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都市計画決定の裁量と訴訟

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Ⅰ.はじめに

本稿の課題は、都市計画決定の裁量と訴訟の特質につ いて、イギリス(特にイングランド)法に素材を求めて 検討することにある。

イギリスの「開発計画[development plan]」制度は、 1968 年都市・農村計画法(Town and Country Planning Act 1968)により、「基本計画[structure plan]」および 「地方実施計画[local plan]」の二層構造になり、1990 年都市・農村計画法(1991 年計画・補償法〔Planning and Compensation Act 1991〕による改正後のもの。以 下同じ)のもとでは、非大都市圏においては、基本計画 は県(county)が、地方実施計画は地区(district)が

それぞれ策定することとされていたが1 )、2004 年計画・

収用法(Planning and Compulsory Purchase Act 2004) 以降は、地域計画機関(regional planning body)が立案 し国務大臣が決定する「地域空間戦略[regional spatial strategy]」 お よ び 地 区 が 策 定 す る「 開 発 計 画 文 書 [development plan document]」の二層構造になってい

る2 ) 以上のことを前提として、以下では、まず、都市計画 決定の裁量の特質を取り上げた学説を瞥見し(Ⅱ)、次 に、都市計画決定の訴訟の特質に言及した裁判例を紹介 することにする(Ⅲ)3 )

Ⅱ.イギリスの計画裁量論?

(1)最初に取り上げるのは、Jeffrey Jowell の論攷「行 政裁量の法的統制」4 )である。彼がこの論攷において論 じようとしている問題とは、要するに、行政決定と行政 不服審査において、行政裁量を統制するためにどのくら い法的技術(=あらかじめ定められたルール、および、 裁判手続)を使用すべきか、ということである5 )。彼は、 この問題について、「戦略上の[strategic]」基準(=法 的技術が特定の目的を達成するための実効的な手段と なるかどうかを問うもの)と「職務上の[functional]」 基準(=所与の任務を法的に統制することができるかど うかを問うもの)という 2 つの基準に従い6 )、また、

Lon Fullerの「裁判[adjudication]」の概念(=「利害当 事者に対し、ある特別の参加形式、すなわち、自己に有 利な決定を支える証拠および主張を提出するという参 加形式を保障する社会的な決定過程」)にも依拠して7 ) 論じている。そして Jowell は、「職務上の」基準に従っ て議論を進めるなかで、特に都市計画決定に言及してい るのである。 まず Jowell は、Fuller が、無理なく、司法決定に関 Ⅰ.はじめに Ⅱ.イギリスの計画裁量論? Ⅲ.イギリスの都市計画訴訟   1 .立法の概要   2 .裁判例にみる都市計画訴訟の特質   (1)出訴期間   (2)本案審理   (3)救済方法 Ⅳ.結びに代えて

都市計画決定の裁量と訴訟

─イギリス法を素材として─

深 澤 龍一郎

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する手続的制約を免れることなく司法過程を通じて正常 に解決できるのは、2 種類の問題だけ――すなわち、「正 否の問題[yes-no questions]」(例えば、被告人は有罪か。 契約違反が存したか)と「多寡の問題[more or less questions]」(例えば、原告はいくらの損害賠償を受け るべきか)――であると主張していること、他方で、 Michael Polanyiが「多極的[polycentric]」と称した別 の種類の問題は、訴訟当事者が証拠および主張を通じて 意味のある参加をすることが事実上できなくなるため、

裁判によってはうまく解決できないことを指摘する8 )

Jowellは、多極的問題(polycentric problems)とは、相 互に影響を及ぼし合う点を有する複雑な網状の関係を伴 うものであり、個別の決定がされると、それが他の決定 の中心に伝わり状況を変えるため、次の決定のための新 たな基礎を探さなければならないと説明する9 ) Jowellは、Fuller が指摘するように、ほとんどの問題 はある程度は多極的なものであると述べつつ、この多極 的問題が最も明確に生じるのが、都市計画の領域におい て、とりわけ、古くからの開発計画や新たな基本計画お よび地方実施計画のような総合計画(comprehensive plan)に関する決定についてであるという10)。彼によれ ば、この種の計画決定の「司法化」は 2 つの理由により 困難に陥るとされる11) 第 1 の理由は、何が(グレーター・ロンドン開発計画 のような計画に関して)「公益」となるか、さらには何 が「良き計画原理」となるかに関して、訴訟当事者が自 己の主張を向けることができるようなルールないし基準 と認められるもの(discernible rules or standards)を発 見するという問題に関わるものであるとされる。 要するに、開発計画については、決定の基礎となるル ールないし基準と認められるものがなく、訴訟当事者が 自己に有利な決定を支える証拠および主張を提出しよう にも提出しようがないというのだろう。 第 2 の理由は、あらゆる計画に含まれる争点の多極的、 連動的性質に関わるものであるとされる。これについて、 彼は次のような例を挙げる。「コベント・ガーデンの市 場とその周辺地域の再開発のためのグレーター・ロンド ン・カウンシルの計画に関する公審問[public inquiry] の後に、大臣が、原計画では取り壊して他に利用するこ とを予定していたいくつかの建物を文化財のリストに載 せた。そのような文化財のリストに載せられた建物の 1 つがフラワー・マーケットである。しかしフラワー・マー ケットは、原計画では 6,000 人収容の国際会議場を建設 する場所に建っている。大臣の決定は会議場について述 べていない。それでは会議場はどこに行くのか。取り止 められるのか、それとも別の場所に設置されるのか。別 の場所に行くとすれば、何を追い出すのか。そして追い 出された物はどこに行くのか。住宅が追い出されるとす ると、そこに住む人々には何が起きるのか。」彼は、1 つの物(フラワー・マーケット)に関する新たな決定は、 これらの相互に影響を及ぼし合う点を介して、他の決定 に結びつくのであり、制度全体の再調整が必要となるこ とは明らかであるという。そして、計画を全体として承 認するか否認することを除いて、意思決定者は多極的争 点を回避する方法を有しないのであり、「法廷外での」 多極的争点の調整が必要となるというのである。 要は、開発計画は、一部だけを取り扱うことはできず、 全部を一体として取り扱う必要があるということだろ う。 (2)こうした開発計画に関する決定は司法化が困難で あるという議論の延長線上には、開発計画に関する決定 は司法審査が制限されるべきであるという議論が成り立 つ こ と に な る。 次 に 取 り 上 げ る の は、Denis James Galliganの著書『裁量権:公的裁量の法的研究』12)であ る。 す な わ ち Galligan は、「 司 法 判 断 不 適 合 性[non-justiciability]」の概念を検討するなかで、Fuller の議論 を取り上げ、裁判過程に適合しない任務は司法判断適合 性がないとし、この問題は、裁量の文脈においては、ま ず任務を配分するときに生じ、次にその任務を遂行する ときに生じ、さらにはその任務を審査するときに生じる というのである13) また Galligan は、結論的に、司法審査は行政決定のう ちの裁判的なものについて向けられるときに極めて実効 的であること、そして、しばしばこのことは、行政当局 の活動に立ち入るための裁判所の能力には制度的な限界 があり、それゆえ広汎な審査よりも制限的な審査が支持 を得るという主張により支持されることを指摘したうえ で14)、 上 述 の Jowell の 議 論 も 引 用 し つ つ、「 複 雑 性 [complexity]」と「多極性」の概念に次のように言及する。 「社会的争点は、予測しえない方法で、直接の争点を超 える一定範囲の事項と相互に影響を及ぼし合うため、極 めて複雑なものである。裁判所はその複雑性に気付かな いし理解することもできないだろうから、裁判所の判決

