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日本調理科学会誌 Vol. 47 No. 6(2014) ことから Him の毒性を高める 20) このためチーズなど Him を多く含む食品の摂取には注意を払う必要があるとされている Him はアレルギー様食中毒の原因物質として古くから知られており 9,11,15),Him の毒性は,Him 単独

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食品に含まれるアミン類

井 部 明 広*

§

Akihiro Ibe

* 実践女子大学生活科学部食生活科学科

(Department of Food and Health Science, Jissen Women’s University)

§ 連絡先 E-mail:[email protected] 1. はじめに  我々は日常食べている食品から各種のアミン類を摂取し ている。食品に含まれるアミン類の由来は,原料である動 植物の生体成分1-7)であり,また,食品の製造工程や保管の 際に微生物等により生成されたものである。特に食品が腐 敗する際に腐敗菌によって生成される不揮発性の腐敗アミ ン類は,古くからプトマイン食中毒,ヒスタミン(Him) などによるアレルギー様食中毒として食品衛生上重大な問 題とされてきた8-11)。これら食中毒を起こすアミン類は食品 が腐敗する際にタンパク質の分解を経て,微生物によるア ミノ酸の脱炭酸反応によって生成される6,10,12)。しかし,腐 敗に限らず,発酵食品では,製造過程中発酵に関わる微生 物の持つ脱炭酸酵素によって産生されたアミン類を比較的 多く含む6,7,13-16)。食品中のアミン類は少なからず生体に影 響を及ぼすことが懸念される。本稿では食品,特に発酵食 品を主にアミン類の含有実態について述べる。 (1) アミン類  アミンとは-NH2,=NH,≡N と炭化水素をもった含窒 素化合物を指し,一般には食品が腐敗する際に微生物に よってアミノ酸から産生される。アミノ酸の脱炭酸反応と 生成されるアミンを図 1 に示した。  また,生体内においても,種々のアミノ酸から生成され る。生体内のアミン類は,特に生体にとって重要な生理活 性物質であり,そのうち神経伝達物質としてアドレナリン, コリン,セロトニン,ドーパミンなどが知られ,血圧,心 拍数,血糖値の増減やヒトの感情,行動力を左右すること が知られている。 (2) 食品中のアミン類  食品中のアミンが問題となるのは,Him によるアレル ギー様食中毒の他,発酵食品中のアミン類が,喫食した人 に対して種々の害作用を及ぼす可能性があることである。  発酵食品中のアミン類の中で特に問題になるのが,Him やノルアドレナリンとよく似た構造を持つチラミン(Tym) といった,人に対し強い生理活性を持つアミン類である。  1901 年腐敗した食物中の血圧上昇原因物質として, Tym,イソアミルアミン(iso-Am)及びフェネチルアミ ン(Phm)が確認された7)。これらは同じく食品に含まれ るトリプタミン(Tpm)と共に神経系の活性物質として, また,高血圧をひきおこすイニシエーターとして知られる ようになった。さらに,Tym,Phm は抗うつ剤などある種 の薬品を服用している患者,あるいは感受性の高い人には 高血圧や,片頭痛等を引き起こす原因となることも知られ ている6,7,13-15,17)  これは Tym の場合,交感神経の末端に働き,ノルアド レナリンをシナプスの間隙に遊離させ,交感神経を興奮さ せるためである。つまり血管収縮作用により血圧上昇や片 頭痛の原因となる。Tpm や Phm も同様の作用があるとい われている7,13)。通常遊離したノルアドレナリンは生体内の モノアミンオキシダーゼにより分解され作用は消失する。 しかし,抗うつ剤であるモノアミンオキシダーゼ阻害薬 (MAOI)を服用している患者が,Tym を多く含むチーズ を喫食することで高血圧,心悸亢進など重篤な症状に陥い る16,17-19)。これは MAO により分解されるべきノルアドレ ナリンが残存し,交感神経への作用を増強したことによる。  現在わが国で使われている MAOI は,抗悪性腫瘍薬とし て塩酸プロカルバジン,パーキンソン病治療薬として塩酸 セレギリンが認可されており,これらを服用している患者 には Tym を含む食品の摂取には十分注意するよう指示が されている20)。また,わが国でも現在よく使われている抗 結核薬のイソニアジドも MAO 阻害作用があり Tym の毒 性を発現するばかりか,ヒスタミナーゼ阻害作用を有する 図 1.  アミノ酸の脱炭酸反応と生成されるアミン アミノ酸 ⇒ アミン グリシン ⇒ メチルアミン ヒスチジン ⇒ ヒスタミン チロシン ⇒ チラミン オルニチン ⇒ プトレシン トリプトファン ⇒ ⇒ トリプタミン カダベリン リジン

