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住まいの低炭素化に対応した計画的条件に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)住まいの低炭素化に対応した計画的条件に関する研究. 足立 真一 1. 研究の背景と目的. タイルや世帯構成といった「計画的条件」が重要だと. 地球温暖化の主要因とされる CO2 排出量の削減問題. 考えられる。さらに、再生可能エネルギーの普及や面. は世界規模の問題であり、現在の豊かな暮らしを維. 的なエネルギー利用では住まい及び住まい方が果たす. 持したまま排出量を減らす低炭素社会の実現を目指. 役割は大きく、計画段階で考慮する必要があるだろう。. し、各国で様々な取組みが実施されている。我が国は. 本研究では以上の 3 点に関して考察を行う。. 中期目標として、2020 年までに 1990 年比 25%の排. 2-3. 研究方法. 出量削減を掲げ、環境・エネルギーの両面から低炭素. 本研究は表1に示す環境・エネルギーに関する動向、. 化が進められている。しかし、民生部門の CO2 排出量. 政策、事例などの資料を中心に、再生可能エネルギー、. 1). は 1990 年比+ 29.8%と増加していることから 、建. CO2 排出量削減、省エネ技術等に関する資料分析によ. 築分野の排出量削減はこれまでの削減手段のままでは. り、低炭素社会の実現に向けた建築分野の動向を捉え、. 目標達成が困難であり、従来とは異なる手段を検討し. 計画段階で考慮すべき条件を整理する。. なければならない。つまり、建築物の生産過程におけ. 3. 低炭素化に向けた環境・エネルギーの動向. る計画段階、設計段階、建設段階、使用過程での運用. 3-1. 環境とエネルギー. 段階を含めたあらゆる段階でのパラダイムシフトが必. 人類は薪から石炭、石油へとエネルギー源を転換す. 2). 要である 。そこで、低炭素社会に対応した建築を考. ることで人口・物質的に繁栄してきた。一方で、公害. えていくには、設備等に係る工学的条件の構築ととも. 問題や地球環境問題、エネルギー問題を引き起こして. に、ライフスタイル等を考慮した計画的条件の構築が. きた。中でも、大気汚染問題はエネルギーの生産・利. 不可欠と考えられる。中でも、住まいの計画、設計段. 用に密接に関係し、エネルギー消費量が比較的少ない. 階において、低炭素化を図るための具体的な考え方や. 時期では限られた地域の公害問題であったが、人口増. 条件、設計プロセスの構築は極めて重要と考えられる。 加や生活レベル向上に伴うエネルギー消費量の増大に 本研究では建築分野全体の環境・エネルギーに関す. よって、地球温暖化という地球環境問題へと質的変化. る動向を整理し、住まいの計画、設計において考慮す. を見せることとなった 3)。そのため、環境とエネルギー. べき項目や課題について考察することで、住まいの低 炭素社会に対応した計画的条件に資する知見を得るこ とを目的とする。 2. 研究概要. 企画の段階(Thinking phase). 2-1. 工学的条件と計画的条件の定義. 計画的条件. 本研究では、建築の環境性能や設備機器の効率、規. 計画の段階(Planning phase). 模、組み合わせなどの設計段階で検討される条件を「工. 工学的条件. 学的条件」、建築を利用する人の条件等を把握し、必 要な諸室機能や規模を設定するといった計画段階で検. 設計の段階(Design phase). 図 1. 計画的条件と工学的条件. 討される条件を「計画的条件」と定義する。 2-2. 研究の視点 建築は環境・エネルギー両方に直接的・間接的に関 与していることから、建築物の低炭素化において両者 を一体のものとして捉えて検討していく必要があるだ ろう。また、建築物の低炭素化は工学的条件が主題と なることがほとんどだが、住まいの計画ではライフス. 表 1. 研究資料概要 資料名称. 刊行年度. 作成元. 『環境白書』 『資源エネルギー白書』 『国土交通白書』 『自然エネルギー白書』 『まちづくりと一体となった熱エネルギー の有効利用に関する研究会 中間報告書』. 2011 2011 2007/2011 2011. 環境省 資源エネルギー庁 国交交通省 エネルギー政策研究所. 2012. 経済産業省. 『低炭素社会に向けた住まいと住まい方 推進会議 報告書』. 2012. 国土交通省. 28-1.