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は予想しなかった結果を有することがある。そして裁判 所は、継続的な行政に携わっていないので、その結果は 発見されることも治癒されることもないだろう。」15) ただし他方で、Galligan が後に次のように述べている ことにも注意が必要である。「しかし裁判所が Fuller の いう意味でしかうまく裁判できないと思い込むことは誤 りであろう。諸機関が、慎重に計画してではなく、自己 に課された任務に応じて、特徴を伸ばし整え、さらには 身につけることが、おそらく発展の法則というものだろ う。Fuller のいう意味での裁判が、伝統的な裁判所の仕 事であっただろうが、裁判所は、裁量決定を取り扱うよ うに要求されれば、適度に独立しかつ権威ある自己の伝 統的な地位を損なうことなく、新たな能力を伸ばすだろ う。」16) (3)以上の Jowell と Galligan の議論によれば、開発 計画については、《決定の基礎となるルールないし基準 と認められるものが存在しない》および《争点が複雑か つ多極的である》という性質に基づいて、極めて広汎な 裁量が認められることになり、ここに都市計画決定の裁 量の特質を見出すことができるように思われる。 もっとも、Fuller と Jowell がいうように、ほとんどの 問題はある程度は多極的なものであることを考えると、 都市計画決定の裁量とその他の行政裁量との違いは相対 的なものに過ぎないことになるだろうし、さらに、この ような議論には、Galligan が認めるように、あくまでも Fullerの裁判の概念を前提としたものであること、また、 Jowellが挙げた例によれば、かなり具体的な内容の計画 を前提としたものであること、というただし書が必要だ ろう。

Ⅲ.イギリスの都市計画訴訟

1.立法の概要 次に、都市計画決定の訴訟の特質に言及した裁判例を 紹介することにする。 開発計画の効力を争う訴訟は、1990 年法(287 条)と 2004 年法(113 条)との間に大きな違いはない。 2004 年 法 113 条 1 項 は、 訴 訟 の 対 象 を「 関 連 文 書 [relevant document]」と呼ぶとしたうえで、訴訟手続 の排他性について、同条 2 項は、「関連文書は、本条の 以下の条項が規定する場合を除いて、いかなる法的手続 においても争ってはならない」と規定する。 原告適格および訴訟原因について、同条 3 項は、「関 連文書により利益を侵害された者[A person aggrieved by a relevant document]は、以下のことを根拠として、 高等法院に申請することができる」と規定し、「(a)その 文書が適切な権限内のものではないこと、又は、(b)手 続要件が遵守されなかったこと」17)を挙げる。 出訴期間について、同条 4 項は、「申請は、関連する日 [relevant date]から 6 週間以内にしなければならない」18) と規定する。 仮の権利保護について、同条 5 項は、「高等法院は、 関連文書の施行を停止する仮の判決を、(a)全面的に、 又は部分的に、及び、(b)一般的に、又は原告の財産に 影響を及ぼす限りにおいて、発することができる」と規 定し、同条 8 項は、「仮の判決は、訴訟手続が終結する まで効力を有する」と規定する。 本案勝訴要件について、同条 6 項は、「高等法院が、(a) 関連文書が、少しでも適切な権限外のものであること、 又は、(b)原告の利益が、手続要件が遵守されないこと により著しく侵害されたことを確信したときに、7 項が 適用される」と規定したうえで、救済方法について、同 条 7 項は、「高等法院は、関連文書を、(a)全面的に、又 は部分的に、及び、(b)一般的に、又は原告の財産に影 響を及ぼす限りにおいて、取り消すことができる」と規 定する。 2.裁判例にみる都市計画訴訟の特質 (1)出訴期間 最初に、出訴期間に関する裁判例をみると、Corus

UK Limited v Erewash Borough Council(2006)19)

挙げることができる。

本件において、原告は、被告カウンシルの地方実施計 画の一部を争おうとしたが、事務弁護士の代理人の手違 いで、1990 年法 287 条および最高法院規則(Rules of the Supreme Court)第 94 号所定の期限よりも 2 日ない し 3 日遅れて訴状(claim form)が送達されたため、送 達期間の延長を求める申請をした20) 高等法院は申請を認容し、控訴院も被告側の上訴を棄 却した。 高等法院の McCombe J. は、延長の申請を規律する手 続規則について、原告側・被告側双方の主張を取り上げ た後に21)、結論的に、焦点を合わせるべき適切な規則

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であると認定するとした22)。そして彼は、そこでの裁 量が極めて広汎なものであることを認めるとし23)、さ らに、その裁量を行使するにあたっての考慮事項につい て、原告側・被告側双方の主張をみたうえで、次のよう に述べた。「このような状況では、ここまで述べるよう に努めてきた要素を勘案して裁量を行使しなければなら ないことは明らかである。それらの要素に加えて、計画 に関する政策に対して申し立てられようとしている公法 上の異議、適切に論じる余地があると被告カウンシルが 認める異議を検討していることを覚えておくことも正当 であると考える。本件で勘案しているとおり、計画に関 する事項においては安定性[certainty]が要求され、し たがって遅滞は厳格に抑止されるべきであることを勘案 しなければならないのとまったく同様に、公の当局が適 法に行為するように、そして、(本件では)伝えられた ところでは是正されなければ 3 年間は存続することにな る公的行為の適法性を争う機会を公衆が人為的に剥奪さ れ る こ と の な い よ う に 確 実 に す る こ と も 行 政 部 [Administrative Court]の職務である。」24)最終的に彼は、 手違いが本件で生じたようなものである場合に、公の当 局の潜在的に違法な行為を争う期間の 2 日間ないし 3 日 間の延長を拒否することがおよそ正当であるとは考えな いとした25) また控訴院の Laws L. J. も、「裁判官は、民事手続規 則 3.12(a)のもとで送達期間を延長すべきかどうかの裁 量を最も重要な目標[overriding objective]に従って行 使するのであり、その目標は、もちろん、これらの事件 の遅滞を最小限に抑えるべきであるという制定法上の政 策、すなわち、絶対的な 6 週間の出訴期間により表され た政策を参酌するように裁判官に要求するものである。 他方で裁判官は、公の当局の決定に対して認められそう な異議を訴訟において解消する一般的な公益も参酌す る」26)と述べ、結論的には、本件で遅滞が 2 日間ない し 3 日間だったことに着目して、McCombe J. の裁量の 行使を覆す資格を与えるものを見出すことはできないと した27) これらのうちの McCombe J. の意見からは、都市計画 決定については、《広範囲かつ長期間にわたり効力を有 する》という性質ゆえに、《法的安定性の確保と適法性 の確保》という二律背反する要請が、その他の行政決定 以上に強く働くことが看取される。また Laws L. J. の意 見からも――制定法の解釈という形式をとっているもの の――同様の要請を窺うことができるだろう。 (2)本案審理 (1)すでに検討した Jowell と Galligan の学説によれ ば、都市計画決定には広汎な裁量が認められることにな る。そこで次に、本案審理のあり方に関する裁判例を渉 猟すると、まず、開発計画を取り消したものとしては、 計画の実体というよりも策定過程の瑕疵、さらには、策 定手続の瑕疵を根拠としたものが目を引く28) (2)次いで、より実体的な審理、とりわけ、わが国の 行政法学でいうところの整合性の原則29)に関する裁判

