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農耕地域地下水系の水質形成機構に関する研究

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農耕地域地下水系の水質形成機構に関する研究

広城, 吉成

https://doi.org/10.11501/3135208

出版情報:Kyushu University, 1997, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

農耕地域地下水系の水質形成 機構に関する研究

平成1 0年2月

広城吉成

(4)

目次

ページ

第1章 序論

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

5

第1節 緒論

第2節 対象農耕地域の概要 2. 農耕地利用状況

2. 2 地下水流向および地層状況 2. 3 地下水位の変動

2. 4 施肥状況

第3節 農耕地利用形態変化に伴う地下水中の主要イオンの変動特性 3. 1 サンプリングおよび水質分析方法

3. 2 地下水水質とその特徴

3. 3 電気伝導度の変動および主要イオン濃度間の相関

3. 4 硝酸態窒素濃度および溶存酸素量の変動

「『u phu phu nHu nHu nHM

.••••.••••

12 内,ι 内Jι phu

-E'

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3. 4. 水田・畑作期における硝酸態窒素濃度変化 21 3. 4. 2 ビニールハウス近傍の井戸水中の硝酸態窒素濃度変化 23 3. 4. 3 圃場整備に伴う硝酸態窒素濃度変化 25 3. 4. 4 水田・畑作期における溶存酸素飽和率変化 26 3. 4. 5 圃場整備に伴う溶存酸素飽和率変化 26 3. 5 塩化物イオン濃度の変動

3. 6 硫酸イオン濃度の変動

3. 7 陽イオン(Na+,K+, Mg2+, Ca2+)濃度の変動

nRu nHU 'E' 内《U 内‘u r「u nHU n,ι nrι 内《d 内41M 内4Jv q4d 内41u

第4節 背景地下水水質

4. 1 ナトリウム長石の分解 4. 2 カルシウム長石の分解 第5節 結論

第3章 数値計算モデル

40

(5)

第3節 化学反応式 43

第4節 数値計算の方法 47

4. 1 陽イオン交換反応を考慮した数値計算の手順 47

4. 2 化学反応項の推定方法 48

第5節 遅れ係数を考慮した物質輸送の基礎式 50

第6節 結論 51

第4章 不撹乱畑地土壌中の主要イオンの輸送特性(鉛直1次元カラム試験) 52

第1節 緒論 52

第 2節 花嵐岩風化土壊における陽イオンの輸送特性 54

2. 1 不撹乱畑地土壌の採取方法 54

2. 2 室内カラム実験(陽イオン) 2. 2. 1 実験装置と実験方法

2. 2. 2 分析方法

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「hd Fhu 守,t マ,t にd EJ FO FO PO FO PO FO F0 71 71 7l 7t 71 71 71

2. 3 実験結果

2. 3. 1 ;夜相中の塩化物イオン濃度 2. 3. 2 ;夜相中の陽イオン濃度

2. 3. 3 ;夜相中における陰・陽イオンの当量濃度

2. 3. 4 固相上の陽イオン濃度 2. 3. 5 選択係数

2. 4 数値シミュレーションのための計算条件 2. 4. 1 陽イオン交換容

2. 4. 2 選択係数

2. 4. 3 縦方向分散定数 2. 4. 4 初期濃度 2. 5 数値計算の実行と結果

2. 5. 1 数値計算の実行

2. 5. 2 CECの空間分布を考慮した数値モデル適用結果 77

2. 5. 3 CECを一定値で与えた数値モデル適用結果 80

(6)

2. 5. 4 選択係数を一定値で与えた数値モデル適用結果 81

2. 5. 5 化学反応項の空間分布 82

第3節 花商岩風化土壊における陰イオンの輸送特性 85

3. 1 室内カラム実験(陰イオン) 85

3. 1. 1 実験装置と実験方法

3. 1. 2 分析方法

「「U 守tg 守r・

nud n『u nHu nuv nノL nRu nHu nHu nHU nHu n『Jw nwd nud 3. 2 実験結果

3. 3 基礎式

3. 4 遅れ係数

3. 5 縦方向分散定数

3. 6 計算結果 第4節 結論

第5章 ビニールハウス周辺の地下水水質形成機構 第1節 緒論

第2節 数値モデル

第3節 ビニールハウス近傍井戸の水質変動

3. 1 施肥状況

3. 2 水質とその特徴

第4節 計算条件

4. 1 陽イオン交換容 4. 2 選択係数 4. 3 施肥パターン 第5節 計算結果とその考察

5. 1陽イオンによる地下水水質形成機構 5. 2陰イオンによる地下水水質形成機権 第6節 結論

4斗.

必斗.

「『u nHu nku

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nHu nHu nHU 唱E・

内屯u qtM au- r「u n3 n3 n3 n3 Qd nコ nu nu nu nu nu nU 1t 'l 1 1 1 1 1 1 1 1

第6章 総括 117

付録 122

(7)

物質輸送の基礎式の解法

A. 3 陽イオン交換反応を考慮した物質輸送解析プログラムリスト 125

参考文献 156

謝辞 160

(8)

第l章序論

第1章 序論

近年の農耕地域における地下環境汚染に関し、 農薬、 肥料等の汚染物質は、 土壊や地|ごノjく 中における種々の鉱物、 腐植物質などの影響の下で、 多厳な化学的作用を受ける状況にある1)

2 )。 なかでも飲料水源として地下水への依存度の高い農耕地域では、 /1く質管理の観点からこ れらの物質が地下環境へどのような化学的プロセスを経て物質輸送されるかについての検討 が必要となる。

農耕地に施肥される肥料の主要構成成分は窒素、 リン、 カリウム、 カルシウム、 マグネシ ウムなどであり、 これら各成分が水の浸透に伴って土壌表面から地下に移動する過程はそれ ぞれ異なる。 畑地に施肥される窒素の形態は主にアンモニア態窒素、 硝酸態窒素であるが、

