• 検索結果がありません。

モンゴル国バガヌール・シベオボ炭鉱

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "モンゴル国バガヌール・シベオボ炭鉱"

Copied!
39
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

エネルギー鉱物資源省電力総局

国有電力会社

インドネシア国

クリーン・コール・テクノロジー

(CCT)導入促進プロジェクト

(高効率石炭火力発電設備導入促進)

ファイナルレポート

(要約版)

平成 24 年 10 月

(2012 年)

独立行政法人

国際協力機構(JICA)

中 部 電 力 株 式 会 社

電 源 開 発 株 式 会 社

一般財団法人 石炭エネルギーセンター

産公

JR

(2)
(3)

目次

第 1 章 序論 ... 1 1.1 本件調査に至るまでの経緯 ... 1 1.2 調査スケジュール ... 2 第 2 章 エネルギー政策の現状と課題 ... 5 2.1 エネルギー政策 ... 5 2.2 電力開発政策 ... 7 第 3 章 環境社会配慮 ... 10 3.1 環境管理および環境影響評価の法規 ... 10 3.2 環境社会配慮の現状と課題 ... 12 第 4 章 発電事業の現状と課題 ... 13 4.1 発電事業の概要 ... 13 4.2 石炭火力発電設備の現状と課題 ... 15 4.3 開発にあたってのファイナンス上の現状と課題 ... 16 第 5 章 CCT 導入ロードマップ ... 18 第 6 章 CCT モデル発電所の検討 ... 25 6.1 プレ FS モデル発電所地点の選定 ... 25 6.2 モデル発電所計画の概要 ... 26 6.3 環境社会配慮(初期環境評価の支援) ... 28 6.4 事業費、経済・財務分析 ... 32

(4)

図目次

図 1.1 調査スケジュール ... 3 図 1.2 調査の全体構成 ... 4 図 2.1 国家エネルギーミックス 2025 年最適シナリオ ... 6 図 2.2 2025 年の一次エネルギーミックス目標 ... 6 図 4.1 発電設備量の推移 ... 14 図 4.2 発電量の推移 ... 14 図 4.3 電源開発計画 ... 17 図 5.1 世界のUSC発電所導入状況 ... 19 図 5.2 低品位炭の性状と利用特性 ... 21 図 5.3 CCT導入によるCO2 削減量の試算 ... 21 図 5.4 経済性比較 ... 23 図 5.5 CCT導入ロードマップ ... 24 図 6.1 モデル発電所候補地点図 ... 25 図 6.2 選定地点位置図 ... 26

図 6.3 General Plant Area layout ... 28

図 6.4 Pre-FS調査およびIEE調査以降の環境社会配慮のプロセス ... 32

表目次

表 2.1 国家エネルギー政策(KEN)の概要 ... 5 表 2.2 新電力法の比較(変更事項) ... 7 表 2.3 RUKN(2008 年版)とRUPTLの概要(2011 年版) ... 8 表 2.4 ジャワ・バリ地域の電源開発計画 ... 9 表 3.1 環境管理と環境影響評価に関するインドネシアの主要法規と指針... 10 表 3.2 空間計画に関するインドネシアの主要法規 ... 11 表 3.3 環境汚染防止全般と石炭火力発電事業にかかる環境対策規定に関する... 11 表 4.1 ジャワ・バリ系統の発電設備(Installed Capacity) ... 13 表 4.2 ジャワ・バリ系統の発電設備の事業者(Installed Capacity) ... 13 表 4.3 ジャワ・バリ地域の石炭火力発電所 ... 15 表 4.4 PLNの財務状況および政府からの補助金 ... 16 表 4.5 発電量 ... 16 表 5.1 世界のIGCC技術のトレンド... 19 表 5.2 インドネシア低品位炭の性状 ... 20 表 5.3 経済性比較の前提条件(建設コスト、熱効率、O&Mコスト、石炭単価) ... 22 表 6.1 モデル発電所 設計条件 ... 26 表 6.2 本計画による環境社会影響の緩和策(初期環境評価による概念的整理)... 30 表 6.3 前表事項に加えFS/EIA調査時に実施すべき調査確認とアセスメント事項 ... 31 表 6.4 事業費概算 ... 33 表 6.5 財務分析ベースケース ... 33 表 6.6 経済分析ベースケース ... 34

(5)

略語集

略 語 正 式 名 称 和 訳 名 称

AMDAL Analisis Mengenai Dampak Lingkungan

(Environmental Impact Assessment) 環境影響評価 BAKOREN Badan Koordinasi Energi Nasional

(National Energy Adjustment Committee) 国家エネルギー調整委員会 BAPEDAL Badan Pengendalian Dampak Lingkungan

(Emvironmental Impact Management Agency) 環境管理庁

BAU Business as usual 既存の開発計画を変更せず何らの対策も打たない、というシナリオ CCT Clean Coal Technology クリーンコールテクノロジー COP Conference of the Parties 気候変動枠組み条約締約国会議 EIA Environmental Impact Assessment 環境影響評価

FIRR Financial Internal Rate of Return 財務的内部収益率

GHG Greenhouse Gas 温室効果ガス

IEA International Energy Agency 国際エネルギー機関 IGCC Integrated Coal Gasification Combined Cycle 石炭ガス化複合発電 IPP Independent Power Producer 独立系発電事業者 JICA Japan International Cooperation Agency 国際協力機構 LNG Liquefied Natural Gas 液化天然ガス

MEMR Ministry of Energy and Mineral Resources エネルギー鉱物資源省 MOE Ministry of the Environment 環境省

NGO Non-Governmental Organization 非政府組織

NPV Net Present Value 正味現在価値

PJB PT Pembangkitan Jawa Bali

(Jawa Bali Power Generation Company) ジャワバリ発電会社 PLN PT Perusahaan Listrik Negara

(State Electricity Company') 国有電力会社 PLTU Pembangkit Listrik Tenaga Uap

(Steam Power Plant) 蒸気タービン発電 PLTP Pembangkit Listrik Tenaga Panas Bumi

(Geothermal Power Plant) 地熱発電 PLTGU Pembangkit Listrik Tenaga Gas Uap

(Gas Combined cycle Power Plant) ガスコンバインド発電 PLTG Pembangkit Listrik Tenaga Gas

(Gas turbine Power Plant) ガスタービン発電 PLTA Pembangkit Listrik Tenaga Air

(Hydroelectric Power Plant) 水力発電 RTRW Rencana Tata Ruang Wilayah

(Sapcial Plan) 空間計画

RPJM Rencana Pembangunan Jangka Menengah

(Medium-term Development Plan) 中期開発計画 RPJP Rencana Pembangunan Jangka Panjang

(Long-term Development Plan) 長期開発計画 RUEN Rencana Umum Energi Nasional

(National Energy Plan) 国家電力総合エネルギー総合計画 RUKN Rencana Umum Ketenagalistrikan Nasional

(General National Power Plan) 国家電力総合計画 RUPTL Rencana Umum Penyediaan Tenaga Listrik

(Electrical Power Supply Plan) 電力供給事業計画

SC Super Critical 超臨界圧発電

(6)

第1章 序論

1.1 本件調査に至るまでの経緯 インドネシアは、石油、石炭、ガス、地熱、水力と資源も豊富であった。従来は、利用できる エネルギー資源は豊富であるとの認識に立ち、化石燃料資源は輸出による外貨獲得と国内需要の 両方を満たすと考えていた。しかし、石油については国内需要の増大と採掘量の伸び悩みにより、 2004 年には純輸入国に転じた。脱石油政策はエネルギー政策の柱となり、同年に公布された国家 エネルギー政策では、エネルギーの多様化が謳われた。また、2006 年の国家エネルギー政策に関 する大統領令では、石炭は資源量が豊富でコストが低いことから 2025 年における最大のエネルギ ー源と位置付けた。 電力セクターでは、2006 年に脱石油政策のもとに第 1 次クラッシュプログラムを策定し 2009 年までに 10,000MW の石炭火力を開発するとした。これに引き続き、2009 年にはエネルギー多様 化政策のもとで第 2 次クラッシュプログラムを策定、10,000MW の新規電源開発を 2014 年までに 行うとした。このプログラムでは、地熱、水力の再生可能エネルギーの開発も行うとしているが、 石炭火力も 36%を占めている。石炭火力発電は石炭資源が豊富でコストが低いため今後とも積極 的な開発が進められることとなっており、国家電力総合計画(RUKN)によると、石炭は発電用 1 次エネルギーで 2008 年の 45%から 2018 年には 63%に増加すると予想している。 他方、バリ島で開催された 2007 年気候変動枠組み条約第 13 回締約国会議(COP13)では、「バ リ行動計画」が採択され、途上国の CO2排出削減努力を促した。2009 年 9 月、ユドヨノ大統領は 地球温暖化ガス(GHG)を 2020 年までに BAU(既存の計画を変更しない場合)比で 26%の削減、 国際社会からの支援が受けられれば 41%の削減を目標とすると宣言した。この削減目標を実現す るために産業セクター毎に GHG 削減行動計画を策定することとしている。電力セクターでは石炭 はエネルギー源で高い割合を占めるため、石炭火力発電の高効率化は GHG 排出量の削減に大きく 貢献する。