例として、Persimmon Homes(Thames Valley)Ltd v

Stevenage Borough Council(2005)30)を挙げることが

できる。

本件では、訴外ハートフォードシャー県カウンシル (Hertfordshire County Council)が 1998 年 4 月に採択し た 1991-2011 年版ハートフォードシャー基本計画見直し (Hertfordshire Structure Plan Review 1991-2011)の政策 8 および政策 9 において、被告カウンシル内の高速道路 A1(M)の西にある土地が 1,000 戸の住宅開発のために割 り当てられていたため、被告カウンシルは、1991-2011 年版スティーベネッジ地区計画第 2 次見直し(Stevenage District Plan Second Review 1991-2011)案の政策 H2に

おいて、「基本計画の政策 8 の条項に対応するため、ス ティーベネッジ西部の土地を約 1,000 戸の住宅開発のた めに割り当てる」と規定した。しかしその後、訴外県カ ウンシルは、政策 8 を再検討し、被告の地区計画第 2 次 見直しに関する地方実施計画審問では、政策 H2に対し て異議を申し立て、スティーベネッジ西部に関する案は 削除すべきであり、たとえそうしても地区計画が依然と して基本計画に全体的に適合していると主張した31) 最終的に被告は、地方実施計画を修正し、政策 H2に「割 り当てられた土地は、その戦略的正当性の再検討と受入 れまでは、開発から保護される」という一文を追加した。 そこで A1(M)の西にある土地の住宅開発に利害関係を 有する共同体(consortium)である原告らは、被告の地区 計画第 2 次見直しの政策 H2が 1998 年 4 月に採択された 基本計画見直しの政策 8 および 9 に全体的に適合しない ことを根拠として、この追加部分の取消しを求めた32) 高等法院はこの根拠に基づく申請を斥け、控訴院も 2 対 1 の多数で原告側の上訴を棄却した。 そのなかで、控訴院において多数意見を構成した

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Laws L. J.は、まず、「裁判所が[1990 年法]287 条のも とで引き受けるように求められている任務の性質」につ いて、「287 条は、制定法に基づく司法審査の一形式を 創設するものである。それゆえ、(a)地方実施計画の条 項が基本計画に『全体的に適合』するかどうかという問 題が、制定法の解釈の争点を伴うものであるかぎり、何 が正しい解釈であるかを自ら決定することは裁判所の義 務であり特権である。しかし、(b)その問題が、事案の 状況に判断を当てはめることや、専門的ないし熟慮した 意見を当てはめることを伴うものであるかぎり、裁判所 の唯一の役割は、関連する公の意思決定者(本件ではバ ラ・カウンシル)によるそれらの能力の発揮を、一般的 に Wednesbury 原則と呼ばれる伝統的な公法上の合理 性テストに従って監視することである」33)と述べた。 そこで Laws L. J. は、「全体的に適合」という文言の 解釈の検討に移り、「その文言は立法においてどこでも 定義されていない。したがって裁判所は、言葉の問題と してその普通の意味を適用しなければならないが、同時 に、制定法の体系に内在する計画統制の実用性を考慮し なければならない。解釈の問題は、基本的に、全体的な 適合という要件の柔軟性に関わるものである。すなわち、 それは、相対的に厳格なものか、あるいは、相対的に緩 やかなものかということである」34)と指摘し、さらに、「す でに述べた計画統制の実用性には、2 つの特徴があり、 両者の間で、全体的な適合の要件が厳格なものか、ある いは、緩やかなものかの程度がたしかに決まるはずであ る。第 1 の特徴は、基本計画と地方実施計画における計 画政策の実現には、事の性質上、間違いなく長い時間が かかることである。第 2 の特徴は、そのような時間を経 ると、良き計画政策の必要および必要性はおそらく変化 することである。全体的な適合の要件の解釈は、これら の要素を取り入れなければならない。思うに、これらの 要素は、厳格なアプローチではなく、緩やかなアプロー チに有利に作用する傾向にある」35)と述べた。 また Laws L. J. は、「制定法の条項の形式もいくぶん 緩やかなアプローチを推奨する」36)として、1990 年法 46 条 10 項37)を挙げ、「思うに、基本計画と地方実施計 画との間には、たとえ0 0 0 1990 年法改正 36 条 4 項と 43 条 3 項の意味で全体的に適合しているとしても、いずれか に有利な解決を必要とするような対立がありうること が、本条の適用の前提である。全体的な0 0 0 0適合という文言 は、同様の方向を示しているように思われる。『全体的な』 という形容詞は、……『ある程度の柔軟性を取り入れる ために』存するのである」(傍点は原文イタリック)38) と述べた。 さらに Laws L. J. は、これらのことを前提として、「全 体的な適合の要件を解釈するにあたり、裁判所は、思う に、これらの様々な要素を取り込むことができる均衡の とれたアプローチを選ぶべきである。正しい解釈によれ ば、その要件は、生じうる様々な変化する必要性に対処 するために、基本計画の政策を反映すべくとられる施策 において、地方実施計画の内部での相当な作戦行動の余 地を許容することができるものであると考える。特に(本 件において関連するので)基本計画のある部分自体が見 直されるという事実が生じる場合は、その事実を反映し た施策を地方実施計画に適切に導入することができる。 この柔軟性は無限ではない。例えば、この種の施策は、 そのような見直しの結果について早まった判断をするこ とができない。それらは、現状での基本計画の政策を尊 重しなければならない一方で、それらの政策が変更され る可能性も認めなければならない。全体的な適合の要件 の解釈についてさらに焦点を絞った結論を導くことがで きるかどうかは疑問である」39)とした。 そして Laws L. J. は、「[被告]が、2004 年 12 月 8 日 に 1991-2011 年版スティーベネッジ地区計画第 2 次見直 しを採択した時に、全体的な適合の要件を誤って解釈し たか」という問題について、「思うに、[被告]が誤って 解釈しなかったことは明らかである」40)とし、さらに、 「A1(M)の西において 2011 年までに建設される予定の 1,000 戸の住宅の戦略的配分が実施されないかもしれな い可能性」について、「その可能性の本当の原因は、戦 略自体に関する不確実性の発生であった。思うに、[被告] は、2004 年 12 月 8 日の決定において、全体的な適合の 要件に違反することなく、そのような不確実性を考慮す る資格を有していた。[被告]の決定が Wednesbury の 基準を充たさないということはできない」41)としたの であった。 この Laws L. J. の意見は、都市計画決定の《長期間に わたり効力を有する》という性質と《その間に公益状況 が変化する可能性がある》ことから、整合性の原則を緩 やかに解したものと評価してよいだろう。 (3)救済方法 (1)最後に救済方法に関する裁判例をみると、まず、

