中国における環境会計の展開
ADevelopmentofEnvironmentalAccountinginChina
神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士後期課程
張 本 越
BenyueZhang
■キーワー ド
中国、環境会計、環境原価、環境会計情報、環境報告
第2次世界大戦勃発後、世界の科学技術は急速 に発展 し、特 に先進 国は経済発展 の 「黄金時代」
とで もい うべ き時期 に入 った。 しか し、経済 が発 展す ることで、自然資源の大量消費 とい う事態 も 発生 した。 その結果、各国の経済活動 によって、
自然資源 が過度 に消費 され るとい う状態 が続いて いる。特 に1970年代以降の人口の激増 とそれに伴 う需要の増加、 さらに途上国の 「蜂起」 によって、
自然環境 に対す るマイナスの影響 (以下、環境負 荷 と称す る) が急激 に増大 し、環境汚染が深刻化
して きた。
上記の状況 は、以下のように言 い換 えることが で きる。すなわち、現在我 々は 「未来に借越のあ る生活 の時代」 (注 1) に生 きてい る、 とい うこ とである。 これは世界経済 が依存 している自然資 源の消 費過 多 と生態環境 の破壊 を意味 してい る。
具体的に言 えば、経済活動 による産 出量 に対 して、
それをまかな う自然資源の消費量が対応 しきれず、
将来の経済活動 に用いるための自然資源 まで現在 の経済活動が消 費 して しまっているとい うことで
ある。
上記 の諸点 か ら、世界 の経済 発展 は 自然資源 との関係 を考慮 せねば な らない時代 とな ってい る、 とい える.す なわ ち、人頬 の発展 と自然保 護、経済活動 と自然環境の関係 といった問題 を無 視す ることはで きな くなっているのである。その 結果、 自然資源の消 費過 多 と経済活動か ら発生す る環境負荷 によって生 じた、 自然環境の悪化に対 して、世界規模での環境保護運動が発生 ・展開 さ れ るよ うになった。
そ して、上記の諸点に直面 した会計領域 に携わ る研究者や実務家の多 くが、環境保護運動に応 じ て会計がいかなる形で環境保護 に貢献可能である かを模索 するようになった。 その結果、環境 と会 計 を融合 した、環境会計の研究 ・発展 がな され る
よ うになったのである。
環境会計は、主 に貨幣的に環境負荷等に代表 さ れ る環境関連情報 を測定 ・作成 ・開示す るための ツールで ある。 そ して環境 関連法規 等 に基づ き、
経済発展 と環境 ・自然資源 との関係 を研究す るも
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のである。様 々な環境会計技法が提唱 ・実施 され ているが、本稿では、環境資産 と環境負債の認識 ・ 測定 ・記録 を行い、環境業績 と環境保全活動 に関 連 した財務的影響 を分析す る新 しい研究分野にお ける技法 としての環境会計 を述べてい くこととす る。
本稿 における環境会計 とは、経済活動 によって 消 費 された自然資源 をいかに補償す るかを中心に 展開す る会計である。すなわち、会計学 と環境経 営経済学 を有機 的に結合 し、経済発展 と環境保護 の調和 を実現す る上で有効 な、価値 ある情報 を作 成 ・提供す ることを主 目的 とす る。ちなみに、本 稿で筆者 が示す環境会計は、 自然環境資源の枯渇 と自然環境の悪化 とい う状況 に対 して、伝統的な 会計の在 り方 が批判 されたことによって生成 され た。
Ⅰ 中国 にお ける環境会計の起 源
中国における環境会計は、会計学、経営学、環 境科学、現代経済学、そ して、いわゆる 「持続可 能 な発展理論」等が総合 的に結合 した ものである (注2)。環境会計は自然環境資源 と社会環境資源 の消 費 ・悪化 を、いかに して補償 ・修復す るか を 主 たる論点にお き、そのための情報 ツール と して 生成 ・展開 されて きた会計領域である。中国にお ける環境会計 も、環境価値 の変化の認識、測定、
伝達、分析 と、持続可能な発展 に関す る諸領域 を 主 たる研究 目的 としている。 そ して、意思決定者 およびその情報利用者 に有用 な環境情報 を提供す るための会計理論 ・方法 として、認識 されてい る (注3)0
1.環境会計生成の背景
中国における環境会計の生成 ・発展 を述べ る前 に、諸国の環境会計の生成 ・発展につ いて概述す べ きであるが、本稿では紙面の関係 もあ り割愛 し た。諸国の環境会計に関 しては、他稿 にて述べ る こととしたい。
環境会計の実施主体の中心は、企業 である。 そ して企業 は営利主体である以上、政府や社会 か ら
の環境法規制や世論の圧力に代表 され る外部圧力 が存在 しない場合、 自主的に環境保護 に取 り組む 企業 は、上記の外部圧力が存在す る場合 と比較 し て、非常に少ないであろうと考 えられ る。 その意 味において、環境会計技法 をどのように定義す る かに もよるが、環境法規 がなければ環境会計 は成
り立 たたない とい う状況 は起 こりうる。環境法規 が存在 しない ことによって、環境会計の発展 が阻 害 され ることもあ りうるし、結果的に環境情報開 示 が行われ ない とい う状況 も発生す るであろ う。
国、地域、企業 に もよるが、上記の意味において、
仮 に環境法規 が存在 しなかったな らば、環境会計 システムが企業 によって考案 され、定着す るとい うことはな されないとい う状況 も指摘で きる。例 えば、欧米等の先進国における環境会計の生成 と 発展の過程 は、環境法規制の形成 と補完の過程で あるといって も過言 ではない。それに加 えて、法 規制 と企業の経済利益、そ して環境保護意識 を結 合す ることによ り、企業 は自主的に環境影響 を測 定 し、環境情報 を作成 して外部に開示す ることに 繋がると考 えられ る。
中国では改革 開放以来、経済の発展 とともに環 境保護がますさす重視 され、数多くの環境保讃法 規 を公布 して きた。これ らは中国の環境会計研究 における制度構築のための基礎 となったものである。
現行の中国における環境 に関す る法規 は、1979 年 か ら制定 されていった とい う事実が認識で きる。
経済発展 と全面 的な開放政策 に伴い、環境 に関わ る法規制は増加の一途 をたどり、当該法規 に包含 され る領域 も拡大 している。 これは政府 が環境問 題 を重視す る姿勢 を強めていっていると捉 えるこ とがで きるだろう。企業の生産経営活動 はすべて 環境法規 に制約 され、企業 はこの状況の中で正常 な生産経営活動 を維持す るため、一良好 な利益 の獲 得や、環境管理 を強化 しなければな らな くなって きている。 そ して、 「企業の環境管理 システムは、
完全な環境会計計算 システムか らその関連情報 を 提供すべ きである。 それ故に、環境会計の構築 は 企業に とって重要 な問題である」 (注4)0
中国の環境保護法規制の成文化は、中国におけ
る環境会計の発展に必要な基礎 を構築 した。そ し て、「環境保護法」、「大気汚染防治法」、「海洋保 護法」 と 「森林保護法」等を相次いで公布 し、そ の内容 を拡充 していった。 さらに1997年には中国 の刑法 を修正 し、「環境汚染罪」の条項が盛 り込 むとい う対応 まで とっている。
上記の環境法規制は、2004年の時点では残念な が ら、会計関連領域 に対 して直接的な強制力がな い。 しか し、上記の環境関連の法規制は企業の経 済活動に影響がある以上、間接的にではあるが中 国企業の環境会計実務 に影響 を与 える。なお、中 国ではすでに環境会計の実務が存在 している。だ が、法規制 とい う側面か らいえば、例 えば環境原 価計算 と環境会計の関連基準の設定において末だ 空白なままである。
