中国人留学生における親密圏の変容 : SNSの文化的 閉鎖性
著者 李 文
雑誌名 評論・社会科学
号 126
ページ 33‑49
発行年 2018‑09‑30
権利 同志社大学社会学会
URL http://doi.org/10.14988/pa.2018.0000000223
要約:現在の中国人留学生はSNSを利用して母国の家族・友人と緊密な連絡を取ってい る。SNSのない1990年代に来日した元中国人留学生と比べてデジタル世代である現在の 中国人留学生の親密圏に大きな変化がある。中国本土のSNSに対する利用によって中国人 留学生の親密圏は留学先の生活圏中心から自文化圏中心へ移行したことが明らかになった。
さらに,「一人っ子」である多くの留学生は中国のSNSの利用を通じて海外でも本土にい る家族から「教育」され,家族の価値観の実行者となり,彼らの留学生活全般に強く影響 している。中国本土のSNSの閉鎖性問題がこれからの中国人留学生研究の中で重要視され るべきである。
キーワード:中国人留学生,一人っ子世代,親密圏,SNS,準拠集団
目次 1.はじめに
2.中国人留学生のコミュニケーション問題 3.中国人の親密圏および家族中心志向
3-1.中国人の親密圏研究の蓄積
3-2.中国人留学生の親密圏の変容──生活圏中心から文化圏中心へ
3-3.中国SNSの文化的閉鎖性による親密圏の変容
4.調査と分析 4-1.調査の目的 4-2.分析 5.考察 6.結論
1.はじめに
本稿は,家族と友人からなる中国人留学生の親密圏について,実証的な考察を行うこ とを目的する。「生活圏中心」の第二世代の中国人留学生に比べて,第三世代の中国人 留学生(坪谷
2008 : 8)は中国の SNS
を利用することにより,彼らの親密圏は「生活────────────
†同志社大学大学院社会学研究科社会学専攻博士後期課程
*2018年6月25日受付,2018年7月2日掲載決定
論文
中国人留学生における親密圏の変容
── SNS
の文化的閉鎖性──李 文
†33
圏中心」から「自文化圏中心」へ変容した。そのことから彼らの親密圏がホスト社会の グローバルな環境と離れつつある。自国の
SNS
がもつ文化的閉鎖性という特徴は,中 国人留学生が母国とのコミュニケーションに偏る原因になる可能性がある。それによっ て彼らの異文化コミュニケーションのチャンスが少なくなり,ホスト社会に溶け込めに くくなっている彼らの親密圏の構造を分析したい。2.中国人留学生のコミュニケーション問題
1982
年に中国政府が私費留学を公認して以来,海外に留学する中国人留学生が増え 続けており,いまや中国人留学生は各国の外国人留学生の中で一番大きな割合を占めて いる。反面,留学先のキャンパスで,中国人留学生同士が群れて積極的に現地学生と交 流しないことが問題視されている。その原因として,坪谷(2008)は日本で生活するこ とに憧れて目的が曖昧なまま留学する学生が多いことや,萩原・岩男(1997)は語学力 が低いことによる不適応と指摘する。また,大橋(2008 : 52-56),陳・高田谷(2008)は,日本にいる留学生の中では欧米出身者より非欧米出身者(主にアジア出身)のほう にストレスが高く,日本人と親しく交際するうえで障害が大きいというアジア出身の留 学生特有の問題を述べた。
しかし,日本人とのコミュニケーションがうまくいかないことは,留学生の準備不足 やコミュニケーション能力の不足が最大の原因なのだろうか。インターネットのない時 代に,留学生は来日することによって日本人とのコミュニケーションを図っていた。そ れに比べて,インターネットのある時代ははるかに留学先の情報を収集しやすいし,語 学教育も充実しているようにみえる。だが,インターネット社会の中で生きている留学 生はその情報環境の便利さゆえに,かえって留学先の人たちと積極的にコミュニケーシ ョンをとっていないという現実がある。
かつてのインターネットのない時代の留学生に比べて,インターネット社会の中での 留学は,今日の中国人留学生にとってなにを意味するのか。中国ではインターネットを 使えるものの,多くの海外サイトや
SNS
の利用を禁じられている。人々は中国にいる 限り,中国のSNS
を使うことしかできない。現在中国で最もよく利用されているSNS
は微信(英文名はWechat)
(1)というSNS
である。現在の中国人留学生は中国にいる家 族や友人と連絡するのに微信を最もよく使っている。中国人が使う中国のSNS
である ゆえに,コミュニケーションの言語は中国語である。その結果,中国人留学生は微信を 使ってコミュニケーションをする時,彼らがどこにいようがグローバルの環境に全く影 響されていないに等しい。このような現象,を本稿では中国のSNS
がもつ「文化的閉 鎖性」ととらえる。このような中国特有のインターネット環境は,中国人留学生の異文中国人留学生における親密圏の変容 34
化コミュニケーションにどのような影響をおよぼしているのかを明らかにする必要があ る。
従来の留学生のネットワーク研究は,「母国」または「外国」という地域の枠に限ら れていて,空間を超えたインターネット社会における留学生のコミュニケーション研究 はまだ少ない。一方,デジタルネイティブである「第三世代の中国人留学生」は,すで に
SNS
を中心としたインターネット上のコミュニケーションを当たり前と感じている。本稿では,中国人留学生のインターネット上のコミュニケーション環境(ここでは
SNS
