<研究ノート>特別支援学校高等部における知的障害 者の就職 : 全日制の高校との比較を中心として
著者 田澤 実
出版者 法政大学キャリアデザイン学会
雑誌名 生涯学習とキャリアデザイン
巻 17
号 1
ページ 43‑50
発行年 2019‑10
URL http://doi.org/10.15002/00022437
43
1 問題背景と本稿の目的
本稿の目的は、特別支援学校高等部における知 的障害者の就職の現状を理解するための基礎的な 資料を作成することである。
知的障害者の就職は、学校関係者だけでなく企 業関係者にも重要なトピックである。知的障害者 の就職に関連した近年の背景として、学習指導要 領の改訂と法定雇用率の改定がある。
(1)学習指導要領の改定
文部科学省は、2017年4月に特別支援学校幼 稚部教育要領、小・中学部学習指導要領、2019 年2月に特別支援学校高等部学習指導要領の改訂 を行った。今回の改訂の基本的な考え方のひとつ には、「障害の重度・重複化、多様化への対応と 卒業後の自立と社会参加に向けた充実」が含まれ ており、卒業後の視点を大切にしたカリキュラム・
マネジメントを計画的・組織的に行うことなどを 規定している(文部科学省, 2019)。
(2)法定雇用率の改定
障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇 用する従業員の一定割合以上の障害者を雇うこと を義務づけている。平成30年4月に法定雇用率 は改定され、民間企業の場合は2.0%から2.2%と なり、障害者を雇用しなければならない民間企業
の事業主の範囲が従業員50人以上から45.5人以 上に拡大した。厚生労働省(2019a)は、民間企 業に雇用されている障害者の数は534,769.5人(前 年より7.9%増加)1)であり、15年連続で過去最 高となったことを示した。また、雇用者のうち、
身体障害者は346,208.0人(前年より3.8%増加)、
知的障害者は121,166.5人(前年より7.9%増加)、
精神障害者は67,395.0人(前年より34.7%増加)
であった。前年度比では、特に精神障害者の伸び 率が大きいが、知的障害者の伸び率も大きい。
(3)本稿の射程
特別支援学校高等部を経て就職する知的障害者 は毎年一定数存在する。現状の特別支援学校高等 部における知的障害者の就職状況を示す基礎的な 資料を作成することは、特別支援学校高等部に とっては今後のカリキュラム・マネジメントを考 える際に役立つ可能性があり、知的障害者を雇用 している企業、今後の雇用を検討している企業に とっては、自社における雇用を相対化する際に役 立つ可能性がある。
(4)本稿の構成
つづく第2節では、特別支援学校高等部の進路 状況を確認し、第3節では、特別支援学校高等部 を卒業して就職した知的障害者の就職状況を確認 するために、全日制の高校を卒業して就職した者
〈研究ノート〉
法政大学キャリアデザイン学部准教授
田澤 実
特別支援学校高等部における知的障害者の就職
―全日制の高校との比較を中心として―
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44
のデータと比較する。第4節はまとめである。
なお、以降に示す図表は、文部科学省(2018) を用いて算出することにする。
2 特別支援学校高等部の進路状況
本節では、特別支援学校高等部の卒業者におけ る障害種の内訳、就職者における障害種の内訳を 確認する。
まず、特別支援学校高等部の卒業者における障
害種の内訳を図表1に示す。卒業者は21,657名 であった。その中で知的障害者は男性12,473名
(87.9%)、女性6,195名(82.9%)であった。卒 業者全体のうち8割以上は知的障害者であること が分かる。
次に、障害種ごとの進路の内訳について、男 性の結果を図表2に、女性の結果を図表3に示 す。図表には最も割合が高い項目に網掛けを施し た。聴覚障害を除いて、男女ともに「左記以外 の者」が最も多かった(44.0%〜89.3%)。男性
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表 1 特別支援学校高等部の卒業者における障害種の内訳
図表 2 障害種ごとの進路の内訳(男性の結果)
図表 3 障害種ごとの進路の内訳(女性の結果)
《掲載文の種類》
Lifelong Learning and Career Studies - 2 - る障害種の内訳を図表 1 に示す。卒業者は
21,657名であった。その中で知的障害者は男
性12,473名(87.9%)、女性6,195名(82.9%)
であった。卒業者全体のうち8割以上は知的 障害者であることが分かる。
次に、障害種ごとの進路の内訳について、男 性の結果を図表2に、女性の結果を図表3に 示す。図表には最も割合が高い項目に網掛け
を施した。聴覚障害を除いて、男女ともに「左 記 以 外 の 者 」 が 最 も 多 か っ た (44.0% ~ 89.3%)。男性の聴覚障害者は就職する者が最 も多く(43.3%)、女性の聴覚障害者は大学等 に進学する者が最も多かった(44.7%)。概し て、大学等に進学する者は、視覚障害者と聴覚 障害者に多かった(24.3%~44.7%)。