(2) エネルギー. オイルショック後の動向. の相関関係が認識されていたが、それぞれの対策が異 なる目的によって実施された。 3-2. 環境・エネルギーに関する展開 図 2 は環境・エネルギー政策の展開をまとめたもの である。我が国のエネルギー政策はオイルショック によりエネルギーの安定供給確保を目的とした「サン. 環境. ※オイルショックの影響から省エネルギー の重要性が認識される. サンシャイン計画(1974) ①石油依存度の低減と、石油以外のエネルギー によるエネルギー源の多様化 ②石油の安定供給の確保 ③省エネルギーの推進 ④新エネルギーの研究開発 特に④を進めるために計画された. 地球温暖化対策推進大綱(1998). ネルギーの研究開発を行った 1)。一方で、環境政策は. エネルギー基本計画(2003). 2000年以降の動向. エネルギー消費量の増大により増え続ける CO2 排出量 に対し、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させる ことを目的として「気候変動枠組条約」を採択し、先 進国の排出量削減目標を定めた「京都議定書」の採択 に至る。その後、 「地球温暖化対策推進大綱」において 環境調和型のエネルギー需給構造を構築することが決. ①安定供給の確保     ②環境への適合 ③安定供給確保と環境適合を前提とした上 での市場原理の活用. 新国家エネルギー戦略(2005). 新成長戦略(2009). 地球温暖化対策基本法案(2010) エネルギーに関する施策との連携、エネルギーの安定的な供給の確保を原則とし、地球温暖化 対策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画を策定する ⇒ 中長期ロードマップ. エネルギー・環境会議(2011) 新成長戦略会議に基づき、短期・中期・長期からなる『革新的エネルギー・環境戦略』の策定 ③資源・燃料、 ④原子力、 に取り組む。重要課題として、①省エネルギー、②再生可能エネルギー、 ⑤電力システム、⑥エネルギー・環境産業の6つがあげられている. ととなった。 また、2009 年の新成長戦略では、我が国の省エネ. 注 ) エネルギー白書 2011, 環境白書 2010 をもとに作成. 図 2. 日本の環境・エネルギーに関する展開. 技術等の強みを活かし、 「環境・エネルギー大国」を目. 目標. 指すこととし、環境・エネルギー両分野における対策 環境会議」が設置され 5)、両分野の整合的な取組みが. 方針 1 カーボン・ニュートラルな建築の計画・設計・施工・運用. 不可欠ということで「革新的エネルギー・環境戦略」. の配慮とともに、再生可能エネルギーなどの建築にお けるエネルギーの在り方について同時に検討する必要 がある。. 建築と都市・地域のカーボン・ニュートラル化. ①新築建築は、今後 10 ∼ 20 年の間に二酸化炭素を極力排出しないよう、カーボン・ニュートラル 化を推進する ②既存建築も含め 2050 年までに建築関連分野全体のカーボン・ニュートラル化を推進する ③建築を取り巻く都市、地域や社会まで含めたカーボン・ニュートラル化を推進する. 強化が議論された。さらに、2011 年には「エネルギー・. 一体とした低炭素社会への対応が必要であり、環境へ. 地球温暖化問題はエネルギー問題と密接な関 係があり、今後、環境と経済を両立させつつ、 CO2 排出量 6% 削減を達成するため、エネル ギー需給両面において対策を強化し、環境調 和型のエネルギー需給構造の構築を行う ⇒ 2002 年に新大綱として見直しが行われる. 『環境・エネルギー大国』を目指す 省エネ政策は温暖化対策とエネルギー安全保障政策という複数の改策目的に寄与するものして 重視 ⇒ 温暖化対策、エネルギー政策について、環境省と経済産業省での同時並行的検討が 進むこととなる. 定され 4)、環境とエネルギーの関係性が考慮されるこ. 以上から、建築分野においても環境・エネルギーを. 