しか しなが ら、2001年に中国の環境会計専門委 員会 (注5)が発足 したことも事実である。同年 8月9日、中国会計学会環境会計専門委員会が開 催 され、中国における環境会計の研究課題 を議論 した。上記専門委員会の参加者は、中国の環境会 計には環境会計報告が重要であると考 え、環境会 計報告の形態および上場企業環境情報の開示方法 等 を検討 している。 これ らのことか ら筆者は、中 国における環境会計の今後の躍進 を期待するもの であり、中国国内の環境会計基準の設定や関連法 規制 を早急に作 り出すべきであると考 える。
2.環境会計展開の必要性
(1)中国における環境会計の構築は、深刻な自然 環境問題の現状か ら要求 されている。中国は自然 資源の総量において 「一大国」 といわれ る程であ る (注6)。 しか し1人 当た りの 自然資源 ・自然 環境保有量 に換算 した場合、決 して豊かな国であ るとはいえない。例 えば中国の耕地1人当た り保 有量は1.2ムー (1ムー‑6.66アール)であり、こ れはおよそ世界全体の1人当た り耕地保有面積の 2/5を占めている。 しか し淡水の平均保有量 は 2,800立方 メー トルで あ り、世界の‑人 当た り平 均 レベルの28.1%で しかない。 さらに、森林の蓄 積量 は1人当た り8.4立方 メー トルで、世界1人当
た りレベルの1/10である。その他にも、草原の 1 人当た り保有量は世界の平均的水準の32.3%、45 種類の主 な鉱物の資源は 1人当た り保有量で世界 の平均的水準の半分である。多 くの経済学者の予 言 によると、「21世紀 における中国の経済発展の 制約 に対 して最 も重要 な要素 は自然資源で ある」
(注 7) とい う。
上記の 1人当たり自然資源 ・自然環境の少な さ に も関わ らず、中国経済は急速 に発展 してい る。
そ して、経済発展に伴 う資源の浪費 と生態環境破 壊 とい う問題 が深刻化 しているO資料によれば、
中国のエネルギーの利用率は30%しかないが、先 進国はすべて40%以上 とい う水準 にある。中国の
GDP
対エネル ギ‑消 費の単位 あた りエネル ギー 消 費量 は 日本 の6倍 で、米 国の3倍、韓 国の4.5 倍である。12種洋の主 な原材料の消費に関 しては、中国 は先進 国に比べて5‑10倍 も高 かった。 中 国の3,496箇所の鉱山資源総回収率 は30%であ り、
世界水準 よ りも20%低 い (注8)。 これ らの数値 が示す自然資源利用の効率性の悪 さを、筆者 は中 国の 「資源浪費」 と捉 えている。
資源浪費の結果、生態環境が悪化す るのは当然 である.中国の水土流失の面積は1,500万ヘクター ルに達 し、毎年流失す る土壌 は50億 トンに連する。
ちなみに黄河のみに限定 した数値 を見た場合、毎 年流失す る沈泥が16億 トンにのぼ るが、 これはす べて黄河流域の肥沃な表層の農業土壌の流失 を意 味する。 この 「悲惨 な現象」に対 して、海外の研 究者 は驚 き、「黄河の流失 は沈泥 ではな く、中華 民族の血 の流出だ」 と嘆いた (注 9)。 また、草 原が荒廃す る面積 は毎年130万ヘ クタールで、現 在、中国に存在す る草原の90%はすでに荒廃 して しまったか、今 なお荒廃 し続 けている。 しか し、
中国の経済発展の速度がはるかに速 く、退化のス ピー ド (注10)に間に合わないのである。すなわ ち、経済発展 を重視する度合 いは、草原の荒廃 を 重視する度合 いよりもはるかに強 く、結果 として 草原が再生するスピ‑ ドよりも荒廃するスピー ド の方が速い。その結果、中国の草原は失われ続 け ている。
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さらに、砂漠化の進んだ土地 が3,300万ヘクター ル あ り、森林被覆比率 は13.4% しかない とい う事 実 もある。加 えて、水資源 も重大 な問題 を抱 えて い る。水資源の量的な不足 とい う危機 が存在 して い るに もかかわ らず、水質汚染は深刻であり、毎 年約360億 トンの汚水の排出が続 いている。 その 結果、都市 に流れ る131本 の河川の うち、深刻 な 汚染が認め られ る河川の数は26本 にのぼ っている。
特 に、重度の汚染河川11本 と中度の汚染河川28本 の流域では、住民の飲料水す ら確保で きていない 地域 さえ存在す る。中国はすでに、世界で最 も水 が不足す る国の 1つになった とい うことが指摘で きるだろう。
関連部門の推計によると、中国で毎年発生す る 環境汚染の損失 は360億元 に逢 してお り、生態破 壊 によって失 われ た価値 は貨幣換算 すれば500億 元 にのぼ る (荏ll)。 なお、 ここで示 され た数値 情報等、データ開示の有効性 に関 して、数名の専 門家 に よる研究 の結果、環境会 計情報 の開示 は
「データは汚染 を減 らす ことに対 して、20年間管 理す ることに比べて更 に有効であること」が主張
されている (注12)0
資源浪費、環境汚染 と生態悪化は、国民の生活 と経済発展 に重大 な影響 を及ぼ してお り、環境 ・ 資源保護 は中国にとって急務である。 しか し、な ぜ これほどまでに深刻 な汚染 と悪化が引 き起 こさ れたのだろうか。筆者 はこの点に対 して、中国が 2004年現在に直面 しているような深刻 な環境問題 を起 こしたキーポイン トを見落 としていたとい う ことを指摘す る。
すなわち、中国は再生産 とい う視点か ら環境問 題 を考慮す ることを怠 っていたのである (注13)0 中国が直面 してい る環境問題 は、中国の資源浪費 ・ 環境汚染防止等に関連す る情報の測定 を実行 しな かったことや、適切 な情報開示 を して こなかった ことと関係 がある。そ して、長期 にわたって 「製 品経済」 (注14)の状態の下 で、資源の合理的な 補償 を無視 し、国民経済の 「不実増長」、す なわ ち経済効率 ・環境効率 ともに低 い状態 を引 き起 こ した。加 えて、野放 図に資源 を浪費 し、 「資源 の
借越 的活用」 で、生態環境の悪化 を激化 させ た。
それ ゆ えに、正 常 な資金 の調達 によ る資源 の保 護 ・管理が行 えなかったのである。 さらに、浪費 された自然資源の再生 と代替 を実行 しなかったた め、資源の消耗量 は年々逓増 しているに も関わ ら ず、有限な資源埋蔵量 が減少 し、最終的には枯渇 にいたる。上述 した諸点か ら、2004年現在の中国 においては、環境会計の構築 によって企業が社会 経済活動 を通 して 自然資源の保護 と生態環境の維 持 してい くとい う流れ を作 り出す ことが必要であ ろうと筆者 は考 える。
(2)環境会 計 の実行 は、持続 可能 な発展 か らの 要求である。環境経済学の観点では、生産 コス ト の中で、廃棄物処理費用 を計算 しない場合、環境 を犠牲 に し、高額 な利益 を獲得す る。 そ して、廃 棄物処理費用 とい う、帳簿上 は表面 に出てこない 非常 に高額 な費用 を、社会 に転嫁す ることになる。
その結果 「公共費用」 とい う支出の増加 と、生態 環境の破壊 とい う結果が もた らされ る。
伝統 的経済計算方法では、環境資源の消耗 と補 償が国民経済計算体系 に含 まれていなかった。 そ して、国民経済 に 「不実」の繁栄 を招 き、GNP・
国内総生産 など国民経済計算の指標の不実 と経済 成長率の不実 とい う結果 を引 き起 こした。 さらに、
