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法人事業税の外形標準課税制度と税収の地域間格差

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(1)

著者 伊多波 良雄, 壁谷 順之

雑誌名 經濟學論叢

巻 65

号 4

ページ 623‑650

発行年 2014‑03‑20

権利 同志社大學經濟學會

URL http://doi.org/10.14988/00027422

(2)

法人事業税の外形標準課税制度と 税収の地域間格差

伊 多 波 良 雄   壁 谷 順 之  

は じ め に

 わが国の法人課税は,欧米等諸外国と比較して水準が高いと論じられて久 しい.そこで,政府税制調査会等では,現行の法人課税制度を鑑み,見直し を検討してきている.

 法人二税(法人住民税・法人事業税)のうち,法人事業税は2004年4月1日 以降に開始する事業年度から外形標準課税制度が導入され,既に10年近くが 経過している.同制度は,導入以前より様々な議論を経て今日に至っている.

総務省が公表している導入の趣旨によると,①事業規模に応じて薄く広く公 平に,②受益に応じた負担を求める税に,③安定的な行政サービスの提供の ために,④努力した企業が報われる税制に,の4点が掲げられている1).しか しながら,同制度の導入以降,都道府県の地域間格差はむしろ拡大傾向にあ

* 本稿は,201110月の日本財政学会第68回大会(於:成城大学)で報告したものを加筆修 正したものである.討論者の関西学院大学教授・高林喜久生氏,座長の関西大学教授・橋本恭 之氏より貴重なコメントをいただいた.また,本稿の作成にあたり,総務省および各都道府県 庁の税務担当職員より的確かつ有益なコメントをいただいた.ここに,記して謝意を表したい.

なお,本稿の内容に関する一切の責任は,筆者達にあることを明記しておく.

1) 詳細は,総務省ホームページ参照.http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/

news/pdf/gaikei.pdf

(3)

るといった研究も見られるなど,果たして本来の導入目的に沿った税制になっ ているのかという疑問を感じる.

 そこで,本稿では,外形標準課税が法人事業税の地域間格差にどのような 影響を与えたのかを分析する.導入以降の実態を分析するために,2004年度 から2011年度までの直近8年度のデータを基に実証分析を行う.その際,分 析手法に用いるのはタイル尺度である.これらの実証分析を通じて,地域間 格差の実態を把握し,今後の改革の方向に言及する.

 本稿の構成は次の通りである.第1章では,現行の法人課税制度を整理す るために,法人事業税の外形標準課税制度と分割基準を概観する.第2章で は,先行研究を整理して分析の方向性を検討するために,外形標準課税の課 税標準に関する議論と税収の地域間格差に関する議論を整理する.第3章で は,分析手法として使用するタイル尺度と,実証分析で使用するデータにつ いての説明を行う.第4章では,外形標準課税導入の法人事業税の地域間格 差に及ぼす影響を分析する.最後に,結論として,本稿のまとめを行う.

1 法人課税制度の概要と動向

 最初に,法人事業税の外形標準課税制度について簡単に整理を行う.外形 標準課税制度は2004年度に始まった.しかし,翌2005年度に法人事業税の 分割基準が変更されている.したがって,法人事業税の外形標準課税制度の 影響を見るためには,分割基準の経緯も見ておく必要がある.そこで,法人 事業税の分割基準の推移について見る.

1. 1 外形標準課税の現状

 第 1 図は,外形標準課税の税率推移を表したものである.法人事業税は戦 後のシャウプ勧告では,都道府県の施策の経費を企業が負担するための税と して再構築され,利益などの付加価値額を課税標準として,加算型の付加価 値税が立法化された.しかし,当時は十分な理解が得られず廃止となり,そ

(4)

の後,1999年の政府税制調査会の議論を経て,2004年4月から資本金1億円 を超える企業について,課税ベースの4分の1に対して外形標準化されるこ とになった.

 なお,2008年度改正で,法人事業税の一部を分離して地方法人特別税と地 方法人特別譲与税が創設された.これらは国税として位置付けされているが,

賦課徴収は都道府県のままであり,いわば法人事業税の付加税的なものであ る.ただし,この仕組みは抜本的税制改革が行われるまでの暫定的措置であ る(地方税法72の24の7③一および二,法附則9の2②,暫定措置法2①および②).

1. 2 法人事業税の分割基準の推移

 法人事業税の分割基準とは,2以上の都道府県に事務所・事業所を有して 事業を行う法人(これを分割法人という)に対して,関係都道府県に課税標準額 を按分するための基準である(地方税法72の48,地方税法施行令35の2および 35の3).同基準は,1951年に法制化されて以降,直近の2005年度改正まで

2) 詳細は,総務省ホームページ参照.http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/

news/pdf/gaikei.pdf

外形導入前 平成16年4月1日以降に

開始する事業年度から 平成20年10月1日以降に 開始する事業年度から

所得割 所得割 所得割

: 税 :

価値割付加 0.48%

価値割付加 0.48%

所得割9.6% 所得割

7.2% 所得割

2.9%

2

: 1

2

: 1 地方法人特別税

4.3%相当

0.48%

0.48%

資本割 資本割

※ 所得割 × 148%

3  :  1 3  :  1

0.2% 0.2%

第 1 図 外形標準課税の税率推移

出所:総務省資料「法人事業税の外形標準課税について」2)

(5)

数度に亘って改正が行われ続けてきた経緯がある.改正の経緯は第 1 表のと おりである.

 改正内容は,1951年当初の分割基準を原則として従業者数としている基準 から,業種別あるいは規模別等にしたがって基準を細かく見直す形となって いる.これらの改正理由として,社会経済情勢の変化に伴う企業活動の実態 を踏まえた税源帰属の適正化を図ることなどがあったと考えられる.直近の 2005年度改正後は,製造業は従業者数を,非製造業は電気・ガスなどの一部

出所:総務省資料「分割基準について」を参考に作成.

第 1 表 法人事業税分割基準の改正の経緯

改正年度 改 正 内 容

1951年 電気供給業・ガス供給業・倉庫業・鉄道業・軌道業では,1 / 2が固定資 産価格,1 / 2が従業者数.これら以外は,従業者数.

1954年

銀行業・保険業 1 / 2を事務所数,1 / 2を従業者数.