国際エネルギー機関(International Energy Agency, IEA)の世界エネルギー展望 2011(World Energy Outlook 2011)によると、石炭は過去 10 年間、世界のエネルギー需要増の約半分を満たしてきて おり、今後も現行の政策が維持される場合、石炭消費量は約 65%増加し、石油に代わって世界の エネルギー構成で最大の燃料になると予測している。石炭は資源の地域的な偏在が少なく、かつ 埋蔵量が豊富であること等から広い地域で利用されているとともに、産出国においては貴重な国 産資源の有効活用がエネルギー安全保障の観点からも重視されている。また、世界全体における 電源別発電量の構成(2009 年時点)では、石炭火力が 40.9%と最大で、次いで天然ガス 21.3%、 水力 15.9%、原子力 13.5%という比率となっているが、IEA の予測によると、世界的に石炭火力 の構成比率は 2035 年までに 7%程度の減少は見込まれるものの、引き続き最大を占めることが予 測されている。 2010 年のインドネシアの石炭生産量1は 3.06 億トンで世界第 6 位に相当するが、輸出量2 1 BP 統計 2011 は 2.98 億トンで豪州に次いで世界 2 位であり、一般炭に限定すると世界 1 位の輸出国である。また、日 本は世界最大の石炭輸入国であるが、インドネシアにとって日本は 2008 年までは第 1 位、2009 年以降は中国、インド、韓国に次いで第 4 位の重要な石炭輸出国であり、継続的な安定供給確保 2

(7)

のため、様々な石炭関係での協力事業を通じて重層的な協力関係の構築を図ってきている。石炭 を最大のエネルギー源とするインドネシアに対し、日本は石炭の効率的利用促進のための低品位 炭の多目的利用や石炭火力の低炭素化に向けての協力等を進めてきている。特に温室効果ガス排 出量が多い石炭火力発電については、世界でも最高水準の日本の高効率な石炭火力発電技術であ るCCT(Clean Coal Technology)の導入普及により同量の資源でもより多く発電ができることから、 石炭需要の抑制や温室効果ガスの排出量抑制にもつながる。 JICA は気候変動対策プログラムローンを通じて、GHG 排出抑制による温暖化対策の観点から 石炭火力発電所の熱効率向上の取り組みを後押しする方針である。今後増加する石炭火力開発と ともにエネルギー利用の効率化に取り組む必要性は高いため、気候変動対策プログラムローンと の整合性を図りながら CCT 高効率火力発電設備の導入を推進することは必要な方策であると考 えている。 このような背景の基でインドネシア政府の要請を受け JICA は GHG 排出量の削減に向けて、ま た、電力セクターにおけるエネルギー利用の高効率と環境負荷軽減を目的として CCT 高効率火力 発電設備の導入のための調査を実施した。 (1) 本件調査の目的 目的 1:高効率石炭火力発電技術の導入ロードマップの作成 目的 2:CCT モデル石炭火力発電の検討(プレ FS の実施) 目的 3:我が国の石炭火力発電技術の移転と人材育成 (2) 調査対象地域 ジャワ・バリ(ジャワ・バリ地域) (3) 相手国実施機関

エネルギー鉱物資源省(MEMR: Ministry of Energy and Mineral Resources) 国有電力会社(PT PLN (Persero): State Owned Electric Power Company) 1.2 調査スケジュール 調査は、2011 年 4 月から 2012 年 7 月までの 16 ヶ月間で実施した。3 段階に分け、第 1 段階と して基本的なデータ収集、調査計画の策定を行った。次に第 2 段階として CCT 導入ロードマップ を作成した。第 3 段階として策定したロードマップに従い、CCT 導入モデル発電所の候補地を選 定し、プレ FS を実施した。 調査期間を通じて、調査方針に関する議論や調査の進捗報告のためのステアリング・コミッテ ィーを 3 回、調査の内容を関係者に周知する目的でセミナーを 2 回、ステークホルダー協議を 3 回実施し、また、カウンターパート研修は 2011 年 11 月に実施した。調査の全体スケジュールお よび全体構成を以下に示す。

(8)

図 1.1 調査スケジュール Period 2011 2012 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 Study stage Work in Indonesia Steering Committee SeminarSite Reconnaissance StudyEnvironmental and Social Consideration StudyPotential Study CP Training Outcome Period 2011 2012 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 Study stage Work in Indonesia Steering Committee SeminarSite Reconnaissance StudyEnvironmental and Social Consideration StudyPotential Study CP Training

Outcome Inception Draft Final (June2012)2012)

Site

Site ReconnaissanceStudyStudy

Final (July2012)2012) IEE study Interim Contract Contract Roadmap Pre-FS Potential Study Contract Basic

Study Pre-FS for CCT Model Power Plant CCT Road map 1st Steering Committee 1st Seminar 1st SHM 2nd Steering Committee2nd 2nd SHM 3rd 3rd Steering Committee 2nd Seminar 3rd SHM

Inception Draft Final (June2012)2012)

Site

Site ReconnaissanceStudyStudy

Final (July2012)2012) IEE study Interim Contract Contract Roadmap Pre-FS Potential Study Contract

Inception Draft Final (June2012)2012)

Site

Site ReconnaissanceStudyStudy

Final (July2012)2012) IEE study Interim Contract Contract Roadmap Pre-FS Potential Study Contract Basic

Study Pre-FS for CCT Model Power Plant CCT

Road map Basic

Study Pre-FS for CCT Model Power Plant CCT Road map 1st Steering Committee 1st Seminar 1st SHM 2nd Steering Committee2nd 2nd SHM 3rd 3rd Steering Committee 2nd Seminar 3rd SHM 1st Steering Committee 1st Seminar 1st SHM 2nd Steering Committee2nd 2nd SHM 3rd 3rd Steering Committee 2nd Seminar 3rd SHM

(9)

・ ・ 図 1.2 調査の全体構成 出典:調査団作成 <調査の全体構成> ・第2回ステアリングコミッティ ・第1回セミナー ・インテリムレポート ・第2回 ステークホルダーミー ティング ・第3回ステアリングコミッティ ・第2回セミナー ・第3回ステークホルダーミーテ ィング ・ファイナルレポート ・ ・CCT 高効率発電設備の導入可能性 ・石炭需給計画 ・CO2削減効果 ・CCT 経済性評価 ・CCT 導入のための人材育成と制度 ・CCT 導入ロードマップ 第2段階:CCT 導入ロードマップ策定 ・インセプションレポート ・第1回ステアリングコミッティ ・第1回ステークホルダーミーティ ング ファイナンシャ ルスキームの 検討 ・モデル発電所地点の選定 ・事業計画の検討 ・環境対策設備の検討 ・初期環境調査(IEE) ・関連インフラ設備の検討 新規開発候補地点調査 第3段階:モデル石炭火力発電所検討 ・CCT 導入ロードマップの基準化、法制化 ・CCT 高効率石炭発電事業の実現 調査の方針・方法に関する協議 基礎情報 ・エネルギー政策 ・石炭需給予測、計画 ・既設発電設備の現状 CCT 高効率発電設備ポテンシャル評価 開発計画のレビュー ・電源開発計画 ・送電開発計画 第1段階:基礎調査 ・国の電源開発計画に反映(CCT)

(10)