図表1 特別支援学校高等部の卒業者における障害種の内訳
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表2 障害種ごとの進路の内訳(男性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表3 障害種ごとの進路の内訳(女性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
3 特別支援学校高等部を卒業して就職した 知的障害者の就職状況
前節では、特別支援学校高等部の卒業者に
は知的障害者が多いことを示してきた。
本節では、特別支援学校高等部を卒業して 就職した知的障害者の就職状況を概観する。
特別支援学校高等部の就職者における知的障 人数 割合 人数 割合
視覚障害 175 1.2% 115 1.5%
聴覚障害 275 1.9% 217 2.9%
知的障害 12,473 87.9% 6,195 82.9%
肢体不自由 1,037 7.3% 804 10.8%
病弱・身体虚弱 225 1.6% 141 1.9%
合計 14,185 7,472
男性 女性
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 大学等進学者 62 35.4% 96 34.9% 38 0.3% 23 2.2% 16 7.1%
専修学校 1 0.6% 2 0.7% 8 0.1% 6 0.6% 5 2.2%
専修学校(一般課程)等 2 1.1% 0 0.0% 12 0.1% 2 0.2% 4 1.8%
公共職業能力開発施設等入学者 3 1.7% 11 4.0% 155 1.2% 20 1.9% 8 3.6%
就職者 30 17.1% 119 43.3% 4,465 35.8% 60 5.8% 49 21.8%
左記以外の者 77 44.0% 47 17.1% 7,743 62.1% 926 89.3% 143 63.6%
不詳・死亡の者 0 0.0% 0 0.0% 52 0.4% 0 0.0% 0 0.0%
合計 175 275 12,473 1,037 225
知的障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱 視覚障害 聴覚障害
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 大学等進学者 28 24.3% 97 44.7% 38 0.6% 20 2.5% 9 6.4%
専修学校(専門課程)進学者 0 0.0% 6 2.8% 6 0.1% 6 0.7% 4 2.8%
専修学校(一般課程)等入学者 0 0.0% 0 0.0% 3 0.0% 1 0.1% 2 1.4%
公共職業能力開発施設等入学者 4 3.5% 1 0.5% 57 0.9% 12 1.5% 1 0.7%
就職者 17 14.8% 73 33.6% 1,873 30.2% 51 6.3% 23 16.3%
左記以外の者 66 57.4% 39 18.0% 4,191 67.7% 712 88.6% 102 72.3%
不詳・死亡の者 0 0.0% 1 0.5% 27 0.4% 2 0.2% 0 0.0%
合計 115 217 6,195 804 141
視覚障害 聴覚障害 知的障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱
《掲載文の種類》
Lifelong Learning and Career Studies - 2 - る障害種の内訳を図表 1 に示す。卒業者は
21,657名であった。その中で知的障害者は男
性12,473名(87.9%)、女性6,195名(82.9%)
であった。卒業者全体のうち8割以上は知的 障害者であることが分かる。
次に、障害種ごとの進路の内訳について、男 性の結果を図表2に、女性の結果を図表3に 示す。図表には最も割合が高い項目に網掛け
を施した。聴覚障害を除いて、男女ともに「左 記 以 外 の 者 」 が 最 も 多 か っ た (44.0% ~ 89.3%)。男性の聴覚障害者は就職する者が最 も多く(43.3%)、女性の聴覚障害者は大学等 に進学する者が最も多かった(44.7%)。概し て、大学等に進学する者は、視覚障害者と聴覚 障害者に多かった(24.3%~44.7%)。
図表1 特別支援学校高等部の卒業者における障害種の内訳
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表2 障害種ごとの進路の内訳(男性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表3 障害種ごとの進路の内訳(女性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
3 特別支援学校高等部を卒業して就職した 知的障害者の就職状況
前節では、特別支援学校高等部の卒業者に
は知的障害者が多いことを示してきた。