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取消判決の効果を論じたものとして、Charles Church

Developments Ltd v South Northamptonshire District Council(1999)42)がある。 本件において、原告カウンシルは、自らの地方実施計 画を一部取り消した判決の意味を明らかにするように求 め、採択された最終版の地方実施計画が当該判決により 一部取り消されたものの、それ以前の計画策定過程の段 階は争われても取り消されてもいないため依然として有 効であることを根拠として、当該判決に従うためには、 計画策定過程全体を一から始めなければならないのでは なく、採択された計画のうちの取り消された部分を、利 用することができるすべての情報に照らして再検討した うえで、再び計画を採択すべきであると主張した。 高等法院の Hidden J. は、原告側・被告側双方の主張 を取り上げた後に、国務大臣の代理人の主張に則して、 不当な遅滞と公的な支出を避けるという観点から計画過 程全体を一から始めるように要求しないことを支持する 議論が存することはたしかではあるが、これらの便宜的 な理由が決定的ではありえないこと、1990 年法 287 条 の正しい解釈と明確性および安定性の要求がともに、原 告カウンシルが当該計画のうちの取り消された部分につ いて過程を最初からやり直さなければならないという結 論につながること、1990 年法第 7 部の文脈が計画過程 を含む意味で「計画」という文言を使用したため、当該 計画(またはその一部)を取り消す判決が、計画過程を 再び始めるか、開発計画のうちの残っている部分を、取 り消された部分についての代わりの政策を取り込むため に変更するようにカウンシルに要求すること43)、過程 全体を取り消す十分な理由があること44)を認めた。そ して彼は、被告側代理人と国務大臣の代理人の主張が原 告側代理人の主張より優れているとし、これらの訴訟に おいて付与する宣言的判決は次の形式であると確信する とした。すなわち、「1990 年都市・農村計画法 287 条に おける『計画』とは、案と採択された形式の両方の計画 を含むのであり、したがって[当該判決]は、案と採択 された形式の両方の[原告の]地方実施計画を、当該判 決において明らかにされた限度で取り消すという効果を 有する」と。 したがってこの判決によれば、開発計画の取消判決は、 採択された計画だけではなく、そこに至るまでの計画策 定過程全体を消滅させる効果を有するのである。 (2)このことを前提として、現行法上の救済方法の不

備を指摘した裁判例として、Ensign Group Ltd v First

Secretary of State(2006)45)を挙げることができる。

本件では、ミルトンキーンズ=サウスミッドランド小 地 域 戦 略(Milton Keynes and South Midlands Sub-Regional Strategy)案において、2001 年から 2021 年ま での期間にノーサンプトン(Northampton)について総 計 29,400 戸の住宅が提案されていた(さらに、影響を 受ける個々の地区における必要な住宅の適切かつ段階的 な 供 給 を 確 保 す る た め の ノ ー サ ン プ ト ン 施 行 区 域 〔Northampton Implementation Area = NIA〕についての 政 策 が 含 ま れ て い た ) の に 対 し、 公 審 問(public examination)の後に、審問委員会(panel)は、さらに 2,100 戸を 2021 年から 2031 年までの 10 年間から前倒しして、 2021 年までに NIA について総計 31,500 戸とすべきであ ると考え、報告書の para. 5.8 においてこの数字を使用 した。ところが被告大臣は、審問委員会が、報告書の para. 5.28 において、NIA における住宅戸数を 1,500 戸 削減すべきであり、これにより 2001 年から 2021 年まで の期間について 30,000 戸の住宅数とすることを勧告し ていたと理解したため46)、被告が提案した変更に関す る別表の中には NIA についての修正された数字が書き 入れられ、「審問委員会の報告書の計算間違えを除くた め」という理由が付記された。その後、ノーサンプトン の北にある土地の相当部分を取得する選択権を有し、そ れを住宅用に開発しようとしていた原告は、詳細な意見 陳述を行い、NIA についての住宅供給の削減は「説明不 能で」あること、31,500 戸から 30,000 戸への変更につ いて合理的な説明も十分な説明もされていないこと、そ して、要するに、ノーサンプトンに関する審問委員会の 推論や勧告と一致していないため、「変更の理由」が「不 十分かつ見当違いで」あることを主張したが、最終的に 当該戦略が公表された時には、この変更は維持され、さ らなる説明も原告の意見陳述に対する応答もなかった。 そこで原告は、当該戦略の一部取消を求めた。 高等法院において、結局、被告側代理人は、本件の状 況において、被告が行った変更の性質と原告の意見陳述 の内容を勘案すると、2004 年法 113 条 9 項(b)の要件に 適合していなかったことを認め47)、さらには、同法 113 条 6 項(b)にとって、被告が理由を提示しなかったこと により原告の利益が著しく害されたことも認めた48)。た だし被告側代理人は、裁判所が、当該戦略のいかなる部 分も取り消さない 2004 年法 113 条 7 項の裁量を行使す