第2章 エネルギー政策の現状と課題

2.1 エネルギー政策 (1) エネルギー政策の概要 インドネシアは、石油、石炭、ガス、地熱、水力など、利用できるエネルギー資源は豊富であ るとの認識に立ち、化石燃料資源は輸出による外貨獲得と国内需要の両方を満たすと考えていた。 しかし、石油については国内需要の増大と採掘量の伸び悩みを受け、資源は豊富ではなく、化石 燃料資源は輸出向け及び国内の工業製品の生産に必要な燃料ならびに原材料として位置付けるこ ととした。また、エネルギーの最適かつ効率的な利用と化石燃料枯渇を遅らせるためエネルギー 資源の分散を図ることとした。 石油の代替エネルギーとして、資源が豊富でコストが低い石炭資源の開発が進められており、 輸出による外貨獲得と国内需要の両方を満たすことができるとしている。化石燃料では天然ガス も資源が豊富であるが、ガス供給地域は需要地と離れており、LNG として多くが輸出されている。 また、電源の多様化政策として再生可能エネルギーの導入にも積極的であり、国家エネルギー政 策(2004)及び同政策に関する大統領令(2006)では再生エネルギーの利用を高める政策を示し ている。電源では、地熱と水力の開発が進められているが、その資源量が石炭に比べ少ないこと、 開発コストが高い、立地上の問題、等があり、石炭火力発電ほど利用が進んでいないのが現状で ある。 これらの脱石油政策、電源の多様化政策は、2004 年に「国家エネルギー政策」、2005 年に「国 家エネルギー管理ブループリント」、2006 年に、「国家エネルギー政策に関する大統領令」により 規定された。また、これら政策を法令化し、統合的かつ総合的なエネルギー行政を行うために 2007 年 8 月、「エネルギー法」を制定した。

1)「国家エネルギー政策」(KEN)(大臣令、National Energy Policy 2003-2020:KEN, No.0983

K/16/MEM/2004) 「国家エネルギー政策」では、「国益を満たすエネルギー供給の保証」をビジョンとし、「エネ ルギー供給能力の向上」、「エネルギー生産の最適化」「省エネルギー」が主要政策とし、2020 年 までの目標を掲げた。 表 2.1 国家エネルギー政策(KEN)の概要 目標 ・ 2020 年までに電化率 90% ・ 2020 年までに大規模水力を除いた再生可能エネルギーのシェア 5%以上 ・ GDP 単位当たりのエネルギー消費量(Energy Intecity)を毎年 1%低減 ・ 国内資源の利用拡大と国内人材の活用による海外エネルギー源への依存度 低減 主要 政策 ・ 国家開発と人口増加に見合うエネルギー供給の強化 ・ 最適で経済的なエネルギーミックスを実現するためのエネルギーの多様化 ・ 省エネルギーの推進

(11)

2) 国家エネルギー管理ブループリント(National Energy Management Blueprint 2005-2025) 「国家エネルギー政策」(KEN)に基づき、一次エネルギー供給の将来予測、個別エネルギー技 術の 2025 年までの展開(ロードマップ等)を示した国家エネルギー管理ブループリントが策定さ れた。2025 年の一次エネルギーミックス目標は次の通り。 図 2.1 国家エネルギーミックス 2025 年最適シナリオ 3) 国家エネルギー政策に関する大統領令(2006 年 5 号) 前述の「国家エネルギー政策」(KEN)及び国家エネルギー管理ブループリントが、エネルギー 鉱物資源大臣令であったため、大統領令として公布することで法的根拠を高めている。石油代替 エネルギー利用促進のため、再生可能エネルギーの利用を高めるように数値目標を上方修正した。 出典:国家エネルギーに関する大統領令 No.5/2006 図 2.2 2025 年の一次エネルギーミックス目標 4) エネルギー法 「エネルギーに関する法律」が 2007 年 8 月制定された。石油・ガス法、電力法、地熱法等のエ ネルギー別の法令は制定されていたが、個別のエネルギーを統括・関連させた法令あるいは、エ ネルギー政策全般を法制化する必要があった。 石炭 33% 石油 20% 天然ガス 30% 液化石炭 2% バイオフューエル 5% 地熱 5% その他 5% 再生可能エネルギー 15% 石炭 33% 石油 20% 天然ガス 30% 液化石炭 2% バイオフューエル 5% 地熱 5% その他 5% 再生可能エネルギー 15% 石油 53% 再生可能 エネルギー 7% 天然ガス 19% 石炭 21% 2004 年エネルギーミックス 2025 年エネルギーミックス 国家エネルギーミックス2025年 最適シナリオ マイクロハイドロ発電0.216% バイオ燃料 1.335% 太陽光 0.020% 風力 0.028% 燃料電池 0.000% バイオマス 0.766% 原子力 1.993% ガス 30.6% 石油 26.2% その他 4.4% 地熱 3.8% 水力発電 2.4% 石炭 32.7% 国家エネルギーミックス2025年 最適シナリオ マイクロハイドロ発電0.216% バイオ燃料 1.335% 太陽光 0.020% 風力 0.028% 燃料電池 0.000% バイオマス 0.766% 原子力 1.993% ガス 30.6% 石油 26.2% その他 4.4% 地熱 3.8% 水力発電 2.4% 石炭 32.7% (出典:国家エネルギー管理ブループリント) 国家エネルギーミックス2025年 最適シナリオ マイクロハイドロ発電0.216% バイオ燃料 1.335% 太陽光 0.020% 風力 0.028% 燃料電池 0.000% バイオマス 0.766% 原子力 1.993% ガス 30.6% 石油 26.2% その他 4.4% 地熱 3.8% 水力発電 2.4% 石炭 32.7% 国家エネルギーミックス2025年 最適シナリオ マイクロハイドロ発電0.216% バイオ燃料 1.335% 太陽光 0.020% 風力 0.028% 燃料電池 0.000% バイオマス 0.766% 原子力 1.993% ガス 30.6% 石油 26.2% その他 4.4% 地熱 3.8% 水力発電 2.4% 石炭 32.7% (出典:国家エネルギー管理ブループリント)

(12)

この法律により、「国家エネルギー審議会」(Dewan Energi Nasional:以下、DEN)が設立された。 従来は「国家エネルギー調整委員会(以下、BAKOREN)」が国家エネルギー政策を策定していた が、DEN が BAKOREN の機能を拡大して引き継ぐことになった(BAKOREN の委員長はエネルギ ー鉱物資源大臣であったが、DEN は大統領)。 国家エネルギー総合計画(RUEN)は、エネルギー鉱物資源省が原案を作成し、DEN が制定する。 「エネルギー法」はエネルギー政策の実施に関する基本方針を示すものであり、その詳細規定は 政令・大臣令で規定される。2009 年 11 月には省エネルギーに関する政令が制定された。 2.2 電力開発政策 (1) 電力法 2002 年に制定された電力法では、競争地域(ジャワバリ地域)では、PLN を発電、送電、配電 に分離し、競争原理を導入するというものであった。しかし、この競争原理の導入は「国民の生 活に有用な影響を与える産業部門は国家が運営・管理する」という憲法第 33 条 2 項に抵触すると して、憲法裁判所により違憲判決が下された。このため、新たな電力法の審議が進められていた が、2009 年 9 月 8 日に電力法が国会を通過した。 新電力法は、2002 年電力法の前の 1985 年の電力法(No.15/1985)を踏襲しているが、電力供給 は国が責任を持つとしつつも、地方分権政策に配慮して地方政府にも一定の権限を与えている。 手続き関係では、従来はエネルギー鉱物資源大臣の認可権である国家電力総合計画(RUKN)は 国会の承認が必要となったこと、また、大統領が認可していた電気料金改定においても国会(地 方決裁分は地方議会)の承認が必要になった。電力供給事業の詳細、電気事業電気料金の設定方 法などは今後発令される政令で規定されることになる。 旧電力法と比較すると以下のとおりとなる。 表 2.2 新電力法の比較(変更事項) 電力法 No.15/1985(旧電力法) 電力法 No.30/2009(新電力法) 電力開発 計画 中央政府が国家電力総合計画 (RUKN)を策定する 中央政府が国会の承認のもとで RUKN を策 定。地方政府は RUKN を基に地方電力総合計 画(RUKD)を策定。 事業責任 中央政府の管理下で PLN が実施 する 中央政府の管理下ではあるが、中央政府と 地方政府が分担する。 事業認可 地方政府の認可 地方政府の認可 (ただし、グリッドが州を跨らなければ州、 県を跨らなければ県→実態はほとんど国の認 可となる) 事業の実施 PLN が実施するが、例外的に PLN のグリッドの届かない地域で 協同組合等が実施できる PLN の他に、公営企業(県の企業局のよう なもの)、民間企業、協同組合、市民団体が実 施できる。ただし、PLN 事業は優先する。 地方電化 中央政府の責任として原則 PLN が実施する。 公営企業、民間企業、協同組合などが実施 できない時は、PLN に実施を義務付ける。 電気料金 全国一律、国(大統領)の認可 中央政府は国会の承認のもとで電気料金を 定める。地方政府は、地方議会の承認のもと

(13)

