の将来の研究方向 : 1975年AAA社会業績会計委員会
の答申をめぐって
著者
滝野 隆永
著者別名
Takino Takanaga
雑誌名
経営論集
巻
7
ページ
1-21
発行年
1977-09-30
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005875/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja慈善 事業を中心 とする社会 的業績 の
測定 とその将来 の研究 方向
1975年AAA
社会業績会計委員会 の答申を めぐって
滝
野
隆
永
序 §1. 社会会計 の目標と社会的業績 の報告基 準1 近代社会におけ る企業 の社会的 役割 から導かるべき社会会計 の目標 (1)TDS (TechnologyDeliverySys-terns )とし て の役割 (2) 社会的に 配分 された資 源の受 託 者 お よび代理人とし て の役 割 (3卜 社会会計の目標2 社会的業 績の報告基準 (1) 基準設定 の意義 (2)Estes の社会的業 績 の報告基 準に 関する体系的 図表 (3) 米国14 社の社会 レポ ートに 関す る 現状分析3 若 干の問題点 と批判 §2. 慈 善事業に 関す る社会的業 績 の測定1AAA のイソ ダービ,3. に よる企業 の実態調査の目的 と概要2 慈善活動 の種類とそ の活動 の実 愉 (1) 寄付金支出額の実 情 (2) 文化芸術面におけ る貢献 の実情 (3) 徴 育面におけ る貢献の実 情 /3 支 出目標 と1973年 の実績 14 資金の 目的別配分と社会的効果0 測 定基準 (1) 適用対象とそ の影響力との関 係に 基づ く資金配分 (2) 有効資金配分のために ト ップ0 割 当時間を 考慮に入れてお くこと (3) 資 金配分後 のフ ォp −・ アップ5 社会的 効果 測定の 困難性と効果の向 上を はか るために留 意すべき諸点 (1) 効果測定の困難性 (2) カナ ダ, ガルフ会社におけ る効果 の向上をはか るため の9 ポイントの 提案 (3) 効果の向上を はかるため のAAA 答申の提案6 若 干の結論 と批 判 §3. 社会的業績の 測定に関する将来におげ る研 究方 向
序
我々は,既に,
「 経営研究報告第1 号」,て経営 研究 第4 号」 に お い て,AccountingReviewSupplement
の1974年 号,お よび1975年 号に掲載され
た企業 の社会的業 績の測定につい て√次の諸項目に関 するヶ−ス・スタディ
を 中心として考察を試 みた。
「経営研究報告第1 号土1.
空 気汚染 の低減策(74年号,75年号)2.
犬
貧民層 の教育訓練 による機会の均等化(74年号)3.
人的資 源会計 の社会会計への活用(75年号)
「 経営研究第4 号」1.
少数民族 の差別撤廃をめざす積極的な社会活動計画(75年号)2.
工場閉鎖の社会的効果(75年号)
本稿は以上 の二論文 の後編 として同誌 の1976年Supplement
に掲載され
たAAA
の「 社会的業 績会計委員会」 の1975年のReport
の うち,次 の3 項
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向3 日を 中 心 に 考 察 を 加 え た も の で あ る。partI 社 会 会 計 の 目 標 と社 会 的 業 績 の報 告 基 準part Ⅳ 慈 善 事業 に 関 す る 社 会 的 業 績 の測 定partVI 社 会 的 業 績 の 測 定 に 関 す る 将 来 に お け る研 究 方 向 前 述 の二 論 文 と 本 論 文 とを 合 わ せ る と, 企 業 の 社 会 的 業 績 の 測 定 に 関 す る 四 領域 , す な わ ち に1. 公 害 そ の 他 の地 域 社 会 に 対 す る損 害 の 防 止 , 抑 制,2. 従 業 員 に 対 す る 雇 傭 , 昇 進 等 に お け る機 会 の 均 等 化 と 福 祉 の 増 進 ,3. 地 域 社 会 のみ な らず 一 般 社 会 の 環 境 改 善 と 福 祉 の 増 進 を 目的 とす る 慈 善 事 業 ,4 レ消 費 者保 護 と在 会的 信 用 の 拡 大 。 て 以上 の うち ,1 ∼3 に っ い て は 極 め て 概 略 で は あ る が 一 応 の 考 察 を 終 え る こ とが 出 来 た が,4 の 消 費 者 保 護 と社 会 的 信 用 の 拡大 に 関 す る 社 会 的 業 績 測 定 の問 題 に つ い て は , 別 の 機 会 に お い て と りあ げ た い 。 D §1 社 会 会 計 の 目 標 と 社 会 業 績 の 報 告 基 準
1
近代社会におけ る企業 の社会的役割から導かるべき社会会計 の目標1975
年のAAA
社 会業績会計委員会 のレポート(以下AAA75
年レポートと
よぶ)によれば,企業 の社会的業績に関する問 題を正し く把握するため に は
各企業 の近代的な産業社会におけ る次の二つ の役割を認識しなければならな
いと主張し てい る。
(1)TDS (TechnologyDeliverySystems)
現代の会社は近代的な産業社会におけ る生活 と環境ならびに公共的な諸勢
力に関する機構のうちで支 配的な局面を支え,かづ特徴づげ て い るTech-nologyDeliverySystems
(TDS )の中におけ る重要な要素とな ってい る。
テクノp ジ ーとは知識を単純又は複合的な特殊の目的に適用す ることを意
味するが,TDS
は知識の適用される社会的,政治的, 経済的な諸関係をい
い,TDS
を システマティッ クに説 明す るには, テクノロジ ーと社会とを種
々の人間的,経済的,政 治的元
連性がその中に含 まれる外,各TDS
に対し人間の必要物を最も望 ましい方
法により,確実に提供す ることを目的 として,かかる構造的な関連性を創出
し,これを監視ならびにチ ェックするために社会が採用した戦略ならびに政
策 も含 まれる。
会社 は近代 社会 のかかるTDS
マトリックスにおけ る主た る組織構造単位
であ り,あ る社会がそCDTDS
マトV ックスから実 現す ることができる純便
益 の総計 の大部分は特定 のTDS
におけ る不可欠な単位 ともい うべき個々の
会社 の行為 と実行 とにかかってト る。かかる個々の会社 の実行 とあ る社会が
実 現し た純便益 の総計 との相関関係は企業 の社会会計 とい う重要な 目標に基
づい て計 画をたて ようとする際にその基 礎を形成する ものであ る。(2
) 社会的に配分された資源の受託者お よび代理人 とし ての役割
会社 の近代的な産業社会におけ る第2 の注目すべき役 割は社会における資
源の分け前と富 の配分プロセスにおけ る受託者並びに代 理人 としての役割で
あ る。
ト
会社が採用した雇 傭,維 持並びに促進政策,教育訓練,工 場立地戦略,政
治哲学,倫理基準等はTDS
が創出した便益並びに犠牲価値の総計を個人,
地域社会,◇社会 の各階層と各世代に配分し ょ うとする際,直接的な影響力を
有し ている。しかし,これら利害の対立す る各 グループの意思を調整するこ
とは極めて困難なことであり,各個人 の好 みや社会的 な効用機能の全体を取
り扱 う理論が欠如し ていることは周知の事実であ る。従って,この第2 の役
割における意思決定 プロセスは第1 の役割におい て目標 とされ るような最適
水準の追求 よりもむしろ社会的 目標に関する公 正,公平並びに首尾一貫陸の
追求 と関係を有す る。
,
すなわち,社会福祉に関する目標並びに重点の達成 に成功す るか否かは,
主 とし て,かかる目標や重点が近代社会におげ る最大 の組織区 分を形成する
個 々の会社 の戦略並びに業績の単 に如何に うまくはめ こまれているかとい う
