クローン技術規制法第三条の処罰根拠と不処罰根拠
その他のタイトル Zum Strafgrund des§3 vom Gesetz zur
Regulierung der humanbezogenen Klontechnik
著者 葛原 力三
雑誌名 關西大學法學論集
巻 52
号 3
ページ 503‑534
発行年 2002‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/00023522
目 次 一 は じ め に 二規制の概要と問題の所在
1.クローン技術規制法における規制の概要
2.問題の所在
三保護法益の観点から見たクローン技術規制法の一貫性
ー.生まれくる子供の個人的利益ー胚.胎児の生命と子供の福祉
2.個人的利益としての﹁人間の尊厳﹂
3.集団的︑社会的利益としての﹁人間の尊厳﹂
ヽ 舌
十. I 4
四 補 論 ー 指 針 に よ る 規 制 に つ い て
ー.規制の概要
2
. 問 題 点 五 お わ り に ク
ロ ー ン 技 術 規 制 法 第 三 条 の 処 罰 根 拠 と 不 処 罰 根 拠
葛原
︵ 五
0‑
︱ ‑
︶ 力
クローン技術規制法第三条の処罰根拠と不処罰根拠
第 五 二 巻 三 号
︵ 五
0四 ︶
(1 )
二000
年︱
一月
一︱
1 0 日﹁ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律﹂︵以下﹁クローン技術規制法﹂と略
本法に特徴的なのは︑クローン技術及びその周辺技術に対する態度がそれら技術の実行態様と客体の種類によって
極端に異なり︑しかも刑事規制の範囲がきわめて限定されている点である︒即ち︑まず︑本法は︑主として特定種類
の人クローンの母胎への移植に対してかなり峻厳な刑罰を以て臨む一方で︑ヒト胚を含む胚に対して人為的加工を加
えること一般の規制については︑行政法的な指針に委ねている︒さらに︑母胎への移植を刑罰を以て禁止する人為的
な加工を経た胚の種類を限定し︑人の体細胞クローンの母胎への移植については厳しく禁止するが︑いわゆる胚分割
クローンや胚細胞クローン等の移植については全くなんらの規制も行わないという態度を示しているのである︒また︑
生殖補助医療の一環として体外授精されたが母胎に移植される必要のなくなった所謂余剰胚の取扱いも︑
E S細胞の
樹立等との関係で問題となるが︑直接の規制対象とはされていない︒この︑むしろ規制されている範囲の方が狭い点
を捉えて︑﹁クローン技術﹃規制法﹂ではなく︑﹃解禁法﹄である﹂との評価もなされている︒
別の側面から表現すれば︑本法は︑いわゆる生殖補助医療技術の全領域を規制対象とするのではなく︑その一部を
(3 )
もなすクローン関連技術に関係する限度で胚の加工を規制対象としているに過ぎない︒その他の︑生殖補助医療技術︑
( 4)
例えば体外受精︑非配偶者間人工授精︑代理母等の法律的にも倫理的にも未だ議論の残る領域については言及すらな
(5 )
されていない︒この点で本法は︑比較法的に見ても︱つの特異な例である︒本法の立法作業が︑厚生労働省ではなく 記︶が成立し︑二00一年六月六日施行された︒ 関法
は じ め に
文部科学省の主導によって進行したことも︑本法が医療技術規制法ではなく︑科学技術規制法として立法されたこと 以下では︑本法の数少ない処罰規定を刑法学の視点から見た場合︑右のような二つの観点において自己限定的な態
度に一貫した説明を付することが可能か否かを検討する︒
(1
)
立案当局者の言語センスを疑わせる命名である︒立法過程については大洞龍真・ジュリー一九七号︵二
00
一年
︶四
四頁
以下︑町野朔・法教二四七号︵二
00
一年
︶八
六頁
以下
参照
のこ
と︒
(2
)
御輿久美子・御輿他著﹃人クローン技術は許されるか﹂︵二
00
一年︶二五頁︑藤川忠宏・﹃生殖革命と法﹂︵二
00
ニ
年︶一三四頁以下︒
(3
)
この点において本法は︑人の属性を有する胚一般の保護という観点から生殖補助医療技術をも含めた包括的規制をうたう
民主党案
h tt p :ヽ ヽ ww w. dp j. or .j p/ se is ak u/ ky oi ku
ヽB
OX
̲K KO Ol O. ht ml
と決定的に対立する︒生殖補助医療の全領域をカバー