自然資源の減少や枯渇、国の豊か さ、および生活 者の生活水準向上の程度 を、正確 に反映す ること もで きない。伝統 的経済計算方法が用い られ る状 況の下 で国家 が自国の経済 ・社会発展計画および 関連政策 を制定 した場合、企業 は自社が社会 に与 える危害の程度す ら認識す ることがで きず、ま し て環境保護 に対す る資本投下 を行 う意欲 は発生 し ない。 それゆえに、環境汚染 が発生 し、生態系の バ ランスが破壊 されたのである。 この事実は当然 の ことなが ら、国民経済の持続可能な発展 に も影 響 を及ぼす。
環境保護のため、そ して中国の国民経済の持続 可能な発展のため、資源環境の要素 を国民経済計 算の体系に組み入れ るべ きである。企業がマクロ 経済の一単位 として、環境会計の計算 とその情報 の開示 を行 うことは、国民経済計算の正確 な測定
や国民経済の発展水準の適切な評価 に役立つ と考 えられ る。
(3)環境会 計 の実行 はWTO加盟後 における新 し い国際情勢への適応条件である。中国は2001年末、
WTO
に加盟 した後、他 の成 員国 と同様の 「最恵 国待遇」 を獲得 し、国際経済の大舞台に登場 した。しか し、現時点において、先進国等が国際市場で の製品に対す る環境保護施策 を明確 に規定 してい るに もかかわ らず、中国では企業の多 くがこの製 品に対す る環境保護施策 をほ とんど実行 していな かった。具体的には、環境 ラベル等 を自社製品に 着 けるための認証 を受けていない中国企業が大 多 数であった とい う事例が指摘で きる。
また、ISO14000シ リーズの認証取 得数 は、近 年急速 に増加 したが、企業の総数 と比較すれば、
まだその数 は少ない。 この状況 を早急 に変 えなけ れば、非関税障壁 (緑色貿易障壁)、の制約で、中 国の多 くの製品は国際市場か ら追放 され ることに なる。 さらに、国際貿易の拡大や、資本市場の開 放に伴い、中国の環境会計の構築 とその状況の改 善が強 く要求 され る。多 くの先進国では、企業 の 環境保護の努力 を実際に社会へ反映 し始めてお り、
環境会計 を行 ってい る。例 えば、米国の証券取引 委員会 は、すべての証券会社の環境負債に関す る 情報 を開示す るように要求 している。 また、オ ー ス トラリア統計局は国家経済計量の規定に基づ く 国有資産負債表 に自然資源 を含むことを要求 して い る。
さらに、外資企業の中国に対す る投資 ・進出の 増加 と、 この ことに伴 う環境会計制度の整備の必 要性 も指摘で きる。中国のWTO加盟が契機 となっ て、今後外資企業 が中国に投資す る機会 は、確実 に増加す る。投資 を実施す る外資企業 は、投資先 の中国企業の実態 を客観的に認識す るために、比 較可能性 ある会計情報の作成 と提供 を中国企業 に 要求す る。 その結果、企業間の会計情報の関連性 と比較可能性 を得 るために、国際会計の慣行に接 近 した形で中国企業の会計制度の整備が進め られ ることとなる。 しか しここで、中国は環境関連情 報の側面 において も、国際的に通用す るような環
境会計 システムの構築 が必要 となる。 なぜ な らば、
中国へ進出 して くる外資企業 に、彼 らが行 う経済 活動 は中国の自然環境 に与 える影響 を適切 な形で 開示 させ ない限 り、外資企業 による 「資源浪費」
が、引 き起 こされ る可能性 が極 めて高いか らであ る。 それゆえに、中国は、WTOの加盟後の 「国門
」
の打開に伴い、それに関連す る措置 をとる必要 が ある。その中で も特に、国際的に通用す る環境会 計制度 を制定 し、企業 に実施 させ ない限 り、資源 の浪費 と汚染 は避 け られない (注15)0
中国が環境会計 を実施す るとい うことは、先進 国企業 による中国の 自然環境 「略奪」 を抑制 し統 制す るとい うことである。 それゆ えに、中国は環 境領域 に関す る統一的な基準 を作成 し、その基準 を適用す ることによって、外国資本 が中国の自然 環境 を破壊 す ることを抑制 ・統制 し、環境保護 を 果 た してい くことが重要である。
(4)環境会計の実行 は、企業 自身の発展か らも要 求 され るものである。中国の汚染物 はその排出量 か ら見 ると、工業か らの排出量が70%を占め、工 場 が主 な汚染源 となってい る (注 16)。 そ して前 述 した よ うに、過去 の 中国 にお け る伝統 的企業 の発展形態 は資源消 耗 が多 く、資源利 用率 が低 い。いわゆる廃棄物排出量が多い 「粗放型」であ る。 それ は次の3つの点 が、企業 の経済発展 の中 の環境要素 を損なった ことに原因がある。① 「多 くの生産要素投入に対 して、少 ない生産量」 とい う状況下で、過度 な資源開発や深刻 な自然環境破 壊 が必然的に発生 した。② 「高い資源消費率 に対 して、低 い生産効率」 とい う状況下で、過度 な資 源浪費が必然的に発生 した。③ 「高い汚染度 に対 して、低 い環境保全効果」 とい う状況下で、自然 環境補償能力 を失 った結果、企業 自身の発展 を妨
げることとなった。
現在、中国経済の急速 な発展 に伴 って、人々の 需要 は多元化 し、物質的な需要増加 に加 えて、精 神的な充足 に対す る需要やク リ‑ンな環境 に対す る需要 が増加 してい る。 その結果、企業が投資計 画の評価 をす る際に、環境汚染の コス トを過小評 価す ることがで きな くな りつつ ある。す なわ ち、
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企業 が 日常的な経営活動 を実施す る際に汚染の予 防 ・対策 をとることが、必須 となったので ある。
換言 すれば、経済的な企業経営の 目標 を確立する と同時に、汚染対策の整備 ・環境保護 ・資源利用 など多数の 目標 を考慮 しなければな らず、企業は 社会的責任 を担 うこととなった。 この ことは、長 期的利益 とい う視点か らすれば、中国企業は競争 を有利 に進めるために社会的責任 を考慮 し、自社 の価値 を高めてい く必要 があるとい うことを意味
してい る。
企業の環境会計導入 は、企業の外部へ環境会計 情報 を提供す るだけでな く、内部管理 において も 有用性 を発揮す る。環境の視点 を考慮 した投資意 思決定や、 日常的な環境関連活動の管理統制 と事 後分析評価等 を実施す る際の判断情報の作成 と提 供 を、環境会計は包含 している。 これに加 えて「最 高」の経済効果 と環境効率向上 を追求す ることに よって、環境会計 はその情報の価値 を体現す るこ とがで きる。例 えば、企業 は新型の環境保護設備 を購入す るか、罰金 と排汚費 を引 き続 き支払 うか のいずれが自社の経済的利益 を増加 させ るか、あ るいは減少 させ るかを認識す ることがで きる。 ま た、古い設備 を使 用 し続 けることと新型の設備 を 導入す ることのいずれが経済的であるか、 さらに は、既存の製品 を引 き続 き生産す るか、設備 を更 新 して、 より環境 に対す る負荷の少ない 「ク リー ンな製品」 に転換す ることのいずれが自社にとっ て適切 であるか といった、様 々な意思決定の局面 に環境会計の情報 は用いることがで きる。
以上の諸点か ら、中国の経済発展 には環境への 配慮が必要不可欠であ り、環境会計の展 開は中国 の発展、ひいては国際経済の発展 に必要 なのであ る。では次に、環境会計の展 開について考察 して み よう。
3.環境会計の展開
中国の環境会計 を実務の面か ら見 ると、専門的、
かつ制度 に則 った活動 が行われていない。 しか し、
事実上、企業 が直面す る環境問題 と、その解決行 動 としての環境活動は、それ らが明確 な財務的影