をさす)に注目し,彼らの親密圏(家族と友人)の中核はどこにあって,その親 密圏は中国人留学生の留学生活にどのような影響をおよぼしているかを考察する。また,今までの中国人留学生についての研究対象は学部生が中心で大学院生に対する 調査が少ない。しかし,大人になった留学生と家族との関係性をみるために,大学院生 という集団を見逃してはいけない。それによって,今回の調査対象は近年激増している 大学院生に注目する。
3.中国人の親密圏および家族中心志向
3-1.中国人の親密圏研究の蓄積
海外中国人の親密圏研究は,家族・友人がキーワードになっている。中国人は海外に 長くいても中国人同士で群れて,現地のコミュニティに溶け込まないというイメージが 強い。目に見える中国人の親密圏の典型としては「チャイナタウン」の例をあげられ る。そのような血縁・地縁の土台となった中国人同士の親密圏が強い理由として,中国 人社会学者の費孝通は「信用は親密な関係の中にある」からだと述べた(費
1985 : 10)。費孝通によれば,西洋社会の「団体格局」(組織中心のネットワーク)と違って,
中国人のネットワークは「差序格局」(順序と格差で区別された個人中心なネットワー ク)の基準に従って構成され,「圏子」とも呼ぶ。各個人の圏子(パーソナルネットワ ーク)の中には,自己が中心となって,家族が一番内側にあり,次第に親友から普通の 友人へと波紋のように同心円状に広がっていく。親しい友人であれば家族として接して いるという(親密圏の)文化となっている。このような「圏子」は決まった団体ではな く,境界があいまいな範囲にすぎない。それは中国人の交際範囲及び社会地位をあらわ し,家族と家族以外の人間関係を合わせたソーシャル・キャピタルともみえる。差序格 局の社会は無数の私人関係が重なっているネットワーク社会である。
現在の中国社会においても,人的ネットワーク(費孝通のいわゆる圏子)を多くもつ 者ほど多くの情報や社会的資源を獲得しやすい(園田編
2008 : 49-50)。このような中国
人の「圏子」は現在でも中国人のパーソナル・ネットワークの主なあり方であると考え中国人留学生における親密圏の変容 35
られる。
費孝通が表した中国人の圏子(親密圏)は郷土社会の中国が背景にあったが,現代に おいてもその特徴は強く残っている。
一方現代の中国家族構造は,性別役割分業の発達とともに核家族化した日本と大きく 異なる。中国社会では一人っ子政策(1979年−2015年)によって核家族の増大と複合 家族の減少といった傾向がみられた(園田
1989)。親は育児の負担が減る一方で子供に
対する教育投資は空前の規模になっている。反面,都市出身で37
歳以下の若者の大多 数が一人っ子のため,一人っ子の親の養老問題がこれから深刻化する。親は老後を一人 の子どもに頼らざるを得ないという現実に基づいて,家族中心の利益共同体への志向が 昔より強まっている。このような家族の変化は,親子間のコミュニケーションにも影響をおよぼしている。
2006
年に行われた「中国家族調査(China Family Survey)」と2003
年の日本全国家族調 査の比較(2)によると,中国の30
歳〜59歳の既婚者で(親と別居している子に限定),週に一回以上夫方の親と連絡をとっている者は
57%,妻方の親と連絡をとっている者
は
58% である。日本(夫方の親とは 26%,妻方の親とは 32%)より 20% 以上高い。
中国の親子間のコミュニケーションが日本より遥かに頻繁で親子間は非常に緊密的な関 係をもつことが分かった。さらに,学歴が高い者ほど親子間のコミュニケーションが頻 繁である(石原他
2013 : 85-94)。
同上の調査では「頼りにする人」,特に借金をする時,中国では最も頼りになるのは
「きょうだい」41.6%,「友人・同僚」23.5%,「親」「子」はほぼ同じで三番目になる。
そ れ に 対 し て,日 本 で は「配 偶 者」40.7%,「親」34.3%,「き ょ う だ い」18.9% で,
「子」は四番目である(石原他
2013 : 145-155)。この結果から,費孝通の「圏子」と一
致して,中国では「きょうだい」や「友人・同僚」のようなヨコのつながりが,社会資 源を得るために重要なソーシャル・キャピタルの機能を果たしている。その社会背景と して,中国は1949
年から共産党政権のもとで近代化し,特に1978
年以降の改革開放政 策を契機に急速な経済成長を遂げたものの,経済成長とともに貧富の差が拡大した。福 祉面の政策サポートが不足していることが原因で,社会全体のリスクがむしろ拡大して いるのである。3-2.中国人留学生の親密圏の変容──生活圏中心から文化圏中心へ
かつて
1990
年代に日本に来た留学生は,20代後半から30
代前半の既婚者が多かっ た。ほとんどの人は社会人の経験をしたうえで来日した。彼らが多くはアルバイトをし て親に仕送りをしたり,こどもの養育費を捻出したりしていた。経済的な立場からみる と,彼らは親から独立し,親を扶養する立場だった。また,1990年代の中国人留学生中国人留学生における親密圏の変容 36
は一人っ子政策の前に生まれた世代であるため,彼らのほとんどに兄弟がいて,経済の 面でも親の養老の面でもきょうだいネットワークに多く頼っていた。一人っ子政策以前 に生まれた中国人留学生は,親には自分(留学生)以外に頼る子供がいた。一方,現在 の一人っ子世代の中国人留学生は伝統的な共同体家族における兄弟間のサポートネット ワークを得られない。
現在の留学生は,「一人っ子政策」が実施された
1979
年以降に生まれた者で,きょう だいがいない人がほとんどである。10代後半から20
代前半の未婚の若者が多く,社会 人経験もほとんどない。1990年代とは反対に,親が経済的に豊かであるため,親への 仕送りは要らないどころか,時々親から仕送りをしてもらっている。親の支援による私 費留学生が1990