で当該地域の電気料金を定めることができ る。すなわち、地方毎に異なる電気料金の設 定が可能となった。 出典:調査団作成(MEMR 派遣 JICA 専門家の資料を基に作成) (2) 電力開発計画の概要 電力開発計画には国家電力総合計画(RUKN)と電力供給事業計画(RUPTL)がある。RUKN が エネルギー政策を踏まえた総合的電力開発計画であるのに対し、RUPTL は個別プロジェクトを反 映した PLN の電力供給事業計画である。 2009 年の電力法改正により RUKN は国会の承認事項となった。このため、RUKN は国会の審議 に時間を要し、2008 年以降、改定されずに現在に至っている。一方で、RUPTL は PLN の施設計 画であり毎年作成されている。しかし、RUPTL は RUKN の改定を受けて策定することになって おり、RUKN が改定されないために RUPTL も公表ができない年もあった。最近では 2011 年 12 月に 2008 年の RUKN を参照する形で RUPTL2011 版が公表された。最近の RUKN と RUPTL の概 要を以下に示す。 表 2.3 RUKN(2008 年版)と RUPTL の概要(2011 年版) RUKN(国家電力総合計画) RUPTL(電力供給事業計画) 策定機関 エネルギー鉱物資源省(MEMR) 国有電力会社(PLN) 計画の概要 国が定める電力総合計画。需要予測、1 次エネルギー、電力計画、所要資金など。 期間は 20 年間 RUKN に基づいて PLN が定める電力 供給計画。期間は 10 年間。 更新 定期的(毎年)改定する。ただし、 前回は 2006 年 6 月 RUKN の改定後(RUKN に基づいて作 成) 最近の改定 2008 年 10 月 13 日 2011 年 12 月 30 日 出典:調査団作成 (3) RUPTL 2011 年版の特徴 (a)第 1 次クラッシュプログラムと第 2 次クラッシュプログラムのプロジェクトを含む、2011 年 から 2020 年までの電力供給事業計画である。新規電源開発計画の概要を表 2.4 (ジャワ・バ リ地域)に示す。 (b)需要予測は RUKN と同じように大きめの値を取っている。2020 年までの 10 年間の年平均で 8.5%(ジャワ・バリ地域では 7.8%)の電力需要の伸びを予測している。2020 年の電力需要(販 売電力)は 328TWhとなり 2010 年の 145.7TWh(実績)の 2.25 倍となる。 (c)このため、2020 年までの 10 年間に全国で 55.4GW の新規電源開発が必要となる(2010 年の 設備容量 30GW の 1.85 倍に相当する)。このうち石炭火力は 35.6GW(64%)である。 ジャワ・ バリ地域では 32.1GW の開発量となり、石炭火力は 70%の 22.6GW を予定している。ジャワ・ バリ地域の電源開発計画を表 2.4 に示す。また、発電出力で 60%を PLN が、残りの 40%を IPP が計画で計画である。 (d)第 2 次クラッシュプログラムでは再生可能エネルギーの開発を進めるとしているが、地熱開 発は資源探査、FS 及び資金調達に時間がかかっており昨年の RUPTL に比べ大幅に計画を遅 らせている。また、水力開発は揚水発電が中心となる。

(14)

(e)10 年間に必要な全国の電力投資額(PLN+IPP)は、962 億ドル(年間平均 96 億ドル)となる。 ジャワ・バリ地域では 10 年間で電力投資額(PLN+IPP)は 498 億ドル、PLN 単独では 336 億ドルと見積もられている。 表 2.4 ジャワ・バリ地域の電源開発計画 単位:MW 出典: RUPTL 2011- 2020

(15)

第3章 環境社会配慮

3.1 環境管理および環境影響評価の法規 インドネシアにおける環境基本法として「環境保護と管理に関する法」がある。この法令は、 1982 年に施行後、1997 年に大幅改定され、更に 2009 年に再改正され、新法として公布、施行さ れた。新法では、第 15 条から 19 条で、戦略的環境調査の実施を求める内容が新たに加わった。 中央および州政府は、国および地域開発計画(RTRW、RPJP、RPJM を含む)や政策・計画・ プログラムが持続可能な計画となるよう、戦略的環境調査を実施しなければならないと定める(15 条)。現在、政令と具体的な指針作りが環境省で行われている。 環境保護と管理に関する法 環境影響評価(EIA/AMDAL

インドネシアでは、環境影響評価(EIA)をアムダル(AMDAL/Analisis Mengenai Dampak Lingkungan)と呼ぶ。現在は、1999 年の政令第 27 号「環境影響評価に関する政令」を基本法 令とする。 ) 表 3.1 環境管理と環境影響評価に関するインドネシアの主要法規と指針 分野 種類 法令 環境管理 基本法 環境保護と管理に関する法(2009 年法律第 32 号) *1982 年法律第 4 号で施行、1997 年法律第 23 号で大幅改定。 2009 年に改正され、10 月 3 日付で改正新法公布、施行。 関連規定 地方政府の環境組織の組織改革に関する内務省と環境省の共同通知

文書(No.061/163/SJ/2008 AND SE-01/MENLH/2008) 環境影響 評価 基本法令 環境影響評価に関する政令(1993 年第 51 号、同改正 1999 年第 27 号) 規定・省令 EIA を実施すべき事業または活動に関する環境省令 (2001 年第 17 号、同改正 2006 年第 11 号) *関連のガイドラインあり EIA 作成指針に関する環境省規定(2006 年第 8 号) *環境影響管理庁(BAPEDAL)長官令 2000 年第 9 号の法制化 EIA 報告書の評価指針に関する環境省令と省規定 (省令 2000 年第 2 号、同省規定 2009 年第 24 号) 戦略的環境影響評価の指針に関する環境省規定(2009 年第 27 号) 環境管理とモニタリングに関する対策とその能力の申告書に関する環境 省規定(2010 年第 13 号) *環境管理対策とモニタリング対策指針に関する環境省令 (2002 年第 86 号) 湿地帯における開発行為に対するEIA作成指針に関する環境省令 (2000 年第 5 号) 地方政府(県/ 市)のEIA評価委員会の形成指針に関する環境省令 (2000 年第 41 号) EIA プロセスでのコミュニティの参加と情報公開に関する環境影響管理 庁(BAPEDAL)長官令(2000 年第 8 号) 出典:インドネシア政府環境省環境影響評価部資料(2011)に基づき、調査団作成

(16)

空間計画(Spatial Plan インドネシアでは、国土空間の利用と開発に対して、空間計画が策定されている。この仕組み は、1980 年代の関連大統領令に始まっているが、2007 年法律第 26 号「空間計画法」として、基 本法が制定された。この基本法と関連する政令、大統領令等により、国と各地方政府(州および 市・県)は、管轄区域の空間利用・開発のための基本計画を策定し、保護区や開発区域を目的別 にゾーニング(区分け)している。 ) 表 3.2 空間計画に関するインドネシアの主要法規 分野 種類 法令 国土空間計画 基本法 空間計画法(2007 年法律第 26 号) (Spatial Plan) 関連規定 国家空間計画に関する政令(2008 年第 26 号) 国土空間管理のための調整チームに関する大統領令 (1989 年第 57 号) 保護区管理に関する大統領令(1990 年第 32 号) 空間計画におけるコミュニティの参加の権利、義務、形式と手続き に関する政令(1996 年第 69 号) 出典:インドネシア政府環境省環境影響評価部資料(2011)に基づき、調査団作成 環境汚染防止全般および、個別事業分野に関するもののうち、石炭火力発電事業に係る分野の 環境対策・基準に関する主要法規・指針は、表 3.3 の通り。 表 3.3 環境汚染防止全般と石炭火力発電事業にかかる環境対策規定に関する インドネシアの主要法規 分野 法令 大気関係 大気汚染防止に関する政令(1999 年政令第 41 号) (4) *1993 年に大気汚染防止に関する環境省令 (5) *関連のガイドラインを省令で規定、本政令に基づき環境基準を設定 固定発生源からの排出基準に関する環境省令(1995 年第 13 号) 大気汚染指標に関する環境省令(1997 年第 45 号) 固定発生源ボイラからの排ガス基準に関する環境省規定(2007 年第 7 号) 火力発電所からの排ガス基準に関する環境省規定(2008 年第 21 号) 地域大気汚染防止の実施に関する環境省規定(2010 年第 12 号) 水質関係 水質管理と水質汚濁防止に関する政令(2001 年第 82 号) *関連のガイドラインを省令で規定、本政令に基づき環境基準を設定 海の汚染防止と損壊に関する政令(1999 年第 19 号) 産業排水の基準に関する環境省令(1995 年第 51 号、同改正 2004 年第 122 号) サンゴ礁の損傷を判定する基準に関する環境省令(2001 年第 4 号) 地表水質の分析とサンプリング方法に関する環境省令(2003 年第 37 号) 水資源に対する水質汚濁負荷容量の決定のための指針に関する環境省令 (2003 年第 110 号)