アンモニア態窒素はそのほとんどが硝化されて硝酸態窒素に変わり土壌にほとんど吸着され ることなく移動する。 一方、 リン酸は土壌に強く保持されるため地下水水質に大きな影響を 及ぼさない3 )。

これら肥料成分のうち、 肥料に含まれている成分で、水道水基準値が設けられている硝酸態 窒素に関しては、 アメリカやヨーロッパにおいてもその濃度は高く、 各地で地下水利用が危 ぶまれているため4) 、 5)、 硝酸態窒素の挙動や輸送を解析した研究が多く報告され、 かなり の成果が得られている状況にある6)- 1 0)。 一方、 硝酸態窒素以外の物質の輸送解析について は、 地下水水文学や地球化学等の広い分野で行なわれているが11)-15)、 多くの場合、 化必 的作用の中でも吸着に関して吸着等温式を利用する場合1 6)などに限られているようである。

ところで、 カリウム、 カルシウム、 マグネシウムなどの陽イオンは、 農作物にとって必須 の栄養であり、 そのうちカルシウム、 マグネシウムは農作物の栽培に適した土壌を維持する ためにも散布される。 これら陽イオンの輸送に着目すると、 土壌中に含まれる粘土鉱物や腐 植などの表面は、 通常、 負の荷電が卓越しているため静電的な力によって陽イオンが上壌に 吸着されやすくなり、 その吸着量は土壌がもっ負荷電の量(陽イオン交換容量)に支配され る。 また、 静電的な力によって陽イオンが吸着されているとき、 そこに他の陽イオンが現れ ると吸着されていた陽イオンが表面から離脱し、 新しく現れた陽イオンがそれに換わって吸 並され、 いわゆる陽イオン交換反応が起こる17)。 このように、 陽イオンの挙動は土壌のも つ陽イオン交換容量の大小や、 陽イオン交換における陽イオン聞の選択性(選択係数)によ って支配されるため、 塩類の土壌中移動(塩類の溶脱・庖類の集積)を評価する際には、 こ れらをどのように取り扱うかが重要となる。

(9)

従来、 地下環境中における化学反応を伴う物質輸送モデルの開発は、 化学種の空間的変化 を決定する種々の化学的要因が不足しており、 正確なモデルを構築することは困難であった。

そのため地下環境中における化学反応を伴う物質の輸送に関し、 比較的単純化された実験や それに対するモデルシミュレーションが多くの研究者1 5)、18)--23)によって行われてきた。

例えば、 カルシウムとナトリウムの2成分化学種間の化学反応過程が、 均質な土壌を用いた 場合の物質輸送に関し、 明らかにされてきている。 しかしながら、 現実の土壌環境という不 均質な場においては、 土壌中の化学反応に影響を及ぼす要因の空間的変化や多成分の陽イオ

ン問の選択性が考慮されていないなど、 2成分モデルでは物質輸送の予測を正確に行うこと は難しい状況にある。

そこで本論文では、 以上の状況をふまえ、 実際に農業生産活動が行われている農耕地域を 調査対象とし、 その地域における地下水水質の変動特性を解明し、 地下水中の陰・陽イオンの 輸送特性について詳細な検討を行い、 農耕地域における地下水水質形成機構について解明し ている。

本論文の第2章以下の内容概略を次に述べる。

第2章では、 農耕地域における農地利用形態変化(水田、 畑地、 ビニールハウス)や圃場 整備がもたらす地下水中の主要イオンの変動特性を様々な角度から検討し、 農耕地域地下水 水質の変動機構を明らかにしている。 また、 この地域における本来の地下水水質を、 地質状 況をもとに風化に関与した液相と固相との化学平衡論から解析し、 この地域における背景地 下水水質の形成由来についても考察している。

第3章では、 地下水系における陽イオンおよび陰イオンの物質輸送過程を表すモデルにつ いて説明している。 陽イオンの輸送では、 複数の化学種の化学的な相互作用を考慮した物質

輸送解析のための数値モデル、 すなわち移流分散と化学反応の2つの過程を同時に満足する 数値モデルを提案している。 陰イオンの輸送では、 特に土壌表面に吸着し輸送に遅れを生じ

る硫酸イオンを対象にした物質輸送モデルを検討している。

第4章では、 第3章で慢案したモデルを検証する基礎的データを得るために、 実際の畑地 から土壌を不撹乱状態で採取し、 それを用いた室内カラム実験を行い、 国相と液相間の化学 的作用を論ずる際に不可欠となる陽イオン交換容量や選択係数を評価している。 ここでは特 に、 カラム実験で得られた多成分陽イオンの空間分布特性、 また従来の研究には見られなか った陽イオン交換容量の空間分布特性および詳細な選択係数の評価を行い、 これらを考慮し た陽イオン輸送の数値モデルの妥当性を検討している。 さらに主要陰イオン(硝酸イオン、

塩化物イオン、 硫酸イオン)の輸送特性についても検討を行っている。 陰イオンの物質輸送

qL

(10)

第1章序論

のモデル化において、 硫酸イオンの吸着の役割を明らかにするために、 肥料に含まれる主要 な陰イオンである硫酸イオン、 塩化物イオン、 硝酸イオンの3成分を混合した溶液を用い、

実際の畑地から土壌を不撹乱状態で採取した土壌カラムを用いて実験を行ない、 カラム実験

結果と解析モデルの適合性について比較検討している。

第5章では、 まずビニールハウス近傍に存在する井戸の水質観測結果を考察し、 そこでの 施肥実態をもとにした陽イオン成分の変動特性について検討している。 次に、 ビニールハウ スでの施肥実態としてカリウムのみが施肥される時期、 カりウム、 カルシウム、 マグネシウ ムの3者が同時に施肥される時期に分けて考え、 それらを多成分陽イオン交換反応を考慮し た物質輸送モデルの濃度の境界条件として計算する。 また、 陰イオンについては硝酸態窒素 を考え、 これについても施肥時期を考慮した輸送計算を行う。 最後に、 得られた計算結果と 観測結果について比較検討を行い、 陽イオンおよび陰イオン(硝酸態窒素)を中心とした地 下水水質の形成機構について検討する。

