が、 事業 部 制組 織 構 造に 追 加 さ れ る。SBU のサブ 組 織構 造 では、 必ず し も 、そ の 事業 部 のマ ネ ジ ャ ーとは 限ら ず、別 の 部 のマ ネ ジ ャ ーも、一 貫 したSBA 群 の戦 略的 開 発につ い て の 割当 て られ た
企 業 予 算 の 諸 課 題211 責 任 を 引 き 受 け る 一 一 一。 ∧ 二 重 組 織 構 造 は 、社 内 に 唯 一 の 恒 久 的 な 組 織 構 造 し か な か っ た 、過 去 の 実 践 か ら の 重 大 な 飛 躍 で あ る 。企 業 の す べ て の 仕 事 は 、そ の 構 造 を 通 じ て 行 な わ れ て い た 。二 重 構 造 の も と で は 、ひ と つ の 組 織 構 造 は 利 益 実 現 活 動 の た め に 用 い ら れ 、も う ひ とつ の 組 織 構 造 は 、企 業 の 戦 略 開 発 の た め に 用 い ら れ る 。3 つ の 代 替 的 な 戦 略 的 役 割 が 可 能 で あ る。1.
当 マ ネ ジ ャ ー は 、 そ のSBA 群 の 戦 略 計 画 担 当 者 に な る 。SBU で は な く 、SBA (*筆者注)マ ネ ジ ャ ー に な る 。2.
も っ と 強 力 な 役 割 と し て 、 彼 は 、 新 製 品 、 新 市 場 、 新 技 術 、 新 能 力 を 実 証 す る 時 点 ま で 、 戦 略 計 画 を 実 施 す る た め に 、 諸 資 源 、 予 算 、 権 限 を 保 有 す る が 、 新 利 益 潜 在 性 に つ い て は 、 そ の 利 益 実 現 に 責 任 を もつ 他 の マ ネ ジ ャ ー に 委 譲 す る。3.
最 終 的 に 、SBU 々 ネ ジ ャ ー が そ のSBA で の 利 益 実 現 責 任 を も 持 つ の で あ れ ば 、 彼 は 、 そ のSBA の 一 生 涯 に つ い て 、 戦 略 責 任 単 位 と し て 責 任 を 持 つ こ と に な る 。
こ の 最 後 の 役 割 が示 す よ うに 、 論 理 的 帰 結 は 、 二 重 組 織 構 造 を と る こ と に あ る の で な く 、SBU を
ひ と つ の 単 位 と し て 用 い る こ と で 、 企 業 を 再 編 成 す る こ と に あ る。」(H.IgorAnsoffandEdwardJ.McDonnell,ImplantingStrategicManagement,2nded 。PrenticeHall,1990,pp.345 −346.H. イ
コ ー ル ・ ア ソ ゾ フ 著 、 中 村 元 一 、 黒 田 哲 彦 、 崔 大 龍 訳 『「 戦 略 経 営 」 の 実 践 原 理 』1994 年 、444 頁 。)。 *SBA(strategicbusinessarer 、 戦 略 事 業 領 域 ) とSBU と の 異 同 に つ い て は 、Ansoff に ょ れ ば 、つ ぎ の よ う で あ る 。「 − 一 一 環 境 が 自 社 に 与 え る ト レ ン ト 、脅 威 、機 会 に つ い て の 際 立 っ た 領 域 に 関 し て 、 そ の 企 業 の 環 境 を 分 析 す る ー − − そ う い っ た 分 析 の 単 位 が戦 略 事 業 領 域 で あ る 、 こ れ は 、 自 社 が 事 業 活 動 を し て い る ( あ る い は し よ う と す る か も し れ な い ) 環 境 で の 顕 著 な セ グ メ ン ト で あ る 。