京都議定書 採択(1997) 温室効果ガスの排出量を 2008 年から 2012 年までの約束期間に 1990 年の排出量と比べ て 6% 削減することが定められた. シャイン計画」を発足し、省エネルギーとともに新エ. の策定が取り組まれている。. 気候変動枠組条約 採択(1992) 気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこ ととならない水準において大気中の温室効果 ガスの濃度を安定化させることを目的とする. ①建築は、エネルギー消費が最小となるように設計、運用する ②建築は、自ら再生可能エネルギーによって必要なエネルギーを賄えるように設計する ③建築は、その寿命を長期化できるよう、設計、運用する ④建築は、二酸化炭素排出の少ないエコマテリアル利用を推進する ⑤建築は、オンサイトで排出削減できない場合はオフサイトで削減できるように計画する ⑥建築は、その設計・施工・運用・改修・廃棄プロセスを通じて一貫したライフサイクル・マネジメ ントが可能なシステムの構築・活用を図る. 方針 2 カーボン・ニュートラルな都市・地域や社会の構築 ①都市や地域までを視野に入れた対策を推進する ②地域の気候風土に配慮し、地域資源の利活用を図る ③森林吸収源対策に貢献する. ④情報・経済システムの活用を図る ⑤ライフスタイルの変革を推進する ⑥長期的な地域や社会像の共有化を図る. 注 ) 建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン 2050- カーボン・ニュートラル化を目指して - をもとに作成. 図 3. 建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン 2050 概要. 4-1. 低炭素化に向けた動向と方向性 建築分野の低炭素化に関する動向をみると、2000 境・建築憲章」が作成され、①長寿命化、②自然との 共生、③省エネルギー、④省資源・循環、⑤継承とい 6). う5つの指針が示された 。この指針をもとにした様々. エネルギー 消費活動の抑制. 年に建築学会を中心とした建築諸団体により「地球環. エネルギー 効率の向上. 建築分野の低炭素化. 4. 建築分野における低炭素化への対応. 都市・地域レベルでの エネルギーの高効率化. 面的なエネルギー利用の促進、省エネ型都 市づくりの推進 等. エネルギー効率に優れ た建物、設備・機器の 普及. 省エネ機器への買い換え、新築・改修に伴 う建物・設備の高性能・高効率化、省エネ 性能の表示 等. 実使用条件下での実効 効率の改善. 実使用条件に即した調整. 積極的な省エネ行動の 誘導. 省エネライフスタイル・具体策の提案、省 エネ効果の可視化 等. ※社団法人 日本サステナブル・ビルディング・コンソーシアム 住宅・建築分 野の低炭素化に向けた技術ロードマップの策定 中間とりまとめ をもとに作成. 図 4. 技術ロードマップによる低炭素化の方向性. な活動により温暖化に関する知見が蓄積されていった。 設計方針が示された(図 3)。 2007 年の IPCC 第 4 次報告書において、建築分野は. また、技術ロードマップでは排出量の削減には 「エ. 短中期の効果的な対策によって最大の CO2 排出量削減. ネルギー効率の向上」 と 「エネルギー消費活動の抑制」. ポテンシャルを有していることが指摘され、特に我が. という二つの方向性 8) が考えられ(図 4)、設備の高性. 国では建築部門が製造業部門よりも排出量削減ポテン. 能化だけでなく、省エネ型ライフスタイルや省エネ行. 7). シャルを有している ことから、建築分野のさらなる. 動の誘導が示されている。. 対応が求められ、2009 年に建築関連 17 団体により「建. さらに、東日本大震災と原発事故を契機として、分. 築関連分野の地球温暖化対策ビジョン2050」が発表さ. 散型のエネルギー供給システムが注目されていること. れた。ここではエネルギー消費の最小化やエネルギー. から、未利用・再生可能エネルギー利用が重要であり、. の自給自足化、ライフサイクルを考慮することなどの. 住まいへの分散型エネルギー普及が進んでいくと見込. 28-2.