第6章では、 各章で得られた結果を取りまとめて総括としている。

なお、 図-1. 1には本論文の構成を示している。

円《U

(11)

第1章 序論

-本研究の目的と意義、 従来の研究

・ 本論文の内容と構成

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性 - 農耕地利用形態変化に伴う地F水中の主要イオンの変動

(電気伝導度、 硝酸態窒素、 溶存酸素、 塩化物イオン、 硫酸イオン、

ナトリウムイオン、 カリウムイオン、 マグネシウムイオン、 カル シウムイオン)

.背景地下水水質の評価

第3章 数値計算モデル

-陽イオン交換反応を考慮した物質輸送の基礎工1 .遅れ係数を考慮した物質輸送の基礎百

-化学反応式の導入 .数値計算の方法

第4章 不撹乱畑地土壊中の主要イオンの輸送特性 (鉛直1次元カラム試験)

-陽イオンの輸送特性 : ・陰イオンの輸送特性 陽イオン交換容量の評価; 遅れ係数の評価

選択係数の評価

・計算結果と実験結果の比較: ・計算結果と実験結果の比較

l

第5章 ビニールハウス周辺の地下水水質形成

盤f童

-施肥の評価

.計算結果と観

第6章 総括

-本論文で得られた結果を取りまとめる

図-1.1 本論文の構成

- 4 -

(12)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

第1節 緒論

地下水水質は地質学的、 地球化学的なプロセスの影響を受けることは勿論であるが、 浅 地下水の場合にはこれらに加えて地表の土地利用の影響が大きい。 特に農耕地域では肥料と して多量の有機物や無機塩類が施用されるため、 地下水水質も大きな影響を受ける。 肥料の 要構成成分は窒素、 リン、 カリウム、 カルシウム、 マグネシウムなどであり、 さらにカル シウム、 マグネシウムは農作物の栽培に適した土壌を維持するためにも散布されている。 こ れらの肥料成分の中で、 硝酸態窒素には水道水基準値(lOmg' 1 -1)が設けられており、 この 基準値を超える地域ではいわゆる硝酸態窒素による地下水汚染が問題となっている4)、5)。 通 常、 硝酸態窒素による地下水汚染は農地への施肥がその主な原因となるため、 土地利用形態 と大きく関係することが指摘されている24)。

この章では、 福岡市西部に位置する農耕地域および、その地下水を調査対象とする。 対象農 耕地域は、 4月頃'""8月下旬頃は水田、 9月頃'""3月頃は主にキャベツ栽培の畑として利用 されている。 ただし、 一部の土地は年間を通してビニールハウス(野菜栽培)として使われ ている。 このような農地利用に対する施肥により、 この地域に点在する井戸より採取した地 下水中にも、 硝酸態窒素濃度が水道水基準値を超えるものがある。 なお、 この地域では1 9 9 2年5月'""1994年5月までの期間に圃場整備が段階的に行われ、 農業生産活動は停止 し地表面が裸地化したため、 地下水水質は施肥の影響を受けにくい酸化的状態におかれた。

ここでは1991年5月'""1994年5月の3年間において、 このような同一場所におけ る農地利用形態変化(水田、 畑地、 ビニールハウス)および圃場整備がもたらす地下水中

要イオンの変動特性、 および地質状況をもとにした化学平衡論的アプローチによるこの地域 における本来の地下水水質について把握することを目的とし、 農耕地域地下水水質の変動特 性を明らかにする。

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(13)

第2節 対象農耕地域の概要

2. 1 農耕地利用状況

調査対象地域の土地利用状況と地質およびこの地域における施肥状況を以下に述べる。

地下水水質の調査対象に選んだ地域の土地利用状況および、井戸の位置Wを図-2.1に示す。

井戸の選定にあたっては、 図-2.1の地下水位(19 8 2年7月3 0日測定) から想定される 地下水流向に沿った場所の井戸を選び、 この流向から少し外れたW7を水質調査の補助的な 井戸として選んだ。 また、 潅減水としての河川水質調査地点にHを選んだ。

この地域では4月頃�8月下旬頃にかけては水田として、 その後9月頃�3月頃までは水 田の裏作の畑に利用される。 畑では主にキャベツなどが栽培されている。 W3近傍はビニー ルハウスとして利用されており、 ここでは年間を通してほうれん草などの野菜が栽培されて いる。 なお、 水田への潅減水はMJ'Iからの水路により供給されている。

井戸水の利用状況はWl、 W2、 W5、 W6が飲料用水として、 W3、 W4は農業用水(畑 地潅概用水) として、 W7は家庭雑用水として利用されている。 なお、 この地域は上水道も 整備されている。

次に園場整備が実施された区域を図-2.2に示す。 1992年5月�1993年5月(第I 期)、 199 3年1 0月�1994年5月(第E期) には、 図中の太い実線で固まれた地域で 行われ、 その際、 W4は1992年11月中旬に取り壊された。 圃場整備終了後は、 従来通

りの農業活動が再開されている。

(14)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

GI 0

3

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Mountain

35m

E

N 『司he S

、J

Scale

。 200m

図-2.1 調査対象地域の概略図

-7-

(15)