電気供給業・ガス供給業・倉庫業 事務所等の固定資産の価額 鉄道業・軌道業 軌道の延長キロメートル数 1962年 資本金1億円以上の製造業の本社管理部門の従業者数を1/2とする.

1967年 銀行業・保険業・運輸・通信業・卸売・小売業等・製造業において,各 月の延従業者数を期末現在の従業者数とする.

1970年 銀行業・保険業・運輸・通信業・卸売・小売業等・製造業において,資 本金1億円以上の本社管理部門の従業者数を1 / 2とする.

1972年 電気供給業において,1 / 2を発電所の固定資産の価額,1 / 2を事務所等 の固定資産の価額とする.

1982年 電気供給業において,3 / 4を発電所の固定資産の価額,1 / 4を事務所等 の固定資産の価額とする.

1989年

製造業において,資本金1億円以上の法人の工場の従業者数を1.5倍と する.銀行業,保険業に証券業が追加される.分割基準は,銀行業・保険業と 同じ.

2005年

銀行業・保険業・証券業・運輸・通信業・卸売・小売業等・製造業にお いて,1 / 2を事務所数,1 / 2を従業者数とする.

資本金1億円以上の本社管理部門の従業者数を1 / 2とする措置を廃止 する.

(6)

の業種を除いて事務所等の数および従業者数を基準にしていることが分かる.

 外形標準課税が導入された2004年度の翌年に,分割基準の改正が行われ た点については様々な解釈がある3).本稿との関連性として,分割基準の存 在意義は,応益課税の観点から法人の事業活動や事業規模と行政サービスと の受益関係を的確に反映した指標として考えられている点である.その結果,

大企業を中心とした多くの法人が全国各地で企業活動を行う中で,東京,大 阪などの三大都市圏から地方への税源配分がなされたと推測される.

2 先行研究の整理

 法人事業税の外形標準課税に関する研究は,これまでにも多く発表されて いる.これらを一様に整理することは困難であり,本稿との関連性が高い問 題点について言及しているものを取り上げる.

2. 1 外形標準課税の課税標準に関する研究

 外形標準課税が導入されるまで,法人事業税は主に所得を基準として賦課 徴収されてきた.そのため,多くの問題点の中でも次の4点が主要論点と言 える.①事業税の課税ベースと課税根拠の乖離,②景気の変動による税収の 変動,③欠損法人に対する課税,④税収の地域的偏在,である.なお,本稿 で問題意識としているのは,外形標準課税の課税標準(基準)に関する問題と 税収の地域間格差に関する問題である.一般的に,格差の問題を考える際には,

税収を指すことが多い.しかし,本稿で課税標準と税収の両方を取り上げる 理由は,両方を比較・検討することで,税制度そのものに対する現状把握と 課題を整理するためである.そのため,上記4つの問題点の中では,①と④

3) 伊藤(2008)は,今日の複雑な事業展開を行う法人の実態を的確に反映させる指標を示すこ とは極めて困難であるとし,付加価値を基準として「従業者数」を指標とする方法を最もふさ わしいとしている.一方で,東京都税制調査会(平成18年度中間報告)は,分割基準が企業活 動と行政サービスとの受益関係において的確な指標であることが望ましいものの,その指標と して「従業者数」の他に「事業所数」が用いられる点は不適当としている.

(7)

に関連性が高いと考えている.そこで,まずは外形標準課税の課税標準に関 する研究を整理する.

 占部(2005)は,課税標準のうち4分の3を占める所得割は,応益課税と しての外形標準課税のもつメリットが喪失していると説明している.そして,

将来的には所得割の比重を下げ,かつできる限り生産要素から生じた利益と いえないものは利潤から排除することが望ましいと主張している4)

 戸谷(2010)は,最近の地方法人課税の問題点について,景気変動や応益性 等の問題点と共に課税標準の問題点を指摘している.現行の付加価値割の税 率は非常にウエイトが低い点や,資本割がシャウプ勧告とは異なる形で導入 された点などを指摘し,外形標準課税全体の改善を主張している5)

 一方で,外形標準化のみの見直しではなく,消費税を含めた税制抜本的な 見直しの必要性を唱える意見もある.森信(2010)は,課税ベースの4分の1 が外形標準化された部分について,消費税や所得課税ではないために外国税 額控除などの国際上の問題点が生じている点を挙げている.さらに,税制上 の特例措置が多く,税務執行コストや納税コストが大きい上に,資本金額を 調整することによる租税回避が生じるなど,数多くの問題を抱えていること から,法人事業税は本来付加価値税であるという原点に戻って,地方消費税 に振り替えていくなどの主張をしている6)

2. 2 税収の地域間格差に関する研究

 次に,外形標準課税制度を考える上で欠くことのできない税収の地域間格 差に関する研究を整理する.導入から現在に至るまでに,いくつかの実証分 析を中心とする研究例が公表されている.その中から本稿に関連性の高いと 思われるものをいくつか採り上げる.

4) 占部(2005),302-304ページ参照.

5) 戸谷(2010),151-155ページ参照.

6) 森信(2010),233-235ページ参照.

(8)

 篠原(2007)は,地方税原則の普遍性に関連して,外形標準課税導入前の平 成14年度データを基に,法人事業税収と付加価値額を比較して税収の偏在度 合いを実証分析している.地域間格差を変動係数で測ると,結果は従来の法 人事業税収に比べて付加価値課税の場合の方が数値は低くなっている.この ため,課税ベースを付加価値に変更することによって,地域間の税収額格差 が縮小することが予測されると主張している7)

 橋本(2008)は,地方固有の租税原則に即して考えると,応益性の観点から は大企業以外の事業税の外形標準化が,普遍性の観点からは法人税割りの見 直しが必要だと主張し,法人税割りの廃止と事業税の完全外形標準課税化の 改革案を提案している.この中で,平成16年度から実施された部分的な事業 税の外形標準化によって,税収の偏在度がどのように変化したかを示すため に変動係数を求めている.結果は,導入前(平成15年度)よりも導入後(平成 16年度)の変動係数の方が数値は高いことを実証している8)

 深江(2009)は,法人事業税収の地域間格差縮小が期待される外形標準課税 がどのように影響を与えているかについて,タイル尺度を用いて実証分析を 行っている.その結果,導入以降においてもタイル尺度は上昇,すなわち地 域間格差は拡大傾向を示していると主張している.さらに,地域別に分類し てその要因分解を行った結果,主要因は関東地方の格差であることも明らか にしている9)

 以上より,外形標準課税の導入は,地方税の応益課税としての性格の明確 化や税収の安定化に資するものとして期待された.その一方で,地域格差に ついては拡大しているとの見解が伺える.そこで,本稿ではこれらの分析結 果を基に,地域格差についてさらに踏み込んだ実証分析を行う.具体的には,

7) 篠原(2007),44-45ページ参照.