年代より大幅に増えている。彼らにとっての親孝行は,親と頻繁に連 絡を取って,親のいうことを聞いて親の価値観を実行することである。一人っ子の留学 生であるゆえに,親はいつか母国に帰ってきてほしいと願っている。老後に頼れるのは 一人の子供しかいないからである。さらに,1990年代の中国人留学生にとって海外留学・移住は,当時の中国の家族全 体にとっても誇りに感じられた。しかし,留学の大衆化によって現在の中国人留学生の 海外留学・移住は一種の選択にすぎないとみられ,本人または家族のメンツのために無 理やり海外に残る必要がなくなっている。
3-3.中国SNSの文化的閉鎖性による親密圏の変容
中国社会における核家族化と
SNS
の普及という背景のもとで,現在の中国人留学生 は日本社会での人間関係より,中国本土の家族や友人との関係への依存度が高まりつつ ある。かつて
90
年代のようなSNS
のない時代において,留学生が本土の家族や友人と連絡 する場合,手紙や国際電話という手段しかなく,それは時間的にも経済的にもコストが とても高かった。彼らの親密圏はホスト社会の日本にいる留学生同士や日本人の友人が 中心となり,「生活圏中心」の親密圏が構成されていた。他方,SNSが一般化した時代 になり,中国の無料SNS
を使っての中国人同士(本土か海外に関わらず)のコミュニ ケーションは空間的・経済的な制約がなくなったのである。現在の中国人留学生は,い つでもどこでも母国の家族や友人と連絡することができる。つまり今日の多くの中国人 留学生は,母国のSNS
の利用によって,空間の制約を超えた自文化圏中心の親密圏の 中で生きている。それは今までの「生活圏中心」で異文化コミュニケーションをはかる「留学」の境界を薄めている。
このような中国人留学生の親密圏の変容を図
1
の概念図で示す。横軸は自文化(中国 文化)から日本文化(他文化)への変化を表し,縦軸はコミュニケーションの頻度を表中国人留学生における親密圏の変容 37
す。親密圏の分類について,「家族」と「本土の中国友人」は自文化中心の代表として 取り上げる。「在日の中国友人」は中国文化と日本文化の真ん中にある。「日本人友人」
はホスト社会の他文化の代表とする。SNSのない時代の留学生は日本人友人とのコミ ュニケーションの頻度が高かったが,SNSの普及にしたがって,現在の中国人留学生 のコミュニケーションのあり方は左から右に移行し,彼らの親密圏も自文化圏中心にな ってきている。このような親密圏の変容は,中国人留学生が長く日本で生活しても,日 本人の友人ネットワークの形成や異文化コミュニケーションが難しくなることを意味す る。SNSの文化的閉鎖性は,現在の中国人留学生が直面している異文化コミュニケー ション問題と深く関わっている。
2000
年以降にインターネットの普及により,留学生はもともとコストが高かった国 際電話からSNS
に移って,いつでもどこでも無料で母国の家族や友人と連絡を取れる ようになった。特に中国では外国のインターネットに対する規制がある中で,中国本土 にいる中国人同士とのコミュニケーションは中国のSNS
のみに頼って維持されている のが現状である。デジタル世代の留学生も中国本土にいる家族や友人と連絡するために中国の
SNS(主に微信「Wechat」)を使っている。さらに多くの留学生は毎日のように
まめに中国の
SNS
を使っている。李(2015)によると,中国人留学生が中国のSNS
の 利用が主流であり,中国のSNS
に対する利用が頻繁であればあるほど,日本人との異 文化コミュニケーションに消極的になる。中国人留学生は留学先の学校や地域に属しているものの,母国にいる家族や友人との 連絡が頻繁であれば,彼らの行動の準拠枠は「母国での位置づけ」が優先されることに なる。それによって,留学生の親密圏の構成は地縁(母国),血縁(家族)という第
1
次的紐帯にとどまってしまう可能性が高くなる。さらに,多くの留学生は学業やアルバ イトで多忙であるので,中国のSNS
を利用するほかに,日本人がよく利用するLINE
や
SNS」と呼ぶ)の SNS
を同時に使うならば,図1
左:SNSのない生活圏中心な時代 右:SNSのある文化圏中心な時代
(筆者作成)
中国人留学生における親密圏の変容 38
彼らの
SNS
にかける時間コストは一般人の倍になる。彼らが日本の若者ほど国際的なSNS
に時間を割くことは難しい。李(2015)によると,LINEやSNS
上の日本人 とのコミュニケーションが非常に少なく,SNS 空間ではほぼ母国にいる状態に等しい。このような中国
SNS
による文化的閉鎖性は,現在の中国人留学生に「情報的閉鎖性」をもたらす。彼らの留学先における異文化コミュニケーションが全体的に不足し,留学 先の人たちとの相互理解や帰属意識の欠如につながる。
李(2015)は日中学生間の友人ネットワークについて調査した結果,多くの中国人留 学生が日本人学生と友人になることで,互いの偏見などの心理的障壁が取り除かれるこ と,他方で日本人学生との友人づくりに挫折した経験が留学生活への不満,ひいては日 本(人)に対するマイナスイメージにつながっていると述べている。同じく,日本人学 生に対する調査では,日本人学生が中国人留学生の知り合いが多ければ多いほど,中国
(人)に対するイメージがよくなること,つまり日中学生間の友人関係の形成は,中国 人留学生にとっても日本人学生にとっても大きな意味をもつことが分かった。この調査 では日中学生間の友人関係の重要性・役割,そして中国人留学生側が直面する異文化コ ミュニケーションの障壁を明らかにしたものの,中国人留学生自体がもつ親密圏の構造 が明らかにされていないことがあると示している。
SNS
