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学位論文題名 Induction of Plasminogen Activator Inhibitor-lin Endothelial Cells by Basic Fibroblast Growth Factor and its IN/Iodulation by Fibric Aced

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 金 子 壮 朗

     学位論文題名

    Induction of Plasminogen Activator Inhibitor‑l in Endothelial Cells by Basic Fibroblast Growth Factor     and its IN/Iodulation by Fibric Aced

(血管内皮細胞におけるbFGF のPAI‑1 発現誘導、

     及びフ ィブリン酸の影響に関する研究)

学位論文内容の要旨

    L  背  景

  動 脈 硬 化症 の 発 症、 進 展 にお いて慢 性炎症機 転と血 栓制御機 構との関 係が注 目される 。 PAl‑1 (plasminogen activator inhibitor type‑l)は血液線溶系でt‑PA(組織プラスミノゲンアク チ ベー 夕 ) ,u‑PA( ウ ロ キナ ーゼ プラス ミノゲン アクチ ベー夕) に対し 阻害的に 作用し、

プ ラス ミ 丿 ゲン が プ ラス ミ ン に変 換 す る系 を 抑 制 する こ と によ り 、 線溶 系 を 抑制 す る。

PAI‑1は動 脈 硬 化巣 や バ ルー ン 傷 害後 の 新 生 内膜 ( 血 管内 皮細胞 、平滑 筋細胞) で豊富に 発 現し 、 動 脈硬 化 領 域で の 易 血栓性 に関与す る。また 肥満、 糖尿病、 高脂血 症、不安 定狭 心症の 患者で血 中、PAl‑1濃度の 増加を 認める。PAI‑1の 増加は細 胞外マトリクスの集積を促 進 す る こ と に よ り 内 膜 肥 厚 の 形 成 に 関 与 し 、 動 脈 硬 化 を 促 進 す る と 考 え ら れ る 。   塩基性線維芽細胞増殖因子basic fibroblast growth factor (bFGF)はマクロファージ、血管 内 皮細 胞 、 平滑 筋 細 胞か ら 産 生され 、血管内 皮細胞の 増殖、 遊走、及 び平滑 筋細胞の 増殖 を 促進 し 、 内皮 細 胞 傷害 後 の 修復 に 関 与す る と と もに 、 著 明な 血 管 新生 作 用 を有 す る。

  高脂血 症治療 薬Fibric acid(フィブ リン酸) は患者 血中PAI‑1゛レベルを低下させる。核 内レセプターPeroxisome proliferator activated receptor‑a (PPARa)はりガンドであるフィブ リ ン酸 に よ り活 性 化 され る 。PPARaの 活 性 がPAl‑1の 発 現 にど の よ うな 影 響 を与 え るか は 確認されていない。

    II.  目  的

  本研 究 の 目的 は 、 血管 内 皮 細胞 に お ける 線 溶 系 の生 理的調節 分子PAl‑1の発現 に細胞 増 殖 因 子bFGFが 関 与 す る 分 子 機 構を 明 ら かに し 、 更にPPARaを 活性 化 す るフ ィ ブ リ ン酸 が PAI‑1の 発現 に ど のよ う な 影響 を 与 える か を 検 討す る 。

    ni.  方  法

  細 胞 はヒ ト 臍 帯静 脈 血 管内 皮 細 胞(HUVEC)、 ヒト 臍帯 静脈血管 内皮細 胞株(ECV304)を 使 用 し た 。 こ れ ら の 細 胞 をbFGF(0.1―100ng/ml)で 刺 激 し、PAl‑1の 発 現変 化 をmRNAレベ ル(Northern blottingX及ぴ蛋白レベル(Western blotting)で検討した。細胞内シグナル伝達系 を 調 ぺ る た め 、bFGF刺 激1時 間 前 に 各 種inhibitorを 投 与 し 、mRNAレ ベ ル でPAI‑1の 発 現変 化 を 測定 し た 。PAI‑1の ブ ロモ ー 夕 領域 で の 活 性変化を ルシフェ ラーゼ アッセイ によ