− − −SBU と ぱ 企 業 の ひ と つ の 単 位 で 、ひ と つ ま た は そ れ 以 上 のSBA に お い て 、そ の 会 社 の 戦 略 的 な 地 位 を 開 拓 す る 責 任 を も っ て い る 。」(H.IgorAnsoff,op.cit./p.50. 前 掲 訳 書 、35 頁 。)。 ま た 、 戦 略 事 業 単 位 (strategicbusinessunit,SBU ) と 、 制 度 上 の 組 織 単 位 と の 関 係 に つ い て は 、 種 々 の 解 釈 が み ら れ る が 、 以 下 の 見 解 が 示 唆 に 富 む 。 「 戦 略 事 業 単 位 (SBU ) とは 、 将 来 の 戦 略 的 商 品 を 育 成 す る た め に 設 け ら れ る 概 念 上 の も の で あ る 。 − − 一 事 業 部 制 組 織 に おげ る 戦 略 事 業 単 位 の 認 定 に は 、 つ ぎ の よ うな 場 合 が 考 え ら れ る 。1 )事 業 部 の 取 扱 商 品 の 中 か ら 戦 略 事 業 単 位 を 認 定 す る 場 合 、2 )事 業 部 そ の も のを 戦 略 事 業 単 位 と し て 認 定 す る 場 合 、3)同 一 技 術 関 連 を も つ 製 品 全 体 ま た は シ ス テ ム商 品 を 戦 略 事 業 単 位 と し て 認 定 す る 結 果 、 数 事 業 部 に わ た る場 合 、4) 経 営 資 源 の 見 地 よ り 戦 略 事 業 単 位 を 認 定 す る 場 合 、5 )将 来 の 研 究 開 発 の 方 向 と し て 、 重 要 な 研 究 開 発 プ ロ ゼ ク ト を 戦 略 事 業 単 位 と し て 認 定 す る 。」( 今 西 伸 二 著『 事 業 部 制 の 解 明 一 企 業 成 長 と 経 営 組 織 − 』マ ネ ジ メ ン ト 社 、1988年2 月 、222頁 お よび225 頁 。)。
(3 −2 ) 前 記調 査 で の、「超長 期 、長 期 お よび中期 経 営計 画設 定 の有 無」 につ い て は、“設定 す る” が、 そ れぞ れ で、36社( 約21% 、対 象 期 間は 、10年 が、約83% )、88社( 約51 %、期 間 は、5 年 が、 約91 %)、 お よび119 社( 約68% 、 期 間は 、3 年 が、90 %) であ っ た。中 ・ 長 期経 営 計 画のい ず れか、あ るい は両 者を 設定 し てい る企業 で 、そ の期 間予 算 との 関連性 を み る と、期 間予 算 が、“一 環 であ って 、か つそ れを 基 礎 と する ” と、“そ の一 環で あ る” と の合 計 は、82 社 ( 約48% 、 総数171 社)、“基 礎 とす る ” は、57社 ( 約oo%)、“別 個に 編 成 ”は、32 社( 約19%) で あ った。 \(3 −3 ) マト リ ッ ク組 織 の利 点 ・ 欠 点に つい て は、つ ぎの 見解 が的 確 で あ る。 「組 織に 対 す る情 報 の負荷 が 一 層増 大 し 、環 境 の 不確 実性 に適 応し て 組織 が 新 た な 意味 創 造や革 新 を 必要 と す るマト リ ック ス組織 が形 成 さ れ る。 意 味 創造や 革新 的 アイ デ アを 生 み 出 す ため に は、 職能 スペシ ャリ スト や 製品 スペ シ ャ リスト だけ の組 織 では十 分 では ない 。 そ の た めに多 様な 専 門領 域 の スペシ ャリ スト か ら成 る 組 織 が必 要 な ので ある。 新 た な意 味 創造 や革 新的 ア イデ アはそ の よう な 人 々の息 の長 い 対話 と コ ミュニ ケ ーシ ョ ンに よって 生 み出 さ れる。 