この閉塞状況 を打開す るために
問 部 俊 明
(本法務研究科教授)
はじめに
法科大学院制度 の発足か ら6年 目に して軌道修正 の動 きが始 まった。文科省 の諮問機 関で ある中 央教育審議会 の特別委 員会が,法科大学院の定 員削減 な どを打 ち出す報告書 を提 出 した (2009年4
月17日)。 これに呼応 して,東大,京大 が2010年度 か ら定 員の二割 を削減す る と発表 し,他 の国 立 の法科大学院 も同様 の動 きを取 る と報道 されてい る。発足以来,新 司法試験 の合格率 が低下 し, 制度設計段階で想定 された7,8割 の合格率 を大 き く下 回 り,2008年度 には3割 台前半 とな った こ
とな どか ら,事態打開のために始 まった動 きである。
日弁連 は,法科大学院 の総定 員 を4000名程度 に削減す る との意見書 を発表 した (2008年12月 19日)が,大都市 の大規模校 に100名規模 の削減 を求 めてお り, その削減率 は30%以上 に及ぶ。
法科大学院が当面す る閉塞状況 を是正す る動 きが,各所 で始 まった。 しか し,地方 の小規模校 の立 場か らす る と中教審 の報告 は,「上か ら目線」 の 「改革」で あ り,同意 しがたい ところが多い。
法科大学院の閉塞状況
法科大学院の志願者数 は,2004年 の発足時7万2800人か ら,翌年 に4万人 台に急減 し,2008年 度 には,5652人減少 して,3万人台 にな ってい る。社会人入学者 の割合 は,2004年48.4%で あ っ たが, その後30%台前後 で漸減傾 向で ある。他学部 出身者 は,2004年 には34.5%で あ ったが, そ の後 は減少 し,20%台後半で推移 してい る (デ ータは,前記 中教審報告書類,8頁)0
未修者 の新 司法試験合格率 は低位 (2008年度 の合格率 は22.5%)で あ り, 同年 の既修者 の合格 率44.3%の約2分 の 1で ある (同14頁)0
当初,政府 は,2010年 までに3000人 ほ どに新 司法試験合格者 を増加 させ る としてい たが,2008 年 の合格者数 は,司法試験委 員会 が想定 した概数 の最低 に も達 しない2065人 で あ った。 日弁連 が, 増 員のペ ースダウ ンを打 ち出 した こ とを考 える と,答案 の質 が水準 に達 してい ない ものが多い な ど
を理 由 として,2009年度 の合格者数 が想定数 の最低 ライ ンで あ る2500人 (2007年6月22日司法 試験委 員会文書) に達 しない可能性 が少 な くない。実際 の受験数 が7353人 (欠席者 除 く) とな っ た こ とか らす る と,合格率 が30%を割 る可能性 が少 な くない。 中教審 の委 員会 の前記提 言 は, そ
うした事態 を先取 りして, それな りの処方蔓 を提示 した もの とも言 え よう。 しか し, それが正 しい 処方隻 なのか, とな る と前述 の通 り疑 問で ある。
中教審報告 の問題点
ここ
2
年 間の合格者数 トップ2 0
校 の新 司法試験合格者数 を合計す る と,合格者総数 に占め る割 合 は75%以上で あ る。地方 の小規模校 は,私立 だけで はな く,国立 を含 めて苦戦 を強い られてい る。い わば有力校群 に よるに よる寡 占化 が起 きてい る。適性試験受験者 の総数 が減少 してい る現状 で は,新 司法試験合格実績比較 のアナ ウンス効果が促進 され,受験者 の大都市有力校へ の さらな る 集 中が進 むだ ろ うし,現 に進 みつつ ある。 これに対 し, 中教審 の報告 は,地方小規模校 に定 員削減 と教育 の共 同実施, さらには統合等 をすす めるだけで ある。 とりわけ,東大,京大 に続いて定 員見 直 しを推奨 されてい る地方国立 の法科大学院は,小規模校 が多い こ とか ら,定 員削減 が直 ちに,存 続 の危機 につ なが りかね ない。 中教審 の提言 は,司法制度改革審議会意見書 が うた った適正配置 の 理念 を忘 れた合格者数至上主義で ある。地域 を考慮 した全 国的 な適正配置 に配慮すべ きであ る とし た意見書 の指摘 を想起すべ きで ある。閉塞状況 を打破するために