I : May ] 992 May 1993 II: Oct. 1993 May 1994

図-2.2 園場整備区画図

2. 2 地下水流向および地層状況

図-2.1の地下水位からこの地域で想定される地下水流向は、 概ねWlからW6の方向と推 測される。 この流れ方向に沿った縦断状況を図-2.3に示した。 図に示されている井戸の深さ については、 その井戸の所有者からの聞き込みを行い記入したが、 Wl、 W5の実際の深さ についてはおおよその深度しか得られなかった。 次に、 W3より北側900m付近で、 197 8年6月に行われたボーリング調査結果2 5)による地質柱状図の概略を図-2.4に示した。 ボ ーリングの深度は30mで地表面から7mまでは風化花岡岩質粗砂からなり透水性は大きく、

浅井戸(自由地下水)は地表からのかん養の影響を受けやすい。 深度 7m以深では粗砂から 風化花閥岩に変わり上部から下部にかけて風化の程度は弱くなる傾向にあり、 深度25m以深 では硬質部もかなり存在する。

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(16)

第2章 農耕地域地下水水質の変動j特性

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図-2.3 地下水流向における縦断状況

O.OOm 1.15m 1. 60m 7.00m

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ト一シ

一レ一-E一

シ 一砂じ一 質一り一 一沙一 jr一一切

一川

盛一レ)昭

風化花闘岩

30.00m + +

図-2.4 地質柱状図

(17)

2. 3 地下水位の変動

図-2.5には、 図-2.1 の井戸WGLにおける地下水位の実測値26) (1981年8月--1

982年7月)と雨量との関係を示す。 この図より地下水位は潅減期に上昇し、 非潅概期に 低下するなど 、 季節による地下水位の変動幅は約2m程になっている。 水田からの浸透があ る潅減期は非潅減期と比べて地下水位の高い状態が継続しており、 水田 が地下水のかん養源 として果たす役割は大きい。 また、 この地域の潅減期における地下水位勾配は概ね10m.km-1 と見積もられ、 地下水流動も速いと考えられる。

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1981 1982

図-2.5 地下水位と雨量との関係

2. 4 施肥状況

施肥状況は農耕地の種類や栽培する作物により異なる。 調査対象地域は図-2.1に示すよう に年間を通してビニールハウス栽培を行う区画と、 4月頃'"'-'8月下旬頃が水田 、 9月頃--3 月は畑地となる区画に分けられる。 水田の場合、 元肥として5月上旬に10アールあたり尿素 硫加燐安40kgが 、さらに追肥として6月上旬に10アールあたり尿素入りチッソカリ化成20kg が施肥される。 稲刈り後、 水田は畑地に変わるが、 その際元肥として9月上・中旬に10アー ルあたり燐硝安加里100kg、 硫酸アンモニウム40kg、 炭酸苦土石灰100kgなどがそれぞれ施 肥され、 追肥として1 0月上・中旬に 10 アールあたり尿素40kg、 1 0月下旬'"'-' 1 1月上旬 に燐硝安加里100kg が施肥されている。 一方、 ビニールハウスでは一年に5団施肥され、 そ れぞれ3月、5月、7月、9月、1 1月頃に10アールあたり燐硝安加里100kg、牛糞堆肥1000kg、

ハHU.,a'A

(18)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

また2回に一度の割合で炭酸苦土石灰100kgが施肥されている。 これら水田、 畑、 ビニール ハウスにおける施肥量を10アールあたりにまとめたものを表-2.1に示し、 その巾で窒ぷを 含む肥料について窒素重量に換算したものを表-2.2に示す。 これらの表より、 農地利用形態 変化による施肥量は、 ビニールハウスで多く、 次いで畑、 水田の順であることがわかる。

表-2.1 農地利用別の肥料の種類と量

水田 畑 ビニールハウス

5月上旬 尿素硫加燐安 9月上旬 燐硝安加里 1年間に5団施肥 (40kg. 10a-1) ~中旬 ( 1 00 kg. 1 0 a ') (3, 5, 7, 9, 11月頃)

6月上旬.尿素入りチッ 硫酸ア ン モ 燐硝安加里

ソカリ化成 ウム (1 OOkg. lOa-1)

(20kg.l0a-1) (40kg. 10a-1) 牛糞堆肥

炭酸苦土石灰 (1 OOOkg. 1 Oã1 ) (1 OOkg. lOa-1) 3, 5, 9月頃

10月上旬・尿素 炭酸苦土石灰

~中旬 (40kg.lOf1) (IOOkg.lOa-1) 10月下旬:燐硝安加里

'"'-'11月上旬(lOOkg.lOa-1)

表-2.2 窒素重量に換算した施肥状況

下--- 施肥適用の時期

N-kg ・(10atJ

水田 5月上旬

6.4

(水稲)

6月上旬

3. 2

9月上-中旬

23.4

畑地 1 0月上・中旬

18.4

(主としてキャベツ)

1 0月下旬. 1 1月上旬

16.0

3月頃

39.0

5月頃

39.0

ビニールハウス

7月頃

39. 0

(主としてほうれん草)

9月頃

39.0

1 1月頃

39.0

一一一一一一一一 N-kg. C10a51• (yearr1

水稲

9.6

キャベツ 57.8

ほうれん草

195. 0

(a=100m2 )

-EA --'E-

(19)

第3節 農耕地利用形態変化に伴う地下水中の主要イオンの変動特性

3. 1 サンプリングおよび水質分析方法

井戸W1"-'W3およびW5"-'W7についてはポンプ揚水式の井戸で、あるので、 サンプリン グはまず蛇口から十分に水を捨てた後に行い、 洗浄したポリエチレン製容器に採取し、 冷蔵 庫に保存した。 W 4はポリエチレン製バケツで採水した。 現地で、は採水直後に水温、 電気伝 導度、 溶存酸素(使用機器:WTW社Oxi196) およびpHを測定した。 リン酸イオン、 ケイ 酸、 亜硝酸態窒素濃度は吸光光度法(使用機器: HITACHI分光光度計Model 200)、 塩化物

イオン、 硝酸態窒素、 硫酸イオン濃度および、アンモニア態窒素濃度はイオンクロマトグラフ イー(使用機器: DIONEX-QIC)、 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウム濃度