8) 橋本(2008)では,導入後の方が税収の偏在度が高い要因について,景気の回復により都市 部を中心に事業税収が増加したことも関係していると説明し,仮に導入されていなかった場合 には,税収の偏在度は一層高まった可能性がある点を補足説明している.

9) 深江(2009),20ページ参照.

(9)

外形標準課税について付加価値割や資本割などの項目別に見ていくことで,

格差生成の要因分析につなげたいと考えている.

3 分析手法と使用データ

 第2章で整理してきた先行研究によると,法人事業税の外形標準課税導入 によって,実際には税収の地域間格差が拡大傾向にあることが既に判明した.

現在,導入から10年近くを経て,改めて地域間格差を把握するためには,こ れらの実証分析では不明瞭な問題点が3つあると考える.第1に,外形標準 課税制度では,所得割,資本割,付加価値割の3区分で課税・徴収が行われ ているが,地域間格差を把握するには,区分ごとに掘り下げて分析を行う必 要があるという点である.第2に,篠原(2007)が主張するように,課税ベー スを付加価値にした方が偏在度は小さくなるとの結果であるが,果たして付 加価値割が最適な課税ベースなのかという点である.というのも,外形標準 課税制度では付加価値割だけでなく資本割も重要な外形基準の1つである.

例えば,所得割の比重を低くして,付加価値割と資本割の比重を高くするこ とで,より税収の安定化が進むことは明らかである.しかしながら,単純な 外形標準化は安易であり,直近のデータを基にして望ましい課税ベースを確 認することに意義があるものと考えている.第3に,橋本(2008)や深江(2009)

が主張するように,外形標準課税の導入初期に格差が拡大傾向にあるとのこ とであるが,果たして近年はどうなっているのかという点である.以上の3 点を確認するために,次節以降で実証分析を行っていく.

3. 1 分析手法

 本節では,タイル尺度の定義とその応用について説明する.タイル尺度は,

ジニ係数や変動係数などと同様に不平等尺度の1つであり,主に税収や税源 の地域的偏在状況などを把握するために用いられている.タイル尺度の定義 や応用について触れている既存研究として,これまでに高林(2005),深江(2009)

(10)

などが挙げられる10).このうち,高林(2005)は,タイル尺度を用いて地方税 収の自治体間格差を分析している.本稿では,都道府県における法人事業税 の地域間格差を取り上げていることから,説明にあたっては高林(2005)を引 用しながら見ていくことにする.

 本稿は,都道府県間の税収格差を分析するもので,法人事業税収の内訳ご とに細分化して税収構造と格差の関係を分析することを目的としている.分 析手法として用いるタイル尺度は,全体の不平等度に関してそれを構成する 要素ごとに分解できるため,全体への寄与の程度を計測することができると いう長所を持っている.また,タイル尺度には,全体を構成する要素ごとに 寄与度を分解する方法(構成要素別の分析)と,全体をグループ化して各グルー プが全体の不平等度に対してどれだけ寄与しているかという方法(グループ別 の分析)の2つの分解パターンがある.これらを順に追って説明していく.

 サンプルn個の変数分布(y=y1, y2, …, yn)に関するタイル尺度は次のよう に表せる.

    T silognsi i

n 1

=

!

= (1)  

 なお,siは全体に占めるシェアである.サンプルn個のシェアの合計は1 になることから, i si 1

n 1 =

!

= であり,

    s

y

i y

i i n i

1

=

!

= (2)  

 (1)式から,タイル尺度の数値Tは,値が最小値0ならば完全平等を表し,

最大値lognならば完全不平等を意味する.そこで,この定義式を基にして,

以下では法人事業税の構成要素別,グループ別の2パターンについて順に説 明していく.

10) この他に,タイル尺度を使用した研究例として,貝塚等(1987)齊藤(2010)望月等(2010)

などが挙げられる.

(11)

3. 2 タイル尺度の構成要素別の寄与度分解

 まず,本稿においてタイル尺度の構成要素とは,税収の内訳項目を意味する.

すなわち,法人事業税は外形標準課税対象法人と対象外法人に分かれており,

前者は所得課税分,収入金額課税分,後者は所得割分,付加価値割分,資本 割分に構成されている.そこで本稿では,定義式の作成上,都道府県の第i 番目の自治体について,法人事業税の総額をLi,構成されている税収項目を,

所得課税Pi,収入金額課税Qi,後者は所得割Ri,付加価値割Hi,資本割Ki と定義する.なお,全ての変数は自治体の人口1人当たりで行う.

 法人事業税の総額Liは,以下のように表せる.

    Li=Pi+Qi+Ri+Hi+Ki (3)  

 次に,各構成要素の平均値を求めてnを用いて表現すると,それぞれの形 はnLnPnQnRnHnKとなる.法人事業税の総額Lは,各構成要 素の合計となるので,次の式が導き出せる.

    nL=nP+nQ+nR+nR+nH+nK (4)  

 (1)式の定義により,地方税の総額Lのタイル尺度をT(L)とすると,次の ように表現できる.なお,nはサンプル数を表す.

    T L n LL log L L

1 i i

i n

1 n n

=

=

^ h

!

c m c m (5)  

 (5)式に(3)式と(4)式を代入すると,次のように展開できる.なお,(5)式 の右辺に各構成要素のウエイトを乗じている(例えば,所得課税Pであれば,

-

nPnLを乗じる).このように,5つの構成要素のウエイトを乗じることにより,

各構成要素の準タイル尺度という指標が求められることになる.ちなみに,

準タイル尺度にウエイトを乗じた和が総額のタイル尺度となる関係である.

なお,準タイル尺度は,その性質上,マイナスの数値をとることもある.