本節では、特別支援学校高等部を卒業して 就職した知的障害者の就職状況を概観する。
特別支援学校高等部の就職者における知的障 人数 割合 人数 割合
視覚障害 175 1.2% 115 1.5%
聴覚障害 275 1.9% 217 2.9%
知的障害 12,473 87.9% 6,195 82.9%
肢体不自由 1,037 7.3% 804 10.8%
病弱・身体虚弱 225 1.6% 141 1.9%
合計 14,185 7,472
男性 女性
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 大学等進学者 62 35.4% 96 34.9% 38 0.3% 23 2.2% 16 7.1%
専修学校 1 0.6% 2 0.7% 8 0.1% 6 0.6% 5 2.2%
専修学校(一般課程)等 2 1.1% 0 0.0% 12 0.1% 2 0.2% 4 1.8%
公共職業能力開発施設等入学者 3 1.7% 11 4.0% 155 1.2% 20 1.9% 8 3.6%
就職者 30 17.1% 119 43.3% 4,465 35.8% 60 5.8% 49 21.8%
左記以外の者 77 44.0% 47 17.1% 7,743 62.1% 926 89.3% 143 63.6%
不詳・死亡の者 0 0.0% 0 0.0% 52 0.4% 0 0.0% 0 0.0%
合計 175 275 12,473 1,037 225
知的障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱 視覚障害 聴覚障害
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 大学等進学者 28 24.3% 97 44.7% 38 0.6% 20 2.5% 9 6.4%
専修学校(専門課程)進学者 0 0.0% 6 2.8% 6 0.1% 6 0.7% 4 2.8%
専修学校(一般課程)等入学者 0 0.0% 0 0.0% 3 0.0% 1 0.1% 2 1.4%
公共職業能力開発施設等入学者 4 3.5% 1 0.5% 57 0.9% 12 1.5% 1 0.7%
就職者 17 14.8% 73 33.6% 1,873 30.2% 51 6.3% 23 16.3%
左記以外の者 66 57.4% 39 18.0% 4,191 67.7% 712 88.6% 102 72.3%
不詳・死亡の者 0 0.0% 1 0.5% 27 0.4% 2 0.2% 0 0.0%
合計 115 217 6,195 804 141
視覚障害 聴覚障害 知的障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱
《掲載文の種類》
Lifelong Learning and Career Studies - 2 - る障害種の内訳を図表 1 に示す。卒業者は
21,657名であった。その中で知的障害者は男
性12,473名(87.9%)、女性6,195名(82.9%)
であった。卒業者全体のうち8割以上は知的 障害者であることが分かる。
次に、障害種ごとの進路の内訳について、男 性の結果を図表2に、女性の結果を図表3に 示す。図表には最も割合が高い項目に網掛け
を施した。聴覚障害を除いて、男女ともに「左 記 以 外 の 者 」 が 最 も 多 か っ た (44.0% ~ 89.3%)。男性の聴覚障害者は就職する者が最 も多く(43.3%)、女性の聴覚障害者は大学等 に進学する者が最も多かった(44.7%)。概し て、大学等に進学する者は、視覚障害者と聴覚 障害者に多かった(24.3%~44.7%)。
図表1 特別支援学校高等部の卒業者における障害種の内訳
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表2 障害種ごとの進路の内訳(男性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表3 障害種ごとの進路の内訳(女性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
3 特別支援学校高等部を卒業して就職した 知的障害者の就職状況
前節では、特別支援学校高等部の卒業者に
は知的障害者が多いことを示してきた。
本節では、特別支援学校高等部を卒業して 就職した知的障害者の就職状況を概観する。
特別支援学校高等部の就職者における知的障 人数 割合 人数 割合
視覚障害 175 1.2% 115 1.5%
聴覚障害 275 1.9% 217 2.9%
知的障害 12,473 87.9% 6,195 82.9%
肢体不自由 1,037 7.3% 804 10.8%
病弱・身体虚弱 225 1.6% 141 1.9%
合計 14,185 7,472
男性 女性
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 大学等進学者 62 35.4% 96 34.9% 38 0.3% 23 2.2% 16 7.1%
