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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Effect of gentle cutaneous stimulation using contact and sham acupunctures on the H/M ratio in patients with chronic hemiparesis.

接触鍼と偽鍼による軽微な皮膚刺激が慢性期痙性麻痺者の振幅 H/M 比に 与える影響

THE SHOWA UNIVERSITY JOURNAL OF MEDICAL SCIENCES Vol.29 No.1 2017

(掲載予定)

内科系 リハビリテーション医学専攻 松本 美由季

内容要旨

【目的】

上位運動ニューロン障害による代表的な陽性症候である痙縮は、異常な筋 活動が生じ円滑な運動を困難なものにしている.痙性片麻痺者の機能維持 向上のためにはこの筋緊張亢進を抑えた環境での機能トレーニングが必 要である.筋緊張亢進はα運動ニューロン(以下;αMN)への興奮性入力 増大や抑制性入力減少など主に伸張反射が関与していることから、筋緊張 評価には伸張反射の興奮準位を反映する振幅 H/M 比(以下; H/M 比)が用 いられている.

脳卒中の筋緊張亢進に対する鍼刺激効果については、これまでに電気鍼や マニュアル鍼による刺激様式が用いられているが、皮膚に貼付(テープ)

するタイプの刺入しない鍼(以下;接触鍼)による効果は検討されていな い.本研究では、脳卒中後の慢性期痙性麻痺者への接触鍼刺激による筋緊 張抑制効果を神経生理学的に評価することを目的として、接触鍼と偽鍼を 用いたランダム化二重盲検交叉試験法にてヒラメ筋 H/M 比を測定した.

【方法】

対象は事前に同意を得た痙性麻痺者 8 名と中枢性疾患のない健常者 17 名 とし、無作為に A/B 群に割当てた.刺激は貼付型の刺激突起のある接触鍼

(東洋レヂン(株)社製)と刺激突起のない偽鍼(同社により研究用に製 造)を用い、刺激部位は M-Test 法により選択した片側 1 肢(麻痺側)の 14 穴(部位)とした.測定は腹臥位安静(5 分間)後に、鍼刺激肢と非刺 激肢の両側ヒラメ筋 H/M 比を導出した.1セッションは 5 回計測し平均 H/M 比を実数とした.A 群は刺激肢(患側肢)の刺激前、接触鍼貼付後、

偽鍼貼付後の順にて H/M 比を測定し、B 群は接触鍼と偽鍼を入れ替え測定

(2)

した.接触鍼の着脱後は 15 分間の臥位安静を保った.対側の非刺激肢(健 側肢)は、刺激肢の臥位安静時間に 45 分以上の間隔を設け 2 回測定した.

【結果】

痙性麻痺者は接触鍼刺激にて有意に低下(p<0.01)したが偽鍼でも低下 (p<0.05) した.鍼の刺激順位による優位性はなかった.健常者も同様に 接触鍼(p<0.05)および偽鍼(p<0.01)にて有意に低下したが、接触鍼を 2 回 目に使用した B 群が有意に低下(p<0.05)し、刺激順位による優位性があっ た.非刺激肢は,痙性麻痺者に有意差はなく健常者は 2 回目が有意に低下 (p<0.05)した.

【結論】

H/M 比の低下はαMN の興奮する割合の減少を示す.本結果から軽微な皮膚 刺激で脊髄前角ニューロンの興奮性は低下するが、刺激突起の有無による 特異的効果ではないと考えられる.健常者は安静や対側肢への刺激にて非 刺激肢も低下したが痙性麻痺者は低下しなかったことから、同側刺激が有 効と思われる.軽微な皮膚刺激にて運動ニューロンの興奮が調整されるこ とは、痙性麻痺者の安静時筋緊張緩和を補助する効果が示唆される.

参照

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