(12)

   T L n L log

P Q R H K

L

1 i i i i i Li

i n

1 n n

= + + + +

=

^ h

!

c m c m

      L log log log log log

P

n PP

L L

L Q

n Q

Q

L L

L R

n RR

L L

L H

n HH

L L

L K

n KK

L L

1 i i 1 i i 1 1 1

i

n i i i i

i n i

n i

i

n i

i n

1 1 1 1

n 1

n

n n n

n

n n n

n

n n n

n

n n n

n

n n

= + + + +

= = = =

=

c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m

      

log log log log log

L P

n PP

L L

L Q

n Q

Q

L L

L R

n RR

L L

L H

n HH

L L

L K

n KK

L L

1 i i 1 i i 1 1 1

i

n i i i i

i n i

n i

i

n i

i n

1 1 1 1

n 1

n

n n n

n

n n n

n

n n n

n

n n n

n

n n

= + + + +

= = = =

=

c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m

      

log log log log log

L P

n PP

L L

L Q

n Q

Q

L L

L R

n RR

L L

L H

n HH

L L

L K

n KK

L L

1 i i 1 i i 1 1 1

i

n i i i i

i n i

n i

i

n i

i n

1 1 1 1

n 1

n

n n n

n

n n n

n

n n n

n

n n n

n

n n

= + + + +

= = = =

=

c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m c m

!

c m c m (6)  

 この(6)式のうち,各項の構成要素のウエイト部分(例えば,所得課税Pで あれば,

-

nPnL)を除いた部分が上述の準タイル尺度に当たる.すなわち,これら を整理すると,

    所得課税の準タイル尺度 n PP log L L

1 i

i

n i

1 n n

=

!

= c m c m (7-1)  

    収入金額課税の準タイル尺度 n Q log Q

L L

1 i

i

n i

1 n n

=

!

= c m c m (7-2)  

    所得割の準タイル尺度 n RR log L L

1 i

i

n i

1 n n

=

!

= c m c m (7-3)  

    付加価値割の準タイル尺度 n HH log L L

1 i

i

n i

1 n n

=

!

= c m c m (7-4)  

    資本割の準タイル尺度 n KK log L L

1 i

i

n i

1 n n

=

!

= c m c m (7-5)  

3. 3 タイル尺度のグループ別の寄与度分解

 次に,もう1つの分解パターンであるグループ別の寄与度分解について見 ていく.本稿では,都道府県を8グループに区分し,これらのグループ別の 寄与度を分析する11)

 法人事業税総額の集合を(L1,…, LaLa+1,…, LbLb+1,…, Lc , …)と定義し,

11) 詳細なグループ区分については,本稿19-20ページを参照.

(13)

各グループを全体のシェアの集合(s1,…, sasa+1,…, sbsb+1,…, sc , …)と定義 する.そこで,本稿で区分した8グループのシェアについては,次のように なる.

    北海道・東北(A):sA=^s s1, ,2g,sah (8)  

    関東(B)    :sB=^sa+1,sa+2,g,sbh (9)  

    北陸・甲信越(C):sC=^sb+1,sb+2,g,sch (10)  

    東海(D)    :sD=^sc+1,sc+2,g,sdh (11)  

    近畿(E)    :sE=^sd+1,sd+2,g,seh (12)  

    中国(F)    :sF=^se+1,se+2,g,sfh (13)  

    四国(G)    :sG=^sf+1,sf+2,g,sgh (14)  

    九州・沖縄(H) :sH=^sg+1,sg+2,g,shh (15)  

 各グループのシェアの平均値は,nを用いてnAnBnCnDnEnFnGnHとする.各グループのタイル尺度は次のように表現できる.な お,サンプル数に平均値を乗じたものがそのグループ全体に対してのウエイ トとなる(例えば,北海道・東北(A)であればウエイトはanA).

    T sA as log s

A i i

a

A i

1 n n

=

=

^ h

!

(16-1)  

    T sB b log

s s

B i i a

b

B i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-2)  

    T sC cs log s

C i i b

c

C i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-3)  

    T sD ds log s

D i i c

d

D i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-4)  

    T sE es log s

E i i d

e

E i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-5)  

    T sF f log

s s

F i i e

f

F i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-6)  

    T sG g log

s s

G i i f

g

G i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-7)  

(14)

    T sH hs log s

H i i g

h

H i

1 n n

=

= +

^ h

!

(16-8)  

 そして,全サンプルn個のシェアの平均値μを用いて,全サンプルのタイ ル尺度を表現すると次のようになる.

    T L nsi logs

i

n i

1 n n

=

=

^ h

!

(17)  

 この(17)式は,(16-1)から(16-8)式を用いて次のように展開できる.

    T L^ h=anAT sA^ h+bnBT sB^ h+cnCT sC^ h+dnDT sD^ h+enET sE^ h+fnFT sF^ h+gnGT sG^ h+hnHT sH^ h+T sA sB sC sD sE sF sG sH^ , , , , , , , h

        , , , , , , ,

T L^ h=anAT sA^ h+bnBT sB^ h+cnCT sC^ h+dnDT sD^ h+enET sE^ h+fnFT sF^ h+gnGT sG^ h+hnHT sH^ h+T sA sB sC sD sE sF sG sH^ h         , , , , , , ,

T L^ h=anAT sA^ h+bnBT sB^ h+cnCT sC^ h+dnDT sD^ h+enET sE^ h+fnFT sF^ h+gnGT sG^ h+hnHT sH^ h+T sA sB sC sD sE sF sG sH^ h (18)  

 このように展開した理由は,右辺式の第9項がグループ間のタイル尺度を 表しており,各グループの和の形で次のように整理される.

    T sA sB sC sD sE sF sG sH^ , , , , , , , h=logn a+ nAlognA+bnBlognB+cnClognC+dnDlognD+enElognE+fnFlognF+gnGlognG+hnHlognH

        

, , , , , , , log log log log log log log log log

T sA sB sC sD sE sF sG sH^ h= n a+ nA nA+bnB nB+cnC nC+dnD nD+enE nE+fnF nF+gnG nG+hnH nH

        

, , , , , , , log log log log log log log log log

T sA sB sC sD sE sF sG sH^ h= n a+ nA nA+bnB nB+cnC nC+dnD nD+enE nE+fnF nF+gnG nG+hnH nH (19)  

3. 4 データ

 法人事業税に関するとしては,総務省都道府県税課に行政文書開示請求を 実施して「道府県税の課税状況等に関する調」の8年分(2004年度から2011年 度まで)の都道府県別データを取り寄せている.使用データは,「所得課税分」「収 入金額課税分」「所得割」「付加価値割」「資本割」である.これらのデータは,

各都道府県が作成したものを総務省で取りまとめた全国集計版である.