専修学校 1 0.6% 2 0.7% 8 0.1% 6 0.6% 5 2.2%
専修学校(一般課程)等 2 1.1% 0 0.0% 12 0.1% 2 0.2% 4 1.8%
公共職業能力開発施設等入学者 3 1.7% 11 4.0% 155 1.2% 20 1.9% 8 3.6%
就職者 30 17.1% 119 43.3% 4,465 35.8% 60 5.8% 49 21.8%
左記以外の者 77 44.0% 47 17.1% 7,743 62.1% 926 89.3% 143 63.6%
不詳・死亡の者 0 0.0% 0 0.0% 52 0.4% 0 0.0% 0 0.0%
合計 175 275 12,473 1,037 225
知的障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱 視覚障害 聴覚障害
人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 人数 割合 大学等進学者 28 24.3% 97 44.7% 38 0.6% 20 2.5% 9 6.4%
専修学校(専門課程)進学者 0 0.0% 6 2.8% 6 0.1% 6 0.7% 4 2.8%
専修学校(一般課程)等入学者 0 0.0% 0 0.0% 3 0.0% 1 0.1% 2 1.4%
公共職業能力開発施設等入学者 4 3.5% 1 0.5% 57 0.9% 12 1.5% 1 0.7%
就職者 17 14.8% 73 33.6% 1,873 30.2% 51 6.3% 23 16.3%
左記以外の者 66 57.4% 39 18.0% 4,191 67.7% 712 88.6% 102 72.3%
不詳・死亡の者 0 0.0% 1 0.5% 27 0.4% 2 0.2% 0 0.0%
合計 115 217 6,195 804 141
視覚障害 聴覚障害 知的障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱
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45 特別支援学校高等部における知的障害者の就職
の聴覚障害者は就職する者が最も多く(43.3%)、
女性の聴覚障害者は大学等に進学する者が最も多 かった(44.7%)。概して、大学等に進学する者 は、視覚障害者と聴覚障害者に多かった(24.3%
〜44.7%)。
3 特別支援学校高等部を卒業して就 職した知的障害者の就職状況
前節では、特別支援学校高等部の卒業者には知 的障害者が多いことを示してきた。
本節では、特別支援学校高等部を卒業して就職 した知的障害者の就職状況を概観する。特別支援 学校高等部の就職者における知的障害者の割合を 確認した後に、全日制の高校を卒業して就職した 者のデータと比較しながら職業別就職状況と産業 別就職状況を確認する。
(1)就職者における障害種の内訳
まず、特別支援学校高等部の就職者における 障害種の内訳を図表4に示す。就職者は6,760名 であった。その中で知的障害者は男性4,465名
(94.5%)、女性1,873名(91.9%)であった。就 職者全体のうち9割以上は知的障害者であること が分かる。そこで以下には知的障害者に限定して 就職状況を確認していくことにする。
(2)職業別就職者の割合
次に、全日制の高校を卒業して就職した者およ
び特別支援学校高等部を卒業して就職した知的障 害者の職業別の割合について、男性の結果を図表 5に、女性の結果を図表6に示す。
男性の結果を見てみると、特別支援学校高等部 を卒業して就職した知的障害者も、全日制の高校 を卒業して就職した者も生産工程の割合が最も高 かった(それぞれ25.1%、49.3%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知的障 害者の割合が相対的に高かったのは運搬・清掃等
(24.0%)、サービス職業(19.1%)、販売(12.7%)、
事務(9.1%)であった。特に、運搬・清掃等に おいて差が大きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合が相 対的に高かったのは生産工程(49.3%)、建設・
採掘(8.6%)、専門的・技術的職業(7.9%)、保 安職業(7.2%)であった。特に、生産工程にお いて差が大きかった。
女性の結果を見てみると、特別支援学校高等部 を卒業して就職した知的障害者も、全日制の高校 を卒業して就職した者もサービス職業の割合が最 も高かった(それぞれ30.9%、25.1%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知的障 害者の割合が相対的に高かったのは運搬・清掃等
(18.3%)、サービス職業(30.9%)であった。特に、
運搬・清掃等において差が大きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合が 相対的に高かったのは生産工程(24.5%)、事務
(23.7%)であった。特に、事務において差が大 きかった。