(17)

海水の水質基準に関する環境省令(2004 年第 51 号、同改正 2004 年第 179 号) マングローブの損傷を定量する基準と指針に関する環境省令(2004 年第 201 号) 石炭掘削・関連事業からの排水基準に関する環境省令(2003 年第 113 号) 火力発電所事業からの排水基準に関する環境省規定(2009 年第 8 号) 騒音関係 騒音の環境基準に関する環境省令(1996 年第 48 号) 振動関係 振動の環境基準に関する環境省令(1996 年第 49 号) 悪臭関係 悪臭の環境基準に関する環境省令(1996 年第 50 号) 廃棄物関係 廃棄物管理法(2008 年第 18 号) 出典:インドネシア政府環境省環境影響評価部資料(2011)に基づき、調査団作成 3.2 環境社会配慮の現状と課題 環境社会配慮上の留意事項(インドネシア石炭火力発電所開発事業 開発計画に伴う環境社会配慮のあり方は、国際動向・国内動向ともに、より早期の計画段階から 環境社会配慮検討に入るのが趨勢となっている。インドネシアでも環境分野の基本法に、戦力的 環境アセスメントに関する規定が導入されており、環境省で具体的実施指針が準備されていると ころである。これまでMEMR 電力総局や PLN では、環境社会配慮の開始のタイミングが、事業 開始までにAMDAL の承認を受けるという観点から判断されている。今後は、電力総局や PLN の計画および環境管理関係者が、より早期段階から環境社会配慮検討を開始する考え方に適応し、 内部の実施体制もその方向に舵を切っていくことが肝要である。 ) 住民の意思や用地所有権の問題をより早い段階で確認するには、計画への関係者の参加と協議、 説明機会の早い段階での開始が不可欠になる。一方で、事業実施機関は、早い段階での一般市民 への情報開示が、予定地周辺での投機的な動きや不特定関係者の不穏当な要求を生じることを懸 念している。このために、関係者に対する情報開示や必要な説明と交渉の開始が遅れがちになる。 しかしながら、この遅れが結局は事業開始の遅れにつながることをよく認識し、より早い段階で 適切な関係者説明会を持ち、計画用地の所有権の調査と取得交渉を終えることが、既往案件の教 訓である。 早期に社会配慮策を開始する

(18)

第4章 発電事業の現状と課題

4.1 発電事業の概要 PLN とその発電子会社であるインドネシアパワー(IP)と PJB(Persero)及び独立発電事業者(IPP) が発電事業を行っている。2011 年末のジャワ・バリ系統の発電設備を 設備容量 表 4.1 に示す。燃料別では、 石炭火力発電が設備容量の 46.5%を占め最も多い。石油価格の高騰、石油資源の枯渇から石油燃 料からの転換を図っているが、石炭は価格も低く、国内の資源量も豊富であるため開発が進んで いる。2010 年と 2011 年の 2 年間で開発した電源である 3,730MW の内 3,520MW は石炭火力とな っている。 石油火力は老朽化した効率の低い発電所から順次廃止する方針であり、ディーゼル発電を含め ても 2,456MW と 10%未満になっている。また、再生可能エネルギーを積極的に開発するとして いるが、開発コストが高いため開発量は少なく、水力と地熱を合わせても 3,581MW と 13%程度 となっている。 表 4.1 ジャワ・バリ系統の発電設備(Installed Capacity) 2011 年 12 月現在 電源 設備容量(MW) 割合(%) 石炭火力 12,390 46.5 ガス火力 1,640 6.2 ガス火力(石油併用) 6,569 24.7 石油・ディーゼル火力 2,456 9.2 水力 2,536 9.5 地熱発電 1,045 3.9 合計 26,636 100.0 出典:PLN 資料 また、事業者別に分類すると以下のとおりとなっている。 表 4.2 ジャワ・バリ系統の発電設備の事業者(Installed Capacity) 2011 年 12 月現在 事業者 設備容量 (MW) 割合(%) 主な発電所

PLN 6,113 23.0 Tanjung Jati B、Indramayu インドネシアパワー(IP) 9,646 36.2 Suralaya、Tambak Lorok

PJB 6,902 25.9 Gresik、Cirata

IPP 3,975 14.9 Cilacap、Cikarang Listrindo

合計 26,636 100.0

(19)

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 PLTG/PLTGU PLTU gas PLTU/PLTD oil PLTU coal PLTP PLTA Year [GWh] 図 4.1 発電設備量の推移 出典:PLN 資料 2010 年の総発電量は約 170TWh である。発電量の最も多い電源は石炭火力で発電量全体の 41.1%を占める。2011 年の発電量は集約されていないが、2011 年には石炭火力が 3,220MW 運転 開始となっており、今後は石炭火力の割合がさらに増加することになる。 発電量 0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000 2005 2006 2007 2008 2009 2010 PLTG/PLTGU PLTU gas PLTU/PLTD oil PLTU coal PLTP PLTA Year [GWh] 図 4.2 発電量の推移 出典:Statistic Electricity 2011

(20)

4.2 石炭火力発電設備の現状と課題 インドネシアの石炭火力開発の歴史は比較的浅いといえる。産油国であるインドネシアでは主 に石油火力発電(ディーゼル発電を含む)と水力発電で電力供給が行われてきたが、その後の石 油資源の減少、石油価格の高騰を受けて脱石油政策のもとで多くの石炭火力発電が導入されるよ うになった。 最初の石炭火力発電所は、PLN のスララヤ発電所で 1 号機(400MW)は 1986 年に運転開始し た。2011 年には 8 号機(625MW)が運転を開始し、総発電出力は 4,025MW となっている。以降、 パイトン発電所、タンジュンジャティ B 発電所などの建設を進めてきた。 第 1 次クラッシュプログラムにより、2014 年までに全国で 10,000MW の新規石炭火力発電所の 建設が進められており、ジャワ・バリ系統では 2010 年には 300MW、2011 年には 3,220MW の新 規石炭火力発電所が運転を開始した(表 4.3 参照)。2011 年末の設備容量は 12,390MW となって おり、この内 IPP は 3,030MW となっている。 表 4.3 ジャワ・バリ地域の石炭火力発電所 In stalle d Ne tt Capac ity Capac ity

[MW] [MW]

Su ralaya PLTU 1 steam coal 400 371.5 1985 IP

2 steam coal 400 371.5 1989 IP 3 steam coal 400 371.5 1989 IP 4 steam coal 400 371.5 1989 IP 5 steam coal 600 575.2 1997 IP 6 steam coal 600 575.2 1997 IP 7 steam coal 600 575.2 1997 IP 8 steam coal 625 600 2011 IP

Labu h an PLTU 1 steam coal 300 300 2009 PLN

2 steam coal 300 300 2010 PLN

Lon tar PLTU 1 steam coal 315 300 2011 PLN

1 steam coal 330 300 2011 PLN

2 steam coal 330 300 2011 PLN

3 steam coal 330 300 2011 PLN

Cilac ap PLTU 1 steam coal 300 281 2006 IPP

2 steam coal 300 281 2006 IPP

PLTU 1 steam coal 660 660.8 2006 PLN

2 steam coal 660 660.8 2006 PLN

3 steam coal 660 660.8 2011 PLN

Re mban g PLTU 1 steam coal 315 300 2011 PLN

2 steam coal 315 300 2011 PLN

Paiton PLTU 1 steam coal 400 370 1993 PJB

2 steam coal 400 370 1993 PJB

5 steam coal 610 610 1999 IPP

6 steam coal 610 610 2000 IPP

7 steam coal 615 615 1998 IPP

8 steam coal 615 615 1999 IPP

Total 12390 11946 Fu e l COD Own e r Ye ar In dramayu PLTU Tan ju n g Jati B Plan t Type 出典:PLN 資料

(21)