する包括的法規制の必要性を説くものとして︑棚島次郎・科学七0巻二号︵二0
0
開発機構共編﹃生命科学の発展と法﹄︵二 0年︶巻頭言︒なお︑川井健・総合研究
00
二年︶及び同書九頁以下の生命倫理法試案も参照のこと︒
(4
)
従って︑これらの点については︑現在も︑日本産科婦人科学会の倫理会告である︑例えば﹁﹃体外受精・胚移植﹄に関す
る見
解﹂
(‑
九八
三年
︶ ht tp "
︑>
ww w. js og .o r. jp /k ai in /h tm l/ S5 8
ーI
O. ht ml
﹁ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する
見解
﹂(
‑九
八五
年︶
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p:
/ヽ
ww w. js og .o r. jp /P ub
̲R el at e/ S6 0
ー3
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l︑﹁ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する見解﹂
︵一
九八
八年
︶ h tt p : / / ww w. js og .o r. jp /k ai in /h tm l/ S6 3̲ 4 . h日︑﹁﹃非配偶者間人工授精と精子提供﹂に関する見解﹂(‑九九i
七年
︶ h丑 p: /ヽ ww w. js og .o r. jp /k ai in /h tm l/ H9
│ 5.h g
︑﹁﹃ヒトの体外受精・胚移植の臨床応用の範囲﹄についての見解﹂︵一l
九九
八年
︶ ht tp :/ /w ww .j so g. or .j p/ ka ii n/ ht ml /H 10
̲1 0. ht ml
等が唯一の規制である︒これらの諸点は︑当初は主として民事
法の観点からではあったが︑生殖補助医療の規制という視点において包括的に議論されてきた︒例えば︑非配偶者間人工授精
(A
ID
九八五年︶五四頁以下︑岩志和一郎・法時五九巻(‑九八七年︶ーニ号三二頁以下︑人見康子・法セ三四一号(‑九八三 )︑精子銀行︑あるいは代理母等について石川稔・法セ三六二号(‑九八五年︶八六頁以下︑法セ三六三号︵一
クローン技術規制法第三条の処罰根拠と不処罰根拠 を象徴的に示している︒
︵ 五
0五 ︶
年︶九八頁以下︑同・ジュリ八二八号(‑九八七年︶四0頁以下︑早川武夫・法セ三九一号(‑九八七年︶八頁以下︑家永登・法教一三八号(‑九九二年︶四0頁以下︒その後の︑クローン技術をも視野に入れた議論としては︑米本昌平・法民ニ三六号(‑九八九年︶一三頁以下︑白井泰子・法民二三六号(‑九八九年︶三二頁以下︑川口浩一・奈良産一巻(‑九八九
年︶四号五頁以下︑二巻(‑九八九年︶一号三五頁以下︑同三号五五頁以下︑葛原力三・犯刑九号(‑九九三年︶一頁以下︑甲斐克則・広法一八巻(‑九九四年︶二号六五頁以下︑石井美智子・﹃人口生殖と法﹂(‑九九四年︶︑金沢文雄・岡山商科大学法学論叢三号(‑九九五年︶九頁以下︑加藤久雄・﹃医事刑法入門﹄(‑九九六年︶八九頁以下︑虫明満・虫明編﹃人
の命と法﹄(‑九九六年︶九0頁︑石原明・﹃中山研一先生古希祝賀論文集j第一巻(‑九九七年︶四六頁以下︑中谷謹子・法研六一巻二号︑津崎貴之・都法三八巻二号三六一頁等︒
(5
)
生殖補助医療技術の法規制に関する比較法的研究としては︑古くは松川正毅・ジュリ九七三号(‑九九一年︶一〇七頁以下、川口浩一・葛原力三・奈良産四巻二号(-九九一年)七七頁以下、葛原・(前掲注4)、棚島次郎・市野川容孝•佐藤香織・米本昌平・﹃先進諸国における生殖技術への対応﹄︵
St ud ie
s生命・人間・社会二号一九九四年︶︑石井・︵前掲注
4)
が
ある︒最近のものとしては︑棚島次郎・﹃生命科学の発展と法﹂︵総合研究開発機構・川井健共編二
0
0一
年︶
七五
頁以
下︑
棚村政行・藤川忠宏・同書一0九頁以下、三木妙子・石井美智子・同書一四二頁以下、野村豊弘•本山敦・同書一七八頁以下︑床谷文雄・同書二0一頁以下︑本山敦・同書二三0頁以下︑松田晋哉・三木妙子・棚村政行・松川正毅・菱木昭八朗・