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表 4 特別支援学校高等部の就職者における障害種の内訳
タイトル(柱)
生涯学習とキャリアデザイン - 3 - 害者の割合を確認した後に、全日制の高校を 卒業して就職した者のデータと比較しながら 職業別就職状況と産業別就職状況を確認する。
(1)就職者における障害種の内訳
まず、特別支援学校高等部の就職者におけ る障害種の内訳を図表 4 に示す。就職者は
6,760名であった。その中で知的障害者は男性
4,465名(94.5%)、女性1,873名(91.9%)
であった。就職者全体のうち9割以上は知的 障害者であることが分かる。そこで以下には 知的障害者に限定して就職状況を確認してい くことにする。
図表4 特別支援学校高等部の就職者における障害種の内訳
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
(2)職業別就職者の割合
次に、全日制の高校を卒業して就職した者 および特別支援学校高等部を卒業して就職し た知的障害者の職業別の割合について、男性 の結果を図表5に、女性の結果を図表6に示 す。
男性の結果を見てみると、特別支援学校高 等部を卒業して就職した知的障害者も、全日 制の高校を卒業して就職した者も生産工程の 割合が最も高かった(それぞれ 25.1%、
49.3%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知 的障害者の割合が相対的に高かったのは運 搬・清掃等(24.0%)、サービス職業(19.1%)、 販売(12.7%)、事務(9.1%)であった。特に、
運搬・清掃等において差が大きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合 が相対的に高かったのは生産工程(49.3%)、
建設・採掘(8.6%)、専門的・技術的職業
(7.9%)、保安職業(7.2%)であった。特に、
生産工程において差が大きかった。
女性の結果を見てみると、特別支援学校高 等部を卒業して就職した知的障害者も、全日 制の高校を卒業して就職した者もサービス職 業の割合が最も高かった(それぞれ30.9%、
25.1%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知 的障害者の割合が相対的に高かったのは運 搬・清掃等(18.3%)、サービス職業(30.9%)
であった。特に、運搬・清掃等において差が大 きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合 が相対的に高かったのは生産工程(24.5%)、
事務(23.7%)であった。特に、事務において 差が大きかった。
人数 割合 人数 割合 視覚障害 30 0.6% 17 0.8%
聴覚障害 119 2.5% 73 3.6%
知的障害 4,465 94.5% 1,873 91.9%
肢体不自由 60 1.3% 51 2.5%
病弱・身体虚弱 49 1.0% 23 1.1%
合計 4,723 2,037
男性 女性
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46
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表 5 職業別就職者の割合(男性の結果)
図表 6 職業別就職者の割合(女性の結果)
《掲載文の種類》
Lifelong Learning and Career Studies - 4 -
図表5 職業別就職者の割合(男性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
49.3%
8.6%
7.9%
7.2%
6.9%
4.5%
4.4%
3.9%
3.7%
1.0%
0.4%
2.2%
25.1%
1.6%
0.7%
0.4%
19.1%
0.6%
12.7%
24.0%
9.1%
2.9%
0.2%
3.6%
生産工程 建設・採掘 専門的・技術的職業 保安職業 サービス職業 輸送・機械運転 販売 運搬・清掃等 事務 農林業 漁業 左記以外のもの
全日制の高校を卒業して就職 した者
特別支援学校(高等部)を卒 業して就職した知的障害者
タイトル(柱)
生涯学習とキャリアデザイン - 5 -
図表6 職業別就職者の割合(女性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
(3)産業別就職者の割合
最後に、全日制の高校を卒業して就職した 者および特別支援学校高等部を卒業して就職 した知的障害者の産業別の割合について、男 性の結果を図表7に、女性の結果を図表8に 示す。