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り検討 した。プ ロモー 夕領域で の転写 因子活性 同定のため、5'deletion mutantを作成し発現 調 節領 域 を 解析 し た 。ま たPAl‑1プロ モ 一夕のEts‑l様蛋 白結合 領域にpoint mutationを施 し たべ ク タ ーを 作 成 し、PAI‑1の 活性 変 化 をル シ フ ウ ラー ゼ ア ッセ イによ り測定 した。転 写因子Ets―1様蛋白の核内移行及び転写領域への結合をElectrophoretic Mobility Shift Assay

(EMSA)に よ り 検 討 し た 。PPARaを 活 性 化 す る フ ィ プ リ ン 酸 で 前 処 置 し た 場 合 のPAl‑1 発現変化を転写レベル、mRNAレベル、蛋白レベルで検討した。

    IV.  結  果

  HUVECをbFGF(100ng/ml)で 刺 激 す る と 、PAl‑1のmRNA発 現 は 増 加 し た 。 培 養 上 清 中 の蛋 白 発 現変 化 は 、bFGF刺 激 (O.1‑10ng/ml)で 容量 依存性 にPAl‑1蛋白の発 現増加 を認 め た 。ECV304を 用 い た 場 合 もPAI‑1のmRNAはbFGF刺 激 に 対 し 容 量 依 存 性 に 発 現 増 加 を 認め 、 培 養上 清 中 の蛋 自 発現もbFGF 10ng/mlまで容 量依存性 に増加 を認めた 。次に、 細 胞内シグナル伝達系を調ぺた結果extracellular signal‑regulated protein kinase(ERK) kinase のinhibitorであるPD98059によ りPAI・1の 発現は 抑制され た。しか し、PKC inhibitorであ るGF109203Xや 、 チ ロシ ン キ ナー ゼ のinhibitorであ るgenisteinで は明らか な抑制 は認め な かっ た 。 また 、actinomycinDを 用いbFGFに よ るPAI−1mRNAの 半 減 期を 調 べ たが 、bFGF は明らかにmRNAの変性には影響は与えていなかった。

  ヒ トPAI‑1プロ モ ー 夕領 域に おいてPAI‑1発現 に関与 する転写 因子同 定のため 、deletion mutantを 作 成 し未 刺 激 状態 でのル シフウ ラーゼ活 性を測 定した。‑313bpまでル シフェラ ー ゼ活性 が上昇し 、それ より短い べクタ ーでは活 性が減少 した。bFGF 10ng/mlで刺激すると、

全 長(Full)で は約1.7倍 の 活 性上 昇 を 示し た 。 ペ クタ ーを 短くして いくと‑260bpでbFGFに よ る活 性 上 昇が 消 失 した 。 以 上よ り‑313か ら‑260bpの 間 にbFGFに よ る 活性 上 昇 部位が 存 在する と考えら れた。 この領域 にあるEts‑l様転 写因子 結合領域 のoligonucleotidesを 用い てEMSAを 行 っ た 結 果 、bFGF刺 激 に よりEts‑l様 蛋白 の 転 写領 域 へ の結 合 増 加を 認 め た 。 またEts‑l様蛋白 結合領 域にpoint mutationを 加えた べクター を用い たプロモ ータアッ セイ では、bFGFで刺激しても活性上昇は認められなかった。

  転 写 因 子を 修 飾 する 、 とさ れるPPARaのりガ ンドで あるフィ ブリン酸 を投与 してもEts‑l 様 蛋白 の プ ロモ ー 夕 領域 へ の結合に は明ら かな抑制 は認め られなか った。 しかしフ ィブリ ン 酸 投 与 に よ り 転 写 レ ベル 、mRNAレ ベ ル、 蛋 白 レベ ル でcontrol及 びbFGF刺 激 時 に 容量 依存性にPAl‑1の発現は抑制された。