床谷文雄・石明寛・岩本治也・錬陽子﹃諸外国の卵子・精子・胚の提供等による生殖補助医療に係る制度および実情に関する調査研究
( H l 3 ‑ 特別I0
06
)﹄︵厚生科学研究費補助金厚生科学特別研究事業平成一三年度総括研究報告書二
0
0二年︶が
ある
︒
本法の内容については既にいくつかの詳細な紹介と解説があるが︑まずは︑行論の都合上必要な限度で︑本法にお 1
.クローン技術規制法における規制の概要
関法
第五二巻三号
規 制 の 概 要 と 問 題 の 所 在
四︵五
0六 ︶
クロ
ーン
技術
規制
法第
三条
の処
罰根
拠と
不処
罰根
拠
評価が表現されている︒
五
(6 )
ける独特の規定方式を略述しておく︒本法は︑その第二条において本法に関連する多数の概念を詳細且つ限定的に定
︵刑事規制の対象とは限らない︶人為的に加工された胚について︑そのい
︵ヒト由来か動物由来か︑体細胞か生殖細胞か胚細胞か等︶︑その組み
合わせに応じて︑九種にわたる︑従来の用語例に必ずしも従わない分類項目を立て︑内容を詳細に規定した︒さらに︑
(7 )
その四条において︑この九種を包括するものとして﹁特定胚﹂という上位概念を設け︑これに本法各条の規制対象を
(8 )
限定する機能を担わせた︒
このような規定方式を採ることによって︑本法制定の契機の一っともなったと考えられる胚性幹細胞
(E
S細
胞︶
およびこれを巡る技術は︑これが上記九種の胚から樹立される場合を除いて︑すなわち体外受精のために作成された が実際に子宮内に移植されなかったいわゆる余剰胚から樹立される限り︑原則として本法の規制対象から除かれるこ さて、刑罰法規としては、第三条•第一六条に人に関わる特定種類のクローンもしくはキメラ胚の人または動物の
母胎への移植禁止が、第六条以下•第一七条以下に、後述の届出手続違反およびその罰則がそれぞれ規定されている だけである。このうち第一一一条•第一六条の法定刑は、十年以下の懲役もしくは千万円以下の罰金またはその併科とか なり高めに設定されており︑ここに人のクローンもしくはキメラ個体が出生することに対する立法者の厳格な否定的 上述の﹁特定胚﹂については︑これを作成し︑譲り受け︑または輸入しようとする者に当該計画の詳細およびその
変更について文科大臣に届出をし︑届出後一定期間待機し︑当該特定胚について記録をする義務を︵第六︑八︑九︑ と
にな
った
︒
わば﹁材料﹂となる細胞︑細胞核等を分類し 義している︒就中︑本法の規制対象となる
︵ 五
0七 ︶
みを原則として処罰に値するものと評価しているのである︒ ローン技術﹁解禁法﹂と椰楡される所以である︒
上述の母胎への移植禁止条項によって立法者は︑もう︱つの原則的な評価的判断を宣言している︒端的に言えば︑
ヒト体細胞クローン個体及びヒトとしての属性が優勢なキメラ・ハイプリッド個体を出生させる可能性のある行為の
この条項において処罰されるのは︑本法の用語例に従えば︑﹁人クローン胚︑ヒト動物交雑胚︑ヒト性融合胚又は
ヒト性集合胚﹂の移植のみである︒つまり︑本法に言う﹁特定胚﹂九種の内︑四種のみであって︑残りの五種︑すな ヒトおよび動物由来の人為的加工胚の作出について︑
第 五 二 巻 三 号
︵ 五
0八 ︶
十条︶︑また︑特定胚を譲渡︑滅失︑または廃棄した者にも届け出義務を︵第一一条︶︑更にそれぞれの届出者に当該
胚に関わる個人情報の保護義務︵第一三条︶を課し︑これに違反する行為︵届出の憬怠︑虚偽届出等︶にやや軽い刑
罰を以て臨む︵第一七条ないし第一九条︶︒また︑文科大臣に届出者に対して作成その他の中止または方法改善等を
︵第一四条︶︑立入検査をする︵第一五条︶権限を認め︑これらに
しかし︑これらは︑全ていわば手続違反に対する罰則であって︑胚に人為的な加工を加える行為自体は︑人由来の
素材︵胚︑体細胞︑胚細胞︑卵等︶を使ったキメラもしくはハイプリッド形成でさえが︑形成したにとどまる限り︑
つまり母胎に移植しない限り︑全く処罰されない︒つまりは︑また︑ヒト
E
S細胞を体細胞クローンの方法によって
作成された胚から樹立する行為も処罰の対象とはならず︑後述の指針によって規制されるにとどまる︒行政訴訟法第
三二条は︑行政法上の指針に刑罰を付することを禁じているから︑クローン技術規制法第四条は︑特定胚︑すなわち