は原子吸光法(使用機器: Nippon J arr叫l-Ash AA・8500) で測定した。 上記分析項目の全て を対象にしたサンフリングは年に3回(1月、 6月、 1 0月 ) 行なっており、 ケイ酸、 ナト リウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウムの濃度測定を除いたサンプリングを月に1"-' 2回の割合で行なった。

3. 2 地下水水質とその特徴

この地域の闘場整備は1992年5月頃から徐々に行われ、 整備される以前の1991年 5月"-'1992年5月まではその影響を受けていない。 園場整備の対象区域は図-2.2に示す ように第I期及び第E期の区画である。 W2及びW3近傍のビニールハウスは圃場整備対象 地域に固まれた状況になっており、 W5、 W6はその対象地域から外されている。 第i期圃 場整備は1992年5月頃から徐々に行われ、 1 0月頃までに闇場整備が終了した場所では、

部分的 に畑作が再開したところもあった。 第I期園場整備は1993年5月頃に終了し、 こ の区画の半分程度が水田となった。 次に、 199 3年1 0月"-'1994年5月にかけて第E 期圃場整備が行われたが、 1 994年7月時点において全面的な農業生産活動には至ってい なかった。 なお、 W4は圃場整備に伴って1992年11月中旬頃に廃棄された。

図-2.6には井戸水W1"-'W6、 河川水Hの合計7箇所におけるキーダイヤグラムを、 図-

2.7にはそれぞれのヘキサダイヤグラムを示す。 ヘキサダイヤグラムの作成にあたっては、 キ ーダイヤグラムに示されたサンプリング日に濃度測定したものの中から、 硝酸態窒素濃度が 最大時のものと最小時のものを用いて作成した。 なお、 全ての井戸水において亜硝酸態窒素、

アンモニア態窒素は検出されなかったが、 河川水ではそれらは検出限界をわずかに超える程 度の低濃度が検出された。 またpHについて、 井戸水W1"-'W6ではpH=6"'"'7、 河川水H

qru --a'A

(20)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

ではp H=7'"'-'8であった。 一方、 重炭酸イオン濃度については陰・陽イオン濃度の当量バラ

ンスの差から算出した。 図-2.6のキーダイヤグラムから、 Wl、 日での季節的な変動は小さ いが、 W2'"'-'W6については(Cl・+8042・+N03")の占める割合が増減する方向に変動してい る。 これは施肥の影響を受けたためと考えられる。

次に、 図-2.7のヘキサダイヤグラムより、 Wlは他の井戸に比べ主要な陽・陰イオン濃度 が低く、 ビニールハウス近傍にあるW3はそれら濃度が最も高いことが読み取れる。 また、

W2'"'-'W6における硝酸態窒素濃度は最大時と最小時での濃度差が大きい。 一方、 潅獄用水 に用いられるHでの硝酸態窒素濃度はその差が非常に小さく、 かつ低濃度を示している。 従 って、 水田の潅獄用水が周辺地下水の水質を悪化させる可能性は小さいと考えられる。 また、

1 993年度時点で福岡市における下水道整備状況27)は94.7 %となっており、 家庭雑排 水や尿尿による地下水汚染の程度は小さいと考えられる。

-13-

(21)

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図-2.6 地下水、 河川水(濯灘用水)のキーダイヤグラムによる水質組成

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(22)

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第2章 農耕地域地下水水質の変動特性 Lcgcnd

(91.6.8) catlOn 0.5

屯D

(似2.23)

Wl callOn

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W2

(94.6.1 )

Thc uppcr part is at the time of maximum N03-concentration.

Thc lower part is at the time of mimimum N03-concentration.

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(92.10.9)

(91.6.8)

W 5 1.0 catlOll O.月 al11011 0.5 1.0

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(92.10.9)

図-2.7 地下水、 河川水(濯淑用水)のヘキサダイヤグラムによる水質組成

-15-

(23)

3. 3 電気伝導度(EC)の変動および主要イオン濃度聞の相関

施肥による地下水水質への影響を定性的に把握するために、 電気伝導度(EC)の変化を調 べた。 図-2.8にはEC の (a) 1 9 9 1年5月'"'-'1 992年5月、 (b) 1 9 9 2年5月'"'-'1 993年5月、 (c) 1 9 9 3年5月'"'-'1994年5月の3年間におけるWl、 W2、 W3、

W4、 W5、 W6それぞれのEC 変化を示す。 W1はEC値が他の地下水より低く、 ほぽ 定の変動を示し人為的汚染の影響も小さいと考えられる。 W2はビニールハウスと水田・畑付 近に、 W3はビニールハウス近傍に、 W4は水田・畑の中に、 W5、 W6は水田・畑の付近に ある井戸である。 W3はビニールハウス近傍にあるため、 他のW2'"'-'W6のEC値より高い 値を示す時期がある。 これはビニールハウスでは水田・畑よりも多量の施肥を行うためと考え

られる。

表-2. 3 (a) ,...., (f) には観測井戸Wl'"'-'W6におけるEC と主要イオン濃度問の相関係

数マトリックスをそれぞれ示す。 ここでは、 相関係数rがIr Iミ0.7のものについて相関関 係が認められるとした。 なお、 P04-P は土壌に強く保持されるため、 地下水中におけるその 濃度は他の陰イオンに比べ非常に低く、 検出限界をわずかに超える程度の値であった。 従っ て、 P04-Pの相関関係については考察を加えなかった。

(a) ではECと主要イオン濃度問の相関係数値は小さく、 肥料成分であるN03・N、 K、 Mg、

Ca とEC聞の相関係数値も小さい。 従って、 Wlは肥料などによる人為的な影響を受けにく い地下水であることがわかる。 ただし、 Ca、 Mg聞に特に高い正の相関係数値が見られるが、

