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鉄道トンネル内のつららの観測(第 2 報)

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北海道の雪氷 No. 27(2008)

Copyright © 2008 (社)日本雪氷学会

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表 1 計測器設置状況

図 1 旭川地方気象台による観測値(平均気温)

鉄道トンネル内のつららの観測(第 2 報)

鈴木 大樹・小川 直仁 (JR 北海道)

岩花 剛・赤川 敏 (北海道大学大学院工学研究科) 1

はじめに

鉄道トンネルにおいて,車両や電気設備に損傷を与えるつららの対策は重要な課題であ る.そのため過去より,つらら対策として冬期間の鉄道トンネルでは,毎日欠かさず長柄の 棒を使った人力による過酷なつらら除去作業が行なわれており,作業員に大きな負担をか けている.トンネル内のつらら発生箇所を解消するため,つらら発生箇所への凍結防止工の 施工を進めているが,JR 北海道が管轄する全トンネルのうち 80%においてつららが発生す る 1)ため,その対策がつらら発生箇所全てに施されるまでの間は,人力によるつらら除去作 業を併用した保守管理を継続せざるを得ない.人力によるつらら除去作業は過酷なため, つららが発生しない日を予想し除去作業日を軽減する事が求められている.そのためには, つららが発生しない日の鉄道トンネル内の気象条件を特定する必要があるが,鉄道トンネ ル内での現地観測例は少なく,JR 北海道においては現在実施していない状況であった.本 稿では,平成 18 年度冬期から開始した鉄道トンネル内のつらら観測で得られた,トンネル 坑内気温とつらら発生状況(場所・本数・長さ)の関係について,2 年間の解析結果を報告 する.

2.観測概要

トンネル坑内気温とつらら発生 状況の観測は,JR 北海道旭川保線 所管轄の 5 つのトンネルで,平成 18 年 12 月~平成 19 年 3 月,及び平 成 19 年 12 月~平成 20 年 3 月まで の 2 冬期間実施した.

トンネル坑内気温は,各トンネ ルの 1.5m 高に延長方向に 3 箇所ず つ 温 度 ロ ガ ー ( RTR-51, A&D, Japan)を設置して気温を測定した.

また,第 2 伊納トンネルでは詳細な 気温測定を行なうため,温度ロガ ーの設置箇所をトンネル延長方向 に 5 つとし,クラウン部にも設置し た(表 1).つらら発生状況(場所・本 数・長さ)は,つらら除去作業の際 に観測期間中,毎日記録した.

3. 観測結果 3.1 気象条件

入口 中央 出口 天井

神居トンネル 4523 1 1 1 -

第1伊納トンネル 1235 1 1 1 -

第2伊納トンネル 1240 5 5 5 5

第3伊納トンネル 810 1 1 1 -

嵐山トンネル 1300 1 1 1 -

温度計設置数 (台) 延長 (m)

トンネル名

-10 -5 0 5 10

12月1日 12月31日 1月30日 3月1日 3月31日

平成18年度 (冬期) 平成19年度 (冬期) 1971~2000 (冬期)

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北海道の雪氷 No. 27(2008)

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図 3 日最低気温分布図(上)2006 年度(下)2007 年度

図 4 平成 18 年度冬季におけるクラウン部の 日最低気温分布図(上)とつらら発生位置図(下) 図 3 第 2 伊納トンネルにおける日最低気温分布図

(上)平成 18 年度(下)平成 19 年度 図 1 に旭川地方気象台による気

温観測値(平均気温)を示した.図 1 によると平成 18 年度冬期は例年に 比べ暖かく暖冬であったが,平成 19 年度冬期は 12 月から 2 月上旬ま では例年より寒く,以降は暖かい 気象であったことが分かった.

3.2 計測高による坑内気温の比較 図 2 は,第 2 伊納トンネルの平成 18 年 12 月~平成 19 年 3 月におけ るクラウン部及び 1.5m 高の日最低 気温分布図である.クラウン部で 計測した気温分布をみると,初冬 においては出入口付近が冷却され ているが,トンネル中央付近まで 冷却は進行していない.真冬には, 出入口付近の冷却はより進行し, トンネル中央付近も冷却され,ト ンネル全体が負の気温となった.

初春においては,トンネル中央付 近から気温が上昇している.これ らの傾向は,1.5m 高で計測した値 においても同様の傾向であった.

また,クラウン部で計測した気温 は,1.5m 高で計測した値より,平成 18 年度冬期では 0.8~1.7℃,平成 19 年度冬期では 0.6~1.7℃高かっ た.

3.3 計測年度別の坑内気温比較 図 3 は第 2 伊納トンネルの平成 18 年度及び平成 19 年度冬期の 1.5m 高における日最低気温分布図 である.坑内気温の季節変化は,平 成 19 年度冬期においても 3.2 節と 同様の傾向であることが確認でき た. また,坑内気温は外気温の影 響を受け変化しているが,暖冬で あった平成 18 年度冬期に比べて厳 しい冬であった平成 19 年度冬期は

deg. C Daily minimum air temperature at tunnel (1.5mL)

0 200 400 600 800 1000 1200

Distance (m)

-22 -18 -14 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

1 Dec 06 1 Jan 07 1 Feb 07 4 Mar 07

deg. C Daily minimum air temperature at tunnel (1.5mL)

0 200 400 600 800 1000 1200

Distance (m)

-22 -18 -14 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

1 Dec 06 1 Jan 07 1 Feb 07 4 Mar 07

deg. C Daily minimum air temperature at tunnel (1.5mL)

0 200 400 600 800 1000 1200

Distance (m)