4.3 開発にあたってのファイナンス上の現状と課題 (1) PLN の財務状況 インドネシアでは、現在、PLN の平均販売単価よりも平均供給コストの方が高く、逆ザヤ状態 にある。kWh 当たりの差は 2009 年には 97.8Rp、2010 年は 96.5Rp であった。実際にはこの発電コ ストに加え、送電・配電コストが加わり、送電・配電コストを含めた供給コストに PLN にマージ ンを加えた単価と平均販売単価の差を補てんするため、政府は毎年 PLN に多額の補助金を供与し ている。 補助金の供与にも関わらず PLN の当期純利益は赤字が 2008 年まで続いていたが 2009 年以降プ ラスになった。しかしながら、依然として補助金に依存する財務体質に変化はなく、補助金なし には当期純利益はマイナスに陥ることになる。 表 4.4 PLN の財務状況および政府からの補助金 (単位:10 億ルピア) 年 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 政府 補助金 4,739 4,097 3,470 12,511 32,909 36,605 78,577 53,720 58,108 93,178 当期 純利益 -6,060 -3,558 -2,021 -4,921 -1,928 -5,645 -12,304 10,356 10,087 7,193 出典:PLN Consolidated Financial Statement 2011, PLN Annual Report 2010, 2009, 2008 および(社)海外電力調査会 「海外諸国の電気事業第 1 編(2008 年版)」 (2) IPP 事業の際の資金調達上の課題 インドネシアでの電力需要は増大傾向にあるが、それに対応すべく、同国での電源開発は PLN 主導の案件に加え、向こう 5 年間、IPP の比率も増加傾向にある。 表 4.5 発電量 (単位:GWh) 年 2005 2006 2007 2008 2009 2010 PLN 98,177 101,664 107,984 113,340 115,434 123.477 IPP 26,088 28,639 31,199 31,389 36,169 38.076 リース設備での発電 3,105 2,804 3,257 4,707 5,194 8.233 総発電量 127,370 133,108 142,440 149,436 156,797 169.786 出典:PLN Annual Report 2010 電源開発促進を意図している第 2 次クラッシュプログラム(MEMR省令 2010/02 号、2010 年-2014 年)の案件リストでも、PLN案件が 3,757MW3である一方、IPP案件 は 6,235MWとなっている。3 第 2 次クラッシュプログラムを含め、RUPTL2011-2020 によれば、2020 年までの電源開発は、2014 年以降 2018 年まではIPPが主体で進める予定だが、それ以降は段階的にその比率を下げ、2019 年 3 RUPTL 2011-2020

(22)

の時点ではPLNによる開発の比率の方が高くなる予定である。石炭火力に限定しても同じような 傾向があり、2019 年時点ではPLNの方が比率が高い。 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal C o al -F ir e d T o tal 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 MW

Capacity expansion plan

IPP PLN IPP Coal-fired PLN Coal-fired 出典:RUPTL 2011-2020 を基に調査団作成 図 4.3 電源開発計画 外資の IPP 参入を促すためには、銀行からの資金調達にあたり、PLN の信用リスクに対してイ ンドネシア政府が保証を付与することを求められる。また、IPP 事業は大統領令 67/2005 および大 統領令 2010/13 に則って実施される PPP スキームを用いることも考えられる。但し、この PPP 事 業についても、第一号案件の入札が終了してまもないことからもわかるようにまだ新しい制度で あり、今後の運用方法の定着および改善が望まれる

(23)

第5章 CCT導入ロードマップ

インドネシアでは著しい経済発展に伴い電力需要は急増しており、この電力需要に対応するた め多くの電源開発計画が進められている。石油資源の枯渇、価格の高騰を受けた脱石油政策のも とで、電源の多様化が図られている。石炭火力発電は発電コストが低く、開発可能量も大きいた め今後の電源開発の中心的な役割を担うことになる。特に、ジャワ・バリ地域では安定した電源 として 2011 年から 2020 年の 10 年間で 22.6GW の石炭火力を開発するとしており(RUPTL2011)、 これは、同期間の電源開発量 32.1GW の 70%に相当する。2021 年以降においても電源開発政策に 大きな変更はないと考えられるため、電源開発計画は石炭火力発電が支配的な電源構成となる。 一方で石炭火力発電は他の電源に比べ CO2の排出量が多いことが特徴にあげられる。インドネ シアは、2020 年までに BAU(既存の計画を変更しない場合)比で 26%の GHG 削減目標を掲げて おり、発電所の高効率化は GHG 削減の観点から必要な技術とされている。また、石炭の国内消費 量が増大しているなかで、高効率化は石炭消費量が減少し、石炭資源の有効利用に貢献する。 日本では石炭火力発電の高効率化が進んでおり、環境対策技術と併せてインドネシアにその導 入が期待されている。対象とする高効率発電技術を超々臨界圧(USC)発電と石炭ガス化複合 (IGCC)発電とし、技術的、政策的及び経済的な視点からインドネシアの状況を踏まえて導入時 期を検討し、2025 年までの CCT 導入ロードマップとして取りまとめた。検討結果は以下のとお りである。 (1) 技術的な観点 USC 発電は、世界中で導入が進んでおり、技術的にも成熟していることから、経済性と CO2排 出量削減の両立を実現する鍵となるクリーンコールテクノロジーである。インドネシアでは高効 率石炭火力発電所建設計画として、セントラルジャワ石炭火力発電所建設計画(1,000MW x 2、IPP、 2016 年及び 2017 年運転開始)及びインドラマユ石炭火力発電所建設計画(1,000MW x 1、ODA、 2017 年運転開始)があり、超々臨界圧(USC)技術の採用が計画されている。 一方、IGCC 発電は 2020 年以降に商用機の導入が期待される有望技術である。インドネシアで の導入時期は、他の国の開発実績(建設コスト)や運転実績(O&M コスト)を確認してからとす る。特に、低灰融点炭・低品位炭の発電利用が望まれており、LTSA(長期技術提携)の採用など により技術リスクを回避しつつ導入を検討する必要がある。 日本では、2020 年に IGCC 発電の商用機を建設する計画があり、計画通りに進めば、2025 年に IGCC の商用機が運転開始することになる。以下に世界での USC 技術の導入・検討状況及び IGCC 技術のトレンドを示す。

(24)

出典:調査団作成 図 5.1 世界の USC 発電所導入状況 表 5.1 世界の IGCC 技術のトレンド 世界の主要なIGCC 先行機 プロジェクト名 (国) ガス化炉 ガスタービン 発電端出力 (MW) 運開時期 連続運転 Puertollano ELCOGAS (スペイン) Prenflo (酸素) Siemens V94.3 318 1997 年 11 月 984 時間 Buggenum Nuon (オランダ) Shell (酸素) Siemens V94.2 284 1994 年 1 月 3291 時間 Wabash River (米国) E-Gas (Dow) (酸素) GE 7FA 296 1995 年 8 月 1560 時間 Tampa Electric (米国) GE (Texaco) (酸素) GE 7FA 315 1996 年 7 月 1008 時間 新規IGCC 方式 プロジェクト名 (国) 実施主体 燃 料 ガス化炉 GT 出 力 (MW) 当初運開予定 状況 (※) Edwardsport

(米国 IN) Duke Energy (電力) 石炭 GE GE 618(net) 2012 建設中

GreenGen Stage1 (中国 天津) GreenGen (華能電力公司他) 石炭 HCERI Simens 265 2012 建設中 Korea IGCC R&D project (韓国) IGCC RDD&D Organization 石炭 SHELL 不明 380 2016 建設中 CPI- Langfang (中国) China Power Investment 石炭 不明 不明 400x2 不明 FS ※ FS(feasibility study)・・・実行可能性調査

(25)

CO2回収新規IGCC 方式 プロジェクト名 (国) 実施主体 燃 料 ガス化炉 GT 出 力 (MW) 当初運開予定 状況(※) GreenGen Stage2 (中国) GreenGen (華能電力公司他) 石炭 不明 不明 400 +H2 製造 2015~20 FS Kemper

(米国 MS) Mississippi Power (電力) 石炭(褐炭) KBR Siemens 524(net) +duct firing 2014 建設中 DonVALLEY

(英国) TPG capital 石炭 SHELL GE 900 未定 FEED

Tilbury (英国) RWE(電力) 石炭 未定 未定 450 2014 FS CleanHydrogen PowerGeneration (米国 CA) Southern California Edison 石炭 未定 未定 500 2016 FS HydrogenEnergy California (米国 CA) Hydrogen

Energy California Petcoke/ 石炭 MHI(酸素吹き MHI 400 +肥料製造 2017 FEED Texas Clean Energy

(米国 TX) Summit Power (電力) 石炭 Siemens Siemens 400

+ウレア製造 2014 FEED 完了 ※FEED(Front End Engineering & Design)・・・詳細な経済性検討

FS(feasibility study)・・・実行可能性調査 出典:クリーンコールパワー研究所 http://www.ccpower.co.jp/igcc/foreign_situation.html (2) 政策的な観点 インドネシアの石炭は高炭化度の瀝青炭が少なく、亜瀝青炭や褐炭の低品位炭が多い。図 5.2 には低品位炭の一般的性状と利用上の特性を示した。低品位炭は高水分に加え、炭素含有量が低 く酸素含有量が高いため発熱量が低い。また、内部に空隙が多いため表面積が大きいことから、 自然発火性が高い。一方、揮発分が多いことから燃焼性は良好である。さらに、ガス化反応性が 高いことや灰融点が低いため噴流床ガス化には適していることから、将来的には IGCC 発電の原 燃料として利用可能である。 インドネシアは石炭資源を今後の主要エネルギー源とする方針であり、長期的な視点では、低 品位炭を高効率火力発電に利用するニーズが高くなる。低品位炭は IGCC 発電の原燃料として利 用可能であることから、CCT の導入は政策上の観点からも適合する。 また、USC および IGCC の CO2削減価値は SC より高く、CCT の導入は GHG 排出量削減に貢 献する。 表 5.2 インドネシア低品位炭の性状 Coal A B C D