点にかかっている。この個々の会社の業績と社会福祉 との相関関係は第1 の
役割の場合とは別 の意味において,企業 の社会会計に 関す る重要な目標をめ
ざし て計画をたてる際にそ の基 礎となるものであ る。
○
社会会計 の目標
前述 の近代社会において企業 が果すべき二つ の重要 な役割を認識すること
に よって,企業 の社会的業績の測定に関す る社会会計 の目標は次の二つの目
標にしぼ られることにな る。
(1) 単一又は複数 のTDS
を構成す る必要不可欠な 単位 と工 ての個々の会
社がかかるTDS
に帰せられるべき社会的便益 と犠牲 価値の総計に影響を与
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向5 え た 貢 献 度 を 明 ら か に し , 測定 す る こ と。 十(2) 各企 業 と関 連 性 を 有 す る資 源並 び に 個 人 , 地 域 社 会 お よ び一 般 社 会 の 各 階 層 と各 世 代 に 対 し , 直 接 影 響 を 与 え て い る各 企 業 の戦 略 並 び に 実 績 が 果 し て, 一 般 的 に 認 め ら れ て い る社 会 的 な 優 先 度 並 び に 個 人 の 正 当 な 欲 求 と 合 致 し て い るか ど うか と い う点 を 決 定 す るた め に 役 立 て る こ と。2 社 会 的 業 績 の報 告 基 準 倒 基 準 設定 の 意 義 一 般 に 基 準 設 定 の 目的 は 行 動 の 指 針 た ら し め る と共 に 最 低 の遵 守 水 準 の向 上 を は か る こ と に あ る とい う考 え 方 か らす れ ば , 企 業 の 社 会 的 業 績 に 関 す る 基 準 は 前 述 の如 く,(l)TDS 次 元 に お け る企 業 の 社 会 的 業 績 と バ2) 社 会 的 な 富 の分 配 に 関 す る ネ ッ ト・7ー ク次 元 に お け る企 業 の 社 会 的 業 績 と に つ い て , そ の実 績 を 基 準 と 比 較 七 て 評 価 す る た め に 役 に 立 て る と い う 目的 か ら み る と , 実 績 と関 塞ト生を も っ た 基 準 で な げ れ ば な ら な い が , 企 業 の 社 会 的 な 影 響 力 の み な らず , 企 業 の 目 標 , 政 策 , 計 画 な ら び に 実 績 を 明 ら か に す る こ と を 目的 と し て い る 場 合 に は , 企 業 の 社 会 的 業 績 の 測 定 と報 告 に 関 す る別 の 基 準 加 要 であ る と75 年 のAAAReport は 指 摘 し , 後 者 の 場 合 の基 準 設 定 の 役 割 は 社 会的 業 績 の報 告 が 有 意 義 か つ 公 正 な も の で あ り, 社 会 的 計 画 の 設 定 と 調 整 の た め に 適 切 な 資 料 の基 礎 を 提 供 し て く れ る も の であ る とい うこ とを 確 認 す る た め に 役 に 立 つ も の で な け れ ば な ら な い と主 張 し,AAA 委 員 会 とし て は か か る第3 番 目 の領 域 す な わ ぢ , 企 業 の 社 会 的 業 績 め 測 定 と そ の報 告 を 目的 [ 表1 主 要 目 標 標 準 第2 次 的 基 準 付加的 注 意事項 社 会的業 績の報告基準 に関する体系的図表〕 財産管理者ヤしての報告
No.1 No.2 No.3
( 妥当 性) ( 公正性 ) ( 理解 し 易 さ) ( クィ ムI 良 さ )二 立 証│可能 性) (Å較 可能性 ) り性 要 重 ぐ ( 局限 化) 第 三 者 に よ る ( 簡 潔 性 ) 認 証 ( 幹 石 | ( 保 守 主 義 ) ( 首 尾 一 貫 性 ) ( 一 般 的 な 承 認)( 計量 可 能 性)( 反 証 可 能 性) し( 貨幣 的 表 示)( 媒 介 手 段 の 妥 当 性)( 対 応 な=い し 評 価 方 式)
とす る基準 とし て,次に述べる如くEstes の体系 的図表 で示 された社会的業
績 の評価基準を拠 り処とし,米国の14の企業 につい て, この評価基準がどの2)
程度採用されてい るかとい う点に関する実態調査を行ならだ。(2)Estes
の社会的業 績の報告基準に関す る体系 的図表AAAReport
は,前述の図表 で用いられてい る用語中,一般 の会計学の
文献では見かけ ない,次 の用語にっ いて説明を加えてい る。(
重 要性)……あまり重要でない情報のレ ポートは避け る ように努力すべき
であ るとい う点を強調した ものである。(
局限化)……特定 の社会層に及ぼす会社活動の社会的な影響力をレポート
の中で明らかにす る必要かお ることを強調した ものであ る。(
完全性)……重要な情報は如何なるものも決し て省略し てはならないとい
う意味であ る。何か重要な情報 であるかという判断 は,利用者が何を要求し
ているかとい う点 に関するレポート作成 者の認識如 何に よることはいうまで
もない。(
一般的な承認)……一般的に信用又は,信頼されない レポートは役に立た
ないとい う点 について注意を喚起した ものであ る○
・(
反証可能性)……反対の意見を有する利害関係者が適当な公開討論会でそ
の意見を述べ ることが出来る機会を与えらるべきであ るとい うことを示唆し
た ものであ る。(
媒介手段の妥当性)……色々な読者が理解出来る言 語,様式お よび内容を
もち,近づ きやすい媒 介手段で表現しなければな らない とい う点を示唆した
ものであ る。(
対応ないし 評価方式)……関 連づけて考えられるプ ラス面 とマイ ナス面と
の両 者に関す る質的な表 現の必要性と,これ等の諸点を 目標,計 画ないし基
準値と比較し て評価す ることの必要性を強調した ものであ る。(3)
米国14社 の社会レ ポートに関する現状分析AAAReport
は表n の分析 の対象となった14社について,各社毎に次の
ような注釈を加え ている。1)A
社 の市民権活動に関するレポート
利益の創造 よりもむしろ市民社会の実体ないし市民社会で生活し ている人
々の便益を増進す ることを主た る目的としてい るA 社の会社活動ないしプロ
慈 善 事業を 中 心 とす る社会 的業 績 の測 定 とそ の将 来 の研 究方 向7 〔 表H14 社 の 社 会 , レ ポ ー ト の 分 析 〕( 注 :1 は最低 ,5 は最 高 の 格づ け を示 す) う ぷ 一一 一 行_A B C D E F G H I J K L M N 妥 当 性 4 3 1 4 4 4 1 5 5 3 3 3 5 4 タ イ ム リ ー の 良 さ 5 3 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5-5 1 重 要 性 局 限 化 4 5 3 3 1 1 4 4 4 4 4 4 5 5 5 5 3 5 3 5 3 5 5 5 公 正 性 4 2 1 4 5 5 5 5 3 3 3 5 2 立 証 可 能 性 第 三 者 に よ る 認 証 完 全 性 5 4 5 5 1 1 1 5 4 5 4 5 4 5 5 5 5 5 3 3 4 3 4 5 5 2 3 保 守 主 義 一 般 的 な 承 認 反 証 可 能 性 4 5 1 1 4 5 4 5 4 5 5 5 5 5 4 4 3 3 3 3 5 5 3 3 5 理 解 し 易 さ 5 5 5 5 5 5 5 5 3 3 3 5 4-1 比 較 可 能 性 簡 潔 性 5 5 5 5 2 2 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 1 1 1 5 5 首 尾 一 貫 性 計 量 可 能 性 貨 幣 的 表 現 媒 介 手 段0 妥 当 性 対 応 な い し 評 価 方 式 5 5 5 5 5 5 5 5 2 1 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 1 2 5 1 2 5 1 2 5 5 5 5 5 5 5 5 6