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べきであると主張した。すなわち、彼は、その裁量が抑 制的に行使されるべきものであることを認める一方で、 概略、当該戦略中の政策のうち、2001 年から 2021 年ま での間にノーサンプトンにおいて供給しなければならな い住宅数を記した部分を取り消すと、直ちには埋めるこ とができない政策の空白を残すことになり、その結果と して生じる不安定性は、小地域全体にとっての良き計画 のためにならないし、原告のためにさえならないと主張 したのである49)。彼は、この主張を 2 つの相互に関係 する題目――第 1 に、原告が被るだろう被害の程度、第 2 に、政策のうちの間違った部分を取り消す以外の施策 をとることにより、その被害を減らすことができる程度 ――のもとで提出したのであるが、第 1 のものとの関係 では、「少し欠けたパンでもないよりはまし」と述べ、第 2 のものとの関係では、仮に当該戦略中の政策が取り消さ れなければ、自らの誤りを認め、審問委員会の勧告を受 け入れる意図があったが単に誤解していたことを明らか にする声明を発付する必要があることを受け入れた50) これに対し Sullivan J. は、「少し欠けたパンでもない よりはまし」という被告の主張が表面的には魅力的であ るが、(a)当該土地の個別の状況と(b)立法の枠組みとい う 2 つの要素を十分に考慮していないとした51)。特に(b) の要素について、彼は、2004 年法 19 条と 24 条の条文52) を挙げたうえで、NIA を包含する地方開発文書を準備す る責務を有する地方計画当局が、1 つのディレンマ―― 「地方開発文書を準備するのに、当該戦略中の 30,000 と いう数字を基礎とすべきか、それとも、声明中の 31,500 という数字を基礎とすべきか」――に直面するだろうこ とを指摘し53)、次のように述べた。 「要するに、地域空間戦略中の誤りと認められた数字 を取り消し、その結果として生じる間隙を、代わりの政 策の採択まで被告が適切と考えるのであれば、19 条 2 項(a)のもとで発付された指針により埋めることの方が、 24 条 1 項のもとでの地方計画当局の義務と、19 条 2 項(a) のもとで指針として発付されたかどうかにかかわらず声 明を関連考慮事項として参酌する地方計画当局の義務と が、潜在的に対立することよりも、すべての利害関係人 にとって良いのである。当該戦略中の認められた誤りを 何らかの形式の宣言的救済により是正することができな いことが最大の不幸であるが、113 条は裁判所がそのよ うな救済を付与する手段を与えていない。全体的にまた は部分的に取り消しまたは取り消さない権限は、鈍器 [blunt instrument]であり、長々とした制定法の過程が 申し分のない方法で進められてきたかもしれないのに、 最後になって理由を提示しなかったという手続的瑕疵に よって、政策が取り消されてしまう結果になり、その過 程を一から再び始めなければならないという事実によ り、さらに切れ味の悪いものとなる。」54) 「1990 年都市・農村計画法 289 条 5 項のもとで事案を 再審理および再決定の両方または一方のために差し戻す という強行通知事件[enforcement notice cases]におけ る裁判所の権限を、113 条に該当するような異議にまで 拡大することができれば便利だろう。そうすれば、少な くとも、裁判所は、赤ん坊を風呂の水と一緒に流す必要 はなく、手続的瑕疵が是正されるように確実にすること ができるだろう。」55) 結論的に Sullivan J. は、残念ながらそのような選択肢 を利用することはできず、また、上記の理由により、適 切な方法は当該戦略のうちの別表に列挙する部分を取り 消すことであるとして、別表を提示した56) この Sullivan J. の意見によると、都市計画の《策定過 程が長期間にわたる》という性質と上述の取消判決の効 力を前提とすると、例えば《理由提示義務の瑕疵が争わ れる事案》のように、都市計画決定を争うために取消訴 訟では(瑕疵の内容と判決の効力とが均衡を欠くため) 十分に対応することができず、違法確認訴訟が必要とな ることがあることが理解されるだろう。 (3)これと同様に、現行法上の救済方法の不備が現れ た よ う に 思 わ れ る 裁 判 例 と し て、UK Coal Mining

Limited v North Warwickshire Borough Council

(2007)57)がある。 本件では、被告カウンシルの地方実施計画に関する審 問において、ポールズワース(Polesworth)およびドー ドン(Dordon)にある土地の所有権者であり、その土 地を住宅用に開発しようとしていた原告が、当該計画案 のなかで当該土地が住宅開発のために割り当てられてい なかったことに対して異議を申し立てたことを受けて、 審問官(inspector)は、2007 年から 2011 年までの期間 に 425 戸の住宅を供給するためにポールズワースおよび ドードン区域において土地を利用することを勧告し、さ らに、そのような開発のために利用可能な土地のうち、 原告が所有する土地が開発のために最も適切であること

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を明確に示した58)。ところが被告がこの審問官の勧告を 受け入れない決定をしたうえで、当該計画案の変更案を 提示したため、再び原告は異議を申し立てたが、被告は これを却下して当該計画を採択した。そこで原告は、3 つの根拠――第 1 に、被告は、地方実施計画を採択する ことを決定した時に、関連考慮事項を参酌しなかった点 において法律上誤ったこと、第 2 に、被告は、審問官の 勧告を拒否したことについて十分な理由を提示しなかっ た点において法律上誤ったこと59)、そして、第 3 に、 被告は、実際に採択した形式で計画を採択する決定にお いて邪悪に、それゆえ違法に行為したこと――に基づい て、最終的には、計画中の中心政策(Core Policy)2(1) (「『補遺 2:集落の階層』の類型 1、2 および 3 において 明らかにされた集落は、中心街[Main Towns]60)、緑地

帯市場街[Green Belt Market Town]および地方サービ ス拠点[Local Service Centres]を示しており、その開 発境界線内部では、雇用、住宅(……)、サービスその 他の施設のための開発が、バラの集落の優先順位におけ る地位に比例した規模において、かつ、集落の機能を維 持しまたは向上させる場合に、許可される」)から「そ の開発境界線内部では」という文言の削除を求めた。 高等法院の Wyn Williams J. は、第 1 と第 3 の根拠に ついて、これらを斥けた後に61)、第 2 の根拠については、 被告が審問官の勧告を拒否する決定について十分な理由 を提示しなかったとしたものの62)、原告が著しく不利 益を受けたという主張をどのようにして維持することが できるかわからないとし63)、被告がさらなる住宅供給 の必要に関する審問官の評価を却下する資格を十分に有 していたことが明らかであること64)、そして、中心政 策 2(1)から「その開発境界線内部では」という文言を削 除しても実質的に原告にとって何にもならないこと65) を指摘した。 これに加えて Williams J. は、「仮に、被告が関連する 要素を考慮せず、その意味において違法に行為したと認 定したとすれば、原告が著しい不利益を証明する必要は、 制定法の要件として生じない。それにもかかわらず、当 裁判所は、救済を付与すべきかどうかに関する裁量を依 然として有する」66)と述べ、以下のような傍論を展開 した。「要するに、被告が時機と住宅供給に関する意見 陳述を関連するものとして受け入れたと仮定した場合と 比較して、原告の立場は決して悪くなっていないという [被告側代理人]の主張を受け入れる。たとえそれがあ まりにも説得的なアプローチであるとしても、原告が求 める取消判決の結果を検討しなければならない。取消判 決を出せば、中心政策 2(1)から開発境界線という概念 が除去されてしまう。原告が提案する方法で変更すれば、 政策は、個人的な経験上ほぼ類をみないような方法で読 まれるだろう。政策が、変更された形式では、住宅開発 の点だけではなく、中心政策 2 に明記されたその他の形 式の開発との関係でも、何が許可される開発であり、何 がそうではないのだろうかに関する不安定性の拡大を促 すことになるという可能性が少なくとも存する。さらに、 取消判決の後は、この計画にさらなる作業を加えること はできないので、この計画は、取消し後に残された形式 のまま、その全期間にわたり存することになると考える。 この命題を両当事者が受け入れていると理解しているの で、その理由については詳しく述べない。思うに、提案 された方法で当該計画を取り消せば、原告が受けた不利 益とは比例性を欠く結果を招くことになろう。したがっ て、裁量の問題として、本件では、たとえ被告が関連考 慮事項を考慮しなかった点で違法に行為したと確信した としても、救済を拒否しただろう。」67) この事案と Williams J. の意見を参考にすると、都市 計画決定を争うために取消訴訟では十分に対応すること ができない事例として、さらに、《都市計画の内容の部 分的な欠落が争われる事案》を想定することができるだ ろう68)

