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海洋の生物生産性の向上に関する基礎的研究(研究方針研究)

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Academic year: 2021

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海洋の生物生産性の向上に関する基礎的研究(研究方針研究)

研究予算:運営費交付金 研究期間:平成

20

担当チーム:水産土木チーム 研究担当者:山本潤、福田光男、渡辺光弘

1.はじめに

当チームでは沿岸域の生物生産性の向上を図る研 究を実施しているが、研究対象である沿岸域と漁場 である沖合域との関わりについての視点が不足して いるため、これを補っていく必要がある。今後、沖 合海域においても流況、水質、生物データを取得し、

物理場の再現、海洋生物の基礎生産力の算定及びそ の数値モデル化を試みるものである。また、新たな 海洋基本計画の策定により、排他的経済水域におけ る環境保全や水産資源の回復を目的とした調査研 究、事業実施等の取り組みが開始されている。現在、

北方領土周辺も含めた北海道周辺での事業展開も検 討されており、当チームの研究に対する期待も高ま っている。

本研究方針研究では、今後こうした研究を進めて いく上で必要な知見を収集するとともに、関係機関 との調整を行い、次年度以降の新規研究課題の設定 を行うものである。

2.研究方法

海洋基本計画や漁港漁場整備計画に関する資料収 集、北海道沖合海域の基礎生産や物理環境およびそ の計算手法等の知見の収集、本研究を進める上で必 要な関係機関との調整を行った。

3.研究結果

本研究について、各種資料を収集し、次年度以降 の研究方針について検討した結果を以下に示す。水 産庁資料では、漁港漁場整備法が一部改正され、図

-1

に示すように平成

19

年度より国が事業主体とな った排他的経済水域における水産資源の増大を図る ための漁場整備が新規創設された。現在、鳥取・島 根沖であかがれい・ずわいがにの産卵・成育場を確 保するための保護育成礁の設置事業が実施されてい る。北方領土周辺も含めた北海道周辺は漁業資源が 豊富な漁場として知られており、当海域での事業展 開も検討されている。

保護育成礁の設置場所の ずわいがに

←外国底曳き密漁漁船に 乱獲されないで保護され る。

200

海里線

政令指定区域

図-1 国が行う漁場整備事業箇所図(水産庁資料)

図-2 X海域周辺図

(2)

その中で、図

-2

に示すX海域は北海道周辺でも有 数の漁場として知られており、また当チームの過去 の調査に拠れば、図

-3

のように水温の分布からこの 付近での湧昇流の発生も示唆されており、漁場とし ての潜在能力が高いと思われる。

魚種Aは北海道での漁獲量が多く、水揚げされる 魚種の中でも主要な位置を占めるが、近年太平洋を 除き資源が減少する傾向にあり、漁獲量も減少して いる。

1997

年には

TAC

対象種に指定され、漁獲が 数量的に管理されている。その中、X海域には魚種 Aの生息が確認されておりその主要な生息地と思わ れることから、事業実施箇所として有力視されてい る。また、それらの仔稚魚は沿岸域で成長すると言 われており、この海域の生物生産性等を調査するこ とにより沿岸域と沖合との関係を検討する上での有 用な資料が得られると思われる。

X海域で調査を行う場合、外洋のため海象条件が 厳しく大型の調査船が必要となる。またこの海域で は各種漁業が行われており、調査をスムーズに行う 為には漁業者との調整が重要と思われる。以上の事 からこれらの海域で調査実績があり、海洋調査船を 持っている北海道立水産試験場と連携し調査を行う 事が検討された。

今年度はこの海域における連携した調査実施の可 能性について北海道立中央水産試験場の担当科と調 整を行った。調整の結果、表-1 に示す調査を次年度 以降に実施する予定となった。

4.まとめ

以上の検討を踏まえ、 平成

21

年度より新規一般研 究「北方沖合海域の生物生産性の向上に関する基礎

的研究」が開始されることとなった。本研究で得ら れる知見は、当海域において漁場整備を実施する際 の事業計画の策定、 事前・事後評価等に活用される。

これは、 海洋基本計画に示されている講ずべき施策、

国土交通省や農林水産省の施策の推進に資するもの である。

表-1 調査内容

図-3 A島周辺海域水温分布図 平成7年9月23日観測(昼間)

湧 昇 流 と 判 断 さ れ る 区 域  

①ADCPによる層別流況観測

・既存の測線に加え、2 本の測線を追加。既存測線の 一部延長及び測点を追加。試験調査船によって対象 水域を航行し、試験調査船備え付けのADCPで観 測を行う。観測方法や機器の設定等は従来通り(水 深 10m,50m,100m の3層)。

・調査船が定点調査のために停船する時に合わせ、

寒地土研の ADCP を用いて一時的に流況観測を行う。

停船箇所のうち、数値計算結果の検証に有効な地点 から優先的に数カ所で実施したい。(この時、調査 船搭載機器との干渉を避けるため、数分間程これら の機器の電源を切る必要がある。可能で有れば実施 する。)

・GPSの位置情報と ADCP の観測結果を組み合わせ て3次元の流速分布図を作成する。

②調査船搭載CTDによる水温・塩分の鉛直分布観測 ・①と同様に既存の測線に加えて 2 本の測線を追加 し、測線上の定点において CTD による観測を行う。

観測方法は従来通り。

・調査船搭載CTDの観測結果から、①と同様に水 温と塩分濃度の3次元分布図を作成する。

③採水による水質調査、プランクトン調査、植物プラ ンクトンの光合成速度の測定

・上記観測と同時に、有光層において採水及び水質

(栄養塩)分析を行い、植物プランクトンの種の同 定と細胞数測定を行う。

・採水地点の 1 箇所において2層の水深帯で植物プ ランクトン採取の為の採水を行い、それを用い数時 間の培養実験を行って生態系モデルの基本となる光 合成速度式を得る。その際、当研究所所有の垂下式 クロロフィル計によってクロロフィルの鉛直分布を 測定し、そのピーク位置の水深帯及び表層において プランクトンを採取する。培養実験は、設置可能な 水槽の範囲で実施予定。

参照

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