一般的な不可罰性を宣言していることになる︒この点が︑ク 従わない行為も同様に処罰する︵第一七条ないし第一九条︶︒ 命令し︵第︱二条︶︑必要な事項につき報告を求め 関法
六
クロ
ーン
技術
規制
法第
三条
の処
罰根
拠と
処不
罰根
拠
2.問題の所在 ︵!︶母胎に移植することも処罰されないのである︒ わちヒト胚分割胚︑
特に重要なのは︑
ヒト
胚核
移植
胚︑
七
ヒト集合胚︑動物性融合胚︑動物性集合胚は︑ヒト又は動物の母胎に移植する
ヒト由来の胚に関して︑その移植が処罰される﹁人クローン胚﹂と︑処罰されない﹁ヒト胚分割
胚﹂︑﹁ヒト胚核移植胚﹂および﹁ヒト集合胚﹂との区別である︒この点本法の用語例は独自のものであってやや判り
にくいが︑本法第二条の概念規定によれば︑﹁人クローン胚﹂とは︑通常の用語例で言うところの﹁ヒト体細胞ク
ローン﹂のみを意味する︒つまり︑通常の用語例ではやはり﹁クローン﹂と呼ばれる︑ヒト受精卵から細胞核を抜き 取ったものに他の受精卵から採取した細胞を移植して作られる胚︵﹁ヒト胚核移植胚﹂︶︑早期受精卵を人為的に分割 して形成された人工的多胎︵﹁胚分割クローン﹂とも呼ばれることがある︒本法の用語例では﹁ヒト胚分割胚﹂︶︑さ らに複数のヒト受精卵を結合させた所謂ヒト・ヒト・キメラ︵﹁ヒト集合胚﹂︶については︑これを人または動物の
さらに︑本法第三条の禁止規定がカバーする人クローン胚以外の胚は︑
胚﹂
︑﹁
動物
性集
合胚
﹂︶
ヒト由来の細胞・細胞核の数が優勢なもののみであって︑動物由来の細胞・細胞核の数が優勢なもの
(9 )
は含
まれ
ない
︒
さて
︑
いずれも動物性の細胞を含むものであるが︑
︵﹁
動物
性融
合 クローン技術規制法の刑罰法規にこのような特徴が見られることを前提として︑まず︑問題となるのは︑本
法がヒト由来の胚ないし生殖細胞に対する加工︑取り扱いの種類に応じて異なる対応を示している点である︒即ち︑
Jとも許されているのである︒
︵ 五
0九 ︶
もちろん︑これらの保護法益候補とクローン技術の規制によって制限を受ける﹁学問・研究の自由﹂及びヒト胚を
用いた研究によってもたらされる科学的知見の有用性との比較衡量も︑本来なら何をどの程度に規制するかの決定に
は大きな影響力を持つはずではある︒しかしながら︑実際には︑衡量の天秤の片方の皿にそうした利益が乗せられる
ことが指摘されるのみで︑どの程度の重みを持つものなのかの特定がなされることはない︒例えば︑﹁それによって
得られる知見がさほどの有用性を持たないことに鑑みて︑ヒトの生命の萌芽であるヒト胚を用いた00の研究は許容
されない﹂という命題は︑刑事罰を以て当該研究を禁じる場合にも︑行政罰による場合も︑他の行政法的規制をかけ
る場合にも同じように用いることができる︑無内容なものとしてしか議論に現れてこないのである︒従って︑それに
拠って導き出された一定の結論を評価するにしても外在的批判にとどまらざるを得ない︒つまり︑この論点は︑結局 わ
れる
︒
第 五 二 巻 三 号
人の属性を有するクローン︑キメラその他の胚を作成すること自体は一般的に不可罰としておきながら︑母体内移植
以降の段階だけを処罰すること︑そして︑その移植禁止を所謂﹁人クローン胚﹂をはじめとする特定種類の胚につい
( 10 )
てのみ規定することを︑矛盾なく説明することができるか否かである︒加えて︑作成や濫用行為自体は処罰されない
のに︑それに関する届け出義務違反等は処罰される点も︑評価矛盾の疑いを成り立たせる︒
︵ 五 一
0)
この点を検討するためには︑まず︑本法第三条の処罰根拠は奈辺にあるのか︑換言すれば︑保護法益は何か︑の特
定から始めなければならない︒本法第一条は︑本法による規制の理由として︑クローン技術その他の技術が﹁人の尊
厳の保持︑人の生命及び身体の安全の確保並びに社会秩序の維持に重大な影響を与える可能性がある﹂ことを挙げて
いる︒これらの諸概念は︑さらに具体化を必要とはするが︑以下での検討に少なくとも手がかりは与えてくれると思 関法
八
クローン技術規制法第三条の処罰根拠と不処罰根拠
九
はいわば水掛け論に陥りかねないので︑本稿ではこれに立ち入らない︒また︑刑事規制の実効性も︱つの論点とはな ろうが︑この種の議論は往々にして実証的な根拠のない推測を述べ合うにとどまり︑稔りあるものとなりにくい︒且 つ筆者にはこの議論を実証的に展開するための調査の準備はおろかその能力も資源もないので本稿ではこの点にも深