響 を発生す る際に、現行の会計処理方法で通常の 財務会計問題 として処理 されている。
例 えば国家 あるいは地方の環境保護機 関の規定 によって企業が支払った排汚費や、企業の環境保 護部門の経費支出などは、本来環境費用で処理 し、
計上すべ きものである。 しか し実際には、環境費 用 とは関係 ない、管理費用 として計上す ることに なっている。 この ことに加 えて、既存の設備に増 設 した環境保護施設の支 出を、環境費用 とは関係 のない固定資産 に計上す ることもある。前世紀の 1980年代半ばか ら、国家統計局 と国家環境保護総 局は、企業 が環境基本状況の統計表 を編成 し、国 家 に申告す るように要求 した。 しか し、それ らの データは国家機 関 と関連部署 しか調査で きないた め、その他の外部組織等が企業の環境状況 ・環境 業績 などの情報 を得 る機会は制限 されていたので
ある。
(1)中国の環境会計の研究状況
中国 の環 境会 計理 論 に関す る最 初 の提 示 は、
1990年代初 頭 に、葛家瀞 教授 の論文 に よって な され た (注17)。それ を契機 として、環境会計 は、
中国の会計理論研究会で反響 を呼んだ。中国の環 境会計の研究 について、中国は遅れている。 この 研究領域 に対 して一層成果 を向上 させ るために、
会計の学者 ・研究者 ・実務家、そ してその関係者 らが共同 して努力 してい くことが必要である。
しか し現在、中国の環境会計 については、米国 のEPAの よ うな権威 ある機 関か ら発著 された環境 コス トに関す る手引 きもな く、日本のよ うに 「産 ・ 官 ・学」が連携 して普及 したよ うな状況で もない。
近年、中国の研究者達 は、協力す ることな く個人 的に環境会計 に関す る研究 を進めてい る。企業 と 会計実務界 は環境会計 に関す る研究が相 当に遅れ ている上 に、学者 と企業、学者 と会計実務界 との 間の 「老死不相往来」、 日本語 に訳せば 「互 いに 付 き合 わず、往来 もしない」 とい う状況 を無視で きないのが現状 である.また、学者 か らのアンケー ト調査 にす ら応 じない 「片思
い
」状態で、 日本の リコー、富士通、宝酒造の ように、企業 か ら自主 的に環境会計の開発研究の報告 も見 られない。筆者 は中国の環境会計における国内研究文献 を 検索 した結果、2003年12月までに、中国国内にお いて発表 された、200余の環境会計 に関す る研究 成果 お よび文献の存在 を確認 してい る。 これ は、
1995年か ら2003年 まで各年度 に発表 した文献の数 である。なお、その後の中国の研究者 たちによる 環境会計 に関す る研究 は積極性 を増 してお り、環 境問題 が重視 されている今 日では、環境問題 に対
してよ り意欲的な姿勢がみ られ るO
ここで上述の、中国で発表 された、環境会計に 関す る205部の文献の内訳 を、以下 に概述 してお く。環境会計の基本的理論研究 と理論の紹介等の 文献 は多 く、両者 あわせて113部で、文献総数 の 55%を占めている。 また、環境会計の生成 と発展 や、環境会計の計算体系および環境情報の開示 な
どに関心が強い とい う傾向がある。 しか しなが ら、
海外の環境会計の実務 と中国の実情 を結合 し、企 業環境会計の側面か ら、環境会計の実務的方法に まで論及 した文献は、残念 なが ら見当た らない。
(2)中国の環境会計研究の今後の方向
中国会計学会環境会計専門委員会 が2001年 1月 に発足 して以来、初めての環境会計 シンポジウム が2001年11月24日南京大学で開催 された。中国全 土30余校 か ら40余名の代表 が出席 した この会議で、
環境会計 についての議論 が行われた。同会議では、
中国科学院の牛文元教授、中国人民大学の秋建新 教授、清華大学の謝徳仁博士 と南京大学の楊雄勝 教授 らがそれぞれの論題 を発表 している。 この会 議 は中国環境会計の推進や今後の研究方向に対す る重要 な意義 を持 っていたと位置づけ られている (注18)。
Ⅱ
中国における環境原価の計算2004年現在では、マクロ的視点において中国の 伝統 的企業発展形態が 「高投入、高汚染、低効率」
とい う 「両高一低」の発展形態であることを、明 確 に認識す ることが可能 となっている。 これは持 続可能 な発展戦略 と逆行 しているO企業の業績 を 正確 に計算 したいのな らば、必然的に企業の環境 保護における費用 ・収益 ・資産 と負債 を計算 しな
ければな らない。環境会計 を実施 す ることは、企 業の業績 と国民総生産 を正確 に測定す るべ きであ るとい う要求 と同義 で ある。 ミクロ的視点では、
環境会計の実施 は企業競争力増強に影響 を与 える。
これ は企業 が ク リー ンな製 品 を開発す ることに よって得 られ る市場の確保 とい う側面 だけでな く、
環境保護 に関す る情報の開示 によって得 られ る自 社 イメージの向上等 といった側面、 さらには環境 会計の計算の結果可能 となる環境関連の損失 ・支 出の回避等 といった側面 を考慮す る必要 がある。
1.環境原価計算
現在、環境原価の定義、内容 とその分類 につい ての国際的な環境会計基準 は制定 されていない。
中国国内 と海外の環境原価に対す る認識 に差異 が ある状態である。すなわち、その使用 目的が異 な るため、その表現 も異 なることとなっている。な お、国際的な視点 において も、環境原価の定義 は 統一 されていないのが現状である。
中国には、環境原価計算 に関す る基準 (制度) は制定 されていないが、海外の研究の影響 を受 け て、国内の研究者 が環境原価の分類についての研 究 に進展 があった と指摘で きる。 ここで2つの代 表的な見解 を検証 してみ ることとす る。
一つ は北京大学の王立彦教授 が 「環境原価計算 と環境会計体系」の論文で、環境原価 について分 類 を行ったことである。彼 によれば、環境原価の 明確 な定義 は難 しいが、い くつかの側面か ら環境 原価 を解釈す ることがで きるとしている。そ して、
それ は確認 と測定が可能であると論 じた。王教授 による環境原価の分類 は、以下の ようにな されて いる。
①空間的視点によって環境原価 は、内部環境原価 と外部環境原価 とに分類で きる。①時間的視点か ら環境原価 は、過去環境原価、当期環境原価 と未 来環境原価 とに分類で きる。 そ して③機能 によっ て、環境原価 は発生 した環境損失 と支 出の補償、
環境の現状維持による支出 と偶発的環境損失の予 防 に よ る支 出 な どに分類 で きる と して い る (注 19)。
10 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第9号 2005年3月
彼 は、内部環境原価 と外部環境原価の区分 は、
企業の負担 を計上す るか否か とい う基準で行 った としてい る。内部環境原価 は環境要因で発生 した 企業が負担 ・計上す る貨幣的な費用 をい う。 それ らの費用 は排汚費、環境の罰金 と賠償費用、環境 整備及び環境保護設備投資 な どが含 まれてい る。
外部環境原価 は企業の経済活動 による環境影響 を 負担すべ き費用であるが、 これ らはいまなお明確 に測定で きないとい う点 を指摘 している。環境 に 影響 を及ぼす とい う事実上の 「環境原価」 は、「環 境法規の改善 と環境会計基準の制定に伴って、内 部環境原価 に転化す ることは時間の問題で あ る」
と指摘 している (注20)。
