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VRによる世界遺産「白川郷の合掌造り集落」の構築に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

VRによる世界遺産「白川郷の合掌造り集落」の構築に関す

る研究( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

平湯, 秀和

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 甲第182号

Issue Date

2002-03-25

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1903

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学位記号番号 学位授与年月日 専 攻 学位論文題 目 平 場 秀 和(岐阜県) 博 士(工学) 甲 第 182号 平成14年 3月25日 電子情報システム工学専攻 Ⅶによるせ界遺産「白川郷の合掌造り集落」の構築に関する研究 (Con$truCting the Historic Vi/11age8 0f ShirakaYa-gO

in VirtualReality) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 小 鹿 丈 夫 (副査) 教 授 山 本 和 彦 教 授 田 中 嘉津夫

論文内容の要旨

現在,世界各地で世界遺産のデジタルアーカイブ化が進んでいるが,これらの多くは対象物の形 状などの外観に主力が注がれ,今日まで保存されてきた世界遺産の周囲景観や環境,そこにある伝 統技能や文化についてのデジタル化がなおざりにされている.しかしながら,世界遺産の価値基準 として,「歴史上の有意義な時代を示す優れた建造物や建築物群,景観の例」,「ある文化を代表す る伝統的集落や土地利用の典型的な例で,消滅の危機にあるもの」などが挙げられていることから も分かるように,周辺景観やそこにある文化のデジタルアーカイブ化の必要性は高いと考えられる. そこで,本研究では,日本国内にある10の世界遺産の1つである岐阜県内の「白川郷,五箇山 の合掌造り集落」を対象に,世界遺産である建築物,地形等の外観形状のみならず,文化的な側面 をもデジタル化し,バーチャルリアリティ(VR)による再構築を試みた. 外観形状のモデル化に関して,パラメトリック表現が可能な白川郷内の民芸品等のモデルは2次 曲面方程式による近似的なモデル記述を行い,パラメトリック表現が困難な地形データ等は,メッ シュモデルで記述を行った. パラメトリック表現が可能なモデルは,対象物を3次元計測器で計測し,ここから得られる点群 データ(距離画像)を利用する.しかしながら,距離画像は膨大な3次元の点の集合であり,この 画像からモデル生成を行うため,画像を領域に分割し,得られた領域の幾何学的特徴と領域間の隣 接関係からモデルの記述を行う.この場合,モデルの記述の正確さは領域分割の結果に依存する. 距離画像から領域を分割するセグメンテーション処理は,非常に難しく,いまだに確立された方法 がないのが現状である.これまで,提案された距離画像のセグメンテーション手法は大別するとエ ッジ検出法と領域分割法に分けられる.エッジ検出法は,物体の稜線を表すルーフエッジにおいて, 曲面同士が滑らかにつながっている場合に検出が困難となる.一方,領域分割法でよく用いられる 平均曲率,ガウス曲率の符号を使って分割する手法では,形状が同じでも半径の異なる領域同士は 領域分割ができないという問題である. 本研究では,これらの問題を鑑み,平面や2次曲面で構成された距離画像から,平面領域や2次 曲面領域を抽出するロバストな手法を検討した. 本手法は,まず,距離画像から局所曲面を当てはめ,主曲率㍍1,に2を求める.次に,主曲率の 大きさを用いて,セグメンテーションの分解能を高める特徴空間ヒストグラムを生成する.そして,