では, どの ような処方隻が必要 なのだ ろ うか。法科大学院制度 が,法曹人 口の増加論 と結 びつい て構想 された こ とを思 うと,法曹人 口論 へ の言及 が不 可避 で あ る し,法曹人 口論 が,21世紀 日本 のあ り方論 と結 びついて提起 された こ とを思 うと,現代 日本 の社会状況 を どう見 るか, を検討す る こ とも不可避 で あ る。率直 に言 えば,司法試験合格者
3 0 0 0
人構想 が,規制緩和 と新 自由主義 の時 代 背景 の下 に取 り入 れ られた ものであ るこ とは事実で ある。が,今や,新 自由主義 の弊害 を どう是 正す るかが議論 され る時代 とな ってい る。 この時代 の変化 の中で,法曹養成制度 を どう再構築す る か, とい う視点か ら法科大学院 を再定義 し, それに向けた処方隻 を考 えるべ きで ある。 もっとも, 紙幅 の関係で,本稿 では,地方 の小規模校 の視点か らアウ トライ ンを述べ るこ とに とどまらざるを 得 ない。第 1に,法学未修者 の合格率 の低 さと適性試験 の受験者が連続減少 してい る事実 を関係者 が制度 全体 の問題 として深刻 に受 け止 め るべ きで ある。法科大学院制度 の発足 にあた っては,新 自由主義 の 「悪魔 の ささや き」 とい って切 り捨 て られない 「理想 を語 る言葉」 が語 られて きた。「点 に よる 選抜ではない, プロセス としての法曹養成制度」,「理論 的教育 と実務的教育 との架橋」,「多様 なバ ックグラウン ドを有す る人材 を多数法曹 に受 け入 れ る」,「法 の支配 を全 国あ まね く実現す る」ため の 「法曹人 口の大幅 な増加」 な ど。 とりわけ,社会人や法学未修者 を受 け入 れて,法曹 として養成
し,社会 に送 り出す こ とが期待 され, その教育力が法科大学院 に求 め られた。法科大学院制度 には, 多様 な人材 を法曹 として育て る とい う理想 が込 め られていたので ある。 しか し, 多様 な人材 の参入 がかげ りを見せてい るこ とはすでに見た とお りで ある。理想 は現実 に よって砕 かれつつ ある。 そ こ で,法科大学院が,制度 の基本 に立 ち返 って処方隻 を書 くこ とがで きるのか, それ とも 「司法改革 の旗」 を下 ろ し,「バ スに乗 り遅 れ るな」 とばか りに合格者数 を競 う競争 に本気で入 ってい くのか, の岐路 に立 ってい る。
私立 の有力校 の対応 が注 目され る。東大,京大 を初 め とす る国立 の法科大学院が, 中教審報告 の 提言 に沿 って定 員 を2割 削減す るのに反 して,現在 の定 員に こだわ るこ とはやめ るべ きで ある。 こ とは,法曹養成 とい う国家的事業 に関わ るこ とで あ り,司法試験合格者 ランキ ングで トップに立 ち
たい と言 った低 レベルの対応 は自重すべ きで ある。
第2に,適性試験受験者数 の低下 は,合格後 の法曹像 さらには, これか らの司法 が魅力 あ る もの として見 えて こない こ との反 映で あ り, そ うした 「社会 的空気」 を ど うはね返 してい け るか, で あ る。弁護 士 の就職 問題 だけが誇張 して取 り上 げ られ, あたか も, 司法需要 が ない か の よ うな言い方 が流布 され, それが社会人 や他学部生 が法曹 志望 の意欲 をか きたて に くくさせてい る。 しか し,昨 年秋以 降, アメ リカの金融危機 に端 を発 した経済危機 の 中で,企業倒産 や雇用 の悪化 な どが顕著 と な って きた。 司法救 済 を求 め る人 々 は増加 して きた。 司法 と法曹 の使命 は大 き くな って きてい る。