のない時代(ここでは1990
年代)の中国人留学生と現在の中国人留学生との比 較を通じて,「日本人友人」と「家族」が中国人留学生の親密圏の中における位置づけ の変化をみていきたい。4.調査と分析
4-1.調査の目的
1990
年代の元中国人留学生と現在の中国人留学生に対する半構造化インタビューに よって,1990年代の中国人留学生と現在の中国人留学生との中国家族・友人との連絡 手段,連絡頻度,親密圏における日本人友人の位置づけを比較する。それによって,SNS
のない時代の中国人留学生とSNS
のある現代の中国人留学生とのコミュニケーシ ョンのあり方の変化を分析する。筆者は
2016
年7
月から11
月にかけて,大学院に在学している9
人の中国人留学生(男性
4
人,女性5
人),そして過去の中国人留学生と比較するために90
年代(SNSが なかった時代)に日本に留学した元中国人留学生3
人(男性1
人,女性2
人)に半構造 化インタビュー調査を行った。調査対象はスノーボールサンプリングで集めた。詳しく は現在の中国人留学生は表1,元中国人留学生は表 2
のとおりである。全員が中国人で中国人留学生における親密圏の変容 39
あるため,インタビューは中国語で行った。以下のデータは筆者が中国語から日本語に 訳したものである。
今回の調査は京都にいる中国人留学生を主な対象とし,そのほか,兵庫県にいる留学 生
1
人,そして過去に大阪で長く留学した1
人(現在東京の大学院に進学)にもインタ ビューを実施した。質問項目は,家族構成,来日動機,SNS の利用,家族・友人とのコミュニケーショ ン,将来の計画,友人づくりなどである。これらの質問を通して,現在の中国人留学生 と
1990
年代の中国人留学生の親密圏におけるコミュニケーションの特徴,よく連絡す る対象,親密圏の構造の違い,その親密圏が彼らの留学生活への影響を明らかにした い。表1 現在の留学生のプロフィール
名前 年齢 性別 出身(省) 家族構成 家族との連絡 滞日期間 学校 学歴 A 24 女 浙江 父,母,自分 ほぼ毎日 3年 私立 M 2 B 21 男 江蘇 祖母,父,母,自分 週4以上 1年3月 国立 M 1 C 27 男 江西 父,母,自分 毎週 4年3月 私立 M 2 D 23 女 河南 祖母,叔父母,弟2,自分 ほぼ毎日 1年3月 私立 M 1 E 26 男 河北 父,母,自分 毎週 2年 私立 M 1 F 31 女 江蘇 父,母,弟,自分 毎週 5年 私立 D 2 G 29 女 山東 父,母,自分 ほぼ毎日 10年 私立 D 2 H 27 女 遼寧 父,母,自分 毎週 7年半 私立 D 2 I 27 男 山東 父,母,自分 毎月 2年半 国立 D 2
(筆者作成)
表2 1990年代来日した元留学生のプロフィール
名前 来日年齢 性別 出身(省) 家族構成 家族との連絡 滞日期間 学校 学歴 X 28 男 遼寧 既婚。自分(4人兄弟の
長男),妻,子供1人
手紙:月1回 1992〜1999 国立 修士
Y 27 女 遼寧 既婚。自分(4人兄弟の 末子),夫,子供1人
手紙:月1回 電話:週15分
1991〜1999 府立 修士
Z 27 女 吉林 既婚。自分(3人兄弟の 末子),夫,子供1人
手紙:月1回 電話:週10分
1996〜2010 国立 修士
(筆者作成)
中国人留学生における親密圏の変容 40
4-2.分析
4-2-(a).中国家族とのコミュニケーションの変化
1)1990年代の中国人留学生の親密圏──日本での生活圏との重なり
1990
年代の中国人留学生は,国際電話や手紙を使って中国本土にいる家族や友人と 連絡するコストが高かったので,月1
回程度の頻度にとどまり,中国にいた時より少な かった。そこで彼らにとっては周囲の留学生(主に中国人)や日本人とつきあうほうが 容易で有益であったので,必然的に彼らの親密圏は日本での生活圏と重なった。「家族と月に1-2回手紙で連絡する。電話は2, 3か月に1回で毎回5分ぐらい話す。アルバ イトなどで忙しくて,日本に来て半年経ったら中国本土の友人とほとんど連絡しなくなっ た。」(X)
「家族と1, 2か月に1回手紙で連絡する。電話なら毎週1回で毎回15分間話す。大学の友人 や社会人時代の同僚に年に1, 2回手紙を送っていた。」(Y)
「家族と1, 2か月に1回手紙で連絡する。電話は毎週1回で10分ぐらい話す。本土の友人に 対しては電話代が高かったからあんまり連絡していなかった。」(Z)
また,90年代の中国人留学生は日本人の友人が少なかったものの,日本人友人が彼 らの留学生活に大きな助けとなった。日本人の友人は彼らにとってかけがえのないサポ ートネットワークだったといえる。
「日本人の友人は少なかったけどとても助けてくれた。バイト先で給料を払ってくれない時,
その友人は僕のために何回も僕のバイト先に電話をして交渉してくれて,結局,バイト先が 全額支払ってくれた。日本人の友人がいるととても心強くなった。」(X)
「就職活動の時に同じゼミの日本人友人の紹介で,無事に就職できた。同期の10人あまりの 留学生の中で,私は唯一就職が決まった。日本社会は推薦を重視する文化があるので,その 友人がいなければ私の就職は難しかった。」(Y)
「日本人友人は,主に華道,茶道,三味線の先生の方々だった。当時の中国人留学生はみん な貧乏人なので,交際するお金がなかった。日本人の友人を作ることで,学校で教えてくれ ないことを学べる。特に私は京都文化に強く興味をもっていて,日本人友人と付き合う中で 日本の文化や習慣を身につけることができた。」(Z)