-ジ ェクト の為 に 費 消し た 諸支 出に 関す るレ ポートであ っ て, 社 内に 配 布す る
とい う目的 か ら,発 生場 所 別, プi==
・グ ラ ムのタ イプ別, 並 び に資 金 の使 途別
に支出額 の明細 を レ ポー トし てい るが, こ のレ ポ ートは必 ず し も報 告し なけ
ればな らない 適 切 かつ重 要 な 事項 をす べて 網羅し たレ ポ ートであ る とはいえ
な い。
・
’2
)B
社 の1972 年に おけ る年 次報 告 書
このレ ポ ートは 汚染 防 止 法令 の遵 守 と要 求 され る期待 値 に 関す る 意見を 述
べてい る 専門家 に よる監 査 結果 の報 告に 止 まり, これ以 外 の社会 的問 題 につ
い ては何 も触 れ てい ない 。3
)C
社 の1972 年 にお け る年 次報 告 書
若干の社 会的 にふ さお しい 会 社 活動 と政 策につ い て叙述 的 に 発表 し ただけ
であ る。4
)D
社 の1972年 におけ る年次報告書
若 干の社会的にふさわしい 諸項目につい て発表した兄 のであ るが,財務的
な結果を評価するため の一つの試みとし て,プ ラス面 とマイ ナス面へのそれ
ぞれ の影響を貸借対照表 の型式 でまとめてい る。5
)E
社におけ る1972年の年次報告書4
領域にわたる社会的な影響力を示し てい る統計値を過去3 年にわたって
比較対照す る方式で掲載してい る外,会社全般 の目標に照して4 領域毎に評
論を加えて い る。6
)F
社におけ る1973年の年次報告書13
項 目か らなる企業 の社会的業績に関す る主要項目について詳細な統計値
を, 現在の基準,将来の目標,並 びに調査 の結果 明らかにされた社会的な優
先度 と共に列記し てい る。7
)G
社の社会的得点表
この中で述 べられてい る情報の内容は伝統的な財務 諸表 の中で正規に発表
されている内 容と殆 んど変らない。8
)H
社 の1973年におけ る年次報 告書 十社会監査
広汎な社会報告制度の革新的な可能性を示 す一例である。9
)I
社 の特殊レポートH
社と同様に広汎な社会報告制度のもうーつの革新的な可能性を示す例で
あ る。10
)J
社 の特 殊レポート
叙述的にプログラムを記載してい る。11
)K
社におけ る1972年の社会責任レポート
若干 の社会的にふさわし いプログラ ムに関する詳細に亘 る叙述的表示。12
)L
社における1972年の社会責任レ ポート‥
・K 社 と同様。13
)M
社におけ る1973年 の会計年度に対す る特殊レ ポートi2
項 目にわた る社会的活動と関連性 のあ る領域におけ る計画と最近 の実績
の推 移とに関し,時宜を得た2 年間の比較対照的に示 された計量的な資料を
も副えた詳細なレポート。14
)N
社における1974年の特殊レ ポート
ニ
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向9 は っ き りし た 証 拠 物 件 を 副 え た 会 社 の 目的 と政 策 の 現 状 に 関 す る 詳 細 な説 明 書 で あ り , 機 関 投 資 家i 教 育 関 係 者 , 学 生 運 動 の指 導 者 , マ ス コ ミ系 の代 表 者等 が 参 加 し た 会 議 の 席 上 , 会 社 側 の数 人 の ス ポ ー ク ス マ ン に よ り 発表 さ れ た と か こ と で あ る 。3. 若 干 の 問 題 点 と批 判 前 述 の 社 会 会 計 の 目 標 とそ の業 績 報 告 基 準 に 関 す るAAA 委 員 会 の 答 申 は 企 業 の 自 発 的 な 意 思 に よ り, 千 差 万 別 の 形 で 作 成 さ れ て い る そ の社 会 的 業 績 に 関す る レ ポ ー トに つ い て 社 会 会 計 め 目標 に 照 し て み た 時 , ど の よ うな 着 眼 点 に基 づ い て 作 成 し な げ れ ば な ら な い か とい う点 に つ い て , 理 論 的 に 考 察 し た 後 , 米 国 企 業 の 社 会 業 績 レ ポ ー ト の現 状 に 関 し ケ ー ス ・ ス タ デ ィ に よ り分 析 し た も の で あ る。AAA 答 申 は 社 会 会 計 の 目標 は 次 の2 点 に あ る と主 張 し て い る。 す な わ ち , そ の第1 は 知 識 が 適 用 さ れ る 政 府 的 , 経 済 的 , 社 会 的 , 人 間 的 , 環 境 的 な 局 面 にお い て , 人 間 の 必 要 物 を 最 も望 まし い 方 法 に よ り 確 実 に 提 供 す るこ とを 目的 と す るTDS の 構 成 単 位 た る企 業 が か か るTDS に 帰 属 せ し む べ ぎ 社 会 的 便益 と犠 牲 価 値 に 関 連 す る 影 響 度 を 測 定 す る た め の基 準 の 確 立 で あ り, モ の第2 は 各 企 業 と関 連 性 の あ る資 源 , 個 人 , 地 域 社 会 お よび 一 般 社 会 の 各 階 層 と各 世 化 と に 対 し て 直 接 影 響 を 与 え て い る 各 企 業 の 社 会 的 戦 略 お よ び 社 会 的 業 績 が 果 し て , 一 般 的 に 認 め ら れ て い る 社 会 的 な 優 先 度 並 び に 個 人 の 正 当 な 欲求 と 合 致 し てい る か ど うか を 判 定 す るた め の評 価 基 準 の 確 立 に あ る 。 以 上 め 社 会 会 計 の2 日的 に 奉 仕 す るた め に は , 第 三 者 に よ る 外 部 監 査 の立 場 に立 って 企 業 の 社 会 的 業 績 の是 非 に つ い て 判 定 を 下 す こ と が 出 来 る よ う に ,実 績 と 比 較 し て対 比 出 来 る 評 価 基 準 を 確 立 す る こ と が 必 要 で あ る。 し か し な が ら , 第 三 者 に よ る企 業 の社 会 監 査 体 制 が 未 だ に 確 立 し て い な い 今 日 の 情 勢 に 鑑 み,AAA 答 申 は , か か る 外 部 監 査 の た め の評 価 基 準 を 確 立 す る問 題 はこ れを 回 避 し , 現 在 行 な わ れ て い る企 業 の 自 発 的 な 意 思 に 基 づ く 萱 会的 業 績 報 告 書 を 作 成 し ょ う とす る場 合 に 考 慮 す べ き報 告 基 準 と報 告 の着 眼 点 に つ い て,Estes の 社 会 的 業 績 の報 告 基 準 に 関 す る 体 系 図 表 を よ り所 と し て 米 国 の14 社 の 現 状 分 析 を 行 な っ た 。Estes の報 告 基 準 は , 妥 当 性 , 公 正 性 , 理 解 し 易 さ と い う三 つ の 標 準 を 基 本 とす る報 告 原 則 で あ り, 企 業 の 財 務 業 績 に 関 す る公 表 を 目的 とす る一 般 的
な会計 原 則 と比較 す る と, 両 者共企 業業 績 の報 告を 目的 とし てい るために ,
可成 り, 類似点 を 見つけ だ す こ とが 出来 るが ,社 会的業 績 の報 告 とい う特 殊
な任 務を 帯び てい るた めに , 次 の諸点 にお い て,一 般 的 な会計 原 則 とは異 な
る配 慮 が み られ る。1
) 「妥 当 性」 標準 の第二 次 的基 準 とし て 「 タイ ムリ ーの良さ」 を 掲 げ て
お り, この結果 , 付加的 注 意 事項 とし て「 重要 性」 の外 に( 局限 化且 とい う