Ⅳ.結びに代えて

以上、イギリスの学説と裁判例を手掛かりとして、都 市計画決定の裁量と訴訟の特質について探究してきた。 ただし、原告適格などに関する裁判例を取り上げること ができなかったため、特に訴訟の特質については、その 一端を明らかにしたにとどまる。 なお、都市計画決定に対する訴訟の提起を認めた場合、 後続の決定を争う訴訟において都市計画決定の違法性を 主張することを認めるかどうかという問題があるが、イ ギリスでは、そもそも、後続の決定との関係で、開発計 画に完全な拘束性が認められていないことに注意が必要 である69) 1 )大都市圏における「単一開発計画[unitary development

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plan]」や国務大臣のコール・イン(call in)も含め、詳細に ついては、原田純孝他編『現代の都市法 ドイツ・フランス・ イギリス・アメリカ』(東京大学出版会、1993)317-339 頁[安 本典夫]を参照。 2 )2004 年法の開発計画制度については、洞澤秀雄「都市計 画争訟に関する一考察――イギリス法との対比を通じて― ―」 札 幌 学 院 法 学 25 巻 1 号(2008)83-96 頁 を 参 照。See also Moore, V., A Practical Approach to Planning Law, 10th ed., Oxford, OUP, 2007, ch. 5. 3 )本稿は、(財)都市計画協会の「都市計画争訟のあり方検 討委員会(座長:大橋洋一学習院大学教授)」第 3 回委員会(平 成 20 年 12 月 12 日(金)開催)にてイギリスの都市計画争訟 について報告した際に準備した原稿に大幅な加筆と修正を施 したものである。なお紙幅の関係上、文献と裁判例の引用は 最小限度にとどめざるをえなかった。

4 )Jowell, J., The Legal Control of Administrative Discretion [1973] PL 178. See also Jowell, L. J., Law and Bureaucracy: Administrative Discretion and the Limits of Legal Action, New York, Dunellen, 1975, chs. 1, 5.

5 )Jowell, The Legal Control , pp. 178, 183. 6 )Ibid., p. 183.

7 )Ibid., pp. 194-195. ここで Jowell は、Fuller, L. L., Collective Bargaining and the Arbitrator(1963)Wis L Rev 3 を参照し て い る。See also Fuller, L. L., The Forms and Limits of Adjudication(1978)92 Harv L Rev 353.

8 )Jowell, The Legal Control , p. 213. こ こ で Jowell は、 Polanyi, M., The Logic of Liberty: Reflections and Rejoinders, London, Routledge & Kegan Paul, 1951, pp. 170-184(マイケ ル・ポラニー〔長尾史郎訳〕・自由の論理〔ハーベスト社、 1988〕214-230 頁)を参照している。

9 )Jowell, The Legal Control , p. 213. 10)Ibid., p. 214.

11)Ibid.

12)Galligan, D. J., Discretionary Powers: A Legal Study of Official Discretion, Oxford, Clarendon Press, 1986. 同書につい ては、拙稿「Denis James Galligan の行政裁量論(1)∼(2)・ 完――イギリスにおける裁量学説の検討――」論叢 159 巻 3 号(2006)36 頁以下、6 号(2006)1 頁以下を参照。 13)Galligan, op. cit., p. 244.

14)Ibid., p. 248. 15)Ibid., p. 249. 16)Ibid., p. 250. 17)「適切な権限」については、同条 9 項が具体的な内容を規 定し、また、「手続要件」については、同条 10 項が、「手続 要件とは、適切な権限のもとでの要件又はその権限のもとで 制定された規則若しくは発せられた命令に含まれる要件で あって、関連文書の採択、公表又は承認に関連するものであ る」と規定する。 18)「関連する日」については、同条 11 項が、「関連する日へ の言及は、以下のように解釈しなければならない」と規定し、 例えば、「(a)地域空間戦略の改正にとっては、国務大臣が 9 条 6 項のもとで改正された戦略を公表する日」と規定する。 19)[2005] EWHC 2821(Admin); [2006] EWCA Civ 1175, [2007]

1 P & CR 22. See also Pugh-Smith, J., Recent Developments in Planning Case Law [2006] JPL 630, p. 636; [2007] JPL 684, pp. 684-685. 20)最高法院規則第 94 号は、規則 1(2)が、申請は訴状により しなければならず、訴状は申請の根拠を述べなければならな いと規定し、規則 2(1)が、「規則 1 の訴状は、申請について 関連する法律の規定により制限された期間内に Crown Office に提出し、かつ、送達しなければならない」と規定していた。 本件の被告の地方実施計画は、2005 年 8 月 9 日付けの採択 告示(Notice of Adoption)により採択されたため、訴状は同 年 9 月 20 日ないし 21 日までに送達されなければならなかっ たが、実際には同月 23 日に送達された。

21)被告側は民事手続規則(Civil Procedure Rules = CPR)の 規則 7.5 および 7.6 が適用されると主張し、これによれば、 関連する期間の経過後に延長の申請がされた場合に極めて限 定的な根拠に基づいてしか裁判所は救済を付与する管轄権を 有しない(しかも本件ではいずれの根拠も該当しない)のに 対し、原告側は規則 3.1 が適用されると主張し、これによれば、 裁判所はより一般的な管轄権を有するのであった。 22)[2005] EWHC 2821(Admin)[13]. 民事手続規則の規則 3.1(2) (a)および(b)は、裁判所が、すべての規則または実務指針 (practice direction)の遵守のために期間を延長しまたは短縮 すること、および、審理を延期しまたは早めることを規定し ていた。 23)[2005] EWHC 2821(Admin)[13]. 24)Ibid. [19]. 25)Ibid. [21].

26)[2006] EWCA Civ 1175 [19]. See also ibid. [25].

27)Ibid. なお Ward L. J. と Longmore L. J. は、Laws L. J. の意 見に同意した。ただしその後の訴訟では、原告側が敗訴した。

R(Corus UK Limited)v Erewash Borough Council [2007] E W H C 2486(Admin). See also Pugh-Smith, Recent Developments [2008] JPL 899, p. 907.