発生の時間による分業削こついては、当期で確認 された環境原価 を各期汚染損失の補償の対象 とし て行 った。つ ま り、過去環境原価の当期支 出は、
過去で発生 した環境費用 とな り、発生 した環境汚 染 の処理 あるいはその損失 の補償 を指 してい る。
当期環境原価は当期の支出であ り、当期で発生 し た環境費用 とな り、当期環境汚染 と当期環境損失 の補償である。 そ して、未来環境原価は当該会計 期間に未来の環境損失の処理 と補償のための見積 額で、環境原価の準備金 を計上す ることとなる。
異 なる機能 とい う視点による環境原価の分類 に ついては、過去の補償、現状維持 と未来の予防 と い う機能で行われ る。過去環境原価は、発生 した 環境損失 を企業が負担す ることを示す。すなわち、
過去の損失の補償 に関わる支出である。当期環境 原価は環境原価の発生 と環境影響 が共 に当期 に発 生 した場合 に計上 され る。環境原価計算の 目的は、
環境原価 を維持す ることである。環境損失 を予防 す るための環境支出は、環境損失の予測で、 自主 的な予防支出であると考 えられ る。
王教授の分類は、特 に発生 の時点による四つの 分類 と、異 なる機能 による環境原価の分浮 を、明 確 に区別で きない点が問題である。 しか し、彼の 見解 は、今後 中国の環境原価計算 に対 し、啓発 を 促すであろうとい う点において高 く評価で きると 筆者 は考 える。
そのほか、干啓武、徐瀧、易験 の 「ISO9000シ
リーズ とISO14000シ リーズの結合研究」(ISO9000 質量体系与ISO14000環境管理体系結合 研究) で
は、環境原価 を自然資源消耗費用、生態資源の降 級費用、 自然資源の基本保有量の維持費用、そ し て生態資源の保護費用に区分 してい る (注21)。
2.環境原価計算 システムの確立
中国における環境会計理論上の主張 は概ね2つ に分 けられ る、一つ は伝統 的会計 システムにおい て、環境保護の内容 を環境 の要素 の認識 ・測定 ・ 報告 などを加 えること、 もう一つは新 しい環境会 計 システムを構築す ることなどに分 け られ る。 し か し、後者の新 しい会計 システムの構築 には さま ざまな困難が伴 うので、中国の会計界 は前者 を選 択 しようとい う傾向にある。
環境先進諸国 を実務上か ら見 ると、すでに環境 会計の主 な内容 は企業の環境報告書 に環境情報の 開示 を取入れ ること、 また、会計処理上で、環境 保護費用 と収入 を独 自計算す ること、新 しい業績 評価体系 を採用す ること等が存在す る。 そ して会 計処理の基準が企業の環境保護意識 を強調す るこ と、 さらに、会計主体の活動の内外部経済や不経 済 などを反映す ることに関す る研究 が進 んでい る。
(1)環境情報の開示 における環境原価計算の強化 会計発展史の視点か らす ると、会計学の発展 と 環境会計 は同様の発展形態 をとって きていると見
ることがで きる。すなわち、実務の発展が先駆 け とな り、理論 と準則 が実務 に基づ いて生成 され、
そ して実務に影響 を与 えるとい う発展形態である。
先進国の環境会計の発展過程 を見 ると、 まず環境 原価の計算 と開示 がな され、次にこの環境会計の 実務の影響 で会計準則および政府の政策 に影響 を 及ぼす。 そ して環境原価 に環境会計 と環境管理 を 結合 して用い られ るとい うような形で、環境情報 の開示 とい う行為の上で、漸進的に展開 して きた のである。具体的には、例 えば イギ リスでは、環 境情報開示 は最初 に社会責任報告の一部分 として 認識 され、 その後、年度報告 され る情報の一部 と され、最終的に単独で環境報告 を編成す るとい う 展開が行われて きた。 これ らの流れか ら、中国の
会計主体の最 も重要 な任務 は、環境情報の公表 を 強化す ることであ り、そ して会計準則の 「偶発事 項」 を参考に し、環境負債 と環境費用 (政府規定 の緑化費用、環境法規制の違反で招いた休業、罰 金 など) を計算す ることであると筆者 は考 える。
(2)環境会計 システム確立の強化
環境先進国の実例 か ら見 ると、環境法規の整備 と現行の環境法規制 を厳格 に実行す ることが同時 に行われている。具体的には、 まず新 しい環境法 規 を制定 し、改善す るべ きである。 日本の環境省 は 「環 境会計 ガ イ ドライ ン」、「環境会計 ガ イ ド ブ ック」 を相次いで公表 し、 日本企業の環境報告 書の発行や環境会計の実施 に対 して大 きな役割 を 果 た した。 さらに同省 は2003年 に 「環境報告書 ガ イ ドブ ック (2000年版)」 の改正 を行い、2004年 5月に国会で 「環境情報の提供の促進等 による特 定事業者等の環境 に配慮 した事業活動の促進 に関 す る法律」が成立 した。同法の成立の結果、 日本 企業の環境会計の実施及び環境報告書の発行がよ りいっそ う推進 され るとい う成果 になって現れ る と予想 され る。
次 に、環境会計基準の設定である。2004年時点 における会計実務 を見 る限 り、多 くの環境法規制 は会計事項処理 との関連性 が少ない。それゆえに、
会計上、環境会計情報 を取 り入れてい くといった 処理 を行 うのは困難である。 また、環境関連事項 の処理の方法が多様であるため、会計の根本的な 段階か ら環境 関連情報 を取 り入れてい くことは、
相当に困難であることが予想 され る。 しか し、環 境情報の開示 が一定の程度 になると、会社に対 し 環境整備 ・保護 ・予防 ・管理に関す る費用支出の 会計処理 (認識、測定含む)が要求 され るよ うに なる。それゆえ、環境会計基準の設定が必要である。
最後に、環境会計の監査 を強化す ることの必要 性 を指摘 してお く。世界の大手会計事務所 は、環 境会計 を相当に重視 している。 これは環境会計の 実務 と理論の研究の推進 にとって非常に重要 であ る。中国政府 は環境会計 (環境監査) を強化すべ きである。それにより、環境会計 と環境法規の執 行状況 を監督 し、会計主体 (企業)の環境保護意
識 を強めることや、環境原価計算 など環境情報の 公表 を促進す ることが可能 となるか らである。
Ⅱ 中国 における環境会計の現状
1.中国における環境会計情報開示の現状 (1)一般企業 の環境会計情報開示の現状
中国における企業の環境会計情報の開示 は、海 外の開示状況 に比べ ると遅れてい る。 中国では、
環境保護 における資源 と環境保護 に関す る多数の 法規制の相次 ぐ公布 とともに、多 くの行動計画 と 戦略法案 を制定 した。特 に、環境保護の実践 にお いて は、「誰汚染誰治理、誰開発誰保護、誰利 用 誰補償、誰破壊誰回復」 とい う 「汚染者負担原則」
を制定す ることに よって (注22)、ある程度、企 業の環境会計の情報開示 を促進 して きた。 しか し、
それ らは完全 といえない。その実施細則が明確で はな く、特 に操業度 を改善すべ きである。 さらに 環境会計情報の開示 の具体的な法律、規定等に も 問題があるし、実務的な側面では企業の環境保護 責任の不確定性や、公認の測定基準や環境情報の 収集等に問題がある。
現行の会計制度 においては、環境保護費用に関 す る会計計算体系 を確立 していないので、企業の
「管理費用」勘定科 目の中に 「排汚費」 と 「緑化 費」 項 目で開示 してい る (注23)。前者 は企業 が 規定の通 り徴収 され た 「排汚費」 (汚染物 を排 出 したため課 された費用)で、後者 は企業が敷地内 で緑化活動 を実施す るために発生 した費用である。
