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厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業))
希少難治性筋疾患に関する調査研究班 (総合)研究報告書
IBM における HTLV-1 感染およびミトコンドリア機能障害に関する研究
研究協力者:樋口逸郎
1)共同研究者:橋口昭大
2)、湯地美佳
2)、野妻智
2)、平松有
2)、岡本裕嗣
2)、 松浦英治
2)、 髙嶋 博
2)1)鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻 基礎理学療法学講座
2)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 神経内科・老年病学
A:研究目的
HTLV-1関連脊髄症に筋炎が合併することは知 られており、IBMにおけるHTLV-1感染との関 連を明らかにする。HTLV-1感染を伴う筋炎で はIBM同様ミトコンドリア機能障害を伴うことも 多く、病理学的にミトコンドリア異常を伴うIBM 筋組織おいてミトコンドリアDNA障害を解析し、
ミトコンドリア機能障害をターゲットとした新たな治 療戦略を検討する。
B:研究方法
精査目的で筋生検を実施され、ミトコンドリア異 常を伴うIBM患者の筋組織においてHTLV-1 陽性リンパ球の浸潤を他の炎症性筋疾患と比較 した。臨床像の違いを統計解析した。筋組織から ミトコンドリアDNAを抽出し塩基配列を決定し、
欠失および変異の有無を解析した。ミトコンドリア 機能障害に対する治療戦略としてミトコンドリアア ンギオパチーおよびMIMECKにて治療効果 が認められているアルギニンを用いてIBMの筋 力低下および歩行障害に治療効果が得られるか どうか検討した。
(倫理面への配慮)
病理学的検査(筋生検)に関してはインフォーム コンセントを得て実施し、筋組織の詳細な精査お よびミトコンドリアDNA解析の同意を得て実施し た。アルギニン投与に関しては、ミトコンドリア機 能障害を伴う神経筋疾患に対するアルギニン投 与の倫理審査を受けている。
C:研究結果
IBM患者におけるHTLV-1陽性率は27%で、
研究要旨
平成26年度はIBMにおけるHTLV-1感染との関連を他の炎症性筋疾患と比較し HTLV-1感染IBMでは進行が速い傾向にあった。H27年度はIBM患者より得られた筋 組織からミトコンドリアDNAを抽出し解析した。病理学的にミトコンドリア異常を認 めたIBM患者では全例でミトコンドリアDNAの欠失あるいは点変異を認めた。H28 年度はミトコンドリア機能障害に対する治療目的でIBM患者にアルギニンを投与して その治療反応をみた。発症10年以上経過した進行IBM患者において筋力と歩様の改善 を見た。5例中4例に歩様の改善が得られた。
61 PM/DMの陽性率20%よりも高く、HTLV-1陽 性IBMでは陰性IBMよりも発症が遅く進行が 早い傾向にあった。
ミトコンドリア異常を伴うIBM患者筋由来のミトコ ンドリアDNA解析ではほとんどの症例に欠失あ るいは変異を認めた。欠失を67%に認め、多重 欠失を40%に認めた。IBMで既報告の548- 4442欠失が2例、8636-16073欠失が5例に みられた。
5例のIBM患者にアルギニンを投与し4例に 筋力と歩様の改善を認めた。
D:考察
IBM患者のHTLV-1陽性率は高く、HTLV-1 感染はIBM発症のリスクの可能性が示唆される が、他の炎症性筋疾患でもIBM程ではないが 一般感染率よりも高い傾向にあった。ミトコンドリ アDNAの多重欠失などは核遺伝子由来のミト コンドリア異常を示唆した。そのようなミトコンドリ ア機能障害に対してアルギニンの有効性が示唆 されるが、IBMにおける病態を総合的に修飾す る複合的治療が必要だろうと思われた。
E:結論
HTLV-1感染はIBM発症のリスクの可能性が ある。ミトコンドリアDNA欠失および変異が IBMにおけるミトコンドリア機能障害の一端を担 っており、アルギニンによるミトコンドリア機能改 善効果が期待された。
F:健康危険情報 なし
G:研究発表 1:論文発表 なし
2:学会発表
第57回日本神経学会学術大会 2016 H:知的所有権の取得状況(予定を含む)
1:特許取得 なし
2:実用新案登録 なし
3:その他 なし