そ れは、 彼ら の コン テ クスト が 異な る た めに、 彼ら の間 の コ ミ ュニ ケ ーシ ョ ンが新 しい 視 点や 驚 きを 与え 、 意味 創 造や 革新 的 ア イ デ ア のき っかけ とな るか ら であ る。 し か し 、 こ の ような 組織 におけ る コ ミュ ニ ケ ーシ ョ ンに は時 間が か か り、調 整 も困 難 であ る。 特 に 、 専門 的 組織 が 細分化 さ れ、 専 門化 す れ ばす る ほ ど、 彼 ら の 間 の コンテ クスト も 異な る ので、 彼 等 の 間で の対立 、 葛藤 の調 整に 失敗 す れ ば 、組 織 を 混乱 さ せる 可能 性 も 出て く る。 そ し て こ の組 織 の特 徴 であ る二 元 的 権限に よっ てこ の可 能 性 は さら に 大 きくな る。 そ れは、 こ の組 織 の成員 が二 人 の上 司を 持ち 、命 令 の一 元化 が保 持 さ れな い か ら であ る。」( 狩 俣 正 雄著 『組織 の コ ミ ュニ ケ ーシ ョ ン 論』 中 央 経済 社、1993年、155 −156頁 。)。Ansoff,H.Igor は 、そ の採 用 の 要件 とし て、次 の よ うに 述 べてい る 。「一 一一 マト リ ッ クス組 織形 態を 採用 す る多 くにお い て、 諸 コソフ リ クト に よる逆 機能 が、 往 々に し て、そ の 評判 を 著し く落す こ とに な った。 この た め、 こ れら 企業 に よって は 、 もっ と単 純な 組 織構 造に戻 りは じ め、 ま た、 マ ト リ ッ クス 組織形 態 が実 践 的 でな い と 批判 す る論 文 も現 れ た」 とし 、「つ ぎ の 論 議 か ら 柑 異 な る 帰 結 が示 唆 さ れ る。」 とす る。 「 ●マト リッ クス組 織形 態 は、 当 企 業 がそ れ に よっ てし か対 処 で きない 複 雑 な対 応 パ タ ーンを 必 要 とし ない 限 り考慮 に 入 れ る必 要 は ない 。 ●し かし 、 一 一一こ の 組織 パ タ ーンは 、あ ら ゆ る タイプ の対 応 につ い て、 高度 の遂 行 レベルを もつ ので、 そ の潜 在 的 可能 性 を 無 視し が たい。 ●こ の潜在 可能 性 は、 企 業 経営 者 が 、 マト リ ッ クス機 構に 固有 の分割 さ れ た 権限 / 責 任に よっ て 生 ずる コソフ リクトを 解決 し 、 ま た逆 機 能を 回避 す る のに 要 す る措置 を とら なけ れば、 実 現 し そ うに ない 。
企 業 予 算 の 諸 課 題213 ●2 つ の 補 完 的 な ア プ ロ ーチ を 、 逆 機 能 を 回 避 す る た め に と り う る 。 (a )/企 業 経 営 者 は 、 利 益 セ ン タ ー 間 の コ ソ フ リ ク ト が 不 可 避 で あ る と い う 現 実 を 認 識 し て 、 そ の 発 生 を 予 想 し 、 コ ン フ リ ク ト が 収 拾 で き な く な る 前 に 解 決 す る 措 置 を と る べ き で あ る 。 (b ) 分 担 さ れ る (shared ) 権 限 / 責 任 構 造 が 、 マ ト リ ッ ク ス 構 造 に 付 帯 し て 導 入 さ れ る べ き で あ る 。」(H.IgorAnsoff,op.cit.,pp.346 −347. 前 掲 訳 書 、446 頁 。)。 (3 −4 ) 事 業 部 制 で の マ ト リ ッ タ ス 思 考 に つ い て は 、 以 下 の 事 例 が 参 考 に な る。 (a ) サ ン ト リ ーは 、 昨 年 末 、3 事 業 部 で 一 元 的 管 理 方 式 の 実 験 を 始 め た 。 こ れ を 全 社 ベ ー ス で の 施 行 に 踏 み 切 る こ と を 予 定 し て い る 。 新 制 度 で は 、 本 社 内 に 新 設 し た ロ ジ ス テ ィ ッ ク ヤ ソ タ ー に 、 品 目 ご と に 、 製 造 、 出 荷 計 画 作 成 か ら 在 庫 の 配 置 ・ 管 理 ま で の 全 業 務 を 一 元 管 理 す る 担 当 者 を 置 く 。 多 品 種 少 量 販 売 で3,700 −3,800 品 目を 扱 う た め 、 予 測 に は 限 界 が あ り、 調 整 も 複 雑 で 在 庫 過 多 に な り 勝 で あ る。 い か に 意 志 決 定 を 迅 速 化 し 、 製 造 か ら 出 荷 ま で の 期 間 を 短 縮 で き る か が 在 庫 削 減 の 鍵 に な る ( 日 本 経 済 新 聞 、1994 年12 月14 日 掲 載 記 事 を 要 約 。)。 (b ) 鉄 鋼 業 に お い て は 、 従 来 、 全 社 的 利 益 に 関 心 が 向け ら れ 、( 注 文 別 )品 種 別 損 益 を 軽 視 す る 傾 向 に あ っ た 。 品 種 別 の 採 算 性 を 重 視 す る 方 策 と し て は 、 品 種 別 事 業 部 制 を 導 入 す る か 、 職 能 部 門 別 ( 製 鉄 所 別 な ど) と 同 時 に 、 品 種 別 の 採 算 性 を 明 ら か に す る 仕 組 み を 導 入 す る な ど で あ る 。 た と え ば 、A 社 は 、 品 種 別 事 業 部 制 を 導 入 す る と し 、 職 能 別 組 織 を 一 体 化 し て 、 品 種 別 の 事 業 に 再 編 。B 社 は 、 職 能 別 組 織 を 再 編 し て 、 品 種 別 事 業 部 に 切 替 え る。C 社 は 、 品 種 セ ク タ ー 制 を 導 入 し 、 品 種 別 の 採 算 を 管 理 す る 体 制 を 整 え た 。 新 日 鉄 も 品 種 別 採 算 性 を 重 視 す る 方 針 を 打 ち 出 し て い る ( 朝 日 新 聞 、1995 年3 月31 日 掲 載 記 事 を 要 約 。)。 新 日 鉄 に つ い て は 、 職 能 別 と 品 種 別 の マ ト リ ッ ク ス 的 管 理 を 指 向 し て い る と み ら れ る 。 こ の 点 に 関 し て 、以 下 の 記 述 が み ら れ る 。「 − 一 一 品 種 別 損 益 は 、品 種 な い し は マ ー ケ ッ ト 別 の 環 境 変 化 に 対 応 し た 戦 略 の 立 案 ・ 推 進 に 資 す る 管 理 指 標 が あ る が、こ れ に 加 え て 、<品 種 別 損 益 を 、〉各 品 種 を 担 当 す る 販 売 部 門 長 に 、 よ り 一 層 の 損 益 に 関 す る 責 任 意 識 を 持 た せ る こ と を 狙 い と し た 管 理 指 標 と し た 。一 方 、製 鉄 所 損 益 は 、単 に 所 別 の コ ス ト を 把 握 す る だ け で な く 、損 益 認 識 を 行 な う こ と に よ り 、 一 一 一製 鉄 所 単 位 で の 収 益 改 善 を 促 進 す る こ とを 目 的 と し て い る 。 こ の 両 者 を マ ト リ ッ ク ス 的 に 組 み 合 わ せ 、 事 業 運 営 の 基 軸 と す る こ と に よ り、 一 一 一 本 社 各 部 門 お よ び 各 製 鉄 所 間 で 収 益 改 善 の た め の 課 題 認 識 を 共 有 化 し 、 さ ま ざ ま な 角 度 か ら 対 応 を 議 論 す る 条 件 が 整 え ら れ た 。」