考 え方 を 入 れ てい る点 。
△2
) 「 公 正性」 標 準 の第 二 次的 基 準た る「立証 可 能 性」 は当 事 者に よ る 立
証 を 意 味し ない で, 丁第 三 者に よる認証 」に よる「一 般的 な承認」 を 獲得す る
だ け で な く, 社 会的 な批 判を 積極 的 に受け 入れ て企業 自身 の反 省材 料にす る
ため に「 反証 可 能性」 とい う要 件を も入 れ てい る点 。3
) 「 理解し 易 さ」 の第二 次基 準 た る「比 較 可 能性」を 確保 す るた めの要件
とし て,特 に 「媒 介手段 の妥当 性」 と「 目標 ,計 画, ない し 標準値 との対 応
ない し 評 価方 式」 等が 含 まれてい る点
○
し かし なが ら,Estes
の報 告基 準 の中 には 次 の諸点 に問 題 かお る とお もね
れ る
○1
) 主 要 目標 とし て「 財産 管 理 者 とし て の報 告」 を か かけ てお り, 付加 的
注 意事 項 の巾 に「 首尾一 貫 性」 とか「 保守主 義」 とか 「計 量 可 能 性」 と か
「貨 幣的表 示 」 とい う よ うな概 念を か かげ てい る点 か ら推 察 す る と,計 量 可
能 であ りかつ貨 幣単 位 で表 現す るこ とが出 来 る財 務業 績 と関 連 性を もった社
会 活 動業 績 の報 告を 意図 した もの であ り, 財務 業績 とは直接 関連 性を 持た な
い 慈善事 業 や雇用 機 会 の均 等 化を め ざす 社 会活 動等 に 関す る報 告基 準 とし て
は 役に 立 た ない。2
) 「 立証 可 能性」 の中 に,寸 第三 者に よる認証」「一 般 的 な承認」「反証 可
能 性」 等 の諸 要件を 掲げ てい る点 か ら推 察す ると, こ の報 告基準 は 第三 者に
よる外 部監 査 に よる承認 を 前提 とし た報 告基 準 であ っ て,AAA
委員 会 が目
的 とす る自発的 な意 思 に基 づ く社会 活 動に 関す る業 績 の報 告基 準 とは 若干 遊
離し た 考 え方 に立 っ てい る。
次 に, 委員 会 に よる米 国14 社 の 現状分 析 の 結果を 考 察し て み ると「 第 三 者
に よ る認 証」「反 証 可能 性」「 比較 可 能性」「首 尾一 貫 陸」「 計 量可 能 性」「貨
察的 表 現 」
「 対応 ない し評 価 方式 」 の 諸要件 に つい て, 低い 得点又 は ゼ ロ 得
慈 善事業 を 中心 とす る社 会的業 績り 測 定と そ の将 来 の研究方 向11 点 の 社 数 が 多 い 。 こ れ は 以 上 の2 点 に つ い て 問 題 点 が 存 在 す る こ と を 雄 弁 に 物 語 っ て い る と い う こ と が 出 来 よ う 。 エ
§2
慈善事業に関する社会的業績の測定2)1.AAA
のイソタービ ューに よる企業の実態調査の 目的 と概要
企業の 慈善事業に関する社会的業績 の測定について,1975年AAA
の社会
的業績会計委員会レポートはかか る領域に関す る社会的業績の測定は,概し
て他の領 域におけ る社会的業績 の測定の場合 よりもは るかに測定尺 度があい
まいであ り,特に会計的領域の枠 の中で考えるこ とには疑問かお るが,次の
諸理由か らその測定基準を論理的に選択出来る余地も残 されてい ると主張し
ている。1
) 慈善事業をめぐる社会的活動は既に数十年にわた り,企業活動 の舞台
に登場し て来た問題であ り,従って,企業 経営者はかか る社会的責任の取り
扱い方法につい て既に開発し終え てい る。2
) 上述の点 との関連性から,長年にわたってこの領域におけ る社会的責
任 の問題が存在し続けてい るとい う事実は,この研究委員会に対し何 らかの
形 で│青報 の基礎が提供されてい るはずであ るとい うことを意味す る。
もし有効資 源に制約かお る場合,情報は実際 の資金支 出額並びに消費時間
の両面からみて,出来る限り低い コストで入手す ることが必要である。この
点はたとえ喜んで受け入れられた場合であろ うと,ニしぶしぶ受入れられた場
合であろ うと,又,両者の中間に属する場合であろ うと,そ の如何を問わず
一般的に認識されている点 であるので,企業 の社会的責任に関す る如何なる
論文に も共通にあてはまる。事実 /他の領域に属す る社会的責任の遂行は外
部からの要請に基づ くと考えられるのに対し て,慈善事業 は本来,企業 の資
源(時間,物資,金銭) の自発的な付託に基づ くものであ るが故に,今 まで比
較的精力的に論議されて来た他の領域に属す る社会的責任 の業績測定の場合
より乱 比較的経済性に関す る尺度を 適用出来 る余地が大きい。このことは
十 分に論証出来 る自信かおる。3
) もし社会的責任がなくなると,高度に統合化されていない領域に対し
ては資源を効果的に配分す ることが困難な企業の場合に は,慈善事業 に関す
る測定基準を設 定することに より企業 の社会的責任 と関連性のあ る諸活動を
評価 す るた めの, 最小 限 度 の 目標を 提供 し て くれ るだ ろ う。
処 でAAA
委 員会 は,か か る 慈善事業 に 関す る社 会 的業 績 の測定基 準を 研
究 す るため に, そ の方 法 論を確 立 す るに際し , 第1 の 問 題点 とし て研究上 必
要 な 有効資 源(資金,要員)に 制約 かお る こ とに 気づ い た 。従 って かか る制約
条 件 の認 識 の上 に 立っ て ,少 くと も何 ら か の意 味 で有 意義 な成果 を あげ るた
め に,研 究 プ1==
・ジ ェ クトは小型 ではあ る が中味 の充 実 した も ので なけ れば な
らない とい う研 究 方 針 が確 立 され た。
す な わち ,同 一 の地 域 の同じ 都市に 本社 が所 在し , 国 全 体に シ ェ アーを も
つ 大企 業 の経営 幹部 とイ ソタ ービ ュ ーを行 うとい うプ ロジ ェ クトを 採 用し ,100
社 を含 む リ ス ト に のうち22社が大企業とみなされる)か ら製 造業 と銀 行 とを
無 作為的 に8 社 選 択し た。 モ の1973 年 の売上 高は17 億 ドル∼4 億 ド ル5 千 万
ド ルであ り, こ のう ち10 億 ド ルを 超 え てい る会社 が3 社 あ った。
十又 同 年 の純
利 益 は2 億3 千 万 ド ル から2 千 万 ドル の間にあ った 。 各 社 に委 員会 の研究 プ
ロジ ェ クトへ の協 力を 要 請し た が,全 面的 に協 力す る とい う回 答を し てくれ
た会社 は6 社あ り,80 % 程度 の協力を 約し てくれ た 会社 が2 社 あ った。 イソ
タ ービ ューは こ の8 社 を対 象 にし た が, こ の うち 銀行 が1 社 ,残 りは 製造業
であ った。8 社 の うち7 社 の1973 年 におけ る慈善 事業 に対 す る支 出 額の 合計
は約470 万 ドル に達 し てい た。ノ
イ ソ クービ ュー の相手 は 次に示 す肩 書を もって い る人 で ,そ れぞ れ の会社
におい て慈善 事業 に対 す る資 源 配分 に 関し 最 も責 任 の重 い 地 位に あ る 幹 部
であ り, そ の時 間 は1 時 間∼3 時 間,平 均l 時 間45 分 であ っ た。
財務部長(Treasurer )
経理担当副社長
企業内部の都市問 題を取 り扱 う部門の長
広報活動担当 の副社長
大
慈善事業委員 会の常任幹事
取 締役会長 の補佐役
0 0 x べ I − 一一 I I − − 1 1 1 1 L − 5 I j l l r − − ︱ ・ ♂ − ︱ − − − − − r J 2 1 1 2 1 1インタービューの結果,判明した主な点は次 の通りであ る。2.