    v.  考  案

  血 管 内 皮 細 胞 に お いてbFGFはPAl‑1発 現を 誘 導 し易 血 栓 性と 動 脈 硬化 促 進 に 関与 す る こ と が 示唆 さ れ た。bFGFは 細 胞膜 チ ロ シン キ ナ ー ゼ受 容 体 を介 し 細 胞内 に 刺 激が伝達 さ れ 、 細 胞 内 伝 達 系 で はMAP kinase系 のERKを 介 した り ン 酸化 が 細 胞内 シ グ ナ ル伝 達 に 関 与 し て いる こ と が示 唆 さ れた 。 ヒ トPAI‑1プ ロ モ ー夕 領 域 には 、 転 写開 始 点0か ら‑747bp ま で にSREBP,AP‑1,Ets‑l,C/EBP様 転 写 因子 結 合 部位を認 めるが 、bFGF刺激時 のプロ モ 一 夕 活 性発 現 調 節に は 転写 因子と してEts‑l様蛋白 が転写開 始点―313〜‑260bpに 結合し 転 写 活 性 を上 昇 さ せて い る こと が 示 唆さ れ た 。フ ィ プ リン酸に より誘導 されるPPARaは、 内 皮 細 胞 にお い てEts‑l様 蛋 白 の核 内 移 行、 及 ぴ 転 写因 子 へ の結 合 を 抑制 し な いがPAl‑1の 発 現 を 転 写 レ ベ ル 、mRNAレ ベ ル、 蛋 白 レベ ル で 抑制 し た 。PAl‑1の 発 現亢 進 は 線 溶系 の 抑 制 、 及ぴ 血 管 壁で の 蛋自 分解の 抑制作用 を促し、 血管リ モデリン グ、血 管繊維化 、動脈 硬 化 に 重要 な 役 割を 果 す可 能性が 示された 。またPAI・1レベル が低下 すると蛋 白分解が 過 剰 と な り、 新 生 血管 構 築に おける 細胞の接 着を阻害 するこ とにより 血管新 生を抑制 すると 考 え ら れる 。 こ の様 に 血 管内 皮 細 胞に お い てbFGFはPAI‑1発 現 を誘 導 す るが 、PAl‑1の 発

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現の増減が血管新生の微妙なコントロールに作用することにより、プラークの発達や動脈 硬化の促進に関与していると考えられる。

    VI.  結  語

  血管 内皮細胞 においてbFGFはPAI‑1発現を増加した。またフィブリン酸はPAI・1の発 現を抑制した。bFGFは、線溶系を介して血栓症、虚血性心疾患、及び動脈硬化症の進展 に関与することが示された。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

    Induction of Plasminogen Activator Inhibitor‑l in Endothelial Cells by Basic Fibroblast Growth Factor     and its IVIodulation by Fibric Aced

(血管内皮細胞におけるbFGF のPAI‑1 発現誘導、

     及ぴフィブリン酸の影響に関する研究)

  動 脈硬 化 症 の 発症 、 進 展 にお い て 慢 性炎 症 機 転 と血 栓 制 御 機構 と の 関 係が 重 要 な 意義 を 持っ ている 。血管 内皮細胞 におけ る血液 線溶系 の生理 的調節 分子PAI‑l(plasminogen activator inhibitor type ‑1)の発現に塩基性線維芽細胞増殖因子bFGF (basic fibroblast growth factor)が関 与する分子機構を明らかにし、更にPPARa (Peroxisome proliferator activated receptor‑a)を活 性 化 する フ ィ ブ リン 酸 がPAl‑1の 発 現 にど の よ う な影 響 を 与 える か を検 討した 。ヒト 臍帯静 脈 血 管 内 皮 細 胞(HUVEC)、 ヒ ト 臍帯 静 脈 血 管内 皮 細 胞 株(ECV304)を 培養 し 、 こ れら をbFGF で 刺 激 し、Northem blot法でPAI‑lmRNA発現 を 、 ま たWestern blot法 で培 養 上 清 中のPAI‑1 蛋 自 発 現 を 測 定 し た 。bFGF刺 激 は 、 ヒ ト 血 管 内 皮 細 胞 に お い てPAl‑1のmRNA発 現、 及 び 培 養 上 清中 の 蛋 白 発現 を 容 量 依存 性 に 増 加さ せ た 。 細胞 内 シ グ ナル 伝 達 系 を調 ぺ る た め、