これは両イオンがともに似た化学的性質( 2価のアルカリ土類金属)を持つためと考えられ る。

(b) は調査対象地域の中で最も深い井戸(約30m)W 2の相関係数マトリックスである。

(a) と同様にCa、 Mg聞に特に高い正の相関係数値が見られるが、 これは両イオンがともに 似た化学的性質を持つためと考えられる。 次に、 (b) にのみ8i02とNa聞に高い正の相関が、

またNa と N03・N 、 804, Cl問および8i02と804聞に高い負の相闘が見られた。 この理由 は以下のように考えることができる。 すなわち、 他の井戸( W3",-,W6)は 浅井戸であるのに

対し、 W2は深井戸であるため浅層地下水の影響を受けにくい。 従って、 8i02とNa は後述 するナトリウム長石の風化によって溶出されたと考えられ、 このため両者に正の相関関係が 現れたと考えられる。 また、 Na(陽イオン)の対イオンはHC03( 陰イオン)と考えられ、

HC03は他の陰イオンであるN03・N、 804、Cl濃度が増加すれば電気的中性を保つように働 き、 相対的に低くなる。 このために負の相関関係が現れたと考えられる。

(c) はビニールハウス近傍の井戸W3の相関係数マトリックスである。 ここでは肥料成分

nhu --'EA

(24)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

であるN03-N、 K、 Mg、 Ca とEC間の正の相関係数値は大きい。 特にEC 、 Ca、 Mg聞に 高い正の相関係数値が見られ、 Naや804も他の井戸に比べ高い値を示している。 ビニールハ ウスでは施肥が、 水田・畑における施肥より多量に行われるためと考えられるが、 通常、 肥料 に含まれない Naも高い値を示しているのは、 後述する陽イオン交換によって溶出してきた

ためと推察される。

(d)は付近が水田・畑となっている井戸W4のものである。 N03・N と Na 、 K、 Mg、 Ca 問の相関は高くなっているが、 N03・NとECとは(c)のW3に比べると値は小さい。 ここで も、 EC 、 Ca、 Mg問に高い正の相関係数値が見られる。

(e)は井戸W5の相関係数マトリックスである。 N03・Nと特に高い相関を示しているイオ ンはないが、 N03・NとK、 Mg、 Ca聞には若干の正の相関関係が見られる。 ここもEC 、 Ca、

Mg間に高い相関係数値が見られる。

(f)は井戸W6の相関係数マトリックスである。 N03・Nと特に高い相関を示しているイオ ンはないが、 N03・NとNa、 Mg、 Ca聞には正の相関関係が見られる。 ここもEC 、 Ca、 Mg 相互聞に高い正の相関係数値が見られる。

-17-

(25)

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図-2.8

同.園田[

同日、円三主

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(26)

.-:-司圃・・h

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性 表- 2.3 ECと主要イオン濃度聞の相関係数マトリックス

(a)

Wl N03-N S04 CI P04-P Na K Mg Ca Si02 EC N03-N -0.08 -0.00 O. 28 0.35 0.14 -0.22 -0. 24 -0.37 O. 16

S04 O. 36 -0.46 -0.00 0.55 O. 12 O. 12 0.06 O. �W

CI -0.03 0.40 0. 10 0.10 0.10 一0.26 O. 39

P04-P ーー O. 77 -0. 58 -0.49 -0.46 -0.34 -0.21

Na -0.42 -0.34 -0. 24 0.10 0.02

K 一ー 0.48 0.47 -0.07 O. 25

Mg 0.94 0. 56 -0. 21

Ca O. 65 -0. 19

SiOZ -0.42

EC

、1JLHM ,I‘、

W2 N03-N S04 CI P04-P Na K Mg Ca SIOZ EC N03-N 0.71 O. 82 -0. 20 -0. 83 0.88 0. 82 O. 59 -0. 62 0.64

S04 一一 0. 65 -0. 57 -0. 91 0. 73 0.76 0. 51 -0. 82 O. 28

Cl -0. 22 -0.77 O. 64 0. 49 O. 28 -0. 61 0. 46

P04-P 0.83 -0.52 -0.50 -0.13 0. 85 0. 20

Na -0. 70 -0.67 -0. 54 0. 93 O. 55

K 0.89 0. 57 -0.48 -0. 21

Mg 0.89 -0.49 -0. 39

Ca 一一 0. 01 -0.38

Si02 O. 48

EC

、,JFし,,t、

W3 N03-N S04 Cl P04-P Na K Mg Ca SiOZ EC

N03-N 一一 O. 60 O. 63 -0. 15 0.84 0.68 0.97 0.96 0.35 O. 78

S04 0.23 0.10 0.77 0.79 0.86 0. 89 0. 22 0.82 CI 一ー 一0. 04 0.37 0.43 0. 72 0.70 -0.01 0.45 P04-P ー一 -0. 25 -0.48 -0. 24 -0.19 -0.51 0.02

Na 一一 0. 75 0.84 0.84 0.50 0.80

K 一- O. 70 0.6:3 O. 19 O. 70

Mg ーー 0.97 O. 26 0.97

Ca 0.27 0.98

SiOZ 一一 0.28

EC

nHυ 4EE,a

(27)

(d)

W4 N03-N S04 CI P04-P Na K Mg Ca Si02 EC N03-N 0.61 0.84 -0.4ü 0.83 0.75 O. 94 (). 84 0.08 0.36

S04 0.69 -0.39 0.57 0.41 o. G7 0.64 O.18 0.38 CI 一一 -0.52 0.90 O. 75 0.91 0.81 -0. 18 0.23

P04-P -0.56 -0. 79 -0.53 -0.46 -0. 68 0.34

Na ーー 0.93 0.78 0.70 o. 10 0.58

K 一一 0.71 0.65 0.44 o. 53

Mg 一一 0.97 -0.01 0.94

Ca 0.02 O. 98

Si02 -0.05

EC ー一

(e)

