「本音で語る広場:福島『セカンドハウスはよりどころ 今だから言える「ここさこらんしょ!」』」
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(2) 1.はじめに 2010 年 3 月、介護経験のあるご家族との交流会で「今だから言える!体験からナー スに望むこと」をテーマに家族介護者と医療職・福祉職がざっくばらんに語り合う場を 設けたことを発端とし、今の医療をもっと市民に寄り添った温かなものにしたいと願う 看護の同志が各地域で市民との「本音で語る広場」を開催しています。 東京でも一昨年 3 月に公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成を受け第 2 回目 の本音で語る広場を行う予定でした。しかし、東日本大震災という天災と人災を受け、 4 月に延期しながらも会場一杯の参加者で開催できましたことは感謝の一言でした。 そして、今回その震災で命は救われても、避難生活を送る中で、慢性疾患を抱えなが ら筋力も衰えて、諦めに向かっている人、亡くなった人たちがいます。福島市内の近隣 の医療機関や医療者、福島県の保健・福祉機関、看護師関連機関との密な連携の下、安 心を前提に進められているセカンドハウスよりどころ「ここさこらんしょ」で開催する ことは、入居者及び活用者にとっても、当たり前の生活の再生を前提に、 “いのち”と “絆”と“自立した暮らし”が感じられ、復興の力へとつながるのではないかと考えま した。 そこで、震災直前に我が家のある双葉町近くの病院に入院し震災後観光バスに乗せら れ栃木の病院についた際には命の危険さえあったというご主人を必死の思いで福島に 連れ帰り介護を続け、ここさこらんしょの管理もしながらご自身の心の復興も目指して いる石田喜久子さん、その石田さんの想いを受け止め福島に帰るために奔走しその後も 支え見守る南東北福島病院総看護師長の沼崎美津子さん、セカンドハウスよりどころ福 島「ここさこらんしょ」の運営研究責任者の村松静子さんの三者で被災・故郷への思い・ 我が家への思い・家族への思いを語っていただくことを企画いたしました。 また、特別に講師を招いての講演ではなく、石田さんが双葉町の我が家の広大な畑で 作物を愛しんで育てていた心のよりどころを、ここさこらんしょの小さな花壇に畑を作 ることで取り戻し、そこで収穫したいのちの食材を中心に芋煮鍋を囲み身も心も温まり ながら語り合う場をその 2 として開催いたしました。 2.実施した内容要約 セカンドハウスよりどころ「ここさこらんしょ」は、介護保険等の制度の枠では不可 能な心身のケアをも実施し、生きる支えになるべく生活へのつなぎ役として、ボランテ ィアも入居者も皆一つの家族という意識でいられる一軒家です。ここではみな擬家族で あり、仮設や借り上げ住宅で暮らす被災者及び医療関係者や周辺住民、かかわったボラ ンティアナースたちや大学関係者が集まり賑やかに語り合う中で癒しの効果を期待し、 さらには、看取り体験者の声を聴く中から、互いに看合い、また、最期も看取れるよう な仕組みはどうあれば良いのか、どうすればつくれるのか等についても考える機会にす ることを目的にしました。.
(3) 8 月 18 日土曜日、開催当日を迎えました。前日からこらんしょに泊りこみ石田さん と一晩過ごした東京の看護大学生 2 人。開催時間になり皆さんをお迎えする姿はすっか り実家に帰ってきた孫そのものです。テーブルを配置し、石田さんが作って下さった手 料理を盛りつけたり、参加者全員の名札を作ったりと、準備中からすでに二間続きの和 室は和やかな雰囲気に包まれています。石田さんの息子さんも仕事の合間を縫って参加 して下さいました。息子さんは福島市内に居住していたため、今回の被災は直接的には 受けませんでしたが、母親をしっかり支え、一時帰宅の際のビデオ撮影や写真に収め記 録として保存するなど現実を見据えながら日々をしっかり過ごしています。 今回 8 月に開催したのは、若い世代の学生にもさまざまな生き方やいのちについて 見聞きする経験をしてほしいと考えたからでした。若い世代につないでいくことも大切 な事だと考えるからです。今回の参加者は、地元の医療関係者、地元看護大学の教員と 大学院生、仮設住宅で暮らす方、こらんしょの近隣住民の方、介護福祉職の方、ボラン ティアの方、そして石田さんから見たらひ孫に当たるでしょうか、小さな参加者もあり、 様々な職種、幅広い年齢層での語り合いの場となりました。 第 1 部では、鼎談という形で「ここさこらんしょ」の運営研究責任者の村松さんにリ ードしてもらいながら、 『被災を受けて今感じていること』をテーマに進められました。 