以上から,90年代に日本に留学した中国人留学生の親密圏は狭いものの,日本社会 に集中していて日本での生活圏と重なった。そして,日本人の友人は少ないにもかかわ らず,とても深い付き合いに至って,彼らが留学生活をスムーズに暮らすためにはかけ がえのない存在であった。このインタビューの結果は図
1
の左の図に一致している。2)現在の中国人留学生の親密圏──自文化圏中心・日本生活圏からの乖離
先行研究でみたように,現在は成人の中国人は別居している親とも頻繁にコミュニケ ーションをとっている。筆者の調査結果にも似た傾向がある。9人のインタビュイーの
中国人留学生における親密圏の変容 41
中の
8
人が毎週1
回以上家族と連絡をしていることがわかった。その理由は留学生が一 人暮らしをしている人がほとんどなので,親と頻繁にコミュニケーションすることによ って寂しさを解消しているようだ。さらに,留学生はホスト社会で自立して生活するこ とができるにも関わらず,家族側からも頻繁な連絡を要求される。家族間の頻繁なコミ ュニケーション自体が留学生側にとっても家族側にとっても安心感をもたらすからであ る。このように留学生側にとっても家族側にとっても頻繁なコミュニケーションはお互 いの精神的な「癒し」というコンサマトリーな機能(3)をもつのである。「(中国にいる親が僕に)電話に出るまでかけてくる。このあいだ30分のうちに12回も電話 をかけられたことがある。僕が電話を出られない理由は,単にその時シャワーに入っただけ だったのに。親と頻繁に連絡せざるを得ない。」(B)
「留学してから気づいたのは,家族がどれくらい大事なのかということ。家族だけが無条件 で悩みを聞いてくれるの。彼らは私の唯一のストレス発散の味方。悩みと戦うためにほぼ毎 日(中国にいる)家族と連絡を取っている。」(D)
「特に微信ができてから。最初に親に微信の使い方を教えってもらって,それから毎日連絡 している。学校が終わった帰り道で,(中国にいる)専業主婦の母と連絡を取っている。電 車の中でもずっとつけっぱなしで,しゃべらなくても。まるで母がいつもそばにいるよう だ。」(G)
SNS
の普及によって母国の家族とのコミュニケーションコストは大幅に減少したが,時間コストは昔より大幅に増加している。しかし忙しい留学生活の中で,それは留学生 がホスト社会へ適応するための時間コストを犠牲にすることに等しい。その結果,中国 人留学生は留学する前と同様に「中国家族」の中に浸かったまま留学生活を送ってい る。彼らがホスト社会の日本文化を理解するためにわざわざ海外に出ているにもかかわ らず,自文化圏に生きているままなのである。中国本土の
SNS
に対する頻繁な利用が,留学生の地理的な移動にとどめ,異文化交流の効果を薄めているともいえるだろう。こ のインタビューの結果は図
1
の右の図に一致している。もちろん,どの国においても子が親に「扶養の恩返し」をする文化があるが,中国家 族の特徴として,留学生と家族の間の頻繁な情報交換によって同じ価値観を保つことが でき,家族が準拠集団としてホスト社会より留学生に強く影響をおよぼしている。
一方,現実生活の中で日本人とのコミュニケーションがうまく取れないことも,中国 人留学生の自文化圏への逃避を強めている。ここでは
C
の話を引用して説明する。「孤独は怖くないけど,この(日本)社会に溶け込めないと感じる。今でも溶け込んでいな い。最初は溶け込もうとしていたけど,今はもういい。溶け込めなければそれでいい。どう せ溶け込むことができないから。」(C)
「今日本は重苦しいと感じる。いろいろな面で日本のことが嫌になった。最初はとても好き 中国人留学生における親密圏の変容
42
だったのに。小さい頃から日本のアニメを見て育ったから。(あとは)夏目漱石,川端康成,
三島由紀夫とか。しかしそれは彼らが描いた日本であって,古い時代の日本だった。新しい 時代の日本じゃないから。」(C)
もちろん現在の中国人留学生の中でも,日本人社会にうまく溶け込んだ人がいる。し かし,その代価は中国人社会から完全に離れることである。Aさんはその典型例であ る。
「私は非常に意識的に身の周りを日本人ばかりの環境を作ったの。こうすることで自分がも っと日本生活に適応できるから。日本に来る前からずっと日本で生活するつもりだった。…
微信はめったに使わない。日本人が使わないから。(毎週連絡する中国人は)一人もいな い。」(A)
A
は日本社会に溶け込むために多大な努力をしてきた。その努力の一つは中国の親 密圏から身を引くことである。しかし,そこまでできる中国人留学生はまれである。4.2-(b).家族と連絡する必要性──家族意識の強化
中国の高度経済成長による留学ブームの中,中国人留学生のほとんどは家族からの経 済支援を受けて日本に来ている。最初から奨学金をもらっている
F
さんとB
さん以 外,すべての人たちは私費留学生のため,家族からの経済的な援助が必須条件であっ た。現在の中国人留学生は親から経済的支援を受けて留学する人が多く,本土の家族が 留学生の学業達成に大きな影響を与えている。親の意見がこどもの留学の実現に強く影 響することによって,親の権威が実現される。中国家族における親子の関係はむしろタ テの関係になってきている。1)家族中心となる「親密圏」の中で生きている
現在の中国人留学生は,海外にいても家族全体の戦略を考えながら留学している。中 国の家族という集団から一時的に離れて留学し,将来的にまた戻ろうと計画する人も少 なくない。このように彼らは海外にいても中国の家族と同じ価値観をもち,家族が最も 重要な準拠集団なのである。