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これから確率的手法を用いて局所曲率の分布から同じ主曲率を持った分布を抽出する.ここで,特 徴空間ヒストグラムは距離画像の位置情報を失っているので,距離画像の空間位置情報を用いて, 安定に得られる平面領域および2次曲面領域を抽出する.このとき,抽出された1つの領域は1 つのプリミティブな面領域になるが,その反面,特徴空間の特性によって,1つの形状が複数領域 に分割されて抽出される可能性がある.そのため,各領域の2次曲面方程式のパラメータを推定し た後,統合候補の領域同士の当てはめ誤差を計算する.次に当てはめ誤差から統計的手法を用いて 領域統合を行うことで,個々の面の抽出が可能となる.本手法は,半径の異なる2つの円柱面が並 んだモデルのように,基本曲面タイプが同じモデルのセグメンテーションにも有効である.さらに, 各領域の2次曲面方程式のパラメータと幾何学的な特徴をもとに,セグメンテーションされた複数 の領域間の統合を行い,得られた領域のエッジをもとにモデルの記述を行った.また,既知の物体 の距離画像からモデルの再構成を行い,CADモデルとの精度の比較検証し,本手法の有効性の検討 を行った. 本研究では,民芸品に対してパラメトリック表現によるモデルの記述を適用した.また,白川郷 やその中にある野外博物館(民家園)の地形モデル,合掌造り民家に関しては,パラメトリック表 現が困難なため,航空写真や図面を用いて得られた距離画像を元にメッシュによるモデル化を行っ た. また,外観のモデル化だけでなく,歴史や伝統技能のデジタルアーカイブ化を行った. 合掌造りの特徴の1つとして,耐久性や強度を上げるため,ボルトを1つも使わず木を刻んで柱 を組み付けることが挙げられる.そこで,木組みの手法をテキスト形式による情報提示及び3次元 的に可視化可能なシステムを開発した.これにより,ユーザは仮想空間において,・合掌準り内の柱 を選択すると,そこで使われる木組みの情報をわかりやすく受け取ることが可能となる. また,個々の合掌造りの歴史や文化を保存することで,仮想空間において,ユーザが民家園をウ オークスルーし,そこにある合掌造りを選択すると,その家の名称や移築元の歴史等の情報を受け 取るシステムも開発した. 一方,世界遺産周辺の環境を保存する一環として,また教育や観光の観点から,先に述べた民家 園のモデルをもとに民家園における降雪シミュレーションを行った.また,西暦や時刻を指定する ことで民家園から見える星空のシミュレーションも行った.これにより,時間的空間を越えて,あ る時代の世界遺産から見える星空を見ることを可能とした. これらのデジタルアーカイブ化した白川郷を岐阜県にある没入型6面ディスプレイ COSMOS (CO$micScaleMultimediaOfSix-SCreen)で表示することで,非常に臨場感のある白川郷を複 数人が同時に体験できるシステムを開発した. 今後は,これらの外観のみならず文化的側面をもデジタルアーカイブ化した白川郷を世界でデジタ ル化されている世界遺産とネットワークで結ぶことで,物理的な距離や時間を離れ,異文化に触れ ることが可能となる.

論文審査結果の要旨

現在,世界各地で世界遺産のデジタルアーカイブ化が進んでいるが,これらの多くは対象物の形 状などの外観に主力が注がれ,今日まで保存されてきた世界遺産の周囲景観や環境,そこにある伝 統技能や文化についてのデジタル化がなおざりにされている.しかしながら,世界遺産の価値基準 として,「歴史上の有意義な時代を示す優れた建造物や建築物群,景観の例」,「ある文化を代表す る伝統的集落や土地利用の典型的な例で,消滅の危機にあるもの」などが挙げられていることから も分かるように,周辺景観やそこにある文化のデジタルアーカイブ化の必要性は高いと考えられる. そこで,本研究では,日本国内にある10の世界遺産の1つである岐阜県内の「白川郷,五箇山 の合掌造り集落」を対象に,世界遺産である建築物,地形等の外観形状のみならず,文化的な側面 をもデジタル化し,バーチャルリアリティ(VR)による再構築を試みた.