男性の結果を見てみると、特別支援学校高 等部を卒業して就職した知的障害者も、全日 制の高校を卒業して就職した者も製造業の割 合が最も高かった(それぞれ27.1%、47.5%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知 的障害者の割合が相対的に高かったのは卸売 業,小売業(19.0%)、サービス業(他に分類さ れないもの)(11.1%)、医療,福祉(8.8%)で あった。特に、卸売業,小売業において差が大 きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合 が相対的に高かったのは製造業(47.5%)、建 設業(12.0%)、公務(8.9%)であった。特に 製造業において差が大きかった。
女性の結果を見てみると、特別支援学校高 等部を卒業して就職した知的障害者では卸売 業,小売業の割合が最も高く(22.9%)、全日制 の高校を卒業して就職した者では製造業の割 合が最も高かった(30.5%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知 的障害者の割合が相対的に高かったのは卸売 業,小売業(22.9%)、医療,福祉(19.2%)、サ ービス業(他には分類されないもの)(9.5%)
であった。特に、医療,福祉において差が大き かった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合 25.1%
24.5%
23.7%
15.1%
3.5%
2.7%
1.6%
1.0%
0.7%
0.5%
0.0%
1.6%
30.9%
16.4%
11.7%
16.4%
0.9%
0.2%
18.3%
0.1%
0.4%
1.2%
0.0%
3.5%
サービス職業 生産工程 事務 販売 専門的・技術的職業
保安職業 運搬・清掃等 輸送・機械運転 建設・採掘 農林業 漁業 左記以外のもの
全日制の高校を卒業して就職 した者
特別支援学校(高等部)を卒 業して就職した知的障害者
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47 特別支援学校高等部における知的障害者の就職
(3)産業別就職者の割合
最後に、全日制の高校を卒業して就職した者お よび特別支援学校高等部を卒業して就職した知的 障害者の産業別の割合について、男性の結果を図 表7に、女性の結果を図表8に示す。
男性の結果を見てみると、特別支援学校高等部 を卒業して就職した知的障害者も、全日制の高校 を卒業して就職した者も製造業の割合が最も高 かった(それぞれ27.1%、47.5%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知的障 害者の割合が相対的に高かったのは卸売業,小売 業(19.0%)、サービス業(他に分類されないも の)(11.1%)、医療,福祉(8.8%)であった。特に、
卸売業,小売業において差が大きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合が 相対的に高かったのは製造業(47.5%)、建設業
(12.0%)、公務(8.9%)であった。特に製造業に おいて差が大きかった。
女性の結果を見てみると、特別支援学校高等部 を卒業して就職した知的障害者では卸売業,小売 業の割合が最も高く(22.9%)、全日制の高校を 卒業して就職した者では製造業の割合が最も高 かった(30.5%)。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知的障 害者の割合が相対的に高かったのは卸売業,小売 業(22.9%)、医療,福祉(19.2%)、サービス業(他 には分類されないもの)(9.5%)であった。特に、
医療,福祉において差が大きかった。
全日制の高校を卒業して就職した者の割合が相 対的に高かったのは製造業(30.5%)、公務(4.2%)
であった。特に、製造業において差が大きかった。
4 まとめ
本稿の目的は、特別支援学校高等部における知 的障害者の就職の現状を理解するための基礎的な 資料を作成することであった。そのために、特別 支援学校高等部の進路状況を確認した後に、特別 支援学校高等部を卒業して就職した知的障害者の 就職状況について、全日制の高校を卒業して就職
した者と比較しながら職業別、産業別の特徴を明 らかにした。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知的障 害者は、職業別では、男性の場合、生産工程や運搬・
清掃等が、女性の場合、サービス職業や運搬・清 掃等が相対的に多かった。産業別では、男性の場 合、製造業や卸売業,小売業が、女性の場合、卸 売業,小売業や医療,福祉が相対的に多かった。
厚生労働省(2019b)は、ハローワークを通じ た障害者の就職件数が102,318件であり、対前年 度比で4.6%増加したことを示した。同報告にお いては、産業別および職業別の就職状況をまとめ ており、知的障害者は、職業別で、運搬・清掃・
包装等の職業(47.9%)、生産工程の職業(16.0%)、
サービスの職業(14.1%)が多く、産業別で、医 療福祉(32.2%)、製造業(18.3%)、卸売小売
(15.5%)、サービス業(11.4%)が多いことを示 した。これらの結果はおよそ特別支援学校高等部 を卒業して就職した知的障害者の結果でも一致す る。