慈善活動の種類とそ の活動 の実情
∧
(1) 寄付金支 出額の実情8
社中5 社が寄付金のチャンネルとし ての機能を果してい る財団を設立し
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向13 で い た 。こ の うち1 社 は1975 年 に 解 散 し た が , 残 り の4 社 が 財 団 の利 用 は 税 金 面 では 不 利 で あ る に もか か わ ら ず , 便 利 な 方 法 で あ る と信 じ て お り, 今 後 共 引続 き利 用 し て ゆ く 意 思 を も っ てい た 。 ニ 慈 善 事 業 の 内 容 を ど の よ うに 分 類 す るか とト う点 に つ い て は , 必 ず し も一 致 し て い な い が , 大 多 数 の会 社 は 直 接 的 な 現 金 の 授与 だ け を そ の対 象 に し て い た。 こ の外 , プ ロ ジ ェ ク トを 支 援 す る た め に 費 消 し た 時 間 外 勤 務 に 対 し て 給 料 を 加 算 し て い る 会 社 も あ っ た 。 し か し な が ら 大 多 数 の 会 社 で は , 慈 善 事 業 のた め に従 業 員 が 費 消 し 九 時 間 は 可 成 り長 い 時 間 で な げ れ ば 会 社 の 仕 事 の た め に 消 費 し た 時 間 と し て 会 社 に 負 担 さ せ て い な い 。 又 , こ の 負 担 コ ス ト も 給 料 の 中 に混 入 さ れ ,特 に 慈 善 事 業 のた め に支 出 し た コ ス ト と し て 区 分 し て 計 算 し て い な い 会 社 が 多 い 。 レ こ の 外 , そ の 一 部 分 は 慈 善 事 業 の範 ち ゅう に 属 す る と お も ね れ る項 目を 別 の 領 域 に 負 担 さ せ て い る 場 合 か お る。 例 え ば , あ る会 社 は 著 名 な ア ノ リ カ の 画 家 の 作 品 展 覧 会 を そ の 地 域 の美 術 館 で開 催 し て,25,000 ド ル の金 額 を 支 出 し た が , こ れ は 広 告 費 に 負 担 さ せ て い た 。 又 , 広 報 部 門 の予 算 の 中 に は 本 質 的 に 慈 善 事業 と し て 十 分 に チ ャ ージ 出 来 る とお も わ れ る も の も 種 々含 ま れ て い る が , 会 社 名 が添 付 さ れ てい る と い う理 由 か ら , 広 報 活 動 とし て 分 類 さ れ て い る も の が 多 い 。 寄 付 金 の 第 一 次 的 な 受 取 先 は 共 同 基 金 に 類 す る政 府 機 関 で あ る が , か か る 政 府 機 関 へ 付 託 し た 寄 付 金 額 に 関 す る 情 報 を 提 供 し て く れ た4 社 に 関 す る平 均 の寄 付 金 額 は 各 社 の 慈 善 事 業 へ の 支 出 総 額 の 中 の 約4G % を 占 め て い た 。 こ の支 出 割 合 に 関 す る数 値 は あ ら ゆ る大 会 社 に もあ て は ま る と 拡 張 解 釈 を 下 す こ と は 可 成 り危 険 で あ る が , 慈 善 事 業 へ の総 支 出 額 中 の 相 当 大 き い 割 合 か 自 発的 行 為 に 近 い タ イ プ に 属 す る こ とを 明示 し て い る 上 解 す る こ と が 出 来 よ う。 会 社 が か か る寄 付 金 を 正 規 の 経 常 的 な 営 業 費 用 と し て 考 え てト る こ と は 全 く 明白 で あ っ た 。 事 実 上 , こ れ ら の 会 社 は 現 在 で 乱 か か る寄 付 金 の中 止 又 はm 減 を は か ろ うと す る 姿 勢 を 全 ぐ示 し て い な い 。 (2) 文 化 芸 術 面 に お け る 貢 献 の実 情 文 化 芸 術 面で 株 主 が 提 供 し た 資 金 の 一 部 を 支 出 す る行 為 を 正 当 と認 め る 根 拠 とし て は 次 の 二 つ を あ げ る こ と が 出 来 る。1 卜 会 社 は 巾 か か る 芸 術 (博物館よ オペ ラ, シン フォニ3 ダンス等) の 存 在
は現在の従業員のみならず将来就職す る可能性を もっ ている潜在的な従業員
に対してもそ の会社の所在する地域社会に関する魅力 を増大させる効果があ
ると一般に信じ られて来た。すなわち,そ の費用 はあ る面においては,従業
員 犀対す る福利厚生 費的な性格を有し ,従 って,広い 意味におげる人件費に
属する。この点を実証す る例とし て,ある会社は快適な生活を送ることが出
来 る大都会 より可成 り遠隔の地にある地方 の小さな町に所在す る大工場で,
特別に優れた技術を保有す る従業員を 働かせる為に特別のボーナスを支払わ
ざるを得なくなった とい う事実を明らかにし てくれた 。
ただし卒直に言うと,最 も多 くの支持を受け てい る文化活動 のタイプは,
優れた技術を有するホワイトカラー労働者が望 んでい るタイプのものであ る
ようにお もねれる。
すなわち,大衆的な文化芸術 も決し て排除し てい る訳ではないが,かかる
タイプの芸術を支 持し てト るとい う説明は余 り聞くこ とが出来なかったとの
ことであ る。2
) 数 人の役員達 の言に よれば,これは現時点においては政府が効果的な
対策を十分に講じていない,いくつかの領域 の中の一 つであると信じられて
い る。従って,芸術を維持,促進す ることは,企業が当然援助を提供すべき
領域であ ると考えられる。
㈲
教育面におけ る貢献 の実情
教育に関す る寄付金は次の二領域すなわち基金 提供 と奨学金制度とに分類
することが出来 る。調査した8 社中少くと も5 社は教育基金の投与に関する
プ ログラムに取 り組んでト た。
某社は,従業員1 人当 り最高5,000 ドルを限 度とし て,高等教育機関へ寄
付していた。又,あ る会社は,従業員 が学位を取得し た大学だけにその対象
を限定し たとレポートされている。3.