(3) まれる。また、次世代省エネ基準の段階的な義務化に よって住まいの省エネルギー化も進むこととなる。 以上より、住まいに関する低炭素化の方向性を整理 低 炭 素 化. ①エネルギー利用の高効率化、②省エネルギー、③未 利用・再生可能エネルギーの利用促進が重要である。. 未利用・再生可能. 宅. や自立循環型住宅. ○エコハウス ○スマートハウス ○環境モデル都市構想 ○スマートコミュニティ 事業. ○未 来 都 市 モ デ ル プ ロ ジェクト. ○エコマテリアル ○リサイクル ○リデュース ○リユース …. 省資源. 注 2). の研究開発が行われ、環境. …. ○余剰電力買取制度 ○建設リサイクル法 ○エネルギー基本法 ○新エネ RPS 法  …. 法律・政策・インセンティブ. 配慮型住宅の普及が進んでいる。しかし、建築部門の. ○ZEB. ○森林の炭素固定 …. 炭素固定. 住まいをめぐる多様な環境問題に対し、環境共生住. ○ZEH. ○太陽光・太陽熱 ○バイオマス ○燃料電池 ○地中熱 …. エネルギーの利用促進. 4-2. 事例からみた住まいの計画的条件. ○LCCM 住宅. ○ライフスタイル(節電等) ○パッシブ技術 ○住宅性能表示 ○HEMS …. 省エネルギー. すると、図 5 の 5 つの方向性が考えられ、その中でも. 注 1). ○スマートグリッド ○マイクログリッド ○高効率照明 ○高効率給湯器 …. エネルギー利用の高効率化. 図 5. 住まいの低炭素化の方向性. CO2 排出量は増加傾向のままであり、削減目標達成の. 地域木材等の利用、イニシャ ル二酸化炭素削減. シャープ実験住宅. オール電化. 大阪ガス実験住宅. モデル住宅 LCCM. ハウス COMMA. ミサワホーム. る環境配慮型の住宅をもとに、住まいの計画段階で考. 大和ハウス工業. こで、これらの事例とハウスメーカー等が供給してい. トヨタホーム. 指し、全国で実証実験等が実施されている 9)10)11)。そ. 積水ハウス. 方向性. 要素技術. ために ZEH 注 3)の普及促進、LCCM 住宅 注 4) の実現を目. 高気密・高断熱 長寿命化. 省エネルギー. 慮すべき要素技術や条件について分析を行う。 図 6 より、低炭素化に対応した住まいに導入が進ん. の配慮、太陽光発電、高効率照明、高効率給湯器である。 及、面的なエネルギー利用において重要な技術である。 そのため、計画段階においてオンサイトのエネルギー 供給の在り方、エネルギーの見える化による住まい方. 躯体蓄熱 屋上緑化 雨水利用 地中熱利用 太陽熱利用 太陽光発電 バイオマス 燃料電池 蓄電池 EV(電気自動車). エネルギー利 用の高効率化. の変化などを考慮することが重要である。. 日射調整. アクティブ. 未利用・再生可能 エネルギー利用促進. この中でも太陽光発電と HEMS は分散型エネルギー普. 自然エネルギー. マネジメントシステム(以下、HEMS)、通風・日射へ. パッシブ. でいる要素技術は高気密・高断熱、ホームエネルギー. HEMS 通風への配慮. 5. 住まいと住まい方の計画的条件 5-1. ライフサイクルを考慮した住まいの計画的条件. 高効率照明 高効率空調機. 実証実験を想定. インテリジェンスパワコン、 次世代 家電. 選択可能なオプション. 究 13) において、ライフサイクルを考慮した事務所建. D C. H M E S. 、窓開閉の. の総和を考えなければならない 12)。酒井・漆崎らの研. 自動水栓. 実証実験用といて、どちら かを選択して使用. i P a d. を用いた見える化. 物の運用段階、⑤機能更新等の改修段階、⑥解体段階. E D M S. 、トヨタスマートセ. 導入されている. 水周りの 自動制御. 凡例. ①資材の製造段階、②運搬段階、③建設段階、④建築. ンター. 高効率給湯器. ビオトープ、オール電化、 家歴システム. 建築物のライフサイクルを考慮した CO2 排出量は、. スマートグリッド. 築の総排出量は、運用段階の排出量が占める割合が非. 注 1)ハウスメーカーの省エネ型の住宅に関する HP、パンフレットより作成 注 2)要素技術分類は日本建築学会編『資源・エネルギーと建築』図5を参考に分類. 常に大きいことが示されており(図 7)、この傾向は住. 図 6. 住まいに関する低炭素化の事例. まいでも同様であることが指摘されている。そのため、 計画段階において、住まいの省エネ性能の向上だけで なく、運用段階の住まい方を考慮し、CO2 排出量を最 小限に留めるように計画することが重要といえる。. ■建物の LCA 指針 設 計. 資材製造. 建設. 運用. 改 修. 廃 棄. 注 1) 日本建築学会 建物の LCA 指針をもとに作成. ■既往研究 資材製造. 5-2. 世帯属性を考慮した住まい方の計画的条件. 資材運搬. 建設. 運用. 保守. 大規模更新. 解体除却. exp) モデル事務所を 60 年間使用した場合のライフサイクル二酸化炭素排出量比較. 長谷川・井上らの研究 14) では、居住者の意識とエ. 年間延床面積当り二酸化炭素排出量 [kg-C/m2・年 ] 0. ネルギー消費について研究されており、環境問題に関. 5. 10. 標準仕様 リサイクル材 大幅使用. 心を持つだけでなく、生活の中で省エネルギーに取り. 凡例. 約 30%の差があることが示されている(図 8)。その. 20. 25. 26.4 17.7. 9.8. 資材. 運搬. 30 27.5. 19.6. 10% 建設費増 50% 省エネ仕様. 組む努力の有無によって、世帯のエネルギー消費量に. 15 19.6. 施工. 運用. 保守. 更新. 廃棄. 注 2)建築物のライフサイクル二酸化炭素排出量とその抑制方策に関する研究 をもとに作成. ため、住まいのエネルギー消費量は運用段階での住ま. 図 7. 建築物からの CO2 排出特性. 28-3.