( 佐 藤 成 紀 稿「 新 日 本 製 鉄 の 部 門 別 管 理 会 計 」、田 中 隆 雄 編 著『 フ ィ ー ル ド ・ス タ デ ィ 現 代 の管 理 会 計 シ ス テ ム』、中 央 経 済 社 、1991年 、所 収 、135頁 。〈 〉内 は 、筆 者 の 加 筆 。)。 (c ) 東 芝 で は 、 マ ル チ メデ ィ ア 事 業 部 を 推 進 す る た め 、 社 長 直 属 の ア ド バ ソ ス ド ーT 事 業 本 部 を 新 設 。 東 芝 が 進 め て き た 情 報 と 通 信 分 野 の 強 化 戦 略 に 、 映 像 分 野 を 加 え 、 情 報 、 通 信 、 映 像 の
3 分 野 を 融 合 し た 新 し い 商 品 作 り を す る 。 新 事 業 本 部 は マ ル チ メ デ ィ ア に 関 係 す る 全 社 の 事 業 を 横 断 的 に 指 揮 す る 戦 略 部 隊 で 、 新 し い 情 報 機 器 端 末 の 開 発 や 情 報 提 供 サ ー ビ ス な ど を 手 掛 け て い く 。 こ こ で 開 発 し た 技 術 や 商 品 は 事 業 ベ ー ス に 乗 っ た 段 階 で 既 存 の 事 業 本 部 に 下 ろ し 、 新 組 織 は 事 業 責 任 は 負 わ せ る も の の 、 そ れ 自 体 は 収 益 部 門 と は し な い 方 針( 日 本 経 済 新 聞 、1994 年7 月1 日 掲 載 記 事 を 要 約 。)。 東 芝 で の 事 業 戦 略 の そ の 後 の 展 開 は 以 下 の よ う で あ る 。 す な わ ち 、 東 芝 は マ ル チ メ デ ィ ア 事 業 の 立 ち 上 げ に 全 社 を あ げ て 取 り 組 む た め の 新 し い 開 発 資 金 制 度 を 発 足 。 社 内 の す べ て の 事 業 本 部 が 予 算 の 一 部 を 拠 出 し 、 毎 年 百 数 十 億 円 の 開 発 資 金 を 確 保 ノ 専 門 組 織 が 管 理 し 、 全 社 戦 略 に 添 う 形 で 情 報 機 器 、 通 信 な ど の 各 事 業 本 部 、 研 究 所 に 開 発 予 算 と し て 再 配 分 す る 。 独 立 採 算 性 の 長 所 を 維 持 し つ つ 、 各 事 業 本 部 の 縦 割 り の 意 識 を 排 除 、 マ ル チ メ デ ィ ア 開 発 競 争 を 優 位 に 進 め る の が 狙 い 。 マ ル チ メデ ィ ア の 開 発 資 金 を 一 元 管 理 す る の は ア ド バ ン ス ド ーI 事 業 本 部 で あ る( 日 本 経 済 新 聞 、1994 年10 月21 日 掲 載 記 事 を 要 約 。)。(d) ソ ニ ーは 情 報 通 信 分 野 な ど の 新 規 事 業 の 育 成 や 経 営 体 質 の 強 化 を 柱 とす る 、 全 社 的 な 、7 分 野 の プ ロ ジ ェ ク ト チ ー ムを 近 く ス タ ー ト さ せ る 。 昨 年4 月 に 社 内 分 社 の 「 カ ン パ ニ ー 制 」 を 導 入 し て 以 来 、 横 断 的 な 組 織 を 設 置 し た の は 今 回 が 初 め て 。 そ の 関 連 市 場 の 伸 び が 鈍 化 し たAV べ 音 響 ・ 映 像) 技 術 と 、 成 長 分 野 で あ る 情 報 ・ 通 信 と の 融 合 が 急 務 に な る な ど 、 社 内 横 断 的 な 取 り 組 み が 不 可 欠 に な っ て き た こ と か ら 、 カ ン パ ニ ー制 の 補 完 を は か る。 