しか し、企業の経営活動 は人々の生活環境 に対 し て重大 な影響 を及ぼ している。 そのため、企業が 社会 に対 して環境会計情報開示 の責任 を果 たすべ きである。現時点では、中国の企業が環境会計情 報開示 はまった く利害関係者の要求 を満 た してい ない。利害関係者 をいかに満足 させ るか、利害関 係者 か らはどのような情報が要求 されているのか。
これ らについて中国の環境会計情報開示 は、今後 解決 していかなければな らない。
(2)上場企業の環境情報開示の状況
上述のような状況の下、筆者 は2002年末 まで上 海 ・深別証券取引所で上場 した建築、建築材料業
12 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』 第9号 2005年3月
界 の59社 を調査 した (注24)。資料収集 を行 った 58社中、環境情報 を開示 したのは29社であ り、調 査企業の50%に達 している。1993・95年の上場企 業 は、環境情報 を開示 しなかった。 また、1994年 の8社、96年の1社 などを除いて、1997年以降、
上場企業の開示企業が半数以上 を占めている。
2.中国の企業環境会計情報開示に関する諸規制 (1)一般企業の環境情報開示 の規制
「中華人民共和国清潔生産促進法」 (以下清潔生 産促進法 と略す) に基づいて、2003年9月に、国 家環境保護総局が企業の環境情報開示 をす るよう に通達 した。 この通達 は各省 (自治 区 ・直轄市) の環境保護部門が「清潔生産促進法」の規定に沿 っ て、任意的にメデ ィアで定期的に汚染物や、汚染 物 の排出総量の規定や、それ を超 えた厳重汚染企 業の リス ト (ブラック リス ト) などを開示す るよ う指示す ることである。 ブラック リス トに載 った 企業 は、 この通達 によって、2003年10月末 までに、
2003年上半期の環境情事臥 そ して2004年か ら毎年 3月31日まで前年度の環境情報 を開示す ることと なる。また、ブラック リス トに載 っていない企業は この通達 を参考 に し、任意的に環境情報 を開示す る。 この通達 は強制的開示環境情報 と任意的開示 環境情報 とに分類 され、それぞれにあわせて企業 は定期 的な環境情報の開示 を要求 され る (注25)0
上述 した規定 は強制的環境情報開示 と自主 的環 境情報開示 とに分 け られ るが、前者の強制的環境 情報開示 では、内容の真実性、正確性 と、内容 に 関連 した3年以上連続性のあるデータが要求 され る。作成 され る情報の内容は、企業の環境保護方 針、汚染物 の排出総量、企業環境汚染整備の状況、
環境保護法規制の遵守の状況 と環境管理 などが含 まれ る。後者の自主的な環境情報 には、企業の資 源消耗情報、企業汚染物の排出技術的指標、企業 の環境関心度、次年度の環境保護の 目標、主 な社 会 的環境保護活動、環境保護 に関す る受賞、環境 効果、地球温暖化や酸性雨など潜在的な環境影響 などが含 まれ る。 さらにその規定は環境情報の開 示方式、処罰条項 も要求す るものである。
(2)上場企業の環境情報開示 に関す る規制 中国の環境保護法規制の強化や、公衆の環境保 護への関心が高 まるに したがって、中国国内の証 券取引に も影響が及ぼ されている。1997年 に中国 証券監督委員会 (以下、証監会 と略す)が 「株式 発行の企業に関す る情報開示 の内容 と格式準則第 一号 [株発行の説明書の内容及び格式】の通達」の 中に 「株発行の説明書の本文 におけるリスク要 因 とその対策」につ いての規定 を公表 した。それは発 行人の所在業界の特徴、発展趨勢の中に業界の競 争状況、特 に環境保護要 因のけん制や自然資源の 依頼度 などを含めて公表す ることを要求 してい る。
さらに、1999年 に証監会 は 「株式発行企業の情 報 開示 の内容 お よび格式準則第六号 [法律意見書 の内容 と格式】(修正)についての通達」の中で 「発 行人の重大 な債権 ・債務関係」 を規定 した。それ は発行人の環境保護対策、知的所有権、製品の品 質、労働安全等の原因で発生 した債権があるか否 か、それに発行人の環境保護 と製品品質標準」 と い う規定で、発行人の生産経営活動が環境保護関 連政策の要求や、三年以内の違法歴 などを明確 に 開示す るよ うに要求 した ものである。
そ して2003年 に国家環境保護総局が 「上場企業 の申請や上場企業の再融資の申請 に関す る環境監 査 につ いての通達」 を公表 した (環捜[2003]101 号)。 その中に冶金、石油化学 な ど13重度汚染業 界 を暫定 した (注26)。申請の企業 が30日(勤務 日) 以内で環境保護管理部門の監査 を受 け、その結果 を環境保護総局のHPで10日 (勤務 日)間に公表 し、
公示の状況 にあわせて、最終の監査結果 を中国証 監会 に通報す る。同通達 は、汚染業界 における上 場企業の環境法規制の遵守や、上場企業の環境汚 染による投資 リスクの回避、社会資金調達の投資 方向の統制など、重要 な役割 を果 た している。
Ⅳ 日中両国の企 業 における環境報告書 の現状
1. 日中両国における環境報告書のアンケー トの 結果
(1) 中国の環境報告書の調査結果
中国の アモ イ大学会計研究 セ ンタ‑の李建発、
肖撃両氏 (以下 アモ イ大学研究チームと称す) が、
2001年7月に、 アンケー ト調査 を行 った。 ここで 中国における企業環境報告書のアンケー トと実態 検証について概述すべ きであるが、本稿では紙面 の関係 もあ り割愛 した。 このア ンケー トと実態 に ついては、筆者の 「中国における企業環境報告書 の現状 について一考察」2004年第8号 『研究年報
』
を参照 していただきたい。
このア ンケー トの回答全体に対 して、ISO14001 認証取得企業 ・サ イ トは40%を占め、3年以 内 にISO14001の認証 を得 ようと計画 している企業 ・ サイ トは75%を占めている。会計事務所 か らの回 答状況 を見 る と、ISO14001の認証企業 は25%を 占めている (注27)0
持続可能な発展理論 については、回答者の18%
は 「持続可能な発展理論はで きる限 り生産性の拡 大 を意味す る」 と考 え、回答者の21%は 「持続可 能な発展理論 は環境汚染の抑制 を意味す る」 と考 えている。回答者の9%は 「この理論 は人口の増 加 を抑制す る」 ことと考 え、回答者の54%は 「持 続可能な発展理論の核心の内容 は環境保護 を意味 す る」 と考 え、回答者の15%は 「その他」 と考 え てい る。
なお、ISO14001の認証 につ いての調査結果 は 以下の通 りである。すなわち、回答者の30%は「大 体分 ってい る」、回答者 の48%は 「聞いたことあ るが具体的な内容 が分 らない」、回答者の22%は
「ぜんぜん分 らな
い
」 と回答 した。以上 の結果 に よ り、持続 可能 な発展理論 に関 す る認識 につ い て は環 境保 護 と認識 して お り、
ISO14001環境管理国際標準 につ いての認識 は ま だ不充分であることが判明 した。その他の注 目す べ き結果 として、以下 に3つの点 をまとめてお く。
①環境支 出 ・環境収入項 目およびその会計処理 : 関連企業 の 「環境支 出」 と 「環 境収 入」科 目お よび会計処理の調査結果 は、旧設備改造 と更新 に 関す る環境保全支出、新 しい投資プロジェク トに 関す る環境施設支出、排汚費 (注28)に関 しては、
最 も高 く93%、89%と89%であった。その中に独
自帳簿で記載 された排汚費が71%であった。 そ し て、企業環境収入科 目および会計処理 についての 上位 の三項 目は、企業 の 「三廃」 (注29)の リサ イクル製品による収入、企業の 「三廃」の リサ イ クル による税金滅免除収入、顕著 な環境保護業績 について国か らの賞金 に関 しては、82%、66%と 61%であった。