「日本に来て10年経ったにも関わらず,親は電話一本で私の大きな決定に影響を行使するこ とができる。親は毎日私と一緒に過ごすわけではないけど,電話やSNSの連絡で私の人生 をコントロールしているようだ。一歩踏み込もうと思ったらすぐそれが親の価値観にふさわ しいか,家族の戦略にふさわしいかと考えないといけない。家族の戦略というのは,あなた はどの歳になにかをやるべきだとか。それは非常にプレッシャーになる。」(G)
「中国人の多くは(宗教的な)信仰をもっていないから,家族が精神的な支えになる。」(H)
「(保護者の)叔父さんの(私に対する)希望に沿って,自分が計画を立てる。(自分の)人 生は完全に自分のものとは限らない。叔父さんの話では,家族があなたに求める期待とあな
中国人留学生における親密圏の変容 43
たが家族に求める期待の両方とも考えないといけない。家族から求めてばっかりじゃいけな い。あなたが家族に何を捧げられるのかを考えるべきだって。」(D)
現在の中国人留学生は,日本にいても精神的に中国の家族に頼っている。本土の家族 が,中国人留学生にとって「家族」という準拠集団として人生の規範をしめしているこ とに注目すべきである。家族意識を強化するもう一つの規範としては,一人っ子の中国 人留学生でも常に親の兄弟の子供や友人の子供と比べられることである。つまり,彼ら は親の強い「競争意識」に影響されている。
「私には二人のいとこのお姉さんがいて,一人は母国で,もう一人は韓国で博士の学位を取 って,今中国で講師をやっている。彼らは私の(研究者志向の)ロールモデルだ。」(G)
「日本に留学している親の友人のこどもについて色々話を聞かされた。その子が日本で博士 学位を取って中国に戻って公務員になった。彼が私のロールモデルになった。親もとても賛 成してくれたので,博士に進学することを念頭に入れた。」(H)
2)家族中心の人生計画──「結婚・出産」重視
家族が最も重要な準拠集団だということは,留学生が留学する前には問題がなかった が,彼らが一旦留学の旅に出ると彼らの「ホスト社会」という準拠集団と「中国家族」
という準拠集団から受ける規範とは,必ずしも一致しないという問題が生じる。日本社 会に適応するために,日本人に近いライフスタイルや,日本人の価値観を理解しなけれ ばならない。しかし他方で,留学生の多くは
20
代の大人でありながら,中国家族から これからの結婚・出産について厳しい規範を求められる。「年配の方の考えだろうけど,叔父さんから私が28歳までに結婚するようにとアドバイスを された。私が早く結婚できたら彼にとってもう一つの責任を果たす。叔父さんの私に対する 責任というのは,私が結婚してこどもを産んで幸せな家族を築くこと。叔父さんのアドバイ
スは私が30〜35までにこどもを産むほうが良いということ。」(D)
「結婚のプレッシャーはもちろんある。結婚って単純に個人のこととは言い切れない,親に も期待されている。」(E)
「結婚は自立ということを意味する。親の考えではね。私が一旦,結婚して自分で家族を築 いてしまうと,世話をされる側ではなくて,世話をする立場に立つ人になったと親が思う。
それで本当の社会人として認められる。(結婚したら)私のことをもうこどもとして見ない はずだ。親が焦っているようで,電話の中で結婚の話を持ち込んでくる頻度が前よりずいぶ ん多くなった。ほぼ毎回,連絡するときにそういう話をされる。」(E)
「親が普段連絡するときに,(いとこの)お姉さんの(キャリアの)業績にいっさい触れず に,お姉さんはまた妊娠しているのよ,こどもできたよとか。(いとこのお姉さんが)何歳 で結婚して何歳で妊娠したとか一々教えられたの。あなたもこうすべきだといわれないけ ど,そういうふうにほのめかしてくるの。」(G)
中国人留学生における親密圏の変容 44
「(結婚相手に関しては)親からいくつかの厳しい条件を決められた。例えば安定した仕事を もつとか,身長,学歴,しかも出身は同じ山東省じゃないとだめ。相手の親のお仕事もチェ ックされる。親が認めてくれなかったら百パーセント結婚できない。今の旦那さんは親のす べての条件をクリアして完璧だ。もちろん彼は私のタイプでもある。今また両方の親に早く 孫がほしいと求められている。日本ではそういう(結婚意識の)感覚が薄いし,だれも言っ てこないが,唯一注意してくるのが親。」(G)
「実は自分は生みたくない。10か月(の妊娠時間)ってもったいない。養子縁組でもいいん じゃない?一人のこどもを大きく育てただけで楽しんだ!それだけでいいと思う。」(G)
以上の話からみて,「結婚」は中国人にとってこどもが「大人」になるための大きな 境目としてみられている。こ!ど!も!を!結!婚!さ!せ!る!ことは親の責任と考えられているようで ある。このような中国家族の規範によれば,こどもが大人になるには,一定の年齢を超 えることでも海外で自立して留学生活を送ることでも,または就職することでもなく,
「結婚」することこそが必須条件である。このことは日本というような生涯独身でも珍 しくない国では理解し難いかもしれないが,「結婚」のもつ社会的な意義に日中両国で は大きな違いがある。
中国は競争社会であるため,家族もまわりの人と比較する意識が強い。特に一人っ子 がほとんどになり,親の注目は常に一人のこどもに集中する。それは客観的にみても,
親のこどもに対するコントロール意識が生まれてしまう。中国社会では,こどもが成功 できないことは家族全体の失敗だとみられるので,こどもの結婚・出産問題は彼らの個 人問題ではなく,Gさんの話では「家族の戦略」に位置付けられている。このような 考えに基づいて親もこどもも「家族」としての共同体意識が強まる。
5.考 察
現代の中国家族は,一人っ子中心の核家族でありながら,親子のタテの関係がまだ強 い。そしてグローバルな価値観と中国家族の価値観の間にギャップが生じ,グローバル な準拠集団の影響が薄くなりつつあり,留学生のホスト社会への適応が昔より難しくな る可能性もある。