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ことから Him の毒性を高める20)。このためチーズなど Him を多く含む食品の摂取には注意を払う必要があるとされて いる。  Him はアレルギー様食中毒の原因物質として古くから知 られており9,11,15),Him の毒性は,Him 単独よりも腐敗し た食品等を摂取した時の方が強いといわれている。それは, 腐敗時 Him と同時に産生される不揮発性アミン類である Tym,Put,Cad,スペルミジン(Spd),スペルミン(Spm), Phm 等が Him を解毒する酵素を阻害するためといわれて いる15,21)。さらにこれらアミン類の共存により腸管からの Him の吸収を増加させるため,その毒性を高めるとの報告 もあり22),アミン類単独の毒性ばかりでなくアミン相互に よる毒性の相乗相加作用も懸念されている。アレルギー様 食中毒では Him ばかりが注目されるが,食品に同時に存在 する他のアミン類にも注意がおかれるべきである。これら のことから食品に含まれる各種アミン類の含有量を把握す ることは食品衛生上重要である。 (3) 魚介類およびその加工品中のアミン含有量  毎年食中毒として報告されるアレルギー様食中毒の原因 物質は Him である。本食中毒のほとんどすべてが海産魚類 の加工品によって発生している。その原因がヒスチジン脱 炭酸酵素をもった海洋細菌で,食品の加工製造中,あるい は保管中にそれらの細菌が繁殖したことによる。しかしな がら,もともと海産魚類はこれら細菌に汚染されているこ とから,それらの加工製品では中毒に至らないまでも往々 にして Him の含有が観察される。表 1 に都内で市販されて いた海産鮮魚及び魚介類加工品について調査した結果を示 した23)  鮮魚では 73 件中 1 件から 160 ppm の Him が検出された。 しかし,鮮魚として流通しているものから Him を検出する ことはほとんどない。加工品では,ひものの約 15%から Him および他のアミン類が高頻度で検出された。これらの Him 含有量は摂取量にもよるが,中毒発症量に十分達する ものである。ひものの中ではウルメイワシの丸ぼしなどイ ワシ類を原料としたものに含有率および含有量が高い。そ の他の食品で Him 等が検出されたものは,練り製品,佃 煮,ふりかけ,塩辛であった。本来原料である鮮魚にはこ れらアミン類を含まないことから,加工,保存中の温度管 理の不備によって生成したものである。ひものの場合,長 時間屋外で陽に当てることから,そこに産生菌が生残して いると生育には好条件で,これらアミン類生成の確率が高 くなると思われる。  また,ふりかけからも Him および Tym が検出されてい るが,これは原材料に含まれるカツオに由来すると考えら れる。 (4) 発酵食品中のアミン類含有量 1) チーズ  チーズでは外国においてナチュラルチーズの Tym およ び Him について多くの報告があり6,7,13-15),代表的なチ-ズ についてその含有量を表 2 に示した。  Tym および Him の含有量はチーズの種類によって異な り,Him で 0~2,600 μg/g,Tym で 0~2,170 μg/g の 範 囲にある。また,国内で市販のチーズでは,Tym について 竹葉24)らの報告があり,表 3 に示した。  国産ナチュラルチーズは輸入品に比べて検出率,含有量 ともに低いが,プロセスチーズと比べると含有量は高い。 しかし,プロセスチーズでは 100%検出している。これは プロセスチーズが各種のナチュラルチーズを混合するため である。輸入のエメンタルチーズでは 3,000 μg/g を超え るものがあり,ナチュラルチーズの場合,極端に高い含有 表 1.  東京都における市販鮮魚及び魚加工品中のアミン類含有量(1999-2003)23) ppm 試  料 件数 ヒスタミン チラミン プトレシン カダベリン スペルミジン 検出数 含有量 検出数 含有量 検出数 含有量 検出数 含有量 検出数 含有量 鮮魚  73  1 160  0 ―  0 ―  1 90 0 ― 味付け生魚   7  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― ひもの 337 52 60-3,400 35 50-510 25 50-420 60 70-1,800 5 50-80 味付けひもの類   5  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― くさや   4  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― 煮干し  10  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― しらす干し   5  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― 練り製品  78  5 70-340  1 230  0 ―  3 50-700 0 ― 酢漬け   4  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― 佃煮  11  1  80  1  50  0 ―  0 ― 0 ― なまり節   5  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― 鰹節   7  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― だし   7  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― ふりかけ  15  6 50-820  6 50-480  1 60  0 ― 0 ― 缶詰  66  0 ―  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― 塩辛   3  1 120  0 ―  0 ―  0 ― 0 ― - <50 ppm