 また,導入初年度(2004年度)と次年度(2005年度)以降では,諸事情が異 なる点を考慮に入れる必要がある.これは,外形標準課税制度の導入初年度

(15)

であるため,色々な要因が推測される.この要因について総務省に確認した ところ,2点挙げられることが判明した.第1に,2004年度は導入初年度で あるため,当該年度に納付された分のみを計上する仕組みを採っているため である.具体的には,通常の3月決算企業の場合,納付されるのは翌年度の 5月~6月辺りになるため,中間申告分のみが計上されることになる.第2に,

上記中間申告分が納付される仕組みのうち,2004年度には一部の決算月企業 しか含まれていない点である(第 2 表参照).具体的には,決算月と納付時期 との関係から,2004年度中に含まれるのは3月・4月・5月・6月・7月決算 月企業の中間分が該当し,8月~2月決算月企業の中間分は翌2005年度に含 まれる形になる.これらはいずれも,制度導入初年度・2年度に発生し得る 特殊ケースである.

 そして,法人事業税の分析に際して用いる指標は,人口1人当たりの指標

出所:総務省担当職員からのヒアリングを基に筆者作成.

第 2 表 決算月と納付期限の関係          

決算月 中間対象期間 納付期限

3月 H16. 4.1 ~ H16. 9.30 H16.11.30

4月 H16. 5.1 ~ H16.10.31 H16.12.31

5月 H16. 6.1 ~ H16.11.30 H17. 1.31   H16年度分

6月 H16. 7.1 ~ H16.12.31 H17. 2.28

7月 H16. 8.1 ~ H17. 1.31 H17. 3.31

8月 H16. 9.1 ~ H17. 2.28 H17. 4.30

9月 H16.10.1 ~ H17. 3.31 H17. 5.31

10月 H16.11.1 ~ H17. 4.30 H17. 6.30

11月 H16.12.1 ~ H17. 5.31 H17. 7.31   H17年度分

12月 H17. 1.1 ~ H17. 6.30 H17. 8.31

1月 H17. 2.1 ~ H17. 7.31 H17. 9.30

2月 H17. 3.1 ~ H17. 8.31 H17.10.31

(16)

である12).使用するデータは都道府県別の人口データであり,総務省統計局 が公表している「住民基本台帳に基づく人口,人口動態及び世帯数調査」の 各年次(毎年3月31日時点)を使用する13).国内総生産の実質経済成長率は,

内閣府のホームページから得たデータを用いている.

4 実証分析

 第3章で整理した分析手法とデータに基づいて,ここでは実証分析を行う.

4. 1 外形標準課税制度の導入の影響

 第 2 図は,1975年度から2011年度までの37年間のタイル尺度の推移である.

これによると,1975年度以降1990年度までは現在よりも高い値で推移して

12) 本稿では,「人口1人当たりの法人事業税」を指標に用いているが,この他に「社会資本ストッ

1単位当たりの法人事業税」を指標に用いた研究がある.伊多波・壁谷(2010)を参照.

13) 詳細は,総務省ホームページ参照.http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/

gaiyou.html 0.12  0.14 

0.06  0.08  0.10 

0.00 0.02 0.04

1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 第 2 図 法人事業税のタイル尺度の推移

(17)

いることが分かる.その後,1990年代後半にかけて一時数値が低下するものの,

2000年に入ると再び上昇し,2004年の外形標準課税導入以降は上昇下降を繰 り返している.外形標準課税制度が導入されたのは2004年度であるが,この 図からはその導入の影響が分からない.通常,経済成長率が増加すると,法 人所得の地域間の格差が大きくなると思われる.したがって,経済成長率と 法人事業税の間には正の関係が見られる.この点を確認するため,実質経済 成長率とタイル尺度の関係を見ると第 3 図のようになる.これから,実質成 長率が大きいと法人事業税の地域間格差が大きくなることが確認される.

 法人事業税の地域間格差に影響を与える要素として,法人事業税の分割基 準が挙げられる.分割基準の内容の推移は,第1章で示されており,最近では,

2005年度に改正されている.

 また,外形標準課税制度が導入されたのは2004年度である.そこで,法人 事業税税のタイル尺度を被説明変数,説明変数を実質経済成長率,分割基準 ダミー,外形標準課税制度の導入ダミーとして最小二乗法で回帰分析を試み

0.12  0.14 

0.06  0.08  0.10 

タイル尺度

0.00  0.02  0.04 

‐0.06 ‐0.04 ‐ 0 0.02 0.04 0.06 0.08 実質経済成長率

0.02

第 3 図 経済成長率とタイル尺度の関係(1975年度から2011年度)

(18)

る.この際,2005年度の分割基準変更ダミーと2004年度の外形標準課税制 度の導入ダミーは1年しか違わないため,これらの相関係数が高くなり,多 重共線性の問題が生じる.そこで,この2つを別々に取り扱うことにする.

外形標準課税制度の導入ダミーを考慮するケースをケース1,分割基準ダミー を考慮するケースをケース2とする.

    ケース1 Yt= +a bGt+cD u+ t (20)  

    ケース2 Yt= +a bGt+i1B1+i2B2+i3B3+vt (21)  

 ここで,Ytは法人事業税税のタイル尺度,Gtは実質経済成長率,utvt誤 差項である.tは,1975年度から2011年度までの時間を示している.Dは外形 標準課税制度の導入ダミー,B1B3は分割基準ダミーであり,以下の値を取る.

D= 1 2004年度以降

0 2003年度以前 (22)  

B1(1982年度導入ダミー)= 1 1982年度から1988年度まで

0 上記以外の年度 (23)  

B2(1989年度導入ダミー)= 1 1989年度から2004年度まで

0 以外の年度 (24)  

B3(2005年度導入ダミー)= 1 2005年度から2011年度まで

0 上記以外の年度 (25)  

 最小二乗法(OLS)で推定して得られた計算結果は第 3 表のとおりである.