事 業 分 野 に つ い て の プ ロ ジ ェ ク ト は 、[通 信 事 業 戦 略 立 案] 「 イ ン フ ォ ー メ ー シ ョ ソ ・ テ ク ノ ロ ジ ー 事 業 進 出 」「デ ィ ス ク ビ ジ ネ ス 総 合 戦 略 」「 半 導 体 事 業 戦 略 」 の4 つ 丿 長 市 場 で あ る 情 報 ・ 通 信 で の 事 業 拡 大 が 共 通 の 課 題 。 カ ン パ ニ ー の 枠 を 超 え た プ ロ ジ ェ クト を 作 る こ と で 、 事 業 予 算 な ど を 柔 軟 に 戦 略 分 野 に 投 入 で き る よ う に な る と 見 込 む( 日 本 経 済 新 聞1995 年9 月22 日 掲 載 記 事 を 要 約 。)。 補 注 。 ソ ニ ー は 、 カ ン パ ニ ー 制 を 、96 年4 月 の 組 織 改 正 で 大 幅 に 見 直 す と 発 表 し た 。 商 品 ご と に 自 己 完 結 し て い た カ ン パ ニ ー 機 能 のう ち 、 商 品 開 発 、 営 業 機 能 は 、 新 設 す る 国 内 営 業 本 部 、 商 品 開 発 ラ ボ ラ ト リ ーな ど の 本 社 部 門 に 集 約 、 一 元 管 理 す る。 本 社 部 門 の 権 限 を 強 化 し 全 社 横 断 的 事 業 体 制 を 狙 う。 カ ン パ ニ ー の 最 高 責 任 者 に あ た る プ レ ジ デ ン ト を 副 社 長 ク ラ ス 中 心 か ら 取 / 締 役 ク ラ ス な ど に 切 り 替 え る( 日 本 経 済 新 聞 、1996 年1 月17 日 掲 載 記 事 を 要 約 。)。(3 −5) 帰 属 可 能 原 価 に つ い て は 、拙 稿「 帰 属 可 能 原 価 に つ い て 」、岡 本 清 編 著『 原 価 計 算 基 準 の 研 究 』国 元 書 房 、1981年 、所 収 を 参 照 さ れ た い 。ま た 、岡 野 憲 治 著『 現 代 管 理 会 計 論 の 展 開 一 ホ ー ン グ レ ソ 管 理 会 計 論 の 研 究 を 中 心 と し て 一J 森 山 書 店 、1993年 、第2 章2 「帰 属 可 能 原 価 情 報 と そ の 利 用 」、 お よ び 、昆 誠 一 著『 管 理 会 計 の 展 開 』文 真 堂 、1994年 、第6 章(2)(B)「 帰 属 原 価 」で の 検 討 が 的 確 で あ る 。
企 業 予 算 の 諸 課 題215 [ Ⅳ] 期 間 予 算 の 弾 力 性 と 予 算 期 間 の 短 縮 化 期 間 予 算 が、 現 実即 応 的 な環 境対 応 に よっ て経 営 目標 の達成 可 能性 を 維持 し、 また 、一 方 、そ の 受 容 可 能性 を 保 持 す るた めに は、そ の弾力 的 な運 用 が 求め ら れ る。 こ の弾力 性確 保 のた めに は、つ ぎ の諸 施策 が、 す な わち、 環境 変化 や予 測・ 見積 り誤 りな ど に対 処 して の期 間予 算 の適時 の 点 検・ 、 修正 、 予備 費 の設定 や 、一 定条 件 の下 で の、 臨時 的 な予 算 外 支 出、費 目間 ・部門 間な どで の予 算 流 用、 次 期 で の繰 越 し使 用 な どの容認 とい った諸 施 策 が 求め ら れ る(4-1)。 