支出 目標 と1973年 の実績8
社中7 社がかかる一般的な慈善事業に対する貢献 目標を発表していた。
このうち ,一 社は株主総会,他の一社は取 締役会によって決定 された もので
あ る。かかる慈善事業への支 出目標は税引前純利益の最低1 %,最高9 %
平均約L14 % であった。 このうち連邦政府基金 タイプ の支出額が40%占めて
い るので,これを除 くと自発的な慈善事業 に対す る貢献額は税引前純利益の
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向15 約0.68 % に 相当 す る 。 上記 の貢 献 目標 に 対 し6 社 の1973 年 の貢 献 実 績 は 約4,300,Q00 ド ル で , そ の税 引 前 純 利 益 は 約891,000,000 ド ル で あ っ た の で 支 出 比 率 は0.48 % に 止 ま っ た 。 た だ し ,一 社 だ け は 非 公 式 の 目 標 値 に ほ ぼ 近 い 約oc % とい う実 績 を 示 し た が , 他 社 は 目標 値 を は るか に 下 回 る 実 績 に 止 ま っ た 。 こ の ヶ ―ス の場 合 に は当 て は ま ら な い が , た と え , こ の 目 標 値 が企 業 に と っ て 最 高 の 絶 対 値 を 示 す も の で あ った とし て 乱1973 年 の 実 績 は 可 成 り重 大 な 落 ち こ み か お る よ うに お もわ れ る と指 摘 し て い る。4. 資 金 の 目的 別 配 分 と社 会 的 効 果 の 測定 基 準AAA 委 員 会 が こ の イ ン タ ー ビ ュ ー に お い て ,特 に 重 点 を お い てい た 質 問 は , か か る 自発 的 な 慈 善 事 業 に 関 し て 競 合 す る各 要 求 に 対 し て , そ の資 金 を 如 何 な る方 法 に よ っ て配 分 し て い る か とい う質 問 と, 寄 贈 し た資 金 に つ い て 受 取 り側 の 利 用 効 果 を 評 価 す る た め に , 受 取 り 側 の 諸 活 動 に つ い て , 如 何 な る 方 法 に よ り, 再 吟 味 し てい る か と い う質 問 と で あ っ た と の こ と で あ るが , こ の点 に関 し て 次 の三 点 に 注 意 を 払 う必 要 が あ る と指 摘 し て い る 。 (1) 適 用 対 象 と そ の 影 響 力 と の関 係 に 基 づ く資 金 配 分 こ の 配 分 基 準 は 一 見 簡 単 に み え るが 大 切 な 基 準 で あ る と 答 申 は 述 べ , そ の 諸 事 例 を 掲げ て い る 。 例 えば,Transamerican 社 は ,「 我 々 の 会 社 は , 従 業 員 を 雇 傭 す るた め に 重 要 な 基 盤 を 提 供 し てい る地 域 社 会 に 対 し て貢 献 す べ き 最 大 の 義 務 を 負 っ て い る 」 と 述 べ て い る 。 結局 , 一 般 的 な 意 味 で は , 資 源 配 分 案 は 会 社 の 利 己 心 に 照 し て 決 定 さ れ て い る とい うこ と が 出 来 る。 例 え ば , 病 院 建 設 プ ロ グ ラ ム は 建 設 業 者 よ り も製 薬 会 社 の 方 が , は る か に 強 く 支 持 し て く れ る の が 常 で あ る 。 又 , イ ソ タ ー ビ こ3. し た 際 , あ る 会 社 の 役 員 は, 自 分 達 とし て は , 主 と し て会 社 の従 業 員 が 重 点 的 に 利 用 し て お り , 何 れ か の工 場 で 非 常 事 態 が 発 生 し た 時 に 利 用 出 来 そ うにお もね れ る 病 院 に 対 し て の み 基 金 の キ ャ ン ペ ー ン を す る と , 語 っ て い た と のこ と で あ る ○ (2) 資 金 配 分 を 有 効 に す る た め に ト ップ の 割 当 時 間 を 考 慮 に 入 れ てお く 自 発 的 な 慈 善 事 業 に使 わ れ る金 額 は 余 り犬 き く な い け れ ど 乱 会 社 の個 性 や イ メ ージ に 照 し て再 検 討 を 必 要 とす る こ と は 当 然 で あ る 。 こ の 慈 善 事 業 委 員
会の主宰 者とし ては社長(一社)の場合と財務部長(二社)の場合とがあった
が,8
社は何れも極めて微妙な点に至るまで, トップ・マネジ ノソトが強い
関心を示し てい ることがイソタービzz. の結果明らかになった。確かにトッ
プ・マネジ メントはこの責任を果すためにそ の支出金 額の大 きさとは不釣合
な程の多くの時間を捧げてい る実情であるとめことであ る。
<
(3) 資金配分後のフォロ ―ア ップ
このイソタービ ュー調査に よると,資 金を有効に配 分した後,提供し た資
金が果して,必要不可欠な問 題を解決す るために使われたかどうか,又は,
将来更に財務的な援助 の提供を企 七るべきであ るか否か とい う問 題に答える
ために正式のフ ォpt―アップが行なわれた形跡は全くなかった。最 もよく使
かねてし たフィードバックのための評価方法は受贈者 の一人に属する従業員
からの口頭のレポート形式に より実施された,いわば, うわべだけ の評価に
すぎない もので あったが√例外的 に正式 の再吟味方法に最も近い方法を採用
していた一企業 の例とし て,答申は次の例をあげ 七い る。この会社は現に荒
廃しつつあ るもの並びに既に荒廃し てし まった近隣の地域で生活している人
々に よりデザインされた多数 の夏季プログラムの立案 とそのプ ログラ ムの実
行を強く支 持し,委員 とカメ ラマソ とを各現場に派遣七て,そ の活動を観察
きせ ると共に ヴィデオ・テープに撮らせ,各プロジェ クトを評価す るために
各こ
テープを比較して検討させていた。彼等はごの検討資料を来年の夏,今 ま
でより 七一層優れた資 金配分計 画を 立案するために役 に立てたい と望 んでい
るとのことだった。5.
社会的効果測定の困難性 と効果 の向上をはかるために留意すべき諸点
(1) 効果 測定の困難性
\
会社の立場を弁護す るとすれば,慈善事業 の社会的 効果に関する評価は極
めて困難であって,多 くの場合,事実上不可 能である と委員会答申は指摘し
てい る。この一つ の理由とし て,受贈者側からのレポーティンダの状態をあ
げ ることが出来る。 例えば,米国公認 会計士協会では,私企業 の 博 愛 精 神
を,社会的な要請に答え て委員会ヘレポートす るために諮問委員会を設定し
たが,1974年10月に発表 されたこの諮問委員会のレ ポートでは次のような結
論になった。
現在,博愛主義的な立場に立つ企業が作成してい る財務諸表は 理 解 し 難