28)E. g. Ensign Group Ltd v First Secretary of State [2006] EWHC 255 (Admin), [2006] 2 P & CR 19; Camden Lock

(London) Ltd v London Borough of Camden [2007] EWHC 495 (Admin); F H Cummings v Weymouth & Portland

Borough Council [2007] EWHC 1601(Admin), [2007] 2 P & CR 25; R(Satnam Millennium Ltd)v Warrington Borough

Council [2007] EWHC 2648(Admin), [2008] JPL 673; Blyth

Valley Borough Council v Persimmon Homes(North East)

Limited [2008] EWCA Civ 861, [2009] JPL 335; Associated

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1540 (Admin). このほか、洞澤、前掲論文、102-111 頁がいく つかの裁判例を紹介している。 29)整合性の原則については、芝池義一『行政法総論講義』(有 斐 閣、 第 4 版 補 訂 版、2006)231-232 頁 を 参 照。 例 え ば、 1990 年法は、36 条 4 項が「地方実施計画は基本計画に全体 的に適合するものとする」と規定し、43 条 3 項が地方実施 計画について「当局は基本計画に全体的に適合しない案を採 択してはならない」と規定していた。

30)[2005] EWHC 957(Admin), [2006] JPL 84; [2005] EWCA Civ 1365, [2006] 1 WLR 334. See also Pugh-Smith, Recent Developments [2006] JPL, p. 636. 31)この背景の一部には、計画政策指針 3(Planning Policy Guidance 3 = PPG3)に含まれた住宅に関する重要な最近の 政府政策があった。 32)さらに原告らは、下記の添付文書中の下線部の取消しも求 めた。「3.2.13 基本計画は、現在、PPG3 の条項を考慮する 必要を含めて、1998 年に採択されてから生じた重大な変更 に照らして、見直されているところである。その作業は、ス ティーベネッジ内の A1(M)の西の戦略的開発の正当性を再 評価することになる。その基本計画の見直しや開発の戦略的 必要についての他の形式の再検討が、2011 年までの県の開 発の必要を充たすためにスティーベネッジ西部が必要である と決定してはじめて、その土地が、開発のために放出すべく 割り当てられ、利用可能であると考えることができる。基本 計画の見直しも他の形式の再検討も 2011 年までの土地の開 発を正当化しないときは、改正された戦略的政策の文脈を考 慮するためにこの地方実施計画を見直すことが必要になる。」 33)[2005] EWCA Civ 1365 [21]. さらに Laws L. J. は、「思うに、 両方の種類の争点が生じている。したがって、まずは、裁判 所は、『全体的に適合』という表現の正しい解釈を確定する ことが必要である。そのうえで、個別の事案においてその要 件が充たされているかどうかという問題が存する。……計画 間で全体的な適合が存するかどうかの問題は、程度の問題で あり、思うに、計画判断の問題である。その問題を実体的当 否に照らして解決すること自体は……関連する計画当局に限 られる。すでに示したように、事件のこの側面に関する当裁 判所の職務は、Wednesbury 原則の適用に限定される」(ibid. [22])と述べ、これらの 2 つの命題のうちの第 2 の命題に対 しては、「この問題は、『全体的に適合』という文言の意味と 同様に解釈の問題(したがって裁判所に相応しい法律問題) である」という異議と、「裁判所がその争点に対して行う監 視の程度は、Wednesbury 判決……が許容するよりも立ち 入ったものである」ないし「裁判所は単に自らその争点を決 定すべきである」という異議がありうることを指摘した。 Ibid. [23]. なお Wednesbury 原則については、杉村敏正「イ ギリス法における行政裁量の濫用に対する司法審査の限度」 論叢 74 巻 3=4 号(1966)24 頁以下[法の支配と行政法(有 斐閣、1970)所収、224 頁以下]を参照。 34)[2005] EWCA Civ 1365 [24]. 35)Ibid. [25]. 引き続き Laws L. J. は、「本件において、県カウ ンシルが 1991-2011 年版ハートフォードシャー基本計画見直 しを採択した 1998 年 4 月と[被告]が 1991-2011 年版スティー ベネッジ地区計画第 2 次見直しを採択した 2004 年 12 月との 間には、一定の時間がある。[被告]は、制定法(例えば、 1990 年法改正 36 条 9 項(a)を参照)により、その期間にわ たる考慮事項の変化を参酌するように義務づけられていた。 PPG3 にした注意は、この義務の実際上の遵守の一例である」 (ibid.)と述べた。 36)Ibid. [26]. 37)1990 年法は、35C 条 1 項が、基本計画について責務を有す る当局から地方実施計画について責務を有する当局への通知 の義務を規定し、46 条 10 項が、「地方実施計画が、(a)35C 条のもとで基本計画に全体的に適合しないものであると表明 され、かつ、(b)その後改正されていない場合を除いて、地 方実施計画の条項は、すべての目的にとって、関連する基本 計画中の対立する条項に優先する」と規定していた。 38)[2005] EWCA Civ 1365 [26]. 39)Ibid. [28]. さらに Laws L. J. は、注 33)の異議について、 比例原則(proportionality)に言及しつつ、「しかしその種の 事件は、(1998 年人権法[Human Rights Act 1998]を介して 生じるかどうかにかかわらず)政府の行為により脅かされて いる場合に国民の憲法的権利の保護に注意する裁判所の任務 に関わるものである。そのような事件は、個人の権利の主張 と一般的な公益の主張との間の緊張状態、対峙に関わるもの である。本件ではその種のものは生じていない。本件での対 峙は、国民と国家との間のものではない。それは、ともに公 益のために採択された二組の計画政策間のものである」(ibid. [30])と指摘した。 40)Ibid. [32]. 41)Ibid. [35]. 42)QB 26 May 1999. 43)ここで Hidden J. は、国務大臣の代理人が、「計画」の意味 を 1990 年法第 7 部の文脈自体から解釈すべきであると主張 したことを取り上げ、「計画……が承認され、又は採択され た前であるか後であるかにかかわらず」(同法 284 条 1 項(a)) への言及から、それは、計画案、言い換えれば、同法 43 条 が「地方実施計画の、又はその変更若しくは全面改正の案」 と記しているものを意味するために緩やかに使用されている ことが明らかであったこと、同法 36 条も「計画」を案と完 成品の両方の意味で使用しているように思われたこと、他方 で、採択され承認された計画に言及するときは、「開発計画」 という文言が一般的に使用されたことを指摘した。 44)ここで Hidden J. は、1990 年法 287 条が、原告カウンシル が立ち戻るべき計画過程の段階を指示しておらず、そのよう な地点を確定するように裁判所に授権もしていないこと、当 該計画または計画変更過程の発端がすべての取消事案に妥当