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有量は 10 μg/mL 以下と低かった。  赤ワインと白ワインを比べると,総体的に含有量は白ワ インより赤ワインの方が高い傾向が認められた。これはそ れぞれの原料に用いるブドウの種類に違いはあるものの, 白ワインでは果皮を除いた果汁のみを醸造原料に用いてい るのに対して,赤ワインでは果皮を含めて醸造に用いてい る違いが現れているものと思われた。すなわち Buteau26) ら,Ough27)らはワイン中のアミンは主に発酵中酵母ある いは乳酸菌によって産生されることを示唆しているが,こ のことからも果皮に付着したアミン産生菌の混入の確率が 高いため,赤ワインではアミン含有量がより比較して高く なったものと考えられた。 3) 紹興酒  紹興酒について市販品の各アミン類含有量を表 5 に示し た28)  44 検体中ほとんど全てから Tym 及び Put が検出され, 他のアミンに比べ高い検出率,含有量を示した。検出され たものの平均含有量は Tym で 38.0,Put で 17.7 μg/g で あった。Him は検出率では約 30%と低いものの平均含有量 は 9.2 μg/g と Tym,Put に次いで高い値を示した。これ らの値はワインと比べても高く,特に Tym については平 均値で紹興酒が赤ワインの約 20 倍高い含有量を示した。紹 興酒の製造原料にはうるち米,小麦を主に薬草などが用い られる。薬草中の Tym の有無は不明であるが,原料から Tym,Him が由来するとは考えにくく,醸造中微生物によ り生成されたものと思われる。日本酒と比べて利用する微 生物の種類,管理方法及び醸造法が異なることから,アミ ン産生菌が混入する確率が高いことが考えられた。日本酒 については分析数が少なく明言できないが,アミン産生菌 が分離されること29,30)から Tym が検出される可能性はあ るが,筆者の分析した範囲では検出されていない(未発 表)。 4) ビール  市販の輸入ビールおよび国産ビールについて各アミン類 含有量を表 6 に示した31)  輸入ビールでは 98%以上の検出率で Tym,Put,Cad が 検出され,次いで Spd,Spm,Him の順で検出率が高かっ た。Phm はいずれからも検出されなかった。含有量は Tym,Put が他のアミンに比較して高かった。ただし Tym で は含有量に製品間の差が大きく 56.8 μg/g を最高に 10 μg/ 表 2.  チーズ中のヒスタミン及びチラミン含有量7) (μg/g) チーズ ヒスタミン チラミン チェダー 0-1,300   0-1,500 カマンベール 0-480  20-2,000 コルビー 0-500 100-560 ゴーダ 0-850  20-670 モッツアレラ 0   0-410 ブルー 0-2,300  27-1,100 パルメザン 0-58   4-290 スイス 0   0-1,800 エダム 0 300-320 スティルトンブルー 0 460-2,170 その他 0-2,600   0-660 表 3.  国内市販のチーズ中のチラミン含有量24) (μg/g) 検体数 検出率 平均値 最大値 国産 ナチュラル 127  48%  37.6  416.7 プロセス  62 100%  19.0  135.0 輸入 ナチュラル 336  88% 195.6 3,210.4 (エメンタール)  20 100% 790.1 3,210.4 表 4.  ワイン中のアミン類含有量25) (μg/ml) 赤ワイン n=32 白ワイン n=43 アミン 範囲 平均値 範囲 平均値 トリプタミン    0-0.38 0.08    0-0.14 <0.10 フェネチルアミン 0.18-5.18 1.34    0-10.4   2.26 iso-アミルアミン 0.08-11.8 1.95    0-31.5   5.11 n-アミルアミン 0 ― 0 ― プトレシン 0.74-28.6 4.84 0.11-10.4   1.20 カダベリン 0.03-0.48 0.22    0-0.38   0.06 ヒスタミン  0-10  1.9   0-9.9  1.1 チラミン 0.13-9.51 1.87    0-7.80   0.98 スペルミジン    0-0.81 0.16    0-0.34   0.04 表 5.  紹興酒中のアミン類含有量28) (μg/g) チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン 範囲 ND-99.6 ND-28.0 ND-7.2 1.8-48.7 ND-17.1 ND-3.0 ND-0.4 平均値 38.0  9.2  2.5    17.7  4.1  0.7  0.2 検出率(%) 97.7 29.5 56.8 100 95.5 81.8 22.7 ND <  0.5  1  0.2     0.1  0.1  0.1  0.1 n=44 量を示すものがあることから注意が必要である。 2) ワイン  市販の赤ワイン及び白ワインについて輸入品を主に含有 量の調査を行った。表 4 にその調査結果を示した25)  ワイン全体を通して n-Am を除いてすべてのアミン類が 検出された。このうち比較的含有量が高かったのは Phm, iso-Am,Put,Him,Tym であった。しかし,いずれも含