他方,親密圏のもう一つの重要なヨコの関係である友人ネットワークは,中国人留学 生にとって,メンタルの面においてもソーシャル・キャピタルの面においても重要であ る。それまで家族の中で大事にされて育った一人っ子の留学生が多いため,日本社会の タテ型の人間関係の中で新しい友人ネットワークをつくるのに挫折を感じがちで,精神 的な面においては家族や友人という親密圏に頼ることが多くなる。そして,将来的に中 国に戻って親孝行を求められる可能性が高いので,ソーシャル・キャピタルの重要な一
中国人留学生における親密圏の変容 45
部である本土の「友人ネットワーク」を維持する傾向が強く見られる。中国人留学生が 自文化圏中心の社交に集中することによって,その異文化コミュニケーションのスキル が低くなることにつながると考えられる。
インタビュー調査によると,中国人留学生が海外に出ていても中国家族から受ける価 値観の影響は強い。そして中国家族との連絡によって,留学生は安心を感じている。
中国人留学生が日本の集団にうまくとけ込めば,日本人の友人作りができるが,多く の中国人留学生が
SNS
を使って中国本土の家族や友人とのコミュニケーションに力を 入れているのが現状である。中国SNS
の閉鎖性も問題である。このままでは,彼らが 日本社会の中でいつまでたっても友人というサポートネットワークを得にくいことにな りかねない。留学の動機から考えると,1990年代の中国人留学生は日中両国間の大きな経済的・
文化的格差に直面して,中国社会から脱出して日本に移住したい人が多かった。しか し,グローバル化社会の現在,中国は日本を超えて世界第二の経済大国となり,現在の 若い世代の中国人留学生にとっても,日本と中国の差がますます小さくなり,日本の留 学先としての魅力も経済より「文化」面のほうに移行している。
しかし,異文化体験と異文化コミュニケーションは違う。異文化体験はホスト社会の 人々と関わるというより,自分で日本の文化を感じることである。異文化コミュニケー ションの視点からみると,日本人とコミュニケーションを取るために,言葉の壁や文化 的な壁を越えないといけない。それは
1990
年代の留学生にとって日本社会の中で生き ていくために必要なことであったが,今回のインタビューの結果から分かったように,現在の中国人留学生は学校やアルバイト先などの場では日本語を話さないといけない が,プライベートの場でその必要がない。今日の日本社会は,社会保障やサービスが一 人でも生きていけるぐらい充実している。留学生も日本社会の中でサポートを得るため にネットワークを作る必要性が以前より薄くなっている(もちろんそれは外国人だけで はなく,日本人も同様であるが)。それとともに,社交という集団行動は功利的な目的 より娯楽的な目的がメインになってきている。中国人留学生の日本人とコミュニケーシ ョンする社交コストが高いため,中国人同士でコミュニケーションを取るほうが娯楽的 な目的が満たされやすい。その反面,中国人留学生が中国本土の
SNS
ばかりを使うと,言語環境は中国語のままの自文化中心的なコミュニケーションになってしまい,留学生 の生活面のグローバル環境は,1990年代より低下していることになる。
6.結 論
外国人が日本社会に溶け込むことが難しいという現象は最近の問題ではない。言語の
中国人留学生における親密圏の変容 46
壁が人間のあらゆる活動に影響をおよぼすことは,昔に比べてほとんど変わらない。し かし,現在の日本に来た中国人留学生にとっては,母国と日本の言語的な壁より自文化 圏中心のソーシャル・ネットワークとグローバル的なネットワークとの間の壁を乗り越 えることが最大の課題である。それは,彼らの留学生活だけではなく,彼らの異文化社 会への適応やホスト社会への理解一般につながると考えられる。
現在の中国人留学生は,親との関係性が
1990
年代の中国人留学生より強くてタテの 関係になる傾向がみられる。親との連絡頻度も1990
年代の中国人留学生よりはるかに 頻繁になっている。その背景としては多くの中国人留学生が一人っ子であるため,親に よる経済的支援を受けて日本に来た私費留学生が増えて,家族的な利益共同体による親 子間の依存関係が強くなっている。さらにコミュニケーションの環境において,SNS の出現によって留学生と家族間の連絡コストが非常に低くなったことから,親子間の頻 繁なコミュニケーションは留学生の家族意識を高めている。注
⑴ 微信は中国のIT企業テンセントが2011年に作った無料SNSである。
⑵ 石原邦雄・青柳涼子・田渕六郎編,2013,『現代中国家族の多面性』弘文堂:90.
⑶ パーソネット・ネットワークのコンサマトリーな側面とは,人と人のつながり自体に意味がある(金 井1994;平松他2010)。
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A lot of Chinese students are dissatisfied about making friends with Japanese. It is neces- sary to clarify of the intimacy of Chinese students studying abroad in which family and friends in the mainland playing key roles. We found there’s a change in the interview to former Chinese students in the 1990s, and to present Chinese students who are SNS generation.