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する唯一の共通の地点であることなどを指摘した。

45)[2006] EWHC 255(Admin), [2006] 2 P & CR 19. See also Moore, op. cit., p. 67; Pugh-Smith, Recent Developments [2007] JPL, p. 684. 46)公審問において、訴外ダベントリー地区カウンシルが、当 該土地はもはや必要とされず、当該土地に割り当てられた住 宅戸数はダベントリー自身に取り込まれる方が良いと主張し た後に、審問委員会は、報告書の para. 5.28 において、「NIA についての供給の一部として 2001 年から 2011 年の間におい てダベントリーに割り当てられた 1,500 戸の住宅は、ノーサ ンプトンシャー政策 2[Northamptonshire Policy 2]から削 除され、ダベントリーにとって NIA 外の供給に関するもの と考えられることになる」と叙述しており、被告はこの箇所 に注目して、そのような理解したようである。 47)2004 年法 9 条は、地域空間戦略の策定手続について、国 務大臣が戦略案を変更する提案をする段階と自らが適切と考 える変更を組み込んだ戦略の改正を公表する段階における理 由提示の義務を規定する。 48) 高等法院の Sullivan J. は、被告側のこれらの譲歩に鑑みる と、原告側のその他の異議の根拠を検討することは不必要で あるとした。 [2006] EWHC 255(Admin)[14]. 49)なお、当該戦略の取り消された部分を改めて策定する制定 法の過程を一から始めることが必要であろうことは、両当事 者間で一致していた。 50)声明案には以下のように記されていた。「この声明が開発 計画の一部を形成することはできないし、当該戦略を正式に は修正することもできないこと、そして、当該戦略が依然と して 2004 年計画・収用法 38 条にとって開発計画であること を[被告]は承認する。しかし NIA に関する審問委員会の 勧告が、関連する計画当局による地方開発文書の準備にとっ て最も適切な基礎であるというのが、常に[被告]の立場で あった。NIA における住宅戸数を、審問委員会の意思とは一 致しない方法で変更することは、[被告]の意思ではなかっ た。」「この声明は、ノーサンプトンおよびダベントリーにお ける住宅供給に関する[被告]の意思の最新の表明であり、[被 告]は、この声明が、開発計画の解釈および適用において適 切に重視されるべき関連考慮事項として考えられるべきであ ることを意図している。この声明は、2004 年計画・収用法 19 条 2 項にとっては、すべての地方計画当局が地方開発文 書を準備するときに参酌すべき指針に含まれる助言でもあ る。」なお、2004 年法 19 条 2 項については、注 52)を参照。 51)[2006] EWHC 255(Admin)[21].(a)の 要 素 に つ い て、 Sullivan J.は、「31,500 から 30,000 へと 1,500 戸分 NIA につ いての数字が減らされ、仮に是正されなければ、ダベントリー が、自らの希望が当該戦略により承認され、その土地の 1,500 戸がダベントリーに移転されたと主張することができるよう になるだろう。……これが審問委員会の意思ではなかったこ とは明らかである」と指摘した。Ibid. 52)2004 年法 19 条 2 項は、「地方開発文書を準備するにあたり、 地方計画当局は、(a)国務大臣が発付した指針に含まれる国 家政策および助言……を参酌しなければならない」と規定し、 同法 24 条 1 項は、「地方開発文書は、(a)地域空間戦略(……) ……に全体的に適合しなければならない」と規定する。 53)Ibid. [23]. 54)Ibid. [25]. 55)Ibid. [26]. 56)Ibid. [27].

57)[2008] EWHC 23(Admin). See also Pugh-Smith, Recent Developments [2008] JPL, p. 906. 58)審問官が報告したことの要点は以下のとおりであった。第 1 に、地方実施計画は、計画期間内の住宅需要を充たすため に十分な住宅供給のための土地を明らかにすべきである。第 2 に、検討している計画期間は、1996 年から 2011 年であった。 第 3 に、当該計画区域においてその期間に 3,000 戸から 3,200 戸の住宅を供給する必要があった。第 4 に、被告が立案した 当該計画はその必要を充たさなかった。 59)1999 年 都 市・ 農 村 計 画( 開 発 計 画 ) 規 則(Town and Country Planning(Development Plan)Regulations 1999)27 条 1 項により、地方計画当局は、地方実施計画審問の後に審 問官の勧告を拒否することを決定するときは、その理由に関 する声明を公表するように要求されていた。 60)この中心街にポールズワースおよびドードンが含まれてい た。 61)[2008] EWHC 23(Admin)[34]- [35].

62)Ibid. [40]. こ こ で Williams J. は、South Bucks District

Council v Porter(No. 2)[2004] UKHL 33, [2004] 1 WLR 1953 における Lord Brown of Eaton-under-Heywood の意見(ibid. [36])を参照したうえで、審問官の勧告から離脱することは 明らかに被告の自由であったこと、審問官が 1996 年から 2011 年までの期間を参照して計算して重大と述べた不足を 前提として手続を進めたのに対し、被告は、2001 年から 2011 年までの期間を参照して住宅不足を計算すべきである と結論づけたのであれば、審問官が表明したものとは異なる 結論に到達する資格を有していたこと、そして、被告が提示 した理由は、被告の立場の大黒柱(central plank)が 1996 年 ではなく 2001 年を起算日として住宅需要の計算を行うべき であることを明らかにするものだったことを指摘し([2008] EWHC 23(Admin)[38])、しかし、被告が審問官の勧告を拒 否することについて提示した理由から完全に抜けていたもの は、たとえ適切な起算日が 2001 年であることを認めたとし ても、依然として当該計画期間内に住宅供給の不足が存する ことの承認であったこと、そして、審問官の勧告を拒否する ことについて公表された理由において、不足の存在を受け入 れなかったため、その不足がなぜ取るに足りないものである かを説明しようとしなかったことを指摘した。Ibid. [39]. 63)Ibid. [42].

(12)

64)Williams J. は、したがって仮に、審問官が提案した形式の 政策が当該計画に組み込まれていたとしても、それらの政策 ははるかに少ない住宅需要を基礎として取り込まれていただ ろうし、そうだとすると、おそらく当該計画には、原告の土 地で開発が行われるべきであることも、その近隣で開発が行 われるべきであることさえ示すものが含まれていただろうと いうことはできないとした。Ibid. 65)Ibid. [44]. 66)Ibid. [45]. 67)Ibid. 68)他方で、一部取消の事例として、cf. Westminster City

Council v Great Portland Estates Plc [1985] AC 661. 洞澤、 前掲論文、102-103 頁を参照。

69)例えば、2004 年法 38 条 6 項は、「計画法律のもとで行う べき決定のために開発計画を参酌しなければならないとき は、関連考慮事項が別の結論を示さないかぎり、決定は計画 に従って行わなければならない」と規定する。

参照

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