第3に,合格後 の司法修習生 の待遇 が給費制 か ら貸与制 に切 り替 わ るこ とへ の経済的 な不 安 が大 きい。有能 な人材 を法曹界 に参入 させ るた めには, 国費 の投入 を堅持すべ きで あ る。財政 の悪化 を 理 由に貸与制 へ の切 り替 えが決定 されたが
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「100年 に一度 の未曾有 の経済 的危機」 の 中で政府 が, ば らまき的 な定額給付金 やノ、コモ ノを含 めた超 大型補正 予算 を組 む な どの政策 を行 ってい るこ とを 考 えれば,司法修 習生へ の給金 を堅持す るこ との方が, は るか に国益 にか な う政策 とな るはずで ある。法曹養成 は 「国家100年 の大計」で あ るこ とを訴 えてい くこ とで あ る。
第4に,前期修 習 の一部復活 を求 めたい。前記 中教審報告 は,法学未修者1年次 の教育方法 を改 善 す る と言い だ し,法律基本科 目6単位程度 の増加 を打 ち出 した。他 方で,法律実務基礎科 目に到 達 目標 の設定 が必要 で あ る との見解 を打 ち出 した。後者 は,法科大学 院 におけ る教育 が司法修 習 に おけ る実務教育 の導入 的役割 をも果 たす こ とを念頭 におい た提 言で あ るが, 司法修 習 に必要 な水準 に達 してい ない者 が修 了者 に含 まれてい る との指摘 をわ ざわ ざ紹介 してい る。 しか し,新 司法試験 にお け る末修 者 の惨倍 た る現状 か ら出発 して,法律基本科 目の増加 を打 ち出す ので あれ ば,3年 間 で,法学未修者 に,基礎 知識 か ら司法修習 に入 ってい け る ところまで の実務導入教育 をマス ターさ せ るのはい っそ う容易 で はな くな る とい うべ きで あ る。 あ る意味で, その こ とは, 当初 か ら予測 で きた はずで あ る。 しか も,前記報告書 が,法律 実務基礎科 目の 目的 と効果 につい て関係者 の中で も 統一 的 な認識 がな く,教 員相互 の連携 が不 十分 な まま行 われ, また,法律基本科 目 との連携不足 が あ る との指摘 を引用 してい る件 を読 む と, なぜ, そ うした点 の煮詰 ま りな しに前期修 習 を廃 止 した のか と問いた くな る。 司法制度改革審議会意見書 は, 司法研修所 におけ る前期修 習 と法科大学 院 に お け る教 育 の役割分担 の在 り方 につい て は
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「今後,法科 大学 院 の制度 が整備 され定着 す るのに応 じて,随時見 直 して行 くこ とが望 ま しい」 と書い てい た に とどまる。 ところが,新 司法試験 の合格 者 が出 る と同時 に前期修 習 は廃止 され, 当初 あ った導入修 習 もな くな った。 きわ めで乱暴 な経過 を 通 って今 に至 ってい る。 しか も,裁判 官や検察官 が配置 され る法科 大学院 は限定 されてお り,実務 基礎 科 目の教 育 が始 ま った時点 か ら不統 一 で あ った。未修者 の合格 率 が22.50/o程度 とい う現 状 に 切 り込 んで法律基本科 目の強化 を提 言す る一方,法律 実務基礎科 目の達成 目標 を設定せ よと強調 す るので あれば,裁判官,検察官教 員の派遣 を大幅拡大すべ きで あ り,合 わせ て,前期修 習 の一部復 活 を検討すべ きで あ る。意見書 が期待 した 「集合修 習 (前期) と法科大学 院 にお け る教育 との役割 分担 の在 り方」 の議論 を遅 ればせ なが ら,開始 すべ きで あ る。第5に, 日弁連 が,増 員のペ ースダ ウ ンを打 ち出 した のは,大量 の2回試験不 合格者 に よ り 「法 曹 の質」 の低下 が指摘 され,他方で新60期以 降の就職 の厳 しさか らOJTの体制 が十分 で ない こ と