(4) い方の影響が極めて大きい 15)。この住まい方に大きく. 用・再生可能エネルギーの利用促進の 3 つが特に重要. 影響する要素として、世帯の人数や居住者のライフス. であること、3)計画段階で分散型エネルギーのあり. テージといった世帯属性が考えられる。. 方、見える化による住まい方の変化を考慮する必要が. まず、世帯人数の違いによる影響は日本建築学会の. あること、4)計画段階で住まい方を考慮し、排出量. 全国調査. 15). において、世帯人数が増えるほどエネル. ギー総消費量が大きくなり、減るほど一人あたりのエ. を出来る限り少なくする配慮が重要であること、5) 住まい方の計画的条件として居住者の人数や居住者の. ネルギー消費量が大幅に増加することが示されている。 ライフステージなどの世帯属性を考慮する必要がある 次に、ライフステージの違いによる影響では、高口. こと、6)エネルギー融通において集合住宅の数戸単. らのライフスタイルとエネルギー消費量に関する研究. 位、住棟全体や住宅地といった面的な視点で住まい方. 16). の組み合わせを考慮することが重要であること。. において、在宅起床時間が長くなるほどエネルギー. 総消費量が大きくなる傾向が示されており、高齢者世. 今後の課題として、住まいの低炭素化に対応した計. 帯や専業主婦世帯といった他の世帯属性よりも日中家. 画的 条件の考察を深めるとともに、産業関連データ. にいることが多い世帯属性では、日中にエネルギー需. ベース等を用いて世帯属性の組み合せのシミュレー. 要が生じ、他の世帯属性よりも消費量が大きくなる可. ションによる検証と事務所等の計画的条件などについ. 能性が高い。. て考察する必要がある。. 以上より、住まい方の計画的条件として、世帯の人 数や居住者のライフステージといった世帯属性の違い を考慮することが重要であるといえる。. 努めている. 都市ガス. N=464. 努めていない. 6. 計画的条件を考慮した住まいに関する一考察. 0. 10. 20. 30. N=209. LP ガス. N=17. 灯油. 40. 50. エネルギー消費量 [GJ/( 世帯・年 )] 注 1) 全国規模アンケートによる住宅内エネルギー消費の実態に関する研究その2をもとに作成. 戸建住宅は次世代省エネ基準の義務化や LCCM 住宅 認定制度等の制度によって低炭素化が進むと考えられ るが、我が国の全住宅の 4 割を占める集合住宅. 電力. N=73. どちらかと言えば 努めている どちらかと言えば 努めていない. 17). の低. 炭素化は進んでいない。また、少子高齢化や世帯の核 家族化・個別化による単身世帯の増加によって建築分 野からの CO2 排出量の増加が懸念されており、集合住 宅の低炭素化は大きな課題である。そこで、これまで 示した条件をもとに集合住宅の低炭素化について考察 を行う。 集合住宅は戸建住宅と比べ住戸の距離が近く、エネ ルギー融通や設備の共有化を図りやすいという利点が ある。そこで、計画段階において世帯属性の違いによ るエネルギー需要のずれを考慮した計画を行うことに よって、日中に単身世帯等で使用されないエネルギー の有効利用が可能となる(図 9)。この考え方は住宅地 においても適用することが可能であり、エネルギー融 通において集合住宅の数戸単位、住棟全体や住宅地の 世帯属性による住まい方の組み合わせを考慮すること が重要である。 7. まとめ 本研究では、住まいの低炭素化に対応した計画的条 件に関して、以下のことが得られた。 1)建築分野の低炭素化は環境とエネルギーを一体と して捉え、環境配慮とともにエネルギーのあり方を 検討する必要があること、2)住まいの低炭素化は① エネルギー利用の高効率化、②省エネルギー、③未利. 図 8. 省エネルギー実行動とエネルギー消費 集合住宅. ■世帯別の生活時間帯想定モデル 6:00. 8:00. 10:00. 12:00. 14:00. 16:00. 18:00. 20:00. 22:00. 24:00. 2. 1. 2. 1. 若年単身世帯 共働き世帯. 戸建て住宅. 1. 高齢者世帯. 2. 専業主婦世帯. 2. 融通の方向. 