発言者のレジメ等はなく、対話形式で進められたため、別添の写真と要約での報告とな ります。まずは石田さんが被災してからこれまでの経過を振り返りながら、地震の怖さ と何もできない無力さ、着の身着のままで避難所を転々としそのまま帰れなくなった無 念さと東電への不信・怒り、入院中の夫の福島に帰りたい!を実現するまでの不屈な行 動、我が家への募る想いとあきらめ、自活の道の模索、先の見えない中でも前向きに生 きようとする姿を語り、参加者の涙を誘う一面もありました。沼崎さんからは、震災当 日の動きから家族のありがたさや大切さ、病院の幹部としての災害対応の必要性、そし て石田さんのご主人が福島に戻るための支援と動きが語られました。村松さんからは、 震災を受けて私たち看護師に何が出来るか、熟考した上でのここさこらんしょの始動ま での思い、ボランティアの呼びかけに即座に対応してくれたメッセンジャーナースの動 き、こらんしょでの生活は叶わなかったけれど、被災者でもある入院中の母親のことで 悩んでいた娘さんと、電話でつなぐことで穏やかな最後の看取りを迎えられた方につい てのお話しをいただきました。 最後に、村松さんから「お二人にとって家族とは?」の投げかけがあり、沼崎さんは、 中学 1 年の時、母親が癌で余命 2 カ月と宣告され 6 カ月後に逝くまで、告知はしなかっ たが父親にしっかり申し送りをしていったこと、ご主人の父親を 7 年在宅で介護し、胃 がんと診断されて亡くなるまで自分のナース力を発揮し父親というその人らしさを理 解しながらケアマネジメントをしてきたことが語られ、自分たちがどう生きていくかを 教えてくれた存在だとお話しされました。また、石田さんは、家族に見守られているこ との大事さを語り、「ご主人て何ですか?」の問いには、一家の柱だから頑張ってほし.
(4) い、杖で歩いてほしいとの思いを話されました。さらに、 「家に帰りたいけど帰れない」 「自分の家で死にたいけど先が見えない」 「先が見えないけど生きなきゃいけない」 「い つかは死ぬけど楽しく自分らしく生きたい!」と言葉を結びました。 第 2 部では、前半の話しを受けて感じたことや自分はこうしてやっていきたいという ことをざっくばらんに話す中からお互い何かが引き合うつながりと信頼とが生まれた ように思います。さらに、ボランティアナースにピカピカに磨き上げられた石田さんの ご主人も車いすで特別参加して下さいました。 11 月 17 日土曜日、この日は事前の参加申し込みが少なく、蓋をあけるまで分からな いという状況でしたが、石田さんを中心として、実行委員と協力者で芋煮なべの仕込み をしているうちに、仮設住宅や借り上げ住宅に居住する方や石田さんのお知り合いの方 が参加され、15 名の参加者で掘りごたつに足を入れ、アツアツの芋煮をいただきなが ら、それぞれ仮設等での暮らしの話しや、健康の話し、一時帰宅の際の様子、今後に向 けての不安や覚悟が時間が足りないくらいに語られました。方言で普段話しているその ままの様子で、話しているその姿や笑顔は、先の見えない不安な状況の中でも、自分た ちの生活を取り戻そうとする前向きさを感じました。 3.実施しての感想 今回、本音で語る広場を 2 回開催したその背景には、幅広い年齢層で様々な職種の人 たちと一緒に考えることも大事ですが、被災を受けて国の方針もはっきりと決まらない 状況の下、狭い仮設住宅の中で不安を抱えている方々が、今の思いを率直に吐き出せる 場も 1 年半たった今だからこそ必要だと考えました。心身ともにリラックスできるのは 我が家と思える空間で、東北では定番の芋煮を囲むことではないかと実行委員の間で話 し合い、石田さんにも相談し、勇美記念財団にも了承をいただき“その 2”開催を決め ました。 結果、 1 回目では、 これからの看護を担う学生さんにいのちの重さや我が家の大切さ、 人と人とのつながりの温かさ、家族のありがたさ、心のよりどころの必要性等を感じて もらえたことが有意義だったと思います。 また、2 回目の会では、仮設住宅はあくまでも仮の入れ物であり、そこでは心は癒さ れません。その人にとっての“第2の我が家「こらんしょ」”で語り合うことにより、 福島市内に住む被災者の心が癒され、同志の輪を広げられるのだと思います。原発事故 を受け、家を失い、あるいは帰れず、仮設住宅や借り上げ住宅で生活している住民との 交流がより和やかに深まったと感じます。また、石田さんを通して在宅療養の重要性と 支える側のつながりの大切さについても理解されたと思います。そして、それぞれの思 いを共有し互いのつながりの中から一住民として生きる力を取り戻すことにもつなが るのではないかと期待しています。.