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g を超えたものが 5 検体あったものの,その他はほとんど が平均値前後の低い値であった。Him では検出率は低いな がらその含有量の平均値は 2.3 μg/g と Cad の 2.8 μg/g と 同程度であった。また,Tym のように銘柄によって含有量 に差はみられたが,特に生産国の違いによる含有量の差は 認められなかった。  国産ビールでは輸入品とほぼ同様のアミン類を検出し, Tym,Put 及び Cad はすべてから検出され,次いで Spd, Spm の順で検出率が高かったが,Him 及び Phm,は全く 検出されなかった。輸入ビールで比較的高かった Tym 含 有量は国産ビールでは平均値 1.1 μg/g と輸入品に比べ低 い値を示し,特に含有量にメーカーおよび製品による大き な差はみられなかった。  これらのことから,同じビ-ルでも発酵に用いる微生物 や原料を含めた醸造法の違いによりアミン含有量に差が現 れることが示唆された。 5) 味噌  市販の味噌について,各アミン類の含有量を調査した結 果を表 7 に示した28,32)  表示に従って米味噌,麦味噌,豆味噌,及び白味噌に分 けてそれぞれ示した。米,麦味噌ではすべてのアミン類が 検出されたが,豆味噌では Him が,また,発酵,熟成をほ とんど行わない白味噌では Tym,Him 及び Phm は検出さ れなかった。白味噌を除いた味噌の Tym の含有量は平均 値で 92.6~154 µg/g で Him を除く他のアミンに比べて高 く,検出率も 67~82%と Him,Phm に比べ高かった。ま た,米味噌ではTymが 1,000 μg/gを超えるものもあった。 Him は米,麦味噌にのみ検出され検出率は少ないながら, 米味噌では Tym と同じく高い含有量を示した。  これに対し Put,Cad,Spd,Spm の 4 者は全体的に検出 率は高いが,含有量は Tym,Him の約 1/2~1/100 と低い 値を示した。これら 4 者のアミンはいずれの味噌からも一 様に検出され,原料からも同レベルで検出されたことから, それらのほとんどが原料由来と考えられた。これらのこと から原料にない Tym,Him,Phm は発酵中,微生物の働 きに起因するものと推察された。 6) 醤油  市販の濃口及び淡口醤油について,各アミン類の含有量 を調査した結果を表 8 に示した28,32)  濃口,淡口醤油全てから 7 種のアミン類を検出した.味 表 6.  輸入及び国産ビール中のアミン類含有量31) (μg/g) チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン 輸入ビール(n=53) 範囲 ND-56.8 ND-9.0 ND 1.8-12.9 ND-45.9 ND-1.5 ND-18.9 平均値   4.5   2.3 ND  4.3  2.8  0.4  0.2 検出率(%)  98.1  20.1 0   100 98.1 86.8 49.1 国産ビール(n=15) 範囲 0.8-1.6 ND ND 2.9-6.6 0.2-25.5 ND-0.6 ND-0.1 平均値   1.1 ND ND  4.4  2.0  0.3  0.1 検出率(%)   100 0 0   100   100 73.3 13.3 ND <   0.5 1   0.2  0.1  0.1  0.1  0.1 表 7.  味噌中のアミン類含有量28,32) (μg/g ) チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン 米 範囲 ND-1,011 ND-492 ND-158 ND-134 ND-48.0 ND-39.3 ND-14.8 平均値 154 167 22.7 23.1  4.0  8.2  2.8 検出率(%)  82.3    22.9 27.1 95.8 75.0 85.4 43.7 麦 範囲 ND-508 ND-127 ND-16.0 9.1-241 ND-49.7 ND-3.7 ND-1.0 平均値 146 - 12.1 56.9 22.8  2.1 ― 検出率(%)  71.4    14.2 28.6   100 57.1 71.4 14.2 豆 範囲 ND-147 ND ND-25.6 2.6-12.3 ND-2.3 2.5-16.2 ND-2.6 平均値  92.6 ― ―  8.2  1.9 10.1  2.4 検出率(%)  66.7 ND 16.7   100    50    100    50 白 範囲 ND ND ND 16.5-143 ND-15.3 ND-33.5 ND-8.6 平均値 ― ― ― 60.4  6.8 14.4  3.4 検出率(%) ND ND ND   100 66.7 83.3 66.7 ND <   5  20        2     1     1      1     1 米:米味噌 n=96, 麦:麦味噌 n=7, 豆:豆味噌 n=6, 白:白味噌 n=6