な どを主 な理 由 とす る もので あ るが,背景 には, 当初期待 した企業 や団体, 自治体 か らの弁護 士採 用 がほ とん どない とい う社会的状況 が あ る。組織 内弁護 士 とい う発想 は徐 々 にで はあ るが浸透 し始 めてい る。 が, 日本社会 や企業 の意識 を一挙 に変 えるこ とは容易 で はない。 しか し, わが国 の社 会 のす みず みに まで 「法 の支配」 を及 ぼ そ うと社 会 の各層 が取 り組 む こ とは意義 の あ るこ とで あ り,
とりわけ,地方 の法科大学院 は,地域 の企業や地方 自治体 と交流 してい くべ きで ある。 閉塞感 は, 法科大学院だ けで はな く,社会全体 を覆 ってい る と言 って も過 言で はない。景気底打 ち宣言 は され たが,経済 の先行 きは不安 だ らけで あ る。政治部 門 は, 国の戦力 を打 ち出 し得 てい ない。 司法へ の 期待 は大 き くな ってい る と言 うべ きで あ る。能動 的 な弁護士活動 いかん に よって は, 司法需要 は大 き く掘 り起 こ され, 司法基盤 の整備 の必要 (裁判官,検察官 の大幅増 員,裁判所支部 の新設,家裁 出張所 の新設,簡裁 の充実 な ど) が社 会 の関心事 に登 りつ め る可能性 もあ る。裁判 員制度 の発足 に よ り,かつて ない ほ どに司法へ の関心 が高 まってい る今,法曹養成 の重要性 を再認識 させ る議論 を 社会 に向か って仕掛 け るこ とが必要 で あ る。
地方小規模法科大学院の活路
で は, この閉塞状況 を打破す るために,地方小規模法科大学 院 は, ど うした らよい だ ろ うか。 中 教審報告 を端緒 として東 大,京大 な ど有力校 が定 員の2割 を削減 す る2010年 か らが再 生 の チ ャ ン スで あ る。 それだけ優秀 な人材 が地方小規模校 に流 れ る (大都 会 の有力校 に流 れてい た優秀 な地方 出身者 が地元 に戻 る)可能性 が出て くるか らで あ る。 削減 に よ り,国立 に入 れ なか った優 秀 な人材 を東京,大阪 の有力私立校 がす くい上 げ る とした ら最 悪 の シナ リオで あ り,私立有力校 の見識 が問 われてい るこ とはすでに述べ た通 りで あ る。
地方小規模法科大学院 は,当該地域 にな くて はな らない存在感 を積極 的 に ア ピール し,優秀 な学 生 が集 ま って くる よ うにつ とめ るこ とに全 力 を挙 げ るべ きで あ ろ う。
第1に,地域 で働 く魅力 あ る法曹像 を語 る機会 を積極 的 に作 るべ きで あ る。格差 や貧 困問題 の激 化 が,当地 に どの よ うに現 れてい るか, その弊害 に苦 しむ県民 ,市民 の 中に分 け入 り,人権擁護 と 社 会正義実現 の見地 か ら能動的弁護士活動 を行 ってい る弁護 士 の活動 を取 り上 げ,法律実務基礎科
目の 中で紹介す る よ うな工夫 をす るこ とで ある。私 は,担 当す るADRの授業 の 中で,労働 審判 , 家事調停 ,民事調停 ,交通事故相談 セ ンターな どの分野 の一線 で働 く弁護 士 の話 を受講者 に聞かせ てい るが, こ うした機会 をよ り公 開 の場 で行 うよ うに工夫す るこ とが必要 だ ろ う0
第2に, ひ まわ り基金公設事務所 の所長 や法 テ ラスの スタ ッフ弁護 士 として活躍す る弁護 士 を招 い て話 を聞 く会 を もつ こ とで,新 しい タイ プの弁護 士 の魅力 を感 じ取 って もら うこ とで あ る。 これ まで は,一つ の場所 に根 をは って,生涯, そ こで活動す るのが弁護士 とされて きた。 しか し,養成 期 間 を経 て地方 に赴任 し, ひ まわ り公設事務所 や法 テ ラスで働 き,任期 開 けに,今度 は都 市型公設 事務所 に戻 って,後輩養成側 の活動 を行い, さらに また, 日弁連 の嘱託 にな った り,ふ たた び地方 の公設事務所 に赴任 す る とい った弁護 士が生 まれつつ あ る。 やがては, そ うした経歴 を も とに弁護 士任官す る とい う選択肢 も出て くるだ ろ う。司法改革 の中で,生 まれつつ あ る新 しい弁護士 た ちの 活躍振 りは,法曹 を目指 そ うか迷 ってい る多様 な人材 に強烈 な メ ッセ ージを与 えるはずで あ る。本 学 で は,過 日,宮古 ひ まわ り基金法律事務所 の所長 をつ とめて東京 に戻 った 田岡弁護士 を招 いて の 講演会 を開催 したが,法科大学院 の入試 を受験 した学生 にチ ラシを配布 して勧誘 した ところ, 多数