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向17 い 。 そ の 理 由 の 一 つ とし て , 現 代 の報 告 実 態 が 多 様 性 と 主 観 性 と に 富 み す ぎ て い る こ と を あ げ る こ と が 出 来 よ う。 更 に , 評 価 に 制 約 を 与 え て い る も うー つ の要 素 と し て , 評 価 プ ロ セ ス の複 雑 性 を あ げ る こ とが 出来 る。 す な わ ち 適 切 な 変 数 とそ の 相 互 作 用 の 決 定 に 問 題 が あ る と 答 申 は 主 張 し てい る。 ② カ ナ ダ, ガ ル フ会 社 に お け る 効 果 の 向 上 を は か る た め の9 ポイ ン トの 提 案 カナ ダ商 工 会 議 所 が 慈 善 事 業 に 関 す る 会 議 を 開 催 し た 時 , カ ナ ダ の ガル フ 石 油会 社 め 広 報 部 長 は , 慈 善 事 業 計 画 の 効 果 を あ げ る た め に 必 要 な 次 に示 す 穏 当 な9 点 に わ た る提 案 を し た 。1 ) 我 々 は 予 算 並 び に 統 計 的 な 用 具 と比 率 とを も っ と う ま く 利 用 出 来 る可 能 性 を もっ て い る62 ) 我 々 牒我 々 の眼 前 に 提 示 さ れ てい る キ ャ ン ペ ー ン の 目的 を 質 問 し な い ま ま, こ れ を 鵜 呑 み に す る 必 要 は な い 。 ニ ニ3 ) 我 々 は キ ャ ンペ ー ン が 広 範 囲 に わ た る基 盤 の上 に 立 っ てト る と い うこ とを 確 信 を も っ て主 張 す る こ と が 出 来 る。 ニ4 ) 我 々 は , こ の プ ロ グ ラ ム と プ ロ ジ ェ ク ト の 目的 を 達 成 す べ く, 今 まで 以 上 に , 用 意 周 到 で な け れ ば な らな い 。5 ) 我 々 は 受 贈 者 側 に対 し , 毎 期 , 進 行 状 況 に 関 す る 報 告 書 を 提 出 し て く れ る よ うに 主 張 す べ き で あ る。6 ) 我 々 は 独 立 し た 研 究 と 我 々 自身 の 測 定 尺 度 に よ っ て , 寄 贈 物 の見 積 価 値 を 算 定 で き 右 よ う に な っ て い な け れ ば な ら な い 。7 ) 理 想 的 比 は , 貨 幣 価 値 に よ る評 価 額 は 何 らか の 意 味 で , 幹 部 な い し 経 営 者 の評 価 と釣 合い が と れ る よ うに し な け れ ば な ら な い 。 ニ8 ) 我 々 は 慈 善 事 業 に 関 す る情 報 を 自 社 の 従 業 員 に対 し て豊 富 に 提 供 す れ ば す る ほ ど , 我 々 の寄 付 金支 出 プ ロ グ ラ ムを 一 層 効 果 的 な も の に す るこ とが 出 来 よ う。9 ) 更 に , 一 般 大 衆 の 認 識 を 高 め る こ と が 出 来 れ ば 出 来 るほ ど , 益 々, 我 々 の 寄 付 金 支 出 の効 果 は 大 き く な る に ち が い な い 。(3 ) 効 果 の 向 上 を は が る た め のAAA 答 申 の 提 案 し こ のほ か , 答 中 は イ ソ タ ー ビ ュ ー の 際 , 気 の つ い た 点 に つ い て 種 々述 べ て い るが , こ の うち , 特 に 重 要 と お もわ れ る事 項 を 次 に 列 挙 し よ う。
1 ) イ ソ タ ー ビ ュ ーし た 企 業 の 中 に は政 府 機 関 よ り も は る か に 大 きい 社 会 的 な 効 果 を あ げ て い る企 業 か お る 二一と が 判 っ た 。 特 に , 地 方 に あ るOIC (OpportunitiesIndustrializationCenter. 産業化 促進 のた め の機会 開発 セソタ¬) は 同 じ く地 方 に あ る , 政 府 管 掌 の 教 育 訓 練 プ ロ グ ラ ム よ り 乱 低 い コ ス ト で , は る か に 優 れ た 技 能 を 身 に つ け た 卒業 生 を 世 に 送 っ て い る 点 が 注 目 さ れ た 。2 ) 会 社 の 中 に は , 現 金 支 出 の み な ら ず , 製 造 原 価 や 売 上 原 価 中 に 含 め ら れ てい る 材 料 費 を 社 会 的 目 的 に 基 づ い て , 寄 贈 し て い る 例 が あ っ た 。3 ) 慈 善 目 的 の た め に 寄 贈 さ れ る 金 額 は そ の 年 の 純 利 益 額 と 密 接 に 関 連 し て い る の でに 経 済 沈 滞 期 に お い て は , 慈 善 事 業 に 対 す る 社 会 的 な 要 請 が 高 ま って い る に も拘 らず , 慈 善 事 業 に 対 す る支 出 水 準 は 低 落 す る とい う矛 盾 が 生 ず る が , こ の 点 に 関 し , 一 般 的 に は あ き ら め ム ー ド に な る例 が 多 か っ た が , 一 社 だ け は , 基 金 を 設 定 し て , 年 々可 成 り安 定 し た 水 準 で 慈 善 事 業 へ 支 出 出 来 る よ うに資 金 を 確 保 し て い る会 社 が あ っ た こ と は 注 目 さ れ る 。4 ) あ る会 社 は 社 会 責 任 報 告 書 を 開 発し よ う と す る 初 期 の 段 階 に あ っ た 。1974 年 に こ の 会 社 は 実 際 発 生 原 価 を 集 計 し よ り と努 力 し て い た が , 究 極 的 な 目 標 は無 形 の コ ス ト と 社 会 的 便 益 の 見 積 数 値 を も追 求 す る こ と に あ り, こ の 目 的 を 達 成 す る た め に は まだ 可 成 り時 間 が か か る と信 じ てい た 。5 ) 自社 の 慈 善 事 業 政 策 の 状 態 並 び に 本 質 的 な 転 換 に 対 す る 示 唆 を 示 す き わ め て 確 信 に 満 ち , かつ 厳 正 な 内 部 報 告 書 を 作 成 し て い る会 社 が 一 社 あ っ た が , こ れ 以 外 の会 社 の 大 多 数 は 改 善 し た い 意 欲 は も っ て い る よ うに 思 わ れ た が , 問 題 解 決 の た め の 包 括 的 な プ ラ ン は 全 く 持 ち 合 わ せ て い な い 現 状 で あ っ た 。6. 若 干 の 結 論 と 批 判 答 申 は , 以 上 の イ ン タ ー ビ ュ ー調 査 の対 象 企 業 が 慈 善 事 業 を 取 り 扱 う場 合 の プ ロ セ ス に 関 す る 本 来 の性 格 に つ い て ,資 源 配 分 の プ ロ セ ス の 解 明 とそ の 効 果 性 に 関 す る フ ィ ー ド バ ッ クを め ざ す き わ め て簡 単 な モ デ ル を 開 発 し て い る に す ぎな い よ うに お も ね れ る と述 べ , もし , こ の 調 査 の サ ン プ ル と な っ た 企 業 が 一 般 的 な 企 業 の 状 態 を 代 表 し て い る と仮 定 す れ ば , そ の 社 会 的 責 任 に 関 す る広 汎 な ス ペ ク ト ル の 中 のご く一 部 分 に し か す ぎ な い 自 発 的 な 慈 善 事 業 活 動 の中 に 含 ま れ , 更 に ご く一 部 の 問 題 を 処 理 す るた め り 情報 シ ス テ ムを 現 在 所 有 し て い な い の み な ら ず , 今 後 共 急 速 に 開 発 す る可 能 性 もな い よ うに お