-22 -18 -14 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

1 Dec 07 1 Jan 08 1 Feb 08 3 Mar 08

deg. C Daily minimum air temperature at tunnel (Crown)

0 200 400 600 800 1000 1200

Distance (m)

-22 -18 -14 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

1 Dec 06 1 Jan 07 1 Feb 07 4 Mar 07 Number of Icicle formation

Distance (m)

0 10 20 30 40 50 1200 60

1000 800 600 400 200 0

1 Dec 06 1 Jan 07 1 Feb 07 4 Mar 07

deg. C Daily minimum air temperature at tunnel (Crown)

0 200 400 600 800 1000 1200

Distance (m)

-22 -18 -14 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

1 Dec 06 1 Jan 07 1 Feb 07 4 Mar 07

図 2 第 2 伊納トンネルにおける日最低気温分布図 (上)クラウン部(下)1.5m 高

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図 5 平成 19 年度冬季におけるクラウン部の 日最低気温分布図(上)とつらら発生位置図(下)

図 6 日最低気温とつらら発生本数の関係 (上)平成 18 年度 (下)平成 19 年度 より冷却されていることが確認で

きた.

3.4 つらら発生位置

図 4 に第 2 伊納トンネルにおけ る平成 18 年度の日最低気温分布と つらら発生位置図を示した.つら らの発生は,12 月から 1 月ではト ンネルの出入口付近に発生してい るが,1 月から 3 月においてはトン ネル中央部に発生位置が移動して おり,3 月にかけて発生位置はまた, トンネルの出入口付近に移動して いることが確認できた.また,つら らの発生は,トンネル坑内気温と 相関関係があり,気温が高い箇所 には発生せず,気温が寒すぎても 発生しないことが分かった.

図 5 に平成 19 年度の日最低気温 分布とつらら発生位置図を示した.

つらら発生位置は,12 月から 1 月 中旬にかけては,平成 18 年度と同 様の傾向を示していたが,1 月中旬 から 3 月はつららの発生がトンネ ル全体でほとんどみられなかった.

これは,坑内気温が下がりすぎた ため,つらら発生の原因であるト ンネル内の漏水が凍結したためと 考えられる.また,3 月から 4 月に か け て は , 例 年 の 月 平 均 気 温 が 1.2 ℃ に 対 し て , 平 成 19 年 度 は 3.8℃と気温が高かったことから, トンネル坑内の気温の上昇も速ま り,つららの発生はほとんどみら れなかった.

3.5 日最低気温とつらら発生本数 の関係

計測をおこなった 5 トンネルに おける,日最低気温とつらら発生 本数の関係を図 6 に示す. つらら 発生領域は平成 18 年度では約 2.5

deg. C Daily minimum air temperature at tunnel (Crown)

0 200 400 600 800 1000 1200

Distance (m)

-22 -18 -14 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4

1 Dec 07 1 Jan 08 1 Feb 08 3 Mar 08 Number of Icicle formation

Distance (m)

0 10 20 30 40 50 1200 60

1000 800 600 400 200 0

1 Dec 06 1 Jan 07 1 Feb 07 4 Mar 07

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~-17.5℃,平成 19 年度では約 2.5~-25.0℃の間にあった.神居トンネルにおいてつらら発 生領域が正の気温にも見られる理由は,延長が 4.5km と長いことから外気温が上昇しても トンネル坑内の気温が上昇するまでに他のトンネルに比べて時間差があり,気温計測を行 なった箇所とつらら発生箇所での温度差が原因と考えられる.また,計測年度でつらら発生 領域が異なるのは,坑内気温に影響している外気温が 3.1 節で述べたように,計測年度によ って異なる気象条件であったためと考えられる.

4. まとめ

本報告では, トンネル坑内気温とつらら発生状況(場所・本数・長さ)の関係について,

JR 北海道旭川保線所管轄の 5 つのトンネルを対象としたつらら観測を行い, 平成 18 年度 及び平成 19 年度冬期の計測結果から以下のことがわかった.

(1)トンネル内の温度分布

・トンネル内の中央部に向かうにしたがって,気温が上昇していた.

・クラウン部で計測した気温は,1.5m 高で計測した値より,平成 18 年度冬期では 0.8~1.7℃, 平成 19 年度冬期では 0.6~1.7℃高かった.

・トンネル内の気温は,氷点下の部分が季節によって出入口付近から中央部に移動し,また 出入口付近へ移動していた.

(2)つらら発生位置

・つららの発生位置は,初冬から真冬にかけて出入口付近で多く発生し,真冬は中央部に発 生位置が移動し,初春にかけて出入口付近へ移動していた.

・つららは氷点下付近から発生し始めるが,ある温度まで下がると発生が止まった.

・計測することで,毎年多くつららが発生している箇所がわかった.

・気温計測及び解析を行なうことでつらら発生予想を行える可能性があることが分かった.

5. おわりに

本稿では,つららが発生しない日を予想し鉄道トンネル内のつらら除去作業日を軽減し たいと考え,基礎資料取得のため鉄道トンネル内にてつらら観測を行なった.今後は,取得 したトンネル坑内気温とつらら発生状況(場所・本数・長さ)の関係について解析を進め, つらら発生の予想およびつらら除去作業の効率化に資する知見を得るべく研究を行なって いく.

参考文献

1) 小川直仁,岩花 剛,赤川 敏・鉄道トンネル内のつららの観測(第 1 報)・北海道の雪氷, 第 26 号,pp.53~56,2007 年

図 2 第 2 伊納トンネルにおける日最低気温分布図  (上)クラウン部(下)1.5m 高

参照

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