( 11 )
くは立ち入らない︒
(6
)
詳しくは︑取り敢えず︑前掲注1︑注2所掲の諸文献を参照されたい︒
(7
)
この特定
0
0という用語例も最近の立法に特徴的な︑悪く言えば手抜きの規定方式である︒例えば︑不正アクセス禁止法
における﹁特定電子計算機﹂の﹁特定利用﹂等︒
( 8 )
この概念は︑例えば︑文部科学大臣にその取り扱いに関する指針を制定することを義務づけ︵第四条︶︑当該指針の遵守
義務︵第五条︶︑その作成︑譲受︑輸入の届け出義務︵第六条︶を規定するために用いられる︒
( 9 )
以上の各概念については︑クローン技術規制法第二条参照︒
( 1 0 )
やや古いものも含めて︑我が国の学説にはクローンについておよそ刑事規制をすべきでないとするものもある︒川口浩-•奈良産一0巻(-九九七年)一号二九頁以下、森村進・長尾/米本編『メタ・バイオエシックス」(-九八七年)一三四頁。時期尚早論に基づくものとして、葛原・(前掲注4)二_頁、川口•奈良産(前掲注4)二巻三号五五頁、甲斐·(前掲注
4)
七一
頁︒
( 1 1 )
石塚伸一・法セ五七三号︵二
00
二年︶一九頁は︑﹁窃盗罪と同程度の刑罰で︑クローン作成行為を確実に抑止できるとは思われない︒﹂とするが︑全く同等の蓋然性を以て反対のことを﹁主張﹂することもできる︒少なくとも﹁思われる﹂か
﹁思われない﹂かのレベルにおいては︑である︒規制の対象が主として研究者であるからこそ︑その程度の刑罰でも︑あるいは︑﹁刑事規制である﹂というだけでも抑止効果が期待できるとも言えるのである︒もちろん︑いずれの命題にも実証性はない︒ついで乍ら︑そもそも﹁確実に抑止﹂できることは新たな刑罰法規の創設を正当化するための必要条件ではなかろ
︵五
︱‑
︶
( 12 )
本法第一条の上記の文言は︑立法者が個々の胚の生命をも保護の対象としている︑とも読める︒しかし︑少なくと
も母胎内移植の禁止については︑胚の生命を保護法益と考えることは困難である︒何故なら︑人工的に手を加えられ
たものではあっても︑例えば人クローン胚を人の母胎に移植することは胚の毀損︑生命の滅失ではなく︑その逆︑つ
( 13 )
まり生命を存続させ更に発育させる試みだからである︒奇形の可能性︑あるいは︑クローン牛について報告されてい
( 1 4 )
るように︑誕生したクローン人間が異常に短命である可能性に鑑みても︑クローン個体を成立させること自体が生命
の短縮もしくは生理的機能の傷害である︑とは言えない︒
ところで︑胚.胎児の生命との関係では︑事実上とはいえ︑妊娠中絶がほぼフリーパスとなっている現行法秩序の
下で︑胚.胎児の生命が独立した刑法的保護に値すると主張することには説得力がないとの指摘がなされることもあ
( 15 )
る︒しかし︑この点は決定的ではあるまい︒事実上保護しないということと︑その事実状態に法が確証を与えてしま
うこととの間には︑実践的にも大きな隔たりがある︒加えて︑母胎保護法上の妊娠中絶許容の根拠をどのように捉え
るかという理論的問題もある︒従って︑原則として堕胎罪が存続している限りは︑胎児の生命を保護する規定を新た
に設けることもナンセンスとまでは言えない︒また︑母胎内移植の前後で処罰・不処罰を分ける態度も︑形式的に見
れば︑生殖細胞・胚.胎児・人の各発育段階に応じてその生命を毀滅する行為の評価を変動させている現行刑法の規
制方式と一応の対応を見せる︒ 1
.生まれくる子供の個人的利益胚.胎児の生命と子供の福祉
関法
保 護 法 益 の 観 点 か ら 見 た ク ロ ー ン 技 術 規 制 法 の 一 貫 性
第五二巻三号
10
︵
五︱
二︶
クロ
ーン
技術
規制
法第
三条
の処
罰根
拠と
不処
罰根
拠
ることはできない︒ ただ︑いずれにせよ︑出生前の生命に着目する限り︑母胎内移植︵だけ︶ではなく︑むしろヒト胚に手を加えること自体を刑事規制の対象とすべきだ︑という結論はほぼ不可避である︒単に︑クローン︑キメラ︑ハイプリッドを形成するだけなら︑母胎への移植と同様に生命の毀滅ではなく創出ではある︒しかし︑それらの形成は︑現時点では︑特にクローン技術のさらなる発展や
E
S細胞をめぐる研究を目的とする︒即ち︑現時点では︑データ採取と観察の後
( 16 )