W5 N03-N S04 Cl P04-P Na K Mg Ca Si02 EC I N03-N -0.07 0.61 -0.38 0.01 0.55 0.57 o. 54 0.07 0.49

S04 o. 24 0.06 0.24 0.22 0.26 0.44 0.07 0.59

Cl -0.05 0.29 0.42 0.65 0.74 -0.17 0.48

P04-P 0.62 一0.60 一0.08 0.04 0.07 -0.10

Na 一一 -0.02 0.51 o. 70 O. 24 0.43

K 0.38 0.37 0.22 0.43

Mg 一ー 0.91 O. 15 0.98

Ca 0.23 0.95

Si02 0.08

EC

ー,J''a­,,E、、

W6 N03-N S04 Cl P04-P Na K Mg Ca Si02 EC N03-N 0.10 0.65 -0.40 0.71 0.44 0.80 0.75 O. 15 0.48

S04 o. 18 O. 20 0.13 0.36 0.29 0.31 -0.32 0.76

Cl 一o.20 0.81 0.45 0.82 O. 79 0.01 0.45

P04-P -0.35 0.30 -0.13 -0.02 -0. 13 0.08

Na 0.59 0.82 0.78 O. 11 0.73

K 0.64 0.60 0.04 O. üO

Mg ().97 -0.03 O. 92

Ca 一一 0.02 0.91

Si02 0.03

EC

-20-

(28)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

3. 4 硝酸態窒素濃度および溶存酸素量の変動

図-2.9(a) "-' (c)には(a)1 9 9 1年5月"-'1992年5月、(b)1 9 9 2年5月~

199 3年5月、(c)1 9 9 3年5月"-'1994年5月の3年間におけるW1、 W2、W4、

W5、 W6それぞれの硝酸態窒素濃度変化を、 図-2.10にはビニールハウス近傍の井戸W3 のそれを示す。 また、 図-2.11には(a)1 9 9 1年5月"-'1992年5月、(b)1 9 9 2年 5月"-'1993年5月、(c)1 9 9 3年5月"-'1994年5月の3年聞におけるW1"-'W6 の溶存酸素飽和率変化を示す。 以下には、 農地利用形態変化による硝酸態窒素濃度および溶 存酸素飽和率の変動を述べる。

3. 4. , 水田 ・畑作期における硝酸態窒素濃度変化

図-2.9(a)は園場整備が開始される以前の1991年5月"-'1992年5月までの硝酸 態窒素濃度変化を示したものである。 W1の硝酸態窒素濃度は1 mg'l-l前後と低く安定して おり、 この値がこの地域における本来の硝酸態窒素濃度であると考えられる。 4月頃から8 月下旬頃までがこの地域における水稲栽培期間であるが、 W2、 W4、 W5、 W6の濃度が 急激に減少している。 これには水田に特有ないくつかの要因が考えられる。 すなわち、 水田 に施肥される窒素肥料の大部分がアンモニア態で含まれているが、 これは土壌に吸着されや すく、 しかも稲が多量に吸収する3)。 また、 アンモニア態窒素の一部が作土表層の酸化層で 硝酸態窒素に硝化され、 下方へ移動しても水田作土層では溶存酸素量は低く還元的雰囲気に なっているため脱窒も起こりやすい3). 6)。 従って、 水田に施肥された窒素肥料が硝酸態窒素 の形で地下水に入る可能性は小さいと考えられる。 このような要因により、 湛水とともに硝 酸態窒素濃度が低下しはじめ、 水田から畑に変わる9月頃に極小を示しているものと考えら れる。

次に、 農地利用が水田から畑に変わる9月頃から硝酸態窒素濃度は上昇し、 3月頃に濃度 の極大が出現する。 この期間での施肥量が水田におけるそれよりも多いことにも起因するが、

畑地という酸化的雰囲気が脱窒を抑制すること、 熱力学的にも硝酸イオンとして安定である こと、 また畑地では溶脱が起こりやすくなることから、 窒素成分の地下浸透が地下水中硝酸 態窒素濃度の上昇をもたらしたと考えられる。

従って、 一年を通して水田、 畑と農地利用形態が変化する地域の地下水は、 図-2.9 (a) のような周期的な硝酸態窒素濃度変動パターンを示すと推察できる。

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Jun.28 Jul.12 Jul. 23 Jun.8 May14

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Nov.5 OCL3 Oct.17

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Feb.24 Mar.9 Jan.11 Dec.21

Mar.31 Feb.1

Apr.18 May11

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Jul. 3

Feb.22 Jun.6

Nov:7 Oct.9

Mar. 25 Ju1.27 Aug.24

Nov.28 Dec.12 S ep. 14

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Feb.23 Aug.25

Oct.4 Oct.19 Nov:1 Nov.22 Dec.25

Apr.8 Jul. 12

Jan.14 May15 Jun.5

図 l M・u 創正田陣織胤州知福岡δ悩何件

r、コp、コ

(30)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特'1主

3. 4. 2 ビニールハウス近傍の井戸水中の硝酸態窒素濃度変化

図-2.10にはビニールハウス近傍のW3における硝酸態窒素濃度の変動を示す。 現地のビ ニールハウスでは年に5回程度の野菜の作付が行われており、 一年間に施肥される量は他と 比較して非常に多い。 図-2.10 (a)から判るように、 ここでは一年を通じて高い硝酸態窒素 濃度で推移しており、 W3上流付近が水田に変わっても直接その影響を受けていない。 従っ てこの地域では、 鉛直下方への地下浸透の影響が地下水流動による影響よりも大きく作用し ていると考えられる。

