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地震時の鋼矢板と蛇篭による防波堤補強効果に及ぼす矢板長の影響

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Academic year: 2021

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キーワード 防波堤,補強,蛇篭,鋼矢板,数値解析

連絡先 〒464-8603 名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院 工学研究科 TEL052-789-4483 図1 有限要素メッシュと境界条件

0 5 10 15

0 2 4 6 8 10

時間(s)

(mm)

-20 -10 0 10 20

0 2 4 6 8 10

(mm)

ケーソン中央からの距離(mm)

図2 重心沈下量 図3 ケーソン上端沈下量(加振終了時) 蛇篭補強のみ

蛇篭と鋼矢板2枚(150mm)

蛇篭と鋼矢板2枚(200mm)

蛇篭と鋼矢板2枚(250mm)

蛇篭と鋼矢板4枚(200mm)

地震時の鋼矢板と蛇篭による防波堤補強効果に及ぼす矢板長の影響

名古屋大学 〇(学)服部達哉 (正)山田正太郎 (フェロー)野田利弘 九州大学 (正)ハザリカ ヘマンタ 1.はじめに

東北地方太平洋沖地震以降,南海トラフ巨大地震への対策として,現在,地震と津波の複合被災による防波堤の損壊 を軽減するため,基礎(基礎石+蛇篭)と被覆工(礫+蛇篭)で構成された蛇篭マウンドと鋼矢板を併用した防波堤補 強工法が提案されている1).著者らはこれまで水~土骨格連成有限変形解析コードGEOASIA2)を用いて同工法を対象に した解析を実施し,鋼矢板と蛇篭マウンドが耐震性向上に果たす効果を明らかにしてきた3).本報では,鋼矢板の長さ が耐震性に与える影響を明らかにしていく.

2.解析条件

2.1.有限要素メッシュおよび材料パラメータ 鋼矢板と蛇篭による防波堤補強技術の耐震性を評 価するため,Hazarikaら3)により振動台模型実験が行 われている.本研究ではこの模型実験を参考に解析 条件を決定した.有限要素メッシュおよび境界条件 を図1に示す.解析条件および材料定数は参考文献

3)に譲る.今回は蛇篭と2枚の鋼矢板(マウンド法尻 部直下の2枚)による補強(文献3) のCase3)に関 して,鋼矢板の長さをこれまでの 200mm に加え,

150mm,250mm に変えて解析を行った.すなわち,

これまでの200mmの解析結果では,間隙比が小さく硬い支持地盤への根入れを20mmとしていたが,150mmでは根入 れがなくなり,250mmでは根入れが70mmとなる.なお,被覆工と蛇篭マウンドは,これまでと同様,該当部の節点 間に距離不変の制約条件を与えることで表現した.寸法は模型寸法をそのまま用いた.鋼矢板は同様に該当する部分の 節点間に距離不変と角度不変の制約条件を加えることで表現した.また,比較のために,蛇篭のみによる補強(文献3) のCase2)および蛇篭と4枚の鋼矢板による補強(文献3) のCase4)を行った場合についても適宜結果を示す.

2.2.入力加速度および境界条件

入力加速度は模型実験を踏襲し,振幅400gal,周波数15Hzの正弦波とした.加振の継続時間は16秒である.境界 条件は剛土槽を再現するために,底面と側面のx方向は加速度境界,底面のy方向は固定境界,側面のy方向は摩擦な しを想定した応力境界とし,上記正弦波を入力した.

3.解析結果

ケーソン重心での沈下量と時間の関係を図2に示す.硬い支持地盤への根入

れがない150mmでは沈下量が蛇篭補強のみに近づき,200mmに比べ鋼矢板の

補強効果が小さくなっている.また,根入れを 深くした250mmでは200mmに比べ沈下量は小 さくなっているものの,その変化量は小さく,

鋼矢板4枚ほどの効果は見られないため,根入 れを深くすることの効果は小さいといえる.

加振終了時のケーソン上端の沈下量を図3に 示す.重心沈下量と同様に硬い支持地盤への根 入れがない 150mm ではケーソンの傾きが蛇篭 補強のみに近づき,鋼矢板の補強効果が小さく なっている.

(2)

0

200

-30 -20 -10 0 10

水平変位

(mm)

-10 0 10 20 30

水平変位

(mm)

(a)マウンド左端直下 (b)マウンド右端直下

図4 水平変位(加振終了時)※凡例は図2と共通

(a)矢板長150mm (b)矢板長200mm (c)矢板長250mm 図5 せん断ひずみ(加振終了時)

砂(e0=1.1)

砂(e0=0.9)

-0.02 -0.01 0 0.01 0.02

0

100

200

曲げモーメント

(kN

m)

地表面からの深さ(mm)

矢板長:150mm 矢板長:200mm 矢板長

:250mm

-0.02 -0.01 0 0.01 0.02

曲げモーメント

(kN

m)

(a)マウンド左端直下 (b)マウンド右端直下

図6 鋼矢板の曲げモーメント分布(最大値発生時)

加振終了時のマウンド左右両端直下の 鋼矢板の位置の水平変位を図4に示す.水 平変位を見ると,硬い支持地盤への根入れ がある200mmと250mmでは鋼矢板が入っ ていることで明らかに水平変位が小さく なっている.しかし,根入れのない150mm では鋼矢板下部が大きく外側に開き,ケー ソンの沈下の主因となる側方流動を抑え る効果が小さくなっていることがわかる.

また,水平変位も重心沈下量やケーソン上 端の沈下量と同様に,200mmと250mmで

はほぼ同じ傾向を示し,やはり根入れを深くすることの効果は小さいといえる.

加振終了時のせん断ひずみ分布を図5に示す.根入れのない150mmでは鋼矢板下端周辺のせん断ひずみが根入れの あるケースに比べ大きく,鋼矢板を入れることによる効果が小さくなっている.また,200mmと250mmでは同じ傾 向が見られ,この図でも根入れを深くしたことによる効果は小さいことがわかる.

加振中の鋼矢板にかかる曲げモーメント分布(最大値発生時)を図6に示す.一般に用いられる構造用鋼材(SS400)

の許容曲げ応力度245MPaより,断面係数を考慮して,降伏曲げモーメントを算出すると0.418kN・m/mとなる.図 6より、降伏曲げモーメントには到達していないことがわかる.根入れをすることで側方変位や沈下を抑制することが できるが,一方で鋼矢板の降伏が懸念されるために,実際に適用を図る場合にも同様の照査が必要となる.

4.まとめ

鋼矢板は,硬い支持地盤 へ根入れをすることで効 果的に補強効果が得られ ることを示した.また,硬 い支持地盤への鋼矢板の 根入れを深くすることに よる変形抑止効果増大へ の寄与は小さいことを示 した.

謝辞 本研究は日本鉄鋼連 盟の鋼構造研究・教育助成 事業の重点テーマ研究助 成を受けて実施した.

参考文献 1) Hazarika et al. (2015):Resilient breakwater foundation against level II earthquake and tsunami, Proc. of the 6th International Geotechnical Symposium on Disaster Mitigation in Special Geoenvironmental Conditions, 35-46. 2) Noda, et al. (2008): Soil-water coupled finite deformation analysis based on a rate-type equation of motion incorporating the SYS Cam-slay model, S&F, 45(6), 771-790. 3)服部ら:鋼矢板と 蛇篭マウンドによる防波堤補強工法の耐震性に関する解析的検討(2013),土木学会第69回年次学術講演会講演概要集第Ⅲ部門,43-44.

参照

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