これ に加 え て 、わ が 国に おいて は 、単 年度 予算 の原 則 の下 で、予 算期 間 とし て、通 常 、1年 間 の事業 年 度 予 算を 最 長 と して 、半 期予算、ざら に は、四半 期予 算 、加 えて月 次予 算な どの 導入 が試 み ら れて い るa犬 予 算 期 間 の短 縮化 は、そ の弾力 性 の 付与 に 対 して 相当 程 度 の役 割を 果た す。 た だし 、1 年 間を 予 算期 間と して も、所 要の時点 で、随 時に 、的 確に 修 正 が行 な われ れば 、そ の弾 力性 を 保 持で き よ う(4-3)。 し かし 、随 時 の修 正は、種 々の困 難を 伴 う。 す なわ ち、環 境変 化 予測 の 困 難性 や、 修正に よ る、当 初予 算に 対 す る信 頼性 の低下 、そ の達 成 意欲 の低下 な どで あ る(4己 この ため 、状 況に よっ て は 、予 算 期 間を 実 効 性に 照ら して 可 及的 短縮 す る こ とが、 期 間予 算 の 弾力 性保 持 の要 請 に 叶 う。 予 算期 間 の短期 化 の、 ひ とつ の意 図 とし て、 期 間予 算 につ い て の、 下 位管 理階 層 で の諸 タ ス ク管 理 へ の実 効 性 を 高め る狙 い が込 めら れ る。 こ の点 にう い ては 、 予 算管 理 が本 来的 に もつ 特 質に 照 ら し て 、そ の 有 効性 を 検討 す る必要 があ る。 期 間予 算制 度 は、 基 本的 に 、 マ ネジ メ ント ・ コン ト ロ ー ルの 制度 で あ る。 そ れ は、 勝 れて財 務的 管 理 の制 度 であ る が、 物量 的 管 理 の制 度 とし て 限 界 があ る。 し た が って 、 こ の制 度を 、 現場管 理 者層 に よる業 務管 理 の要 具 と して 直 接的に 役 立 て るこ とは 、そ れほ ど期 待 で きな い。 しか し、中 間 管理 者層 に よる 間接 的な 現 場管 理 者層 に 対す る管理 要 具 とし て の期 間予 算 の 役立 ち を 高め るこ とで 、現 場管 理 を 助成 ・牽制 す る こ とが 求め られ るレ この 際、 期 間 予 算 が、 管 理 期間 と して 、1 年 間、6 ヵ月を 基 準 とす る場合 に お い て は 、 予 算 管 理 技 法 に よ るフ ィ ード バ ッ ク・ コン ト ロ ール方式 で は、 日常 的 執 行管 理に 対 し ては 、 タ イ ムラ グの点 か らそ の効果 はそ れほ ど期 待 で き ない。 予 算期 間を 一 層短 縮す る ことで 、た とえ ば、4 半 期予 算 を 実行 予 算 とす るこ とで 、ま た、月 次 部門 別損 益 計 算( 予 算 お よび実 績) な どの 実効 性を 高 め る こ とな ど、管 理 の時 間枠 の短 縮 に よっ て、工 程 管理 、日程 管 理、在 庫管 理、標準 原価 管理 、原 単 位 管理 、あ るい は 目標 管理 な ど の、比較 的に 即 物的 管 理(physicalcontrol) であ る現 場管 理に 対 す る、 情 報 収集 ・ コ ミ ュニ ケ ーショツ 面 、諸業 務 活動 の 調整 ・統 合機 能 面、 また、 モテ ィペ ーシ ョ ソ面な どで 、期 間 予算 に よる管 理者 的管 理(managerialcontrol) の 間 接的 な 寄 与を 高め る可 能性 を 、そ の 経 済的 実 行 可能 性 と併 せて 探る べ きで あ る。 予 算 期 間 の短 期化 の効果 として、 上 述 の事項 と も関 連し て、 業 務活 動 の 事中 管理( ステ アリ ン グ ・ コ ント ロ ール(steeringcontrol)、舵 取 り管 理な どと もい わ れ る) に 対 す る期 間予 算 管理 の役 立 ち