表には「通常のOLS」の場合と「説明変数に1期前のタイル尺度を挿入」の 場合について,計算されている.

(19)

 最初に「通常のOLS」の場合の計算から説明する.これらの計算は(20)式 と(21)式に基づいて計算されたものである.いずれのケースにおいても実質 経済成長率は,統計的に有意である.係数の値はプラスなので,実質経済成 長率の増大は税収の地域間格差を拡大させる.ケース1において,2004年度 の外形標準課税制度の導入ダミーはマイナスであるが,統計的には有意には ならない.つまり,外形標準課税制度の導入は税収の地域間格差に影響を及 ぼしていない.他方,ケース2において,1989年度と2005年度の分割基準 の導入ダミー変数は有意である.特に,いずれの年度の導入ダミーの値もマ イナスで,統計的に有意である.2005年度の分割基準の導入によりタイル尺

第 3 表 回帰分析結果表

通常のOLS 説明変数に1期前の タイル尺度を挿入 ケース1 ケース2 ケース1 ケース2

係数 係数 係数 係数

実質経済成長率 0.488 0.319 0.254 0.220 [3.83]*** [2.93]*** [3.51]*** [3.04]***

1982年度導入ダミー 0.002 0.003 [0.26] [0.64]

1989年度導入ダミー -0.024 -0.006 [-3.80]*** [-1.29]

2005年度導入ダミー -0.022 -0.006 [-2.91]*** [-1.21]

1期前のタイル尺度 0.766 0.674

[9.66]*** [7.49]***

外形標準課税制度の導入ダミー -0.007 -0.001

[-0.91] [-0.22]

定数 0.080 0.096 0.015 0.026

[18.71]*** [16.48]*** [2.13]** [2.75]**

修正済み決定係数 0.307 0.566 0.837 0.847 ダービン・ワトソン値 0.6378 0.7946

(20)

度が低下していることが分かる.

 しかし,ダービン・ワトソン値が2よりかなり小さい値であり,ダービン・

ワトソン検定によると正の系列相関が認められる.この問題を避けるため,

(20)式と(21)式のそれぞれの式で,説明変数に1期前のタイル尺度を挿入し て推定したものが,表の説明変数に「1期前のタイル尺度を挿入」の場合の 結果である.被説明変数のラグを説明変数に使用しているのでダービン・ワ トソン検定が使えない.BG検定およびDA検定を行うと,両方の検定の下で 系列相関がないという帰無仮説は棄却できず,系列相関が除去できているこ とが確認される.この推定結果によると,外形標準課税制度の導入ダミーは 統計的に有意でない点に変わりがないが,1989年度導入ダミーと2005年度 導入ダミーは統計的に有意ではなくなっている.

 以上の分析から,最近の法人事業税の地域間格差の縮小は,実質経済成長 率によるもので,2004年度の外形標準課税制度の導入によるものではないこ とが明らかになった.2005年度の分割基準の導入の影響については,確実な ことが言えない14)

4. 2 グループ別の実証分析

 先行研究を整理すると,都道府県をグループ化して地域格差を分析する方法 は,いくつかのパターンが存在する.例えば,戸谷(1993)では,自治体の財政 力指数(単年度)によりグループ化している.高林(2005)や深江(2009)では,北 海道・東北や関東,中部といった北から南までの地域ごとにグループ化してい る.本稿では,高林(2005)および深江(2009)を参考に,以下の8グループとする.

 1.北海道・東北 (7):北海道,青森,岩手,宮城,秋田,山形,福島  2.関東 (7):茨城,栃木,群馬,埼玉,千葉,東京,神奈川

14)  デッキー ・ フラー検定によると,タイル尺度には単位根の存在が否定できていないが,実 質経済成長率には単位根は存在しない.したがって,変数間の見せかけの関係の問題は回避さ れている.

(21)

 3.北陸・甲信越 (6):新潟,富山,石川,福井,山梨,長野  4.東海 (4):岐阜,静岡,愛知,三重

 5.近畿 (6):滋賀,京都,大阪,兵庫,奈良,和歌山  6.中国 (5):島根,鳥取,岡山,広島,山口

 7.四国 (4):徳島,香川,愛媛,高知

 8.九州・沖縄 (8):福岡,佐賀,長崎,熊本,大分,宮崎,鹿児島,沖縄  第 4 図を見ると,関東の数値の高さが際立っているのが目につく.関東は,

税収最大の東京都を含む人口集中圏で,同様に近畿も上位を推移しているこ とから,格差生成の様子が伺える.一方で,北陸・甲信越,中国,九州・沖 縄は数値が小さい.全体的には,関東とそれ以外の地域で格差が二極化して いる様子が伺える.全体を見ると,関東の格差と法人事業税全体の格差の動

タイル尺度

1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010

0.14 0.12

0.08 0.1

0.02 0.04 0.06

0

北海道・東北 関東北陸・甲信越 東海近畿 中国四国 九州・沖縄 タイル尺度

年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 タイル尺度

関東

第 4 図 グループ別のタイル尺度の推移

(22)

きが比例しており,関東の格差が全体の格差に影響している.この点は,外 形標準課税制度が導入された2004年度以降も同様の傾向が見られる.

 タイル尺度は,先に説明したようにグループ内とグループ間に分解するこ とができる.第 5 図に,法人事業税全体のタイル尺度と地域グループごとの 寄与度が示されている.これによると,グループ間の格差よりもグループ内 の格差の方が大きい傾向にあることが分かる.

4. 3 構成要素別の寄与度分解

 次に,法人事業税の構成要素別の寄与度分解を見てみる.都道府県が徴収 する法人事業税は,外形標準課税の対象法人と対象外の法人に分けて課税さ れることから,各々の項目に分けて分析を行う.これにより,対象外の法人 は所得課税分と収入金額課税分(ただし,電力・ガス・生保等に限定),対象法人 は所得割,付加価値割,資本割に分けて分析を行っている.

 第 4 表は,法人事業税の構成要素別税の寄与度を示している.説明を容易 にするため,構成要素別(税額)の寄与度を示したのが第 6 図である.

