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フィジカルコンピューティングプログラムの軌跡

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Academic year: 2021

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フィジカルコンピューティングプログラムの軌跡

The History of Our Educational Program on Physical Computing

Memories of Prof. Hideo ISHIHARA―

ネットワーク情報学部

飯田周作,石井健太郎,沼晃介

School of Network and Information Shusaku IIDA, Kentaro ISHII, Kosuke NUMA Keywords: physical computing, educational program, history, course design

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将来への展望

ここでは将来への展望について、担当教員が考えてい る3 つのことを述べる。 第1 に、制作物に自由度がある課題を課していくこと である。すでに述べたとおりフィジカルコンピューティ ングプログラムでは、数理やコンピュータサイエンスに 立脚しつつも問題解決を考えることを意識しており、い かに問題を設定しいかに解決するかを意識している。そ のためには、各個人の工夫が発揮できるような自由度を 持つ必要があると考える。近年では受講生が題材とする 問題は多様であるし、同じ問題であっても異なる解決方 法であることも見られるようになってきた。 制作物の発表会も頻繁に行い、いかに効果的に伝える かにも重点を置いている。自由度がある課題であるため、 効果的な伝え方は作品によって異なる場合がある。とら え か た を 変 え る と 、D コ ー ス の テ ー マ で あ る Discover/Design/Demonstrate をフィジカルコンピュ ーティングの応用演習でも意図するということである。 さらに、前年度に取り組んだ問題の単なる解き直しで は突破できないように、課題のお題を少しずつ変えなが ら実施している。これは課題を課す教員にとってもチャ レンジではあるが、後述する変化に対応していくことと 合わせて、積極的に行っており、今後も継続していく。 第2 に、これまでもそうだったように、社会の要請や 技術動向の変化を恐れず、必要に応じてプラットフォー ムやツールを調整していくことである。ハードウェアプ ラットフォームをArduino→mbed→Raspberry Pi と変 更してきたことも、FabLab の施設を活用してきたこと も、10 年の期間としては比較的多い変更だと考えられ るが、フィジカルコンピューティングの応用演習が始ま ってからの情勢の変化をよくとらえたものだと言える。 2020 年度から導入した Raspberry Pi や Python 言語 は、IoT・AI に関する応用技術の学修にシームレスにつ ながるものであり、正しい方向の変更を正しいタイミン グで行ったものと考えている。課題の自由度を保つとい う思想は維持しながらプラットフォームやツールを積 極的に変更していくという姿勢は、今後も続けていくべ きことだと考えている。 第 3 に、最近では実施できずにいる外部との連携を、 もう1 度組み入れていくことである。産学連携の取り組 みにはいくつかの効果が考えられるが、産業界での実用 を意識した課題設定と問題解決の場の受講生に提供し ていくことが、問題発見・問題解決の両面で、シャープ な思考を訓練する機会をもたらすものと思われる。また、 産業界とのつながりを持つことによって、情勢の変化を いち早く察知できるものと考えられるし、年度ごとにお 題を変えながら課題を課すことにもつながるであろう。 それぞれの項目の中でも記したが、上述の3 つは互い に関係しており、相乗的にポジティブな効果を生むと考 える。本稿の執筆にあたり、担当教員が立ち位置や姿勢 を再確認できたことは、これからのフィジカルコンピュ ーティングプログラムの教育にも資するところである と思われる。

おわりに

フィジカルコンピューティングの教育は、電子回路設 計や組込みプログラミングという視点から見ると、あま り新しいことを教えているようには見えない。この教育 の本質はやはりデザインにあるのだと思う。ここでいう 「デザイン」とは見た目の良し悪しだけのことではなく、 本来の、そして本当の意味でのデザインということにな る。デザインに関しては、本学部の上平崇仁教授が「コ・ デザイン」[3]という書籍にまとめられているので参照さ れたい。オープンソース、オープンハードウェア、そし て FabLab は本質的にはデザイン活動であると改めて 思った。ハードウェア+ソフトウェア+デザインを教育す ることは、今なお新しくチャレンジングである。 応用演習では、誰かが「斜め上に行く」ということが とても大切だ。みんなが大人しく当たり前のものを作っ ていては、発想する素晴らしさが実感できない。誰かが 冒険をしてくれることによって、周りも刺激を受けて進 化することができる。そのため、教員はおかしなアイデ ィアだと思っても、できるだけ学生の気持ちを尊重する ようにしている。「将来への展望」の章でも触れたが、産 学連携の取り組みも、それに資する仕組みとして取り組 んでいかなければいけないだろう。 最後に、石原先生の思いを辿る旅のまとめをしておき たい。石原先生は教育に対して、性急をさけ、長い時間 をかけて計画を練る人だった。石原先生は制御理論をバ ックグラウンドとされていたので、ハードウェアとソフ トウェアを融合させた教育を行うことについて、入職さ れた時からアイディアを温めていらしたことだろう。時 代の流れを注意深く見ながら、本学部でその教育が実現 できるように準備を進めていたと推測される。おそらく 先生は、今我々のやっていることをご覧になって「焦り すぎだ」と思っていらっしゃることだろう。すみません、 我々は PID 制御のような高度なことはできないので、 バンバン制御で精一杯です。でも、先生はおっしゃって いましたよね?「バンバン制御もバカにしたものじゃな いんだ」って。 参考文献

[1] Mark Weiser, “The Computer for the 21st Century,”

参照

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