② 企業環境 問題 の財務 的影響 (問題6):今 回の 調査 は回答者の問題6に関 しては5つ等級 に分 け て い る (5‑非常 に同意、4‑同意、3‑不確 定、2‑不 同意、1‑非常 に不 同意)。 この調査 はSPSS10.1とい うソフ トに よって調査 の 回答 回 数 を統計 ・分析 し、平均値 と標準偏差 を計算 して きた。次に問題6についての調査結果 を検討 して み よう (注30)0
問題⑥、⑦、⑧ につ いての調査結果 として、回 答者 は企業の株価 が環境問題 に関す る影響 を確定 で きない ことであると考 えてい る。 しか し多 くの 回答者 は企業 が負担可能 な環境負債 を低 く予想 し、
新 たな環境法規 が企業 に環境負債 をもた らす と考 えている。
問題⑩の調査結果 として、企業 は環境 に関わる 支出が特別の税収優遇政策 を補償すべ きであると 考 えている。 また、企業の環境保護行為 に対 して、
財政の補助や政策の誘導の必要 があると考 えてい る。
問題⑮の調査結果では、企業の潜在的な環境問 題 は情報使用者の意思決定 に対 して影響 を及ぼす ことが示 された。問題⑦ と(釘に併せて、企業は財 務報告書 における発生可能 な環境負債 を十分に開 示 しない場合、情報使用者の意思決定 に影響があ るだけに限 らず、誤 った意思決定 をもた らす可能 性 があると考 えられ る。
企業の環境報告書の現状 と環境情報需要 につ い て、企業 は財務諸表の中に環境情報 を含めてお ら ず、そ して将来、 3年以内に環境会計情報の開示 を行 うとい う計画 も立てていないため、現在の企 業 は環境会計情報 システムを構築 していない と認 識で きる。 さらに、企業 における環境会計基準や 環境会計情報開示 に関す る規定がないため、近い
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将来に企業は自主的に環境会計情報 を開示す るこ とが困難なのである。 しか し、問題⑬の調査結果 は、上場企業における環境汚染 ・損失 ・環境保護 等の環境情報は年度報告書の中で公表すべ きとい う回答者の考 えを示 している。 このことか ら、企 業 は環境情報に関 して、情報使用者の情報供給要 求 に応 じないとい うことが判明 した。
ア ンケー ト結果か らす ると、回答者の多 くが、
環境情報は年度報告書等で外部の情報利用者 に開 示す る姿勢 を示 した ものの、環境会計情報に関 し ては外部の情報利用者か らの情報開示要求に応 じ るとい う姿勢 を必ず しも見せていない。
現在の中国における企業が公表 した環境会計情 報は、比較可能性が欠けている。 さらに 「環境支 出」 と 「環境収入」 とい う特別帳簿 を設置 してい ないだけでなく、多くの企業はそれ らの項 目を計 上 しなかった。 この非規範的な状況では、企業の 環境会計情報の比較可能性 に影響 を及ぼ し、その 有用性に も悪影響がある。問題⑰の調査結果か ら は、情報使用者が規範的な環境会計情報に対 して 期待 していることが伺 える (注31)0
(丑企業環境報告の動機 と利用者 (問題11)に関 する設問には、現在中国の環境報告書は強制型 と 自主型が並存す る状況で、強制型 は70%と大 きく リー ドしているo中国政府管理機関の関連規定に よって、企業は定期的に地方の環境保護部門に環 境情報の提供が義務づけられている。なお、 この 環境報告情報の内容には、企業の 「三廃」の排出 および処理状況、汚染物の観測 と処理状況の環境 統計報告が含まれている。
環境報告書の利用者 については、政府管理機関 が主 な利用者であった (52%)。次 に投資者、金 融機構、顧客、マスコ ミ、従業員、経営分析担当者、
社会公衆などである。 この結果、現在の企業環境 報告書 は国家のマクロ環境管理 と汚染処理 目的で 供することが中心 となっている。そのため、企業 の環境報告は他の利用者の情報ニーズを無視す る 傾向があり、環境情報の提供 も不完全である。
④企業環境報告書の内容 (問題9)の設問では、
回答者 は調査票の中で環境報告書の内容に対 して
すべて賛 同 している。企業環境報告書の内容 は、
情報利用者 が企業の経済活動によって環境に対す る影響 を把握 しようとす ることではなく、環境問 題によって財務的影響 と環境業績 を把握 しようと す ることである。
この調査結果は環境報告の内容について回答者 らが賛同 しているとい うことであった。 これ らの 情報利用者 は企業の経済活動に関する環境影響 を 承認す るだけではな く、環境問題に対する財務的 影響 と環境業績 も承認すべ きであるとい う結果が 出た. さらに、 これ らの情報利用者 は、アンケー トに関す る企業環境報告書の内容についても認可 していることが表明 されている。表 に現れた平均 値 は大 きければ大 きいほど、数値の信頼度が高 く なるとい う 「統計検定」 を推定できる (注32)0
(9企業の環境報告の方式 とベース (問題8と問 題11)に関す る設問では、57%の回答者は企業が 個別な環境報告書 を編成すべ きであると考 えてい る。 また、40%以上の回答者 は、企業の環境情報 が理事会 に報告 され るだけでなく、決算報告書の 中に提供 され るべ きであると考 えている。 さらに 54%の回答者 は企業の環境報告書は毎年一回作成 され るべ きであり、33%の回答者は企業の環境報 告書 を四半期毎に作成すべ きであると考 えている。
①環境報告書監査 (問題12)の調査結果では、
大半の回答者 は環境管理体系認証センターが企業 の環境報告書 を監査すべ きであると考 えてい る。
このような状況 を鑑みると、環境報告書に関 して は、未だに環境に対す る影響の技術的指標 しか認 識 されていないと筆者は考 えている。
(2)日本の環境報告書の調査結果
2001年 に 日本環境省が東京、大阪及び名古屋証 券取引所 の一部 ・二部上場の企業 と従業員500人 以上の非上場企業 を対象に 「環境にや さしい企業 行動調査」についてアンケー トを実施 した。有効 回答数 は2,898社 であった。 その調査 の結果、調 査企業の16.94%に相当す る491社が環境会計 を導 入 してお り、調査企業の20.01%にあたる580社が 導入 を検討 してい る。す なわち、 あわせて1,071 社の企業 が導入 もしくは検討中であ り、調査企業
の36.95%に達 してい る。
また、2003年の 「環境にや さしい企業行動調査」
による環境会計 を導入 している企業 は573杜あ り、
導入 を検討 してい る企業 は461社 ある。両者 を合 わせて、調査企業の34.9%を占めていることがわ かった。 さらに同調査 によれば、環境報告書の発 行企業 は2003年 に650社、公表 を検討 してい る企 業 は251社 に達 してい る。今回の調査 は2001年 の 調査 と比較 して、導入企業 は82社増加 した。 ちな みに回答全体で見 ると、上場企業の15%の企業 が 環境報告書 を編成 ・発行 している。
ISO14001の推進 に したが って、第三者 の認証 が契機 とな り、環境会計の展開は一層促進 された。
2004年2月末 まで、 日本全 国の13,819サ イ トが認 証取得 した。 それ を契機 として、環境会計の導入 企業は、特 に環境報告書における環境会計情報 を 公表す る企業が増 えて きている。企業 は環境保護 を通 して、社会 とのコ ミュニケーシ ョン ・社会の 好感度 を向上 させ、そ してその社会的貢献 をす る こととなる。