0.07 0.08

0.04 0.05 0.06

0 0.01 0.02

1975 19 08 19 58 19 09 19 59 20 00 20 50 2010

0.03

グループ内

グループ間

年度 年度

年度 年度

年度 年度

年度 年度

第 5 図 グループ内とグループ間の寄与度の推移

(23)

※外形対象以外の法人分(所得課税,収入金額課税)外形対象法人分(所得割,付加価値割,資本割)

※法人事業税(合計)の準タイル尺度は,全体のタイル尺度である.

第 4 表 構成要素別の準タイル尺度の推移(税額)

2004(H16)年度 2005(H17)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0972 0.8717 0.0847 98.7% 0.0525 0.3625 0.0190 21.0%

収入金額課税 -0.0033 0.1216 -0.0004 -0.5% -0.0143 0.1089 -0.0016 -1.7%

所得割 0.2301 0.0052 0.0012 1.4% 0.1425 0.3874 0.0552 61.0%

付加価値割 0.1362 0.0010 0.0001 0.2% 0.1154 0.0947 0.0109 12.1%

資本割 0.3120 0.0004 0.0001 0.1% 0.1476 0.0465 0.0069 7.6%

法人事業税合計 0.0858 1.0000 0.0858 100.0% 0.0905 1.0000 0.0905 100.0%

2006(H18)年度 2007(H19)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0544 0.3190 0.0173 20.6% 0.0521 0.3222 0.0168 18.9%

収入金額課税 -0.0280 0.0962 -0.0027 -3.2% -0.0274 0.0928 -0.0025 -2.9%

所得割 0.1249 0.4458 0.0557 66.1% 0.1357 0.4508 0.0612 68.7%

付加価値割 0.0962 0.0949 0.0091 10.8% 0.0969 0.0939 0.0091 10.2%

資本割 0.1090 0.0441 0.0048 5.7% 0.1126 0.0404 0.0046 5.1%

法人事業税合計 0.0842 1.0000 0.0842 100.0% 0.0891 1.0000 0.0891 100.0%

2008(H20)年度 2009(H21)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0527 0.3027 0.0160 18.6% 0.0430 0.3005 0.0129 19.9%

収入金額課税 -0.0338 0.1013 -0.0034 -4.0% -0.0052 0.1532 -0.0008 -1.2%

所得割 0.1303 0.4568 0.0595 69.4% 0.1030 0.3718 0.0383 58.9%

付加価値割 0.0931 0.0981 0.0091 10.6% 0.0751 0.1149 0.0086 13.3%

資本割 0.1115 0.0411 0.0046 5.3% 0.0997 0.0595 0.0059 9.1%

法人事業税合計 0.0858 1.0000 0.0858 100.0% 0.0650 1.0000 0.0650 100.0%

2010(H22)年度 2011(H23)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0387 0.3187 0.0123 19.9% 0.0366 0.3239 0.0119 19.6%

収入金額課税 -0.0122 0.1254 -0.0015 -2.5% -0.0016 0.1268 -0.0002 -0.3%

所得割 0.1011 0.2698 0.0273 44.0% 0.0949 0.2674 0.0254 42.0%

付加価値割 0.0722 0.1887 0.0136 22.0% 0.0720 0.1882 0.0136 22.4%

資本割 0.1056 0.0974 0.0103 16.6% 0.1054 0.0936 0.0099 16.3%

法人事業税合計 0.0620 1.0000 0.0620 100.0% 0.0605 1.0000 0.0605 100.0%

(24)

 2004年度の値は2005年度以降に比べると,異常な値を示している.これは,

先に述べたような外形標準課税制度の導入初年度における事情によるものと 思われる.第6図から外形対象の中で,所得割の寄与度が一番高い.法人事 業税のタイル尺度の変化を所得割の変化がかなり説明している.第4表から,

所得割の準タイル尺度が高いだけでなく,ウエイトも高い値を示している.

2009年度以降,所得割の寄与度が低下しているが,これは第4表から準タイ ル尺度とウエイトの両方が低下しているからである.他方,寄与度が低いのは,

資本割と付加価値割である.資本割の準タイル尺度は付加価値割よりもやや 高い値を示している.寄与度で見ると,資本割は付加価値より低い.これは 資本割のウエイトがかなり小さいからである.このことから,法人事業税の 地域格差を縮めるためには,準タイル尺度が小さい付加価値割のウエイトを 高めることが必要であることが分かる.

 第 5 表は課税標準額の寄与度を示している.この表から,付加価値割の準 タイル尺度が低い値であることが確認できる.このことからも,付加価値割

0.1000  0.1200 

0.0600 

0.0800  法人事業税(合計)

所得課税 収入金額課税

0.0000  0.0200 0.0400  

  所得割

付加価値割 資本割

-0.0200 

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 (年度)

第 6 図 構成要素別の寄与度の推移(税額)

(25)

※外形対象以外の法人分(所得課税,収入金額課税)外形対象法人分(所得割,付加価値割,資本割)

※法人事業税(合計)の準タイル尺度は,全体のタイル尺度である.

第 5 表 構成要素別の準タイル尺度の推移(課税標準)

2004(H16)年度 2005(H17)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0370 0.4948 0.0183 22.8% 0.0261 0.0685 0.0018 1.7%

収入金額課税 0.1235 0.4802 0.0593 73.9% -0.0391 0.1390 -0.0054 -5.3%

所得割 0.1087 0.0037 0.0004 0.5% 0.1361 0.0901 0.0123 11.9%

付加価値割 0.0483 0.0111 0.0005 0.7% 0.1132 0.3236 0.0366 35.5%

資本割 0.1651 0.0103 0.0017 2.1% 0.1528 0.3788 0.0579 56.1%

法人事業税合計 0.0802 1.0000 0.0802 100.0% 0.1031 1.0000 0.1031 100.0%

2006(H18)年度 2007(H19)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0370 0.0619 0.0023 2.7% 0.0354 0.0652 0.0023 2.8%

収入金額課税 -0.0443 0.1244 -0.0055 -6.6% -0.0305 0.1249 -0.0038 -4.6%

所得割 0.1154 0.1066 0.0123 14.7% 0.1190 0.1111 0.0132 15.9%

付加価値割 0.0899 0.3386 0.0305 36.5% 0.0925 0.3458 0.0320 38.4%

資本割 0.1193 0.3684 0.0439 52.6% 0.1121 0.3530 0.0396 47.5%

法人事業税合計 0.0835 1.0000 0.0835 100.0% 0.0833 1.0000 0.0833 100.0%

2008(H20)年度 2009(H21)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0345 0.0598 0.0021 2.6% 0.0254 0.0509 0.0013 1.8%