The support network of former Chinese students overlapped the living sphere of Japanese.
In contrast, present Chinese students contact family and Chinese friends frequently by Chinese SNS. The intimacy of Chinese students is thereby far from the living sphere in Japan. In other words, it was revealed that the intimacy of Chinese students shifted from the living sphere to the Chinese cultural sphere by using Chinese SNS. Furthermore, many Chinese students who are
“only child” are still “educated” by their family through Chinese SNS. The family value of tradi- tional Chinese has strong influence on them. As a result, the frequent communication with fam- ily becomes the wall of their cross-cultural communication. The vertical relations between Chi- nese parents and children and issue of exclusiveness of Chinese SNS should be regarded as im- portant factor in Chinese students studying abroad in the future.
A lot of Chinese students are dissatisfied about making friends with Japanese. It is neces- sary to clarify of the intimacy of Chinese students studying abroad in which family and friends in the mainland playing key roles. We found there’s a change in the interview to former Chinese students in the 1990s, and to present Chinese students who are SNS generation.
The support network of former Chinese students overlapped the living sphere of Japanese.
In contrast, present Chinese students contact family and Chinese friends frequently by Chinese SNS. The intimacy of Chinese students is thereby far from the living sphere in Japan. In other words, it was revealed that the intimacy of Chinese students shifted from the living sphere to the Chinese cultural sphere by using Chinese SNS. Furthermore, many Chinese students who are
“only child” are still “educated” by their family through Chinese SNS. The family value of tradi- tional Chinese has strong influence on them. As a result, the frequent communication with fam- ily becomes the wall of their cross-cultural communication. The vertical relations between Chi- nese parents and children and issue of exclusiveness of Chinese SNS should be regarded as im- portant factor in Chinese students studying abroad in the future.
Key words: Chinese students, The only-child generation, Intimacy, SNS, Compliant group
Change in the Intimacy of Chinese Students Studying Abroad :
On Exclusiveness of SNS Wen Li
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