には廃棄される︑即ち殺されることが最初から確定しているのである︒本法は︑そうした胚の廃棄を規制対象とはし
ているが︵第九条︑第︱一条等︶届出義務とその違反の処罰を規定するのみで︑直接の保護対象としていないのであ
( 17 )
るから︑第三条の保護法益が出生前の胚の生命であると考えることはできない︒
胚.胎児ないしは出生後の人の個人的利益に着目するものとしては︑クローンとして出生した人︑子供が自らの出
( 18 )
自︑アイデンティティーに悩み︑あるいは家族感情が混乱する等の害を処罰根拠として挙げる見解もある︒このよう
な意味での﹁子供の福祉﹂の侵害は確かにクローン胚を作成した段階ではまだ現実化しておらず︑この点でクローン
その他の胚の人工的形成自体を処罰しないことは説明できる︒しかし︑これを理由として母胎への移植後の妊娠の継
( 19 )
続を禁止することはできないであろう︒加えて︑このような心理的害は︑例えば︑ヒト・ヒト・キメラとして出生し
た人についても発生することが考えられる︒しかし︑本法は︑ヒト・ヒト・キメラ︵ヒト集合胚︶の母胎への移植を
禁じていない︒以上のように︑このような意味での﹁子供の福祉﹂もクローン技術規制法第三条の処罰根拠を説明す
︵五
一三
︶
第 五 二 巻 三 号
︵五 一四
︶
次に︑クローン技術規制法第一条が筆頭にあげている﹁人の尊厳の保持﹂は︑第三条の保護法益たりうるであろう
か︒この﹁人の尊厳﹂は︑論者によっては日本国憲法第二四条に倣って﹁個人の尊厳﹂とも表現される︒この﹁人の
尊厳﹂︑﹁個人の尊厳﹂というそれぞれの概念がドイツ基本法に謂う﹁人間の尊厳︵
Me
ns
ch
en
wi
ir
de
)﹂と同じ意味内
容を有するか否かが既に問題ではあり得るが︑この問題は︑刑法上は取り敢えず棚上げにしておくことができるであ
( 20 )
︵2 1 )
ろう︒しかし︑これらの概念はいずれにせよ多義的であり︑そうである限り一般条項としてしか機能しえない︒そこ
( 22 )
で︑学説は︑その具体化を試みる︒そしてそのレベルではどの語を用いる論者によっても共通の内容が語られること
一回
性の
意味
( 23 )
に理解される︒すなわち︑﹁およそ個人は独自の人格を持った一回限りの存在として尊重されなければなら﹂ず︑ク
ローン技術によって特定個人の遺伝的形質の複製を許すことは︑この意味で︑人︵人間︑個人︶
( 2 4 )
以下︑﹁人間の尊厳﹂に統一する︶を侵す行為である︑とするのである︒
イプ
リッ
ド胚
︵﹁
ヒト
動物
交雑
胚﹂
︶
の尊厳︵煩雑なので
しかし︑このような事態は︑クローン技術規制法第三条に規定された行為のうち︑少なくとも︑ヒトと動物とのハ
の移植の場合には常に生じるわけではないし︑逆に︑同条によって処罰されてい
ないヒト胚分割クローンやヒト胚細胞クローンについても生じうる︒従って︑このような意味での人間の尊厳の侵害
を本法第一ー一条の処罰根拠と考えることは少なくとも一貫しない︒また︑遺伝子的に同一の個体が成立することは︑同
一の﹁人格﹂がこの世に現れるということを意味しないということはつとに指摘されている︒遺伝子的に完全に同一 ﹁人の尊厳﹂もしくは﹁人間の尊厳﹂という概念は︑ に
なる
︒
2.個人的利益としての﹁人間の尊厳﹂ 関法
一部では︑人という存在の遺伝子的な唯一性︑
( 25 )
である一卵性双生児の例を持ち出すまでもなく︑このことを以てヒトクローンの産生を禁止することはできない︒
クローン技術による人間の尊厳の侵害は︑人間の育種︑優生学的選別という意味における生命の手段化︑に見いだ
( 2 6 )
されることもある︒このような意味での人間の尊厳の侵害も︑少なくともそこに謂う﹁尊厳﹂を特定個人の利益の意
味に理解した場合︑クローン技術規制法第三条の処罰根拠として充分な資格を有しているかは疑わしい︒例えば︑あ
る女性が非常に優秀で美男子のサッカー選手のコピーを息子として育てたいという希望を実現するため当該選手の体
細胞クローンを自らの子宮に移植させるとしよう︒この行為と︑先に生まれた子供が弟か妹をせがむのでそれまで続
けてきた避妊措置をやめる両親の態度とを比較した場合︑既に指摘されているように︑生まれてくる子供の生命の手
( 27 )
段化の程度においてそれほどの差があるとは思えない︒もちろん後者の態度は完全に不可罰であり前者は本法により