(5) 4.おわりに 今回の本音で語る広場を 2 回にわたって開催するにあたり、ここさこらんしょのボラ ンティアにも携わったメッセンジャーナースの 4 人で 6 月から実行委員として企画を練 り始めました。違う職場の者同士ですが、1 か月に 1 回勤務後の時間に集まり夜遅くま で話し合いを重ねながら無事終了することが出来ました。また、ここさこらんしょでご 主人の介護をしながら生活し管理人もなさっている石田さんの多大なご協力で家庭的 な雰囲気の中で進行することが出来ました。この場を借りて心より感謝申し上げます。 天災だけではなく人災まで被った結果、その人の人生そのものが詰まった我が家はあ るのに帰れない、これはいのちをないがしろにされているのと同じだと感じています。 本来なら住み慣れた我が家で寿命を全うして最後を迎えていたであろう方々もこんな 不条理に見舞われていいわけがありません。それでも不屈に生きていこうとする被災住 民の方々のいのちへの畏敬を感じるとともに、せめて家らしい家に住める環境を整え、 当たり前の生活に戻れるような支援の継続を願ってやみません。 最後に、在宅での看取りという視点とは少し違った内容になったかもしれませんが、 在宅を語ろうにもその家がない方たちの心の声を聞くことも、在宅療養の重要性を推し 量ることにつながると考えます。2 回にわたって開催することが出来ましたのも公益財 団法人在宅医療助成勇美記念財団の助成があってのことと感謝いたします。 以上、公益財団法人. 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成による市民講座開催のご報. 告をいたします。 仲野 佳代子.
(6) 第二回. 本音で語る広場:福島 『セカンドハウスはよりどころ 今だから言える「ここさこらんしょ!」 』. プログラム 第 1 部 13:10~14:30 鼎談「被災を受けて今感じていること」 石田喜久子さん(双葉町在住)・沼崎美津子さん(南東北福島病院総看護師長)・ 村松静子さん(在宅看護研究センターLLP 代表) 双葉町の我が家での生活から一転、自然災害と原発事故を受けたその時の思い、 第 2 の我が家に暮らす今の思い、本音で語っていただきます。 第2部. 14:45~16:45 語り合う集い「言いたい!聞きたい!こころの思い」. 以上、公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団助成による 会場をお借りするこらんしょ管理者から宿泊のお誘いです。事前にお申し出いただければ 人数に限りはありますが(10 名程度)宿泊も可能です。 開催日時:2012 年 8 月 18 日(土) 13:00~17:00 開催場所:「ここさこらんしょ」 :福島県福島市成川六反田 33-9 参加費 :無料 定 員 :35 名. ★参加ご希望の方は、下記内容をご記入のうえ FAX でお申し込み下さい。 お名前:. ご職業(お立場:ご本人あるいはご家族など):. ご住所: 電話番号: 宿泊の有無:□宿泊を希望します. □宿泊は希望しません. <問合せ先>看護コンサルタント株式会社 担当:仲野・片岡 TEL:03-5386-2427 FAX:03-5386-0662(月~金 9 時~17 時).
(7) 第二回. 本音で語る広場:福島 『セカンドハウスはよりどころ 今だから言える「ここさこらんしょ!」 』その2 公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団助成による. 8 月 18 日の夏休み期間に行われた「その 1」では、看護学生さんも参加しての双葉町で被 災し我が家に帰りたくても帰れない石田さんの体験と思いを聞きながら、自分達にとって家族 とは?連れ合いとは?を考えた半日でした。 そして今回は芋煮鍋を囲んでの語る広場です。2町歩もある双葉の畑に比べれば、ほんの猫 の額ほどの花壇での野菜作りですが、それでも育てることを生きる希望として、石田さんや仮 設に住むお友達が一生懸命に収穫したジャガイモ等で芋煮をしながら、地元の方達の我が家へ の思いや生きることに対する思いを語っていただきたいと「その 2」を企画いたしました。 きっとおいしい鍋になります!皆様ふるってご参加下さい。 プログラム 13:30~16:00 石田さんの育てた芋や野菜の芋煮を食べながら、皆さんで語り合いましょう! 「自分の生き方」 「いのちと自然とのつながり」 「人と人との絆」など、自分が予期せぬ病 気や出来事に遭遇した時にどう向き合っていくか? 会場をお借りするこらんしょ管理者から宿泊のお誘いです。事前にお申し出いただければ 人数に限りはありますが(7~8 名程度)宿泊も可能です。 開催日時:2012 年 11 月 17 日(土) 13:30~16:00 開催場所:「ここさこらんしょ」 :福島県福島市成川六反田 33-9 参加費 :無料 定 員 :20 名. ★参加ご希望の方は、下記内容をご記入のうえ FAX でお申し込み下さい。 お名前:. ご職業(お立場:ご本人あるいはご家族など):. ご住所: 電話番号: <問合せ先>看護コンサルタント株式会社 担当:仲野・片岡 TEL:03-5386-2427 FAX:03-5386-0662(月~金 9 時~17 時) ここさこらんしょ 管理人:石田 024-573-5158.
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