Region S.Kalimantan E.Kalimantan E.Kalimantan S.Sumatra

Moist. (%, GAR) 35 45 45 60 CV (kcal/kg, GAR) 4200 3400 3400 2400 AFT (℃ ; Reducing) Initial Deformation Hemispherical Fluid 1126 1154 1192 1179 1230 1289 1228 1247 1268 1120 1170 1380

Resources (million ton) 1,608 281 9,527 2,000

(26)

図 5.2 低品位炭の性状と利用特性 出典:大高康雄(石炭技術会議 2006) SC USC SC USC USC SC USC SC USC SC IGCC USC SC USC SC SC USC SC USC 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 5.6 Mil T/Y 22.5 Mil T/Y 67.6 Mil T/Y 50.7 Mil T/Y 39.5 Mil T/Y 78.9 Mil T/Y 95.8 Mil T/Y

0.38 Mil T/Y reduction 1.57 Mil T/Y reduction

2.75 Mil T/Y reduction

3.54 Mil T/Y reduction

4.71 Mil T/Y reduction

5.5 Mil T/Y reduction

6.68 Mil T/Y reduction & 8.32 Mil T/Y with IGCC

+1,000MW +3,000MW +3,000MW +2,000MW +3,000MW +2,000MW +3,000MW Additional

Capacity EmissionCo2

IGCC 図 5.3 CCT 導入による CO2 削減量の試算 出典:調査団作成 (3) 経済的な観点 CCT の経済性評価を以下の前提条件のもとで行った。 (a) 熱効率は、石炭熱量の低下に伴い水分量が増加することから、微紛炭機(ミル)における 乾燥用熱量増加に伴う熱効率低下を考慮した。 (b) 建設コスト(IGCC除く)は、2,400/3,000kcal/kgの場合4 (c) IGCC の建設コストは、2,400/3,000kcal/kg の場合でも、ガス火炉の形状に違いがないこと 、褐炭焚き用のボイラ設計となり、 スラッギング防止や火炎温度の低下、保炎確保のため大型火炉を採用する必要があり、ボ イラ容量の大幅な増加を考慮した。 4

(27)

から同じとした。ただし、現在は IGCC の商用機はないため、建設コストは 2020 年時点に おけるメーカーの目標値を用いる。

(d) 今後の石炭価格の上昇を見込み、2020 年の石炭価格は 2011 年の 2 倍とした。

表 5.3 経済性比較の前提条件(建設コスト、熱効率、O&M コスト、石炭単価)

Precondition of cost comparison Sub

Critical SC USC IGCC

Coal Price ($/ton) Gross Power 1,000MW 1,000MW 1,000MW 1000MW Class Y 2011 Y 2020 Plant Efficiency 4,200kcal/kg 36% 39% 42% 49% 53.8 107.6 3,000kcal/kg 33% 36% 39% 45% 31.4 62.8 2,400kcal/kg 30% 33% 36% 42% 21.7 43.4 Construction Cost 4,200kcal/kg 100% (Base) 106.5%. 108.5% 130.0% - -3,000kcal/kg 107.0% 111.0% 115.0% 130.0% - -2,400kcal/kg 110.5% 115.5% 119.0% 130.0% - -Coal Consumption (kg/kWh.net) 100%

(Base) 90% 84% 75% - -O & M cost 2 .5% 3 % 3 % 3.% - -出典:調査団作成 経済性比較は、 Sub-C(亜臨界)、SC、USC 及び IGCC に於ける各々のプラント効率、建設費、 石炭消費量及び運転補修費が違うことから、発電コスト(1kwh 当り)として比較する。 設備コストは資本回収係数を用いプロジェクト期間で均等とした。なお、資本回収係数の算出 条件であるプロジェクト年数、利子率は以下のとおりとした。 (a) プロジェクト年数:30 年 (b) 利子率:12% ここから算出される建設コスト、プラント効率と石炭価格から算出される燃料コストにプラン ト種別により設定した O&M コストを合算し、発電コストを算出した。IGCC については、運転実 績はないものの、メーカからの聞き取り結果をもとに他プラントと同等の 30 年で参考値として評 価した。 経済性比較を図 5.4 に示す。図のうち、左上のグラフは石炭発熱量毎のプラント効率を示して おり、右上のグラフからは 2010 年時点での発電コストの差が確認できる。左下、右下のグラフか らは、2010 年および 2020 年の石炭価格による発電コストの差が確認できる。 2011 年の石炭価格ではいずれの炭種においても、Sub-C および SC と比べて USC の発電コスト は低く、CCT の経済優位性が確認された。2020 年の石炭価格では、価格上昇によりいずれの発電 コストも高くなるが、Sub-C および SC と比べて石炭使用量が少ない USC および IGCC の経済優 位性はより明確となる。

(28)

5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9

Plant efficiency (gross, HHV) by Coal Type

25% 35% 45% 25% 35% 45% 25% 35% 45%

Sub-C SC USC IGCC

Sub-C SC USC IGCC

Sub-C SC USC IGCC

36% 39% 42% 49% 33% 36% 39% 45% 30% 33% 36% 42% 4,200 Kcal/kg 3,000 Kcal/kg 2,400 Kcal/kg Sub-C SC USC Sub-C SC USC Sub-C SC USC 5.88 5.82 5.65 5.70 5.59 5.49 5.64 5.56 5.44 2010 Generation Cost (US cent/kWh)

-2.9% -2.2% -1.8% =△11.3 MUSD/Y =△6.6 MUSD/Y =△7.9 MUSD/Y 4,200 Kcal/kg = 53.8 US$/t 3,000 Kcal/kg = 31.4 US$/t 2,400 Kcal/kg = 21.7 US$/t 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 7 7.5 8 8.5 9 9.5 7 7.5 8 8.5 9 9.5 IGCC IGCC 5.68 5.55

2010 Generation Cost (US cent/kWh)

7 7.5 8 8.5 9 9.5   9.21 8.82 8.44 8.43 8.66 8.25 7.95 7.88 8.46 8.06 7.74 7.55

Sub-C SC USC IGCC

Sub-C SC USC IGCC

Sub-C SC USC IGCC

2020 Generation Cost (US cent/kWh)

-4.3% -4.3% -3.6% -3.6% -4.0% -4.0% =△25.3 MUSD/Y =△19.9 MUSD/Y =△21.3 MUSD/Y 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 5.8 5.9 Sub-C SC USC Sub-C SC USC 5.88 5.82 5.65 5.70 5.59 5.49 5.64 5.56 5.44 -2.9% -2.9% -2.2% -2.2% -1.8% -1.8% =△11.3 MUSD/Y =△6.6 MUSD/Y =△7.9 MUSD/Y 4,200 Kcal/kg = 53.8 US$/t 3,000 Kcal/kg = 31.4 US$/t 4,200 Kcal/kg = 107.6 US$/t 3,000 Kcal/kg = 62.8 US$/t 2,400 Kcal/kg = 43.4 US$/t 出典:調査団作成 図 5.4 経済性比較

(29)

上記の結論に基づき作成した CCT 導入ロードマップを図 5.5 に示す。なお、石炭火力開発量 は、2020 年までは RUPTL の計画値に従い、2021 年からの 5 年間は PLN から入手した情報に基 づき 13,000MW とした。 ロードマップで提案した CCT は、RUKN、RUPTL に反映される予定である。 GHG Target Promotion of CCT PLN (MW) 660 0 1000 600 600 1000 3000 2000 3000 2000 3000 IPP (MW) 1660 2860 2200 2200 0 0 Coal Fired Power Plant (USC&IGCC) Training

GHG △26% Energy Mix (Coal 33%)

1000MW Model P lant (USC) U-1 1000MW Indramayu(USC) U-1

1000MW Indramayu(USC) U-2

3000MW or 2 000MW New Power Plant(USC) Each Year

COD

1000MW Class IGCC x 3

COD

COD COD

SC: Super Critical USC: Ultra Super Critical IGCC: Integrated coal Gasification Combine Cycle COD: Commercial Operation Date