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表 8.  醤油中のアミン類含有量28,32) (μg/g ) チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン 濃口 範囲 ND-1,320 ND-827 ND-231 7.5-236 ND-17.1 ND-33.5 ND-6.2 平均値 416 219 32.0  49.1  5.9  12.1  2.1 検出率(%)  97.9  95.8 95.8 100 81.3  93.8 72.9 淡口 範囲 10.9-501 ND-286 ND-22.2 ND-69.8 ND-17.1 3.3-19.1 ND-3.1 平均値 240 156 16.2  42.8  8.4  10.0  1.9 検出率(%) 100  66.7 50  83.3 66.7 100 83.3 ND <   5  20  2   1  1   1  1 濃口:濃口醤油 n=48, 淡口:淡口醤油 n=6 噌同様に Tym 及び Him の含有量が他のアミンに比べ高く, 平均値で濃口醤油はそれぞれ 416,219 μg/g,淡口醤油は 240,156 μg/g であり,両者を比べると濃口の方が含有量 は高い傾向がみられた。これは淡口醤油が濃口に比べ塩分 も濃く,より低温で熟成されることから,アミンを産生す る微生物の働きに影響を及ぼしていると思われる。  一方,Put,Cad,Spd,Spm の 4 者は濃口,淡口醤油共 に含有量及び検出率に差がみられず,醤油の場合も味噌と 同様これらのアミンは原料由来と考えられ,検出された Tym,Him,Phm は発酵中に生成したものと考えられた。 7) 魚醤油  市販のナンプラー,ニョクナムなど輸入魚醤油,および しょっつる,いしる,魚醤など国産品について,アミン類 の含有量を調査した。その結果を表 9,その一部を表 10 に 示した33)  魚醤油とは魚介類を原料として通常食塩濃度 15~20%前 後の高塩濃度下で 1~2 年間発酵し得られる液状食品をい い,イカの塩辛のようなペースト状のものは魚醤という。  Tym は輸入品では,すべてから 11~920 μg/g,国産品 ではしょっつるの 2 検体を除いて 12 検体すべてから検出 表 9.  輸入魚醤油中のアミン類含有量33) (μg/g ) 製品 チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン ナンプラー等 20 28 ND 41 83 5.9 3.1 (タイ) ― ― ― ― ― ― ― n=25 200 170 28 330 560 21 14 ニョクナム等 11 ND ND 4.3 73 8.7 4.6 (ベトナム) ― ― ― ― ― ― ― n=5 920 83 74 260 530 21 14 その他 26 ND ND 11 21 5.6 2.8 (韓国 フィリピン 中国等) n=11 ― ― ― ― ― ― ― 490 310 72 630 1,000 15 6.9 ND: Not deteded 表 10.  国産魚醤油中のアミン類含有量33) (μg/g) 製品 チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン しょっつる ND ND ND ND ND 2.1 ND n=4 ― ― ― ― ― ― 14 36 9.2 24 8.9 3.5 いしる 76 ND 1.5 27 260 7.0 9.8 n=4 ― ― ― ― ― ― ― 1,700 380 78 1,600 2,800 24 65 魚醤 850 130 85 600 18 4.0 1.2 n=4 ― ― ― ― ― ― ― 1,200 180 270 1,600 3,300 12 7.4 ND: Not detected