さらに、 この調査 によると、回答企業の20%が 第三者認証機関の認証 を取得 し、35%が認証取得 を考慮 している。すなわち、あわせて55%の企業 が第三者認証機 関か らの認証取得 に関心 を持 って いるとい うことが示 された (注33)。
2.両国環境報告書アンケー トとの比較 (1)中国環境報告書の調査 に関す る結論
現在では、中国における企業環境報告書の現状 と環境情報ニーズに関 して、現行の企業環境報告 書の欠陥および財務報告諸表の内容が不充分で あ るので、筆者 は中Egにおける企業環境報告書の フ レームワークに関 して、以下の6つの要素 を考 え るべ きであると考 えている。
① 中国企業 の環境報告書 の利 用者 と 目標 につ いて。今回の調査の結果によれば、政府管理機 関 が、2004年現在の中国企業環境報告書の主 な情報 利用者である。中国の持続可能な発展戦略の実施
に伴って、 この経済発展のモデルは重エ ネルギー、
重汚染の増加モデルか ら省エネ、無汚染 (清潔生
産) (注34)の増加 モデル に転換 され る。 これ に 従 って、産業構造の大規模 な調整 が行われ るべ き である.すなわち、重エネルギー、重汚染 とい う 伝統的な産業 を大幅に圧縮 し、省エネ、無汚染の 環境保護型産業
、
「資源節約型」
「環境重視型」の 産業 を即時に発展 させ るとい うことである。 そ し て、政府の環境法規 と環境管理標準 を一段 と厳 し くしなければな らない (注35)。 こ うした状況 の 中で、中国企業 は経営における環境の影響 を重視 し、環境品質 に関す る企業の持続可能 な発展の重 要性 を認識 し、企業の発展戦略 として 「効果優先」、「資源節約」、 「環境重視」 を指針 と してい る。環 境活動は企業の経営活動の重要 な構成要素であ り、
企業の ライフサイクルの中に深 く浸透す ることに なる。環境情報 は企業の持続 的な経営、業績評価 と投資意思決定の過程 に不可欠な重要情報 となる。
(夢中国における企業の環境報告書の主体 につい て。
今回の調査の結果が示 しているように、新 たな 環境法規 は企業の潜在的な環境負債 を発生 させ る 可能性 があるが、企業 は一般的にその見通 しをも たない傾向にある。 もし企業 が財務諸表の中で環 境負債 を充分に開示 しないとすれば、情報利用者 の意思決定に影響 があるだけではな く、意思決定 を誤 らせ る危険性 もあるため、株式市場の正常 な 発展に悪影響 を及ぼす。短期的には、上場企業 が 率先 して企業の環境報告書 を開示すべ きであると 筆者 は考 える。
(参中国企業の環境報告書の内容 について。企業 の環境報告書の内容 は、情報利用者のニーズ を反 映すべ きである。 もし中国の企業環境報告書の主 な利用者 が政府機 関、投資者、金融機構 とすれば、
その内容 はこれ ら三つの主 たる利用者のニ ーズ を 考慮すべ きである。今回の回答者 に投資者 と金融 機構が含 まれていたことか ら、環境報告書の内容
も利用者の情報ニーズ も明 らかになった。 そ して、
現在の環境影響情報 を充実 させ るために、中国の 企業環境報告書 は企業の概況 と環境方針、環境会 計情報、環境業績 と評価指標、環境監査等の内容 を増やすべ きである。
16 神奈川大学大学院経営学研究科 『研究年報』第9号 2005年3月
(む中国企業の環境報告書のモデルについて。中 国企業は以下の二つの環境報告書モデルで環境情 報 を開示す る。一つ は、補充報告モデルである.
このモデルは、既存の財務報告書の下で会計科 目 の増加によって、会計諸表で企業の環境情報 を開 示する。それによって、補充報告書モデルは既存 財務諸表の不充分な状況 を補 うとい う形で、既存 の財務報告諸表 を補完 ・拡充する。
もう一つは、個別環境報告書モデルである (注 36)。個別環境報告書 モデル は、現在の先進国が しば しば利用 してい る環境報告書モデルである。
このモデルは、企業は環境受託責任 を負 う存在で あり、関連情報 を全面的に報告すべ きであるとい う考 え方 に基づいている。 このモデルは中国にお ける既存の環境報告書の欠陥を補 い、既存の財務 報告諸表 も補完す る。個別環境報告書モデルの具 体的な内容は企業概況 と環境方針、環境標準指標 と実際指標、廃棄物、製品包装、製品、汚染物排 出、 リサイクル等の情報、それに、環境会計情報 (環境支出、環境負債、環境整理準備金、環境収 入) などを含む。 さらに同モデルでは、環境業績 情報 (環境処理 と投資、奨励 など) と、環境監査
なども包含 している。
現在、中国における環境会計準則が空 白とい う 状況の中で、企業はまず、個別環境報告モデルで 環境情報 を開示すべ きである。将来中国の環境会 計準則が制定 されたあとで、補充環境報告書モデ ル を利用す るのが望 ま しいと筆者 は考 える。
①中国企業の環境報告書の開示について。中国 の社会主義市場経済において、政府機関がマクロ 環境管理の中で重要な役割 を発揮 しているのに対 し、既存の環境保護局に環境報告書 を提出す ると い う制度 が保留 されている (注37)。中国におけ る企業環境報告書は上場企業の財務報告書の一部 である年度財務報告書 と同時に提出することが望 ましいと筆者 は考 えている。 また、中国は早急に 全国範囲で企業環境報告書 データベースを作成す べ きである。特にインターネッ ト等 を通 じて企業 の環境報告書 を公表 し、企業環境情報報告の透明 度の向上 を図ることが望 ましい。なお、 インター
ネ ッ ト等 を通 じた情報の開示 は、情報の即時性 を 確保す ると同時に、より広範な情報利用者が容易 に情報 を入手することも可能 とする。
⑥中国企業環境報告書の監査について。上述の ように、企業環境報告書の内容は企業経営活動の 環境影響 を含むだけでな く、企業環境活動に関わ る財務的影響 と企業の環境業績 も含むべ きである と筆者は考 えている。 この新たな企業環境報告書 は補充報告書モデル と個別報告書モデルのどちら を採用す るに して も、環境会計情報 を含むべ きで ある。 なお、企業環境報告書の利用者 に対す る、
記載情報の信頼性確保 は必須である。 この信頼性 は、企業 の環境情報の真実性 と情報の検証性 に よって確保 されている。企業環境報告書 において は、公平、公正な検証性 とい う観点により、独立 した第三者の監査が要求 され る。企業環境報告書 に対 して、環境監査 は企業が提供 した環境報告書 の真実性 を検証 し、評価 し、その評価の結果 を監 査報告書 とい う形で環境利害関係者に提示するこ とである。環境報告の監査の役割は真実性のある 情報 を提供す ることである。具体的には、環境監 査の実施者が、企業の環境報告書に記載 された情 報の真実性 を保証 し、情報利用者が、企業が環境 受託責任 を果たす状況 を把握できるようにするこ と。そ して、情報利用者が企業に対 して監督およ び適切 な意思決定 を行 えるようにするために、環 境監査報告書 を環境利害関係者 に正確 な情報 とし て伝達す ることである。
(2)日本の企業環境会計に関する対策
①政府の監督指導の強化 と、健全な法律基礎の 構築。 日本 は企棄環境会計 と関連する法律休系 を 構築 してい る。 日本の政府 は現在 まですでに700 余の環境法律 ・法規 を制定 し、企業の環境会計の 推進に対 して良好な基礎 を構築 した。特に1999年 以降、 日本政府は 「循環型社会基本法」 をは じめ、
多 くの環境会計 と関連す る法規制 を作 り出 した。
日本の環境省は 日本政府における企業環境会計 の実施の担当部署 として、企業環境会計の進行に 対 して きわめて積極的に取 り組んで きた。それは 主に環境会計ガイ ドラインの制定や、現行の 「環