7 6 着任以来、「近江らしい学問」を想うことしきりです。本学を学外から支援して いただいている方々の珠玉の言葉にふれる機会が多いからです。 たまたま昨夏、経済学部附属史料館で、幕末期の湖東で出版された長者番付 を見ました。何ごとも数値化し順位づける風潮は、いまや世界の大学を巻きこ み、自他をながめる精神を貧しくしがちですが、展示のものは相撲見立てで、東 西にわかれ、後見や頭取の席もあり、読者も楽しめたでしょう。さらに、当時の大 都会の粗製濫造ぎみの同類番付に比べ、より細やかな目配りがあり、これぞ「近 江風」と膝をうちました。たとえば、居ならぶ長者の上につけられた宝珠や枡形 の印。それらは、信用、金の使いよう、道具や庭の好みも見極めての類別で、序列 とは別。また、次世代のことを考えぬ「一代栄花」組は「裏土俵」に、急成長組は行 司役に囲いこんでいます。史料館長の宇佐美 英機先生によれば、小資産ながら 三役力士中に座を占める人がおり、その点に、コノ人ナクシテ皆ノ繁栄ナシとの 番付作者の見識が示されているとのこと。この番付の柔軟で周到な複眼ぶりは、 大学経営のみならず、教育現場のヒントにもなりそうです。 さて本学では、昨年の震災人災を機に、地域とのどのような連携に支えられた 教育研究が大切かを問いなおす機運が、大津、彦根の両キャンパスに生まれて います。この問いをめぐる熱い対話と大胆な試行が、学内外にまたがり、老若新 旧の差を超えて広まるなら、さまざまな「近江らしい学問」が輝くでしょう。あらた な出会いが「近江風」に深まりますよう、一層のご支援をお願いいたします。 理事(社会連携担当)・副学長
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