本稿の結果を見て、「特別支援学校高等部を卒 業した知的障害者は生産工程の職業やサービス職 業に就くことが多いから、それを見越してカリ キュラムを考えよう」というように、どこが多かっ たのかに注目して解釈を加えていくことは、たし かにひとつのアプローチではある。
しかし、それ以外にも、「この少ない職業や産 業を伸ばしていくべきではないか」というよう に、どこが少なかったのかに注目して解釈を加え ていくアプローチも存在する。たとえば、本稿の 結果では特別支援学校高等部を卒業して就職した 知的障害者で、農林業の職業に就いた者は男性で 2.9%、女性で1.2%であった。また、農業,林業 の産業に就いた者は男性で2.4%、女性で1.0%で あった。特別支援学校高等部を卒業して就職した 知的障害者全体の割合としては低いが、全日制の 高校を卒業して就職した者の割合と比較するとわ ずかながら高い2)。
近年では、「農福連携」が重要施策として位置 づけられている。これは障害者の社会参加・自立
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48
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
図表 7 産業別就職者の割合(男性の結果)
図表 8 産業別就職者の割合(女性の結果)
《掲載文の種類》
Lifelong Learning and Career Studies - 6 - が相対的に高かったのは製造業(30.5%)、公 務(4.2%)であった。特に、製造業において
差が大きかった。
図表7 産業別就職者の割合(男性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
47.5%
12.0%
6.6%
6.4%
3.8%
3.1%
1.7%
1.7%
1.6%
1.5%
1.1%
0.9%
0.9%
0.5%
0.4%
0.2%
0.2%
0.1%
8.9%
0.8%
27.1%
1.8%
19.0%
8.0%
11.1%
8.0%
4.9%
0.2%
8.8%
0.7%
1.8%
2.4%
0.7%
0.6%
0.1%
1.1%
1.1%
0.0%
0.9%
1.4%
製造業 建設業 卸売業,小売業 運輸業,郵便業 サービス業(他に分類されないもの)
宿泊業,飲食サービス業 生活関連サービス業,娯楽業 電気・ガス・熱供給・水道業 医療,福祉 学術研究,専門・技術サービス業 複合サービス事業 農業,林業 情報通信業 不動産業,物品賃貸業 漁業 教育,学習支援業 金融業,保険業 鉱業,採石業,砂利採取業 公務 左記以外のもの
全日制の高校を卒業して就職 した者
特別支援学校(高等部)を卒 業して就職した知的障害者
タイトル(柱)
生涯学習とキャリアデザイン - 7 -
図表8 産業別就職者の割合(女性の結果)
(出所)文部科学省(2018)を参考に筆者作成。
4 まとめ
本稿の目的は、特別支援学校高等部におけ る知的障害者の就職の現状を理解するための 基礎的な資料を作成することであった。その ために、特別支援学校高等部の進路状況を確 認した後に、特別支援学校高等部を卒業して 就職した知的障害者の就職状況について、全 日制の高校を卒業して就職した者と比較しな がら職業別、産業別の特徴を明らかにした。
特別支援学校高等部を卒業して就職した知
的障害者は、職業別では、男性の場合、生産工 程や運搬・清掃等が、女性の場合、サービス職 業や運搬・清掃等が相対的に多かった。産業別 では、男性の場合、製造業や卸売業,小売業が 女性の場合、卸売業,小売業や医療,福祉が相対 的に多かった。
厚生労働省(2019b)は、ハローワークを通 じた障害者の就職件数が102,318件であり、
対前年度比で4.6%増加したことを示した。同 報告においては、産業別および職業別の就職 状況をまとめており、知的障害者は、職業別で、
30.5%
17.4%
11.0%
8.7%
7.2%
4.1%
3.4%
2.9%
2.5%
2.3%
1.4%
1.2%
0.9%
0.6%
0.5%
0.4%
0.0%
0.0%
4.2%
0.8%
17.8%
22.9%
19.2%
11.5%
4.9%
2.9%
9.5%
2.3%
1.5%
0.5%
0.9%
0.9%
0.7%
1.0%
1.3%
0.1%
0.0%
0.1%
0.8%
1.2%
製造業 卸売業,小売業 医療,福祉 宿泊業,飲食サービス業 生活関連サービス業,娯楽業 運輸業,郵便業 サービス業(他に分類されないもの)
複合サービス事業 金融業,保険業 建設業 学術研究,専門・技術サービス業 情報通信業 不動産業,物品賃貸業 農業,林業 教育,学習支援業 電気・ガス・熱供給・水道業 漁業 鉱業,採石業,砂利採取業 公務(他に分類されるものを除く)
左記以外のもの
全日制の高校を卒業して就職 した者
特別支援学校(高等部)を卒 業して就職した知的障害者
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49 特別支援学校高等部における知的障害者の就職
