基礎数学 1 - 練習問題
2013年前期, 西岡
論証能力
• 自分の考えを,簡潔/正確に,相手に伝える論証能力が今後は,最も重要になる.
• そうした論証能力は証明問題を解くことで養なうことが出来る.
• 以下,証明問題を練習する.
(∗) 数学では「対偶」「背理法」「数学的帰納法」の証明方法が頻出する.
A
B B
BC
A
AC A
BC
B
A B , A→B, AC BC , A→B の対偶 A BC = φ , A→B の背理法
問題3.27. 次を証明せよ: 3つの自然数p, q, rが
(3.17) p2+q2=r2
をみたす. ⇒ p, q, rのうち, 少なくとも1つは偶数である.
[問題3.27解答] 背理法を使う. (3.17)を満たす自然数p, q, rが全て奇数だとし,矛盾を導く. p, q, rは奇数なので,ある整数i, j, k があり
p= 2i+ 1, q= 2j+ 1, r= 2k+ 1.
(3.17)より
(2i+ 1)2+ (2j+ 1)2= (2k+ 1)2
⇒4i2+ 4i+ 1 + 4j2+ 4j+ 1 = 4k2+ 4k+ 1
⇒1 = 4(
k2−i2−j2+k−i−j)
ここでk2−i2−j2+k−i−j は整数だから, 右辺は4 の倍数. つまり, 1が4の倍数となり,矛盾. 2
問題3.31. 自然数 n≥2 が
• 1 と自分自身n以外では割り切れない.
であるとき 素数 prime number という. 素数の個数は無限であることを証明せよ. (ヒント: 背理法,
‘素数がn個,p1, p2,· · ·, pn しかない’として矛盾を導け. )
1
[問題3.31解答] 素数がn個,p1, p2,· · ·, pn しかないとする. 次の自然数 m≡p1×p2× · · · ×pn+ 1 を考える. mは素数でないから,p1,· · ·, pn のどれかで割り切れる.
ところが,どのpk, k= 1,· · · , nにたいしても, m
pk は1余る ので,矛盾. 2
問題3.32. nを自然数とする.
(3.22) pn ≡22n+1+ 3·(−1)n
は5で割り切れることを示せ. (ヒント: 数学的帰納法)
[問題3.32解答] まずn= 1 のとき
p1= 23+ 3·(−1)1= 8−3 = 5 で確かに5 で割り切れる.
つぎに, (3.22)がn=kで成立すると仮定し,n=k+ 1 でも成立することを示す. pk+1= 22k+2+1+ 3·(−1)k+1
= 22·{
22k+1+ 3·(−1)k}
−22·3·(−1)k+ 3·(−1)k+1
= 24·{
22k+1+ 3·(−1)k}
+ 3·(−1)k·{
−22+ (−1)}
= 24·{
22k+1+ 3·(−1)k}
−3·(−1)k·5.
数学的帰納法の仮定より,右辺 第1項22k+1+ 3·(−1)k =pk は5で割り切れる. 第2項も5 で割り切れ るので,pk+1は5 で割り切れる. 2
2