の参加 が あ り, その何名 かが入学 した。
また, そ うした機会 に,地方 の裁判所,検察庁支部 に裁判官 や検事 が常駐 しない ところが少 な く ない こ と, そ うした状況 は,裁判 官,検察官 が少 ないか らで あ るこ とを指摘 し,地方で働 くこ とを い とわない裁判 官,検察官 にな るこ との意義 を訴 えるこ とは, 国民 に とって とて もよい こ とで あ る。
第3に,県 や県庁所在地 の市 との交流 を積極 的 に行 うこ とで あ る。 た とえば,法科 大学院 のユ タ
ス ター ンシ ップを受 け入 れて もら うとか, 自治体職 員 を, その身分 を持 った まま法科大学院 の学生 として派遣 し (もち ろん,入試 に合格 して), そ こを卒業 して新 司法 試験 に合格 した後 は,弁護 士 資格 を持 って県 や市 の職 員 として復職 す る とい った提携 関係 を作 るこ とも画期 的で あ ろ う。 その前 に,地元 の法科大学 院 を卒業 して弁護 士 資格 を取 った人材 を採用 す る制度 を県 な ど自治体側 に作 っ て もら うこ とも有意義 で あ ろ う。 また,県や大 きな市 の 中にADRを構築 す るこ とで,県民,市民 の需要 を掘 り起 こす こ とをめ ざ し, 自治体 ,弁護士会 と法科大学 院が勉強 会 をス ター トさせ るこ と
も一 つで あ るo
さらに,広域行政 を担 う県 の長期計画 の議論 に加 わ り,県 の経済人 な ど諸 階層 の代表 のい る とこ ろで,県 内の司法 の実状 を具体 的 に語 り, その県 で 目指すべ き地域 司法 の姿 をパ ノラマの よ うに語 った り, それ を地元新 聞 に掲載 した りす るこ とで,地方 の法科大学 院 の存在 をア ピールす るこ とも 大事 で あ る。地元で の プ レゼ ンス を高 め るこ とが,県 内の司法需要 を掘 り起 こす きっか けにな った
り, 多様 なバ ックグ ラウ ン ドを持 つ人材 に灯 を ともす こ とにな るか も しれ ない。
第4に,法科大学院が地域 にお け る司法 の拠点 として の役割 をはたす こ とで あ る。卒業生弁護 士 を中心 として,学 内法律事務所 を作 り,地域 の公益的事件 を取 り扱 う。起訴前弁護 か ら裁判 員裁判 を受任す る よ うにつ とめ,学生 には,民事 ,刑事 の リーガル ク リニ ックの場所 を提供 す る。 そ うし た活動 に よって,学 内法律事務所 は,地域 の法律需要 を掘 り起 こす実践 の場 ともな る。教 員に よる 市民法律講座 や無料法律 相談 の開催 に よって,法科大学院 の存在感 を絶 えず訴 えてい く。地域 司法 の充実 をめ ざ し,現状 の改革 に向けた論文 を発表 した り, 当該地裁 にお け る陪審裁判 の歴史 を発掘 す る調査研究 を行 った り,当地 におけ る裁判 員裁判 の検証 を弁護 士会 と共 同で行 い,結果 を発表 す
るこ とも今 日的意義 を持 ってい る。
終 りに
地方 の小規模法科大学 院が, この閉塞状況 を打破す るた めには,制度改善 の試 みに大 き くコ ミッ トす るこ ととともに,地域 で の存在感 を確立す るた めに多面的 な取 り組 み を行 うこ とが重要 で あ る。
とりわけ,有力校 の定 員削減 にあわせて,優 秀 な人材 に向か って,魅力 あ る教育 を提供 す る用意 が あ るこ とを訴 え,地方 の小規模校 へ の入学 を促 してい くこ とが必要で あ る。本学 も, そ うした取 り 組 み に取 りかか りたい。