や農業の担い手不足といった観点からも注目され ているものであるが、その取組は未だ低調と言わ ざるを得ない現状もあり、連携への一歩を踏み出 すための情報発信や、どのように連携を継続する かといったポイントを示していくことが必要であ る(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式 会社, 2019)。
本稿が知的障害者の就職に関心のある学校関係 者や企業関係者にとって、今後のことを考えるひ とつの資料となれば幸いである。
注
1) 重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精 神障害者である短時間労働者については、0.5 人分としてカウントされる。ただし、精神障害 者である短時間労働者については、雇入れや精 神障害者保健福祉手帳を取得してから3年以内 の場合、1人分としてカウントされる。
2) 厚生労働省(2019a)によれば、法定雇用率達
成企業の割合の平均は45.9%であった。特別支 援学校高等部における知的障害者が多く就職す る製造業(45.5%)、医療,福祉(59.5%)では 平均以上であった。しかし、現状では、特別支 援学校高等部における知的障害者が多く就職し ているとはいえない農、林、漁業(59.1%)で も平均以上であった。
引用文献
厚生労働省(2019a)「平成30年 障害者雇用状況の 集計結果」
厚生労働省(2019b)「平成30年度 障害者の職業 紹介状況等」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
(2019)「平成30年度農福連携における実態把 握に向けた調査検討委託事業調査報告書」
文部科学省(2018)「学校基本調査−平成30年度 結果の概要−」
文部科学省(2019)「特別支援学校高等部学習指導 要領」
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50
TAZAWA Minoru
Employment of Mentally Challenged people from High Schools for Special Needs Education: A comparison with general full-time high schools
This study investigated the current status of employment of people with intellectual disabilities that graduate from high schools for special needs education. First, the post- graduation career paths of students in high school for special needs education were identified. Results indicated that over 80%
of graduates were intellectually challenged.
Also, many of the graduates did not seek employment or higher education. The number of visually impaired and deaf students that entered universities was relatively high. Next, the employment conditions of students with intellectual disabilities that graduated from
high schools for special needs education and found employment was investigated. Students that found employment was relatively high in the transportation and cleaning sectors, among others. Moreover, both men and women found employment in production and service occupations. By industry, a relatively more significant number of men were employed in manufacturing industries and women in wholesale and retail industries. Finally, the results of this study are discussed from the perspective of special needs education and employment of people with disabilities.
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