2010 2015 2020 2025

SC

Efficiency 35-40%

USC

Efficiency around 42% IGCC

45-49%

2 X1000MW Central Jawa(USC)

COD

Introduction of CCT O & M On-the-Job TrainingIntroduction of USC O & M On-the-Job TrainingIntroduction of IGCC/A-USC

図 5.5 CCT 導入ロードマップ

(30)

第6章 CCTモデル発電所の検討

現状ではクラッシュプログラムによる石炭火力発電所(大半は亜臨界圧および超臨界圧の蒸気 条件)の建設が進んでいるが、前章までの検討により、今後は大容量で高効率な発電所を建設す ることが、環境影響面(CO2排出削減)及びエネルギー消費量節約の観点から有効であるとの結 論に達し、超々臨界圧(USC)蒸気条件の石炭発電所を適用した 2025 年までの CCT 導入ロード マップを策定した。 本調査では、CCT を適用した次世代の大型高効率石炭火力発電所をモデル発電所として建設す るための予備実行可能性調査(Pre-Feasibility Styudy: Pre-FS)を実施した。

6.1 プレFSモデル発電所地点の選定 モデル発電所建設計画地点は、PLN が RUPTL(2011~ 2020 年)で計画している新規開発地点に リプレース候補地点及び増設候補地点を加えた 11 地点の中から技術面、環境・社会面及び経済性 を総合的に勘案し 1 か所(Bojonegara 地点)を選定した。 モデル発電所の主な仕様は次の通り: (a) 燃料:石炭(低品位炭) (b) 蒸気条件:超々臨界圧 (c) 発電所容量:1,000MWx1 基(但し将来の増設分 1,000MWx1 基を考慮すること) (d) 商用運転開始時期:2021 年 (e) モデル発電所候補地点:ジャワ島 (ジャワ島以外の候補地については将来的にも送電線の系統容量に対する単機容量が非常 に大きいことから投入不可能と判断し対象外とした。 Suralaya

Tanjung Puyut Bojonegara

Muara Karang Muara Gembong Tanjung Pakis

Tanjung Sedari Tanjung Jati B Gresik Tanjung Perak Paiton Suralaya

Tanjung Puyut Bojonegara

Muara Karang Muara Gembong Tanjung Pakis

Tanjung Sedari Tanjung Jati B Gresik Tanjung Perak Paiton 図 6.1 モデル発電所候補地点図 出典:JICA 調査団作成

(31)

6.2 モデル発電所計画の概要 (1) モデル発電所の位置 発電所計画地点は、バンテン州セラン県クラマツワッ郡テラテ村にあるジャバベカ工業団地の 一部に位置しており、その土地は PLN が所有している。南緯 6 度 00 分、西経 106 度 06 分、首都 ジャカルタから西に約 106 km(直線距離で 86km)、車で 2 時間程度の距離である。位置図を図 6.2 に示す。 図 6.2 選定地点位置図 出展:調査団作成 (2) モデル発電所の基本設計 主な設計条件は表 6.1 のとおりである。 表 6.1 モデル発電所 設計条件

No. Name of criteria Unit Data

1 Rated Output MW 1000

2 Number of Unit Unit 1

3 Plant Efficiency (HHV) % 40

4 Plant Capacity Factor/Availability Factor % 80/84

5 Annual Operating hours h/ y 7,358

6 Annual Gross Generation Output GWh/y 7,008 7 Auxiliary power consumption rate % 8.0 8 Annual Net Generation Output (at Main Transformer end) GWh/y 6,447

9 Boiler Efficiency (HHV) % >84

10 Turbine Efficiency % >47

11 Fuel Consumption

a Heating Value of coal (Gross as received) kcal/kg 4,000

b - Per hour (CF=100%) t/h 538

c - Per day (Averaged, CF=80%) t/d 10,400 d - Per month (Averaged, CF=80%) t/month 314,000

e - Per year (CF=80%) t/y 3,767,000

f - Coal storage yard capacity days 36 12 Capacity of Ash disposal area Years 5

出典:調査団作成 Model power plant

(32)

(3) 発電設備主要仕様及びレイアウト (a) ボイラ

• 燃料:インドネシア炭 低品炭 (Low Rank Coal)、補助燃料:軽油 • 蒸気条件:USC(605/623°C) • ボイラ型式:微粉炭専焼 超々臨界圧貫流ボイラ • その他仕様:屋外式一部屋根付き、平衡通風、縦型ミル、低 NOx バーナ、2 段燃焼 (b) タービン • 蒸気条件 : USC(600/620°C) • タービン型式 : TC4F 串型 4 流排気、 再熱再生復水式 回転数 : 3000rpm (c) 発電機 • 型式:回転界磁型 • 冷却方式:水素直接冷却(回転子)、水直接冷却(固定子) • 容量:1,250 MVA (定格) • 力率:0.8 (詳細は、FS 実施時とする) • 回転数:3,000 rpm • 周波数:50Hz (d) Balance of Plant (BOP)

主機と呼ばれるボイラ、タービン、発電機以外の設備は Balance of Plant(BOP)と呼ばれ、 水処理設備、排水処理設備、環境対策設備等が含まれる。以下に主な BOP 設備を示す。 • 水処理設備 : 海水淡水化装置、純水製造装置 • 排煙処理設備 :電気集塵機、脱硫装置(海水 FGD) ※ 脱硝装置:非設置(現状設計炭)、低 NOx バーナ+2 段燃焼により排出基準を満たすた め、最終的には FS 段階において拡散シミュレーションを行った後に設置判断を行う ことが必要。 • 排水処理設備 : 総合排水処理装置 • 運炭設備 : 受入ベルトコンベヤ、払出ベルトコンベヤ、貯炭場(消化設備、発火防止 設備を含む)、スタッカー、リクレーマー等 • 揚炭設備および桟橋 : 揚炭機(アンローダ)、揚炭桟橋(Unloading Jetty)、桟橋(Trestle) • 灰処理設備 : ボトムアッシュ(クリンカ)回収設備、フライアッシュ回収設備、フライ ア ッシュ貯蔵設備 • 灰捨て場 : 管理型灰捨て場(5 ヵ年容量) ※ 石炭灰は、セメント混和材としての需要があるため有償または無償にて外部に引 取って貰うことが前提であり、実需要については FS 段階において更なる調査が必要。 • 冷却水設備 : 海水冷却水設備(取水口、取水配管、循環水ポンプ、放水配管、放水口) (4) 発電設備概略配置図 発電所予定地にボイラ・タービン他主要設備、灰捨て場及び貯炭場を配置すると次のよう

(33)

になる。

図 6.3 General Plant Area layout

出典:調査団作成 6.3 環境社会配慮(初期環境評価の支援) モデル発電所計画について、プレ FS 調査の実施に合わせて、初期環境調査・評価を実施した ので、以下に、その結果の最重要項目を要約した。 (1) 重要な関連計画(国土空間管理計画) インドネシアの環境影響評価は、地方政府が管轄する。大規模設備の立地に関しては、管轄地 方政府の上位計画、特に国土空間管理計画(Spatial Plan)との整合性が重要になる。ボジョネガ ラを管轄するバンテン州とセラン県の当該計画は、本計画候補地について、次のような方針を示 している。 (a) バンテン州の国土空間管理計画

 国の国土空間管理計画(National Spatial Plan)と中期開発計画(2009-2014)がインドネ シア全土から指定した 5 つの経済特区(KEK)のひとつが、計画候補地のある Bojonegara 経済特区で、バンテン州の国土空間管理計画でも 2011 年に承認している。  沿岸部と河川境界のグリーンベルト帯の保全を重視している。 (b) セラン県の国土空間管理計画  計画候補地のある Bojonegara 経済特区は、セラン県の国土空間管理計画も 2011 年に承認 した。

図  1.1  調査スケジュール Period2011 20124567891011121234 5 6 7Study stageWork in IndonesiaSteering CommitteeSeminar・Site Reconnaissance Study・Environmental and Social ConsiderationStudy・Potential StudyCP TrainingOutcomePeriod201120124567891011121234567Study stageW
図  5.2  低品位炭の性状と利用特性  出典:大高康雄(石炭技術会議 2006) SC USC USC SC USCSCUSCSC USCSC IGCCUSCSCUSCSCSCUSCSCUSC 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 20255.6 Mil T/Y22.5 Mil T/Y67.6 Mil T/Y50.7 Mil T/Y39.5 Mil T/Y78.9 Mil T/Y95.8 Mil T/Y
表  5.3  経済性比較の前提条件(建設コスト、熱効率、O&M コスト、石炭単価)
図  5.5  CCT 導入ロードマップ
+3

参照

関連したドキュメント

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

2月 1月 12月 11月 10月 9月 8月 7月