次に、 図-2.10 (b)では1992年7月"-'1993年2月にかけて濃度は減少し低く推移 した。 これは現地のビニールハウスで作物に塩類濃度障害が生じたため、 その所有者が化学 肥料の使用を一時中断したことによる。 なお、 1 992年6月におけるW3での電気伝導度 (EC)や主要陽・陰イオン濃度は、EC=240μ8.cm-1、Ca2+=28.6、Mg2+=3.8、Na+=7.8、K+=2.5、

NO 3 --N=11.4、 C1コ14.9、 8042・=27.4mg .1-1であった。 一方1993年2月以降では、 ビニ

ールハウスでの施肥が再開されたため濃度は再び上昇し、 図-2.10 (c)に示すように199 3年5月以降では高濃度の状態が続いている。

以上のように現地ビニールハウスでの多量多田施肥は地下水中硝酸態窒素濃度の高濃度化 をもたらすが、 施肥を行わないと濃度は急激に低下し、 ビニールハウスの周辺地域と同じ濃 度レベルとなる。

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(31)

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瀬山市¥荏結抑止町ーウで穴同州δ州内畑仕本高

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May14

Jun.28 Jul.12 Jul.23

Nov.30

May 11 Oct.3 Oct. 1'7

Mar.9

Apr.18 Jun.8

Aug.25

Dec.21

Feb.1 Feb.24 Mar.31 Jan.ll Nov.5 υt 0

Ju1.27 May11

Jan.14

Feb.22 Jun.6 Jul. 3

Aug.24 S ep. 14

Nov.28 Dec.12

Mar. 25 Apr.18 May15 Oct. 9 Nov:7

Dec.25

Feb.23

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Jan.14 Aug.25 Jun.5

Nov.22 May15

Jul.12

図IN・-o

出恐開陣織附締い獅洞δ開持(Eω)

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(32)

第2章 農耕地域地下水水質の変動特性

3. 4. 3 園場整備に伴う硝酸態窒素濃度変化

圃場整備の対象区域は図-2.2に示すように第I期及び第E期の区画である。 W2及びW3 近傍のビニールハウスは圃場整備対象地域に固まれた状況になっており 、 W5、 W6付近は その対象地域から外れている。第I期間場整備は1992年5月頃から徐々に行われ、図-2.9

( b)に示すようにそれに伴ってW4の硝酸態窒素濃度は減少しはじめた。

従来、 この地域では9 月頃に水田から畑作に変わり硝酸態窒素濃度は急上昇する。 しかし 第I期圃場整備期間中 その区域における畑作の再開が部分的だ、ったため急増はしておらず、

W5、 W6の硝酸態窒素濃度の上昇は僅かである。 なお、 第I期圃場整備は1993年5月

頃に終了し、 この区画の半分程度が水田となった。

次に、 1 993年1 0月"-'1994年5月にかけて第E期国場整備が行われたが、 199 4年7月時点において全面的な農業生産活動は再開されていなかった。 なお、 図-2.9 (c) で深井戸W2の硝酸態窒素濃度が7、 8月頃に高い値を示しているのでその原因を検討した。

この井戸は所有者の話によると、 この時期井戸管の一部が破損していたため、 その修理を行 なったということであるが、 図-2.10 (c)に示すように同時期のW3 (W2近傍の浅井戸) の硝酸態窒素濃度が高いことから、 浅層部の地下水が混入、 揚水されたことが原因と考えら れる。

以上、 圃場整備の対象となった地域における地下水中の硝酸態窒素濃度は、 施肥が中断さ れるため低下することがわかった。

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(33)

3. 4. 4 水田 ・畑作期における溶存酸素飽和率変化

溶存酸素は地表で空気中の酸素が水に溶け込んだ、ものなので、 地下水の溶存酸素飽和率の 変動は、 水が地下へ移動する過程を反映する。

図-2. 11 (a)は、 圃場整備が開始される以前の1991年5月---1992年5月までの溶 存酸素飽和率変化を示したものである。 W2、 W4、 W5、 W6の溶存酸素飽和率は5月か ら下降しはじめ、 8月下旬に極小値を示した。 この期間はこれら井戸周辺が水田となり、 湛 水された状態になる。 湛水された水田表面では微生物活動により酸素が消費され、 嫌気的雰 囲気になる3)‘ 2 8)。 従って、 このような還元的な水が地下浸透したために、 溶存酸素飽和率 は減少したと考えられる。 このように水田の還元的雰囲気が地下水水質を還元的な状況にす ることが示された。 一方、 W1は溶存酸素飽和率が高く安定しており、 酸化的状態にあるこ とがわかる。 W3も同様な変化を示しているが、 畑地において酸化的雰囲気にある水が、 そ のまま地下へ浸透したことによる。 水田から畑に変わる9月頃には、 溶存酸素飽和率は上昇 しはじめているが、 これは水田の湛水状態が終了し、 大気中の酸素が土壌間隙に進入しやす くなったためと考えられる。 このように溶存酸素飽和率変化と硝酸態窒素濃度変化のパター

ンに同様な傾向がみられ、 両者は農地利用形態変化に伴って大きく変化することがわかる。

3. 4. 5 園場整備に伴う溶存酸素飽和率変化

第I期圏場整備は、 1 992年5月頃から行われた。 圃場整備はその期間中、 農地を裸地 化させるので土地表面は酸化的状態になる。

図-2.11 (b)の1992年5月---9月頃における溶存酸素飽和率変化は、 図-2.11 (a) に示されたような水田期特有の溶存酸素飽和率の減少はみられず、 若干の減少にとどまって

いる。 このため、 第I期圃場整備期間中(19 9 2年5月---1993年5月)における溶存 酸素飽和率は概ね高い値で推移している。

次に第E期圃場整備は、 1 9 9 3年1 0月---1994年5月に行われた。 第I期圃場整備 が完了した区域外にある井戸W5、 W6の水田期における溶存酸素飽和率は、 図-2.11 (c) からわかるように大きく減少しており、 図-2.11 (a)のそれと同様な変化を示している。

-26-

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