よしんば︑人間の生命を手段として扱うことになるという点を争うことができないとしても︑この意味での人間の
尊厳の侵害をクローン技術規制法第三条の処罰根拠と考えることは︑一貫性の見地からみて困難である︒人間の生命
( 28 )
あるいは﹁人格﹂の手段化は︑体外授精をはじめとする他の生殖補助医療技術の濫用によっても生じうるという指摘
もあるが︑この考え方は︑それ以前に︑本法の内部において矛盾を来す︒まず︑本法がその原則的許容を宣言してい
る胚分割クローンや胚細胞クローンの産生の場合にも︑同じ意味︑程度において人間の生命あるいは人格の手段化は
生じる︒加えて︑少なくとも生命は︑個体産生を前提としない実験目的や
E
S細胞樹立目的での各種クローン︑キメ
( 29 )
ラ︑ハイプリッド胚の作成においてこそ︑より重大な形で手段化される︒しかし︑これらの場合は︑本法に於ては不
( 30 )
可罰とされているのである︒
クロ
ーン
技術
規制
法第
三条
の処
罰根
拠と
不処
罰根
拠
処罰される︒
︵五
一五
︶
以上のように︑胚ないし出生する子供の︑あるいはクローンその他の素材として体細胞等を提供した人の個人的な
利益の次元で人間の尊厳を語る限り︑その侵害をクローン技術規制法第三条の処罰根拠と考えることは︑その対象と
なる胚の種類が限定的であること︑そしてそれらの胚を作成しただけでは処罰されないことに着目すれば︑少なくと
もきわめて困難である︒
そこ
で︑
一部の学説は︑おそらく︑クローン技術規制法第一条が﹁社会秩序の維持﹂をも含めて﹁人の尊厳の保持
( 31 )
等﹂とまとめていることを手がかりとして︑﹁人間の尊厳﹂を︑集団的︑社会的な利益と理解する︒つまり︑本法第
三条の処罰根拠は︑これに該当する種類の胚の母胎内移植がホモサピエンスという種の遺伝的な多様距と︑もしくは
( 3 3 ) ( 3 4 )
種としてのアイデンティティー︑さらには伝統的な家族秩序を害する点にあると言うのである︒また︑上述の人間の
育種︑優生学的選別の危険性という論拠を︑集団的︑社会的利益︑つまり﹁人間という種の尊厳﹂の侵害という意味
( 35 )
に理解することもできる︒ 3.集団的︑社会的利益としての﹁人間の尊厳﹂
第 五 二 巻 三 号
こうした︑人為的加工を受けるヒト胚自身の利益は︑もちろん︑クローン技術規制法の第七条以下に規定された届
出義務等とその違反に対する罰則の保護法益となっていると考えることもできる︒人の生命の萌芽であるヒト胚の
﹁人間の尊厳﹂を害さないような慎重な取り扱いを確保するために詳細な届出義務が規定されているのだと︒しかし︑
だとすれば︑そうした胚の直接的な毀滅行為が処罰されないのに︑その前段階的危殆化に過ぎない届出義務違反だけ
が処罰されるというのも倒錯した評価だと言わざるを得ない︒ 関法
一四
︵五
一六
︶
クローン技術規制法第三条の処罰根拠と不処罰根拠 を付することができる︒ 人間という種の遺伝子的多様性ないし伝統的な家族秩序という観点に立てば︑クローン技術規制法第三条がその処
罰対象から︑人工的に形成された多胎︵胚分割クローン︶および胚細胞クローンの母胎内移植を除外していることは
合理的に説明できる︒胚分割クローンも胚細胞クローンも複数の人間の遺伝子の掛け合わせ︑シャッフルを経ている
︵つまり﹁両親﹂を持っている︶ので︑無性生殖である体細胞クローンの場合とは異なり︑遺伝子の組み合わせが前
の世代のものとは違っていることになるからである︒また︑ヒト・ヒト・キメラも同様に︑遺伝子的多様性を害する
ことも︑人間の種としてのアイデンティティーを侵すこともなく︑第三条の対象とならないと説明できる︒
人間の尊厳を集団的・社会的意味において理解すると︑更に︑
二 九
クローン技術規制法による処罰が︑母胎内移植を以
て始まり︑各種の人為加工胚を作成しただけでは処罰されないことも根拠づけることができる︒﹁クローン・キメ
ラ・ハイプリッド個体が産生し社会的存在とならないときには︑これらの法益の侵害を肯定することはできない﹂か
( 36 )
らで
ある
︒
以上のように︑集団的・社会的な意味に理解された人間の尊厳を保護法益と措定するときには︑クローン技術規制
法が人為的加工胚の種類やこれを巡る行為の形態に応じて︑その評価を変化させていることに︑ある程度うまく説明