収入金額課税 -0.0304 0.1304 -0.0040 -5.0% -0.0179 0.1559 -0.0028 -3.9%

所得割 0.1120 0.1091 0.0122 15.5% 0.0883 0.0765 0.0068 9.4%

付加価値割 0.0888 0.3482 0.0309 39.1% 0.0775 0.3203 0.0248 34.7%

資本割 0.1075 0.3524 0.0379 47.9% 0.1045 0.3964 0.0414 57.9%

法人事業税合計 0.0791 1.0000 0.0791 100.0% 0.0715 1.0000 0.0715 100.0%

2010(H22)年度 2011(H23)年度

準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 準タイル ウエイト 寄与度 寄与率 所得課税 0.0100 0.0556 0.0006 0.8% 0.0075 0.0568 0.0004 0.6%

収入金額課税 -0.0097 0.1450 -0.0014 -2.0% -0.0009 0.1486 -0.0001 -0.2%

所得割 0.0801 0.0778 0.0062 8.9% 0.0782 0.0777 0.0061 8.7%

付加価値割 0.0709 0.3233 0.0229 32.7% 0.0707 0.3279 0.0232 33.0%

資本割 0.1049 0.3985 0.0418 59.6% 0.1046 0.3890 0.0407 57.9%

法人事業税合計 0.0701 1.0000 0.0701 100.0% 0.0702 1.0000 0.0702 100.0%

(26)

のウエイトを高めることが,法人事業税の地域間格差を縮めることにつなが ることが分かる.

お わ り に

 本稿では,法人事業税の外形標準課税制度に着目し,導入以前から指摘さ れていた地域間格差について実証分析を行った.その結果,以下の結論を得た.

 第1に,最近の法人事業税の地域間格差の縮小は,実質経済成長率による もので,2004年度の外形標準課税制度の導入によるものではないことが明ら かになった.2005年度の分割基準の導入の影響については,確実なことが言 えず,今後の課題として残されている.

 第2に,関東地域の格差と法人事業税全体の格差の動きが比例している.

 第3に,タイル尺度をグループ内とグループ間に分解すると,グループ間 の格差よりもグループ内の格差の方が大きい傾向にある.

 第4に,構成要素別分析では,外形標準課税の3項目の中で,付加価値割 が最も望ましい.

 2004年度の外形標準課税制度の導入は,法人事業税の地域間格差の縮小に は影響を及ぼしていない.しかし,外形標準課税制度は,事業税の応益性を 考慮して導入されたものであり,今後も外形標準課税を充実化する必要があ るものと思われる.本稿の分析は,その際,法人事業税の地域格差を縮小す るものとすれば,付加価値割のシェアを拡大していくことが望ましいことを 示している.この点は,篠原(2007)と同じ主張になっている.さらに,応益 課税の関係で法人事業税を分析した伊多波(2013)の結論とも同じである.

【参考文献】

伊多波良雄・壁谷順之(2010)「事業税を応益税として捉えた場合の事業税の地域間格 差指標」日本財政学会第67回大会報告論文,mimeo.

伊多波良雄(2013)「応益課税としての法人事業税の検証」『経済学論叢』(同志社大学),

(27)

第64巻第3号,109―125ページ.

伊藤幸男(2008)「法人事業税の地方配分問題について」『税経新報』1月号(551号), 税経新人会全国協議会,10―16ページ.

占部裕典(2005)「外形標準課税―自治体課税権の本質と外形標準課税の法的課題―」

占部裕典他編著『解釈法学と政策法学』勁草書房,第10章,所収,274―304ページ.

貝塚啓明・本間正明・高林喜久生・長峯純一・福間潔(1987)「地方交付税の機能とそ

の評価PartⅡ」『フィナンシャル・レビュー』第4号,9―26ページ.

齊藤由里恵(2010)『自治体間格差の経済分析』関西学院大学出版会.

篠原渉(2007)「事業税制度についての一考察」『経済研究』(東京国際大学),第9巻,

33―46ページ.

高林喜久生(2005)『地域間格差の財政分析』有斐閣.

地方税制度研究会編(2009)『地方税取扱いの手引』(平成21年11月改訂),財団法人 納税協会連合会.

戸谷裕之(1993)「わが国事業税の展望と課題―課税ベースと分割基準―」『大阪産 業大学論集 社会科学編』第90巻,1―17ページ.

戸谷裕之(2010)「地方法人2税の創設から最近の課題まで」『抜本的税制改革と地方税』

(地方税研究会報告),社団法人日本租税研究協会,144―178ページ.

橋本恭之(2008)「地方法人課税の改革」『経済論集』(関西大学),第57巻第4号,1―17ペー ジ.

深江敬志(2009)「法人事業税の地域間格差―外形標準課税が地域間格差に与える影 響―」日本地方財政学会第17回大会報告論文,mimeo.

望月正光・野村容康・深江敬志(2010)『所得税の実証分析―基幹税の再生を目指し て―』日本経済評論社.

森信茂樹(2010)『日本の税制―何が問題か―』岩波書店.

参考資料

財務省資料.http://www.mof.go.jp/ 所収.

総務省資料.http://www.soumu.go.jp/ 所収.

総務省資料「分割基準について」.http://www.soumu.go.jp/main_content/000182315.pdf.

(28)

地方財政調査研究会『地方財政統計年報』各年度版,地方財務協会.

東京都主税局資料.http://www.tax.metro.tokyo.jp/ 所収.

内閣府資料.http://www.cao.go.jp/ 所収.

(いたば よしお・同志社大学経済学部教授)

(かべや のぶゆき・元 同志社大学ライフリスク研究センター嘱託研究員)

(29)

The Doshisha University Economic Review, Vol. 65 No. 4 Abstract

Yoshio ITABA and Nobuyuki KABEYA, Size-based Taxation for the Corporate Enterprise Tax and the Disparity of Tax Revenues among Prefectures

  Size-based taxation for corporate enterprise tax was introduced in FY 2004. This paper analyzes the effect of the introduction of size-based taxation to the disparity of tax revenues among prefectures. The analysis finds that the introduction of size-based taxation does not influence the disparity of the tax revenues.

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