放射化学 小テスト May 26, 2010
A5 の用紙を縦に使って,一番上に学籍番号,氏名を書くこと。
必要なら裏面を使用してもよい。
1. 次の記述のうち,正しいものを二つ選べ。
A. 光電効果は,光子と自由電子との相互作用である。
B. 鉛の K 吸収端のエネルギーは,約 90 keV である。
C. 1.2 MeVγ線に対する鉛の半価層は,約 10 mm である。
D. 鉛と光子の相互作用は,光子エネルギーが 100 keV から 2 MeV の範囲で コンプトン効果が主である。
(2009 年度 第一種放射線取扱主任者試験 物理学より,一部修正)
(正解と解説)
正解:B と C
解説:A, 誤。光電効果やコンプトン効果は軌道電子との相互作用である。
B, 正。教科書 p59, 図 6.6 にあるように K 吸収端は約 90 keV (正確には 88 keV)
である。
C. 正。配布資料の資料 11 や教科書 p415 にあるように 1.2 MeV のγ線に対する 鉛の半価層は約 1 cm である。
D. 誤。配布資料の資料7や教科書 p59, 図 6.6 から分かるように,鉛と光子の 相互作用でコンプトン効果が主になるのは約 500 keV から 4 MeV の範囲で ある。
2. 角度 60 度でコンプトン散乱した結果生じた散乱光子のエネルギーとコンプ トン電子のエネルギーとが等しかった。この場合,入射光子のエネルギー (MeV) として最も近い値は,次のうちどれか。
A. 0.3 B. 0.5 C. 0.7 D. 1.0 E. 1.2
(2008 年度 第一種放射線取扱主任者試験 物理学より,一部修正)
(正解と解説)
正解:D
解説:入射光子のエネルギーを Eγ (MeV), 散乱光子のエネルギーを Eγ'とすると,
Eγ' = Eγ/[1+Eγ•(1-cosθ)/0.511] で,θ = 60˚のとき,cos60˚ = 0.5 なので,
Eγ' = Eγ/(1+0.5Eγ/0.511) ≃ Eγ/(1+Eγ)
入射光子のエネルギーは,散乱光子とコンプトン電子にそのエネルギーが分配 されるので,両者が等しかったことから,Eγ = 2Eγ'となる。よって,
0.5Eγ = Eγ/(1+Eγ)
Eγ = 1 (MeV)
3. 電子対生成に関する次の記述のうち,正しいものをすべて選べ。
A. 生成された陰電子と陽電子の運動エネルギーの和は,1.022 MeV である。
B. 断面積は物質の原子番号と無関係である。
C. 電子対生成の起きた位置で消滅放射線が発生する。
D.線減弱(減衰)係数は光子エネルギーの増加とともに増大する。
(2005 年度 第一種放射線取扱主任者試験 物理学より,一部修正)
(正解と解説)
正解:D のみ
解説:A, 誤。生成される電子対の運動エネルギーの合計 Ee,totは,入射光子のエ ネルギーEγから生成した電子対の質量をエネルギーに換算したもの(2·mc2
= 1.022 MeV)を引いた値となる(∴ Ee,tot = Eγ-2·mc2)。
B, 誤。電子対生成の反応断面積は原子番号の2乗に比例する。
C, 誤。電子対消滅が起きた位置,すなわち,多くの場合,陽電子が停止した位 置で消滅放射線が発生する。
D, 正。教科書 p59, 図 6.6 にあるように光子のエネルギーが大きくなるのに従 って電子対生成による減弱係数も大きくなる。