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向19 もわ れ る と の べ て い る 。 従 っ て , 社 会 的 責 任 に 関 連 し た 自 発 的 な企 業 活 動 に 関 す る報 告 書 の 作 成 は 近 い 将 来 に お い て大 幅 に 理 論 化 さ れ て ゆ く可 能 性 は 乏 し い の で ぱ な い か と 答 申 はそ の将 来 に 関 し て悲 観 的 な 見 か た を し て い る 鶴 か か る 慈 善 事 業 に 関 す る プT==iジ ェ ク トは 今 後 益 々 拡 大 さ せ て ゆ く こ と が 望 ま し く , また 恐 ら く 必 要 で あ る とお も う。 従 っ て 企 業 の 社 会 的 責 任 に 関 す る ア プI= − チ を 更 に 精 緻 に し , また 包 括 的 た らし め る た め に は , や や もす れ ば , 見 落 さ れ た り, 低 く評 価 さ れ が ち な 面 を も っ て い る 代 表 と も考 え ら れ る か か る慈 善 事 業 に 注 目す る 必 要 が あ る と 指 摘 し て い る。 お も うに , 慈 善 事 業 活 動 は 企 業 の 行 な う社 会 活 動 に 関 す る , 序 文 で 述 べ た4 領 域 の うち, 財 務 業 績 と は 無 関 係 に 専 ら 自 発 的 な 意 思 に よ り , 実 施 さ れ, 従 っ て, 第 三 者 に よ る 批 判 の対 象 に な ら な い 唯 一 の 領 域 に 属 す る社 会 活 動 で あ る。従 っ て , 他 の 社 会 活 動 領 域 の如 く , 外 部 か ら の 強 い 要 請 か 存 在 し な い の で, 外 部 第 三 者 に ょ りそ の妥 当 性 に 関 す る 立 証 , な い し 監 査 を 実 施 す る 必 要 が ない 。 こ の た め に , そ の 社 会 的 業 績 の 測 定 に 関 し て , た と え そ の イ ン プ ッ ト の測 定 に つ い て は 一 般 的 か つ 客 観 的 な 測 定 基 準 を 確 立 す る と と が 可 能 で あ る とし て 乱 モ の ア ウ ト プ ッ ト の 評 価 は企 業 内 部 者 と外 部 者 , 外 部 者 の 中 で 乱 当 該 企 業 と 利 害 関 係 を 有 す る 者 と 有 し な い 者 と の 間 に は 自 ら判 断 基 準 が 異 な ら ざ る を 得 な い の み な らず , こ れ ら の人 々CO 倫 理 観 , 社 会 観 , 経 済 観, 政 治 観 , お よ び 人 生 観 の 相 違 に よ り, 判 断 基 準 とそ の ウ ェ イ ト の お き 方 が 異 な り, 更 に , 慈 善 事 業 以 外 の 他 の 領 域 に 属 す る 社 会 的 業 績 と の 相 関 関 係 に お い てレ モ の ア ウ ト プ ッ ト の 妥 当 性 に つ い て 判 断 を 下 さな け れ ば な ら な い 場 合 が多 い 。 結 局 , 他 の社 会 活 動 領 域 か ら 切 り離 し , 慈 善 事 業 だ け に つ い て そ の ア ウ ト プ √卜 の 社 会 的 効 果 を 論 ず る こ と は 以 上 の 理 由 か ら当 を 得 な い と か も お れ る の で , そ の ア ウ ト プ ッ ト の 測定 と 評 価 に つ い ては , 他 の領 域 に 属 す る 社 会 活 動 業 績 と 関 連づ げ て 総 合 的 に 評 価 し , 測定 す る必 要 が あ る と共 に , そ の成 果 の報 告 に 際 し て は 貨 幣 単 位 に よ り表 示 す る こ とが 出来 ない 場 合 も多 い と お もわ れ る の で , 点 数 評 価 方 式 を と るか 又 は 叙 述 方 式 を 主 体 と し た レ ポ ー トを関 係 者 に 提 出 し て, 関 係 者 の 自 由 な 半U断 に 委 ね 名以 外 に 方 法 は な い の で は な い か と お も う。 ニ
§3 社 会 的 業 績 の 測 定 に 関 す る 将 来 に お け る 研 究 方 向
社会業績会計 におけ る将来の研究方向につい て,前述 のAAA
の社会業績
会計委員会の1975年答申は次の如く示唆を与え ている。
①
測定 技術 の開発
とくに面倒な問題とし て消費者余剰を含む販売製品ないし サ ービスの価値,
差別待遇のコスト,長期間におげ る交替 とト う点に注 目したエ ネルギーの使
用 コスト,従業員福祉計画の価値,使用してい る政府 サービスお よび公共施
設 のコストな ど各種の測定技術開発の必要性。
③
あ る会社 のあ る地域社会に及ぼす影響度を評価す るためのインプ ット
とアウトプ ットとの分析方法
③
そ の地域社会に対する対応性を高めてゆくことに陽しを有し てい る会
社とし て,地域社会のプロフィルを開発するための戸 別調査 の活用
④
社会会計報告書の効用に関する消費者グル ープの意識調査書の分析
⑤
消費者グループの社会会計報告書に関す る解釈能力 の分析
⑥
企業経営 者の個人的な価値観に対す る社会会計の影響
①
社会会計は果して,本当に経営方針の重点を転換 させるべき方向を指
示 してくれるのか,或いは,単なる見せかけにす ぎない ものか?
とい う点
の追求
③
外部に対し て社会会計報告書を発表し ている場 合と発表していない場
合とに分けて企業 の財務的な特徴並びに経営 者の個性について比較してみる
こ と
⑨
ヶ−ス・スタディとし て現実 の企業に適用出来 る社会会計モデルを計
画せ よ。そ うすれば,そのモデルは テスト出来るのでレ 社会業績の測定をめ
ぐる問 題点を確認し ,解決をはかることが出来る ようになるだろ う。
⑩
社会会計情報に関し て財務分析者,投資家,政 治お よび地域社会のリ
ーダー,公共問題に関心を有するグループ ,そ の他の人 々に対す る諸影響を
研究し,疑似ないし実際 の情報を活用し,既に兆候を みせはじめてい る変化
現象がないかど うかとい う点につい ても追求せ よ
○
⑨
監査可能性 とい う点 からみた社会会計資料 の改 善に関す る研究
⑩
社会会計 の会計学に関する知識集団に与えてい る影響度の研究
⑩
監査人がその他の職業的専門家の意見に対す る信頼度とい う観点から
慈善事業を中心とする社会的業績の測定とその将来の研究方向21 み た, 社 会 会 計 報 告 書 の 諸 影 響 の研 究 ⑨ 社 会 会 計 報 告 書 は企 業 の 社 会 活 動 に 関 す る証 明 書 を 新 た に 創 造 す る 機 能を 果 し て く れ る だ ろ うか ? ⑩ 社 会 会 計 に 関 す る 会 社 報 告 書 に つ い て報 告 の 規 模 , 程 度 等 に 分 類 し た 統 計 的 分 析 ⑩ 社 会 会 計 報 告 書 に 関 す る 諸 外 国 と の 比 較 分 析 回 外 部 か ら の 圧 力 に 対 す る 政 治 的 対 応 とい う観 点 か ら み た 社 会 会 計 報 告 書 の研 究 ⑩ 社 会 会 計 の 各 領 域 に 関 す る ヶ − ス ・ ス タ デ ィ に よ る報 告 並 び に 評 価 の た め の基 礎 的 な 枠 組 を 開 発 す る こ と し ⑩ 関 連 性 , 理 解 可 能 性 , 容 訟 巨, 妥 当 性 等 を 明 らか に す る た め に , 社 会 会 計 の各 領 域 毎 に 各 種 の モ デ ル を テ ス ト せ よ。 ⑩ 望 ん で い る 社 会 的 な 影 響 を 示 し て く れ る 情 報 を 入 手 す る た め に 各 種 の 読 者 と聴 取 者 を 調 査 す る こ と 砂 企 業 活 動 の 間接 的 効 果 を 明 ら か に し て く れ る シ ス テ ム ズ ・ ア プp ー チ の開 発 例 え ば , 自 動 車 の 生 産 と販 売 は 購 入 者 に 対 し て直 接 的 な 便 益 を 与 え るが , ア ク セサ リ- の 販 売 業 者 並 び に ガ ソ リ ン の卸 売 業 者 に 対 す る 間 接 的 な 便 益 , 高 速道 路 上 の空 気 汚 染 お よび 燃 料 や 消 耗 品 の 消 費 額 の増 大 , 偶 発 的 な 事 故 , 交 通法 規 の実 施 等 に 基 因 す る 間 接 的 コ ス ト に つ い て は ど うか と い う よ うな 問 題 に 答 え て くれ る 広 汎 な モ デ ル の作 成 が 要 請 さ れ よ う。 以 上 が 社 会 会 計 の 今 後 の 研 究 方 向 に 関 す る 答 申 の 提 案 で あ る が , 特 に コy ン トす る 必 要 は な い よ う に お も う。