利用されていないエネルギー. 在宅している時間帯. ※世帯属性の違いによる生活時間帯のずれを利用することで、日中に 太陽光発電で発電される電力を融通することができ、燃料電池で発 生したお湯を夜間に融通することができる。. 1. 若年単身世帯、夫婦共働き世帯. 2. 高齢者世帯、専業主婦世帯 エネルギーの流れ. 図 9. 世帯属性を考慮したエネルギー融通 注 1) 地球環境を保全するという観点から、エネルギー・資源・廃棄物などの面で充分な配慮がなされ、 また周辺の自然環境と親密に美しく調和し、住み手が主体的に係りながら、健康で快適に生活 できるよう工夫された住宅、およびその地域環境 注 2) 気候や敷地特性など立地条件と住まい方に応じて極力自然エネルギーを活用したうえで、建物 と設備機器の選択に注意を払うことによって居住性や利便性の水準を向上させつつ居住時のエ ネルギー消費量(CO2 排出量)を 2000 年頃の標準的な住宅と比較して 50% にまで削減可能で 2010 年までに十分実用化できる住宅 注 3)『ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス』 住宅の一次エネルギー消費量を建築物・設備の省エ ネ性能向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギー活用等により削減し、 年間での一次エネルギー消費量が正味ゼロ又は概ねゼロとなる住宅 注 4)『 ライフサイクル・カーボン・マイナス住宅』 住宅の建設・運用・解体・廃棄までの一生涯に 排出する CO2 を徹底的に減少させるさまざまな技術導入と、それらを使いこなす省エネ型生活 行動を前提としたうえで、太陽光、太陽熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー利用によって、 ライフサイクルトータルの CO2 収支がマイナスとなる住宅 【参考文献】 1) エネルギー白書 2011 経済産業省 資源エネルギー庁 2) 近代建築 2009 年 7 月号 低炭素社会に向けた建築のパラダイムシフト 村上周三 3) エネルギー・環境・社会 現代技術社会論 京都大学大学院エネルギー科学研究科エネルギー社会・ 環境科学専攻 4) 都市問題 特集 エネルギー政策の検証 2011 年 10 月号 (財)東京市政調査会 5) 環境白書 2010 環境省 6) シリーズ地球環境建築入門編 地球環境建築のすすめ 日本建築学会編 7) 提言 建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン 2050- カーボン・ニュートラル化を目指して 8) 住宅・建築分野の低炭素化に向けた技術ロードマップの策定 中間とりまとめ 技術ロードマップ 委員会 9) ライフサイクルカーボンマイナス住宅の設計プロセス -LCCM 住宅デモンストレーション棟を対象 とした調査 - 日本建築学会大会学術講演梗概集 2011 年 8 月 門脇耕三、小泉雅生 10)LCCM 住宅の概要 LCCM 住宅研究開発委員会 平成 22 年度活動概要 一般社団法人日本サステ ナブル建築協会 11) スマート革命 日経 BP 社 著者:柏木孝夫 12) 建物の LCA 指針 日本建築学会編 13) 建築物のライフサイクル二酸化炭素排出量とその抑制方策に関する研究 14) 全国規模アンケートによる住宅内エネルギー消費の実態に関する研究その 1、2 日本建築学会環 境系論文集 2004 年 2006 年 長谷川善明 井上隆 その他 15) 省エネ住宅とスマートライフでストップ地球温暖化 日本建築学会編集・著作 16) 単身世帯におけるライフスタイルとエネルギー消費量に関する調査 日本建築学会技術報告集 2008 年 高口洋人 広瀬拓哉 尾崎明他仁 16) まちづくりと一体となった熱エネルギーの有効利用に関する研究会中間報告 経済産業省 資源 エネルギー庁 17) 平成 20 年住宅・土地統計調査 総務省 統計局・政策統括官・統計研修所. 28-4.

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