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外観形状のモデル化に関して,パラメトリック表現が可能な白川郷内の民芸品等のモデルは2次 曲面方程式による近似的なモデル記述を行い,パラメトリック表現が困難な地形データ等は,メッ シュモデルで記述を行った. パラメトリック表現が可能なモデルは,対象物を3次元計測器で計測し,ここから得られる点群 データ▲(距離画像)を利用する.しかしながら,距離画像は膨大な3次元の点の集合であり,この 画像からモデル生成を行うため,画像を領域に分割し,得られた領域の幾何学的特徴と領域間の隣 接関係からモデルの記述を行う.この場合,モデルの記述の正確さは領域分割の結果に依存する. 距離画像から領域を分割するセグメンテーション処理は,非常に難しく,いまだに確立された方法 がないのが現状である.これまで,提案された距離画像のセグメンテーション手法は大別するとエ ッジ検出法と領域分割法に分けられる.エッジ検出法は,物体の稜線を表すルーフエッジにおいて, 曲面同士が滑らかにつながっている場合に検出が困難となる.一方,領域分割法でよく用いられる 平均曲率,ガウス曲率の符号を使って分割する手法では,形状が同じでも半径の異なる領域同士は 領域分割ができないという問題である. 本研究では,これらの問題を鑑み,平面や2次曲面で構成された距離画像から,平面領域や2次 曲面領域を抽出するロバストな手法を検討した. 本手法は,まず,距離画像から局所曲面を当てはめ,主曲率に1,K2を求める.次に,主曲率の 大きさを用いて,セグメンテーションの分解能を高める特徴空間ヒストグラムを生成する.そして, これから確率的手法を用いて局所曲率の分布から同じ主曲率を持った分布を抽出する.ここで,特 徴空間ヒストグラムは距離画像の位置情報を失っているので,距離画像の空間位置情報を用いて, 安定に得られる平面領域および2次曲面領域を抽出する.このとき,抽出された1つの領域は1 つのプリミティブな面領域になるが,その反面,特徴空間の特性によって,1つの形状が複数領域 に分割されて抽出される可能性がある.そのため,各領域の2次曲面方程式のパラメータを推定し た後,統合候補の領域同士の当てはめ誤差を計算する.次に当てはめ誤差から統計的手法を用いて 領域統合を行うことで,個々の面の抽出が可能となる.本手法は,半径の異なる2つの円柱面が並 んだモデルのように,基本曲面タイプが同じモデルのセグメンテーションにも有効である.さらに, 各領域の2次曲面方程式のパラメータと幾何学的な特徴をもとに,セグメンテーションされた複数 の領域間の統合を行い,得られた領域のエッジをもとにモデルの記述を行った.また,既知の物体 の距離画像からモデルの再構成を行い,CADモデルとの精度の比較検証し,本手法の有効性の検討 を行った. 本研究では,民芸品に対してパラメトリ・ツク表現によるモデルの記述を適用した.また,白川郷 やその中にある野外博物館(民家園)の地形モデル,合掌造り民家に関しては,パラメトリック表 現が困難なため,航空写真や図面を用いて得られた距離画像を元にメッシュによるモデル化を行っ た. また,外観のモデル化だけでなく,歴史や伝統技能のデジタルアーカイブ化を行った. 合掌造りの特徴の1つとして,耐久性や強度を上げるため,ボルトを1つも使わず木を刻んで柱 を組み付けることが挙げられる.そこで,木組みの手法をテキスト形式による情報提示及び3次元 的に可視化可能なシステムを開発した.これにより,ユーザは仮想空間において,合掌造り内の柱 を選択すると,そこで使われる木組みの情報をわかりやすく受け取ることが可能となる. また,個々の合掌造りの歴史や文化を保存することで,仮想空間において,ユーザが民家園をウ オークスルーし,そこにある合掌造りを選択すると,その家の名称や移築元の歴史等の情報を受け 取るシステムも開発した. 一方,世界遺産周辺の環境を保存する一環として,また教育や観光の観点から,先に述べた民家 園のモデルをもとに民家園における降雪シミュレーションを行った・.また,西暦や時刻を指定する ことで民家園から見える星空のシミュレーションも行った.これにより,時間的空間を越えて,あ る時代の世界遺産から見える星空を見ることを可能とした. これらのデジタルアーカイブ化した白川郷を岐阜県にある没入型6面ディスプレイ COSMOS (COsmicScaleMultimediaOfSix-SCreen)で表示することで,非常に臨場感のある白川郷を複

(5)

数人が同時に体験できるシステムを開発した. 今後は,これらの外観のみならず文化的側面をもデジタルアーカイブ化した白川郷を世界でデジタ ル化されている世界遺産とネットワークで結ぶことで,物理的な距離や時間を離れ,異文化に触れ ることが可能となる.

最終試験結果の要旨

公聴会後に学位論文に関する口頭質問を行い、これを最終試験に代え、合格と判定した。

参照

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