ところが︑そうした集団的・社会的諸利益が刑法上の保護法益としての地位を有すると言えるか︑を問題にすると︑
それらが抽象的に過ぎるという点はしばらく措くとしてもなお︑かなり疑わしいと言わざるを得ない︒まず︑﹁伝統
的な家族秩序﹂は︑精子銀行や精子・卵子提供による人工授精
(A
ID
)︑代理母等によっても動揺せしめられるが︑
( 37 )
現在のところこれらに対する刑事規制は我が国にはおよそ存在しない︒同じことは︑人間の育種︑優生学的選別の危
︵五
一七
︶
第 五 二 巻 三 号
険性を人間社会全体に対するものと理解する場合にも妥当する︒
︵五
一八
︶
人間という種の遺伝子的な多様性も︑それほど深刻な形で脅かされるとは言えない︒近い将来︑体細胞クローンと
いう方式による生殖が優勢とは言えないまでもごく通常の例となるであろう︑という予測は︑少なくとも現時点では
成り立たない︒将来においてもやはり︑種の遺伝子的な多様性は大多数を占めるであろう自然的な生殖過程によって
保障されると考えられる︒だとすれば︑クローン技術によって人類全体の遺伝子的多様性が害されるとはおよそ言え
ない︒よしんば︑遺伝子的多様性がクローン技術によって影響を受けるとしても︑それがホモ・サピエンスの種とし
( 38 )
ての存続を危うくする程度にまで及ぶのかは︑現時点では少なくとも不明である︒
また︑ヒトの属性の優勢なキメラ胚︑ハイプリッド胚が母胎に着床し︑順調に発育し出生するという事態の技術的
可能性︑そしてそのような事態が生じる社会的な頻度は︑それほど高度であるとは思われない︒だとすれば︑そのよ
うな事態が︑個別的な関係者の利益を侵すことはあっても︑人という種全体のアイデンティティーを侵すとまでは言
( 39 )
︵4 0 )
えないであろう︒現実に起こりうる事態であったとしても例外的頻度に留まる限り︑種全体を脅かすことはない︒
同様に集団的︑社会的利益の侵害として︑クローン技術はまだ未成熟であって技術的な安全性が確保されていない
( 41 )
という事情が指摘されることもある︒しかし︑ここに謂う﹁安全性の要請﹂が具体的・個別的な利益侵害の所在と程
度の指摘を棚上げにして︑単に論理的にありえないわけではない可能性だけを念頭に置いてなされている限り︑これ
は︑新しい︑なじみのない技術に対する社会の漠然とした不安感を意味するに過ぎないであろう︒上述の集団的・社
会的な理解における﹁人間の尊厳﹂も結局はこれと同じ地点を指し示しているに過ぎないとも言える︒
もちろん︑そのような不安感が存在することが確認されるならば︑何らかの法的措置を講じること︑クローン技術 関法
一 六
クローン技術規制法第三条の処罰根拠と不処罰根拠
条の法定刑がかなり高く設定されていることの説明には使えない︒
一七
に対して何らかの規制を行うことは正当化され得るし︑立法者はそうすべく義務づけられるであろう︒しかし︑﹁不 安感﹂を理由とする限りは︑刑事規制を根拠づけるには不十分であろう︒就中︑クローン技術規制法第三条︑第一六 従来︑クローン技術規制法第三条の保護法益候補として挙げられてきた諸利益のうち︑対象となる胚・胎児ないし
その出生後の人もしくは体細胞等の提供者の個人的・具体的な諸利益は︑いずれも︑本法の規制全体に一貰した説明 を加えるためには使用不能である︒どの利益に着目しても︑本法が四種類の人為的加工胚に限ってその母胎内移植を 処罰していること︑いかなるタイプの加工も母胎内移植に至らない限り不可罰としていること︑あるいは届け出義務 違反というその前段階の行為のみを処罰していることのいずれかの説明に窮することになる︒他方︑﹁人間の尊厳﹂
を一定の集団的・社会的利益の意味に理解すると︑そうした難点はある程度回避できるが︑﹁無内容性﹂とすら呼ペ るその内容の抽象性の故に︑裏返せばその侵害の非現実性︑漠然性の故に︑刑法上の保護法益と理解することが困難
( 42 )
とな
る︒
なお︑クローン技術規制法を扱った文献には︑右に検討したような各種の利益を本法三条の保護法益として複数並
( 43 )
列的に挙示するものが多い︒もちろん︑例えば︑ヒト体細胞クローンとヒト・動物ハイプリッドの母胎内移植禁止を 単一の原理で説明することはできないので︑クローン技術規制法のような胚の種類毎に異なる扱いを規定する法律の
Jこで一旦︑以上の検討の結論をまとめておこう︒ 4 小括
︵五
一九
︶