各 種 イ ン ヒ ピ タ ー を 投 与 しmRNAレ ベ ル でPAl‑1発 現 を 測 定 し た 。bFGF刺 激 はMAP kinase 系のERK (extracellular signal‑regulated protein kinase介したりン酸化が関与していた。PAl‑1 の プ ロ モー 夕 領 域 での 活 性 変 化を ル シ フ ェラ ー ゼ ア ッセ イ に よ り検 討 し た 。bFGF 10ng/ml で 刺 激す る と 、 全長 の ル シ フウ ラ ー ゼ ベク ター では約1.7倍の活 性上昇 を示し た。ヒトPAI‑1 プ ロ モ ー 夕 領 域 に お い て 、bFGF刺 激 に よ るPAI・1発 現 に 関 与 する 転 写 因 子同 定 の た め、

5,deletion mutantを作 成し未 刺激状態 でのル シフウ ラーゼ 活性を 測定し た。‑313bpま でルシ フ ウ ラ ーゼ 活 性 が 上昇 し 、 そ れよ り 短 い べク タ ー で は活 性 が 減 少し た 。bFGF 10ng/mlで 刺 激 す ると 、 ー260bpよ り 短 いべ ク タ ー では 活 性 上 昇が 消 失 し た。 以 上よ り‑313から‑260bpの 問 にbFGFに よ る 活 性 上 昇 部 位 が存 在 す る と考 え ら れ た。 こ の 領 域に あ るEts‑l様 蛋 白 結合

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領域にpoint mutationを施したべクターを作成し、PAl‑1の活性変化をルシフウラーゼァッセ イに より測定 すると 、bFGFで刺激 しても 活性上昇は認められなかった。この領域にある Ets‑l様転写因 子結合 領域のoligonucleotidesを用いてEMSAを行った結果、bFGF刺激によ りEts‑l様蛋白の転写領域への結合増加を認めた。フィプリン酸はPPARaを活性化するとさ れて いるが、 フィブ リン酸で前処置した場合、EMSAの結果では、Eis‑l様蛋白のプロモー 夕領域への結合には明らかな抑制は認められなかった。しかしフィブリン酸投与により転 写レ ベル、m恥岨 レベル、 蛋白レベ ルでcontfoI及ぴbFGF刺激時に 容量依 存性にPAト1の 発現は抑制された。以上の結果より、動脈硬化領域において、血管内皮細胞に発現するbFGF はP心−1の発現を亢進させ、線溶系の抑制、及び血管壁での蛋白分解の抑制作用を促し、血 管リモデリング、血管繊維化、動脈硬化に重要な役割を果すと考えられた。また、フィブ リン酸はP心ー1の発現を抑制する効果が認められ、血栓症、虚血性心疾患、及ぴ動脈硬化症 の進展を抑制する可能性が示唆された。

  口頭発表に際し、長嶋教授からゲルシフトアヅセイのスーバーシフトにっいて、フィプ リン酸によるP触‐1プロモータでの活性抑制の分子メカニズムについて、及びbFGFの血管 傷害修復のメカニズムとPpd‐1との関係についての質問がなされた。北畠教授からP触_1発 現量とプラークの形態の関係について、nu‐1の発現と動脈硬化進行の関係にっいて、P触―1 の血中濃度と冠動脈病変の進行程度の相関、及ぴ臨床上の動脈硬化の指標としてのW山1の 役割 について の質問 がなされ た。ま た、川口 教授からHUVECとECV304との細胞系の違い 及ぴ実験系全体の意義について、内膜肥厚に関するPm‐1及び血栓の関与について、Pm−1 の血管平滑筋への増殖作用についての質問がなされた。いずれの質問に対しても、申請者 は 過 去 の 実 験 デ ー タ や 関 連 論 文 を 弓I用 し 、 概 ね 妥 当 な 回 答 を 行 っ た 。   この論文は、動脈硬化の解明と動脈硬化病変治療への新しいアプローチとして意義のあ る も のと し て高 く評価さ れ、今 後この分 野にお ける更な る研究 の発展が 期待され る。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども 併 せ 申請 者 が博 士(医学 )の学 位を受け るのに 充分な資 格を有 するもの と判定し た。

参照

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