献
辞
経済学部社会システム学科の小西中和教授は,平成 年 月 日に満 歳の 誕生日を迎えられ,平成 年 月 日をもって定年退職されることになりまし た。 小西先生は,昭和 年 月( 年 月)に九州大学法学部を卒業された後, 昭和 年 月名古屋大学大学院法学研究科修士課程政治学専攻に進学され,昭 和 年 月に同修士課程を修了(法学修士),さらに,同年 月に同博士課程 政治学専攻に進学され,昭和 年 月に同博士課程を研究指導退学されました。 先生は昭和 年 月に名古屋大学法学部助手に就任され,昭和 年 月に東 海女子大学講師へと転任されました。昭和 年 月に同女子大学助教授に昇任 された後,昭和 年( 年) 月に滋賀大学経済学部助教授に着任され,そ の後,平成 年 月に滋賀大学経済学部教授に昇進されました。それ以来,滋 賀大学経済学部と滋賀大学大学院経済学研究科において教育と研究に尽力され ました。また平成 年 月に,それまでのご研究の成果を名古屋大学に提出さ れ,博士(法学)の学位を取得されました。 先生の滋賀大学でのさまざまな業績の中で,特に学内行政については,大学 の評議員を二期勤められ,また附属図書館長,学長補佐,理事・副学長,経済 学部長,大学院経済学研究科長を歴任されるなど,大学の運営に大いに貢献さ れてきました。特にご定年になるこの 年間に,副学長と経済学部長という要 職を継続して担われ,多大なご負担をおかけしました。本来ならば,ご定年前 の 年は,研究者としてまた教育者として,経済学部での最後の時期を静かに 過ごされたかったに違いありません。しかし滋賀大学をめぐるさまざまな状況 が,先生の卓越した指導能力や行政能力を放ってはおきませんでした。ほんと うにご苦労さまでした。 小西先生は,常に沈着冷静に滋賀大学の将来のあるべき姿をみすえて,その発展に努力されてこられました。また,学部の利害を大切にされながらも,そ れに囚われることなく滋賀大学全体の発展を常に念頭に置かれ,抜群のバラン ス感覚をもって,大局的な観点から種々ご判断をされていたことも印象に残っ ています。特に先生のお生まれが旧満州であったことも,こうしたバランス感 覚や社会に対する大局的なまなざしと関連しているのかもしれません。原理原 則は踏まえながら,対立する意見や少数派の意見に十分に耳を傾け,議論の落 としどころを考えながら,絶妙のタイミングで柔軟に判断を下される。また, 人から期待されたことは必ず何らかの方法で期待に応えられる。このような先 生の人柄が滋賀大学への多くの貢献を可能にしてきたと考えられます。 ところで,小西中和先生のご研究分野は政治学であり,中でもアメリカの政 治思想を研究テーマとされてきました。特に,アメリカのジョン・デューイ (John Dewey, ∼ )を対象に,その政治思想や政治論,デモクラシー 論やナショナリズム論,また中国論,宗教論,平和思想などを詳細に研究され, デューイに関したこれらの研究を多数の論文を通して公表されてきました。ま た先生のデューイ研究は,多くの著書となって結実しました。とりわけ, 年に出版された『デューイ政治哲学研究序説―思想形成過程試論―』(滋賀大 学経済学部研究叢書), 年に出版された『ジョン・デューイの政治思想』(北 樹出版)などは,代表的な先生の著書であり,先生のデューイ論が余すところ なく展開されています。これらのご研究は,先生が所属しておられるアメリカ 学会,日本政治思想学会,日本デューイ学会,日本政治学会などで高い評価を 獲得され,先生の研究者としての地位と称賛を確立させました。 教育の面ではまた,先生の才知がさまざまな面で生かされてきました。先生 の本学での講義は,学部では政治学原論や現代政治理論など,大学院では現代 政治理論特講(博士前期)および法・政治リスク論特講(博士後期)でした。 特に 年度の学部講義である政治学原論の授業の中で,外務省派遣の講師に より,外交講座「グローバライゼーションと日本の外交」を実施されたことは, ゲストスピーカー導入への積極的な先生の取り組みの一環が伺われます。先生 の深遠な理論と歯に衣着せない発言は,多くの学生から畏敬の念をもって迎え
られました。さらに先生は,経済学部の夜間主の講義や学生に対しても,熱心 に指導と教育にあたられました。一時期,夜間主教育の検討・改革の役職を担 われていた経過もありますが,夜間主の学生に対して,深い理解と親交を示さ れました。先生はまた,ご自身の健康の理由から深酒することはつつしんでお られましたが,お酒を飲まれるといつも朗らかに,楽しくなられる,そのよう なお酒でした。 今年の 月末で,先生は滋賀大学におけるさまざまな仕事から解放されるこ とになるわけですが,どうかしばらくはゆっくり休養され,今後とも一研究者 として,健康にはくれぐれも留意されて,研究や学会の発展のため,また何は さておき,先生のこれからの第二の人生のためにご活躍なさいますことを,心 よりお祈りいたします。さらに,滋賀大学名誉教授として,今後とも大学の将 来のためにさまざまに助言いただけますことを,切にお願い申し上げる次第で す。先生,本当にありがとうございました。 平成 年 月 滋賀大学経済学部教授 神山 進 滋賀大学理事・副学長 近藤 学 滋賀大学経済経営研究所長 御崎加代子