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し,その含有量は ND ~1,700 μg/g と幅が広く,製品に よって差が大きかった。  Him は輸入品ではほとんどすべての検体から ND ~310 μg/g 検出され,その 75%は 100 μg/g 以上で最高 310 μg/ g を示すものがあった。国産では検出するものと,全く検 出しないものがあり ND ~380 μg/g の範囲で検出した。  また,比較的含有量の高かった Cad は輸入品で 21~ 1,000 μg/g,国産品で ND ~3,300 μg/g,同じく Put はそ れぞれ 4.3~630 μg/g,ND ~1,600 μg/g であった。  原料の魚介類は,輸入品ではほとんどがイワシ類であり, 国産品ではしょっつるはハタハタ,その他ではイカ,サバ, イワシ,タイ,サケと様々であった。原料の魚中の各アミ ン濃度は明らかではないが,比較的含有量が高く,含有量 に差が大きい Him,Tym,Cad,Put については発酵製造 中に耐塩性の各種微生物の関与によって産生されたものと 思われた。 (5) Tym 及び Him の摂取とヒトへの影響  以上,魚介製品および各種発酵食品についてアミン類の 含有量を述べてきた。次に,これら発酵食品からのアミン 類摂取によるヒトへの影響について述べる。  平成 24 年における国民一人 1 日当りの摂取量は全国平均 で味噌 10.9 g,醤油 13.4 g,チーズ 2.7 g,ワイン等洋酒 29.7 g,ビール 62.8 g となっている34)  仮に一度に Tym が 1,000 μg/g の濃度の味噌,醤油を 1 日平均摂取量を取ったとすると,味噌で 10.9 mg,醤油で 13.4 mg の Tym を摂取することになり,MAOI 服用者で は十分発症のレベルである 6 mg 以上に達する。しかし,こ れは高濃度のものを一度に食べた場合のことで,実際には 一日の間で分散して摂取することから,少なくとも健常者 において味噌,醤油では問題にならないと考えられる。 チーズでは 1 日平均摂取量が味噌,醤油より少ないとはい え,食べる人,食べない人との平均であって,人によって は一度に食べる量は味噌,醤油よりも多い。チーズは 3,000 μg/g を超えるものもあることから注意を要する。仮 に 50 g 食べると 150 mg の Tym を摂取することになり, 健常者でも何らかの影響が出るかもしれない。Him であれ ば中毒量である。  ワイン,紹興酒及びビールでは,アミン含有量レベルが 人体に影響を及ぼすか否かについて,アルコールを同時に 摂取することから一概に論じられない。しかし,Tym およ び Him の最高値が赤ワインでそれぞれ 9.51,10 μg/ml で あり,輸入のビールでそれぞれ 56.8,9.0 μg/g である。 チーズや味噌,醤油と比べていずれも低い値ではあるが, 酒類は飲酒量に個人差があり,一度に摂取する量はチーズ よりも多い場合もある。健康な人では問題にならないと思 われるが,MAOI 等の医薬品服用患者には発症に十分であ る。  一方,Him の毒性発現は 70 mg 以上といわれており13) 摂取量は少ないが Him の毒性を高めるといわれている Put その他のアミンも存在することから,なんらかの影響があ ることも考えられる。また,アルコールとの共存も毒性発 現に対して不明なことから今後検討の余地がある。 2. おわりに  食品中のアミン類含有量についての調査研究は十分とは 言えない。それはアミン類のヒトへの影響が,ヒスタミン による食中毒以外に問題となる例がほとんどないためであ る。しかし,一部の医薬品の注意書きには古いデータを基 に食品の摂取に関して注意喚起がされているのを見るにつ け,あらためてこれらを含め種々の食品群について不明な 部分を明らかにすることが必要と思われる。食品の安全性 はそれらの含有量を知り,摂取量からリスクを評価するこ とが大事である。アミン類についてもデータの蓄積がさら に必要と考える。 文  献 1) 松本知子,彼谷俊夫(1982),農化,56,209-212 2) Walter, H. J. P. and Geuns, J. M. C. (1987), Plant Physiol.,

83, 232-234

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表 8.  醤油中のアミン類含有量 28,32) (μg/g ) チラミン ヒスタミン フェネチルアミン プトレシン カダベリン スペルミジン スペルミン 濃口 範囲 ND-1,320 ND-827 ND-231 7.5-236 ND-17.1 ND-33.5 ND-6.2平均値41621932.0 49.1 5.9 12.1 2.1 検出率(%)  97.9  95.8 95.8 100 81.3  93.8 72.9 淡口 範囲 10.9-501 ND-286 ND-22.2 ND-69.8 ND-17

参照

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